14年度にも1% 日銀総裁 2012.4.28 読売新聞 |
日本経済を成長路線に持って行くのは、政府か、日銀か、企業家か、それとも主婦か。先進国で唯一長期のデフレに苦しんでいるが、その脱却→経済成長は最重要課題であるが、一向にその兆しが見えない。
インフレターゲットの設定が必要だとか、緩和政策が必要だと政府からせっつかれてのインフレ目安1%、国債買取上限を70兆円にする金融緩和政策を取っているが、27日の円相場は38銭高、株価も一時上昇したが、終値は前日40.94円安だった。
日銀白川総裁は、記者会見で「物価上昇は14年度にも1%達成ができる」可能性を示唆した。何やら消費税増税の時の経済条件にも合いそうな状況であるが、後2年もかかるし、そんなことで日本経済はやっていけるのか。
政府は、復興需要で景気は上昇すると期待しているようだが、大方の見方は増税となると先行買い、増税後の買い控えで経済はマイナス成長と見ている。
経済成長へしっかり取り組まなければならないのは政府か、日銀か、それとも企業家か、家計を支配する主婦か。
気になるのは、日銀と政府の考えに溝があることだ。
政府は、財政政策、構造改革、規制緩和などを積極的に推進する必要があるが、手詰まり状態で必然的に日銀に更なる量的緩和の圧力を強いている。国会の予算委員会の審議でも量的緩和を求める質問が多い。最近は日銀法の改正の動きもあるし、日銀審議委員の人事でも国会の承認が得られていない。
27日の5兆円の追加緩和は圧力に屈したものだが、市場は織り込み済みで効果は限定的だ。
日米欧で金融緩和続く 週刊東洋経済 2012.3.24 |
更なる量的緩和にも日銀は腰が重い。
国会予算委員会での量的緩和要求に、日銀は「マネタリーバランスで対GDPでいうと日本は16%、米国は12%で欧米の中央銀行最高水準にあり、決して少ないわけではないと従来からの見解を繰り返している。
確かにそういう見方もできるが、2008年9月を100としたマネタリーベースで考えるとFRB、ECBはリーマンショック後、急激な増加を示しているが、日銀は緩慢な増加だ。
日銀の努力が足りないと批判するエコノミストが、よく使うデータだ。それぞれが都合の良いデータで主張し合っていても埒が明かない。これだけデフレに苦しめられていることを考えると、日銀が間違っているとしか思えない。
通貨の過剰供給を警戒する白川総裁 2012.4.27 東京テレビ・WBS |
日銀白川総裁は、18日、21日のニューヨーク、ワシントンでの講演で金融緩和の過剰な期待にけん制し、政府に財政政策、構造改革を急げと要求している。先進国一の量的緩和でもデフレから脱却できず、成長率は徐々に低下していることを危惧している。そして中央銀行の膨大な通貨供給の結果、コントロールできないインフレレを招く危険もあるというのだ(読売新聞2012.4.20)。
企業家だって、イノベーションと売れる商品の開発に力をいれる必要がある。国内での産業を育成し、雇用の拡大が急務だ。若年労働者の就職難は将来必ずツケとして企業に跳ね返ってくる。
個人消費はどうなんだ。経済指標が発表されるがよくわからない。言えることは財政不安→支出抑制→景気停滞のパターンだ。就職難、労働時間の厳しさ、家計収入の伸び悩みは景気にも大きく影響している。財政再建→将来への負担減、安心→経済成長が政府の描く成長路線でもあるが、政府の信用が落ちているようでは如何ともしがたい。
ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授は、「FRBはおじけずインフレに持って行け」と言う。過剰債務→民間セクターの支出削減→景気停滞を起こしているので、緩やかなインフレ→債務価値の削減→投資の刺激となり景気は上昇するという(朝日新聞2012.4.12 クルーグマンコラム)。
我が国でも言えることだ。思い切ったインフレに持って行くべきだと思うが、インフレは長期金利を大幅に増し多額の国債を保有する金融機関の危機にもつながるとの考えもある。
通貨量を増しインフレに持って行く脱デフレは円高/株安の対策にもなるのだが。
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