2010年2月26日金曜日

新卒者の就職難:このままでは、必ず企業に付けが回ってくる

JR高崎線で東京に向かった。見慣れた車内風景であったが、今回はやけに就職活動をしている女子学生の姿が目立った。
 隣に座った女性は、就職活動にお決まりの黒のスーツに、黒のカバン。クリアー・ケースから取り出した書類は履歴書で、再チェックしているようだ。短大生らしい。就活セミナーのペーパーも持っている。自分の長所、能力をどう説明するかが重要だという。

同じような姿の女性が、他に4人いる。こんなお決まりのスーツ姿だと、異なるのは顔と体型だけだ。面接官はどうやってその人の能力を見いだすのか。服装ぐらい個人のセンスに任せても言いと思うのだが、そうはさせないのが就活で金儲けしている業者がいるためか。

しかし、大企業の業績は好調と言うが、5.5%という失業率の高さ、0.4倍という有効求人率の低さはいまだ続いている。売り手市場から買い手市場に、更に厳選採用となれば、急に雇用が好転するなど考えられない。

昨年末の時点で、高卒、大学卒は75%前後、短大卒は30%程度という。国を挙げて就職活動を支援しているので、今はもう少し良くなっているだろう。

国を挙げて就職活動を支援している。IT産業、医療・介護、福祉分野が成長産業だと言うが、現実はそんなに甘いモノではない。昔の経済学では、「古い産業が衰退し、新しい産業が興隆するときは、労働力もスムーズに新しい産業に移動する」と習ったが、そうはいかない。

企業は、リストラの裏では、内部留保を増やしているという見方もあり、私も「内部留保を抑えて、雇用の確保をしたらどうか」という記事を書いたことがある。最近では共産党が「内部留保は、2007年末で120兆円ある。派遣労働者らの賃金は合わせても1.2兆円ぐらい。もっと雇用に回せないか」と国会で追及したことがある。

鳩山さんは、「内部留保に課税すること検討してみたい」と言ったが、経済界は猛反発した。

内部留保は、税引き利益、税金、配当金、役員賞与などを差し引き留保し、再投資に当てるモノだが、実際には手許金は少なく、投資有価証券などらしい。各社どんな形で持っているかは分からないのだそうだ。

でも、こういう新卒者を採用し、社員教育、社会人教育をし、いろんな人と接することにより常識のある社会人として成長し、結婚し子供を育て、次世代の優れた労働力を再生産することが大切なのだが、就職の機会を失するといろんな教育を受ける機会もなく、人生に希望が持てなくなる。

これは国家の大きな損失である。

将来、優秀な労働力が確保できなければ、即企業の首を絞めることになる。このような就職難は、企業にとっては大きな付けとなって返ってくる。リストラが企業の収益に大きく貢献する事態をもっと真剣に考えるべきだ。

町工場は、最後の最後まで雇用維持に踏ん張っている姿を企業経営者は、見習うべきではないか。

2010年2月24日水曜日

上野・アメ横:売り手と買い手の腹のさぐり合い


昔、東京に出張したときの帰り、アメ横で「すじ子」を買って帰った。チョット塩味だったが安かった。家内は北海道育ちで「すじ子って、塩味は安く、甘味の方が高いの。品物に気をつけなければ・・」と言った。それ以来、アメ横での買い物からは遠ざかっていた。

 その上野・アメ横に久しぶりに行ってみた。

 夕方になり、客が込んでくると、売り子の声も大きくなるのだろうが、まだ昼間でそう多くはない。レジ袋を下げた通行人も少ない。聞くと御多分にもれず売り上げは落ちているらしい。

 依然と変わったのは、回転寿司の店が多い。三浦三崎港は105円から、活魚大江戸は126円から、まぐろ市場、扇すし、海鮮築地などこの界隈に15店舗程が出店している。三浦三崎港は長い待ち行列が出来ているが、隣の回転寿司は余り客が入っていない。どうしてこんな出店になったのか。競争の激しさが伺える。

乾物店は、値下げ競争はせず、堅実な売りをしているようである。

一番売り手と買い手が値段交渉しているのが鮮魚店だ。

呼び止められて立ち止まると、「大トロ 8,800円、中トロ 5,800円あわせて2000円でどうだ」という。「別々だと1000円でいい」ともいう。「多すぎない」と言っていた年配の夫婦が、「これにしましょう」と中トロを1000円で買って行った。

売り子に「これとこれ、更にこれを合わせて1000円と言って、ちゃんと利益を計算しているんですか」と聞くと「計算なんかしていない。薄利多売で20円、30円の儲け、赤貧洗うがごとしだ」と笑う。

 大トロと言っても冷凍品で、切り身の仕方がそれらしくはない。すり切れて、薄汚い発泡スチロールの箱から出してくる。一度は「大トロ8,800円」と言うが、値札で売ろうとはしない。必ず「1000円だ」と言う。

 勘ぐればうまく考えたモノだと思う。恐らく、お客は値札で買って食べてみると騙されたと思うだろう。しかし「1000円だとするとまあ仕方ないか」と思うはずだ。

チョット先の鮮魚店に行くと、「大トロ3000円、すじ子2000円、合わせて1000円でどうだ」と声がかかる。一度その場は通過し、2度目に通ると同じ売り子さんが「社長、社長 500円でどうだ」と追いかけてきた。いきなり社長とおだてられた。さっきはお兄さんだ。

 どうもこの界隈は、1000円、500円が相場らしい。これに何品付けるかで儲けをはじいているようだ。大トロを「8800円で買よ」というと必ず断ってくるかも知れない。もともとそんな価値はないのだ。逆に「騙された」と訴えられるのが怖い。

売りのパフォーマンスもすごい。焼き栗を露店販売していた男性が、紙袋の口を広げ栗を鷲掴みで数回分ほうり込む。更にサービスぶって、数回追加でほうり込む。買い手は何故か儲けたように感じるが、売り手は最初からの作戦なのだ。カメラを持っていた私に「カメラマンさん 食って行けよ」とサンプルを渡そうとする。

買いを急がす方法もある。御徒町店開店のためのオープニングセールをバッグ店がやっていた。「今度御徒町に店を開店するための記念に、今から2時まで、全商品3150円です。お急ぎください。ビニールではなく、すべて本皮です」と呼び込んでいる。店内にはいると2~3万円の値札の付いたバッグが配列されている。ブランド品でも塩ビ製があったと思うが。

 「市場経済」の基本は「だまし」だ。負けてくれる裏には何かがある。それと分かっていれば、アメ横ほど面白いところはない。

2010年2月23日火曜日

「政権交代」を幻想に終わらせないために

選挙の度に負けた側は「地方選挙と国政選挙は違う」と主張し責任論を弱めようとするのが政権与党の常套手段だ。今回の長崎県知事選は、10万票に近い大差で敗れた民主党から、そんな声が聞こえてくる。

 長崎県政には、九州新幹線長崎ルート、諫早湾干拓事業、石木ダム、県庁舎移転など大規模事業に賛否両論がある。

そんな中で、副知事だった自民党系の中村さんは、経済団体幹部の作る「新知事をつくる県民の会」の養成で立候補し、37年間の実績から即戦力が期待された。一方の民主党系の橋本さんは、民主党県連の要請で、「若さ」と「金子県政刷新」を掲げて戦ったようだ。

 国政選挙とは違うと言いながら、候補者選び、中央から現職大臣や党の要人が応援に駆けつける。中村さんは副知事経験者だから、県政のことをテーマに上げることが出来るが、橋本さんは農水産省出身で中央からの応援者は、県政よりも国政の話になりがちだ。地方選と言いながら、国政選挙の様相を呈するのは当然かも知れない。

 そうなると、「政治とカネ」の問題は避けて通れないが、バンクーバー冬季五輪の熱戦が長時間放映され、政治問題は影を潜めていたので、もっと接戦になるかと思っていたが、意外な大差が付いた。

 先の衆議院選では、長崎の全4区で民主党が圧勝したが、それは何だったかと疑問が出てくる。新人や落下傘候補が善戦するには、現職の県会議員や市町村議員の支持者を動員しなければならず、当然何らかの利益誘導が中央からあったのだろう。

 しかし、今回は様子が違う。

 私も過去に組織票の一員であることを経験したが、組織の締め付けも支持政党の勢いが上向いている時はよいが、今回の「政治とカネ」のような問題が出てくると、締め付けも弱まりかえって逆効果になるのだ。しかも、民主党政権の政策の効果が実感としてまだ湧いてこない時期だ。

 民主党も恐らく組織への働きかけをやったと思うが、トップ2人が「政治とカネ」の問題をかえていては、支持も得にくいだろう。

 しかも、テレビ報道で、応援に来た閣僚が露骨な利益誘導している映像が映った。斬新な政治を目指していたはずが、選挙になると旧態然とした選挙戦を展開していたのだ。公共事業の見直し、事業仕分けが話題になっているときに、これでは有権者の反感を買うばかりだ。

長崎県民は、中村さんに金子県政の継承ばかりでなく、独自性も要求するだろう。一方で、政権与党との関係も気になるところだろう。今まで陳情、予算付けで露骨な民主党への票の取り込みをしていたことを考えると、難しい決断になったモノだ。

 この長崎県知事選での民主党の大敗は、政治の流れが変わって来たことになるのか。このままでは,本当に[政権交代は幻想だった]ことになるのか。

 小沢さんは、「政治とカネ」の問題では、地方行脚で聞かれれば答える意向であるようだが、民主党有権者の内々での説明では何の意味もない。国会の場でしっかり説明すべきである。鳩山さんだって、国会に任せるのではなく、自ら証人喚問を受けると言えば良いはずであるが、小沢さんの問題もあるので調整が付かないのだろうか。

 いずれにせよ、国民の期待を裏切らず、民主党がこの苦境を乗り越えるのは、小沢さん、鳩山さんの決断次第だ。

2010年2月19日金曜日

町工場の「モノづくり」を支える若者のネットワーク







ここ東京都大田区は、日本経済を支える町工場が多く、その生み出す製品は、区役所3階のホールに陳列されている。陳列と言っても天井からワイヤーで836個が吊されている。小さいモノではネジやスプリング、大きいモノでは絞り製品であるH2ロケット先端部もある。実に見事な製品や先端技術が紹介されている。

 その大田区の産業プラザで、今、第14回凍土技術・技能展「おおた工業フェアー」が開かれている。大田区や秋田、新潟をはじめ近県と広域連携した中小企業が出店し、商談も活発なように見える。

 大田区内の企業もモノづくりを広げるために、アジア9カ国に製造拠点を海外に展開しているが、中国60社、インド33社と市場が期待されている2国が圧倒的に多い。

 しかし、海外に生産拠点を移さなければ生き残れないが、一方で国内では雇用が減り、税収も減る。なんと言っても国内で活況を取り戻さなければいけない。

 知り合いの銀行員に聞くと「中小企業も、30~40%に落ち込んでいた売り上げも最近は60~70%に戻してきた」と言うが、売り上げが10%落ちると大騒ぎになっていたことを考えると、まだ大変な経営環境だ。

 聞くと、加工業も忙しい所と暇なところと二極化しているようだ。廃業したところもあってか、この2月はドッと問い合わせが増えるという。競争は「時間とコスト」で、当然「作り方」を工夫しなければならず、仕事としてはきついという。

各社似たような製品、技術で競っているが、「モノづくり」に若者のネットワークが活用されていることに気づく。異業種の若者が集まり、アイデアを出し合っている。

 「TEAM職人魂」は7社の若き職人に漫画家や独立法人の研究者が加わり、面白い技術を紹介している。昨年は多足ロボットを試作し、テレビなどでも紹介されていたが、今年は「スターリングエンジン」を提案している。ヒーターと水冷、ドライアイスと常温の温度差を利用して動力源にするのだ。デモ試作器が出展されていた。聞くと20~40代の若者が月一回集まり、デイスカッションしている。

「THE連携」は、二代目加工集団で7社が加わって二代目の新現役が「モノづくり」をサポートするという。跡継ぎがいなくて廃業する町工場が多い中で、二代目への世代交代がうまく行った例だ。ものすごく忙しいらしい。「時間とコスト」との闘いなので、技術集団としてのネットワークは欠かせない。

 国だって黙ってはいられない。2007年問題と言われた団塊の世代の退職に際して「技術の継承」の必要性が叫ばれた。経済産業省も人材育成を支援した。

 東京工大でも中小企業向け人材育成講座を開設、社会人交流に寄与している。仕事の経験もあり、目的意識もしっかり持って参加しているので、学生とは大違いのようだ。1人30万円はかかるが、希望者は多い。若者が異業種の技術者と交流できた効果は絶大で、プログラム終了後も付き合いが続いていると言う。

今回は、福祉用移動機械「歩行椅子」のブレーキを開発するテーマが与えられ、3チームが、試作機を作り展示されている。時代の要求にもあった開発プログラムだ。

このような若者や中小企業のネットワークづくり、技術交流は各地で起こっている。異業種の若者が集まり、情報交換する。人脈づくりは、「モノづくり」の底力だ。海外の企業に負けない力の源になって欲しい。

2010年2月14日日曜日

この政治の閉塞感を打開するには


この強い指導者は、自分の考えを十分に説明しなくても周りが忖度して、意に沿うように政治を進めてくれるが、そうでない指導者は、自分で考え、方向性をキチンと示さなければならないが、それでもなかなか付いてきてくれない。

 今の政界を見ると、閉塞感が漂い、消えない。その原因は民主党政権の中枢にいる政治家にある。バカだチョンだと言われ、辞めて欲しい総理がなかなか辞めないので閉塞感もあったが、まだ自民党政権の方が面白かった。メデイアも新聞の投書でも言いたいことを言うことが出来た。

ところが、鳩山さんは発言が結構変わる。その時々の調子で話しているらしい.閣僚の発言と正反対の発言をして、後で閣僚が訂正或いは言い訳をしなければならない場面がある。私にだって、何を目指しているか分からないのだから、政治ジャーナリストにとればなおさらだ。

 それが、小沢さんに至っては説明不足を側近が忖度し、かえって行き過ぎた対応をとる結果、強権政治、恐怖政治と言われるようになる。小沢さんは「本当の民主主義を目指す」と言うが、これがそうなのか。説明が足らないことは、代表を辞任するときに自ら認めていたことではないか。どうして説明しようと努力できないのか。

 小沢さんは、以前「私こそ変わらなければなりません」といって、不利と言われていた菅さんとの代表選に勝利した。しかし、小沢さんは少しも変わっていない。無口が益々存在感を増長している。

 官邸とのコミュニケーションが悪そうだから、マニフェスト遂行に当たっても正反対の舵取りになる。権力の二重構造を来しているから、外国の要人もお伺いを立てる。その結果、政府の立場はますます弱くなる。

今回の「政権交代」は、予想通り、いかんともしがたい政権を作ってしまった。

この閉塞感を脱するには「小沢さんの辞任」しかない。まず辞任して、すっきりした政権を築くべきだ。鳩山さんも、自分は「民主党のオーナーだ」という意識は強いだろうが、自民党から「平成の脱税王」とまで言われては身も蓋もない。辞めるべきだろう。

 更に、小沢さんは、不起訴処分になったからと言っても、市民団体は、検察審査会に「不当」の申し立てをする一方で、地検特捜部に2007年の4億円不記載での共犯として追加告発した。

 まだまだ小沢さんの闘いは続く。検察内部でどういう力関係が働いているか想像は付く。及び腰になるのも、情報を流すのも上層部だ。現場の検察は正義に燃えて捜査に当たっているだろう。小沢さんは公党の要職をバックに力を誇示するのではなく、一人で戦ったらどうか

 これを機会に、政治から金権体質を葬りたいモノだ。

 一方、小沢さんがいなくなると、民主党のまとまりが付かなくなると危惧する意見もある。しかし、小沢さんがいなくなると、それなりの離合集散が始まり、収斂する処に収斂するモノだ。逆にそんな一人のカリスマ性に依存した政局運営こそ危ういモノだ。小沢さんを辞めさせないとする人は、小沢さんで自分の存在感が保てる人なのだ。小沢さんがいなくなると、又誰かにくっついて生きていくだろう。
 
  「小沢さん、日本のためにお辞めなさい」が、正論だ。

2010年2月13日土曜日

どこまで民主党政権に期待できるか


東京では「政治とカネ」の問題で追求され仏頂面であるが、地方でのパーテイーでは満面の笑みを浮かべる小沢さんが、「政権交代した効果がもうすぐ出る」という意味の発言をしていた。

 民主党が掲げる「子ども手当」「農家の戸別補償」や道路拡充の効果がでてくるというのだろうか。いかにも参議院選を念頭に置いた戦略だ。

 政治とカネの問題に揺れる民主党政権への風当たりは厳しさを増す一方だ。共同通信調査での内閣支持率はついに40%を切ったし、小沢さんの辞職或いは辞任を求める声は相変わらず70%と高い。小沢さんはメデイアが小沢擁護の記事を書かないためだと強弁する。

物事がうまく行かないときは、現政権に厳しい見方をするのは常であるが、自民党のだらしなさもあって民主党への支持はまだ高い。鳩山さんも「民主党らしさ」を回復しようとしているが、今後は鳩山、小沢抜きでの民主党政権の構築が不可欠になりそうだ。

「政権交代」で何が変わったか。

 国会審議では、役人の答弁にかわって大臣の答弁になった。大臣も良く勉強しているのだろうが、残念ながらペーパーの棒読みが目立つ。法制局長官の答弁も禁止になったので、平の官房長官がうろたえる場面もあった。今後は枝野さんが法解釈の担当になるらしい。

 評価が分かれた「事業仕分け」も予算編成に国民の目を向かせた功績は大きい。菅財務相は、これから特別会計にも切り込むという。天下り財団には12兆円を超える税金が投入されている。効果を期待したい。

 「政治主導」も注目を集めた。国家戦略局への整備も始まるらしい。官僚主導の権現と悪名高かった事務次官会議の廃止も実施され、今回土壇場で異論が出て閣議決定が延期された公務員制度改革も予定されているが、支持母体の連合とどう調整するのか。鳩山さんのリーダーシップが問われる。

 短期間に改革を打ち出し、良くやっていることは分かるが、一方で期待はずれの場面もある。

 民主党は、野党時代に威勢の良いことを言い「開かれた政治」を目指したはずだが、外務省報奨金や核密約などで一歩踏み込んだが、機密費には口をつむぎ闇の中だ「政治とカネ」の問題では、鳩山さんは率先して証人喚問などを受けるべきであるが、多数を占める国会で否決されることを見越して、国会の審議に任せるという。

 マニフェストを錦の御旗に掲げての政権運営は、危なくなってきた。選挙目当てのバラマキ予算、政策であることは明らかで、現実を見ると実行に二の足を踏むモノもあり、予算確保に問題が残る。

 長期債務残高は、GDPの1.8倍の862兆円になり、IMFからも警告される羽目になった。消化が出来なくなれば、長期金利も上昇し、ギリシャの二の舞だと言われる。財政再建の道筋が見えない不安は、国民にもある。

 経済政策は、自民党時代の供給サイドから需要サイドに変わった。消費者に物を買わせようとする政策から、企業に売れる製品を作れと言うのだろう。

 成長戦略が見えないと言う不満に応えて、急遽「新成長戦略」を出してきた。そんなに急に出せるモノかと疑問に思ったら、案の定、旧政権の蒸し返しであるらしい。だとすると、野党時代民主党は反対を唱えた政策だ。それが与党になってどうして了となるのか。

 民主党に期待したい。民主党は、「鳩山、小沢抜き」のすっきりした政権で再出発出来ないか。その時は、小沢ブランドはなくなる時だ。

2010年2月12日金曜日

「君がいなかったら、秘書はこんなことをする必要はなかった」と


NHKの衆議院予算委員会集中審議を聞いていて、鳩山さんの口から、「君がいなかったら、秘書はこんなことをすることはなかったんだ」と竹下さんが言ったという言葉が紹介された。自分の疑惑事件で秘書を亡くした、あの竹下さんが言ったというのだ。なんとも含蓄のある言葉で、しかも鳩山さんの口から出てきたのは皮肉なことだ。

 小沢さんの資金管理団体の土地取引に絡み、元秘書だった石川さんが、離党する会見をした。それを受け、小沢さんは、「仮に今問われているのは、国会議員の職務、職責、権限に関して、その責任が問われているわけではないのだから、辞める必要はない」と囲い込み会見で発言した。

そのテレビ画面を見て、子供が「お前こそ、辞めるべきだよ」と叫んだ。多くの国民が、そう思っただろう。

 小沢さんは、議員を含む秘書ら3人が虚偽記載で起訴されたにもかかわらず、「政治的、道義的責任はある」としながらも、その責任を未だとらず、自分が不起訴になったことを良いことに、選挙活動を再開した。

 民主党や、民主党候補者は小沢ブランドにまだ期待しているのだろうか。

 鳩山さんも、集中審議で、野党時代の「秘書のやったことでも、私ならバッジを外す」発言が追求されていた。その時、その時の調子で喋ったという。自民党の後藤田さんからは、政治倫理綱領を持ち出され、言質の重大さを指摘されていた。

 母親からの巨額な政治資金は、脱税にあたり「総理は平成の脱税王だ」と与謝野さんから追求されていたが、「知らなかった」の一点張りで逃げ切ろうとしている。

 鳩山さん自身が知らなかったと言うことの真相を確認するためにも、鳩山さんの秘書、母親などを国会に呼んで参考人聴取出来るように出来ないかと詰め寄られていたが、「国会の決めること」と逃げる。

 自民党から民主党に変わっても、国会は変わりそうにない。

 野党である自民党は、議席を大きく減らし、国会を思うように動かすことが出来ない。そのもどかしさを「政権交代したのだから、変わったことを国民に示したら」と言うが、民主党2人のトップの不祥事だ。認めれば、政権がぶっ飛ぶ危険もあり、おいそれとは認めまい。

 「秘書がやったこと」、「知らぬ存ぜぬ」がいつまで通用するのか。その政治家を生かすも殺すも、選挙区の有権者の考え一つだ。常日頃の秘書の政治活動を見ながら選択すべきである。石川さんは「地域の代表として、議員活動を続ける」と言ったそうだが、国会議員は地域の代表ではない。

 国会議員は、どんな地区から選ばれようが、全国民の代表者なのだ。支持者の意見を聞けば「続けろ」というのは当たり前。世論の60%は辞任すべきだと言う現実を、しっかり考えなければならない。

 小沢さんの秘書も、鳩山さんの秘書も、小沢さんや鳩山さんがいなかったら、こんなことをする必要はなかったのだ。

2010年2月11日木曜日

ではどうやって暴くのか 政治家の不正


 電車で週刊誌の吊り広告を見ると、「鳩山さんも、小沢さんも長くは持たない」らしい観測が流れている。

今回の小沢さんの土地取引原資疑惑では、家宅捜索や秘書らへの強制捜査で、小沢さんは、検察と断固戦うと宣言した。ところが秘書らは起訴されながら、自分は不起訴になると「検察当局の公正公平な捜査で・・・」と発言がガラット変わった。こんな小沢さんと政治を志したことに秘書達には悔いがないのか。

思うに、国民から負託された国会議員という地位を利用しての疑惑を持たれるような行為はやってはならない。そして、公人として自分の身辺に関する疑惑があぶり出されることが嫌なら、政治家にならないことだ。

そう感じている人が実際にいるのだ。自民党政権の時、候補者に名前が挙がったが、「家族のことまで、あることないことが書き立てられることは絶えられない」と立候補を諦めた人がいるのだ。

何十年も生き、それなりの地位に就いていると、叩けばいくらでもほこりは出るモノだ。公衆の前に恥(不正)を書き立てられるのが嫌なら、政治家になることを止めた方がよい。

一方で、政治家を監視するのは、納税者でもある国民の義務であるが、その情報はどこから得られるのか。

多くは、新聞やテレビなどメデイアを通してである。

しかし、そのメデイアが取り上げる情報が、捜査機関のリークしたモノをメデイアが垂れ流した疑いが出て問題になっている。確かに新聞記事を読むと、捜査機関でないと得られないと思われる記事が載っている。どのメデイアも同じ内容だから、記者の朝駆け、夜がけ、記者クラブからの情報だと見られている。

こういった政治家の不正が暴かれることは、我々国民にとっては「知る権利」とも言える政治を監視する役に立っている一方、あの政治家はこんな悪いことをやっているという世論が形成されることは「推定無罪」から考えれば、問題があることも確かだ。

しかし、捜査対象になった政治家にしてみれば、今何が問われているのか。捜査機関は何に疑惑を持っているのかを知ることが出来、証拠隠滅や弁護士との対策が容易になる利点はないのか。

これは、政治家の悪事を暴くという「国益」にとっては、逆の効果である。今までの政治家の疑惑に関して、相当ヒントを与え、重要な証拠物件は破棄されたり、隠されたりして、家宅捜索しても何も出てこないという可能性はあるのだ。特に何の記録も残らない現金授受では致命傷だ。小沢さんは巨額のタンス預金をしていたというなら、何故自宅を強制捜索しなかったのか疑問が残る。

捜査機関からの情報のリークがあったと仮定しても、メリット、デメリットが共存するのだ。

記者もコツコツ証拠を積み上げて記事にした例もある。週刊紙だが、小沢さんの不動産取引を調べ上げ不正蓄財を指摘した。小沢さん側から提訴されたが、裁判では事実と認定されて勝訴した。

小沢さんの政治資金疑惑は、まだ検察が捜査中であり、検察審査会に申し立てられ、2回 「起訴相当」となると「強制的に起訴」される。検察官に変わって2~3人の弁護士が選任されるらしい。弁護士のHさん、KさんやWさんが選任されると、より真実が見える可能性があるが、Gさんのような弁護士が選任されると、闇の中に消えていく可能性もある。

私達は、いろんなメデイアの情報を読み解き、出来るだけ正しく判断する努力をすべきである。大衆迎合してはならない。

そして、国会議員は公人として秘書と共に、常に国民に、その活動が監視されていることを忘れず、疑惑を持たれるような行為は慎まなければならない。

2010年2月10日水曜日

「脱小沢」で、民主党の本当の政治を示せ


今になって、民主党を論じるときに、「大衆迎合」を避けては通れないようだ。その背景には、野党時代の予算根拠や政策背景の乏しいマニフェストを頑なに実行に移そうとする為に生じる巨額の財政赤字や、施策の混乱と小沢さんの「政治とカネ」の問題がある(勿論鳩山さんの母親からの巨額献金問題も解決はしていない)。

 更に、政権交代前に、小沢さんの政治手法を知る多くの識者が懸念していた権力構造と、異常なまでの党内掌握を目の当たりにし、総選挙前の「行け行け民主」「さあ政権交代だ」と迎合した者にとって、今の民主党の姿には違和感を覚えざるを得ない。

 結局は、期待した民主党の政策には現実論での検討に乏しく、急遽政権についたために、政権を担う意識に欠けていた面もあり、「大衆迎合」の政権移行に、禍根を残す結果になりそうだ。

 特に、良きに付け悪しきに付け、小沢さんの存在は大きい。

 今回、たまたま「不起訴」になったとは言え、100%有罪に持っていく決めてとなる物証が、今までの処、見つからなかっただけのことである。人により、その評価は違っても多くの疑惑が報道されたのは確かだ。

 小沢さんは、幹事長続投に「鳩山さんの後ろ盾がある」ことを強調する会見を行なっていたが、実情は違いようだ。小沢さんは「がんばって一生懸命やって欲しい」と言われたと言うが、鳩山さんのぶら下がり会見では、「そんなことは言っていない」という。「このままやっていいか」と聞かれたので、「はい」とだけ言ったという。

 代表である鳩山さんと、幹事長である小沢さんは、もっとしっかり議論すべきであるが、たった15分ぐらいの話し合いしか出来ないことに政権与党に不安を感じる。

 今、鳩山さんは、小沢さんと一線を画する動きをしているとも見られる。その一つが非小沢派の枝野さんを閣僚に選んだことだ。優秀な人材を小沢さんとの関係だけで干すなんてことはあってはならないことだ。

 小沢さんの立場は、何かトヨタのプリウスの苦情処理にも似ている。

 品質には自信があるトヨタは、車体の欠陥にしたくないだけに、フィーリングの問題と位置づけリコールを拒んできたが、世間の批判にリコールに踏み切らざるを得なくなった。
 民主党も、小沢さんを「金権体質、資質の欠けた政治家」にはしたくない。今まで小沢さんに付きまとった悪いイメージは、メデイアの作り上げたフィーリングの問題だと言っているようなものだ。しかし、90%の人は「説明責任を果たしていない」と思っているし、70%の人は「辞任すべきだ」と思っている。

 ここまで来れば、民主党は小沢さんをリコールすべきである。

 小沢さんは、今が潮時だ。幹事長を辞任し離党するか、議員を辞職し、騒動を収める公人としての責任がある。

 民主党は、「脱小沢」で本来の民主党の政治をめざし、政権交代に応えるべきである。

2010年2月7日日曜日

「検察vs小沢」:この構図では、「政治とカネ」の問題が歪曲化しないか


 大山鳴動でも「小沢不起訴か」という感は否めないだろう。民主党議員からは、「これで小沢の潔白が証明できた」、「これで一区切りできる」という安堵感も流れているが、小沢起訴/不起訴の判断は紙一重だった感じもなくはない。

テレビでの討論を聞いていると、「検察vs小沢」の構図になっている。小沢よりと思われるコメンテーターや社会派と目されるコメンテーターは、検察の捜査手法も問題にする。「1年以上前から一人の議員をピンポイント攻撃している」とか、「国会議員を党大会前、国会開催直前に逮捕したことへの政治介入の疑い」があるとか、収支報告書の「形式的なミスで強制捜査の必要があるのか」と。

一方、地検特捜経験者の弁護士は、いままでの経験から、検察の捜査の正当性、何故不起訴になったのか、小沢さんの政治資金の疑惑は、今後3人の秘書の公判で明らかにされるだろうと解説する。

司会者は、「不起訴になっても、疑惑は残る」というが、ほとんどの国民を代弁している。

 小沢さんが勝ち、検察が負けたという問題でもないのだ。そう言う視点で考え、議論すると「政治とカネ」の問題は歪曲化され、結論、対策が間違ってくる。

 今回の事件で明らかになっていることは、政治資金規正法違反が余りにも格下の形式犯事件とみられていることは意外であった。過去に修正申告、罰金で済んでいたからと言って、今回もそれでいいとは限らないだろう。要は公明正大な議員活動を国民の監視下におく、重要な法の趣旨から考えて、今回の虚偽記載は悪質性が高かったのだ。

政治家の不正行為、政治的・道義的責任を許してはいけないが、国会議員への強制捜査の是非も問題になると思う一方で、小沢さんのような巨額な疑惑事件を放置/許して良いのか、期限の迫った事件へ、どんな捜査法があったのか。

このままで行くと、メデイアを通して公判の度に、裁判闘争に巻き込まれそうである。

しかし、大事なのは金権体質を排除し、政治家の公明正大な政治活動を目指し、「政治とカネ」の問題にしっかり取り組み、国民の不信払拭に応えなければならない。

そのためには、あらゆる機会を通じて、小沢さんが国会で説明すべきである。自民党で総理候補の一人だった加藤紘一さんが秘書の不祥事事件で、政治家としての責任を追及されたとき、証人喚問に出席され責任をとって議員を辞職すると発言された。小沢さんだって、出来ないわけはないだろう。出来ないのであれば、政界一の実力者と崇められる価値はないし、その人材でもない。

鳩山さんは「折角政権交代したのだから、ここでくじけない」と会見で発言し、「古い政治に逆戻りしてはいけない」とも言った。何のことはない、政権トップ2人の政治資金疑惑をはじめ、今の民主党を見ると、以前の自民党以上の悪さではないか。

 この小沢問題も、政治資金規正法改正や、もっと大事な「雇用、経済対策、予算審議」とすり替えられようとしている。それも大切であるが、「政治とカネ」の問題は国民から負託を受ける国会議員の資質に関することで、政治以前の問題なのだ。

「検察vs小沢」の構図で「政治とカネ」の問題を歪曲化しないように注意しなければならない。

2010年2月6日土曜日

政権の悪さ加減:これでは自民党の方が、まだマシでは


の「政治が変わるんです」、鳩山さんはマイク片手に、聴衆に向かって叫んだ。自民党政権と同じようなバラマキ予算や180度逆の政策実施もマニフェストで訴えた。民主党hあ野党時代、威勢の良いことを言って自民党政権を攻撃したが、民主党が政権を執ってみると、幻想を抱かせるモノであった。

 選挙制度のために、取得票以上の議席数を得たときから、識者が危惧していた権力の二重構造どころか、小沢さん独走が目立つようになってきた。

 今、民主党政権は何ら依然の自民党政権と変わらず、やけに野党になった自民党の主張の方が「真っ当さ」を感じる。どの政党でも、「政権に就くとやることは同じ」ではないかとも思える。

 「開かれた政治」が期待できると思ったが、政策決定のプロセスはだんだん見えなくなってきた。党高官低の権力バランスでは、なおさらである。

 利益誘導の利権構造を打破すると見られていたが、幹事長に一極集中することにより、形を変えて利権が温存された。

 永遠のテーマである「政治とカネ」の問題を相変わらず引きずり、「クリーン」が売りのはずが、かえって12億円とか21億円という巨額の金権体質は、自民党以上のモノがある。今回の小沢さんの政治資金規正法虚偽記載の共犯事件での不起訴処分は、起訴を紙一重であったことが、その後の新聞の検証記事から明らかだ。

 その小沢疑惑事件での会見や国会審議からも分かるように、鳩山さんは国民全体の総理であるはずが、民主党の代表の域を出ていない発想が続く。総理に資質に欠ける人であり、自民党と変わらず、世襲議員の言質のひ弱さを浮き彫りにしている。

 そして、国民に信を問うていない小沢改革が、傀儡政権の元で着々と進められているのが気になる。鳩山さんは、何の決定権もなく右往左往するばかりで、リーダー・シップに欠けるという評価が付きまとう。

 更に最悪なことに、民主党内のあまりにも閉塞感が大きいことだ。カリスマ小沢への傾倒は違和感がある。国会議員は、国民の代表として1人1人が独立して行動しなければならないが、小沢さんの考えを忖度しすぎて、異常は行動に出ている。

 小沢さんは、常々「本当の民主主義を目指す」と言うが、これが小沢さんの言う民主主義の一端なのか。だとすると恐ろしい政治が始まろうとしているのだ。
 それとも、小沢さんの存在で、民主党が目指す政治が大きく狂ってきているのか。

 政権の悪さ加減は,まだ自民党の方がマシだ

2010年2月5日金曜日

政治資金虚偽記載:やるべきことをやらずに、助かる不思議


政治家の政治活動は秘書と一体のものであるが、「秘書のやったこと」で法違反を逃れる政治家には、困ったモノだ。

 今回の小沢さんの土地取引に関する政治資金規正法での虚偽記載に関し、小沢さんは「知らなかった」「秘書に任している」と関与を否定する発言、供述を繰り返していた。4億円、或いはそれ以上の政治資金の動きに関与していなかったとは驚きである。

 しかも、一般人には考えられない現金でのタンス預金であった。金丸さんが逮捕されたきっかけは、ワリシンだったと思う。銀行や証券会社を通すと、カネの流れを容易に追跡できるが、現金では難しいらしい。

それにしても不思議な資金繰りだ。検察が疑っても不思議ではない。

政治資金規正法は、議員の公明正大な政治活動を、国民の監視下におけることを目的にしている。その政治資金収支報告書に、誤りがあってはいけないのだが、小沢さんには巨額な資金の虚偽記載(不記載)があったのだ。小沢さんは、単なる形式的ミスと言うが、本来は正確さを期さなければならないものなのだ。

 その収支報告書の内容を把握していないこと自体が異常としか言いようがない。

 今回の教訓の一つが、「政治家が本来やらなければやらないことをやらずに、助かった」ということだ。しかし、小沢さんは「代表者である私に責任がある」と、政治的、道義的責任に言及したが、どんな責任で、どうとるつもりなのか。政治家の責任とは、役職を辞任するか、議員を辞職することだと思うが・・。

政治家の責任に、「秘書の壁」などあってはならない。

問題が多い政治資金規正法を改正しようという動きがある。民主党は企業、団体の献金を全面禁止にしようと言う。自民党は、解党時に政党交付金をある団体に寄付することを禁止し返還するようにしようとしている。すべて小沢さんの政治資金の疑惑から出てきた問題だ。

ところが、政治家が自分たちの首に係わる法令をフェアーに作成するとは思えない。ここは政治資金を監視しているオンブズマンや市民団体に改正案を策定してもらい、議員立法で国会へ提出した方が良いのではないかと思う。
国民は、政治家に税金を盗まれないようにしっかり監視する必要がある。そのためにも政治資金規正法の積極的な改正が必要だ。本来やらなければならないことをやっていなかったために罪を逃れることなんて、あってはならないことだ。

田中正造が言う「国民監視怠れば、為政者盗人になる」という警告は、今も十分に生きている。

今の民主党にNO!


小沢さんの土地取引の原資疑惑は、「嫌疑不十分」で小沢さんは不起訴になったが、秘書ら3人は虚偽記載で起訴になった。検察の捜査手法に異を唱える人もいるが、自民党から引きずってきた金権体質の小沢さんの政治活動、政治資金改革の必要性を説きながら自ら疑わしい行動をしてことにメスが入ったことには意義がある。

検察の説明責任を求める人達は「何故、検察の記者会見にテレビなどを入れなかったのか」というが、東京地検はNO2の次長と特捜部長の2人が、1時間以上にわたって会見している。顔が映らなかったからと言って何の問題があるのか。3人の公判で明らかになっていくことだ。

検察も「100%有罪に出来るかどうか」が起訴か不起訴かの判断のポイントになったと言う。朝日新聞によると「報告書は、小沢先生の了解を得て提出した」という石川さんの供述をどう見るかで検察は割れたようだが、その了解内容が疑わしいらしい。

兎に角、今回の市民団体からの告発である政治資金規正法違反の共犯では、小沢さんは不起訴らしいが、市民団体は検察審査会に不服申し立てをするという。2回「起訴相当」の判断が出ると、強制的に起訴されることになる。

今後も機会ある毎に、小沢さんの金権政治が報じられることになる。その度に政権トップ2人のダーテイーさが浮き彫りになり、民主党のイメージは落ちる一方だ。

検察の不起訴処分を受けて、民主党内には「一区切り出来た」「小沢さんの潔白が証明できた」「幹事長を辞任する理由がない」等という小沢側の議員がいる一方で、「政治的、道徳的責任がある」「世論によっては辞任もあり得る」とか「辞任すべきだ」という反小沢側の発言もある。

 小沢さんは「総理から指名された幹事長を続投する」と言うし、鳩山さんは「幹事長続投は当然」とのスタンスだ。

 小沢さんは、秘書らの起訴に当たって「監督責任は私にある」と言及しているが、その責任をどうとるつもりなのか。鳩山さんは「小沢さんの監督責任」をどう考えているのか。自らも母親からの巨額な献金問題があり、その責任については、同じように背負っているのだ。

 不甲斐ない2人が率いる民主党に期待できるのか。
 大幅な税収減で選挙前に掲げたマニフェストを実現しようと思うと、大きな赤字財政に突き進まなければならない。子供手当の支給も赤字財政の要因になるが、鳩山さんは満額支給に拘る。民主党のマニフェスト実現は、選挙前とは事情が大きく変わっているのだ。

 衆議院では、民主党が圧倒的多数を占めているが、「政治とカネ」の問題での自浄作用は機能しない。野党自民党が要求している小沢さんの参考人招致、証人喚問がどうなるか、石川議員の辞職勧告決議案の取り扱いでは、民主党の自浄能力が問われる。

どの政党が与党、野党になっても国会の自浄能力は極めて低い。本人がその気にならない限り、可能性は皆無なのだ。

当然のことながら、最後は国民の判断だ。

すぐ結果の出る長崎県知事選、今夏の参議院選、そして要所要所で実施されるメデイアによる世論調査だ。

その前に民主党自身がどういう自浄能力を発揮できるかだ。

2010年2月3日水曜日

小沢幹事長不起訴:それでも深まるばかりの疑惑

3日の朝日新聞朝刊の「小沢氏不起訴検討」の記事を見て驚いた。よく見ると観測記事のようだ。他の新聞はどうかと思って、毎日、読売を買って読んでみたが、それらしい記事はない。
 ネットのニュースサイトも確認したが、毎日が不起訴報道について鳩山さんの「冷静に見守る」とのコメントを載せているだけだ。朝日のニュースは何だったのか。記者が検察の誰かに「どうですか」と来たときに、「うーん、なかなか難しそうだね」と言ったのがこんな記事になったとも思えた。

読売新聞は、国会議員資産公開法での「資産等補充報告書」でも小沢さんには記載漏れがあると報じている。至る所で隠さなければならなかったカネを持っていたのだ。

しかし、ついに夕方「不起訴の方針固まる」のニュースが流れた。

 今回の不起訴処分は、政治資金規正法違反の共犯での起訴を見送ったことだが、検察部内でも異論があるというから、嫌疑はあるが、立件しても100%勝てないと言うことだ。秘書が2~3人起訴されても、政治家は「知らぬ」、「聞いていない」、「見たことがない」で逃げ切れる政治資金規正法は大ザル法だ。

 今回の小沢さんの土地取引疑惑問題で、いろんなことが明るみになった。他の国会議員には見られない巨額の不動産取得の実体、全員が口をつむぎ疑惑解明に腰の重い民主党の体質、小沢派と反小沢派の駆け引き、代表としてのリーダーシップが取れない鳩山さん。

民主党にはがっかりした人も多いだろうが、小沢さんが辞任するかどうかは余談を許さないと言う。

小沢さんが幹事長を辞任する可能性はあるのだ。

更に、小沢さんには、まだ脱税の疑いも残されているし、解党時に巨額の政治資金を自分の関連する政治団体に寄付した問題も残されている。これは国民1人当たり250円にあたる政党助成金二十数億円を自分かってに使えるようにしたことになる。

国会議員は、自分が罪を認めない限り、ハードルが高く立件は難しい面もあるが、例え立件が出来なくても、政治的、道義的責任がある。小沢さんのようにカネに汚い政治家が日本の政界の実力者であることに違和感がある。

また、4日には長崎県知事選が告示され、参院選の前哨戦として注目を集めることになるが民主党にとっては「逆風」になるだろう。小沢さんが幹事長でないと選挙に勝てないと言うが、今までの11の選挙の結果は、民主党は4敗7勝の惨敗なのだ。

2010年2月1日月曜日

小沢土地取引疑惑問題と朝青龍暴行疑惑事件との相似点




 政界は、小沢さんの土地取引問題で大きく揺れ、」国会では「政治とカネ」の問題で鳩山総理が矢面に立っている。一方角界では、横綱朝青龍の暴行事件がスポーツ紙やワイド番組を騒がせている。

 不思議なことに、民主党、日本相撲協会共に自浄能力を失している様相だが、今やっと民主党では反小沢派と思われる議員から「事情が変われば、責任をとらなければならない状況になる」という発言も出てきた。

 小沢さんは、民主党という公党の実力者で政治資金規正法違反に問われ、朝青龍は角界では大横綱で、傷害罪(?)に問われる事件を起こした。この2つの疑惑事件を同時に比較することは勿論出来ないが、2つの事件に相似点を見ることが出来る。

 一つは、それぞれ組織を守ることに専心している、二つ目は本人の説明が不十分なために、憶測が飛び交い混乱し、対応が後手になっている、三つ目は解決には辞任しかないことだ。

 小沢さんは、単なる形式犯だと言うのであれば、正式な修正申告をすればいいのだ。それを早く提出して、検察やオンブズマンの再チェックを受ければすむ問題ではないのか。朝青龍は、「酔っていたので覚えていない」と言いながら「殴ってはいない」と矛盾したことを言っている。周りに沢山の関係者もいたのだから、真実を報告すべきである。

 どちらもそれぞれの世界では実力者だ。国民に対して説明しなければならないが、出来ないのは「罪悪感」があるからではないか。

 これらの疑惑事件を考えるとき、「今」を重視するのではなく、「将来」を考えた対応を急ぐべきである。

 小沢さんが辞任すると、選挙に勝てない、寄り合い所帯の民主党をまとめきれないというし、朝青龍がいなくなると相撲の人気が落ちてくると「今」のことしか考えず、対応が間違ってくる。

 本当は、チョット先のことを考えて対応すべきである。小沢さんは、辞任し、朝青龍は解雇されるのが一番の解決策である。一時の混乱はあるだろうが、民主党、日本相撲協会にとっては、生き残れる道である。