消費税増税で野田総理の決意は「政治生命、命を懸けても今国会で成立を目指す」というワン・フレーズだが、それだけの決意を持っているのであれば解散・総選挙で堂々と国民に信を問うべきではないのか。
法案を国会へ提出したと言っても、実際の審議は5月に入ってからだという。当然に6月末に会期末を迎えるとすれば、審議日数から延長国会がスケジュールに上がってくる。
ところが今、妙な話が伝わっている。自民党も増税10%の公約を掲げているし、ベテラン、中堅議員には話し合うべきだという意見も多く、「話し合い解散」の可能性も高くなった。民主党内も分裂回避のため「次の国会まで先送り」する可能性も出てきた。急いで増税を決めることはないだろうというのだ。
野田総理、谷垣総裁という2人の増税論者が、片や党内の反対派と戦い、片や党内の賛成派と戦う奇妙な立場に置かれている。それだけ消費税増税問題は財政再建、景気問題とも絡んで、更には選挙とも絡んで議員それぞれに思惑が違う。
民主党内の事前審査では、今のままで選挙になれば惨敗が明らかなために、増税を避けるためかどうかわからないが、ハードルを上げた景気条項が議論された。200人集まったというが、100人ぐらいが反対派、100人ぐらいが賛成、では残りの議員は何をしていたのか。
反対派の猛抗議にも拘わらず、前原さんは「一任された」と言って議論を打ち切った。これでも野田総理は丁寧に議論したというのか。前原さんが断ったというのだが、野田総理は一度も出席し、説明していない。反対派のリーダーである小沢さんとの会談もやっていない。
小沢さんは資格停止処分中なので、必要がないと判断したのか、その存在を無視しているのか。自民党が増税に歩み寄る条件に「小沢切り」が入っているのを野田総理はどう考えているのか。
民主党反対派の意見も、「選挙が怖い」とか「小沢グループ」ということで歪曲化されているのではなかろうか。反対派の意見が真剣に検討されているのだろうか。
ニュースを見れば見るほど、民主党、自民党など既成政党に対する政治不信が募る。
これから、増税関連法案の法案審議、経済成長との関連、社会保障の全体像の審議が始まるのだろうが、どんな消費税国会になるのか。
賛成は、民主党執行部をはじめマニフェスト見直しに賛成派の議員、自民党で「話し合いに乗ったらどうか」という議員。反対は、マニフェスト遵守を訴える小沢グループの議員、自民党など野党で民主党のマニフェスト違反を追求する議員、今増税すれば景気が悪化すると考える議員たちだろう。
国会審議で政府と意見が大きく食い違い、法案が不成立になったり、内閣不信任案が提出されたりすると野田総理は解散・総選挙に打って出ることもあるだろう。
しかし、選挙でも民主党惨敗は明らかであるが、自民党の賛成があれば消費税増税は成立、民主党は政権の座からは引きずりおろされることになる。
話し合い解散も「小沢切り」という民主党内を分裂させそうなハードルの高さがあるが、消費税増税は成立、選挙では民主党は下野することになる。
どっちにせよ消費税増税と引き換えに民主党は下野することになる。野田総理はその覚悟があるのか。
民主党内では、折角勝ち取った政権の座を譲ることに反対する勢力は多いはずだ。「国民との約束を守れ」と主張し続けるだろう。任期いっぱい政権の座に座ることに拘るだろう。
国民の増税に対して仕方ないと思う率が減少している。財政が本当にキッパクしているのか、まだ眠っている資金はないのか、国家予算の支出削減が十分なのか、急げば急ぐほど財務省の思うつぼだ。
十分(?)に審議することは勿論であるが、総選挙で国民に信を問い、今のゴタゴタをクリアーした後で増税へ向けた採決をするのが筋ではないか。
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