「統合」か「主権」か、国内では親EU政策反対で右翼、ポピュリズムの台頭で足元が揺らいでいるドイツ・メルケル首相、フランス・マクロン大統領だが、新聞報道によると「アーヘン条約」署名で欧州の結束を目指すという。
両首脳がドイツ西部のアーヘンで会談し連携して欧州の結束強化を目指すアーヘン条約に署名したのだ(朝日新聞2019.1.23)。
確かに今、EUはイギリスが離脱するなど他の国にもその動きはあるらしい。
EU構築の時のことを忘れたが、関税を気にせず、自由に交易できる域内経済圏構想だったと思ったが、政治的には多くの課題も残していたようだ。難民の受け入れ、財政悪化では余裕のある国が厳しい国を助ける事への不満が募っていた。
財政危機でEU,IMFから支援を受けると緊縮財政を強要され、国内経済、国民の生活は停滞しEUなどに対して「主権」を訴えるようになった。一方比較的裕福な国でも右翼政党、ポピュリズムの台頭で国内が不安定になっている。
欧州「統合」の懐疑的動きなのだ。
新聞報道をひろってみると、フランスでは親EU政策をとるマクロン大統領の支持率は23%、一方批判的な国民連合は21%の支持を得ている。「フランスの主権を損なう」との訴えが支持を得ているようだ。
ドイツも新興右翼政党が台頭し欧州議会の廃止を訴え、メルケル首相は難民問題で支持を失い引退するという。
イギリスは例のごとく国民投票の僅差で離脱を決めたが、メイ首相が提案したその離脱に関する協定案が大差で否決され「合意なき離脱」が現実味を帯びてきた。経済は大混乱だろう。メイ首相の首は何とかつながった。
一方で、フランス、ドイツの署名したアーヘン条約では①国際ルールに基づき多国間主義に貢献するという。アメリカトランプ大統領の「保護主義」に真っ向から対立するのだ。②欧州独自の防衛同盟を作るという。トランプ大統領がNATOに対する軍事費の増強を要求してきたことでマクロン大統領は欧州独自の防衛組織を作ると言うと、トランプ大統領は怒り心頭だ。
③ドイツを国連安保利の常任理事国いりを推進するという。④地球温暖化対策の「パリ協定」の推進などが掲げられている。
このほかにマクロン大統領はEU改革を訴えていたが「黄色いベスト運動」などで改革を進める力は削ぐことになったか。
政治的課題を後回しにした欧州統合計画が、ここに来て各国で「主権」問題が持ち上がった。域内の富める国が貧しい国をどう支援していくか。経済支援に伴う緊縮財政強要は国民生活を停滞させる。これが我慢ならないのだろう。
「統合」か、「主権」か。トランプ大統領の「保護主義」は「主権」の主張か。
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