6月に開催される大阪G20,リーダーなきG20と言われているが議長国日本の安倍総理の力量が問われる。先のアルゼンチンでの首脳会議の結果、リーダーなきG20,トランプ大統領の頑なな「保護主義」堅持で国際協調路線は乱れ共同宣言すら出せなかった。
それ以降、国際関係は複雑さを増す一方で、加盟各国はそれぞれ内政で大きな問題を抱え、一抹の改善もみられていない。人気挽回を目指す安倍総理は議長としてどう対応するのか。安倍総理にしても国内で決して安泰な立場にはない。
日本の国内事情を加盟国の首脳は十分知っての会議参加なのだ。どこまで真剣な討議をリードできるのか。それは各国首脳が安倍総理をどの程度信頼しているかによる。特にトランプ大統領とはどんな関係を築いてきたのか。トランプ大統領の「保護主義」を協調路線に持って行けるかどうか。
新聞報道によると、既に前哨戦が始まっているようだ。G20財務相・中央銀行総裁会議で麻生財務相は「国際経済秩序や国際協調と言った価値が危機に瀕している」と発言、首脳会談を成功裏に終わらせる難しさを披露したか。
アルゼンチンの二の舞をすると、全体会議は進展せず、2国間会談が主になることか。取り敢えずかたちだけでもまとめるには、大国アメリカ、中国に振り回されないことだ。
主要テーマは経済だろう。「貿易摩擦の緩和」、貿易収支、サービス収支など「経済収支の不均衡是正」、インフラ投資の量から質へ、米国や中国の反発が大きいだろうグーグルなど巨大ITへの課税ルール作り(2020年まで)、国際ルール造りでは地球温暖化対策でのCO2排出量削減の「パリ協定」、トランプ大統領は離脱を表明している。
財政危機、財政再建でIMFから緊縮財政を強要されているが、「主権」を問う運動がポピュリズムの台頭になりテロ、デモで国内政治は混乱しているし、移民、難民問題が国内政治を不安定にしている。
EUも安泰ではない。加盟国には離脱を臭わす国もあればイギリスのように離脱は決めたが、離脱協定の合意に至っていない。国民投票のあり方に問題がありそうだ。
G20加盟国、それぞれが抱える問題は何か。
G7(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)+EU,ロシア+11の新興国(中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジ、トルコ、アルゼンチン)の20ヶ国だ。トランプの「保護主義」に果敢に対抗し「自由貿易」をリード(?)する中国は不思議に新興国だ。他にもCO2削減では「発展途上の大国」と途上国枠を維持する。
議長国である日本は問題山積だ。決してリーダーの資格などない。
経済成長率は最低、財政赤字は対GDP3%内に収まらない。国、地方の借金は1090兆円対GDP比245%、中国が255%だ。
異次元の金融緩和も先進国中央銀行が縮小、出口戦略に移行する中でたったⅠ国だけ継続中だ。その理由に物価目標2%の未達を上げている。アベノミクスは破綻で厚労省の勤労統計不正から実質賃金の伸び率に疑惑が出て来た。原発輸出に力を入れていたがことごとく頓挫、トランプ大統領の「保護主義」には反対の姿勢を見せるが会議で調停出来るか。
日本の取り柄と言えば「円が安全資産」とみられているところだが、今後は円高基調で日本経済の足を引っ張るだろう。トランプ大統領は為替操作をけん制している。と言う事はアベノミクスに反対しているのだ。
こんな国内状況で安倍総理がリーダーとして評価されるのか。
アメリカのトランプ大統領も国際会議の場では反乱分子だ。協調路線をことごとく壊している。特に「保護主義」は協調路線に反し、2国間交渉を重用する。大阪G20でも個別会談が主流になるだろう。「ねじれ国会」は民主党を勢いづかせ予算の上限が変更出来ずデフォルトの危険もあるという。難民問題でのメキシコ国境に壁を作ることに拘り民主党の反対に遭っている。
世界の警察権の立場を諦めたのか、シリアからの撤退、NATOや在日米軍の軍事費負担増を要求している。マクロン大統領が欧州独自の軍備構想を打ち上げたためにトランプ大統領の反感を買った。
イギリスは言うまでもなくEU離脱交渉でメイ首相がピンチだ。EUも曖昧な離脱協定には反発している。「合意なき離脱」も現実味を帯びてきたか。
フランスのマクロン大統領もデモ、テロに遭って国内は混乱している。EU改革を訴えていたがどうなるか。
ドイツのメルケル首相も移民、難民問題で国内が混乱、メルケル首相は引退を表明した。国際会議でもトランプ大統領の「保護主義」に翻意を促すために迫っていたが貴重な人材を失うことになる。
イタリアは確か財政再建でIMFやEUの支援を受けたが緊縮財政を強要され国民が反発、「主権」を訴えることになった。
EUは加盟国の「主権」主張で離脱の動きもある。政治的統合は無理があったのか。
ロシアはクリミア半島問題で経済制裁を受け、国内経済は停滞している。トランプ大統領はロシアをG7に戻せと主張する始末だ。
新興国の1つ中国は、新興国、発展途上国と言いながら大国アメリカと張り合っている。「保護主義」に対して「自由貿易」、覇権拡大の一帯一路構想は経済支援が債務問題を起こし、計画が頓挫し、「量より質」が協調されることになった。
アメリカはインド太平洋構想を打ち出し一帯一路に対抗、中国に理解を示した日本に協力支援を要請している。右往左往する安倍総理だ。
それぞれの国が大きな問題を抱え首脳も政権維持が大変だ。他人事でないのが本音だろうが、G20が集まって問題を共有することも大事なのだ。
要はアメリカ、中国の出方次第になるか。注意しなければならないのは先進国のリーダー性が欠け協調にひずみが出てくると中国、ロシアがくさびを打ち込んで、覇権拡大に走る。
国連は本来の調整機能を失っている。常任理事国である中国やロシアが紛争の当事国になっていることも問題解決を複雑にしている。
他国の首脳は日本の安倍総理に何を求めるか。おそらく友好関係にあるトランプ大統領の「保護主義」とどう調和を保っていくか。そこが大阪G20成功のカギを握っている。
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