2019年1月31日木曜日

通常国会での安倍vs野党:新しい国造りの転換点がこんな事でいいのか


安倍総理が「新しい国造りの転換点」というが、国会での野党との論争がこの程度では、何を信じれば良いのか。時の政権が自らの政策の成果を主張する時、ある程度の指標のいじくりは認められると思うが、安倍政権ほど酷い例があるか。「信じて良いこと」と「信じられてはいけないこと」の区別が付きにくい。

しかし、今は「信じてはいけないこと」が多すぎないか。

厚生労働省の統計不正など不祥事の発生は酷すぎるが、前回も同様、担当大臣の更迭はない。野党は罷免を要求するが安倍総理は拒否、引責辞任させることは安倍内閣の求心力を落とすことになり出来ないのだ。何時も原因究明と再発防止に努めることでお茶を濁す。

大臣罷免該当者は片山さん、加藤さん、根本さん、麻生さん、下村さんら多いが、守り切れる要因は、やっぱり野党のひ弱さか。

口裏合わせも目立つ。森友問題の時もそうだったが、今回は厚労省の統計不正を知ったのはいつかと言うことになった。厚労相は1220日と言うが菅官房長官、安倍総理は1228日という。1221日に確報値や閣議決定をしている。菅官房長官、安倍総理は不正を知っててやってしまったのではないかと野党はうたがっているのだ。

質問事項は予め通告されているので口裏合わせは出来るのだ。

野党は厚労省の統計不正はアベノミクスの成果を出すためにやったのではないかとみているが、政権は否定する。統計不正はあったが評価に影響していないと無理を貫く。

辺野古移設で「珊瑚礁は移した」と答弁していたが沖縄県知事は否定していた。今国会で追及され安倍総理は「防衛省幹部から聞いた」と答えた。環境破壊、軟弱地盤で設計やり直しなど酷すぎないか。県民投票に注目だ。

憲法改正は喫緊の政策課題から後退しているが、自民党案で自衛隊を明記する事で自衛権の拡大にならないかと追及されたが、安倍総理は従来の1,2項をそのままに自衛谷の存在を明記するだけで変更はないと言う。

改めて自民党の憲法改正草案を見たが「国防軍」の設置が出ていた。これと自衛隊の存在を明記するのとは本質的に違いがあるのか。

対ロ交渉での北方4島反感問題はどうなっているのか。従来の4島返還に変わりはないと言うが、プーチン大統領やロ外相の発言を見ると難しい。プーチンは日本からの経済協力に期待しているであって返還は「主権」との関係で難しい。

新しい国造りへの転換点と言いながらこのような国会審議で国民の支持を得ることが出来るのか。

安倍総理には内政、外交共に好都合な政策はない。寧ろ2020年のオリンピック、2025年の大阪万博に期待していると思うが過去の事例から内需拡大など「景気拡大」の可能性は少ないのだ。

成果を焦らず本音の議論をやるべきではないか。

実感にかける「景気拡大」?:選挙対策で安倍政権が急いで宣言か


内閣府の月例経済報告で「緩やかに回復」としたが、この1月で景気拡大が6年2か月を超え「最長になる可能性がたかい」という。成長率も低く、実感にかける嫌いがあるが、安倍政権が選挙対策に急いで宣言したのではないか。

各種経済指標から過去との比較、増減で判断するのだろうが、正確には1年後の「景気動向指数」で判断されるという。その時は9つの指標を使うらしい。

確かに、「あの時・・・・だった」という報告がある。賃金、消費が停滞しているので国民にとっては実感がわかないし、アベノミクスの成果も感じないが政治的には景気は拡大しているのだ。

メデイアが作成している実質経済成長率も1.2%、0%は超えている。「最長の可能性が高い」とあいまいな表現をしている理由もわかる。

結局は選挙目当ての宣言だろう。米中貿易摩擦、英国のEU離脱、中国の成長減速で世界経済のリスクは増すばかり、国内経済も消費税増税、オリンピック需要もすで不況と言う見方もあり景気のいい話はない。

1年後に訂正してもすでに統一地方選、参院選は終わっている。後の祭りだ。

2019年1月30日水曜日

今日の新聞を読んで(211):不祥事に甘い経営風土、大京アステージ社員のマンション管理費横領


どこへ行った 大京のブランド。マンション管理会社・大京アステージの担当者によるマンション管理費の横領事件が起きた。少し前になるが日本経済新聞(2018.12.28)に「マンション管理費を横領 大京アステージ元社員」と言う記事が目に止まった。

それによると、大京アステージのマンション管理担当者が複数の管理組合の管理費を不正に引き出し横領したのだ。国土交通省中部地方整備局は2019.1.18から60日間業務停止の行政処分をした。

被害組合数や金額は明らかにしていない。

こういう場合は管理組合にも問題がある。大京アステージとどういう関係にあったかだ。

まず、大京が分譲したマンションなので好むと好まないとにかかわらず大京アステージが管理会社になる。おそらく管理会社の組織やマンション管理をどうやるかなどは説明を受けていないはずだ。

管理契約も最初に渡された内容のものを一度も検討せずに来ているはずだ。「善管注意義務 」を謳っているが「どんな注意義務」かわからない。

「管理組合や理事はど素人、管理会社の担当者の言う通りにしろ」という考えがはびこる。

管理会社にマンション管理のマニュアルがあるのか。定期的に担当者の業務をチェックしているか。

予算、決算、会計監査を手抜きでやっていないか。時間がないという理由で手抜きをやっていいのか。理事には組合員に対する背信行為は絶対に避けるべきだ。

管理会社の責任も大きいが、管理組合の責任も重大だ。横領されたということは理事長や監事の責任も追及すべきだ。損害額を賠償してもらえば解決と言うわけにはいかない。管理会社との契約上重大な欠格事項になる。

私も大京分譲のマンションを購入したために管理会社は大京アステージで2年間理事をやり、改善に向け渡り合った経験がある。その結果、気が付いたことがある。

管理会社の担当者がマンション管理の方法を押し付ける。改善しようとすると「いや いや」と理事会で口出しする。

予算、決算そして会計監査を理事会で審議したことがない。前期の予算が今期の予算、そして来期の予算になっている。会計監査らしいことをやっているのだろうが理事会では検証せず、総会の議案で1行程度記述されている。それでやったつもりになっているのだから驚く。

会計監査を外部機関に依頼しようと提案したが総会で拒否された。「大京のどこが悪いのか」と言うのだ。

理事会の役員がそれぞれの仕事をせずに管理会社に丸投げである。だから管理会社の言いなりだった。担当者や会社にまずいことは記録に残さない。

管理会社の担当者はマンション管理のプロ、管理組合、理事会はど素人という考えがある。だから問題の核心に触れると「だんまり戦術」に出るので議論が進まない。予算や手間のかかる改善には抵抗する。

そして大事なことは管理組合に対する背信、予算、決算、会計監査では詐欺、横領の危険もあることを認識していない。

社員数も同業他社に較べ半分だ。デベロッパー系管理会社として取り扱い戸数は最大と言うが従業員数は1200人程度。取り扱い戸数の少ない他社では2500人と言うことを考える少数精鋭ではなく「手抜き管理」をやっているのではないか。自分たちの都合の良い管理法を管理組合に押しつけているのではないか。

細かいことを言うともっとある。理事会では解決できないので直接大京アステージの社長にクレームを付けた。その結果は理事会に報告したという。理事会に報告し、理事会が了解すればそれでOKという考えだ。いろんな要求事項は理事会に提案して理事会でまとめる。管理会社は「理事長の言うこと以外は聞かない」ともいう。

いろんな考えの人間がいるのでマンションの管理は大変だ。

先のマンション管理費横領の件に戻って知りたいことがある。

   横領が発覚したきっかけは何だったのか。 ②予算、決算、会計監査で分からなかったのか ③管理会社のマニュアルが作成されていたのか ④大京アステージが担当者の業務を定期的にチェックしていたのか ⑤定期的に担当者の交代はなかったのか
    
この事件を受け、大京の社長がHPで内部管理体制をさらに充実強化、各種法令の遵守、再発防止に努めると通り一遍の対策を掲げているが、本当に対応ができているのか。

同じ管理会社にマンション管理を任せているので他人事ではないのだ。





2019年1月29日火曜日

198回通常国会施政方針演説:責任感に乏しく2020年、2025年のイベント頼りか

施政方針演説は我々の総理が今後1年間、何をしようとしているのかを知るためにも1度は目を通すべきだと思うが、今回は責任感に乏しく、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博のイベント頼みで「新しい時代」へ向かおうとしていないか。更にはG20大阪サミットもある。

それだけ国内政策、外交に見るべき成果が期待できないと言う事か。政策も羅列でステップ・アップが感じられない。

アベノミクスの成果を何カ所かで謳っているが、その根拠となる統計資料は大丈夫なのか。

安倍政権の政治姿勢を見ると民主政治の根幹を揺るがす数々の不祥事にもかかわらず、反省の弁はあったが、誰一人責任を取ることはなく、寧ろ官僚の忖度を蔓延らせた責任は重大だ。

そんな時期に「大きな歴史の転換点」を繰り返しているが正気か。

評価に困って朝日新聞(2019.1.29)の社説を見てみた。それによると「内政外交の課題に真摯に向き合え」と言う。「役に立たない」、「従来の政策の繰り返し」、「難題から目をそらすな」というのだ。

民主政治を踏みにじる数々の不祥事を繰り返しながら安倍政権が長期に支持される事こそ今の日本の政治の「幼稚さ」「未熟さ」を表しているのではないか。

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2019年1月28日月曜日

「嵐」活動休止宣言:20年もするとカネ、女、グループ内格差問題が出てくるのか

「嵐」のメンバー5人が2020年末で活動を休止すると発表した。20年もするとカネ、女、グループ内格差が出てくるのだ。20年前に結成し音楽活動を開始、今メンバーは40歳を目前にしている。「これからどうするか」「ファンにどうこたえるか」大事な時期に来ているのではないか。それに決断を下したことは立派なことだと思う。

今まで通り活動を続けて40歳代、50歳代で「アイドル」はないだろう。長い人生「自分の進むべき道」もあるだろう。

マヒナスターズ、ブルーコメッツ、東京ロマンチカのようなGSで育った私にとって今のアイドルグループの活動にはついていけない感じがしていた。でも紅白歌合戦に出場したりテレビの情報番組にキャスターで活躍するメンバーは知っている。

でもメンバー自身もそれぞれ「進むべき道」を考えている人もいるのだろう。記者会見を見るとリーダーの大野さんはその一人だ。だからリーダーとして今後のことをメンバーに打ち明けたのだろう。それとも女、カネ、グループ内に確執でもあったのか。いずれ週刊誌で記事になるだろう。

SMAPの解散のことも頭にあったのではないか。SMAPはそれぞれ別の道を歩んでいるようだ。でも「嵐」は「5人」なのだ。当初のメンバーが欠けると人気が落ちることを知っているのだ。

2020年末以降、どういう道をそれぞれ選ぼうと再開した時、再稼働はあるだろうか。「アイドルグループ」では通用しないだろう。新しい分野で活動し、またまたテレビに出た時、「元「嵐」のメンバー」と紹介されて初めて分かる。そんな時が来るのだ。

人生は長い、まだ50年あるのだ。それぞれの道を切り開く才能はもっているはずだ。

亥年の通常国会始まる:それでも安倍政権を支持するのか、何故だ


安倍自民党政権にとっては亥年の通常国会が始まる。読売新聞(2019.1.28)の世論調査を見ると安倍内閣支持は49%と前回に比べ2ポイント、不支持は38%で5ポイントダウン。それでも安倍政権を支持するのか。

何故だ。それだけ国民は寛容になっているのか。今後の政治姿勢を「しなやかな寛容に」と言ったのは安倍総理自身だったが、国民がそんなことでいいのか。

厚労省の統計不正には85%が説明に納得していない。財務省の公文書改ざん、森友への国有地格安払い下げなどは国の省庁の信頼性に影響すると80%の人が言っている。

先の日ロ首脳会談の結果については53%の人が交渉と続けることに賛成だが69%は解決するとは思っていないという。

内政、外交で安倍政権に対する見方は厳しいことは確かだ。

公文書改ざん、隠ぺい、官庁の政策の根拠となる統計の基礎データ不正は民主政治の根幹を揺るがす安倍政権に致命的は出来事だが国民はそうは思っていないのか。

国会審議がなかなか進展しない憲法改正、世界経済で景気へのリスクが高まっている中での消費税10%への増税を安倍政権に任せていいのか。

人気挽回のため6月の大阪G20で安倍総理は存在感を出そうとしているが、先のダボス会議でもトランプ大統領、メイ首相、メルケル首相、マクロン大統領、習主席は欠席したという。リーダーなき世界経済のかじ取りを誰がやるのか。

安倍総理だって国内の経済をどうするのか。GDP成長率は低い、借金は1090兆円、財政再建でのPB黒字化は先送りした。財政赤字も欧州ルールの対GDP比3%を超えている。内需拡大が喫緊の課題だが策はない。人口減少、高齢化対策は特に目を見張る内容ではない。

こんなことで世界経済を論じても誰が信用するか。

トランプ大統領の保護主義の勢いを落とし共同宣言が発せられれば万々歳と言うことか。

野党でも立憲民主にするか、国民民主にするかで迷っていてはどうにもならない。とりあえずどちらかに投票し議席数を減らした自民党と連立政権を組むのもいいのではないか。

国民が安倍政権に寛容でありすぎては日本の民主政治は崩壊する。

2019年1月27日日曜日

深刻な金融危機脱出?:日銀の政策転換が実現できなかったことにあるのか


「失われた20年」と良く聞くがバブル崩壊後の金融危機で長い景気の停滞を日本は招いた。海外も同じ状況だったが日本ほど長い停滞期はなかった。金融政策というものは決まっているのに何故だ。誰だってそう思う。何かが違っていたのだ。

読売新聞(2019.1.25)の「金融危機 日銀の苦闘」で白川前総裁とのインタビュー記事が目についた。金融政策の責任者が当時何をしようとしていたのか、何が問題だったのかを知ることが出来た。

白川さんは京大教授を務めた後、日銀の副総裁に就任するが総裁がなかなか決まらずそのまま総裁に昇格した。確かリーマンショックの時だったと思う。

日本経済は長い間の円高、株安で景気回復が遅れていた。自民党が政権を奪取する前から「市場にもっとカネを流せば円安になるのが分からないのか」と問われるようになり当時の民主党・野田政権の末期には「更なる金融緩和」を要求されるようになった。白川さんは急激な金融緩和にはウンと言わなかったが、政府は日銀法改正まで持ち出しけん制した。

そのうちに政権が変わり安倍政権になって政策委員2名の任期終了で新たにリフレ派の委員を日銀に送り込んだ。その結果、白川さんは任期を6ヶ月ほど残して辞任したのだ。

その後、安倍総理の意を汲んだ黒田さんが「2年で2%物価目標」を掲げて総裁になり日銀は今も2%物価目標達成まで異次元の金融緩和継続策を執っている。

「日銀は何をやっているのか」と批判される立場だったが、日銀だって既に「緩和な金融緩和をやっている」という立場だったと思う。

白川前総裁の苦闘の1つは、論評と政策は異なる。難しいのは政策転換の実現という。日銀はいろんなシミュレーションして金融政策を打ち出すが、政府や大蔵省、エコノミスト、経済評論家に支持されず、政策の転換が出来なかったというのだ。

19891229日は株価38915円を付け景気は空前の活況を呈した、5月に日銀は公定歩合を3.25%に上げたが、利上げが遅れバブルを止められなかった。

しかし日銀は引き締めの修正論、情報発信していたが金融政策の修正に説得力がなかった。各方面の支持が得られなかったのだ。

日銀は孤立無援、政策論議は経常黒字圧縮、国際政策協調の必要性、円高再燃懸念の議論に支配される空気がまん延し怖かったと述懐する。

更に、銀行はいずれ倒産する。経営難に罹った金融機関を処理する枠組みを91年に大蔵省に提案した。日銀が提案したのは公的資金の注入、受け皿金融機関の設立日銀の出資等だった。しかし大蔵省は受け入れなかった。

92年になって地価の下落、信用金庫の破綻が続いた。金融危機が深刻だったのは92年呉から93年春だったと白川前総裁は言う。

白川前総裁の苦闘の2つめは金融と実体経済の相互作用に関するマクロ経済の認識を共有出来なかったことだ。大蔵省を説得できなかったことに悔いが残ると白川前総裁は言う。

それから日本経済は長期のデフレに突入するのだ。

大規模なバブルがおき、崩壊、金融危機により低成長は避けられない。大規模な金融緩和を実施したにもかかわらず欧米だって同じなのだ。唯、失われた20年という見方に白川さんは違和感を覚えるというのだ。

2000年以降、GDPの伸びは低いが、1人当たりのGDPの伸びは他の先進国に較べても低くないのだ。

白川前総裁は問題は先行きの持続可能性だという。ここが今も日銀と政府の考え方が違うのだ。

日銀は金融政策の他に高齢化や労働人口の減少、情報通信革命への対応への取り組みを提言するが、政府は低成長の最大の要因は物価と言い、エネルギーが本来の課題に向かっていないのだ。

日銀の黒田総裁も金融政策一時の時間稼ぎ、財政政策などの必要性を説いているが、安倍政権は相変わらず「2%物価目標」達成を目指す。その安倍総理の意向で日銀も金融緩和縮小より金融緩和継続を目指さざるを得ないのだ。

金融政策は日銀の仕事と言いながら政権が首根っこを縛る。

白川前総裁の話を聞いていて、日銀が自分の判断で金融政策を推し進めていたらうまく行ったのだろうか。バブルの発生を防げたのだろうか。

でも日銀にも負い目がある。誰が総裁の時だったか忘れたが、金融政策の正常化を目指し政府の反対を押し切って利上げに踏み切ったが、景気後退で慌てて修正する事もあった。政府、大蔵省は「それ見たことか」と日銀を敵視したことがある。

FRBもトランプ大統領から利上げに反対されているが、日銀も政府の意向で思うような政策実行が出来ない。政府は人気取り優先なのだ。

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2018.11.04掲載
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その発言こそ「大きな問題」では:厚労省「毎月勤労統計」不正で森山国対委員長「大きな問題ではない」と


森山自民党国対委員長が鹿児島県鹿屋市で厚労省の「毎月勤労統計」の不正調査について「今回はさほど大きな問題ではない」と発言したそうだが、その発言こそ「大きな問題」ではないのか。ただし「今のところそう思う」と付け加えているので先の見通しは付かないのだ。

自民党の国対委員長だから厚労省の統計不正は通常国会で野党の格好の攻撃材料になるし、下手をすれば安倍政権の崩壊につながる。だからこのような発言が飛び出したのだろう。

再調査するというのだが、どうして身内の特別監察委員会の調査に拘るのか。前回は不備だった職員への聞き取りも外部委員がやり直すという。何時全数調査から抽出調査に変わったのか、何故急いで中間報告をしたのか。

報告の記者会見で委員の一人が「捜査権のない任意の調査だから調査に限界がある」と発言していたが、再調査でどう改善するのか。

通常国会前に幕引きをやりたいことが不完全で急いだ中間報告になったようだが期限に制約があるのか。国会が開かれれば制限なしの審議になるだろう。

先の委員会は「隠蔽の意図は認められなかった」と言うが、「誰が隠蔽しました」と言うのか。この種の調査ではいずれも「組織的隠蔽はなかった」事が結論になっている。

問題は政策立案、評価に重要な基幹統計で不適切な処理がされた理由はなんなのか。

統計意識の低さ、人員不足は前から指摘されていることだ。アベノミクスの評価で官邸からデータに手を加えることを強要されていないか。

基幹統計を見直すと他省庁でも見つかっているが「単純ミス」で、厚労省の件は予算の修正が必要だしアベノミクスの評価にも影響する。実質賃金の伸び率が実際はマイナスの可能性も出ているのだ。

本当に大きな問題ではないのか。公文書の改ざん、隠蔽、政策に使用する資料の不正は安倍政権の弛みを表していないか。今後3年間、何が出てくるか。

森山さんは本当に毎月勤労統計の内容、不正調査の事実を知っているのか。通常国会での野党の攻勢の事を考えて早く幕引きしたいための発言だったのか。

こういった発言こそが「大きな問題」ではないか。



2019年1月26日土曜日

朝日読書欄「民主主義の後退」で考える:安倍総理の「民主主義弱体化」を許すな


朝日新聞(2019.1.26)読書欄「民主主義の後退」で東大教授の宇野さんが「民主主義の死に方」など3冊の本の書評を書いていたのが目に止まった。

民主主義は確かに後退している。欧米の首脳を例に挙げるまでもなく日本の安倍総理の政治手法も間違いなく「民主主義を弱体化」させており許してはいけない。

それによると2019年の話題は「民主主義の後退」だという。世界的に目立つのは独裁的指導者でアメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領、そして中国の習主席の存在だろう。

一方で民主主義を担うべき米国、イギリス、フランスの国々も脆弱化が激しい。大丈夫かと思うぐらいだというのだ。

しかしこういった国だけでなく、一強独裁国家となった安倍政権率いる日本も例外ではない。

民主主義が脆弱化している一方で民主主義を支える規範が欠如しているのだ。何かというと「相互的寛容」と「自制心」がないのだ。

思い出すのは安倍総理が会合で今年の亥の年に因んで「猪突猛進」ではなく、「しなやかな寛容と謙虚な政治」に留意すると言ったことがある。安倍総理自身が「民主主義を弱体化」させていることを意識しているのではないか。

そして民主主義を支える規範の欠如、弱体化は誰がもたらしているのか。誰の責任か。

「民主主義の死に方」の著者であるステイーブン・レビッキー、ダニエル・ジプラットらは、トランプに始まったのではなく、「政党が政治家を選ぶ門番の機能を長期にわたって喪失してきた結果だ」という。

日本でも言えることではないか。自民党は何故、安倍さんを選んだのか。おまけに任期6年を制度改正して9年に延期した。安倍さんは家系としては政治家一家だが、第1次安倍内閣では政権運営がうまく行かず、体調不良もあって政権を放り出した前科がある。

それなのに、民主党から政権を奪取する時の自民党総裁選で安倍さんが前評判に反して総裁の座に返り咲いた。

当時は、安倍さんの他に総裁だった谷垣さんは石原さんが出ると言うことで出馬を見送った。出馬を強行した石原さんは麻生さんから「平成の明智光秀」と揶揄され人気を落とした。そして下野時代にこまめに地方を回り人気を得ていた石破さんが出馬した。

地方議員、党員を含めた予備選挙では石破さんが圧倒的に強かったが、国会議員による本選では安倍さんがひっくり返し総裁に当選した。何故安倍さんだったのか。第1次政権で満足していないお友達、側近連中が安倍さんを担いだのだ。

私利私欲、権力の乱用など思うがままの政権運営を許してしまったのだ。一時はアベノミクスで株高、円安で日本経済も回復したかに見えたが、その後の安倍政権の一強独裁政治が民主主義、民主政治の崩壊をもたらした。

憲政史上まれに見る総理夫妻による疑惑事件「モリカケ」問題では国有地を格安に払い下げ、財務省などによる公文書改ざん、政策の根拠となるデータの不正使用、大義名分のない、ただの野党潰しと思える解散総選挙、憲法の解釈改憲そしてメデイア攻撃と安倍総理の民主政治への挑戦は事欠かない。

意に沿わないテレビなどメデイアの報道には抗議し圧力をかける一方、新聞の首相動静を見ると25日は新聞、通信各社の論説委員との懇談、在京民放各社の解説委員らとの懇談に加えて「赤坂飯店」で会食をしている。

そんな事をしてメデイアは政権を監視できるのかと海外メデイアは批判する。テレビの情報番組に出演した関係者の中には「安倍総理の考えはこうだろう」と解説したり、「会食して話した」と公言する者もいる。そういったコメンテーターの言うことは信じないことにしている。

トランプ大統領のアメリカに限らず、EU離脱で揉めるイギリスメイ首相、難民受け入れで信用を落としたメルケル首相、テロ、デモが相次ぐフランスのマクロン大統領は民主主義に揺らぎ、中国の習主席、ロシアのプーチン大統領は民主主義国の脆弱化を良い事に覇権拡大を狙っている。

要は各国が如何に「主権」を維持するかの問題だろう。トランプ大統領が退き「保護主義」が弱まることで解決出来る問題ではなかろう。

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2018.11.24掲載
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2015.12.16掲載
官高党低の安倍一強政権で民意はどうなる



立憲民主、国民民主よ 闘う相手は安倍自民ではないのか


立憲民主党、国民民主党の代表、議員の皆さん 闘う相手は一強独裁の安倍自民党ではないのか。「数あわせは烏合の衆」批判は当然で大事なのは政策の一致だろうが、立憲民主、国民民主もその生い立ちは保守、リベラル混在の旧民主党だ。それが肝心な所で不協和音となりゴタゴタ続きで国民に愛想を尽かされる。

よく考えてみよ、自民党だって保守、リベラル入り乱れての政策だったが、それが団結すべき時は団結出来る。支持者の懐が深いのではないだろうか。

それが立憲民主、国民民主にどうして出来ないのか。

政党支持率が38%の自民は別格としても7%程度の立憲民主と、1%程度の国民民主が主導権争いをしていてどうなるというのか。

取り敢えずは参院選を前に参議院での野党第一党の会派争いだ。国民民主が自由党と統一会派を作ったと思えば、立憲民主が社民党と統一会派を作り、更に個人の引き抜きなどで野党第一会派の主導権争いだ。野党第一会派になれ政権与党と議会運営の主導権が握れるのだ。

立憲民主も無所属の会から議員が合流する動きがある。枝野さんは団体での合流ではなく、個人単位での合流を希望していた。「烏合の衆」批判を避けるためか。

それでも野党統合が出来ないのは枝野さんがブレーキになっていると言う見方があるがそうかも知れない。旧民進党の分離、解体時に新しい希望の党へ行けなかった議員の受け皿として枝野さんが立憲民主党を設立し受け皿なった経緯がある。

枝野さんにしてみれば無条件の合流は出来ない。「選別します」と言うことになるのだろう。自分の政治経歴よりも上の人を受け入れる事に難色を示しているのではないか。小池都知事の当時の考えと同じだ。

小沢さんはそのことを知っていて立憲民主では野党統合は出来ないだろうと言っていたが、その通りの動きか。

その小沢さんが国民民主と自由党の統一会派造りに動き出した。政党支持率が0か1%が集まって何が出来るかだが、小沢さんの選挙戦術、国民民主党の政治資金を合わせると何か出来そうな気はする。

でも小沢さんに対しては旧民主党政権時のゴタゴタが付きまとい小沢アレルギーが根強い。今の大手メデイアの世論調査での安倍政権支持の大きな理由に「他の内閣よりマシ」という。

小沢さんがこの国民の悪感情をどう払拭出来るかだ。小沢さん本人の問題なのだ。

最大支援組織の連合も右往左往している。組織内の組合と政策で一致点が見いだせず野党統一に力を発揮できないのだ。

立憲民主、国民民主の革新系議員は好き勝手なことを言わず、今の政治をどう改革していくのか、しっかり議論すべきではないのか。

打倒安倍政権の戦闘課題は一杯あるではないか。

それより自分たちの主導権争いの方が大事ななか。


2019年1月25日金曜日

沖縄「県民投票」:選択肢「どちらでもない」で民意を明確にできるか

県民投票の選択肢に「どちらでもない」を加えることで民意が明確になるのか。普天間飛行場の辺野古への移設の賛否を問う県民投票で、不参加を決めていた5市が急転直下参加する意向を示した。「賛成」「反対」の2択に「どちらでもない」の3択にすることで動きが変わったのだ。

普天間飛行場を抱える市が「辺野古への移設」を「賛成」とは言いにくい。当然だろう。そこに「どちらでもない」という選択肢を加えると判断が楽になる。

ところが民意をはっきりさせることから考えると一歩後退と言うことになるのだろうが、これで全市で県民投票参加だから、意義はあるだろう。

沖縄県の別の市に基地を移すのでは自分たちはいいが移転策は困るだろう。

「どちらでもない」の選択肢は優柔不断に見えるが、今回は重要な選択肢になるのだ。とりあえず地方自治が確保できたことに意義は大きい。

2019年1月24日木曜日

厚労省の「毎月勤労統計」不正調査:特別監察委員会の調査は中立なのか


またまた厚労省で不正が発生した。今度は毎月勤労統計で全数調査から抽出調査に変更したことによりこの資料を使って作成する指標に大きな影響が出ているのだ。

厚労省は例によって不正調査を弁護士や有識者からなる特別監察委員会に委託したがその調査報告があまりにもひどすぎるのだ。依頼主が厚労省だから厚労省に不利な結果は出るはずがない。

今まで官庁の不正を弁護士など第三者で構成する委員会に調査依頼いていたがことごとく依頼主には責任が及ばない報告だ。記者会見では「捜査権がないので調査に限界も」とか、「組織的な犯罪ではなく担当者レベルの問題」と組織の不正行為を否定する報告で組織は助かっていた。ほとんどが依頼主寄りの報告内容だ。

第三者委員会に弁護士などが加わっていれば中立が保てると思わせるのは官庁の常とう手段だ。考えてみよ! 弁護士は依頼者を擁護することにより仕事が成り立っているのであって、依頼者を糾弾しようものなら二度と仕事はやってこない。テレビドラマで弁護士が「真実を追求する」なんて言っているのを見るとおかしくなる。

今回の厚労省の不正調査結果を報告する特別監察委員会の記者会見を見ても驚く。

のべ70人ぐらいの職員をヒアリング、ポイントは東京都の500人以上の事業所を全数調査から抽出調査に変えた理由とその責任にある。

企業からも苦情が多い都道府県の要望に配慮したらしい。誰の判断、責任でやったのかというと担当課のみの判断で、課長クラスは不正の事実を知っていたが「組織的隠ぺいではなかった」と結論付けている。

調査の根底を覆すような判断ができなかったのか。本政策のトップの責任者である政策総括官もおかしな対応をしている。担当室長から報告は受けていたが何もせずに放置していたらしい。

担当者に責任を転嫁しているが、記者会見でも委員が「総括官の管理は問題だが「組織として隠したとはいえない」、「容認したとも言えない」と言うことは責任者に責任はないということか。

チョッと聞き漏らしたが「グレーだが白ではない」とも言っていたように覚えている。

なんとも苦しい特別監察委員会の記者会見だったが、根本厚労相だけはほっとした感じで自ら減給処分でお茶を濁そうとしている。

中央官庁の仲間内の不正調査に騙されるな!

通常国会で経済政策の根幹にかかわるデータ使用に関して徹底的に追及すべきだ。アベノミクスの評価も当然だろう。参院選でも安倍政権の政策根拠のあいまいさを追及したらどうか。



今日の新聞を読んで(210):日ロ交渉を急ぐな! 千島海溝沿い地震を待て 


朝日新聞 2019.1.24
安倍総理は「前のめり」状態だが、日ロ交渉、特に北方4島共同経済活動は急がない方がいい。十勝沖から北方領土にかけて千島海溝沿いでM8.8以上の巨大地震が切迫しているのだ。折角の経済投資も巨大地震で吹っ飛んでしまう。日ロ交渉は巨大地震発生を待った方がいい。

23日に安倍総理が訪ソし、プーチン大統領と日ロ首脳会談をしたが大方の予想通り具体的な進展はなく、「交渉の難しさ(安倍)」、「長期化(プーチン)」をにおわす。

それでも安倍総理は大阪のG20で北方4島領土問題で道筋を付けたいと考えているようだが安易な考えは通用しない。

担当者である外相会談で浮き彫りになった課題を首脳会談で打開できると考えているのは日本の指導者ぐらいだ。首脳会談で不透明な事項がロ外相の口から漏れ出る状況に誰だって交渉の難しさを理解できる。

平和条項締結を加速させることを確認したというが詳細には言及せず、個人的親密さに騙されてはいけない。共同記者会見で「相互に受け入れ可能な解決策」と言うが日本、ロシアの思惑は大違いだ。どうやって調整できるのか。

担当者である外相会談が2月中旬に予定されているというが、「北方4島での共同経済活動の早期実現」、「元島民の墓参」がテーマらしい。

プーチン大統領は国内経済の沈滞で極東開発は日本頼み、安倍総理も前のめりで経済活動に利用されている。

しかし、チョッと待った。

朝日新聞2019.1.24によると、北海道沖から北方領土にかけて震源域が300kmの千島海溝沿いにM8.8の巨大地震の発生に「切迫性」が出ているのだ。当然に巨大津波に襲われ北方4島は壊滅に近い被害が出るのではないか。

直近では17世紀に発生しているので発生間隔の340~380年はすでに過ぎている。さらに3.11東北地方太平洋沖地震の前の状況と酷似しているのだ。

研究者によると2008年以降付近の地震は静穏化していたが2015年から回復傾向にあるという。近くの変動にも異変があり沈降が続いているがいつかは隆起するのだ。

北方4島が地震、津波に襲われるとロシア単独では復興はできないだろう。日本が手を差し出さなければロシアは4島を放棄するかもしれない。その時がチャンスだ。

安倍総理の下手な政治生命をかけるより、こっちの方が余程日本の希望する事態に近いのだ。

無理な妥協はするな! 無駄な経済協力をするな! 待てばチャンスはある。

関連記事
切迫する千島海溝地震:福島第一原発もさることながら北方4島はどうなる
yamotojapan.blogspot.com/2018/08/4.html 

2019年1月23日水曜日

「統合」か「主権」か:メルケル首相、マクロン大統領の目指す方向は


「統合」か「主権」か、国内では親EU政策反対で右翼、ポピュリズムの台頭で足元が揺らいでいるドイツ・メルケル首相、フランス・マクロン大統領だが、新聞報道によると「アーヘン条約」署名で欧州の結束を目指すという。

両首脳がドイツ西部のアーヘンで会談し連携して欧州の結束強化を目指すアーヘン条約に署名したのだ(朝日新聞2019.1.23)。

確かに今、EUはイギリスが離脱するなど他の国にもその動きはあるらしい。

EU構築の時のことを忘れたが、関税を気にせず、自由に交易できる域内経済圏構想だったと思ったが、政治的には多くの課題も残していたようだ。難民の受け入れ、財政悪化では余裕のある国が厳しい国を助ける事への不満が募っていた。

財政危機でEU,IMFから支援を受けると緊縮財政を強要され、国内経済、国民の生活は停滞しEUなどに対して「主権」を訴えるようになった。一方比較的裕福な国でも右翼政党、ポピュリズムの台頭で国内が不安定になっている。

欧州「統合」の懐疑的動きなのだ。

新聞報道をひろってみると、フランスでは親EU政策をとるマクロン大統領の支持率は23%、一方批判的な国民連合は21%の支持を得ている。「フランスの主権を損なう」との訴えが支持を得ているようだ。

ドイツも新興右翼政党が台頭し欧州議会の廃止を訴え、メルケル首相は難民問題で支持を失い引退するという。

イギリスは例のごとく国民投票の僅差で離脱を決めたが、メイ首相が提案したその離脱に関する協定案が大差で否決され「合意なき離脱」が現実味を帯びてきた。経済は大混乱だろう。メイ首相の首は何とかつながった。

一方で、フランス、ドイツの署名したアーヘン条約では①国際ルールに基づき多国間主義に貢献するという。アメリカトランプ大統領の「保護主義」に真っ向から対立するのだ。②欧州独自の防衛同盟を作るという。トランプ大統領がNATOに対する軍事費の増強を要求してきたことでマクロン大統領は欧州独自の防衛組織を作ると言うと、トランプ大統領は怒り心頭だ。

③ドイツを国連安保利の常任理事国いりを推進するという。④地球温暖化対策の「パリ協定」の推進などが掲げられている。

このほかにマクロン大統領はEU改革を訴えていたが「黄色いベスト運動」などで改革を進める力は削ぐことになったか。

政治的課題を後回しにした欧州統合計画が、ここに来て各国で「主権」問題が持ち上がった。域内の富める国が貧しい国をどう支援していくか。経済支援に伴う緊縮財政強要は国民生活を停滞させる。これが我慢ならないのだろう。

「統合」か、「主権」か。トランプ大統領の「保護主義」は「主権」の主張か。



安倍自民の改憲後退に騙されるな! 選挙前の常とう手段なのだ


自民党の2019年の運動方針案で改憲が後退した感じだが騙されるな! いつも選挙を控えての自民党の常とう手段なのだ。自民党は選挙に不利と見ると憲法改正の争点隠しをやるが、野党は生真面目に憲法改正反対を訴えて敗退するパターンだ。

自民党は「今が時代の転換点」と言うが、安倍総理の任期があと3年と言うことで任期中に決着をつけたい安倍総理の執念なのだ。

安倍自民は改憲を党是としているが統一地方選に必勝、その勢いで参院選に勝利し、憲法改正に道筋をつけるというのだ。

憲法改正のための国民投票発議は衆参で2/3の議席が必要で、やるんだったら夏の参院選前の「今でしょッ」と言うことになる。

これだけ民主政治を踏みにじる政局運営をやっていながら自民党支持は根強い。朝日新聞(2019.1.22)の世論調査でも自民38%、立憲民主7%、国民民主1%、公明3%、共産3%で圧倒的に自民だ。

野党の立憲民主、国民民主が不甲斐ないことを考えると「比較的安定している」安倍政権に部があるのか。「他よりマシ」という国民の懸念をどう払しょくするかが野党の課題だ。

同じ朝日新聞の世論調査で参院選でしっかり議論してほしい政策を問うている。

それによると、景気/雇用15%、消費税増税9%、社会保障34%、子育て15%、外交13%そして憲法改正10%だ。

社会保障や子育てが約50%を占めているがいつものことではないか。一向に進展していないことを表しているのでは。

景気、雇用ではアベノミクスの恩恵を感じない人がほとんどだ。厚労省の統計不正で実質賃金もマイナス成長の恐れが出てきた。メデイアが報じる街角インタビューが正確で、安倍総理が掲げる経済指標には疑問符がついたのだ。

消費税増税も景気対策のための軽減税率でばらまき予算となり複雑さが増すばかりだ。

安倍総理が得意(?)とする外交もプーチン大統領に振り回され北方4島返還も2島に絞られてきた。中国との首脳会談ではにこやかに握手していたが一向に改善が見られない。懸念事項を含んだままでの首脳会談だが打開には至っていないのだ。

外交にしろ憲法改正にしろ安倍総理の「前のめり政策」は失政につながっていないか。

2019年1月21日月曜日

ゴーン被告の保釈請求の強気と弱気


第2回目のゴーン被告の保釈請求に対する裁判所の判断が下される前にゴーン被告が保釈に対するコメントを発表した。強気と弱気の入り混じった内容のようだ。

21日の午前中の情報番組が「今、入りましたニュース」とゴーン被告の保釈請求に対するコメントを発表したという。内容は裁判所のすべての条件をのみ、必ず出廷し自分の名誉を回復することを楽しみにしているという。「楽しみにしている」とは異なことを言う。負け惜しみか、見栄を張っているのか、それとも弁護人が「日本の専門家の間でも有罪に持っていくにはハードルが高い」と情報を流しているのか。

裁判所の条件は全部飲むとは弱気か。

日産、三菱ではCEOを解任された。日産では自分の側近で部下だった外人の要職者が解任された。本社ルノーも「推定無罪」の原則でCEO解任を先送りしていたが、今、経営トップの長期不在は経営上問題があるとしてゴーン被告の後任選びに動き出した。

外堀が埋まってきた感じだ。

裁判所の先の保釈請求却下の理由は「罪証隠滅と国外逃亡の恐れ」だった。日本の決められた住居に住むということは国外逃亡の恐れがなくなることか。今まで日本の住居は日産所有の住居だったが、今後はゴーン被告が自ら賃貸マンションなどを契約することか。

しかしゴーン被告の不法行為は海外の知人、家族、子会社も関連している。罪証隠滅の口裏合わせの可能性は否めない。

裁判所も難しい判断を強いられることになるか。

[後記]
このニュースはアメリカでのニュースらしく、今回の保釈請求で日本の裁判所に提出された内容ではないかもしれない。



ゴーン被告の本性?:「コストカット」だけの再建屋か、本質は守銭奴か


経営不振の日産に再建の助っ人としてやってきたのか、本質的には日産を食い物にして個人資産を増やす守銭奴だったのか。高額報酬を隠すための有価証券への過少報告で逮捕された事件に始まりゴーン被告の数々の悪事には驚くばかりだ。

経営再建のため迎え入れたゴーン被告だが、それに対する日産側は負い目もあって取締役会はYESMANで監督機能はなく、権力が集中した。再建中は良かったもののV字回復後は倫理観にかけた守銭奴の本領を発揮し足を踏み外したのか。

2兆円にも及ぶ有利子負債を短期間に返済、5工場の閉鎖と20000人を超えるリストラは人情熱く、柵のある日本の経営者ではできなかっただろう。工場で若者と会話し、部品供給網の整理、不採算車種の整理をする一方で、名車と言われた車種の復活など日産らしい構成に持って行った成果は評価できるだろう。

ことあるごとにテレビで身振り、手振りで主張するゴーン被告の姿に感心させられたものだが、高額報酬の隠ぺい、自己の損失を日産に肩代わりさせて行為、関連国に住宅を購入させ、家族を住まわせる私物化、統合会社を設立し10億円もの報酬を得る業務上横領の疑いなど日産、三菱を食い物にした事件は決して許されるものではない。

監督権限の弱い取締役会、報酬決定権のないガバナンスの欠如した日産の経営をいいことに権力を集中させ、人事、組織を自分のやりたいように動かせたことはゴーン被告にとってはうまみのある日産だったのだろう。

さらに、経営不振で苦しむ三菱自動車にも手を差し伸べルノー、日産、三菱の三社連合で売上高、利益率の向上にも務めた。しかし、現在はルノーも経営不振で、日産の技術、配当なしではやっていけない状況で、ルノーが日産の株43%を持つことから大株主のフランス政府はルノー、日産の経営統合を画策してきた。

これに日産が抵抗している。日産の主体性がなくなる危険があるのだ。当然だろう。しかし、何故43%の議決権を日産はルノーに与えたのか。当時、日本でも日産救済策が出ていたと思うが、それでもルノー案が日産にとっては有利だったのか。

フランス政府もゴーン被告を解任し、新しい体制を構築する動きが出てきたが、ゴーン被告を見限る理由は経営トップの長期不在を上げている。ゴーン被告の不正行為に対しては見て見ぬ振りをしているのか。それとも海外の子会社での出来事でルノー本体での不法行為ではないとみているのか。

先の新聞報道ではゴーン被告の信任が厚く、日産の再建にもかかわった女性副社長が1億円弱の報酬を得ていたことが報道された。ルノー本体にも飛び火が考えられる。

ゴーン被告はいろんな不法行為を冒しているが、その中にはあらかじめ弁護士と相談してやったことも含まれている。この場合のゴーン被告の責任をどうかだ。

会社法でいう取締役の忠実義務に対してはそれなりの配慮を行ったと主張できるのか。相談したのは側近連中である外国人で弁護士資格を持つ要職者だ。日本の法律には疎く、「グレーゾーンもOK」と判断したかもしれない。

でも「日産に実損を与えていない」と無実を主張している案件もあるが、「実損を与える恐れがある場合も犯罪は成立する」のだ。

新聞報道ではガバナンス改善特別委員会が実施されたそうだ。人事、報酬決定権がゴーン被告に集中していたこと、企業の経営者として倫理観にかけること、取締役会の監督機能不全が今回のゴーン被告の不正行為につながっていることが議論されたようだ。

西川さんをはじめ、日産側の経営者の責任も回避できない。司法取引での犯罪事犯ではあるが日産側の責任をどう問うか。

また、国税はどう動いているのか。脱税の疑いが出てくれば新しい展開になる。

海外の優秀な経営者を雇用するとか、国内市場は縮小する中で海外への展開は必要になるだろう。気を付けなければならないのは国内で優遇措置を受け成長した先端企業が経営不振で海外の企業に買収されることだ。当然に不平等な契約になっている可能性もある。

ゴーン被告も「自分はグローバリゼーションの申し子」と言っていたが米国流グローバリゼーションは行きつまった。それに代わって台湾、中国流グローバリゼーションに乗っかっていいのか。

トランプ大統領の「保護主義」は米国流グローバリゼーションの見直しの機会だ。日本も国内需要を喚起する必要があのであれば、グローバリゼーションではなく、日本式経営を取り戻す時期ではないのか。日本にだって優秀な経営者はいるのではないか。

2019年1月20日日曜日

野党よ 民主政治を踏みにじる安倍政権を打倒できないのか


何でこんな民主政治を踏みにじり、「ウソ」を連発する安倍政権を何故、打倒できないのか。野党の不甲斐なさは分かるが、何も衆院選での政権交代だけを望んでいるわけではなかろう。野党が自民党と拮抗する議席の確保、自民党内の政権交代など方法はあるのに何故、出来ないのか。

メデイアの報道では高知新聞の安倍内閣支持率が26%で大手メデイアの世論調査の支持率40%台と大きな違いを示している。農民、漁民、商店経営者、地方の国民は安倍内閣を支持していないのだ。

大手メデイアの世論調査でも「安倍さんは信用できないが、他の内閣よりマシ」という消極的理由で支持をしているようだ。今の安倍内閣が「他の内閣よりマシ」と言うのも驚く。恐らく民主党政権時の事を考えているのだろうが、権力闘争に明け暮れ、「何時解散総選挙か」の政局だけを見るとダメな内閣と思えるが、自民党政権だって同じだ。

朝日新聞(2019.1.19)では「懸念ばかり 政権守勢」で安倍政権の厳しさを指摘している。「野党は結束して追求へ」と言うがその主な論点に「厚生労働省の毎月勤労統計の不正」「外国人労働者受け入れ」「普天間移設問題」「消費税増税」「森友への国有地払い下げ問題」を上げている。

こんな論点で打倒安倍政権の動きになるのか。

民主政治を踏みにじる安倍政権はどうなのか。厚労省の「毎月の勤労統計の不正」はアベノミクスの成果を誇張するために不正行為を強要したのではないか。本当は実質賃金はマイナス成長だった疑いがあるのだ。他にも政権に都合の良い指標を作り出している。

森友問題は民主政治の基本である公文書の改ざん、破棄までやってしまった忖度政治を官僚に強要したことになる。この「モリカケ」問題は日本の憲政史上初めての総理夫妻による大疑獄事件であり、すでに責任を取って「引責辞任すべき立場」にあるが、なぜか総理の座にしがみついている。

辺野古移設問題では大きな嘘をついた。「サンゴ礁は移設した」と言うが沖縄県知事は「嘘」という。自然保護に嘘があっていいのか。思い出すのは朝日新聞がサンゴに落書きしスクープした記事だ。大きな社会問題になったが、安倍総理の「ウソ」は問題ないのか。

また、沖縄県の辺野古移設の是非を問う県民投票も主要5市が投票反対を言い出した。議会で予算がつかないからと言うが、実際は官邸筋からの飴をぶら下げた圧力がかかったのだろう。憲法でいう地方自治に対する重大は違反行為である。

アベノミクスの異次元の金融政策の継続は安倍総理が一人「2%物価目標」にこだわっているからだ。欧米中央銀行が縮小、利上げで金融政策の正常化を目指している一方で、日銀が一人金融緩和継続だ。安倍総理の責任を問うべきではないか。

憲法改正はどうなるんだ。安倍総理は進まぬ国会審議に活を入れようと審議促進を訴えたがなかなか進まない。憲法改正の民意は低いが安倍総理が一人やりたがっている状況だ。でも選挙ともなると争点隠しで自民党は何ら論じない。野党だけが憲法改正反対で負けるケースだ。

そして原発再稼働、原発輸出が大きな曲がり角に来ている。欧州での計画がことごとく破たんしたのだ。安倍総理自ら先頭に立って原発輸出を推進してきたがここにきてとん挫だ。日立は計画破たんで撤退を言うが、経団連会長としては原発輸出促進を訴える。エネルギー計画の見直しが必要なのだ。

得意とする外交も成果は出ていない。北方4島問題もプーチン大統領に振り回されている。「主権」など手放すはずがない。対中では尖閣諸島問題では解決を見ない。安倍総理と習主席が笑顔で握手したが、米中貿易でギクシャクする習主席が安倍総理にすり寄りを見せたのだろうが、実態は変わらない。

ポスト安倍に有力な実力者が控えていれば自民党内で安倍総理更迭の動きが出てくるだろうが、今の自民党ではその人材がいない。

野党と言えば、国民民主と立憲民主とが主導権争いをやっているようだが、今の野党に政権交代など期待できない。まとめる人材もいないし、連合もあてにならない。

来る参院選は政権交代を目指す選挙ではないが、議席数を拮抗させるチャンスでもある。安倍総理に一矢を放す機会ととらえるべきだ。