2014年11月30日日曜日

野党再編のカギ?:支持団体の意向、無党派層の「風」次第か

野党再編のカギは各党の支持団体の意向、46%を占める無党派層の「風」次第と言うことか。自民党一強に対抗するには野党が結集しなければならないと今回も各党のメインになる政治家が動くが、枠組みを作るにも選挙までに時間がないと失敗に終わったようだ。

新聞報道では民主党の前原さんが「新党結成」で極秘の動きもしていたようだがそれぞれ思惑がありそうだ。
               
民主党には連合、労組という支持団体があり、票集めの要になっておりその団体の意向に反して結集するとなると離党騒ぎになってくる。海江田さんが最も避けたい事態だ。

一方、民主党内の保守派を含めて維新の党など野党の保守系の議員は個人の人気+無党派層の「風」になる政策が必要になる。

民主党の前原さん、細野さんらのグループ、維新の党の橋下さん、江田さんのグループもそうだ。労組などの組織票がないから身軽ではあるが強い支持基盤に欠ける。

今回解党騒ぎになった「みんなの党」の実情をメデイアの報道で追ってみた。

65選挙区で国会議員18人、280万票、比例区で525万票があったようだ。渡辺さん、江田さんの「第三極」構想に賛同し無党派層の「風」となったのか。

それが渡辺さんの8億円借金問題、野党再編のやり方での意見の対立などでゴタゴタが生じ離党者が相次ぎ、結局解党になった。これと言った支持団体がなかったことも大きな要因ではないか。政党交付金の15億円を国庫に返納するという。銭ゲバでもなかったようだ。

でも、解党後の議員の「生き残り」をかけた行動は変節と言われても仕方ないことだ。民主党に戻る人もいるようなので「収斂」現象も出ているのか。渡辺さんの行政改革に賛同し加わった議員もいるはずで民主党に戻ることは行政改革の旗を降ろしたことになるのか。

今回の選挙では「みんなの党」が持っていた280万票が草刈り場になるが、この無党派層がどんな「風」で動くのか。

意外に棄権に動き、低投票率の原動力(?)になるのか。
私も無党派層の一人のような者だが棄権だけはしたくない。野党保守系議員に「風」をふかせる程の政策を打ち上げて欲しいと思うのだが。


もう時間がない。選挙後の再編の動きに注目なのか。

2014年11月29日土曜日

小保方さんのSTAP細胞検証実験終了:何か「微妙な結果」だったのか

理研は30日で小保方さんによるSTAP細胞の有無を検証する実験を終了するという。結果は公表するが、データの解釈に時間がかかるために時期は未定だそうだ。何か「微妙な結果」だったのか。

検証実験は11月末までと言うことだったので注目していたが、産経ニュースWeb版(2014.11.28)と毎日新聞Web版(2014.11.29)に同じ内容のニュースが載った。理研がプレスリリースしたのか。

第三者機関の検証実験はことごとく失敗しているのに、「小保方さんだけが成功した」と言ってもその価値には疑問が残るし、STAP細胞の論文自体が撤回されたのだから実験する価値がないと言う批判もうなずける。

データ解釈に時間がかかるというのも可笑しい。また小保方さんが変な考えを示し理研が振り回されることになるのか。

これからデータを整理、解析すると言うが3ヶ月の間節目節目でPDCAサイクルを回し実験計画を立て進めていたのではないか。だとすると全体像は分かっているはずで公表時期は未定とは可笑しい。

やっぱり、うやむやの内に幕引きをするつもりか。

そして、日本の科学界の信頼を失墜させた責任は大きいはずだが、野依理事長は報酬の10%カット、3ヶ月の自主返納とは驚く程軽い。

理研は、小保方、笹井さんのやったこととして責任回避し、組織を守るつもりなのか。

最後は、どうすれば捏造論文が書けたのか、その手口を公表する責任がある。それが分かって初めて論文不正防止の研究者倫理の教科書になる。

晩秋の池上本門寺

29日は東京も朝から雨だったが、午後3時から晴れ間も見え池上本門寺周辺を散歩してみた。

池上梅園はまだ開園時間だったが、紅葉は遅い感じだ。

池上本門寺 多宝塔 周りの木々で薄暗いが、紅葉はきれいだ
大坊本行寺から階段で本門寺に上る途中の「多宝塔」ではすでに暗くなりかけで雨上がりのために色は鮮明ではない。

銀杏は今が盛りか
階段を上がりきった本殿横の道路際の銀杏の紅葉はまだ見頃だ。若いカップルも携帯で銀杏を背景に写真を撮っていた。

五重塔前の紅葉
五重塔付近の紅葉はまだ見れるが、他は落ち葉だ。


日蓮大聖人説法像まえ
雨で落ちた枯れ葉を掃除 冬景色だ
日蓮大聖人説法像前では落ち葉の掃除をしていた。

絶滅危惧種:駅の伝言板

絶滅の危機にあると言う伝言板
東急池上線池上駅 29日撮影
今までは、あっても気にならなかった駅の「伝言板」が絶滅の危機にあると言う。28日のテレビ東京「たけしのニッポンのミカタSP「日本の絶滅危機を追え」」を見ようとチャンネルを合わせると、いきなり東急池上線池上駅周辺が写ってきた。

「何だ」と注意して見ていると、池上駅に設置されているような「伝言板」が絶滅の危機にあるというのだ。

今でも頻繁に通っており、特に伝言板には気を止めなかったし見ても何も記入されていなかったが、以前は国鉄、私鉄ともに駅には伝言板が設置され、「先に行く。○○で待つ」というような内容が記されていたのを覚えている。1週間後に消すとも書かれていた。

でも今は、皆携帯など連絡手段を持っており伝言板は、年配者で持っていない人しか利用価値はないと思ったり、公衆電話があるんだからそれを使ったらどうなんだと思う。

テレビでは若い駅員さんが「10月に書かれていた」と話していたが、29日にはテレビの放映があったためかどうかは分からないが2件の書き込みがあった。

通常は改札口の外に置かれる物だが、池上駅は改札を入らなければ利用できない。

それでも駅舎の工事が始まると撤去されるようだ。今東京で運行会社9社のうちでたった6駅に設置されているだけという。

技術の進歩でハイタッチがロータッチを駆逐していくと言うが、伝言板のロータッチが携帯電話などのハイタッチに押されて消えていく危機にあるというのだ。

池上から久が原まで電車に乗ったが、ほとんどの人が携帯をいじっている。そんな事を考えると「寂しさ」を感じる。


自民、小渕優子さん公認:議員の質より数が大事なのか

自民、小渕優子さんを公認、議員の質より議席数が大事なのか。政治資金規正法違反、公職選挙法違反容疑で関係者が特捜部に事情聴取、家宅捜索を受けた小渕優子さんを今回も自民党公認候補にした。

群馬5区は他に社民党が小林さん、共産党が新人の糸井さんを立てる。民主党は分からなあいが一転注目選挙区になった。前回のように次点に大きく差をつけることは出来ないだろうが、専門家の間では「当確」らしい。

群馬県の有権者がどういう良心を表するかだ。

自民党は他に1区で同じように事務所費で政治資金収支報告書に疑惑の処理がされて閣僚を辞任したり、昨年は女子大学生と援助交際の疑いがある佐田玄一郎さんも公認した。群馬県連は公募で差し替えを訴えていた選挙区だ。

それにしても自民党は「政治とカネ」の問題をどう考えているのか。

例え関係者、秘書がやったこととは言え、政治資金規正法、公職選挙法違反は国会議員の公明正大な議員活動を否定するものであり国会議員にあるまじき行為だ。

まだ本人に責任があり有罪になったのではないのだから「問題なし」と考えているのか。

それともいちいち[政治とかね]を問題にしていたら国会議員になる人間などいなくなるとでも言うのか。

常識的には自分の後援会の疑惑を解明し、きれいにしてからの出馬だから1回休みと言うことなのだろうが、親から引き継いだ地盤を失いたくないとか、議員を辞めると検察の手が迫ってくる危険がありどっちみち茨の道だが国会議員の道を選んだのだろう。

例え、当選し国会へ帰って来れたとしても「政治とカネ」の追求は続くだろう。政治倫理委員会などに引っ張り出されればクリーンなイメージは跡形なしだ。

小渕さんは「群馬のために精一杯頑張る」と立候補表明の記者会見で挨拶していたが、「何が出来る」というのか。

それにしても群馬には世襲議員が多い。小渕さん、中曽根さん(参)、山本さん(参)、福田さん、笹川さん、尾身元財務相の長女も比例区で出ると言う。 

こういう世襲議員を相手に一からスタートする政治を志している者にとっては大きなハンデ-だ。何らかの制限をしなければ政治に参加しようとする国民が離れていく。世襲で議員を擁立する選挙区民は何らかの利権を期待してのことだろうから「政治とカネ」の問題も出てくるのは当たり前だ。

自民党に政治改革、意識改革が微塵もないのか。議員を職業にしてはいけないのだ。


2014年11月28日金曜日

衆院選・立候補者数減少:小選挙区比例代表並立制は立候補の意欲をそいでいるか

衆院選立候補者数が減少すると言うが、小選挙区比例代表並立制導入によって国民の立候補の意欲を削いでいるのだろうか。新聞報道によると、野党第1党の民主党の公認候補者擁立数が衆院定数475人の半数にも行かず政権奪取にはほど遠い凋落状況らしいが、全体の候補者数も前回の1500人から110人に減るらしい。

今までの衆院選の立候補者数がどう変わってきたのか調べてみた。小選挙区制になっても平成8年には1503人だったので、平成2年の中選挙区制の頃が950人だったことを考えると選挙制度は関係ないのだろうか。

2大政党、政権交代可能な選挙を目指すとすると、どこかの政党に属した方がメリットが大きいことになり、誰でも年齢が来れば被選挙権があるのだから立候補できるが実際の立候補には制限となりかねない。

あの後援会イベントで収入と支出に大きな乖離があり政治資金規正法違反容疑、場合によっては公職選挙法違反容疑で経済産業相を辞任し関係者が家宅捜索、事情聴取を受けてた小渕優子さんが今回の総選挙で群馬5区から立候補すると言うが無所属ではなく、本人の希望通り自民党が公認した。

小渕さんには今回特別な理由があるのだろうが政党の公認は大きな効果があるのだ。更に比例区で上位に付ければ地方区で落選しても比例で復活当選と言う奇妙なことが可能になるのだ。

だから政党公認は当選するのは必須条件にもなるのだ。

ところがこの小選挙区比例代表並立制導入で当時の河野洋平自民党総裁が「失敗だった。中選挙区制に戻すべきだ」という発言をしている。

私に記憶では1回目は、講演会(?)で細川政権の時に「政治とカネ」の問題が大きく取り上げられ政治改革の必要性が出てきた。当時自民党総裁だった河野さんが細川さんに呼び出され「小選挙区制の導入」が提案されたそうだ。最初は「政治とカネ」の問題でカネのかからない選挙を目指していたが、いつの間にか「政権交代可能な選挙制度」に問題がすり変わっていたというのだ(私の記憶が正しければ)。

2回目は先の土井たか子さんの「しのぶ会」で、河野さんが「私は間違いを起こした」と小選挙区制導入を反省していた。当時土井さんは衆議院の議長だったが「衆議院選挙は慎重に検討するように」とアドバイスしていたようだ。

カネのかからない選挙ができ、2大政党で政権交代可能であればよいはずだが、実際にはカネがかかりいつも「政治とカネ」の不祥事が後を絶たない。メデイアが政治資金収支報告書を読み漁り次から次へ不祥事を摘出するので、政権の求心力も弱まる。

今回の唐突な解散・総選挙も閣僚の「政治とカネ」の不祥事で二進も三進も行かなくなった安倍総理が打開策の一つとして選んだ手段なのだ。

今、有権者も立候補者も価値観が多様化している。それに対応するには中選挙区制に戻したほうがいいのではないか。

特定政党が議席を独占する弊害だけは避けるべきで、誰でも政治へ意欲があれば立候補できる制度へ改革すべきだ。


そういう声も国会で出てきているようだ。

2014年11月27日木曜日

維新の党を信じる?:橋下さん抜きでは成り立たず、居れば混乱の種

維新の党を信じることが出来るか?橋下さん抜きでは成り立たず、かと言って居れば混乱の種で分裂の危機をはらんでいる。衆議院42人、参議院11人で民主党に次いで野党第2党、自民党一強に対するには民主、維新共闘が必要だ。報道ではゴタゴタはあったが取り敢えずはそれで進むようだ。

維新の党を語るときはいつも「大坂都構想」が前提でくっついたり離れたりする。

民主党とは大阪都構想で対立していたが、民主党が大阪選挙区に公認候補を擁立しないことで民主と維新の共闘が出来た。

公明党とも大阪都構想反対で対立し、橋下さんは大阪3区、松井さんが大坂16区に立候補し公明党候補潰しを目論んだが、結局は出馬を断念することになる茶番劇を演じた。

これら全ては橋下さんの意向が大きい。

更に党内では橋下vs江田の両共同代表の関係も嫌悪だ。橋下さんが大阪で発信すれば東京で江田さんがしかめっ面をし、その逆の場合もある。根本的に政治理念が違うのだから当然だろう。

橋下さんが大阪で、江田さんが東京でと言うことになると2巨頭性だが、総務省には責任者は橋下、本部は大阪で届け、党の要職は維新の会が占めている。

集団的自衛権、消費税増税、原発再稼働など重要政策での食い違いもあり、党内に政策のコンセンサスがなければ国会審議に迫力を欠くことになり野党共闘でもごたごたが絶えないだろう。

野党再編をよく口にする。橋下さんは100人構想を持っていたが中心になるのは維新の会だ。どんなことがあっても「維新」は外そうとしない。一方、江田さんも再編論者であるが今の維新の党は仮の姿とみている。

民主党政権は小沢さんと総理との権力の二重構造でガタガタし分裂した。維新の党も大阪vs東京の二重構造で分裂の危機にあることは大方の見方だ。

今回の選挙も、前回維新の会ブームで当選した新人も多かったが今回は厳しい選挙戦になるようだ。橋下さんが出馬すれば「風」も吹いてくると思っているだろうが本当に橋下さんにその力が残っているのか。

大阪都構想も市議会、府議会は拒否し暗礁に乗り上げているようだ。橋下さん、松井さんに秘策があるようだが、こんな人間に頼らなければならない政党に日本を託せると思うか。

報道では、前回の衆院選前の「比例区で投票する政党はどこか」の設問に「維新」と答えた人は10%だったが、今回は3%程度という。民主党以外の野党がほとんど0%だから高いことに変わりはないが、「維新への風」は前回ほどではない。

橋下さんに振り回される政党にはもううんざりではないか。



自民一強vs野党共闘:共産党は野党ではないのか

「暴走ストップ 政治を変えましょう」
家庭に配布された共産党パンフレット
自民一強vs野党共闘:共産党は野党ではないのか。先の衆院選で圧倒的多数の議席を与えてしまった自民党一強に対して多弱野党は議員の生き残りをかけた離党、入党で右往左往している。今回の選挙では自民一強に対して野党は共闘して対応する動きも出ている。そんな中で共産党は共闘の枠組みに入らないのか。

報道では野党共闘態勢が組まれ、候補者を一本化したり、競合選挙区に対立候補者を立てないなどの協議が進んでいるようだ。

しかし、共産党が共闘する動きは皆無のようだ。

共産党は一時、全選挙区に候補者を立てない動きもあったが、今回はほとんど全選挙区に候補者を立てるようだ。以前聞いた話では共産党の勢力を確認するためだそうだが、選挙区によっては共産党が強い選挙区がある。

今の共産党の勢力は、衆院8人、参院11だ(共産党HPより)。自民、公明、民主を除けば議員数も多いのではないか。

政党支持率も朝日新聞(2014.11.23)の世論調査によると、自民32%、民主6%、公明3%、維新1%であるが共産は2%、他は0%、同じく、「比例区ではどの政党に投票するか」の設問では、自民37%、民主11%、維新6%、公明5%、共産5%で他は0%だ。

野党再編の問題が立ち上がったときに、誰かは忘れたが「政党支持率0%同士の政党が一緒になってもどうしようもない」と言ったことがあるが当然だろう。

地方組織もしっかりしており基礎票も多い共産党を抜きにしての野党共闘はあり得ない話と思うが共産党を相手に共闘を考える政党はない。

何故なのか分からないが、あるところの市長選で現職と新人が立候補したが新人候補者が共産党と政策協定をしたというニュースが流れると、自民党大物が新人の当選回避に動いたという。結果は下馬評では新人優勢だった落選した。共産党は一種独特の存在なのだろう。

でも共産党にも良いところはある。
党財政が裕福なのかどうかは知らないが、唯一政党交付金をもらっていない政党なのだ。自民党は165億円もらっていて自民党財政の60~70%になるという。だから「政治とカネ」の問題が起きると政党交付金の廃止を訴えている。

国会での委員会のテレビ中継を見ていてもしっかりした資料で良いことを追求している。戦闘的な姿勢はない。

今回の選挙に当たっても「暴走ストップ! 政治を変えましょう」と提案、消費税増税、集団的自衛権、原発再稼働など国民世論に背き、民意無視の政治が行き詰まったあげくの
衆院解散だとして、安倍政権と正面から対決し、対案を示し、国民と共同して政治を動かそうと訴えている(日本共産党パンフレット)。

消費税10%は先送りではなく、キッパリ中止する。消費税に頼らず富裕層と大企業に応分の負担をさせ、大企業の内部留保を活用して国民の所得増で税収を増やそうという(同上)。

アベノミクスも格差拡大と景気の悪化をもたらしただけ、暮らしを守る政策への切り替えを提案している(同上)。

大方の国民が感じていることだ。

急遽設置された選挙ポスター掲示板
東京・大田区久が原で
更に、読売新聞(20145.11.27)に共産党の衆院選公約が発表になったが、他の野党が掲げている公約と変わらない。

だったら、共産党も野党共闘に加われば良いのではないのか。

田舎の選挙区では野党から候補者が立たないことが多い。自民党候補者に無所属で誰かが立ち、そして支部役員とか弁護士、医師などの共産党の候補者が立つのが通例だ。

自民党には入れたくないと言う人は、共産党か白票を投じることになる。だけど共産党候補者が当選することは本当に稀だ。

他の例として、自民党、民主党、無所属、共産党の候補者が立った選挙区で次点になった民主党候補者に共産党の票を加えると良い勝負になる例もある。

自民、公明、民主以外で組織や支持票がしっかりしているのは共産党だ。それぞれの選挙区で基礎票を持っている。共産党を加えた野党共闘が出来ないものか。


それとも「真っ当な意見」を言われて「まあまあ」では済まされず主導権争いで問題が出てくるのか。

2014年11月26日水曜日

政府の財政政策、成長戦略、日銀の金融政策に限界?:笛吹けど企業踊らず

内需拡大に出番だが
経団連
政府の財政政策、成長戦略、日銀の金融政策はすでに限界で「笛吹けど企業踊らず」の感がする今の経済情勢ではないか。期待感をあおり企業や消費者が一歩踏み出す気にさせることはなかなか難しい。それでも自民党は選挙で「日本全国隅々までアベノミクスの成果を」と更なる政策を掲げるし日銀は追加緩和までやってしまった。この状況下で脱デフレ、好ましい経済循環が確保できるのか。

各メデイアの世論調査のトップは雇用、賃上げ、社会保障が入ってくる。財政政策、成長戦略、金融政策→企業活性化→好ましい経済循環→税収増ですべてが解決できればいいが、そうはいかない。

経済界は成長戦略、法人税下げに期待するが国内市場が拡大しているニュースは見ない。逆に海外での生産設備の増強のニュースが見られる。貿易は比較優位の原則があるから、ただ円安になったからと言って今までの動きが急に逆になることなど期待できない。

好ましい経済循環にも内需拡大→インフレが必要だが供給過剰ではインフレは期待できない。「内需拡大」は今まで多くの政権が挑んだが、前川レポート、21世紀版前川レポートに見るように失敗だった。その要因に企業の儲けを家計に再分配することを企業が拒んだのだ。

そういう再分配のシステムができていないというのだったが、今でもデフレ下にあっても人件費のカット、合理化を進めて社内留保に努め、その金額は先には280兆円にもなると言われていた。

安倍総理は「津々浦々までアベノミクスの成果を」と政労使会議で経営者側に更なる賃上げを要求している。法人税下げを賃上げに回せという考えもあるようだ。

どうしてもアベノミクスの成果として家計収入の増加を挙げたいところであるが、消費税の8%への増税、円安に絡んでの物価高は賃上げよりも実質賃金のマイナス成長となり「アベノミクスの失敗」と攻撃されているが、安倍総理は雇用者総所得の指数を挙げて改善していると反撃するありさまだ。

何時まで続く 異次元の量的緩和
そろそろ出口戦略の話を
日銀本店
一方、日銀は先の決定会合で80兆円の追加緩和を発表し、市場はサプライズで受け止め株高、更なる円安に動いた。喜んだのは海外ファンドで儲けを独り占めの感じだが、苦しくなったのは原材料高に苦しみ中小企業であり、消費者だ。

それでも今回の選挙で自民党は「政策BANK」で300項目にあがる政策を提言している。「日本再生のためにはこの道しかありません」では、足元の経済改善に力強い景気対策、雇用・賃上げの増加にともなう経済の好循環、成長戦略実行、法人税改革、低コストのエネルギー需給構造の確立、人材の育成、行政改革、規制改革、観光立国、国土強靭化など今まで言われていた政策を網羅している。

日銀も先の決定会合での追加緩和決定には賛成5vs反対4での厳しい状況があったようだ。日銀系委員は賛成で、民間系委員は反対という構図だ。2%物価目標達成に向けなりふり構わぬ日銀の姿勢が分かるが、日銀の信任も考えてのことらしい。

消費税10%増税でのリスク回避もあるようだ。企業収益、賃上げに効果があるとでもいうのだろう。

でも、15年中頃までに2%物価目標が達成できなければ黒田総裁、岩田副総裁は首だ。朝日新聞(2014.11.26)によると、OECDは15年度の日本の成長率を0.8%と予測している。首は確実だ。

このように政府、日銀の政策が行き図まりその効果に限界が見えているが、自らがんばらなければならない経団連などはどう考えているのか。スーパーなど小売りががんばっている様子はニュースで見るが、製造業はどうなのか。

経団連のHPから「日本経済の発展の道筋を確立する 2014.1.20」を開いてみた。

その中に「成長をけん引する「6つのエンジン」」があり、(1)グローバル化を進める、(2)イノベーションを加速する、(3)国内の新たな需要を掘り起こす、(4)人材力を強化する、(5)成長の基盤を確立する、(6)立地競争力を磨く等を挙げている。

その中で、国内の新たな需要を掘り起こすを見る。

地域経済の活性化としては観光産業の復興、コンパクトシテイ・スマートシテイ―で高齢化、省エネ化により人・物・サービスの集積効果を高め、生産性を高めるとともに新たな需要を創造し産業の新陳代謝を促すという。

基幹産業として大きな役割を担っている農業分野では経営規模の拡大・効率化、6次産業化、輸出力の強化で収益性の高い農業経営を目指すという。

農業への企業参入で規制改革が必要になる。

また、大胆な規制・制度改革で新たな事業機会を創造していくことが重要で「国家戦略特区」「企業実証特例制度」「グレーゾーン解消制度」などのスピード感をもった展開が必要と言うのだ。

政府の政策と整合性されているようだがスピード感をもって内需拡大に効果がありそうな政策があるのか。

政府を頼らず、がんばっている企業の例がテレビ東京の番組などで紹介されている。

大事なのは経営者の意識改革だ。笑顔で満足感の滲んだ経営者の顔を見るとそう思えてくる。

確かに「仕事量は増えたが儲けはない」という中小企業の経営者のコメントを聞くとデフレ下の日本経済から抜け出ていないことが分かる。



2014年11月25日火曜日

争点なき解散・総選挙?:だったら自分で争点を作るしかない

大義なし」、「争点なし」の解散総選挙と言われたが、だったら有権者が自分で争点を作って審判を下すしかない。当初は「争点なし」と言われていたが、ここに来て各党が公約を発表し出した。政権交代選挙では目標数値入りマニフェストが横行したが、大風呂敷を広げた格好になり国民の信頼を失う結果になった。

しかし、実際の選挙突入となると、いつものことだが前職議員、元職議員の「生き残り」をかけた右往左往が始まる。今回も05減での公認争い、維新の党から橋下さん、松井さんの出馬があるのか(実際には出馬なし)、みんなの党、生活の党からの離党騒ぎと話題は尽きない。

特に比例区選出、1年生議員は厳しい選挙になるのか。「2年ではやりたいことも出来なかった」というコメントが多いが、比例区選出議員は地方区で落選したにもかかわらず比例区で復活当選する不思議な結果で有権者の顔も見えず苦戦だ。誰だって地方区での立候補を望む。

メデイアの争点も参考になるが、政権政党の意向を反映したニュースになる可能性もあり要注意だ。特に政権党、各党の姿はメデイアが作り上げた虚像になる可能性があるのだ。
選挙公報などはメデイアの収入源になるのだから選挙でも儲けることが出来る。だから批判など出来ない。

今回の解散/総選挙は「政権交代」ではなく「安倍政権の経済政策の是非」、「アベノミクスで脱デフレ」、「野党勢力の拡大」を問う選挙になる。

今のところ自民党内は勿論のこと、野党でも安倍政権に変わる政権の存在が見えてこない。しかし、「日本再生に「この道しかない」」と言う主張に政策の再検討をさせることは出来る。

しかも与党で過半数が取れなければ「アベノミクスが否定」されたとして安倍総理は退陣するというのだから、「安倍総理退陣」の選択が出来る選挙でもあるのだ。

世論調査でも要求する政策の上位には、雇用、賃上げ、社会保障が占めている。
自分の生活の身の回りを見回し安倍政権の経済政策の効果を検証してはどうか。意外に判断は容易だが、その結果を投票でどう表すか。


無関心の低投票率はさけ最低でも白票で意思表示してはどうか。

2014年11月23日日曜日

22日午後10時8分、長野県北部地震M6.8,震度6弱:測量学の村井先生が警戒ゾーンと指摘

今回の震源域は糸魚川-静岡構造線、新潟ー神戸「ひずみ集中帯」
付近だ。神城断層の一部が動いた?
気象庁の地震情報に記入
1122日午後10時過ぎ、テレビが「緊急地震速報(気象庁)」を流した。身構えいたが揺れは感じなかった。震源は長野県北部、M6.8震度6弱だ。長野県小谷村、小川村で震度6弱、白馬村、信濃町で震度5強、中野、大町、糸魚川、妙高で震度5弱など広範囲に震度3で揺れた。

NHK 緊急地震速報
東京は大田区で震度2だったので揺れは感じなかったが、東京へ来るために環八あたりを走っていた娘の家族が車で揺れを感じたという。

2011年にもM6.7が発生しているが、37分に震度5強の余震の後、238時までに51回も揺れている。気象庁は今後1週間は震度5強程度の余震に注意を呼びかけている。

この小谷村は一度通ったことがあるが地層は脆く、過去に大きな地崩れ事故を起こしたことがある。

震源は、有名な糸魚川―静岡構造線、新潟-神戸の「歪み集中帯」付近らしい。近くに神城断層が分かっているようだが、今まで知られていなかった活断層かもしれないと専門家は言う。

今朝の新聞報道によると、震源域に住んでいる人が「すごい横触れ」「ドーンという突き上げる衝撃」と言っているから相当大きな揺れだったのだ。家屋の倒壊、土砂崩れで通行止め、怪我をされた人が多いようだ。

ところがこの付近で地震の発生を警戒するよう呼びかけていた研究者がいるのだ。

測量学の権威者でGPS測量から地殻の変動を観測し4cm以上の地殻変動があると「要警戒」を指摘している東大名誉教授の村井先生だ。

GPSによる「異常変動全国MAP」
週刊ポストより
先生は、「異常変動全国MAP」を作成し、首都圏・東海警戒ゾーン、飛騨・甲信越・北関東警戒ゾーン、南海・東南海警戒ゾーン、九州、南西諸島警戒ゾーンを設定し、今回の長野県北部地震は飛騨・甲信越・北関東警戒ゾーンに属するのだ。

それによると、白馬では8.33cmの変動を観測していた。4cmが警戒レベルだから異常に大きい変動値になる。
これほどのデータがあるにもかかわらず被害軽減に役立っていないのは残念なことだ。確かに「明日地震が発生するかもしれないので警戒せよ」と言っても広範囲すぎて途方に暮れる。

もう少し前に前兆があればと思うのだ。

今回の長野県北部地震を見ると、4日前の18日にM2.4(震度1, 2.5(震度2),2.6(震度2)の3回の地震が起きていた{気象庁 地震情報}。これを前兆と見るのか。


自民党の「日本再生には「この道しかありません」」には無理がないか

自民党は「今、アベノミクスの成果が、日本を確実に
再生させています」という
自民党HPより
自民党が選挙公報(?)で言う「日本再生には「この道しかありません」」には少し無理がないか。「景気回復にはこの道しかない」と安倍総理は今回の「アベノミクス解散」の最大の争点をアベノミクスの評価に置いた。与党は「成功」、野党は「失敗」と訴えるようだ。

アベノミクスでデフレ脱却は正しい道なのか。

アベノミクスの「第一の矢」金融政策で円高→円安、株安→株高に転じ企業収益アップ→賃上げ→消費、設備投資拡大→税収増と好まし経済循環を考えていた。ところが円安になっても海外へ移転した生産設備は帰ってこず、海外からの企業の誘致も優遇税の効果はない。

政府は税収の乏しい中で法人税を更に10%段階的に下げる手を打っているが内需拡大は覚束ない。脱デフレを目指し2%物価目標達成も政府、日銀は強気だが民間エコノミストは否定的だ。

供給過剰で需要が不足しているのにインフレなど起こりようがないと言うのが経済学の基本だ。

更に、先の消費税増税8%で景気は後退し回復が遅れている。当時は大方のエコノミスト、経済財政諮問会議の民間議員が「増税しても経済は成長する」とコメントしていたはずだが大きく外れた。勿論規制緩和、財政政策の必要性にも言及していたが、その「第二の矢」「第三の矢」に実効性が乏しい。

おまけに我が国は1000兆円を超す先進国一借金が多く、海外からも財政再建が強く要望されている。安倍総理は財政再建、経済再生を車の両輪と言うがバランスを取るのは難しい。

景気後退、回復が遅れている中で更に10%への増税は折角のデフレ脱却のチャンスを台無しにすることになると今回増税を先送りし、その是非を国民に問う解散・総選挙に打って出た。

今回の選挙で、安倍総理は「アベノミクスの成果」に争点を当てたいようだ。

自民党のHPから「景気回復、この道しかない」と言う選挙公約を開いてみた。

新聞報道では「成果をもっと数値をあげて説明を」という安倍総理の要望があったと言うだけあって数値が網羅されている。

就業者数は約100万人増え、22年ぶりに有効求人倍数も1.09倍と高水準になったという。確かに改善しているように見えるが、その内容は非正規従業員数の増加で決して理想的ではなく、また都市と地方では格差がありすぎる。

賃上げも過去15年で2.07%と最高だったという。しばらくは賃上げゼロだったので今回の賃上げは大きい。しかしこれも格差があり先日の政労使会議でも安倍総理が更なる賃上げを経済界に要求したが、経済団体によっては思惑も違う。企業の儲けを家計へ再分配するシステム作りは遅れている。

企業倒産件数も1072件/月から871件/月に20%減ったと言うが、テレビでの情報では今回の円安→原材料などの物価高で中小企業の経営は厳しさを増し円安倒産が増えるとみられている。中小企業の経営者が「コストアップ分を発注企業が認めてくれない」とぼやいていたのを見て安倍総理は「儲かっていますと言うと安くしろ」と言われるので「誰が本当のことを言いますか」と反論していたが経営者の気持ちが分かっていない。

消費税増税分と共に中小企業のコストアップを認めさせる政策をとるべきだ。「仕事量は増えたが儲けはない」という中小企業経営者のコメントにデフレ下の経営が続いていることが分かる。

日本企業の海外インフラ受注が3倍になっているとも言う。安倍総理はすでに50カ国を訪問し原発や新幹線などをトップセールスしているのは確かだ。でも原発輸出には多くの批判がある。

女性の活躍では女性就業者数が80万人増えたという。女性の社会進出は重要であるが安倍総理の女性活用発言は耳にたこが出る位だ。増加の内容がはっきりしないが生活苦から家計収入増の足しに仕事に出ている場合もある。一概に評価は出来ない。

安倍総理のアベノミクスの評価でもデータの取り方によっては逆にもなるので判断が難しくなる。

多くの人は賃上げがあったとは認めるが円安による物価高、消費税8%増税で実質収入はマイナス成長が続くと批判するが、安倍総理は雇用者総所得(雇用者数×賃金)では増加していると抗弁する。
同じ経済指標でないから議論は平行線をたどり有益な議論は出来ない。

経済の国際競争力を付けるために現行35%程度(東京都の場合)の法人税を段階的に25%程度まで落とすという。しかし租税特別措置法など企業への優遇税制を考慮すると、すでに20%台ぐらいにはなっているというのだが、安倍総理は25%にまで落とすというのだ。

また、国債の信用問題もあって財政健全化目標は堅持することを付け加えるのを忘れない。経済再生と財政再建は相反する政策であるが日本再生には車の両輪だと言う。でも歳出を削減するのではなく国土強靱化の名目で公共事業などを増やそうとしている。当然に赤字国債発行で対応することになれば財政出動の一方で財政再建に反することをやろうとする。

財政出動が景気を良くして税収増になれば財政再建も出来るのだが、今そううまくは回らない。

国土強靱化、インフラ老朽化対策、国民の生命、財産を責任を持って守ると10年で200兆円必要と言うが、年に20兆円ものカネがどこにあるのか。どうして捻出するのか。

LED開発でのノーベル賞受賞もあって基礎研究、人材育成や産学官の連携を強化し「最もイノベーションに適した国」を実現するとも言うが、LED開発は相当昔の研究体制の賜である。今、研究開発の特殊法人設置の構想が進んでいたがSTAP細胞論文不正事件で頓挫している。本当に特殊法人を認定しそこに人材、カネを集中して効果が出るのか。寧ろ地方の大学、研究機関、私企業での研究を応援した方が研究の裾野を広げることにならないか。

今、足元の経済状況は悪い。改善のために力強い景気対策を速やかに実施するために補正予算を組むという。経済財政諮問会議でも民間議員が本予算以外に補正予算などが巨額になってきたのは問題で、総合的に見直しが必要ではないかと提言していた。財政健全化からも是非見直しすべきである。

安倍総理が問題点を絞ると言っていたが、経済再生、財政再建だけでも議論は尽きない。

ただ注意しなければならないことは「アベノミクス」という用語を使うことで全てをひっくるめて安倍総理の経済政策を評価することは危険である。

読売新聞(2014.11.23)の世論調査によると、アベノミクスの評価が拮抗しているという。「評価する」45%、「評価しない」が46%だ。

評価しない理由は分かるが、評価するにはどんな理由があるのか。


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