2017年10月8日日曜日

憲法改正:安倍総理! 現憲法の何処が気にくわないのか

安倍総理! 現憲法の何処が気にくわないのか。「押しつけられた憲法」「自主憲法制定」「自衛隊の存在」など安倍総理が憲法改正を推進する根拠であったが、総選挙告示を前に最近トーンダウンしていると思っていたら7日の各党党首討論会で改めて「憲法9条にシビリアンコントロールを明記」すると言い出した。

今回の解散総選挙を野党、メデイアから「大義がない」と批判されると、「国難突破解散」と銘打って少子高齢化、相次ぐ北朝鮮の挑発行為、憲法改正そして消費税増税分の使途変更などの安倍政権に立ちはだかる国難の突破策を国民に問うたことになる。

ところが民進党と希望の党との合流は政権交代の選挙と小池さんが言い出したがゴタゴタ続きの合流劇で一時の風が弱まったと見てか安倍総理は逆手にとって「どの政党に任せるか」が問われる選挙と言い出した。

そして念願の憲法改正を争点にその是非を問うことになった。

安倍さんにとってはライフワークの憲法改正だ。手続きに残っていた「国民投票法」を制定し、集団的自衛権も閣議決定という解釈改憲をやってのけた。これには法制局長官の首をすげ替えての無理押しだった。

安倍総理が憲法改正に走る要因に「押しつけ憲法」、「自主憲法制定」「外国ではしょっちゅう改正、我が国は一度もない」が上げられるが、本当にそうだったのか。日本国憲法の歴史を見直す必要があったが、今回そのチャンスがやって来た。

107日、ユネスコ・アルムに・クラブ(大学などでユネスコ活動をやっていた人たちのOB,OG会  山本章博会長)が設立30周年記念講演会を東大で開催し、それに参加した。講師は学長も経験した福島大学名誉教授の吉原泰助先生で講演題目は「歴史の中の日本国憲法」だ。副題には「恐るべき自民党草案」とでもつくか。講演内容は憲法の法理論も含め難しい内容だったが、各所にわかりやすい事例をはさみながら講演された。

先生の講演、提供された資料から安倍総理の憲法観のデタラメさが分かった。

自民党草案について、先生は憲法は国家権力から国民の権利を守る内容でないといけないが自民党草案は国家権力のために国民の義務が規定されているという。

私も自民党草案を一度開いてみたが、国家権力が国民に義務を課し自分たちがやりたい放題出来る内容で、こんな憲法が国会審議にかかり国民に提案されると思ったらゾッとする内容だった。バカらしくて全部を読む気にならなかった。

他に権威のある憲法草案があるのか。各党が作製していると言うが分からない。

「押しつけられた憲法」の考え方には私も反省できない。GHQが日本側に憲法草案作成を指示し、政府、内閣を始めいろんな団体が試案を世に問うた。政府は最終的に草案をGHQに提出したがGHQは「これでは民主政治にほど遠い」と、GHQ自ら起草に踏み切った。少人数で短期間に作成したようだ。

そのことを安倍総理は「押しつけられた憲法」と言ったが、GHQの草案でないと今のような憲法の内容にはなっていなかったし、日本側に提示されたときから国内でもいろいろ議論され、修正され、新しい国会で審議、制定された。

「押しつけられた」と言うにはチョット無理筋だ。

ところが、吉原先生が提供された資料「福島県が生んだ平和と人権の先駆者」の中で「日本国憲法の間接的起草者=鈴木安蔵」にその辺のことが詳しく説明され、鈴木先生も草案作成に当たったという。その鈴木先生らの草案がGHQに渡っていたら状況も変わっていただろう。

この資料は孫達が憲法を学ぶようになった時に見せようと大事に保管するつもりだ。

また、安倍総理は海外では憲法は「しょっちゅう改正されている」「一度も改正されていないのは日本国憲法だけだ」と訴える。

ところが先生に言わせると、海外の憲法は「しようもないことも書かれている」のでそこを削除、改正されているのだという。「日本国憲法は内容がしっかりしている」ので改正の必要がなかったというのだ。

確かに日本国憲法を見ると必要がないのは「裁判官の待遇の保障」条項ではないか。その他には見当たらない。しかも改正する事など考えていなかったように手続きがはっきりしないのだ。世界一硬性憲法なのだ。

今回の選挙では自民党、維新の会、日本の心が改正推進、そして希望の党も議論を進める、公明は慎重派と選挙後は憲法改正の審議が進むだろう。

幣原総理は終戦直後の日本で、これから世界に執って立つには「戦争放棄」しかないとマッカーサーに戦争放棄の9条を直談判した。それから70年、安倍総理は「日本が世界の中心」輝く立場から憲法9条改正、自衛隊の存在を憲法で明記する考えを示した。

そして、「海外で戦争することはない」とも言う。しかしそんな保障は歴史を考えてもないのだ。

参考資料
福島が生んだ平和と人権の先駆者たち  吉原泰助 福島県九条の会



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