2010年4月15日木曜日

ごり押し公共事業の重いツケ、反対者の意見に耳を貸せ


15日のテレビ朝日スーパーモーニングの「地滑り大滝ダム」を見ていて、改めてごり押し公共事業の重いつけを感じた。

奈良県川上村の大滝ダムは、伊勢湾台風の教訓から洪水対策として38年かけ、3200億円を投資して2003年に完成した。しかし、この地は、崖推で地下を断層が走っており、35年前から専門家は地滑りの危険を指摘していた。

これを受けて地域住民は強固に建設反対を訴えた。しかし、村は建設に合意し計画が推進された。2003年に完成し、試験貯水を始めると、民家に地滑りの兆候が現れ、住民は避難、対策検討委員会が設置され原因究明が行なわれた。

結果、貯水したために地盤に圧力がかかり地滑りが発生したという。住民は、専門家の警告を無視したダム建設で人災と訴えた。国は「対策を講じれば、問題はない」と判断した。

報道によると今は、廃墟になり、昔は助け合って生活していた地域住民はバラバラで、移転先には13軒が移っただけだという。

住民は、国に対して「損害賠償」を求める訴えを起こしたが、裁判所は地滑りの予見可能性は認めたものの、損害賠償は認めず、住民側敗訴の結果だった。

こういった公共事業では賛否両論出るのは当然としても、安全面で考えた場合、反対者やその側に立った専門家の見解が正しかった例が多い。

計画を推進する側は、別に専門家の検討委員会などで、自分たちの都合の良い見解を出させて正当性を主張する。利権がらみの問題もあり中止などできないのだ。

今、計画の推進が問題になっている八ッ場ダムも、50年の歳月と4600億円を投資して未だ完成していない。ここも計画段階から地質学者などが地滑りの危険を指摘していた。
つい最近の新聞報道で、工事中に地滑り危険が分かり、対策工事で付け替え道路の開通が半年遅れるとのことだった。

事業者である国や自治体よりも、地域住民の方が良く分かっている例が多い。

地域住民の貴重な意見は最重視しなければ、無駄な投資になることを為政者は知るべきだ。地域開発事業では、特に注意すべきだ。
写真:大滝ダムの試験貯水で地滑りが発生し、水を抜いて調査した結果。50箇所以上の亀裂が走っていたという。2003年4月ごろのテレビニュース画面より

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