2012年4月7日土曜日

消費税増税:先送りはダメ、ではどうして今なのか


メデイア、エコノミストのほとんどが、今の消費税増税での政治の対応を見て、「先送りはダメ」という論調だ。では何故、今でないとダメなのか。増税は自民党政権時代からの政治課題であったが、ギリシャの政府債務問題が勃発してから急に先送りはダメと言われ出した。

年に1兆円規模で増加する社会保障費の安定財源の確保、赤字財政の伸びを回避するためにも税収増が必要であるが、今の経済環境下で国民に平等に負担を強いるには消費税増税が手取り早いことはわかる。

そしてギリシャの政府債務問題を発端に、財政再建の必要性が急がれているが、往々にして政治の対応が遅れ、政治機能不全と市場が認めれば国債価格の暴落、長期金利の上昇、ひいては世界経済の混乱が起きる。日本は先進国一の政府債務国であり、国内は勿論のこと、国際的にも財政再建が要求されている。

今までは、国債も国内で消化されてきており、且つ対GDP比200%の債務というが、資産も対GDP比120%もあることを考えると、言われているほど悪い状況ではないと見る経済学者もいる。

しかし、日本国債の購入に海外投資家の比率は8%程度の上がり、この投資家が売りに走ると日本国債も安泰とは言えないことも確かだ。

だから財政再建に向けた政治の遅れは、政治機能不全として市場を失望させることになり、国債を暴落させることになり、絶対に避けなければならない事態なのだ。

しかし、今のような消費税増税を審議する政治のはずが、政権与党内も意見統一がされず、連立与党の国民新党は内部分裂の無様さ、本来消費税増税のはずの自民党も執行部とベテラン、中堅議員との間で意見が割れている。

国会審議でも、「国民の理解を得るためには、増税の前にやらなければならないことがある」、「まだ予算でバラマキ的なものがある」、「今の経済下で実施すれば景気にマイナスではないか」、「税収増につながるとは思えない」、「経済成長に向けた戦略は」、「政権与党の民主党がまとまっていないのではないか」など、辛辣な質問が野田政権に浴びせられる。

しかし、野田政権の対応は、今国会で成立を目指す。今のような経済環境下でも増税実施はGOだという。

肝心の経済成長へ向けた政策は政府は打つ手なしの状況で、日銀の更なる金融緩和を期待しているようだが、日銀だって行き過ぎた金融緩和には警戒的だ。

一番大事なことは、負担を強いる国民の理解を得ることであるが、今のような政治で国民の理解など得られようがない。民主党、自民党など既成政党への信頼は落ち、第3極、無党派層が増えている。

民主党の事前審査では、反対論が出て修正も加えられているが、「選挙が怖い」が先行して反対論も歪曲化して伝えられた。

このままのゴタゴタの中で増税に向け無理強いしても国民の政治不信は高まるばかりだ。ここはクリアーな政治にすべく解散・総選挙しかないのではないか。

「先送りはダメ」という政治家、エコノミスト、市場関係者も選挙をやって国民の信を問う時間的猶予も許されないというのか。

財政再建、市場の安定も必要であるが、政治の安定はそれよりも先に必要ではないのか。

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