2019年1月26日土曜日

朝日読書欄「民主主義の後退」で考える:安倍総理の「民主主義弱体化」を許すな


朝日新聞(2019.1.26)読書欄「民主主義の後退」で東大教授の宇野さんが「民主主義の死に方」など3冊の本の書評を書いていたのが目に止まった。

民主主義は確かに後退している。欧米の首脳を例に挙げるまでもなく日本の安倍総理の政治手法も間違いなく「民主主義を弱体化」させており許してはいけない。

それによると2019年の話題は「民主主義の後退」だという。世界的に目立つのは独裁的指導者でアメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領、そして中国の習主席の存在だろう。

一方で民主主義を担うべき米国、イギリス、フランスの国々も脆弱化が激しい。大丈夫かと思うぐらいだというのだ。

しかしこういった国だけでなく、一強独裁国家となった安倍政権率いる日本も例外ではない。

民主主義が脆弱化している一方で民主主義を支える規範が欠如しているのだ。何かというと「相互的寛容」と「自制心」がないのだ。

思い出すのは安倍総理が会合で今年の亥の年に因んで「猪突猛進」ではなく、「しなやかな寛容と謙虚な政治」に留意すると言ったことがある。安倍総理自身が「民主主義を弱体化」させていることを意識しているのではないか。

そして民主主義を支える規範の欠如、弱体化は誰がもたらしているのか。誰の責任か。

「民主主義の死に方」の著者であるステイーブン・レビッキー、ダニエル・ジプラットらは、トランプに始まったのではなく、「政党が政治家を選ぶ門番の機能を長期にわたって喪失してきた結果だ」という。

日本でも言えることではないか。自民党は何故、安倍さんを選んだのか。おまけに任期6年を制度改正して9年に延期した。安倍さんは家系としては政治家一家だが、第1次安倍内閣では政権運営がうまく行かず、体調不良もあって政権を放り出した前科がある。

それなのに、民主党から政権を奪取する時の自民党総裁選で安倍さんが前評判に反して総裁の座に返り咲いた。

当時は、安倍さんの他に総裁だった谷垣さんは石原さんが出ると言うことで出馬を見送った。出馬を強行した石原さんは麻生さんから「平成の明智光秀」と揶揄され人気を落とした。そして下野時代にこまめに地方を回り人気を得ていた石破さんが出馬した。

地方議員、党員を含めた予備選挙では石破さんが圧倒的に強かったが、国会議員による本選では安倍さんがひっくり返し総裁に当選した。何故安倍さんだったのか。第1次政権で満足していないお友達、側近連中が安倍さんを担いだのだ。

私利私欲、権力の乱用など思うがままの政権運営を許してしまったのだ。一時はアベノミクスで株高、円安で日本経済も回復したかに見えたが、その後の安倍政権の一強独裁政治が民主主義、民主政治の崩壊をもたらした。

憲政史上まれに見る総理夫妻による疑惑事件「モリカケ」問題では国有地を格安に払い下げ、財務省などによる公文書改ざん、政策の根拠となるデータの不正使用、大義名分のない、ただの野党潰しと思える解散総選挙、憲法の解釈改憲そしてメデイア攻撃と安倍総理の民主政治への挑戦は事欠かない。

意に沿わないテレビなどメデイアの報道には抗議し圧力をかける一方、新聞の首相動静を見ると25日は新聞、通信各社の論説委員との懇談、在京民放各社の解説委員らとの懇談に加えて「赤坂飯店」で会食をしている。

そんな事をしてメデイアは政権を監視できるのかと海外メデイアは批判する。テレビの情報番組に出演した関係者の中には「安倍総理の考えはこうだろう」と解説したり、「会食して話した」と公言する者もいる。そういったコメンテーターの言うことは信じないことにしている。

トランプ大統領のアメリカに限らず、EU離脱で揉めるイギリスメイ首相、難民受け入れで信用を落としたメルケル首相、テロ、デモが相次ぐフランスのマクロン大統領は民主主義に揺らぎ、中国の習主席、ロシアのプーチン大統領は民主主義国の脆弱化を良い事に覇権拡大を狙っている。

要は各国が如何に「主権」を維持するかの問題だろう。トランプ大統領が退き「保護主義」が弱まることで解決出来る問題ではなかろう。

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