26日の党首討論でせめぎ合いの結果、解散・総選挙の話になればメデイアが流す観測記事が現実になる。そうなれば、安倍総理、黒田・日銀総裁に「NO」をたたきつけるチャンスになる。先の解散・総選挙は民主党政権の野田総理と野党自民党・安倍総裁の党首討論で飛び出したが、今度は26日の安倍総理と民主党・海江田代表との党首討論で解散・総選挙が飛び出すのではないか。安倍政権、黒田・日銀に審判を下すときがやってくるのだ。
安倍総理は訪問先の中国で「解散を今は考えていない」と常識的発言を繰り返すが、与党、野党共に歓迎の空気だ。国民も安倍政権になって2年、目に余る安倍政権の横暴さに怒りを覚えているのではないか。
でも何故、今の解散なのか。
前回の消費税増税での景気の下振り、回復の遅延、閣僚のW辞任など「政治とカネ」の問題続出でも内閣支持率は大きくは落ち込まなかった。今後の政治スケジュールを見ても沖縄県知事選、統一地方選では政権与党の惨敗は見えている。
そして問題の消費税再増税に際して、経済指標の好転は期待出来ず賛否両論だが民意は、今の経済下では再増税反対だ。自民党内に増税論が根強いと言い安倍総理は判断に窮するはずだ。
よく言われている再増税しなかった時のリスクと再増税を決断した時のリスクは比較が難しい。そういう事例がないのだ。皆、想像で言っていること。
おまけに安倍総理のアベノミクスの信任もある。再増税できなかった理由にアベノミクスによる長年の課題である「デフレ脱却」、「日本再生」に失敗したと思われたくないのだろう。
そして、10月31日の日銀の追加緩和80兆円の決定では市場にサプライズと受け一層の円安、株高の傾向が出て来て、安倍総理をして「概ね好意的に受け止められている」とコメントしたほどだ。
出口政策もなく、なりふり構わず「デフレ脱却」を目指す黒田・日銀も一枚岩ではなさそうで決定会合でも5vs4で民間委員は全員反対なのだが、内容を見ると黒田総裁始め日銀側がごり押しした格好だ。
一時17000円台だった株価も10日は約100円安の16780円53銭、円
相場も115円台になったが10日は26銭高の114円01銭、金利は0.455%で低金利が続く。
でもここに来て本当に株高なのかという疑念も出て来た。
東証も海外投資家が全体の70%を占めるほどになった。彼らはドル換算で株価を見ているとすると円換算では株価が上がっているように見えるが、ドル換算すると147ドル近辺を上下しているだけだ。10日の16780円もドル換算では147ドルになり株高になっている風には見えない。。
あるエコノミストは「株価150ドル」で売りだという。海外投資家はそれが上限とみているようだ。
円相場だって円安になっているように見えるが、名目レートと実質レートがあり、名目で1ドル110円の円安でも物価や賃金の上昇で実質レートは円高になる。購買力平価の考え方では国内の物価が上昇することで名目レートも円安方向に動くというのだ。物価から為替レートへの影響にも注目しなければならないのだ(読売新聞 2014.11.9 デフレで大幅な円安に)。
安倍総理の自慢するアベノミクスも崩壊寸前なのだ。そういえばアベノミクスを発表したとき、格差拡大をもたらすだけの「バカノミクス」と言った経済学者がいたが、その通りになりそうだ。
円安は物価上昇で「悪い経済循環」を伴い物価高での不景気の様相を呈しスタグフレーションが心配される。
経済成長を促すG20で麻生財務相は「アベノミクスで脱デフレを目指している」と鼻高にコメントするも海外では日本のリセッションを心配しているのだ。
一方、アベノミクスを援護する日銀は追加緩和を発表したが、日刊ゲンダイのWeb版でトムソン・ロイターは「ブラックホール下する日銀国債購入」という記事を配信したという。日本国債が高値で低金利を保っているのは信用があってのことではなく、市場に出回っている現物の国債が少ないためだという。今、日銀は70%以上の国債を購入しているが売るときは一気に国債が下落する危険をはらんでいるのだ。
こんな日銀に「日本の物価安定」を託せるとは思えない。
又、安倍総理の危ないところは、自分の政策を進めるに当たって人事にまで介入することだ。日銀総裁の更迭、内閣法制局長官の更迭そして気にくわないからと言ってNHK会長人事に介入する。
改造内閣では閣僚の不祥事が多発している。国会で任命責任を問われると、「責任は感じている」「本人にしっかり説明するように言っている」と繰り返すばかりだ。女性閣僚だから悪いことはしていないだろうと思っていたが男性閣僚と同じように悪いことをしているのだ。小渕さんの不祥事には驚くばかりだ。
そして、安倍さんの総理としての器の小ささには愕然とする。どんな力を持っているのか知らないが、総理という絶大な権限でやりたい放題で総理の資質は持っていない。「政治とカネ」の国会審議でも自らに吹きかかる火の粉に激高し、不祥事では個人名を挙げて反論するばかりで、こんな人間が海外を訪問して本当に尊敬されているのか、はなはだ疑問だ。
日本国を代表する人間とは思えない。
更に、一番困るのはポスト安倍をことごとくつぶしていることだ。
先の自民党総裁選の1次選では石破さんがトップで、国会議員のみの決戦投票で安倍さんが出て来た。国民的人気は石破さんにあったが、党改革などを訴える石破さんに驚異を感じた派閥の領袖が安倍さんを支持した。安倍さんは対抗馬に危機感を感じたのだろう。ポスト安倍の候補者を閣僚や党人事で囲い込む戦術に出ているのだ。
石破さんも当初は反論していたように見えたが今は毒牙を抜かれた感じだ。
朝日新聞の世論調査(2014.11.11)では内閣支持率は7ポイント下がり42%になった。支持する理由も自民党中心の内閣で政策面を上げる人が多い。安倍さんでなくても良いのだ。
「安倍内閣の支持を続けるか」との設問にも「支持を続けるか分からない」が「支持を続ける」を上回った。
自民党にとって政権を維持するためにもポスト安倍の育成が重要なのだが、安倍総理は分かっていない。
安倍総理のアベノミクスでは大企業、富裕層が恩恵を受けるが、格差は拡大を続けるばかりだ。米国の中間選挙でも「格差拡大」に嫌気のさした国民がオバマ政権に「NO」を突きつけた。
この辺で解散・総選挙も難しい選択だが、与野党がどう戦いに挑むか。安倍総理はアベノミクスを正しく評価しなければ国民は離れていくのだ。
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