首都直下地震で震度分布図を報じる 朝日新聞 2012.3.31 |
文部科学省のPTが東京湾北部地震(M7級)が発生した時の新しい震度分布を公表した。それによると、東京・大田区が震度7で揺れるというのだ。当然、東京湾沿いの海岸低地だと思っていたが、多摩川下流の三角州低地を含めて私の住んでいる台地近くまで迫っているのに驚いた。
最近、東京湾北部地震の考えられている震源から千葉市にかけての震源域で地震が多発しているが、この断層は伏在断層で、千葉県が平成9年に実施した探査では、その活断層の存在は確認できなかったという(東京の活断層 東京都)。
しかし、その後の研究でフィリッピン海プレート面の深さが10km浅いことがわかって、首都圏直下型地震で考えられる地震のうちで被害が最も大きい東京湾北部地震の地震動がどう変化するか試算した結果だという。
震度6強を考えて、それなりの地震対策はしたが、震度7ということになると人間や家具類が飛ぶことになるから、今までの対策では不十分この上ない。
でも、何故震度7なのか。
大田区が報告している総合危険度 鎌田、羽田の一部は危険度ランキング 最上位だ あくまで地域別の危険性を比較したも ので、心構えによって被害は大きく変 わると説明している。今回の文部科省 の震度分布とも良くあう。 大田区ホームページより |
大田区のホームページに、地震に関する地域危険度測定調査報告が公開され、震災時の地域危険度を知ることができる。地域の危険性をわかりやすくするために建物倒壊、火災危険度の2つの危険度を総合した総合危険度が公表されている。
それによると、危険度ランク最上位の5が羽田、蒲田の一部、危険度4は、大森、蒲田、矢口、六郷、本門寺付近などが入っており、今回文部科学省が発表した震度7の恐れがある地域とよくあっている。
建物倒壊の危険が高いということは、地盤など地質に何か要因があるはずだ。その地域の古地図などが役に立つのだが、ネットで「1923年関東地震に対する東京都23区内(旧郡部)詳細震度分布(歴史地震第18号 2002年)」の鹿島小堀研究室の報文が見つかった。
その調査によると、震度評価は住居の全壊率を基本にし、全壊率30%以上を震度7、10以上30未満を震度6強などと定義している。
これで震度7と評価された地域は大田区では南馬込、山王の一部で環状7号線沿いの谷底低地で弁天池と呼ばれる沼も残っており、この辺は泥炭層の低湿地なのだそうだ。羽田も多摩川河口で多くの池が点在し鴨の狩場だったといい、被害が多く震度の高い地域とみられている。
そして、震度7に達するような特に震度の大きい地域は、以前に沼や池があった湿潤な低地だという。震度6強以上の強い地震動に襲われた地域は沖積層が10~30m程度のところで、それより厚くなると逆に震度が小さくなる傾向があるという。
そういえば、池上線沿線には沼がつく蓮沼駅がある。池上だって付近に池があったのかもしれない。今、地名が昔からの由来を示す名称から、モダーンな数字の羅列に代わっている。防災の観点から考えるとまずい傾向である。
文部科学省の震度分布図からは詳細 が分からないが、大田区の地図に震度 7の揺れが想定される地域を図示して 見た。その土地の地質が大きく影響 することが分かった。緑の線が大田区、 赤の線内が震度7の揺れが想定される 地域。 |
文部科学省のホームページの震度分布図では、こまかいことがわからないので、朝日新聞(2012.3.31)の図から大田区の地図に線引きしてみた。詳細に、その地区がどうか評価がわからないが、どの辺の揺れが大きいかということはわかる。どこにいても強い揺れに備えるべきである。
谷底低部、池、沼の低湿地、多摩川三角州低地、海岸低地など地質による地震動の影響が大きい。震度6強か震度7になるかはわからないが、地震に対して地盤が弱いことがわかった。
マンションを購入する時、よく阪神大震災に耐える設計ですと営業は説明するが、問題が〇〇〇ガルかだ。油断はできない。
大洪水や巨大地震で多摩川の堤防 が決壊するのを防止するためにスーパー 堤防が構築されている付近、震度7の 揺れが想定されている。右が大田区、 左が川崎市。スーパー堤防は事業 仕分けで廃止が決まったが、その後 どうなったか。 |
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