解散・総選挙はそのタイミングより「何を問うか」が重要ではないのか。安倍総理の「今、解散は考えていない」発言が「タイミングは考えていない」に代わり、タイミングだけを残し解散・総選挙が現実味を帯びてきた。
しかし、何故か腑に落ちない。今、タイミングの話が先行し本来あるべき「何が争点で国民に信を問うか」が曖昧ではないか。自民党の長老、閣僚は「解散・総選挙は総理の専権事項」と安倍総理の判断に従う姿勢を見せるが、「今、何故か」の疑問が残る。
「消費税再増税先送りを前提にアベノミクスへの信も問う」という説がある。円安による物価高、先の消費税増税での景気の落ち込みが回復しておらず、7~9月期のGDP成長率にも期待が出来ない。だから今、再増税は避けるべきだが、そうすると野党は「アベノミクスが失敗したのでは」と攻撃してくるのは明らかだ。
それを避けるためにも、消費税再増税先送りとアベノミクスの信認も問うというのだ。
でも野党は大義がないと批判する。党利党略解散、全て投げ出し解散、在任日数を2年も残し、600~700億円を無駄遣いするのかという。
確かに、今議論されているのは政策を後回しの政治スケジュール先行で、自公は12月2日公示、14日投開票と言ってみたり、9日公示、21日投開票ではどうかという。
本来であれば与野党が政策を戦わせ折り合いが付かない場合に解散・総選挙で国民に信を問うのではないか。
まず、国会、衆院予算委員会で安倍総理の経済政策、デフレ脱却等の政策論争、ドンドン海外へ出て行く安倍外交、「政治とカネ」での閣僚のW辞任、次々に出てくる閣僚の不祥事における任命責任などを問い、場合によっては内閣不信任を出すべきではないのか。
同じチャンスは26日の党首討論だ。
ここで安倍総理vs海江田代表の討論で「では、解散して国民にどちらを支持するか信を問いましょう」と言うことにならないか。
先の衆院選も党首討論で野党・自民党の安倍総裁が民主党・野田総理に「近いうち解散とは何時か」と詰め寄ったとき野田総理が「何々などを約束してくれれば明後日の16日に解散します」「約束出来ますか」と安倍総裁に問いかけ解散・総選挙が決まった。
民主党政権で「決断できない政治」「進まない政治」が問題になっていたが、野田総理は「前に進める政治」を目指していた。
いつも平行線をたどり何も決まらない党首討論にあって野田総理の決断を「さすが」と思ったほどだ。
大義の不明確な解散・総選挙では政治不信を招き、低投票率で政治離れが進むだけだ。
しかも今、安倍総理の経済政策に疑問が出て来ている。大企業や富裕層は株高、円安で潤っているようだが格差は拡大する一方で、私たちの生活は厳しさを増している。円安による物価高、景気後退でスタグフレーションの危機でもある。
「第一の矢」で強力な金融政策を日銀ととってきたが、今その協調関係が可笑しくなっていないか。
先の決定会合での日銀の80兆円にもなる追加緩和は消費税再増税に向けたリスク回避のために取ったサプライズの追加緩和だったはずだが、ここで安倍総理が消費税再増税を先送りするとなると、あの追加緩和は何だったのか。
経済政策の整合性も見られなくなってくる。
今回の解散・総選挙で安倍総理、黒田・日銀に「NO」だ。
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