メールにオーマイニュース、オーマイライフから「4月24日で閉鎖するので、記事が見えなくなります」とのニュースが舞い込んできて、その日が過ぎた。名称を変えたことは韓国・オーマイニュースと提携を解消したのだろうし、経営上も広告収入などで儲けを出す状況ではないと聞いていたので、いつかはこのような結果になるだろうとは想像していたが、2年間記者登録し投稿していた私にとっては寂しい気がする。
オーマイニュース創刊時は、編集長に鳥越さんが就任したのもあってか、メデイアも注目した。鳥越さんは「市民は誰でも記者になれる」、「ネット新聞が目指すのは新聞とテレビ、両方の機能を持つメデイアだ」、「「劇場型の社会とメデイア」から「運動会型の社会とメデイアをめざす「参加」こそ時代のキーワードであると訴えた(朝日新聞 2006.5.28 メデイアと社会)。私も創刊時から記者登録して、」2年間投稿をした。
ところが、昨年8月だったと思う、2年過ぎたのでリニューアルすると言うことで投稿が一時出来なくなった。新しい構想として「マネー」に特化し、今までの分類された記事はトピックで扱う大幅な刷新が進んでいた。丁度、自民党総裁選が繰り広げられていた時で、投稿できないのはまずいので、以前から登録していたjanjanに戻ることにした(janjanに記者登録したのは、janjanが創刊されて半年ほど経った時だったと思う)。
市民参加型ニュースサイトの運営は並大抵ではないようだ。
新聞報道などによると、苦戦が続いていた。広告を載せる効果があるページビュー(PV)は一日100万PVと言われているようだが、創刊当初は100万会ったが、コメント欄書き込み規制なども影響し35万、20万と落ち込み、最後は7万にまでなったという。janjanも1000万PV/月といわれている。コンテンツの問題もあるのだろう。
「誰でも記者になれる」がうたい文句であり、当初は登録記者数1万人を目指したが、2009年3月時点で4793人という。
挽回するために、当時退職間近の団塊世代を取り込もうとした。確か「物を言う団塊世代」とか言う特集を朝日新聞が都内版で企画特集するというので、編集部から「協力してくれないか」と依頼があった。団塊世代に引っかかる年齢だし、定期的に投稿しているので候補に挙がったようだ。続いてテレビ朝日でも企画していると言うことで、こちらも協力することにしたが、首都圏在住ではなかったせいか、私はメール取材になった。テレビの方はどうなったか知らない。
オーマイニュースに市民記者の年齢構成などを問い合わせた結果、20代17%、30代33%、40代26%、50代13%そして60代6%ということだった。ネット社会は若者で持つようだが、団塊世代を取り込むことには成功しなかったようだ。1件300~1000円、トップ記事になると2000円の原稿料が入ったが、その魅力はなかったのか、それとも原稿を書く魅力がなかったのか、あるいは力のある人はブログで対応しようと考えていたのか。
コメント欄の書き込みも問題になった。誹謗・中傷の書き込みが多く、投稿者を萎縮させてはいけないと言うことで、制限するかどうかの処置についてアンケート調査があった。私は制限しなくても良い方に答えたが、結局記者登録し、原稿料振込先の口座を届け出ている記者に制限することになった。当然の事ながらPVは減った。我が国のネット社会は「匿名」の文化があるが、ニュースサイトは実名での責任ある議論が大切だと思う(勿論匿名でも重要なコメントをしている人もいる事は確かだ)。誹謗・中傷の書き込みは気にせず、賛同するコメント、意義あるコメントを糧にした方が良さそうだ。
ほとんどが素人記者の投稿なので、記事内容には編集部も苦労したようだ。1/4は内部記事で、それはトップ記事で4割にも達したという。この点についても是非についてアンケート調査があったように覚えている。記事内容を充実し、PVを増やすことは広告収入も増え経営に貢献する事であることは誰でも分かる。内部記事を多用することは、インターネット新聞の質を維持するためにも必要と思うが、その時は否定的な意見が多かったと思う。
市民記者が質の良いニュースを投稿できるようにしなければならないが、中川淳一郎さんは、ネットで受けるネタとして次ぎの分野を挙げている。話題にしたい部分、突っ込みどころのあるもの。身近であるもの。非常に意見の鋭いもの、テレビで紹介されているモノ、モラルをとうもの、芸能人関係のもの、エロ、美人、時事性があるモノを挙げている(ウェブはバカと暇人のもの 中川淳一郎 光文社新書 2009.4)。
ところが、実際の投稿内容は自分考えを書く一方通行的なオピニオンが多かったという。そのためブログが普及すると太刀打ちできなくなる。私も実は自分のブログでは自信がないが、自分の考えを書いてみたいと言うことで始めた口だが、テレビや全国紙とは違った面から、また他人とはダブらない記事を書こうと努力しているが、クリックが少ないのはこれが原因か(冗談だが)。
「ニュース・ソースは何だったか」と問いあせたが、それは公開していないという。
時々、新聞はネットに殺されるのではないかと言うが、記者の書く記事の新聞 → テレビ → ネットのニュースサイトになっているのではないだろうか。朝のテレビの情報番組は新聞記事の紹介だ。新聞の役目は大きいがテレビやネットとの競争が速報性では負けるも、解説とか傾向記事では圧倒的に強い。
市民参加型のニュースサイトが威力を発揮するのは、身近な事件、出来事の報道だ。全国紙やテレビでは報道できない面、ドンドン情報を更新できる強みがある。世論を動かす威力も兼ね備えているが、我が国ではそこまでは行かないだろう。韓国では大統領選に大きな威力を発揮したネットも、公選法改正で、今は政治論議も沈滞しているらしい(毎日新聞 2007.12.15)。
大きな力を発揮するようになると、当然規制がかかる。「程々に」と考えると萎縮して伸びない。
健全な発展をして欲しいが、そのためには私達も一定のルールを守らなければならない。
janjanも手頃の市民参加型ニュースサイトだ。年間約3億円の運営費を親会社の広告費で賄っているとすれば、薄氷を踏む経営だと思う。
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