2012年4月30日月曜日

消費税増税にのめり込む野田総理に「危うさ」


財務省、藤井税調会長にマインドコントロールされたのか、増税にのめり込む野田総理に「危うさ」を感じる。「不退転の決意」、「政治生命をかける」、「政治の集大成」そしてメーデーでは「何としても実現させる」と、次々に新しいフレーズで決意を表明し、藤井さんには「嘘をつくな ブレるな」と強迫(?)されている野田総理に勝算はあるのか。

メーデーでは、「国力と民力をよみがえらせる第一歩」と社会保障と税の一体改革を位置づけていると言ったが、兎に角、デフレ脱却で円高、株安対策をし、雇用を確保で経済を成長路線に持って行き、税収増を図らなければ国力も民力もよみがえらない。

消費税増税が、こんな経済下で、どう影響を及ぼすか。賛否分かれるところだろうが消費税増税で安定財源を確保できれば将来の負担が軽減され、その安心感から消費は伸びるだろうという政府の目論みとは裏腹に景気は下降するだろう。

でも、消費税増税への布石は着々と進んでいる。日銀白川総裁が先の記者会見で、14年度には経済成長1%は達成できる可能性があるとコメントした。安住財務相は、国会審議で「今の経済情勢下でもGOだ」と言っていたが、「増税ありき」の国会で審議ってもんではなかった。

負担を強いられる若者などの疑問は「必ずもらえるか。損をしないか」だが、先のTBSテレビNEWS23での若者との対話で「年金のもらえない国は、国ではない。消費税増税分は必ず還元されるので損はしない」と通り一遍の返答をしていたが、理解を得ることができたのだろうか。

ドサクサまぎれの「自ら身を削る改革」も国民にとっては満足のいく内容ではない。国家公務員や議員が定数削減、給料カットなど自ら不利な条件を飲むことなど考えられない。飲んだとしても何か裏があり、決して不利にはなっていないはずだ。

IMFOECDからも強く要求されている財政再建、プライマリー・バランスの改善にあたっても10%消費税増税は支持されているが、日本の国家財政の現状、政府債務問題での危機の緊迫性に政府や財務省は、きちんと答えようとせず、消費税増税がなければ、日本もギリシャのようになると強迫する。

野田総理も財務大臣経験者として、国債下落、長期金利の上昇、国際経済への限りない影響だけは避けたいのだろう。谷垣さん、藤井さん、菅さんなど増税派は皆財務大臣経験者だ。

安定財源を目指す消費税増税でも、これで満足のいくものではない。経済成長で増税に持って行かなければ切りがない。

ところが、政府と日銀は財政政策、金融政策でお互いに責任のなすりあいをしている。日銀白川総裁は「量的緩和に過剰に頼ることは危険だ」と警告する。一方の政府は財政政策、規制緩和に手詰まり状態で、日銀の金融政策に過大な期待を寄せる。政治的圧力に屈する形で日銀は渋々量的緩和に踏み込んでいる状態だが、日銀券発行量以下というルールが日銀にはあるようだが、今それに迫っている状態だ。

野田総理が増税にのめり込めばのめり込むほど、背景にある国家財政の現状の説明不足、経済成長路線への取り組みの不明瞭さが目に付く。

このままいけば、小泉内閣の郵政民営化の二の舞にならないか。

森さんをして「小泉総理は殺されてもいいと言っている」と発言させ、小泉さんの悲壮感と並々ならぬ取り組みへの決意を表明させたが、その後の郵政民営化がどうなったか、今の郵政民営化改正がどうなったか。当時の国民が描いた期待通りになっているのか。

為政者の演出に騙されてはいけない。

野田総理がのめり込めばのめり込むほど、「危うさ」が目立ってくる。

2012年4月29日日曜日

政権交代の原点に:小沢発言掲載で政局を煽るのか


28日、小沢さんが栃木県真岡市での会合で政権を痛烈に批判したテレビ報道を見て、29日図書館で各新聞を読んでみた。あれほど検察情報を垂れ流しし顰蹙を買った新聞が、今度は小沢さんの無罪判決を受け、小沢さんの発言を掲載することにより主導権争いの政局に加担しているのではないか。

新聞が報じている小沢さんの発言の要旨は次の通りだ。

朝日新聞によると政権交代の初心を内閣が忘れていると野田政権を批判し、民主党の問題点は「政権を本当に担った経験が全くないということだった。政権運営、政治家の行動の基礎的訓練が欠けていたというのだ。

野党時代に小沢さんが民主党代表の時、自民党との大連立の話が党内の反対でダメになり、責任を取って代表を辞任しようとしたとき、「民主党は、まだ政権を担当する能力はない」とコメントしていたが、政権交代でその通りになったか。

しかし、政権運営では鳩山政権時、権力の2重構造を形成し、政府の政策を国民の民意だと言って強引に変更させ政府の求心力を削いだのは小沢さんだったし、「政治とカネ」の問題、説明不足のまま突如政策を打ち出したり、雲隠れして裏工作をするなど政治に不透明さを醸し出すなど政治家の行動の基礎的訓練が欠如しているのも小沢さん自身ではなかったのか。

毎日新聞によると、「政権批判と復権意欲」というタイトルで小沢さんの発言を掲載し、「論説室から」では、「小沢元代表は「再稼働」するか」で、読めば読むほど小沢元代表にとっては厳しい判決とし、「脱小沢」の流れは「脱原発」以上に強いという。

「数は力」「政治は闘争」といって憚らない小沢元代表の主導権争い、政局好みには国民は飽き飽きしている。小沢さん抜きの政治に早く移ってほしいと思う。

東京新聞は「首相に国民失望」、日本経済新聞は「小沢元代表が政権批判」「原点忘れている」のタイトルで小沢さんは政権運営を厳しく批判したという。

産経新聞では「政権は原点に返れ」と、期待が大きかっただけ今、民主党政権に国民の失望、批判が向けられていると批判した。2年半前の総選挙で国民に訴えたのはなんだったか。我々の内閣、政府はややもすればなおざりにして忘れてしまっている。原点に返り、初心を思い起こして政治に取り組んでいかなければならないと述べ、消費税増税関連法案への反対を強くにじませたという。

2009年の政権交代時のマニフェストは、小沢さんが代表の時に作った。当然実現には財源の問題が出てきたが、「何とかなる」の決断で決まったらしい。それだけ、マニフェストの遵守は、小沢さんにとっては政治生命にもつながる問題なのだ。

しかし、どうして消費税増税反対になったのだ。細川政権時、財務省と組んで唐突に福祉税構想を打ち出し政権崩壊の引き金となった経緯がある。以前は消費税賛成だったはずだ。またまた、反対による主導権争いの始まりなのか。

ところが今回の発言の舞台が山岡賢次副代表関係の会合だったようだ。山岡さんというと国家公安委員長時代に問責決議を受けたし、マルチ商法に絡んで執拗に国会で質問を受けていた。イメージの悪い山岡議員に、判決では無罪だったが内容は限りなくクロに近く、野党からは証人喚問を要求されているイメージの悪い小沢さんの組み合わせだった。

こんなシーンを見るにつけ民主党のイメージは悪くなっていかないか。

メデイアは、消費税増税を煽りながら、消費税増税に反対する小沢元代表の発言を一斉に取り上げたが、その魂胆は何なのか。これから新しく展開しようとしている政局を煽っているのか。

2012年4月28日土曜日

日本を経済成長に導くのは、政府か、日銀か、企業家か、それとも主婦か


14年度にも1% 日銀総裁
2012.4.28 読売新聞

日本経済を成長路線に持って行くのは、政府か、日銀か、企業家か、それとも主婦か。先進国で唯一長期のデフレに苦しんでいるが、その脱却→経済成長は最重要課題であるが、一向にその兆しが見えない。

インフレターゲットの設定が必要だとか、緩和政策が必要だと政府からせっつかれてのインフレ目安1%、国債買取上限を70兆円にする金融緩和政策を取っているが、27日の円相場は38銭高、株価も一時上昇したが、終値は前日40.94円安だった。

日銀白川総裁は、記者会見で「物価上昇は14年度にも1%達成ができる」可能性を示唆した。何やら消費税増税の時の経済条件にも合いそうな状況であるが、後2年もかかるし、そんなことで日本経済はやっていけるのか。

政府は、復興需要で景気は上昇すると期待しているようだが、大方の見方は増税となると先行買い、増税後の買い控えで経済はマイナス成長と見ている。

経済成長へしっかり取り組まなければならないのは政府か、日銀か、それとも企業家か、家計を支配する主婦か。

気になるのは、日銀と政府の考えに溝があることだ。

政府は、財政政策、構造改革、規制緩和などを積極的に推進する必要があるが、手詰まり状態で必然的に日銀に更なる量的緩和の圧力を強いている。国会の予算委員会の審議でも量的緩和を求める質問が多い。最近は日銀法の改正の動きもあるし、日銀審議委員の人事でも国会の承認が得られていない。

27日の5兆円の追加緩和は圧力に屈したものだが、市場は織り込み済みで効果は限定的だ。
日米欧で金融緩和続く
週刊東洋経済
2012.3.24

更なる量的緩和にも日銀は腰が重い。

国会予算委員会での量的緩和要求に、日銀は「マネタリーバランスで対GDPでいうと日本は16%、米国は12%で欧米の中央銀行最高水準にあり、決して少ないわけではないと従来からの見解を繰り返している。

確かにそういう見方もできるが、2008年9月を100としたマネタリーベースで考えるとFRBECBはリーマンショック後、急激な増加を示しているが、日銀は緩慢な増加だ。

日銀の努力が足りないと批判するエコノミストが、よく使うデータだ。それぞれが都合の良いデータで主張し合っていても埒が明かない。これだけデフレに苦しめられていることを考えると、日銀が間違っているとしか思えない。

通貨の過剰供給を警戒する白川総裁
2012.4.27 東京テレビ・WBS
日銀白川総裁は、18日、21日のニューヨーク、ワシントンでの講演で金融緩和の過剰な期待にけん制し、政府に財政政策、構造改革を急げと要求している。先進国一の量的緩和でもデフレから脱却できず、成長率は徐々に低下していることを危惧している。そして中央銀行の膨大な通貨供給の結果、コントロールできないインフレレを招く危険もあるというのだ(読売新聞2012.4.20)。

企業家だって、イノベーションと売れる商品の開発に力をいれる必要がある。国内での産業を育成し、雇用の拡大が急務だ。若年労働者の就職難は将来必ずツケとして企業に跳ね返ってくる。

個人消費はどうなんだ。経済指標が発表されるがよくわからない。言えることは財政不安→支出抑制→景気停滞のパターンだ。就職難、労働時間の厳しさ、家計収入の伸び悩みは景気にも大きく影響している。財政再建→将来への負担減、安心→経済成長が政府の描く成長路線でもあるが、政府の信用が落ちているようでは如何ともしがたい。

ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授は、「FRBはおじけずインフレに持って行け」と言う。過剰債務→民間セクターの支出削減→景気停滞を起こしているので、緩やかなインフレ→債務価値の削減→投資の刺激となり景気は上昇するという(朝日新聞2012.4.12 クルーグマンコラム)。

我が国でも言えることだ。思い切ったインフレに持って行くべきだと思うが、インフレは長期金利を大幅に増し多額の国債を保有する金融機関の危機にもつながるとの考えもある。
通貨量を増しインフレに持って行く脱デフレは円高/株安の対策にもなるのだが。

民主党政権、日銀は難しい経済運営を担うことになる。消費税増税の景気に与える影響などしっかりした考えを国民に示していない。将来の不安を払拭できる政策説明が必要だ

小沢元代表グループは離党、新党結成し、国民に信を問え


多数党の寄り合い所帯の民主党は
分裂するのが一番よいのではないか

小沢元代表が「無罪」を勝ち取り、晴れて民主党に帰ってきたという感じだ(勿論党員資格停止処分の問題はあるが)。しかし、消費税増税事前審査でも見られた民主党内のゴタゴタは、政権党内だからこそ政治機能不全と見られ、もう飽き飽きだ。小沢元代表は志を同じくする議員を連れて民主党を離党し、新党結成して国民の信を問うべきだ。

小沢グループは、「無罪」を勝ち取った(?)ことで、反転攻勢に向け気勢を上げ、「消費増税反対」で野田政権を揺さぶり主導権の奪取を目論んでいるという。あの判決の夜の小沢グループの議員の涙ぐみコメントする姿に異様さを感じた。

消費税増税に突き進む野田政権の倒閣を宣言したのが最大派閥の小沢グループだから消費税増税が今後どうなるのか混とんとしてきた感じだ。野田総理は「すでに党内で決まったことなので、最終的には理解いただけると思う」とコメントしているが本当にそうなのか。

何やかや批判も大きいが、小沢さんの言う「国民に約束したことは守れ」、「政権交代の原点に帰れ」、「仕組みから見直せ」は真っ当な主張なのだが、残念ながら政策が見えてこない。小沢さんが党員資格停止、重要役職に付いていないためなのか。

しかし、今の民主党政権の政権運営は自民党政権に似てきた。否、みんなの党の渡辺さんが党首討論で「出来損ないの自民党政権」と揶揄したのも強ち見当はずれでもない。

焦点になっている消費税増税への協議参加要請も野党から「まず党内を統一して来い」と言われていたし、自民党は協議に参加する条件に「小沢切り」を要求していた。

日本の政治はいつまで親小沢vs反小沢の構図なのか。小沢さんが野党の立場であれ、与党の立場であれ常に親小沢vs反小沢で政局が動いてきたが、今は小沢嫌気だ。新党構想も小沢さんが参加することでダーティー感が出てきてイメージが悪い。

また抗争を繰り返すのであれば世界の笑いものだ。世界は「何故、小沢バッシングなのか」といい、改革派で強力な力を発揮する政治家とみているようだが、「政治とカネ」の問題に国民はうんざりしており、金権政治の撲滅を期待しているのだ。

民主党はマニフェスト見直し派と遵守派に分裂し、どちらかが離党し、新党結成に動いたらどうか。小沢さんは、以前「マニフェスト遵守が本流だ。出ていくのであれば見直した連中だ」といったことがあるが、小沢さんグループが出ていくのがいいのではないか。
50人か、70人いや100人とも言われる志を同じくする者を引き連れての離党、新党結成だ。

そして、国民に信を問うべきだ。

そうすれば小沢元代表が、どう支持されているかがわかるだろう。1年生議員が多く選挙に不利だと言われているが、小沢さんが支持されているのであれば、小沢グループであることを売りにし、小沢さんならこうできると公約すれば問題ないのではないか。

民主党支持者でも小沢さんに対する味方が違ってきているのではないか。そこをはっきりさせるべきだ。民主党政策に共感する部分があるとすれば、そこは政策ごとに是非を論ずればいいことだ。

今の民主党は保守から革新まで入り混じった政策上はっきりしない政党で綱領もこれからという政党だ。今のままでは混乱は避けられない。

小沢元代表とそのグループは離党、新党結成で国民の信を問うべきだ。小沢さんの参加する大連立構想は可能性がないだろうが、100人とも言われる勢力はキャスチングボードを握れる勢力であることに違いはない。

2012年4月27日金曜日

小沢元代表無罪:「有罪」判決する勇気がなかったのでは


小沢元代表無罪を報じる
2012.4.26 読売新聞
夕刊

なかなか理解に苦しむ判決だ。記者会見で指定弁護人「判決を聞いているうちは有罪かなと思ったほどだが、どうしてこれが無罪なのか」と首を傾げていたが、裁判官に「有罪」という勇気がなかったのだろう。

新聞夕刊で無罪判決要旨を読んでみた。

一番肝心の収支報告書の虚偽記入について、裁判所は「共謀共同正犯が成立するという指定弁護士の主張に相応の根拠があるというが、契約の履行過程に関心がないということはあり得る。土地公表を先送りする方針は小沢元代表への報告と了承を経たものだが、先送りの実行過程には関心がないということもあり得る」と判断している。

何故ここで「関心がない」と推認できるのか。小沢さんは公判で「関心は天下国家、他のことは関心がない」と言う意味のこと言ったことがあるが、このことから推認しているのか。

判例によると、共謀共同正犯とは2人以上の者が共謀のうえ、その中の1人に実行させたとき、全員が共同正犯になるという。共同正犯の認識があることが必要で、単に他人の犯行を認識しているだけではダメなのだ。

第一検察審査会の不起訴不当議決
2011.9.22
これで小沢さんは共同正犯の認識がなかったというのか。

池田被告が処理の仕方を説明した時に、小沢元代表は「ああ そうか」と言って了承したというが、説明は簡単なやり取りで小沢元代表は聞き流し、問題点を認識しなかったと考える余地があると裁判所は判断している。

しかし、一般社会通念上は可笑しいのではないか。4億円、土地購入、政治資金報告書への先送り記載(虚偽記載)について、小沢さんともあろう政治家が問題点を認識していなかったとは思えない。

この点、十分立証されていないという。供述証拠がないし、「そうか そうしてくれ」の会話もなかったのか。

4億円の簿外処理について、メデイアから取材や批判をされ、小沢元代表が政治的に不利益を被る可能性を避けるためだったと裁判所は認めている。だとすると、小沢元代表と秘書の間でその辺の話はしている可能性があると裁判所は認めないのか。

先の小沢元代表の秘書の判決では、裁判所は各所で「推認される」を連発し有罪を下した。

でも、今回の小沢元代表の判決では、「認識していなかった」と無罪を下した。「知らなかった」、「秘書に任せていた」が責任回避に役立つ法廷闘争だったのかと考えると、小沢元代表の「政治とカネ」の疑惑は何ら解明されていない。

野党がこぞって「国会で説明を」と証人喚問を求めていくという。一体今までがなんだったのか。小沢元代表には、政党の結党、解党を繰り返し政党交付金などの処理で疑惑が残っている。疑惑に説明してからの新たな政治活動ではないのか。

2012年4月26日木曜日

小沢元代表陸山会事件第1審「無罪」判決:その期待と不安


小沢元代表の政治資金収支報告書虚偽記載事件の第1審判決は「無罪」だったが、期待と不安の入り混じった複雑な心境だ。「私なら有罪とするだろう」と思っていただけにその意外感が大きい。専門家の間でも「勇気ある裁判官なら有罪」という意見もあったので、勇気のない裁判官の審判だったのか。

そもそも政治資金規正法の虚偽記載という、所謂形式事犯で修正報告すれば済んでいた事案が、東京地裁の大法廷で3人の裁判官による審判となったことに大物政治家の政界における影響の大きさをうかがい知ることができる。

2004年の収支報告書に4億円の収入、土地購入の支払いを記載せず、2005年に3.5憶円の土地購入を記載した秘書による虚偽記載と小沢さんとの共謀が争われた。当初4億円は裏献金の疑いがもたれていたが、検察は証拠不十分で不起訴処分にした。しかし、納得のいかない市民団体が検察審査会に訴え、2度にわたる起訴相当議決で、強制起訴になった異例の事案である。

小沢さんのこの虚偽記載を知っていたかどうかの共謀の有無とともに、検察の不起訴処分、検察審査会の強制起訴の是非も合わせて問われた。

そんな重要な事案でありながら、証拠の大半は却下され、おまけに検察捜査の問題点が大きくクローズアップされ、裁判所の検査に対する不信が最高潮に達した時でもあった。

更に、国民が付託した国会議員が、公明正大な政治活動をやっているかどうかを国民が容易に監視できる制度として政治資金収支報告書があるが、「今の今まで1度も見たことがない」、作成についても「秘書に任せていた」、「知らない」が押し通せるものかと思っていたが、一般の刑事事犯と同じように「知らなかった」が通用する法廷闘争に失望する。

そのうちに裁判官の判断の詳細が報道されるだろうからよく検討したいと思っている。

しかし、この「無罪」審判に期待と不安が入り混じる。

期待する面は、これを機会に本当に小沢さんが変わることだ。消費税増税に向け、国民のだれもが「もっとその前にやることがあるだろう」と思っているはずだが、野田総理が増税を推進したいあまり、反対論者の指摘をとりこんで中途半端な改革になっている。小沢さんなら官僚に屈さず強引に仕組みを変えてくれるだろうという期待はある。
「あの政権交代は何だったのか」は、国民の政治不信を掻き立てているのだ。

一方、不安も大きい。政局には必ず小沢さんの存在があり、常に親小沢、反小沢の構図で考えられた。「数は力なり」「政治は闘争」が小沢さんの 本音だ。いつも主導権争いの真っただ中にいる。

これでは小沢さんの言う「安定政権」など構築できるはずがない。政局を小沢さんに頼ることの不安は、いままでの政治がよく物語っている。

混沌とする政界にあって大義、政策を一にする政治家がガラガラポンで烏合集散し、再構築していくのに小沢さんが役立てば、それも期待になるだろうが、表舞台で政治をかき回すことだけはやめてほしい。

すでに過去の政治家として、小沢さんに頼らぬ政治をやってほしいものだ。裁判では勝ったが、政治的にはすでに負けているのだ。

2012年4月25日水曜日

大飯原発再稼動問題:正論を吐く橋下さん、説明に窮する官房長官


政治家が安全宣言をすることは絶対
可笑しいと主張する橋下さん
2012.4.24 TBSテレビ
NEWS23

安全軽視も一因だった福島第一原発の事故を反省に、原発の再稼働が大きな社会問題になっている今、大飯原発再稼働問題で多いに正論を吐く橋下さんと、一方で説明に窮する藤村官房長官のテレビに映る姿に、上昇機運の地域政党「維新の会」と下降気味の民主党政権を見ることができないか。

橋下さんは「専門家でない政治家が安全性を判断していいのか」と、一貫して正論を吐き、さらに「国家運営の重大な危機」とまで言及する。

一方の藤村官房長官は記者会見のニュースで、「何も政治家が安全を宣言しているわけではない。それぞれの専門家によって判断されている」と弁明に必死だ。「総合的に判断するのが、4大臣会合だ」と橋下さんの主張を短絡的と評した。

24日の橋下さん、松井さんと官房長官の会談でどんな話し合いがあったのかわからないが、それでも橋下さんが同じ主張をしているのであれば、数次に開催された関連閣僚会合に問題があったのではないかと疑いが出る。

政治家が安全を宣言しているわけでは
ないとコメントする藤村官房長官
2012.4.25 フジテレビ スピーク
3日の第1回会合からの新聞報道をもう一度めくってみた。

第1回会合では、福島第一原発事故分析から新しい安全基準を作成し、その基準が適正と判断され、大飯原発がクリアーできれば再稼働を要請するということが決まったらしい。

5日の第2回会合で、新しい判断基準が大筋で了承されたというが、2日の短時間でそんな重要な基準が決まるのか不思議で問題だ。関係部門と十分に議論されていないものではないのか。

6日の第3回会合で、判断基準を最終決定。安全基準、安全性向上計画を審査したらしい。

9日の第4回会合で、「我々が決定した判断基準に適合」とし、安全性が概ね確認されたが、まだ最終判断ではないらしい。

13日の第6回会合で、「大飯原発の安全性を最終的に確認」し、地元自治体に再稼働の要請を決定。

14日に、枝野大臣が福井県知事に要請した。
しかし、この間先送りの連続だった。どんな問題がどうだったので先送りになっているのか疑問だった。そしてどんな資料を見ているのか、橋下さんの言う専門家がどう判断しているのか。

藤村官房長官が専門家の判断を得ているというのであれば、どの委員会(通常考えるのは原子力安全委員会)がどういう判断を示したのか。この10日間の報道を見てもその気配さえ感じられない。

原子力安全委員会は仕事をしていると官房長官は言うが、原子力安全委員会は原子力安全・保安院の仕事を監視・確認する仕事で、直接安全性に言及する組織ではないと斑目委員長が記者会見で発言していたのを思い出す。

そうすると、やっぱり規制庁のような組織が必要になるが、未だ設立されていない。

福島第一原発事故の反省に立って新しい安全基準を作る話も、まだ福島原発事故の報告書も出ていないのではないか。ではあの安全基準はなんだったのか。

電力需給の問題も国民の生活、安全を第一にする政府にとっては最優先課題だろう。今までの発表では根拠こそはっきりしないが、電力不足が想定されている。万一の時はその批判の矛先が政府に来ることはわかっているのだから、政府は電力不足を回避するために原発を再稼働させたいのだろう。

藤村官房長官は、専門家の判断を得て「手続き」を進めているともいうが、その手続きの中に情報の開示がどうなっているのか。国民に明らかにして問題の収拾を図るべきではないのか。

2012年4月24日火曜日

野田総理 TBSテレビ・NEWS23クロスで若者と対話


TBSテレビ NEWS23クロスの
若者との対話番組に出席の野田
総理
2012.4.23

「橋下さんや小沢さんの存在が気にならないことはない」と正直に白状した野田総理がTBSテレビ・ニュース23で35歳以下の若者たちと今抱えている政治課題で対話した。これから負担を強いる若者との対話は野田総理の望ところなのだが、本当に対話ができたのか。

夜も遅い放送だったので、チョッと聞いてみた。

「国民へのアピールが足らないのではないか、」との質問に、野田総理は「国民の理解が進むかどうかがポイントになる。対話集会を丁寧にやる」と答え、「もっと学生のフィールドに入っていかなければ」との発言にも「いいこと言うね」と返していた。

社会保障の一体改革で「ついていない世代」があるが、格差は是正されるのか。年金はもらえるのか。もらえなければ支払う必要はないのではといういつも聞く疑問が呈されていた。

野田総理は、年金がもらえないような国は国ではない。年金は必ずもらえるようにする。60%の人が年金だけで生活しているので、すべての世代が支えるようにするには、消費税増税だという。

「消費税増税には反対だが、損しないように「ぜいたく品」だけ上げるようなことができないか」との質問に、「引き上げられた消費税は社会保障に使う。還元されるのだから損はしない」。

複数税率の方法もあるし、軽減税率は論点になるだろう。野党から提案があれば検討すると前向きな発言をしたが、今までは手続きが煩雑になると懸念を示していたことだ。

「最終的に何%か」の質問に「2020年までにプライマリー・バランスが黒字になるよう、歳出、歳入の手段を2015年に議論するという。これについては10%では足らないというのはわかっていること。一度政権が言及したことがあるが、批判があるために引っ込めた経緯がある。社会保障と税の一体改革の全体像が見えてこない。

若者の就職難が社会問題になっているが、「国家公務員の56%減で、どうして新規採用を削ったのか」と聞かれ、野田総理は若い人だけに負担がかからないように公務員も7.8%(2年間)カットし、ベテランの改革もやる。新卒、中途採用が難しくなっている対策を6月にまとめるという。国家公務員の削減については、新規採用をし、ベテランを削減しなければ人件費の削減にはならないという意見が多い。民間企業だって、まず高齢者からの退職で人件費を削っているのが常識だ。公務員は法律で過剰に保護されているので、そううまくはいかないのだろう。まずは過剰な保護を切ることだ。

「身を切る覚悟があるのか」という質問も出た。総理は、「まず隗より始めよ」だと言い、国会議員の定数削減、一票の格差問題、歳費の270万円(年間)カットを挙げた。

これにはいろいろ意見があるだろう。国会議員1人年間1.2億円もかかっている。そして国会議員の資質に欠ける議員もいる。定員の大幅な削減、更なる歳費、手当類のカットが要求されるところだ。

民主党は野党時代、自民党の政権たらい回しを厳しく批判していたが、民主党政権になって3度のたらい回しだ。「政治は何を変わるのか」と民主党政権で何が変わったのかと質問を受けた。

野田総理は、自民党政権時よりも地方交付金を上げている。小泉政権時、社会保障費を年に1200億円削っていたが、民主党政権は削っていない。

2閣僚の問責に対しては、辞めなければならないこととは別だという。一体改革を担当する大臣ではないし、大臣は国会に出て発言する権利がある。不安に思うことはないし、緊張感を持って答弁すればいいと擁護をぶった。

交代させれば自分に対する求心力が落ちることを心配しての可笑しげな論理である。前田国土交通相は国会議員には有るまじき公職選挙法違反の疑惑であり、田中防衛大臣に至っては大臣の資質に欠ける恥さらしの存在だ。政局になると考えていては問題をはぐらかすことになる。

「政治は茶番、若者が政治に興味を持つか」と厳しい質問が飛んだ。野田総理は、関心を持って投票権を行使してほしいと訴えた。更に「橋下さんをどう思うか」と聞かれ、物事を打ち出し、自己決定する。先送りせず、決められることが大切だと評価した。

一体改革でも、すでに民主党では決まったことであるが、どうして守らないのかという意見が民主党全国大会でも出ていると言い、決まったことなのだから反対するのはおかしいと反対派をけん制した。

「その小沢さんとどうして組まないのか」との質問に、野田総理は存在感の大きい人で、一体改革に反対しているが、すでに党で決まったこと。最終的には理解してもらえると従来の考えを繰り返した。

意見交換は小沢さんに限らず、誰とでも話し理解してもらう努力をするらしい。

通り一遍の対話で、新しいことは何もなかった。これで若者が理解したとは思えない。

若者の政治への参加は長年の重要な課題であるが、今のところ投票しかない。NHKの国会中継などを見ることにより、自分で考える必要がある。

2012年4月23日月曜日

何故だ! 野田総理は解散を嫌い、谷垣総裁は審議拒否


民主党本部

何故、野田総理は解散を嫌い、谷垣総裁は審議拒否するのか。消費税増税が審議入りできるかどうかに加えて、2閣僚の問責決議で政権と野党・自民党で「駆け引き」が始まった政治はどうにもわかりにくい。2人はいったい何を守ろう(得よう)としているのか。

民主党内は最大派閥が反対に動き、選挙に弱い1年生議員は内心は増税反対、一方の自民党は消費税増税10%を公約に掲げた手前、党内では賛成すべきだという動きもある。2人の消費税増税論者が党内の反対派と闘い、片や党内の賛成派と闘う構図だ。

それに田中防衛相、前田国土交通相の問責決議の後の国会審議の在り方で野党が割れている。

おまけに9月には、2人とも、代表選、総裁選を控え、続投か退任かの瀬戸際に立っている。一歩の譲歩が命取りになりかねない微妙な立場なのだ。

自民党本部
当然に野田総理は、消費税増税法案成立、2閣僚は続投を主張し、谷垣総裁は2閣僚の交代、解散・総選挙を主張している。

どうして野田総理は解散・総選挙ができないのか。法案成立前に国民に信を問うのが民主主義の常道だし、突如菅政権の時に言い出したが、追及されている「4年間は増税しないというマニフェスト違反」もクリアーできるのではないか。

どうして谷垣総裁は増税審議に加わり成立を目指せないのか。自民党も消費税増税10%を公約しているのだから、今民主党政権で成立させた方が政権奪取後のことを考えると楽なんではないかと普通なら考える。

でも基本的には、マニフェスト違反は政権基盤を根底から崩すことで、あの政権交代は間違いだったことを示すことにあると思う。更には200人近い前回選挙の落選者の復帰念願も強いし、政治資金も枯渇気味ではないか。政権党のうま味を知り尽くした自民党にとっては、野党生活には耐えられない屈辱感があるだろう。

万一、今国会での消費税増税法案が未成立になったらどうなるか。予算編成の難しい問題は起こるだろうが、もともと消費税は任期中は上げないと言っていたのだから不成立になればメンツの問題だけだ。

後、選挙になれば議席数は減らし政権党からは下野することになる。当然分裂の可能性もある。多数党からなる民主党が2大政党として政権交代可能な政党であり続けるには無理がないか。

消費税増税は二の次で、選挙で議席を確保でき「政権」にあたれるかどうかがポイントではないのか。それとも野田総理は次の選挙で惨敗し政権から下野することを覚悟しているのか。

捨て身で強行する姿に民主主義政治は映るか。小泉政権での捨て身の郵政民営化が今どうなっているのかを考えてみよ。

2012年4月22日日曜日

次々に高さを増す津波予想:「正しく怖がる」ために説明を


最大10m以上の津波が予想
れる11都県 高知県黒潮町
で34.4m
読売新聞012.4.1

次々に高さを増し発表される津波予想が続くが、「正しく怖がる」ためには詳しい説明がほしい。4月1日に南海トラフ地震で、これまでの予想を大幅に上回る津波が襲ってくることが分かり、高知県黒潮町では34.4mで町の存続にかかわる事態になったが、4月21日には北海道十勝港でさらに高い35.1mの津波の予想が発表された。

首都圏では、関東地震(M8.2)では、震度6強の地域がひろがり、品川区では最大津波高さを2.61mと予想された。

北海道防災会議は、北海道太平洋沖地震で震源域を三陸沖北部から根室沖と想定し、規模を従来のM8.6からM9.1に引き上げた結果、津波高さは22mから35.1mに上がった。根拠に過去の津波堆積物などの調査があるらしい(読売新聞 2012.4.21)。

東日本大震災以降、数百年~1000年に一度しか起きない最悪の場合を想定する動きが主流になり、思い切った予想になったのだろう。では今まで、過去の堆積物の調査などの結果をどう見ていたのか。恐らく、「起こりえない」想定外の規模と考えたのだろう。

北海道で10mを超える津波想定
十勝港で35.1m
読売新聞 2012.4.21
南海トラフも、東海、東南海、南海地震も最初は単独発生が考えられていたが、いろんな調査からもっと規模の大きい地震、津波だったことがわかりだし、3連動から震源域の拡大、更には日向灘自身も加えた4連動を言い出す学者も出てきた。

内閣府の検討で34.4mの予想が出たのが高知県黒潮町、海抜4mのところに8mの津波避難タワーを3000万円で作ったが、これでは役に立たない。「すべて一からやり直しだ」という(プレイボーイ 2012.4.23)。

1946年の昭和南海地震の体験談で「激しい縦揺れがずっと続いた。とても立ってはいられなく怖かったが、津波は堤防の一部が決壊したぐらい」(同上)というが、3連動、4連動ではそうはいかないだろう。

品川で最大津波 2.61m
読売新聞 2012.4.19
東京都が発表した震度想定分布によると、関東地震(M8.2)では品川区で最大津波2.61mだ(読売新聞 2012.4.19)。

品川区では津波対策に備えて河川沿いに海抜表示板の設置を始めた。最初に品川区民公園の入り口に設置したと言うので、22日見に行った。
「ここは海抜2.2m」の表示板が建ててある。京浜急行大森海岸駅で降り、「しながわ水族館」入り口を過ぎ、旧東海道を品川の方に歩くと「しながわ区民公園」の入り口に表示板がある。勝島南運河、京浜運河を経て東京湾につながっている。万一2.6mの津波が押し寄せても、公園内には小高い丘上の造築物もあるし、近くには高層のビルが乱立しており、避難には問題なさそうだが、区民公園や大井競馬場が避難所に指定されていた。津波を伴う地震での避難所では、チョッと心配になる。

品川区「しながわ区民公園」に
建つ海抜2.2mの表示板
それにしても3,11までは「想定外」と思われていた巨大な地震、津波の予想が続いている。

2度と「想定外」を起こしてはいけないという地震学者の考えだろうが、目いっぱい最悪の場合を想定するとは、何か「責任逃れ」のような感じもするが。

要は、我々国民が、これらの予想を「正しく判断し怖がる」ためには、その結論に至った経過、条件をしっかり公表すべきである

2012年4月21日土曜日

内閣支持率下落:「正しく理解する」ためには情報不足?


野田内閣支持率が30%を切る
2012.4.12 読売新聞

内閣支持率の下落が続く。野田総理は「丁寧な説明」を口癖にしているが、理解するにはわからないことが多すぎないか。読売新聞(2012.4.10)の世論調査で内閣支持率は28%で、前回は下落に歯止めがかかったと思ったが30%を切り、不支持率は59%に。消費税増税に対する民主党内の混乱が大きく響いている。消費税の必要性は55%の人が認めているが、民主党の消費税増税法案には57%が反対している。

国家財政の実態がよくわからない。政府、財務省は政府債務が1000兆円になり、対GDP比200%で先進国一悪い。プライマリー・バランス改善には、財政再建が必要で安定税収減には消費税増税しかないという。更に市場の信頼を失うと国債下落、長期金利の上昇という最悪の事態も考えられるという。

でも、逆に資産もあり純債務は対GDP比70%では、言われているほどの危機への緊迫度ではないという在野のエコノミストの解析もある。

国会審議でもよく聞かれる「今の経済状況下での増税は景気を悪化させるのではないか」、「増税は税収につながらないのではないか」との考えに、野田政権は答えられない。

今巷で言われていることは、国家財政の本当の姿を隠し、政府や財務省はメデイアや国民をミスリーデイングしているという。

増税だけでは財政再建は覚束ないことは誰でもわかる。デフレ下で経済を成長路線に導くには脱デフレ政策が必要である。政府の財政政策には期待出来るものがなく、日銀の金融政策、更なる量的緩和を要求している。2月のインフレタ-ゲット、10兆円の追加に効果があったのか、円安、株高に転じた。市場がリスク・オフからリスク・オンに転じたと日銀も見ていた。

ところが、今は円高、株安傾向になってきた。日銀の政策もさることながら、欧州危機、米国経済に影響される要素が大きい。

肝心な日銀と政府に思惑の違いがあるようだ。政府、国会は日銀法を改正してでも政府がインフレターゲットを設定し、日銀が責任を持って政策を進める。日銀に責任を持たす必要性を主張している。

一方の日本銀行の白川総裁は18日、ニューヨーク市内で講演し、「中央銀行の役割を過大評価することも過小評価することも、ともに危険だ」と述べ、日銀の金融緩和に対する過大な期待をけん制し、中央銀行にはできることと出来ないことがあると明言し、政府に対しては構造改革、財政再建を急ぐよう促した(読売新聞 2012.4.20)。

日銀の審議委員の選任も国会で同意が得られず空席もあり、1年後に控えた総裁任期切れ後もひと波乱ありそうだ。財務省寄りの考えをする人材を避けているようだ。

このほかにも、大飯原発再稼働で専門委員の意見を聞かず安全判断を政治決定した経過も国民の不信を招いている。地元自治体は交付金、雇用の確保で再稼働に賛成でも、周辺自治体は反対するだろう。野田政権がどう説得できるか。ここでも情報公開が叫ばれている。

情報公開、開かれた政治、誰にでもわかる政治を目指した民主党ではあったが、権力を手中に収めると次第に変質していった。正直に情報を公開すると政策が進まない恐れがあるのだ。

自民党だって今、国民の声を代弁しているように見えるが、政権を奪取すれば態度を豹変するお可能性は十分にある。

首相経験者の回顧録で、「あの時はこうだった」と言われても、もう遅いのだ。

一党単独でグイグイ政治を進めるよりも、数党が協調し合って議論し政策に対する情報公開に努めた方がベターと思うが、今のねじれ国会を上手く運用できないものか。

兎に角、政策推進に当たり、何故そこに行き着くのかの情報が少なすぎる。これでは内閣支持率も下落するし、将来の国民生活の安心など得られるはずがない。


太陽の黒点、極地磁場の異変:地球は温暖化から寒冷化?


太陽北極の磁場が反転し北極、南極
の磁場がN極、赤道付近がS極の4重
極構造に変化 国立天文台提供
2012.4.20 毎日JP

地球は本当にどっちに向かっているのか、温暖化か寒冷化か。19日の日テレニュースZERO「太陽異変で異常気象」で、久しぶりに興味のある発表があった。太陽の極地磁場異変、黒点の数の減少で寒冷化の可能性があるというのだ。170年前(1800年代)、370年前(1600年代)のも同じようなことがあったらしい。

太陽は今、北極がマイナスと南極がプラスの極があり、磁場は約11年周期で反転するのだが、国立天文台、理化学研究所などの国際研究チームが太陽観測衛星「ひので」で観測した結果、南極はプラスのまま北極もプラスに反転しそうなのだ。それが1年早く今年の5月になりそうだという。同時に黒点の現れ方にも異変があり、過去に地球の気温が下がった時期と似ているというのだ(朝日新聞 2012.4.20)。

これまでの太陽の磁場構造 南極が
N極、北極がS極の2重極構造
国立天文台提供
2012.4.20 毎日Jp
過去にマウンダー極小期(1645~1715年)にも黒点がほとんどなかった時期もあって地球の平均気温は低下し、寒冷化をもたらしたと言われる。反転周期は通常11年ほどだが、当時は13,4年と長くなった特徴があるが、今も13年に近く当時と似てきたという(Yahooニュース Newton2012.4.19)。

ロンドンのテムズ川が凍結した写真が寒冷化象徴しているが、その時の写真だ、日本では20世紀後半より約2.5℃気温が低かったという(朝日新聞 2012.4.20)。

今、環境問題として地球温暖化防止が叫ばれ、COPの会合があるたびに先進国と新興国の思惑の違いで混乱を招き決定が先送りの状態だ。

しかし、基本的には地球は間氷期で地球は寒冷化に向かっているのだ。温暖化の原因としてCO2人為説が主流であるが、気候学者らが自然変動説を唱えて反対している。

IPCCが提示した1000年頃からの気温変化を表すホッケー・スチックと呼ばれる木の年輪を基にした図があり、それによると1900年頃から気温が急上昇しているが、この図には1400年ごろから始まった小氷河期が示されていないという。1400年から1800年にかけてはもっと気温は低かったという(正しく知る地球温暖化 赤祖父 誠文堂新光社 2008年7月)。

気温の低かった1600年代、1800年代は、太陽の極の磁性、黒点の周期的な活動に異変が起きた時なのだ。

地球温暖化は、太陽の活動、火山活動など自然変動だけでは説明がつかず、CO2の排出量を勘案すると測定された気温の変動とよく一致するとして、人間の活動を主要因とするCO2人為説が主流となっているが、コンピューターを操るIPCCと気象学者らとの対立は続いている。

しかし、どちらが正しいか、後10年もするとわかるかもしれない。

地球温暖化問題が科学的検証が不十分なまま、政治的な取り組みが進んだために問題の共有化が遅れて、その削減の割り当てで先進国と後進国がもめている。削減には莫大な資金が必要で、万一実施したとしてもその効果はわからない。もたついているのは、寧ろいいのかもしれない。


[後記]
読売新聞(2012.4.29)くらし 教育欄に「太陽 重なる異変の兆し」の記事が掲載された。太陽の磁場4重極化*黒点周期の乱れを解説している。


太陽の黒点数の変化と地球の気温
2012.4.29 読売新聞


地球の気温への影響について


東京大学宇宙線研究所の宮原先生は「4重極構造が続いて地球を包んでいる太陽の磁場が弱くなれば、はるか遠方から飛来する宇宙放射線が入りやすくなり、放射線の作用で大気中の雲の量が増える可能性があり、その結果雨や雪の量が増え、気温が下がることが考えられる」という。


一方、国立環境研究所の野沢さんは「今問題になっている急激な地球温暖化の主な原因は、CO2などの温室効果ガスの増加だ。太陽活動の変化でわずかな温度変化がおきる可能性は否定しないが、温暖化が止まったり、ましてや寒冷化することは考えられない」という。


どちらの説が正しいか、まもなく分かるかもしれない。

2012年4月19日木曜日

前田国交相、田中防衛相問責決議:政局狙いと考えてはいけない


問責決議案が提出されたことを報じる
NHKニュースウォッチ9
2012.4.18

前田国土交通相、田中防衛相の問責決議の動きを政局狙いと見てはいけない。ついに18日、2閣僚の問責決議案が参院に提出され20日に可決されるという。野党自民党は政局とみられ批判されるのではないかと心配し、野田総理は閣僚の相次ぐ問責に続投と言っているが苦悩しているはずだ。

しかし、この2閣僚の問責を政局狙いと捉えると話はおかしなことになる。そんなレベルの問題ではなく、本当に大臣としての資質に欠けるのだ。

前田国交相は、公職選挙法の事前運動、地位利用の疑いがある行為で、公明正大な選挙を通じて、民主政治を確立しようという公選法の目的に違反し、あってはならない行為なのだ。

にもかかわらず、内容を知らなかったとか、署名入り激励文を思わぬ使われ方をしたといって、一切関与せずと責任逃れの姿勢は許されるものではない。

一方の田中防衛相は、13日の北朝鮮のミサイル発射で国民委情報伝達の遅れがあったことの原因に防衛省内のゴタゴタがあったこと、国会審議で明らかになったが官房長官に3度携帯電話したが通じなかったなど不手際があった責任は大きい。

更に就任当初の国会予算委員会などの審議をNHK 国会中継で見ていたが、知識が非常に乏しく、大臣席の後席に座り、後ろから事務方が耳打ちしたり、答弁案のペーパーを手渡しされたり、余りにも酷い恥さらしであった。囲い込みの記者会見でもペーパーの棒読みでPAC3P3Cと間違え、後ろで事務方が訂正するテレビ画面にあきれ返るばかりだ。

野田総理は「無知の知」と言ったり、「今後も緊張感を持って職務にあたれ」と援護する姿勢を見せているが、「このような人間は今の職務にあたる資格がない」と追及されているのだ。

本当に2閣僚は不適格者であり、政局絡みの話ではないのだ。

また、この2人の人事が輿石さんの参院枠であったとしても、任命した以上は「任命責任」がある。責任を曖昧にすることは内閣支持率の更なる下落に通じる。潔く罷免し、まともな人選をやるべきである。

首都直下地震、震度7:「今すぐには起こるまい」という安心感で生活?


東京都が想定した4地震
2012.4.18首都圏直下 その
時何が
NHKニュースウオッチ9

首都直下地震 震度7は、いつ起きても不思議ではないと言われる巨大地震だが、「今すぐには起こるまい」という安心感で日常生活? 首都直下地震、M7.3、「震度7の揺れも」、「震度6強の範囲広がる」との語句が目立つ最近のメデイア報道が続いている。

昨年の3.11以降、迷いがブッ切れたように地震学者は思い切った予測を発表するようになった。文部科学省の首都圏直下型地震の見直しに続いて、東京都も東京湾北部地震などを震源とする巨大地震の被害想定を見直した。

震災の無残さを見たこともないので、思いついて東京復興記念館を見学したことがある。

大正12年9月1日午前11時58分44秒、東京帝国大学理学部地震学教室の地震計の東西動の針が突然大きく振れだした。M7.9関東大震災の発生だ。震源地の相模湾に面した小田原付近は壊滅的な被害を被ったが、東京は主として火災旋風による惨禍と言われている。(1)。

東京都の被害想定見直し
2012.4.18 首都圏直下 そのとき
何が
NHKニュースウヲッチ9
当時通信施設も壊滅状態で、この惨状を世界に発信した第一報は東京湾に停泊中のコレア丸からで、「横浜地震後、火災岸壁に近づく」だったという。その後「正午横濱大地震 大火災死者多し」「交通機関普通 水食糧なし」と続いた(2)。

資料によると、1923年の関東大震災による死者99331人(当時の東京市の人口は243万人)、焼失家屋447,128戸、薬品の転倒や昼時と相まって各所から火の手が上がり木造建築物が多かったために5か所で火災旋風が発生、これによる死者は38,000人にも上ったらし。ここ記念館のある横綱町公園は、当時公園工事中の陸軍被服廠跡だったが、最大の火災旋風が発生、惨禍をきわめた(3)。

当時と今では、インフラも雲泥の差だろうが、震災による被害には新たな問題も多い。交通機関の不通は多くの帰宅難民を生み、車であふれる幹線道路は災害発生時緊急車両の通行が確保されるのか。災害時緊急車両専用道路表示がある道路や環八を走っていると心配になる。重油など燃料タンク群の被災は薬品の転倒どころではないし、港湾施設、船舶などによる被害は想像絶するものがある。避難所になる公園によっては火災旋風の危険が指摘されているところもある。

東京復興記念館
今でも参考になる資料があった。1923年の関東大震災でも、緊急処置として「自動車の仕事を邪魔しないように」との通達が出されていた。またいろんな噂が飛び交い混乱を招くことを防止するため「ありもしないことを言い触らすと処罰される」(警視庁)という通達や、橋の修理のため爆破・破壊するための「爆音に関する注意」など今でも重要且つ必要な処置で参考になる(4)。

しかし予知とか予兆はどうなっているのか。大気中のイオン濃度の変化、FM波の異常が予知技術として7年ほど前に脚光浴びていた時、顕著な異常値を観測したために地震予知警報を出したがこれが外れ、メデイアの注目から遠ざかった。観測経験から相当の確信を持った勇気ある行動であったと思うが、残念である。でもまたFM電波の異常から予知する北大の研究が注目を集めている。

唯一、「微小地震の減少」「地下水位の上昇」が前兆現象として学会で認められているが、「いつ、どこで、その規模は」までは無理なようだ。

京都大学防災研究所地震予知研究センターでは、「近畿北部における最近の地殻変動」で、琵琶湖の西から京都府中部、大阪府北部にかけての丹波高地で日頃小さな地震がたくさん起きているが、2003年3月から回数が減った。この地域は数年の静穏期の後、M4~5の地震が起きている。南海地震も近づき西南日本全体が活動期に入り、どこで大地震が起きてもおかしくない状態だと指摘している(同センター ホームページより)。

そして3年ほど前に「いつ、どこで、どのくらい」とは言えないが多くの人が地震に対する意識を高めることを期待して情報を公開すると宣言しデータが公開されていたが、地震は発生せぬままにデータは削除されていた。勇気ある行動と思っていたが残念だった。

しかし、今、立命館大の熊谷先生の研究で琵琶湖底に泥を噴出する現象が起きているようだ。近くには琵琶湖西岸断層(北部)があり、南に琵琶湖西岸断層(南部)が存在する。琵琶湖大地震に関連する地殻変動ではと警戒されている(プレイボーイ 2012.4.23)。

今回の3.11東日本大震災後、「想定外」が2度とあってはならないと研究者は最悪レベルの発表するようになり、自治体も震度、揺れ、津波高さを見直し対策に追われている。

我が家も家具類、本棚、食器棚の転倒防止、ガラス飛散防止など実施した。ホームセンターに行くと防災コーナーは、若者、年配者などでにぎわっている。特にメデイアで被害予想などが出た後は目立って多くなる。年配者が眼鏡を外して細かい仕様を読んでいる姿が目につくのだ。しかし、防災具一式を用意しようとすると高価だ。ついつい「今すぐには来ないだろう」という感情が優位になる。
どんなに対策をしても震度6までだ。震度7になると家具類や人間が飛ぶのだ。

子供を学校や保育園に預けている親は、こどもの引き取りを優先しなければならない。「最後まで保育園児の面倒は見る。避難場所は掲示するのでそこへ迎えに来ること」という通知が出ている。小学校でも運動場にクラスごとに並んで親が迎えに来るのを待つというが、時間が来ても迎えがない場合は体育館で待機する」という。定期的に引き取り訓練も実施されている。

電車で遠くの私立名門校に通わせていた親が、今回の地震で迎えに行くことが困難と判断し、近くの小学校に転校した例も出ている。

私に住んでいる東京・大田区も町会、自治会単位で、避難・救援が行われるようだ。一時避難所は近くの小学校だが、最終避難所は多摩川河川敷になっている。しかし、東京湾での津波高さが見直されれば、多摩川河川敷も浸水するため避難所の見直しも必要になる。

関東大震災のような非局地大地震の発生は周期的にもまだ先のようだが、60年、70年と言われる首都圏直下型地震は何時発生しても不思議ではないと見られ、「備えよ常に」と注意が喚起されている(5)。

この頃は出かける時は、地震が気になる。電車に乗って周りを見れば寝ている人、新聞や本を読んでいる人、携帯でメールしている人、音楽を聴いている人などまちまちだが、心配はないのか。

「今すぐには起こるまい」とは思うが、時間的に歩いて帰ることができる駅まで来ると何故だかホッとする。

注:(1)~(5)は、東京復興記念館の資料から(写真撮影、メモは禁止されているので、記憶して記事に)

注:2008年5月に市民メデイア・オーマイニュースに投稿した記事を大幅に見直して再投稿する。

2012年4月18日水曜日

ミサイル発射情報遅れ:危機管理のお粗末さをさらけ出す


衆議院予算委員会
2012.4.18 NHK国会中継

北朝鮮ミサイル発射情報遅れは、世界に我が国の危機管理のお粗末さを曝け出す結果になった。18日の衆議院予算委員会をNHK国会中継で見た。ミサイル発射情報の国民への提供が遅れたことは重大な問題であり、再発防止のための鯨飲、責任の追及は当然だろう。

高価な防衛システム、監視システム、情報提供システムを構築しながら、今回も肝心なところで役立たなかった。早めの「誤報」も困るが、遅い情報も国民の財産、生命を守ることからも困った問題だ。

おまけに、今までのシステムが効果を発揮できなかったのだから新たに「早期警戒衛星」の必要性が提案、議論されたが大事なのはどんなシステムであれそれを使いこなす人間の能力の問題だ。

13日は、打ち上げが予想されていなかったためか、関係者の動きも鈍い。

防衛省中央指揮所、危機管理センターはで公務員が情報収集、伝達の作業をしているが、「何時何分にどのような情報を得て、誰に伝えたか」などを追求しているのだが、田中防衛大臣、藤村官房長官は官僚の作成した資料をよみあげていた。

質疑の中で、総理や官房長官は「第一報を誰から受けたか」という問いに野田総理は7時42分に秘書官から、官房長官も7時42分に秘書官から得たという。内容は「飛翔体が確認された」というもの。それがSEW情報かどうかはわからないということだった。

「第一報を何故、国民に伝えなかったのか」には、2006年、2009年の教訓からWチェックを基本としていたが、我が国のレーダーによる確認ができていかったためらしい。
米国のSEW情報と我が国のレーダー情報のWチェックによる「誤報」を防止しようとしたのだ。

このような場合、マニュアル通りにはいかないので、もっと柔軟に対応すべきではないかと指摘されていたが、野田総理は確認に時間がかかり、国民への情報の発信が遅れたが改善すべきであると答弁した。

そして今回の情報発信遅れの見直しとして、防衛省の機構改革、イージス艦の東シナ海への展開、日本と韓国との情報の連携などが質問者から提案されていた。

国民への情報提供に「誤報」があってはいけないという政府の緊張感が、ミサイルは発射したが、すぐに海に落下し、我が国への影響は無くなったことで緩んだ結果、遅れに遅れた情報発信になったのだろう。

また、12日が過ぎたら、次は14日だろうという気のゆるみが、13日の不意打ちに関係者が右往左往したのではなかろうか。

結果論として、世界に我が国の危機管理、情報伝達のお粗末さを曝け出すことになった。我が国の安全上由々しき事態である。

2012年4月17日火曜日

日銀法改正圧力:日銀よ 何処へ


日銀本店

日銀よ 何処へ。現白川総裁の任期も残り1年、就任時もひと波乱あったが、次期総裁人事も国会でもめるのか。デフレ脱却→経済成長路線へのかじ取りで、国会は日銀にも責任を持たせるべく日銀法改正をにおわせ日銀を揺さぶっている。

国会は、デフレ脱却へインフレターゲとの設定、更なる緩和政策を要求しているが、1%の目途は2%の他国に比べて低すぎ、金融政策にも口出ししようとしている。政府も財政政策で、これといった妙案がないのだ。

政府、国がインフレターゲットを決め、日銀が政策に責任を持ち、達成できなければ総裁、審議委員に責任を取らせることを狙った日銀法の改正が話題になっているのだ。

一方、日銀は物価の安定が主な仕事で、従来から白川総裁は「金融政策だけではデフレ脱却はできない」、「行き過ぎた緩和政策の副作用に警戒すべきである」と主張し、国会が要求する更なる緩和に腰が重いのだ。

「デフレ、円高対策には通貨量を増やせ」という在野のエコにミスト、国会の予算委員会での追及に、マネタリーベースを対名目GDP比で比較すると日本は他国に比べて高水準にあり、十分な通貨量だという。しかし、中央銀行のバランスシートをリーマンショック時の2008年9月を100とすると、米英は急激な増加になっているが、日本は緩慢な増加なのだ。

両者は、同じ資料で議論せずに、それぞれ自分に都合の良い資料で論戦を張っている。これでは平行線で何ら議論にはならない。

今の日本経済は、1000兆円という巨額な政府債務を持つ先進国一の債務国であり、金融機関が大量の国債を保有する。低金利が続くことで成り立っている経済なのだ。一旦市場が見切りをつけ国債が下落すると、長期金利は上昇し、大きな損失を抱えることになる。先の国会で「1%金利が上がるとどうなるか」問われた日銀は確か6兆円の損失が金融機関などで出ると答えたように記憶する。

我が国の財政危機については異論もあるが、財政再建への政策を強力に進める野田政権の大義があるのだ。

ところが、日銀が通貨量を増やしインフレ政策を取ると、インフレ予想とともに長期金利も上昇し、国債を大量に保有する金融機関は経営危機に架かる。勿論政府も利払い費が大幅に増加し財政を圧迫する(経済気象台 朝日新聞2012.4.12)。

デフレ脱却、インフレターゲットで目指す経済成長路線は、本当のところどうなんだ。正しいのは政府なのか、日銀なのか。

2月14日の日銀のインフレターゲット(目途)と10兆円の追加緩和は、その後の円安、ドル高、株高で金融政策は効果があったと見るべきだろうが、今はまた円高、株安の傾向だ。欧州経済危機の回避、米国経済の動向の要因が大きい気もするが。

しかし、日銀も象牙の塔の中で高給を取る総裁、審議委員ではなく、責任を持った政策を取るため失敗すれば総裁、審議委員の辞任も覚悟するようでなければならない。

とりあえずは、27日の金融政策決定会合でどんな判断が下されるかで日銀の本気度がわかるという。

「知らなかった」で問われる政治家の資質と倫理

一切関与していないと釈明する前田大臣
2012.4.17 NHKニュース

「知らなかった」、「思わなかった」で政治家の責任が回避できるのか。政治家の倫理、資質が問われる疑惑が出てくると、本人は「知らなかった」で逃げる代わりに、秘書がしっぽ切りにあう。そんな政治家を支持し、国会へ送り出した有権者はどう考えているのか。

公職選挙法は、選挙が公明且つ適正に行われることを確保し、民主政治の健全な発達を期すことを目的とし、政治資金規正法は、政治家が公明正大な政治活動をやっているかどうかを政治資金収支報告書で国民が容易に確認できる制度を整備している。

いずれも民主政治の根幹をなす法律であるにも関わらず、違反事件、疑惑事例が後を絶たない。

前田国土交通相の選挙支援依頼書問題が明るみに出て、告示前の選挙運動や、公務員の地位利用を禁じている公職選挙法違反の疑いが出てきたが、本人は例のごとく秘書を辞任させ、「知らなかった」「思わなかった」で責任を回避する様子見の態度だ。

自らは責任を取ることを避け、「党に任せる」、「国会で判断」と逃げの一手だ。

朝日新聞(2012.4.17)に掲載された国土交通相名の支援依頼書を見たが、誰がどう見ても投票依頼に読めるし、選挙運動に使う文書であることは明白であり、国交相だから頼まれた文書であると判断すべきないようだ。それが「思わなかった」では、あまりにも幼稚すぎないか。

政治資金規正法では前原さんが外国人から献金を受けたことを認め、大臣を辞任したことはまだ新しい。潔い決断だと思ったが、当時の菅政権は泥船でどの大臣も早く降りようとしていたことも確かだ。

野田総理にも疑惑が持ちあがったが、「返金した」ということで曖昧になったが、菅さんは「返金した」と抗弁したが、「領収書を示せ」と追及され、示さないままで総理を辞任した。

鳩山さんは母親から月に150万円もらいながら、「知らなかった」を押し通し、秘書の辞任だけで曖昧な処理に終わった。

小沢さんの陸山会事件は、26日に判決が出る。小沢さんも「知らなかった」の一点張りで公判を通した。本当は細かいことまでしているはずだが、裁判戦術で「知らなかった」を主張したのだろう。小沢さんの政治家としての資質が大きく問われる。

国民の負託まで受けた政治家として、何故、自ら責任を取らないのか。政治家の資質と倫理が問われる事件が多い。

2012年4月16日月曜日

消費税増税:国家財政、危機の緊迫度に払拭できない疑問が


消費税増税で情報が少なく、国家財政、危機の緊迫度で拭い切れない疑問が残る。「財務省よ チョっと待った。ここは財務を精査し、国民に信を問う」と言えない野田総理に国民の民意は通じていない。何故だ。財務省に言い含められたか、「お前しかいない」と煽てられたのか。

今まで、何が専門分野だったかわからない野田さんが、財務副大臣→財務大臣になり、民主党代表選に一番最初に手を挙げ、財務省の言う財政再建、消費税増税に乗り、政治の集大成と考えても不思議ではない。

消費税増税の是非に対する国民の判断を迷わすようなメデイアの増税一辺倒の記事、朝日新聞は編集委員が「財務省バッシング」に反論し、財務省大擁護論を掲載する始末だ。社説でも消費税GOの論調に民主主義の公器としての誇りはない。

そんな状況下でも消費税増税に反対する議員、エコノミストもいることも確かだ。

民主党小沢グループを率いる小沢元代表は、国民はまだ民主党政権になった利益を受けていない。マニフェストの原点に帰り、国民との約束を守れという。増税すれば「選挙が怖い」という意見が先行し反対が歪曲化されているが、真っ当な考えであることに違いはない。残すは、どうやって実現するかだ。

みんなの党の江田さんは自民党の橋本政権時の秘書官の経験から、「増税は税収につながらない。まだ利用できる財源はある」と国会の予算委員会で追及している。しかし、野田総理は聞く耳を持たない。

在野のエコノミストの高橋洋一さんも反対論にとっては興味のある説を述べている。借金が1000兆円あるというのは財務省の巧妙な洗脳だ。純債務は対GDP比で70%程度で財務省の意図的なミスリーデイングだという(週刊現代2012.4.28)。

この説はよく言われていることで、債務は対GDP比200%であるが、資産も対GDP比120%はあり、純債務は対GDP比80%で、言われているほど財政危機ではないのだ(数値は学者により異なっている)。

もっと我が国の財政状況をしっかり国会で議論し、はっきり意思統一しなければ国民に負担を強いる理解を得ることはできないのではないか。

こういった議論は、為政者ではなく反対者の意見の場合が正しいことが多い。

おりしも、読売新聞(2012.4.16)が「基礎からわかる社会保障と消費税」というタイトルの記事を掲載した。

それによると、借金は対GDP比200%の危機的財政で再建を目指さなければ社会保障の給付は高齢化で膨らむばかり。悪化は年金や児童手当の切り下げにつながる。所得税や法人税は景気の影響を受けやすいが、消費税は安定な財源である。行財政改革にも取り組まなければならないが、歳出削減だけでは財源不足は解消しないという。

「景気が悪くならないか」については、政府は復興事業などで経済は好転する都みているが、反対に、一時的な成長は見込めるが、駆け込み需要とそのあとの買い控えで成長率は押し下げになるというエコノミストの説を紹介している。

しかし、国家財政については一般会計予算の解説はしているが、政府債務、資産についての詳細な解析はない。

増税だけでは税収は増えないし、不足の解消はできないことはわかる。当然デフレ脱却→経済成長→税収増も必要だろう。政府も13日の「デフレ脱却など経済状況検討会議」でこれまでのデフレ対策などの効果を分析し、財政再生戦略、2013年度の予算に活用するという。

検討を財務省に任せるのであれば、結論は決まっている。こんな時こそ民間のシンクタンクを利用すべきではないのか。

何はともあれ、国家財政、危機の緊迫度に対する疑問はぬぐえない。

16日のテレビのニュースで、内閣支持率が20%に落ち込んだという。官房長官の記者会見で、そのことを聞かれ「世論調査に左右されない。それが政治決断だ」という意味の発言をしていた。ますます民意が離れるのではないか。

消費税がどうなっても、次は下野の覚悟を決めたのか。