消費税10%への是非を安倍総理になったつもりで考えてみないか。来年10月の消費税10%へ向け、その決断の時期が迫っている。安倍総理は7~9月期のGDP成長率や諸々の経済指標を勘案して判断すると言っているが、1人では決められず「点検会合」と称して40人ぐらいの有識者からの意見を聞くという。
前回の8%への時も同じようなことをやってGO判断をしたが、これはいつもの工程なのか。今、まさに「万機公論に決すべし」なのだ。
この「点検会合」も賛成多数という見方が多いが、誰かが過半数ではなく60%位の賛成が欲しいと言っていた。メンバーを選考するときに、そこのところも配慮されているのだろう。
肝心の自民党内も賛否が分かれている。「アベノミクスを成功させる会」は増税反対、自民党税制調査会は賛成だ。この2つの組織が同日に会合を開いて気勢を上げているのだから裏に何かがあると勘ぐるには安い。
自民党の考えは「デフレからの脱却」「アベノミクスの成功」が喫緊の課題で賛否もそれに則っている。
ところが、2つとも同時に達成出来ないから話はこじれてくるのだ。
賛否それぞれにその理由が挙げられている。
(1)賛成派は先送りすることによるリスクが大きいという。国債の信用が下落し長期金利が上がることへの心配だ。しかし、事実に基づいたリスクではない。賛成派が増税したいがために主張していることだ。
(2)逆に、やった場合のリスクとして経済の更なる停滞、物価高の不景気、所謂スタグフレーションの危険はあり得る話だ。海外からも日本のリセッションが心配されている。
(3)法ですでに決まっていることなので粛々とやるだけだとも言う。でも附則第18条の景気条項も法ではないのか。だから今皆が議論しているのではないか。
また、法改正が必要だが時間的余裕がないともいう。しかしすでに野党が先延ばしする法案の提出を計画しているではないか。賛成派はただやる気がないだけの話だ。
(4)増税は国際公約されているとも言う。恐らくG8, G20で財政再建策の一環として増税が上げられていることなのだろう。これと言った効果のある成長戦略が見つからない今となっては、増税しかないのは当然だろう。しかし、国際公約されているかどうかは疑問だ。
(5)消費税増税分は全部社会保障に回すから問題はないとも言う。しかし、いままでのような予算執行をされていると増税分を公共投資などに回すことは自民党ならやるだろう。迂闊に信用してはいけない。
財務省や族議員は予算編成に余裕ができると期待しているのだ。
(6)更に増税により景気に悪影響もあるので5兆円に上る補正予算などの経済対策が必要だと賛成派は必ず言う。そんな必要があるということは「今、増税のタイミングではない」と言うことではないのか。
なんの対応も必要なく増税するのが普通のやり方だと思うが。
(6)増税することにより若者への負担が軽減し安心感から消費がのびるという考えがある。どの程度課税が減らせるのか知らないが、家計収入増加→可処分所得増→消費増→物価高→好ましい経済循環が理想だが消費税増税にこの効果があるのか。
色々考えてみると、今の経済状況では増税により更に消費が停滞する一方、今進んでいる円安による物価上昇でスタフグレーションになるのではないか。
今しばらく日本経済の再生状況を見て決めるべきではないか。このままでは「アベノミクスが破綻する」と心配して先送りを提案する人もいるがアベノミクスは元々日本経済を再生する効果はなかったとみるべきではないか。
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2014.11.06掲載
消費税10%賛成でも経済対策が必要?:結局は再増税のタイミングではないと言うことではないか
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