2014年10月31日金曜日

小渕さんが圧倒的強さを誇る群馬5区:強力な対抗馬が出ず、お山の大将だったか

「政治とカネ」に大揺れの小渕さんだが、選挙区である群馬5区では、これと言った対抗馬がおらず圧倒的な強さを誇るお山の大将状態だった。当然、政策や選挙で切磋琢磨する必要はなく、旧態然とした選挙運動をしていればよかった。そういう環境が今回のような政治資金規正法違反疑惑が出てきたのではないか。

私も40年近く中選挙区制の群馬3区、ついで小選挙区制の群馬5区に住んでいた。小渕さんに投票した記憶はないが、小選挙区制になって区割りの見直しがされた結果、生活圏の違う町村と一緒になったために選挙からも足が遠のいた経験がある。

5人定数の中選挙区の時は、福田、中曽根、小渕の3人がトップ当選をねらって激しい選挙戦を繰り広げていた。

福田、中曽根さんの間で小渕さんは「ビルの谷間のラーメン屋」と言ったそうだが、私は「一輪の花」と聞いたことがある。

小渕さんが初めて立候補した時、中曽根さんが「小渕さんに票を一部譲ろうか」といったエピソードは、私も何回か聞いたことがあるが、ある時は立ち会い演説会で「小渕さんに負けたら私は目がないんです」と言ったことがある。何かの原因で中曽根さんが最下位の予想が出ていた時だ。総理を目指そうとするときに小渕さんに負けて最下位は屈辱だったのだ。この時は中曽根さんは2位ぐらいで当選したと思う。

自民の3人が激しく競り合うので「総理が出ても何もいい事はない」と有権者は公共事業などをもってこなかったことを悲観していたが、3人のうちで誰かが公共事業をもって来ても他の2人が「俺が持ってきた」と言いふらすので、だれも公共事業をもってこないんだという話を聞いたこともある。

でも中曽根さんが原子力研究所をもってきたぐらいだ。高崎市内の17号線と18号線が交わるところは長く渋滞が起きていたがさいきんになって解消工事がされた。

高崎、前橋などの都市を含んでの選挙区では強力な対抗馬で選挙も活性化するが、小選挙区になり約30万人という有権者数の数合わせで区割りをされると、山間部の田舎選挙区になってしまう。

群馬5区では、小淵恵三さんの地盤だったこともあって小渕ブランドの力は大きく、圧倒的に強いために対抗馬が尻込みしいい人材が出てこない。だから小渕さんは野党時代も通じて次点に10万票以上の差をつけて圧勝する結果になっている。選挙予想は常に◎で安泰だ。

私はハッ場ダムを民主党が反対して事業中止を訴えていた以前から取材しているが、「コンクリートから人へ」と選択を迫った時に民主党候補は出てこなかったのではないかと記憶している。ところが小渕さんの動きも鈍かった。その理由はハッ場ダムは福田さんの案件だったことが分かった。

小渕さんが選挙区にどう貢献したのか分からないが、2007年の群馬県知事選で現職の小寺さんが自民党の公認を得られず、「県民党」で立候補した時、自民党は県議の大沢さん(現知事)を公認した。その時の選対の責任者が、今小渕さんの「政治とカネ」で話題になっているキーパーソンの折田さんだったのだ。

知事選の結果は、小寺優勢の予想に反して大沢さんが当選した。

新人県知事を支えたのだから、その後、折田さんは群馬の政界の大物の地位を確保したのは容易に予想できる。

今回の小渕後援会などの政治資金の収支報告書で収支が合わない事態が発生しているが、その責任者であった折田さんは東京地検・特捜部の任意聴取で「収入の一部しか掲載していなかったことに違法性を認識していた」というニュースが流れた。単年度だけではないので相当悪質な確信犯だ。

選挙区でもないのに高崎市内に後援会事務所を構えているということは、県内に権勢を張り巡らしたいためなのだろうか。相当利権もあったのだろう。

先に、記者の取り囲み会見で「裏金づくりではしていない」「私的に使っていない」とコメントしていたが、そうとは言えない状況になってきた感じだ。

テレビの情報番組では、「小淵議員まで行くハードルは高い」とコメンテーターが発言していたが、小淵さん本人の関与があったかどうかが分からないのだ。

でも、ベビー用品、化粧品などの購入も明らかになっている。小淵さん本人ががどう認識していたかだ。記者会見では「○○○と認識している」と話している項目があったが、それが本当に違反していないのか、疑問が残る。

一部メデイアは「辞職を検討」というニュースを流すと小淵事務所は「誤報」と言う。

他のニュースでは辞職の場合は他の議員や参議院議員が選挙区を狙っていると言う。小渕さんも政治家生命をかけた決断になる。小渕の地盤を失うことになるのだ。そう簡単には決断できないだろう。

対抗馬が出にくい選挙区は民主政治に反しないか。世襲制を廃止して誰でも一から挑戦できる選挙を目指した方がいいのではないか。

















2014年10月30日木曜日

小渕スキャンダル(3):早い地検・特捜部の家宅捜索で説明責任を果たせなくなったのでは

小渕さんの「政治とカネ」にかかわるスキャンダルも地検・特捜部の早い家宅捜索で資料を押収されては小渕さん側が約束していた説明責任は果たせなくなったのではないか。告発を受けて10日という異例に早い地検の動きに驚く。

今までは、関係者の誰かが事情聴取を受けたという情報があるとまずい資料は隠蔽したり、破棄した後での地検・特捜部の家宅捜索なので重要な資料は見つからないのが通例ではなかったか。

そして地検は、起訴するに十分な証拠が見つからなかったと言うことになる。

ところが今日、前・中之条町長の自宅、小渕優子後援会など関連政治団体の捜索がテレビのニュースで流れ多くの段ボール箱で資料が持ち出されたようだ。

折田・前町長は記者に囲まれて「捜査中なので何もコメントするなと言われている」と言い残し車で走り去った。これから毎日メデイアの追っかけられるのだろう。

こういった政治資金規正法違反疑惑では、「単純な記載ミス」「修正申告で済む単なる形式犯」という議員のコメントが流れるが、今回の小渕さんは「私にも分からないことが多すぎる」と言うように相当悪質で複雑な違反事件であるようだ。

小渕さんは弁護士を入れた第三者委員会で調査してもらうと言っていたが、ほとんどの資料が押収されては調査のしようもないのではないか。

独自の調査が不可能となると地検・特捜部の捜査結果を待つしかない。

小渕さんはどう対応しようとしているのか。野党からは責められ、説明責任が果たせないのであれば議員を辞職するしかない。



安倍総理の女性登用:入れ込みすぎて墓穴を掘るか、小保方STAP論文捏造事件も同根だ

安倍総理の女性登用政策も入れ込みすぎれば墓穴を掘ることになるか。理研の小保方STAP細胞論文捏造事件も同根だ。安倍総理のたっての希望で小渕さんを経済産業相という重要閣僚に登用したが、後援会や政治団体の収支報告などの疑惑が持ち上がり小渕さんは辞職する羽目になった。そして今回の政治資金規正法などの「政治とカネ」の違反容疑は与野党入り乱れての混戦模様となってきた。

若い女性が活躍できることを科学界でも期待できた。理研の小保方さんも故笹井さんをはじめ理研トップの寵愛をうけたが、論文捏造事件にまで発展し日本の科学界の信用を著しく失墜させるとともに、笹井さんと言う貴重な人材を失う結果になった。

若き女性の活躍を夢見ることはいいことであるが、行き過ぎは悲惨な結果をもたらす。

安倍総理は政権の人気取りにどうしても小渕さんの登用は欠かせないものと思っていたのだろう。自民党・幹事長候補にも挙がったが、結局は経済産業相として重用することになった。

小渕さんと言うブランド力、山間部の選挙区ではあるがめっぽう選挙に強い、経歴も自分によく似ているということで入れ込んだのだろう。

ところが、小渕さんに自らの後援会、政治団体の収支報告書で政治資金規正法違反の疑いが出てきて公職選挙法にも抵触する事態になり、「分からないことが多すぎる」と説明責任を後回しにして辞任することになった。

そして「すべて私に責任がある」と秘書経験のある中之条町長の折田さんが町長を辞職したが、東京地検特捜部に事情聴取を受けているようだ。今日のニュースでは、地検特捜部が関係先の家宅捜索やっているという。証拠隠滅の恐れがあり早い時期の捜索となったようだ。

これで一層窮地になった小渕さんは議員辞職しか道はないようだ。

一方、笹井さんに寵愛された小保方さんは、晴れ晴れとした論文発表記者会見でデビューしたかに見えたが、早くも論文のコピペ、改ざん、捏造疑惑が出てきて世間を大騒ぎさせた。

理研自身もねつ造を認め、論文撤回を促したが小保方さんは「STAP細胞はあります」と最後まで抵抗した。最終的に撤回に同意した。今、小保方さん自ら再現実験をやっているようだが、途中経過は全く分からない。

あれほどの笹井さんが「どうして不正が見抜けなかったか」の疑問が残るが、笹井さんはデータの不正を知っていたのではないか。それでも若い女性研究者がノーベル賞級の研究をしていることを世間に発表したくてごり押ししたのではないか。

笹井さんの記者会見でも、3つの現象を取り上げて、「STAP細胞の存在なしには説明がつかない現象」と説明していたが、論文撤回には同意した。

何かしら無理やりにSTAP細胞存在の可能性を説明したような感じで痛々しさを感じたものだ。

「女性の活躍」「女性の登用」を訴えるのはいいことだが、深入りしすぎは墓穴を掘ることになる。

「若い」というこもアピールしたいのだろうが、しっかり吟味してのことだ。小渕・ブランド、ハーバード大・ブランドに目がくらんでは国民を騙すことになる。

これで安倍総理の「女性登用」も色あせてくるのではないか。


2014年10月29日水曜日

国会会期末まで1カ月:安倍総理の3本の矢は折れ、野党が「「政治とカネ」の矢」を放つ

今国会の会期末まであと1カ月、安倍総理の3本の矢は外れたり折れて、逆に野党が「「政治とカネ」の矢」を放った。次々に出てくる現職閣僚の不祥事に交じって野党議員も安泰ではない。攻める方も何時わが身かという状態だ。

重要課題である労働者派遣法改正、地方創生、女性活躍関連法案などの審議が停滞し委員会は「政治とカネ」の問題で動きがとれない。

ところが閣僚の「政治とカネ」の問題もメデイアの世論調査では内閣支持率は50%前後で大きな下落はなかった。政権、与党は「経済をしっかりやれ」という国民の声が反映しているのではないかと言うが、野党への不満も増えている結果ではないか。

安倍政権の経済政策をアベノミクスと称し大層な経済政策と見せつけ3本の矢を放ったが、外れるか折れる結果に終わった。しかし、経済は円高から円安、株安から株高へ転換し3本の矢の効果とは別に安倍総理は評価された。

自民党内も野党も経済の好転に安倍総理を批判することすらできなかったが、アベノミクスの評価も落ちはじめ、党内の不満に答えて内閣を改造した結果、閣僚に不祥事が発覚し小渕、松島のW辞任で落ち目の安倍総理に野党の攻撃が続く。

あと1カ月、どういう与野党攻防になるのか。野党は不祥事の閣僚を辞任に追い込み安倍総理の首をとろうとする。

安倍政権は「問題ない」として継投を支持するも「本人の説明責任」を要求している。

次々に出てくる不祥事に与党から「解散」の声も聞こえてきた。内閣の支持率も50%前後、野党の再編には時間がかかりそう。維新の党は「大阪都構想」で否決されもたついている。今なら勝てると判断しているのだろう。

不祥事閣僚は辞任しそうにない。安倍総理は「任命責任がある」と言うが口先だけでこの難局をかわそうとしている。閣僚の不信任案、安倍内閣不信任決議案をだしても与党の圧倒的多数では否決されるのは目に見えている。

いっそうのこと解散してくれた方が国民にとっては信任、不信任の判断ができるのだからよさそうなものだが、野党へのけん制ともとれる。

政治は安倍さんのためにあるのではなく国民のためにあるのだ。自民党が政権を継続するためにはポスト安倍を示せ。

2014年10月28日火曜日

続出する閣僚不祥事:今、大事なのは「政治とカネ」か、政策審議か

閣僚の不祥事が続出している今、大事なのは「政治とカネ」か、政策審議か。小渕さん、松島さんの辞任に続き次々に出てくる閣僚の不祥事には驚くばかりだ。安倍政権のアベノミクスで日本経済は再生に向け大きく改善したと見られ安倍政権にくみする者はいなかったが、ここにきてアベノミクスにも陰りが見えてきた。野党が一気に反撃に出た感じだ。

与党、政権は「「政治とカネ」でなく、どうして政策審議をしないのか」と反論し世論に訴えるが、民主党・川端国対委員長は「内閣をチェックするのは野党の大変大事な責任の一つ」と引きそうにない。

確かに労働者派遣法改正案など政権が重要法案とするものもあるが、労働市場の改悪となると野党が言うように廃案にすべきだ。さらに「年内解散」の憶測も出ていることを考えると、そんなに急ぐ法案もないのではないか。

ただ、消費税増税の是非は国民の生活に大きく影響する課題であるが、政権は国会閉会後の課題にしている。

それにしてもどうしてこうも多くの不祥事が出るのか。それがいずれも政治資金規正法違反など議員としての資格にかかわることだからことは重大である。

新聞報道で拾ってみると、宮沢経済産業相の「SMバー」、東電株の問題。望月環境相の賀詞交換会での収支の食い違い問題は朝日新聞のスクープ記事潰しと見られる深夜の弁明記者会見となった。西川農水相は同族企業への支払いなど政治資金私物化の問題。江渡防衛相は政治資金収支報告書の訂正問題と、それに関連して野党からの追及を「クレームをつけた」と発言し野党が硬化した。更に有村女性活躍担当相の脱税企業からの寄付問題と松島さんの「うちわ」問題とは比べ物にならない内容の不祥事だ。

松島さんが辞任したのだからバランスをとるためには全員辞任すべき事態だ。

「秘書がやったこと」「妻に任せていた」という弁解は聞かれたが、「法にのっとってきちんと処理されている]と言う弁解は聞けなかった。閣僚本人も自覚していたのだろう。町村さんは「「知らなかった」と言った瞬間にアウトだ」と派内の懇談会で説諭したというが真っ当な意見だ。

男社会だから悪いこともするのだろうと思っていたが、女性議員も相当なことをやっていることが分かった。日常業務として秘書がやっているのだろうが秘書の仕事=議員の仕事だ。

こんなことをやっていれば議員の資格はなく、閣僚なんてとんでもないことだ。

大した法案がないのであれば、ここはしっかり「政治とカネ」の問題を議論すべきだ。そして不祥事を起こした閣僚は辞任したらどうか。

安倍政権の存在も怪しくなる今の閣僚たちなのだ。


アベノミクス、異次元の金融政策は、ただの経済政策、特別視すると判断を誤る

「アベノミクス」、「異次元の金融政策」は単なる経済政策、経済用語(?)に迷わされ特別視するのは止めよう。確かに安倍総理のインフレターゲット設定、強力な金融政策に市場は期待感から円高、株安から円安、株高に展開したように思えるが、今となってはアベノミクスの評価も下落し、本当の経済の姿に直視しなければならない。

自民党の政策マンは本当にうまかった。長いデフレ、円高、株安に苦しめられた民主党政権に対抗し、アベノミクス、異次元の金融政策と新しい用語を使って「日本経済を再生する」のだと国民に訴え政権奪取に成功した。

野田政権でもインフレターゲット設定、更なる量的緩和を日銀に迫ったが、日銀は日銀でそれなりの政策は採っていた。しかし政府の言うことを聞かないとみると日銀法改正をちらつかせて迫ったが最後は白川総裁を更迭し強力な金融政策論者である黒田総裁を任命した。

変わった日銀総裁は、2年で2%の物価上昇、異次元の金融政策として2年で2倍の270兆円を市場に流す量的・質的金融緩和を打ち上げた。

海外ファンドは、野田政権の時から、次は株価の安い日本を金儲けのターゲットに考えていたが、これを機に一気に日本買いに走り株価は上昇、マネタリーベース増加派が通貨量を増やせば円は安くなるという主張通りなのか円高も円安へと展開していった。

しかし、この過程でも成長が滞りがちになると更なる成長戦略を政府に要求するようになる。

安倍政権は「第2の矢」として財政出動を目指すが、ここに大きなテーマとして財政再建という相反する課題も出てくるが安倍政権は両立を選択した。

「第3の矢」として成長戦略を放つが初回の成長戦略は評判が良くなかったとみて、見直し策が出されるが族議員、既得権益者の抵抗は強く、岩盤規制に穴を開けるドリルの刃となると言うが内容は伴わないテーマだけの政策にった。

アベノミクスと言われる経済政策での「第一の矢」金融政策は何とかなったが、「第二の矢」「第三の矢」は根拠に乏しく実現性はないとみられている。

安倍政権は安倍総理の経済政策を「アベノミクス」と大々的に宣伝したが、真実味のない単なる経済策なのだ。

そして、日銀の2%物価上昇もこのところ停滞気味で前回の消費税増税による反動減の回復が思うように行っていない。政府、日銀の見通しの甘さが目立った。日銀は更なる量的緩和などあらゆる手段も辞さないと言うが決め手はない。

量的・質的金融緩和も270兆円を目指し継続中だが、企業の設備投資は目立った増加はなく寧ろ国債などの購入に回っている。最近は「マイナス金利」の状態が出て来たという。

円安は輸入品の原材料、燃料の物価高が生活必需品などの物価上昇になり、実質所得のマイナス成長とも相まって国内消費が停滞している。日銀は今の物価上昇は単なる円安によるものではなく、量的金融緩和の成果だと日銀の政策の正当性を主張する。

国民は「悪い経済循環」とみるが、日銀は「プラス面、マイナス面もあるが全体としてプラスなら構わないのではないか」と強弁する。

しかし、日銀の言うほど「異次元の金融政策」でもない。中央銀行は金利の上げ下げで景気の調整をするのが伝統的金融政策で量的緩和は非伝統的金融政策だ。経済用語(?)に惑わされてはいけない。

政府、日銀のインフレターゲット設定は、インフレにすれば消費も高まり日本経済は活況を呈することになると言うのだろう。

しかし、今回の「経済の悪循環」では賃上げしたと言っても物価高で実質所得はマイナス成長だ。誰だって消費を抑える。第16回経済財政諮問会議の議事録を読むと、若い世代は収入は上がっているが将来の事もあって消費を抑えている。一方、高齢者は収入が減っているのに消費は抑えていないという。

皆が望んでいた円安になれば輸出が伸びる、海外の生産設備を国内に戻すようになると言われていたが、輸出は金額が伸びても数量が伸びない。海外へ移転した生産設備を国内に戻すには時間がかかると言うことか。

国内での設備投資増は、やはり国内需要があってのことだが国内に残ってがんばっていた中小企業がコストアップ分の製品価格への転嫁を大企業が認めてくれないから経営は非常に厳しいという。景気が良くなったのはどこのことかと疑問を呈するのだ。
国内需要については古くから課題になっていた。

前川レポート、21世紀版前川レポートでも内需拡大が大きな課題だった。結局うまく行かなかった問題は、企業の儲けをどうやって家計に配分するかで企業側が抵抗したことにあるようだ。

安倍総理も「アベノミクスの成果を津々浦々まで」と、企業に賃上げを要求しそれに応えた企業もあったが国民皆が恩恵にあずかったわけではない。おまけに賃上げがあっても消費税増税で実質所得はマイナス成長だ。

更にクルーグマン教授が「企業の儲けは労働者の犠牲に上に成り立っている」というように、労働者を搾取しても内部留保に努めている現状に変わりはない。

失業率は改善していると言うが実体は非正規従業員数が増えていることだ。政府は労働市場の改革を進めているが、こういう改革で本当に良いのかと問いたい。

そして少子高齢化で労働人口の減少が危惧されているが、若者が結婚し子育てをするにはそれ相当の年収、正規雇用の企業を確保しなければならないのではないか。政権がどう対応しようとしているのか分からない。自民党政権より民主党政権の方がマシだったと言えるかもしれない。

兎に角、安倍政権の言う「アベノミクス」「異次元の金融政策」の経済用語(?)に迷わされず、しっかり生活を見て政権を判断すべきだ。

朝日新聞(2014.10.27)の本社世論調査によると、「安倍総理の経済政策で経済成長が期待出来るか」との設問に「期待出来る」が37%、「期待出来ない」が45%と「期待出来ない」が初めて「期待出来る」を上回ったという。

国民の目も変わってきたのだ。


2014年10月27日月曜日

小保方さんと小渕さんとの共通点:本質面での脇の甘さで転落の道へ

STAP細胞の小保方さんと元経済産業相・小渕さんが引き起こした事件の共通点は、研究者として、政治家としての本質的面での脇の甘さで一気に転落の道へ走った。女性登用の機運に乗って華々しく登場したが落胆も大きかった。

ノーベル賞候補級の研究発表した若い女性研究者としての小保方さん、女性で子育て経験者、おまけに「将来の総理候補」と囃し立てられている小渕さんの経済産業相として重要閣僚への登用には驚かされたが、いろんな面で2人には共通点があり私たちにもいろんな教訓を与えてくれた。政党やメデイアの言うことを鵜呑みにせず、正当に評価することの難しさも分かってきた。

STAP細胞の小保方さんには研究者としては命である論文作成、小渕さんには政治家の資格に関する事項とも言える公職選挙法、政治資金規正法の本質的面で脇の甘さを露呈させた。考えてみれば致命傷になる事ぐらい分かっているのだが、小保方さんの記者会見での晴れがましい顔、小渕さんの緊張した就任記者会見からこういう結果になる事が予想できただろうか。

そして、私たちは2人のブランド力(?)に目がくらんだ。小保方さんはハーバード大のバカンテイ教授の指導を受けていること、小渕さんは元総理の小渕恵三さんの後継者であることで研究者の資質、政治家の資質を鵜呑みにしてしまった。

また2人は周囲の有力者の取り込みにも秀でていた。小保方さんは笹井さんの寵愛を受け、小渕さんは自民党の長老、安倍総理からの強い引きがあった。

時は安倍総理の主張する「女性の活躍」「女性の登用」に乗っかり脚光を浴びた。小保方さんは安倍総理とツーショット写真を撮る手前まで言ったが論文捏造事件でキャンセルになり安倍総理は冷や汗をかいただろう。小渕さんも組閣後の官邸での記念写真では最前列で安倍総理の左隣の場所を占めていた。安倍改内閣での目玉人事であることは明らかだった。

でも、華々しく登場した反面、転落も早かった。1か月チョットでの出来事だった。

有名になればなるほど世間の見る目は厳しくなる。

発表論文がネットでその真贋を検証できるなんて思ってもいなかった。小保方さんの論文のコピペや改ざん、捏造が指摘されたのは早かった。最終的にはNature誌への論文は撤回されたが、その間の経緯は理研が小保方さんに振り回される結果になり理研のガバナンスの欠陥もさらけ出した。

小渕さんの後援会など政治団体の収支報告に公職選挙法、政治資金規正法の違反疑惑が出て来た。週刊新潮のスクープ記事から経済産業相辞任までなったが、小渕さんは「私にも分からない」「多くのことが分からない」のフレーズの繰り返しで釈明するしかなかったのだ。今後説明責任をどう果たしていくのか。

一方相違点はあるのか。

小保方さんの「STAP細胞はあります」発言で懲戒処分が先送りになり3ヶ月かけて小保方さん自身による検証実験が行われている。11月まで続けるらしい。その結果を見て懲戒処分の検討に入るという。理研の意向に反し文部科学相、科学技術担当相の口利きで処分が先送りになった格好だ。何やら首がつながった格好だ。

一方、理研はSTAP細胞の特許継続の手続きをしたそうだが、理由は「STAP細胞の存在が否定されているわけではない」というらしい。来年3月末までに理研の検証実験が続くのだが、STAP細胞は存在しないとなれば小保方さんの研究者としての道は閉ざされるのではないか。

小渕さんはどうなるか。議員辞職しなければ厳しい追及が続くだろう。早ければ来年の総選挙で「禊ぎを」という考えもあるだろうが有権者の判断一つだ。議員に留まっても、議員を辞めても茨の道であることには変わりない。こんな旧態然としたお粗末な後援会組織しかないのであれば引退するしかないのではないか。

公人で有る限り、自分の立ち位置で信頼を落とすようなことがあってはいけないし、私たちは公人を評価するときには、ブランド(?)に迷わされず本人をしっかり見ることだろう。

しかし2人は私たちに教訓も与えてくれた。

小保方さんは今後、研究者倫理教育でSTAP細胞不正事件(小保方あるいは理研の冠がつくか)として教材を提供してくれたし、理研の組織の脆弱さをさらけ出してくれた。小渕さんは世襲政治家の是非を考えさせる機会を与えてくれそうだ。選挙に圧倒的に強いと言っても山間部の田舎選挙区だ。対抗馬と政策で切磋琢磨する機会のない政治家にはひ弱さを感じる。

私たちは、2人の事件を無駄にしてはいけない。


2014年10月26日日曜日

経済再生と財政健全化:安倍政権は相反する両立に確信があるのか

政府は経済再生と財政健全化を目指すと言うが両立に確信があってのことか。今まで各政権は2015年にプライマリーバランス半減化、2020年に黒字化を公約しているが、自分の政権では出来ないことを良いことに先送りしている感じだ。どの政権で目標達成すると言うのか。

財政出動で企業活動が活発化し、賃上げで家計収入が伸び税収増、消費増で経済は好循環に入る。うまく行けば税収増で財政赤字も減少に向かうのだ。皆それを狙いたいところではあるが、財政赤字は財政出動に足かせになる。緊縮政策は国民にとっても抵抗があるのは、先の欧州経済危機で証明済みだ。

財政出動か財政規律か。

今、欧州でも仏伊とドイツが路線対立している。フランス、イタリアは財政赤字GDP比3%以下のルールは尊重するも柔軟性も大事で財政出動をドイツに要求するが、ドイツは財政規律を遵守する姿勢だ。EUのもう一つの財政規律目標の「構造的財政赤字ゼロ」も延期する国もある(毎日新聞2014.10.25)。

デフレ危機の正念場に来ており、ECBは金融緩和を打ち出しているが、効果は限定的と見られ金融政策だけでデフレを阻止できないと考えられており欧州の内需拡大を求める声がG20財務相・中央銀行総裁会議で強かった。

我が国でも日銀が実施している異次元の金融緩和も企業の設備投資には回らず金融機関は手持ちのカネを国債で運用しようとしており「初のマイナス金利」で「緩和の限界」を見せているようだ。

ところで、我が国の経済再生と財政再建については第16回経済財政諮問会議の議事録(平成26年10月1日開催)で何が話されているかが分かる。テーマは「経済再生と両立する財政健全化に向けて」だ。

そこでは、歳出の削減、投資の効率的運用、反動減など景気停滞要因などが議論されている。資料提出など議論は民間議員主導で行われている。

民間議員から公共事業は優先度の高い事業、社会保障も効率化と重点化で非社会保障し支出の圧迫を回避、行政システムの効率化、補正予算や繰越金の巨額化のため効率的な予算の仕組みの構築、薬価基準の適正化で医療費支出の抑制等が提言されている。

優先順位、効率化、重点化などいつも言われていることだが、その改善状況はどうなのか。

麻生財務相は、諸外国は財政再建をすすめている中で日本だけ遅れている。プライマリーバランス半減目標達成には27年度の予算が大事になると言う。

民間議員は、社会保障給付額総額107.5兆円のうち高齢者向けは67%に当たる72.2兆円、一方児童/家族関係では5.3%で5.7兆円と非常に低く高齢世代から若い世代へ金を回せという。

内閣府の資料でも300万円以下の低所得者に消費支出を絞る傾向があり、将来のことを考えてのことか。逆に高齢者は収入が減っているのに消費は減っていないという。

新聞報道では反動減の回復が遅れている要因に天候不順が上げられているが、経済財政諮問会議でも検討されていた。

内閣府の資料で7~9月期は2000~7000億円、GDPで0.2~0.6%押し下げる結果になった。天候不順も影響しているだろうが、民間議員は他に実質所得の落ち込みも考えられるという。

黒田総裁は、企業部門では所得から支出へと好循環を維持しているが、家計部門では雇用、所得は着実に伸びているが消費は「少し弱め」という。

円安への影響について、菅官房長官が円安になっても輸出はほとんど増えていない。海外から日本にもどろうとする雰囲気がないと国民の見方と同じ考えを述べているが、黒田総裁は数量が増えないのは海外への移転が増えたためで、輸出を通じて成長率を押し上げる効果は「やや弱め」で、その背景にある循環的要因、構造的要因を十分に勘案しつつ経済見通し、経済政策を考えていかなければならないという。

リーマンショック前の108~109年にもどっただけ(麻生財務相)で、企業の国内生産は「国内需要」プラス「80円でも利益の出る製品」に限定している(民間議員)と見ている。

円安の効果は「タイムラグ」があり、もう少し様子を見るべきなのだろう。円安になったからと言って直ぐには変わらないと言うことか。
経済財政諮問会議での議論は中央官庁でどのように生かされているのか。安倍総理は「経済再生と財政健全化の両立は中長期的観点からも重要な課題で議論を進めしっかり取り組め」と結んだ。

いつも思うことだが、会議に提出された資料の添付が議事録にはない。資料の添付があればもっと分かるのだが。


小渕スキャンダル(2):地検・特捜部は早く折田さんの身柄を確保すべきでは

東京地検
小渕スキャンダルは本人の経済産業相辞任とともに中之条町・町長の折田さんの辞職にまで発展、「全ては私がチェックし作成した」ことをコメントした折田さんを地検・特捜部は早く身柄を確保した方が良いのではないか。

この種のスキャンダルはキーパーソンが自殺し、問題解明に支障を来しうやむやの内に幕引きになる。いつも地検のやり方が問題になるが今回も気をつけなければならないことだ。

24日、折田町長の辞職届けに関する中之条町の臨時町議会が開かれると言うことで注目していた。出席しないことも考えられたが本人が出席し、新聞報道では「批判は重く受け止め、誠に申し訳ない」と陳謝したという。

私も丁度群馬に帰っていたので新聞の群馬版で議会の様子を読んでみた。

折田さんは辞職の理由に、「収支報告書の問題を抱えながら町政を担うことは、ますます混乱を招く」と判断したようだ。「町長の職にありながら小渕さんを全力で支援したが、町長の職務に支障が出たことは断じてない」とも言い切った。

秘書と町長の二足わらじを履いていたが秘書の仕事を優先することにしたのだ。

町議会議長は「もう少し町民の気持ちにより添う説明が出来なかったのか。秘書としての責任を取ることが町長を辞めることと何故結びつくのかわからない」と戸惑うばかりだ。

折田さんは、小渕さんの後援会などで持ち上がっている疑惑の解明に専念するために町長を辞めたというのだが、記者の囲い込みでの「裏金つくりではないのか」との質問では、「着服はしていない」「裏金ではない」と疑惑を否定する。

こういった問題では、当初は全面否定していたが、地検の調べが入ると事実を認める場合が多い。

地検もキーパーソンの証言を取り損なうことのないように、早期に折田さんの身柄を確保した方が良いのではないか。弁護士は異議を唱えるだろうが、公職選挙法、政治資金規正法違反容疑だ。公明正大な選挙を推進する法律に違反しているのだから個人の人権など言っていられないのではないか。

小渕さんは自らの疑惑に「・・・・は承知している」と言うが法に違反していない範囲での承知であって実際は違反しているようだ。

今、有権者も世代交代している。父である故小渕恵三さんの古くからの後援者、支持者をつなぎ止めようと違反であることを知った上での会計処理をやったのではないか。それにしても高額の収支の乖離は「裏金作り」としか思えないのだが。

折田さんは「私が全部チェックし、収支報告書を作成していた」とコメントしこの件でのキーパーソンだ。その折田さんは「問題を解明し、説明責任を果たす」という。

調査に専念し、小渕後援会や政治団体の疑惑が本当に解明できるのか。

折田さんは群馬の政界でも大物らしい。このスキャンダルが群馬県の政界のスキャンダルに発展する可能性もあると思う。そういったことを避けるための策略が必要になるのではないか。

小渕優子さんの残された道は議員辞職しかない。このまま議員として留まるのは無理そうだ。

群馬で建設業をやっている人に、「小渕さんの後援会なんですか」と聞くと「違います。小渕さんが何で将来の総理候補なんですか。そんな能力はないでしょう。誰が言っているんですか」という返事が返ってきた。

自民党もメデイアも話題作りで政治家の虚像を作ってはいけない。


理研・野依理事長、給与の十分の一自主返納:STAP論文不正での責任はそんなに軽いのか

STAP細胞不正事件での理研・理事長である野依さんの責任はこんなに軽いのか。23日、理研は今回のSTAP論文の研究不正で責任を取り野依理事長は給与の十分の一を3ヶ月自主返納、他の理事は厳重注意で十分に一を1~3ヶ月自主返納を決めたという。このSTAP細胞論文不正は理研のみならず日本の科学界の信用を著しく失墜させたばかりか、自業自得とはいえ笹井さんという優秀な頭脳まで失ってしまった。

新聞報道で知り、その処分を疑った。当然辞任するものだとばかり思っていたからだ。

何故今、そしてSTAP細胞不正事件のどの点に責任を感じてなのか。理研のHPで確認しようとしたが、どこにも関連する記事が見当たらない。

自主返納だから処分ではないということか。また、どういう意味があるのか分からない。

理研という日本のトップクラスの研究機関の不正事件はこれ位の処分で終わるものではない。

今、世間は閣僚のW辞任に続き、SMバーなど政治家の政治資金の使用用途がメデイアの攻撃の的になって、この辺で発表しても大きくは扱われず、批判もないだろうと思ったのか。

それとも、小保方さんの検証実験の結果を待って正式に辞任するのか。

そうあって欲しいと思って今後を注目したい。


2014年10月24日金曜日

政治資金という魅惑のサイフ:こんなことで国民の生活苦が理解出来るのか

議員がもらう政治資金という魅惑なサイフの公私混同の使い振りに唖然とするばかりであるが、こんなことで各種制度の改悪、消費税増税による国民の生活苦が理解出来るのか。兵庫県議会議員の政治活動費の乱用をはじめ、小渕さんのスキャンダル以降、議員の政治資金の公私混同な使い方がメデイアを賑わしている。

主権者たる国民に恥じない政治資金の使用が出来ないものか。中には議員本人ではなく秘書たちが使ったものもあるようだが、それだけで議員の責任が回避されることではない。

新鮮で、クリーンと言われ、「将来の総理候補」とも言われた小渕優子さんが一瞬のうちにダーテイーな国会議員になってしまった。

次から次へ政治資金の公私混同振りがメデイアで紹介されている。小渕さんは後援会のイベントでの収支報告には「分からないことが多すぎる」と言って、説明責任を先送りしたが、ブランド物の服、化粧品、ハンドバック、ベビー用品、おもちゃ代金などが事務所費で使われていたことも分かって来た。

これらの使用に当たっては知人へのプレゼントなどで公私混同はしていないと違法性を強く否定していたが、だったらイベントなどの収支報告も知っていたのではないか。歴代やっていたことを継承しているのだとすると小渕さんは知っていたことにならないか。

余りにも杜撰でデタラメな政治資金収支報告に唖然とするばかりだ。

新聞報道によると、町村さんが同派の会合で「政治資金の使途を見直せ」と言う。「報告書を出した以上は責任がある。「知らなかった」と言った瞬間にアウトだ」と真っ当なことを説諭していた。

国会議員が資金集めに汲汲とすることなく政治に取り組むことが出来るように政党交付金の支給を決めたはずだ。今では300億円以上が税金から支給され政党運営資金の7割にも当たると言う。

こんなことなら「政党交付金を廃止せよ」と言いたくなるが、一度甘い汁が吸えるようになると廃止など出来ない。

どうしてこういう公私混同が絶えないのか。
「もらえるカネは使っちゃえ」というのだろう。「何でも良いから領収書をもらっておけ」と言うことか。民放の情報番組では宮沢・新経済産業相の政治資金報告書で「SMバー」の領収書があったことで追及している。大臣は「行ったことはないが地元の秘書が行っていた」と言い、弁済させ修正すると言う。

その理由が「静かなところで打ち合わせがしたかった」と言うらしいが、それなら弁済する必要はないのではないか。もっと他に静かな場所はあるのではないか。

それにしても国会議員がこんなことをしていて、消費税増税や労働環境の改悪など諸制度の改悪で国民は一層生活が苦しくなっていることが理解出来るのか。

逆に、国会議員こそ身分の保障はなく落選すれば普通の人だ。新人もベテランも給与は変わらない。年功序列などはないのだ。「だから大目に見ろ」とでも言うのか。

議員となれば、有権者、国民に納得される行動を取るべきだ。そして不祥事の責任は議員にあり、否応なく辞職すべきだ。そこまでやらないと国民の信頼は回復しない。


小渕優子さんは、まず議員辞職すべきだ。そして政界から引退すべきではないか。辞職し次の総選挙で立候補すれば「山間部の選挙区」だからブランド力で復帰できるかもしれない。しかし、それでは政界浄化にならない。

2014年10月23日木曜日

小渕スキャンダル(1):群馬県の政界の一大スキャンダルに発展するか

小渕スキャンダルは群馬の政界の一大スキャンダルに発展するのか。小渕優子さんの「政治とカネ」に関するスキャンダルは小渕後援会、政治団体の不祥事と思っていたが、小渕さんの辞任直後に中之条町長の折田さんが突然町長を辞職し「責任は私にある」「大臣は何も知らない」とコメントしたことで、「背後に何かあるな」と思っていた。

メデイアは小渕さんの「政治とカネ」の問題で疑惑を報じる。売却された旧小渕邸に家賃ただで、今でも母親が住んでいること、小渕さんの顔写真入りのカレンダーを有権者に配ったこと、子ども用品、おもちゃ購入などの公私混同を伝える。

観劇会などイベントの収支で支出の記載はあるが収入の記載が無いことはうっかりミスと考えられないこともなかったが、小渕後援会はあらゆるイベントで収入の記載が無いことは故意の犯行で「裏金」作りの疑惑が上がってくる。

そこに、長年小渕家で秘書をやり報告書の記載責任者であった折田さんの存在は注目だ。

折田さんがどういう人なのか、ネットで調べてみた。

存在が注目されたのは2007年7月の群馬県知事選らしい。私も東京へ引っ越しする前の最後の県知事選なので良く覚えている。

現職の小寺さんが5選を目指して立候補したが、自民党は多選反対で確か県議だった大沢さん(現知事)を公認したために小寺さんは「県民党」として勝手連的な運動に徹した。自民党が押した大沢さんの選対の責任者が折田さんだったのだ。結果は小寺優勢の予想に反して大沢さんが当選した。

新人の大沢さんが知事になったのだから選対の責任者だった折田さんの権勢が大きくなっていったのは想像出来る。それまでにも何かと政治資金は必要だったに違いない。

その折田さんの消息が分からなくなって心配されたが23日の民放の情報番組が高崎市内の駐車場で折田さんを捕らえていた。

24日には、中之条町議会に出席し説明することになっていると言うから、どういう説明をするのか、各メデイアも注目しているはずだ。

折田さんの発言は群馬の県政のスキャンダルに発展するかもしれないのだ。

上毛新聞(2014.10.22)は、折田さんの辞任について企画力、行動力で町の改革に取り組んできただけでなく、強力なリーダーシップで吾妻地域でも存在感を発揮したが、突然の辞任に激震が走ったといい、23日には小渕優子さんの「政治とカネ」の問題で統一地方選の逆風に神経を尖らせているという。

小渕さんの辞任劇は、群馬県の政界をも大きく揺るがすことになりかねない。


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自民の消費税・増税派vs延期派:争点は「アベノミクスでデフレ脱却が出来るか」なのだが

自民党で消費税増税に向け賛成派と延期派が会合を開き、それぞれの立場を主張した。争点は「アベノミクスでデフレが脱却出来るか」だが、決断が迫っている消費税増税がどう影響するかの見通しが異なっているのだ。安倍総理は7~9月の消費者物価指数など諸々の経済状況を参考に慎重に検討するという。

ところが、10月の月例経済報告では景気判断を2か月連続で下方修正した。消費の低迷で生産活動に弱さが見られ「緩やかな回復基調が続いている」としながらも「一部に弱さ」を「このところ弱さ」と表現を変えた。

1回目の消費税増税による消費の回復が当初政府の想定していたより遅れており、2回目の増税に危険信号が付いたのだ。

朝日新聞の「経済気象台」で、スズメバチを例に挙げ「1回目より2回目の方が効く」と消費税再増税に警鐘を鳴らす。

米国は日本の景気腰折れを危惧し「経済成長路線を目指せ」というし、海外の経済誌は挙って消費税増税に反対する。G20で麻生財務相は「アベノミクスで脱デフレを目指す」というが日本のリセッションが心配されているのだ。

ところで、自民党の増税派と延期派はどう主張しているのか。

増税派は法律で決まっているのだから粛々と進めるだけだ。増税分は全て社会保障に使うので財政再建にも寄与する。延期した場合の市場の動きが心配でリスクが大きすぎる。そして「アベノミクスは失敗した」とみられるのを警戒する。

自民党・谷垣さん、民主党・野田さん、公明党・山口さんは消費税増税で3党合意した張本人だから法律に則り増税を主張する。でも附則の景気条項も法律ではないか。こちらも真剣に検討しなければいけない立場にあるのではないか。

一方の延期派は、アベノミクスで成長基調になったがここで腰折れさせるわけには行かない。延期しても市場は失望しない。市場は良く理解しているはずだと言う。財政再建もあって増税を止めるのではなく一時延期するだけだという。

今の日本の経済状況は、4~6月期の実質成長率は-7.1%で落ち込みが大きい。株価は15000円台で政権発足時より伸びた。消費支出は増税後の買い控え もあって8月は-4.7%、輸出は円安になっても数量が増えない。賃金は確かに賃上げはあったが円安、増税での物価上昇に追いつかず、実質家計はマイナス成長の連続だ。

これだけ見ても増税しても大丈夫とは言いにくい。

おまけに今、大企業、富裕層を除き多くの国民はアベノミクスの成果に疑問を持っている。需要が少なく供給過剰でどうしてインフレになるのか。円安で輸入品の価格は高騰し物価上昇は経済の悪循環の様相を呈し先の消費税増税で生じた景気停滞の回復は遅れている。実質賃金の伸びはマイナスが続き家計収入は上がらず消費停滞は続く。

だのに賛成、反対があるのは財務省の意向を聞くか聞かないかの違いか。

財務省に踊らされるのではなく、国会で十分に審議すべきだが増税の決断は国会閉会後になるとはどういうことか。そして何故十分な審議もせずに急ぐのだ。

何か裏がありそうな気がしてならない。


 

2014年10月22日水曜日

兵庫県が「自転車保険加入義務化」:自転車事故で驚きの9500万円賠償も

兵庫県が自転車保険加入を義務化する英断に出た。最近の自転車の無謀運転は目に余るが、賠償が9500万円になるケースに驚くと共に、保険加入義務化で安全意識の高揚に役立てば良いと思う。

1年間毎の契約らしいが、取り敢えずは新規購入から全員に課し、すでに持っている人は努力目標だという。自転車もハイブリッド化し高額だ。保険金ぐらい払うべきではないか。

孫の保育園の送迎に自転車を使っている。孫を乗せていることで特段の注意を払っているが、危険な運転を平気(?)でやっている人には腹が立つ。

携帯を操作しながらの片手運転で道路を横切る高校生もいれば、平気で右側通行をする女性には困る。

保育園からの返帰り私鉄線路軌道のフェンス側(左側)で狭い道路の白線の少し外側を走っていたら、女性が右側通行で向かってきた。避ける様子もなかったので道路の中央よりに少し逃げると、私の自転車とフェンスの狭い間をすり抜けていった。速度を落とすわけでもなかった。

子どもがいるような年齢の女性だが、無謀な運転にあきれる。

又、左側を走っていると、後ろからギリギリのところを追い抜いていく者もいる。私が少しハンドルを切ると接触事故につながるところだった。追い抜くのであれば安全な距離を確保して欲しい。

こちらが「ヒヤリ」とするのだから相手はもっと危険を感じたのではないかと思うが、こういう人はもう慣れているのだろうか。兎に角、慌ただしく動くママチャリには要注意だ。

一方、私の住んでいる東京都・大田区久が原は放置自転車も多い。3~4週間同じ場所に自転車が放置されている。区の担当の人が巡回し放置自転車の撤去をやっているが「美しい街作り条例」があるのに迷惑な話だ。近くの駅から自転車を失敬して乗ってきて捨てるケースだという。

スーパーの近くの道路は買い物客の自転車で溢れる。放置自転車整理のトラックが来るとどこかに行くのだが、またもどっていつもの風景が始まる。
無謀な運転と言い、放置自転車と言いマナーの悪さはなくならない。「子どもが見ていることを忘れるな」と言いたい。


自転車も車と同じで走る凶器であることを再認識すべきだ。

何故、小渕優子さんのような不祥事が起きるのか:その背景に選挙区事情が大きく影響しているのではないか

何故、小渕優子さんのように不祥事を起こす国会議員が出て来たか。その背景には選挙区事情が大きく影響している。山間部の選挙区では元総理のブランドは余りにも大きすぎ、対抗馬が出にくく、政策や後援会活動に切磋琢磨する必要がなくなり旧態依然とした「田舎選挙」を続けた結果ではないか。

後援会のイベントである観劇会も他の議員は旅行社に任せていたが、小渕後援会は地元の世話人が募集、集金していたので直接おカネを扱う機会が増えていた。小渕さんは「分からないことが多すぎる」と説明責任を後回しにしたが、ベビー用品、贈答品については選挙区外の知人のお祝いに使ったと言い違法性を強く否定していた。

知らないと言いながら知っている部分もありそうだし、贈答のワインを県内の有権者に送ったという報道を見ると公職選挙法違反の容疑が強くなった。公私混同もあるようだ。

父親から譲り受けた後援会、政治団体を十分に把握出来ていなかった責任は重大だろう。会計責任者と思われる2人は名義貸しで内容は全く分からないと言うし、「全ての責任は私にある」と中之条町長が辞職した。何やら中之条の町政にも影響しそうだ。

地元に強力な対抗馬がいないことで後援会は旧態依然とした「田舎選挙」を繰り返してきた。小渕さんが名を上げ入閣するといろんな人が「身体検査」をするようになり不祥事が明るみになった。

大きな資金、強力な地盤を引き継いだ小渕家、後援会内に利権争いもあるようだ。

こういう事例は他の世襲議員にもあるのではないか。自ら身の回りをチェックすべきだ。




2014年10月21日火曜日

女性閣僚W辞任で安倍総理の「任命責任」は

女性2閣僚の引責辞任に当たって安倍総理の「任命責任」はどうなるのか。いつも閣僚の引責辞任があると総理の「任命責任」を問う声が上がるが、総理は決まって「私に任命責任がある」と厳しい顔で言うだけでその責任をどう表すのかわからないままだ。

20日のテレビニュースを見ていても官邸での記者とのやり取りでも、「任命責任」を問われると背を向けてそそくさと会見の場を去っていく姿が見えた。

野党や記者は、どんな「けじめ」を期待しているのか。

恐らく国会の委員会でも質問が出ると思うが、安倍総理は「新しく任命した大臣が停滞なく行政を推進することを期待する」程度で終わるのではないか。

女性の閣僚登用は今回の改造内閣での目玉だった。それが今回も「政治とカネ」の問題でとん挫したのだから、その任命責任は大きいはずだ。

安倍総理の態度が不真面目ならば、「安倍内閣不信任決議案」の提出も考えられるが、野党の議席数を考えると否決されるだろう。

あまりにも野党攻勢が強ければ、解散・総選挙に打って出る方法もあるが、今回の不祥事で内閣支持率は落ちているし、メインのアベノミクスの威光も陰りが出ている。野党の総選挙に向けた共闘体制が出来上がる前の解散・総選挙は効果があると思うが与党の自民党のダメージも大きい。

ここは、まず党首討論をやるべきではないか。

今回の女性閣僚の登用に至った経緯と辞任を受理した経緯を問いただすことも一つの手である。

安倍総理が「責任をとって辞めます」とは言わないだろう。

アベノミクスの欺瞞(2):伊東光晴先生の「事実の裏付けのない経済政策」という批判に同感だ

伊東光晴先生の「アベノミクス批判 四本の矢を折る」(岩波書店2014.10.6)で安倍総理のアベノミクスは事実の裏付けのない経済政策で政権の都合の良い方向に経済の評価をしていると言う見方に大賛成だ。「チョットおかしいのではないか」と思っていたことがこの本ではっきりしてきた。

安倍総理が自民党総裁に返り咲いた時、野田政権と違ってインフレターゲット設定、強力な金融政策を目指すと宣言し、市場はその期待感から円高から円安、株安から株高基調へ展開、安倍総理の放ったアベノミクスの第一の矢の効果が出て来たと政権、メデイアは評価する。

しかし、伊東先生は株価の上昇は政策決定前、黒田総裁が就任する遙か前、衆院解散以前に海外投資家の買い増しが始まり株価の上昇は起こっていたという(同上)。私もこのことは経済誌などで経済学者が指摘していたのを覚えている。でもメデイアは大きく扱っていない。

そして円安は、為替介入が行われた結果だという(同上)。私は為替介入は国際的に為替安競争をしないという申し合わせもあり、監視されていて容易には出来ないと思っていたが、民主党政権下でも頻繁に行われていたというのだ。

だから円安、株高を何も安倍にミクスの効果とは言えないのだ。日銀の量的・質的金融緩和は株高、円安に何の関係もないのだ。

経済成長路線の財政政策である「第2の矢」も「国土強靭化政策」を中心とする公共投資が主になる。10年間で200兆円というと年間20兆円となるが2013年度、2014年度の予算を見ても20兆円が入る余地はない。財政収入、国債累積から考えて予算化できないのだ(同上)。

国土交通省の予算でも50%が維持管理、更新費で新規投資などは考えられない状況なのだ。近く起きることは分かっている南海トラフ巨大地震、首都直下地震への対策が要求されるが予算は心もとない。

「第3の矢」は経済成長戦略で既得権益を打破し構造改革路線を進めなければならないが既得権益者、族議員の抵抗は強い。お題目は残っても内容が伴わないのだ。

具体化の姿が見えないと言い何よりも安倍総理の現状認識が間違っていると指摘する(同上)。

日本経済にとって今一番大事なのは「財政問題」と「労働市場の改革」だが、先進国の中でも最悪の財政赤字を抱えながら先送りし、加えて若者から人間的生き方を奪いかねない労働市場を改革しようとする政治が欠けているという(同上)。

同感だ、日本の良き習慣である労働環境を破壊してまで進めようとする労働者いじめの政策は、人口減と相まって次の良き労働力の再生産に支障を来し、そのツケは必ず企業に回ってくる。若者が結婚し子作りできるのに十分な収入、正規雇用を確保する対策を立てなければならないのではないか。

更に重要なことは政権や日銀の推進する経済政策は実証に欠ける理論だという(同上)。

日銀は2%物価上昇目標に向け異次元の量的緩和で市場に大量の通貨を供給すると物価が将来上がるだろうと人々は考える。「予想インフレ率の上昇」と言うらしい。すると「予想実質金利」は下がる。実質金利が下がると設備投資が増加し景気が浮揚すると言う考えがあるようだ。

しかし、供給過剰の社会で物価が上がることはないという。

利子率が下がると投資が増えるかどうかを現実に照らして真であるかどうかを検証したオックスフォード調査によると、長期利子率が低下しても投資に直接影響はないと言う結果なのだ。

事実の検証に基づかない政策をあたかも経済政策として発表し、それにより成果が出ているという経済指標を見せびらかすのは欺瞞である。

伊東先生は、アベノミクスの3本の矢は折れたという。しかし、政権は成果を出していると強弁するのだ。

いつまでそう言い張るのか。それがはっきりするのが消費税増税10%へ向けての安倍総理の決断だ。

万一、延期でもすると野党から「アベノミクスは失敗」と攻められる可能性がある。それを避けるために10%増税へ強行すると日本経済は計り知れないリスクを負うことになるが、10%への増税を先送りしたときのリスクに比べると問題ないという考えがある。

G20ではユーロ圏のデフレが懸念されているが、麻生財務相は「日本は財政政策と成長戦略のアベノミクスで脱デフレを目指している」という意味の発言をしていた。相反する政策を進めようとしているのだ。しかしどの道も実現性は乏しい。財政再建には消費税増税しかないのが現状だ。

規制緩和が作り出した現在の日本社会は、あってはならない社会であり、これをただそうとしない政治家がいないのは許しがたいともいう(同上)。全く同感だ。

事実に基づかない経済政策であるアベノミクスは、「期待感」を煽るだけで政権が言うほど成果のでる経済政策ではないのだ。誤魔化されないよう目を覚まさなければならない。


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