2018年11月30日金曜日

今日の新聞を読んで(201):今一番大事なことは「チョット待てよ」と疑う姿勢か


今、あらゆる局面で大事なことは「チョッと待てよ」と疑う姿勢ではないか。数学者で著述家のガードナーの言った言葉らしいが、今、偉大な仕事を達成させたノーベル賞受賞者が「教科書に書いてあること、人の言うことを疑え」というが一番大事なことではないか。

今年ノーベル生理医学賞を受賞した京大名誉教授の本庶先生も同じことを言っていたし、以前受賞した利根川進先生も「教科書に書いてあること、権威者の言うことを疑え」いった。

読売新聞(2018.11.30)の編集手帳で科学懐疑主義を論じていることが目に留まった。中国の研究者が「ゲノム編集技術」を使って双子を誕生させた」ことを、科学信奉の隙間をつきエセ科学者が次々に現れても不思議ではないというのだ。

中国の研究者が遺伝子を効率に改変できる「ゲノム編集」技術を使って受精卵を操作し双子を誕生させたというニュースはセンセーショナルなものだった。私にとっては、理研の当時の若い女性研究者がSTAP細胞の研究を発表した時と同じ衝撃だった。

しかし、研究手続き、倫理、透明性などの欠如が指摘され「無責任で国際規範に反する」と批判され、国際会議の組織委員会が「第三者が独立した検証を行うこと」を提案した。中国人だったらやりかねないでは済まされない。

専門家の間でも疑いを持っている者も多い。だが、素人が「すごい」と感心してばかりはいられないのだ。大きな出来事には「チョッと待てよ」という姿勢が必要なのだ。

確かに今までもSTAP細胞のほかにも超電導でも突き詰めれば似非科学だったことがわかる例もある。

国内外を駆け巡るニュースも「チョッと待てよ」という姿勢で見直すと本質がわかってくるのだ。

特に政治の分野では安倍政権、与党自民党の言うことより野党の言うことの方が正しいことがある。野党の質問にも耳を傾けるべきなのだ。

外国人労働者の受け入れ(出入国管理難民認定法改正案)は今国会での目玉政策であったが内容は十分に煮詰まっているわけではなく、スカスカの「ざる法」と批判された。法務大臣の答弁も「検討中」が多かったらしい。外国人労働者を受け入れなければ日本がやっていけない人手不足が到来しているのだ。経済界からの強い要望があってのことだろうが、外国人労働者を多く受け入れることにより発生する社会問題、行政問題をクリアーしていないのだ。

10日までに成立させるというが、参院での与野党質疑を真剣に比較してみようではないか。

憲法改正では9条に自衛隊を明記することにより「自衛隊違憲論」を排除できるというがそんなに簡単に行くものか。むしろ逆に激しい違憲論が出てくるのではないか。自衛隊違憲論があるがために海外での自衛隊の活動がコントロールされているのではないか。為政者の思うが儘の国際貢献をやることができるし、米軍と一体となった行動もできやすくならないか。

「モリカケ」問題での安倍総理夫妻の憲政史上まれに見る疑惑事件は引責辞任に値するが責任を取ろうとしない。なぜなのか。

北方4島返還、拉致問題はあわよくばプーチン大統領の罠にはまったかもしれないし、拉致問題は「解決済み」の一点張りだ。安倍総理の発言に信頼性があるのか。

辺野古移設問題は安保条約との関連で地方自治体がどうこうできる問題ではないと思うが、在日米軍の問題は大きな政治問題で沖縄に大きな負担をかけ続けることはできない。2月に県民投票も実施される予定だが全国民が注目すべきだ。

秋篠宮の大嘗祭での問題提起は17億円と言う無駄遣いをやめようという提案でもある。政治的発言と批判されているようだが、無駄が多い。伊勢志摩サミットではプレスセンターを新たに作ったが会議が終わると解体してしまった事例もある。

リニア―新幹線建設は投資額、コスト、難工事と課題が多い計画である。いつ起きるかわからない関東大震災などでの代替交通路と考えられているようだが、どうだろうか。

消費税増税も賛否両論だが軽減税率では批判もある。安倍総理は「やる」と言っているが専門家の間では景気後退の恐れもあり反対するものも多い。財務省がよく言うことに国、地方合わせた謝金が1000兆円を超え、今1090兆円になっている。対GDP比245%ともいわれている。

これに対しては負債ばかりでなく純資産もあり考慮するといわれているほど大変なことではないという。国会でしっかり審議してほしいと思うが財務省の考えは変わっていない。

政治と言うものはあいまいなままで実施されるものなのか。曖昧だからこそ何かあったときにノラリクラリと責任回避できるのか。

政治問題だけではない。今は、教養番組、クイズ番組でも今までの教科書の記述が間違っているようだ。私たちが習った歴史とはずいぶん違っている。「教科書を信用するな」が理解できる。

テレビの「やらせ」も社会問題になり、社長が謝罪する始末だが、「事実」と見ている人間が多いのか。テレビの内容こそ「チョッと待てよ」の姿勢が必要ではないか。

疑ってばかりいるのもよくないが、「何の疑いも持たず信じている」こともよくない。

物事の本質を知るためには反対意見に耳を傾けるべきだ。「疑ってチョッと調べてみよう」と言う姿勢が大事ではないか。



2018年11月29日木曜日

GDP減対策でIMFが外国人労働者の受け入れを提案するタイミングの良さ


IMFが28日、日本経済年次審査報告書で少子高齢化で日本経済は縮小することを回避するために外国人労働者の受け入れを提案してきた。目的はGDPの減少対策であるが、なんとタイミングのよいフォローではないか。

折しも日本では外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理難民認定法改正案が28日、参院本会議で趣旨説明、質疑で審議入りし10日の会期末で成立、来年4月制度導入が決まっている。IMFには日本からの出向者も多い。安倍政権をフォローする目的があったのではないか。

ところがこの法案は今国会の目玉政策であるが、制度の全体像が見えず、「生煮え法案」というよりもスカスカのザル法、委員会の質疑でも法務大臣は「検討中」を連発するほどだった。

在留資格に「特定技能1号」「特定技能2号」を新たに創設、単純労働を含め外国人の就労を認めるのだ。ところが業種、人数に「上限」があるのか、生活支援策や地方自治体の準備、地元住民との関係などは民間任せ。待遇はどうなるか、今より高い賃金を求めて失踪が問題になっている。賃金の安い地方での確保はどうか。

野党の質問に十分答えられていないのが現状だ。

移民を問われて、安倍総理は「移民ではない」と言う。国連は今、移民協定で揉めている。トランプアメリカに倣って「不参加」が増えているのだ。

日本の経済を維持するために必要なのか。入管難民改正法案では5年間で、34万人を予定している。これでGDP550兆円から600兆円を目指せるのか。

業種によっては人手不足で事業縮小、廃業する例もある。外国人労働者を受け入れれば事業は拡大できるし、農業、漁業、建築、土木、清掃などのサービス業、医療、介護分野など人手不足の業種は多い。

IMFも女性、高齢者、外国人労働者の活用を訴えている。

業務を拡大し働く人が増えれば賃金を払うのでGDPは伸びる、日常生活での消費も増えればGDPも増える。万一治安が悪くなると警察官を増員するためにGDPは増える。彼らが医者にかかれば医療費が増えGDPも増える。

GDPが増えることは間違いないだろうが日本人と外国人との日常生活でのトラブルは増えるだろう。行政サービスでは問題も多い。今でもいろんな問題を起こしている。安倍政権はそういった問題を解決する前に、経済界が要求する人手不足対策を何故、急ぐのか。

IMFは日本の実質GDP伸び率を18年度1.1%、19年度0.9%と予測している。相変わらず先進国一低い。

日本経済で今一番重要なのは内需拡大だ。外需に頼らない内需拡大は外国人労働者の受け入れで対応出来るのか。

迷えるトランプ外交:個人的信頼関係だけで外交が出来るほど甘くはない


迷えるトランプ外交か、個人的信頼関係だけでは外交はできない。それを証明するような状況が続いている。トランプ大統領は「保護主義」「アメリカNO1」を掲げてアメリカの国益を守ろうとしているが、相手国も自国の国益(?)を守るためにやってることがトランプ大統領の意向に反しているのだ・

先のAPECに見るようにアメリカ・トランプ大統領の外交姿勢が世界の協調をかき回す状況で、それが世界の外交のあらゆるところに現れている。

トランプ大統領は個人的信頼関係を築き関係改善を目指そうとしているが相手も相手で一向にお構いなしに好き勝手なことをやってくれるので妥協の道など閉ざされているのだ。

あれだけ騒がれた北朝鮮との2回目の米朝会談も年内から年明けに先送りされた。アメリカが主導する「非核化」への道筋が描けないのだ。一方で、北朝鮮はミサイルの開発など逆行する動きをしている。「これじゃだめだ」とトランプ大統領は国務長官に下打ち合わせの訪朝をやめさせた。

それでもトランプ大統領は金委員長は信用できるという。信頼関係を維持しているのだろう。トランプ大統領にしてみれば金委員長との信頼関係に価値を見出しているのだろうが、いつまで通用するのか。

プーチン大統領との米ロ関係修復会談も怪しくなってきた。ウクライナ海軍艦艇拿捕事件が発生し大統領選を控えポロセンコ氏にロシアの脅威を思い知らせる目的があったとニュースは伝える。

トランプ大統領はロシアゲート疑惑も報じられ司法関係閣僚の更迭を強行しているが、ロシアに対しては友好関係を保ちたいようだ。しかしこれでは対ロ融和姿勢は厳しくなりアルゼンチンでのG20首脳会談時の米ロ会談は難しくなった。

対中国は厳しさを増すばかりだ。トランプ大統領と習主席が友好関係にあったかどうかは知らないが、習主席の覇権主義、安全保障を守るためにも対中貿易赤字は見過ごせない。高関税の掛け合いも第4弾を打ち出しこれで輸入製品のすべてにかかわってくる。

中国はアルゼンチンでの米中首脳会談で「休戦」を持ち出そうとしているが、AIの国有企業への補助金、顧客データの取り扱い、知的財産、技術移転、関税で中国の構造的変化をアメリカは望んでいるのだ。

フランスとも関係が悪い。100年記念式典でマクロン大統領はトランプ大統領の前で「国家主義は愛国心の裏切り」と批判、NATOへの負担金増額要求に独自の「ヨーロッパ防衛軍(?)」の設立を訴えトランプ大統領を嫌悪にさせた。

日本も御多分に漏れずトランプ大統領と安倍総理の友好関係だけでは解決できない問題を抱えている。二国間貿易協定、新しいルールとして「為替条項」、対中軍事拡大ではF35を80~100機購入するらしい。

国際舞台で孤立するトランプ大統領も習主席の覇権拡大、一帯一路構想にインド太平洋インフラ整備構想を打ち出し日本にエールを送っている。

トランプ外交が続けば自由主義国の軋む政治の隙間をついて中国、ロシアがくさびを打ち込む。

国際的取り決めもできない状況が続くのか。

米が報告した地球温暖化にかかわるレポートに国際的対策が不十分で米経済に深刻な影響を与えると「私は信じない」と言うのだ。

国連の移民受け入れにも米国の政策が大きく影響している。国連の移民協定に不参加の国が続々出てきている。

一方、アメリカ国内でも矛盾が出てきた。GMが5工場を停止し、1万4千人を削減し、大型車、電気自動車、自動運転車に資本投入を強化すると発表したとたん、トランプ大統領は反発したという。

先の中間選挙ではトランプ支持者が減り上院では勝ったものの下院では負ける結果になった。2年前にトランプ大統領を支持した層が離れていっているらしい。それでも人気があるのはトランプ大統領の外交を支持してのことか。



2018年11月28日水曜日

ゴーンvs東京地検特捜部:有価証券報告虚偽記載で地検に勝算があるのか


日産の有価証券虚偽記載でゴーン容疑者と東京地検特捜部の熾烈(?)な戦いが繰り広げられているようだが、地検特捜部に勝算があるのか。ゴーン容疑者らの逮捕後、次々に明るみに出る日産の不正経理、有価証券報告書の虚偽記載も常識外れの巨額な内容、100億円以上の報酬を50億円過少記載したことでゴーン容疑者の罪が立件できるのか。

ところが、それ以外にも私的活用、投資資金の私物化、姉への報酬支払など特別背任、横領罪の疑いも出てきた。

これだけの内容を見ると脱税の疑いも出てくる。日産がどういう税務処理をしていたのか。おそらく国税も動いて内偵調査しているはずだ。脱税が立件できればゴーン容疑者はアウトだ。

専門家の間では形式犯と軽く見る向きもあるが、罪は10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金刑だ。決して軽いものではない。地検特捜部の考えに賛成だ。しかし有罪を立件するのはハードルが高いとみる専門家もいるが積極論を打つ専門家はいない。他の専門家も難しい事案と見ているのか。

しかし、これだけの不正行為だ。ゴーン容疑者に協力していた執行役員クラスの人間がいるはずだ。その人たちが司法取引して悪事を暴いているのだが、日産本体、日産の現経営陣にも責任追及はあるだろう。

現経営陣も「自分は助かりたい」で及び腰になっては事件の解明はできない。「自分も責任を取らなければ」と腹をくくるべきだ。そうでないと5工場の閉鎖、2万人を超えてリストラされた元・従業員にしめしがつかないだろう。多くの犠牲を払ってのV字回復なのだ。

今まで報道されたお互いの主張点をまとめてみた。

概要は、ゴーン容疑者の高額報酬が株主や世間の批判を受けることを恐れて実際には100億円以上あった報酬を有価証券報告書には50億円過少記載し株主をだましたことになる。その差額を「後払い」する「覚書」を作成、退任後にゴーン容疑者が受け取る手はずになっていた。ところがこの「後払い」の確実さが主張点の大きな違いになってきた。

その後ゴーン容疑者の不正行為が次々に明るみになってきた。どこまでは私用でどこまでは公用か。ほとんど日産を私物化していた疑いが大きい。

2兆円の有利子負債を2年間でゼロにした実績からこれぐらいのことはやってもいいだろうと間違った考えが芽吹いてきたのか。それとも本質的にゴーン容疑者はおカネにきたなかったのか。裁判官の心証にも影響するか。

東京地検特捜部の考え方

開示額を過少記載、「覚書」を作成、後払い」をさせること、未払い額を退任後に受け取ることにした時点で故意も立証できるとみている。形式犯と言う専門家もいるが罰から考えて決して軽い罪ではないという。

世間では「軽い事案でたいそうなことをやっている」と批判する専門家もいることに反論したのだろう。

ゴーン容疑者の考え方

「後払い」と言っても確実に支払われることが決まったわけでなく記載は不要という。日産は積み立てもしていないし日産の利益の中から支出されるという。弁護士と相談してやっているので違法なことはやっていないと反論する。場合によっては「クーデター」を言い出すかもしれない。日産と検察が組んだ国策捜査と言うかもしれない。

専門家の考え方

受け取りの確実性があいまいで罪を問えるか。いずれにしてもハードルが高い。

問題点として、役員報酬の虚偽記載が株主の投資の判断を左右させたか。これには株主総会でも高額報酬に批判が集まっていた経緯もあるし、株主代表訴訟も考えられる。

民事訴訟となると、イメージダウンもあり高額な賠償額が示されるだろう。

そして、特別背任、横領に加えて脱税の可能性だ。これが立件されるとゴーン容疑者もたいへんだろう。

法解釈の問題もあるがあまりにも不正金額が大きすぎる。「一般社会通念上」どう考えるか。世界的な(?)カリスマ経営者とみられるゴーン容疑者だ。カネに糸目をつけず大物弁護士を付け反論してくるだろうし、日本司法の在り方が国際的に問われる事態になるだろうが、東京地検特捜部はひるまず日本の法律で処罰してほしい。

グローバル化で日本企業も外国人経営者を招へいすることがはやっているが日本人の感覚とは違う。昔の日本企業のよき習慣も失われているが、日本経済に一番大事なのは「内需拡大」だ。グローバル化に目を向ける外国人経営者に内需拡大が期待できるのか。




2018年11月27日火曜日

今日の新聞を読んで(200):野党の国会召集要求を内閣が無視するのは憲法第53条違反では


憲法53条(臨時会)の臨時国会招集権を内閣の「統治行為」で排除することは明らかに違憲である。憲法53条によると臨時会の招集が要求されたとき、内閣は迅速に召集すべきである。

昨年6月、野党から召集要求があった時、安倍政権は不当な理由を挙げ応じず、98日経ってはじめて召集したが、審議にも入らず衆院を解散する暴挙に出た。これに対して立憲民主の高木議員が岡山地裁に「憲法53条違反」として国を相手に国家賠償請求訴訟を起こし今、岡山地裁で係争中である(朝日新聞2018.11.27)。

忘れていたが、重要な訴訟だ。安倍政権の姿勢が追及されるべきである。憲法の規定をしっかり読めばこんな民主政治を否定するような事があってはいけないのだ。ところが国民の基本的権利を守るべき裁判所が内閣に関わる行為に対して判断を忌避する行動に出やすいのだ。

報道によると、高木議員は当時、「森友、加計学園問題」で真相究明するために臨時会の召集を要求したが98日間も放置された。しかも臨時会が招集されると審議にも入らず安倍政権は解散に打って出たのだ。

この是非に関して国は、過去の最高裁の判例、所謂苫米地事件を持ち出し、「国会の召集について、内閣の意思決定の当・不当について裁判所が司法審査権を及ぼすことは、憲法に定めた内閣と国会との関係が損なう事になりかねない」と言い切ったというのだ(同上)。

憲法は少数派の権利として臨時会招集要求権を認めているのに国は「統治権」を持ち出して要求に応じないのは明らかに憲法違反だ。

53条後半の記述は法的責任か、政治的責任かと議論が分かれているが、明らかに法的責任であると思う。内閣は法的責任を負い、要求があれば速やかに召集すべきだ。

期日も迅速でなければならない。昭和24年の吉田内閣の時に2ヶ月後に召集したが、余り遅くなると制度の意味がなくなる。外交、法案準備などの理由を挙げて抵抗することは憲法の精神から反するのだ。このときは「モリカケ」問題で安倍総理の責任が追及されるとこだった。安倍総理はそれを回避するためにいろんな理由を挙げて抵抗したのだ。

確かに法整備は不備だ。責任問題は生じるが、強制する法的方法がないのだ。

横畠内閣法制局長官も「法的義務」義務と認めている。

駒村・慶大教授は、「「高度の政治性」という大仰な議論ではなく、「適用すべき法的基準そのものが見当たらない」ので司法判断できないという論法に変化しつつある」と指摘、「「高度に政治的」というマジックで統治行為論を適用するのは81条を骨抜きにする」と指摘している(同上)。

安倍政権は憲法改正を急いでいるが、現憲もを守れない政権で改正を提案する資格があるのか。

憲法53条(臨時会)
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することが出来る。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

憲法81条(最高裁判所の法令審査権)
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。





今日の新聞を読んで(199):米は「保護主義」、中国は「自由貿易」、その理念は


米国、トランプ大統領の「保護主義」、中国、習主席の「自由貿易」、GDP1位のアメリカと、第2位の中国が世界経済の至る所でかき回し、APECでは共同宣言も出せない事態になっているが、アルゼンチンでのG20首脳会談ではどうなるか。

3位の日本は両国からのエールを送られ右往左往、仲介役など出来ない。

読売新聞(2018.11.25)「地球を読む 自由貿易論」で猪木先生は「歴史は、自由貿易を常に正しいとしたわけでも、保護主義を常に擁護してきた訳でもない。いずれを主張するにも目的と守るべき理念が求められる」という。

トランプ氏は「一国主義」以外の理念が不明確で自己矛盾を起こしていると指摘する(同上)。

欠けている「理念」とは何だろうと考えてみた。アメリカは「優位」、中国は「覇権」だろうか。

昔、貿易とは「比較優位の原則」で、それぞれの国が相手国に対して優位となる財、サービスを交易してそれぞれに利益があることと習ったことがある。ところが今は大違いだ。経常収支で、一方が大赤字を抱え、他方が黒字計上していては長続きする交易ではない。それがアメリカであり、中国だ。

トランプ大統領は寂れた産業とその地域の復興、失業対策で「アメリカよ再び」と「保護主義」を訴え、多国間交渉から二国間交渉へ。特に膨大な貿易赤字の解消に対中国に対して高関税貿易戦争に打って出たが、輸入額に大きな差があるため中国は関税へ「弾切れ」の状態だ。

しかし、アメリカも農業や米国産業でも打撃を受ける企業もあり、日常雑貨品も値上げになるために国内経済もマイナスの要因になってきた。

一方、中国は輸出市場拡大のために「自由貿易」を推奨する。習政権はアメリカに取って代わろうと「覇権」の拡大路線に出た。AIIBに始まり「1帯一路」構想、大幅貿易赤字、知的財産侵害はアメリカの安全保障にも関わる事態と判断、トランプ大統領は中国に危機感を抱いた。

しかし、中国も国際競争で有利になっているとは限らない。経済成長率6.5%で世界経済をけん引しているが投資資金の増大、国内生産増→過剰生産→在庫を抱えての製品の下落、中国労働者の労賃の上昇、格差拡大、「一帯一路」構想では相手国に債務を強要、反対のためのテロ行為も発生している。

このままでは中国の「覇権主義」も行き詰まるだろう。「一帯一路」構想に対抗しインド太平洋インフラ整備構想をトランプ大統領が打ち出した。日本にもエールを送られている。

ところがトランプ大統領は「一国主義」以外の理念がないために自己矛盾を起こしているという(同上)。

確かに国内経済政策とはかみ合っていない。法人税減税、金融や自動車の規制緩和で消費や投資が増え、これが経常収支の赤字の積み上げになっている。更には金利高→ドル高→輸出に不利と悪循環だ。

このままでは経常収支の赤字増大、更には悪化と自己矛盾が「裸の自己利益」だけを求める理念なき政策が早晩遭遇せざるを得ない運命ではないかと言うのだ(同上)。

アメリカは貿易で「優位」になろとしたが、益々「不利」になり、中国は「覇権」拡大を狙ったが共産主義政治には世界覇権の可能性は少ない。


2018年11月26日月曜日

西川・日産何処へ:ルノーは一歩退き、ルノー・日産・三菱の三者連合の再構築を


西川・日産は何処へ行くのか。日産・ゴーン容疑者の会長解任に始まる日産経営も難しい局面に入っていくと言うが、ルノーは一歩退きルノー・日産・三菱の三者連合の再構築を目指したらどうか。

ルノー、日産も三菱も三者連合のシナジー創出と競争力は認めているはずだ。売り上げも世界第2位だがルノー、日産単体では不可能だ。生産台数が大きければ資材購入での価格交渉も優位になる。

ルノーが日産救済に手を差し伸べたときは8000億円の融資が日産にとっては再建に大きな影響があったことは確かだが、今は立場も逆転し日産の技術力、日産車の生産なくしてルノーの経営は覚束ないという。

立場は逆転しているがルノーは43%の株を保有し、一方日産は15%ではルノーに議決権を握られた状態で不利な立場出ることは分かる。

ゴーン容疑者が解任された後、次の会長もルノーから派遣する意向を日産が拒否したのは当然だろう。

次期会長を現経営陣から社外重役3人が人選するという動きらしいが、ルノーが拒否したらどうなるか。まとまらず混乱するばかりだろう。

ルノーは今回のゴーン容疑者解任をクーデターとみているが西川社長は否定している。

以前は日産がルノーに恩義を感じたが、今はルノーが日産に恩義を感じなければならない。おまけにルノーが送り込んだゴーン容疑者の不祥事だ。ルノー側にも責任がある。日産を怒らすとルノーの経営にも障害が出てくる。

ここは、日本側に対応を任せたらどうか。ルノー・日産・三菱の三者連合を再構築すべきではないか。新しい構想の中でシナジー効果を発揮すべきである。



日産・ゴーン容疑者曰く「虚偽の記載する意図はなかった」と


日産・ゴーン容疑者が金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)で逮捕されたが、「虚偽の記載をする意図はなかった」と言っていることが新聞で報道された。同時に逮捕されたケリー容疑者も「違法なことをするつもりはなかった」という。

当然のことだろう。逮捕後接見した弁護士は容疑者に必ず言うことは「黙秘」か「否認」する事をアドバイスするだろう。今は「意図はなかった」と否定する作戦だろう。

しかし毎日メデイアが報じるニュースの「私物化」、「資金の私的流用」には驚くばかりだ。関係者のリークや独自の取材から得た情報だろうが皆よく似ている。

噂ではゴーン容疑者は大物ヤメ検を弁護士に付けたようだ。テレビのドラマでは弁護士が真実を追究するとばかりに容疑者の不利になることも追求しているが、そんな事はない。弁護士はあくまでも依頼者寄りの立場だ。

今回の容疑は虚偽記載の形式犯と見る専門家もいたが、特別背任、横領罪が適用される内容だ。民事訴訟も考えられる。

経営陣の一人が「ゴーン容疑者は正しいことをやったことはない。最後はカネだ」とコメントしているのを新聞で読んだことがあるが、カリスマ経営者の姿なのだろう。

日産vsルノー、日本政府vsフランス政府の構図も考えられる。真相をしっかり追求して欲しいものだ。

関連記事
2018.11.19掲載
東京地検特捜部、日産ゴーン会長を有価証券虚偽報告で逮捕、別件が大きいのでは

2018年11月25日日曜日

世界の潮流か:欧州に見るポピュリズムに押され、ポピュリズムに潰される不安定な政権


ポピュリズムに押され台頭したと思ったら、ポピュリズムに潰される。不安定な政権は世界の潮流なのか。国内の不満を政策に掲げて登場したが、ポピュリズム政権は基盤が不安定で賛否に右往左往しているうちにポピュリズムに潰されてしまう。そんな不安定な政権が世界中で台頭してきた。

チョッと前は英国の脱EUの賛否を問う国民投票はEU離脱賛成で当時の首相が辞任したが、十分な情報提供もなかったために、よく考えると離脱しなかった方がよかったということになり「やってしまった」意識が高まったが、メイ首相はEU離脱手続きで国内およびEUとの関係で苦労している。「再度国民投票を」という動きも出てきたようだ。

ドイツ・メルケル首相は移民、難民受け入れ政策で国民の反感を買い、21年に引退すると言い出した。フランスのオムロン大統領も人気度が低く、経済政策で大規模反対運動が発生している。

欧州経済ではギリシャ、イタリアが緊縮財政政策に反対し国内政治が不安定になっている。

ロシアのプーチン大統領も国内経済は停滞、クリミア半島問題でG8から除外され多くの国と国境問題を抱えているが、何故か国内では人気があるという。外交で強い姿勢を示していることが評価されているのか。

中国の習政権はアメリカを意識して覇権主義に走っている。トランプ大統領が危機感を持ち中国と争う姿勢を強めている。中国の対米貿易黒字はトランプ大統領にとっては許されず関税の掛け合いで米中貿易戦争状態だ。

一帯一路構想は中所得国の経済支援を表向きうたっているが本音は中国覇権だ。あまりの負債に支援を受ける国の政権が危うくなってきた。中国追放テロも発生している。アメリカはAPECでインド太平洋インフラ整備構想を打ち出し中国に対抗する。

そしてアメリカのトランプ政権だ。反エリート、反エスタブリッシュメントを掲げ衰退産業都市の住民、失業者、政管困窮者などポピュリズムの台頭で泡沫候補から大統領に当選した。「アメリカ第一」は偉大なアメリカの復調を願う無党派層などの支援を受けたが、2年間の実績と言うと不満もあるのだろう。

中間選挙ではトランプ大統領は「大勝利」と言ったが民主党に押され、下院では負けた。2年後の自分の大統領選にも危険信号がついたという。

そして日本はどうか。無党派層が40%を超え相変わらず何にかあると大きな動きになるだろうが、憲法改正、外国人労働者受け入れ問題、「モリカケ」問題、北方4島問題と統一地方選、参院選でどう動くか。

政策立案での政高党低の見直しを巡って岸田政調会長が動き出した。3年間の限定内閣、不祥事の続く閣僚を抱え安倍政権にどう判定を下すか。

そのうちに野党やポピュリズム政党のリーダーが出てくるか。昔の日本新党の細川さんのように地方自治体の首長経験者などが颯爽と出てくるか。しかし日本新党の寿命は短かった。自民党を除いて既成政党では共産党が頑張っているだけだ。

日本ではポピュリズムは無理か。自民党内の政権交代でポスト安倍は誰かと言うことになるのか。

2018年11月24日土曜日

トランプ化共和党、安倍化自民党:日米共に「民主主義の崩壊」に向かっているのか


アメリカのトランプ化共和党、日本の安倍化自民党、この2人の政治を見ると「民主主義の崩壊」に向かっているようにも思えるが、民主主義を守るために私達は何をすれば良いのか。民主的制度である選挙を通じて現れた指導者が反民主的行動に出たらどうすれば良いのか。

トランプ大統領で二分化するアメリカ、安倍総理が一強独裁色を強め、弱体化する野党の日本を見ると「民主主義は崩壊」に向かっているのではないかと思うが、そんな時、読売新聞(2018.11.22)の「米国は何処へ 民主主義 内部から崩壊」という記事が目に止まった。

「民主主義の死に方」の共著者、ハーバード大学教授のステイーブン・レビッキーさんとダニエル・ジブラットさんへのインタビュー記事だ。

主張点は「民主主義が'死ぬのは、民主主義的な制度を民主主義に反して使う指導者を選ぶ余地がある。こうした「内部からの死」に対して民主主義は本質的に脆弱なのだ」というのだ。

私達は民主的制度である選挙を通じて指導者を選ぶが、民主主義に反するような政策を打ち出す指導者は拒否できても、一旦指導者になった後で民主主義に反する行為を行うことが分かった指導者をどうするか。

アメリカではトランプ大統領が上げられるが、日本でも安倍総理の政局運営は民主主義に反していないか。

その手段として①レフェリーの掌握だという。裁判官、検察官、司法長官を掌握することだそうだ。トランプ大統領はロシアンゲート事件に絡み検察官、司法長官の人事まで口出しし更迭をにおわせている。

日本はどうか。安倍総理は自分の「モリカケ」問題で何処まで介入しているか分からないが内閣人事局制度は大きな介入手段だ。

②メデイアの支配。黙らせるような舞台裏での強迫などが上げられるが、CNNなどの記者との戦いはこれだ。他にもメデイア攻撃は尽きない。安倍総理もメデイアを毛嫌いしている。友好的関係にあるのは読売新聞で自ら所信表明に使うぐらいだし、各メデイアの関係者と会食して懐柔(?)している。これではメデイアも安倍政策を批判することは出来ないだろう。

③メデイアを間接的に攻撃。メデイアの買収を画策などがあるが、ここまで行っていないだろう。しかしアメリカではメデイアの経営は大変らしい。著名なメデイアが休刊する事態にもなっている。

では、民主主義を守るにはどうしたら良いのか。

独裁者を政権に入れることをどうやって防ぐかだ。民主主義ゲームに従わない事が明らかな人間に協力しないことだという。

最初から民主主義に反する行為、発言をし、はっきりしている人間を排除することは出来るが、政権に入ってから独裁色を強めた場合に反対派はどう行動すべきか。

これが難しいらしい。

次の選挙で民意を示さなければならないが、アメリカでは中間選挙でトランプ大統領は「大勝利」と宣言したが民主党が躍進した。それがアメリカの民意だろう。2年後の大統領選はどうなるか。

安倍政権も、一強独裁色の政権運営を行って来たが、来年の統一地方選、参院選が問題だ。恐らく自民党は議席を減らすだろう。メデイアの世論調査でも安倍内閣支持理由で「他の内閣よりマシ」だが、「安倍総理は信用できない」が高率で挙げられている。

まだまだ、アメリカ、日本共に「民主主義は死んではいない」と見るべきか。

インタビューの最後に「民主主義を救うことは、議員の座を維持する事より重要だ。民主主義が危機に瀕しているときには、政治家は自分を犠牲にしてでも勇敢に行動する必要がある」と。

野党議員は耳の痛い意見だろう。民進党が泥船と分かると自らの議員職を守るために危うい「小池新党」に走ったような事態は日本の政治史では頻繁に見られた現象だ。

有権者も野党議員も2人の教授の意見に耳を傾けるべきだ。

2018年11月23日金曜日

今日の新聞を読んで(198):「品質は現場で作り出すもの」ではないのか


「品質は現場で作り出すもの」ではないのか。今、メデイアを騒がせている日本を代表する大企業の品質不正問題には驚くばかりだが、これが大方の品質管理の本当の姿ではないのか。

日立化成の品質不正問題は今から約50年前の1970年代からはじまっていたと言うが、品質管理の国際規格ISO9000番シリーズは31年前に整備されたのでその時に見直していれば良かったのにどうしてしなかったのか。

一般的に品質保証部門は、営業、研究、製造部門に較べてアウトサイダーで、権限も弱く、納期、コスト、社内効率が優先だ。品質に関する最終責任は本社の営業部門の長で事業所長(工場長)ではない。

顧客も品質を要求するが、立ち会い検査はしない。お任せだ。免震ダンパーの不正も発注者やゼネコンが同イズテ立ち会い検査をやらなかったのか。

品質部門との人事の交流も少ない。リーマンショック後、人員整理はこう言う部門からだ。人は減らしたまま仕事が増えても増員しない。だから手が回らないのだ。

内部通報制度はあるが、するかどうかは迷う。評価を落とされたり人事で不利になる。改善につながるのはほとんどない。

一番悪いのは。経営者の意識だ。自社の製品に関しての責任が経営トップにない事が品質不正の原因になっている。経営者の日常業務上に品質管理を入れるべきだ。そうすれば品質管理部門の社員の意気も上がるし全社員の意識も改革出来る。

新聞報道によると、日立化成の再発防止策に経営者の意識改革、内部通報制度の信頼性を高め、品質保証の担当本部を設け監視や改善を指導するという。

今時、そんな事で良いのか。

JR東日本の社長が今までの事故を風化させないための施策をいろいろやっている事を紹介したテレビ番組を見た事がある。その時大事な事を言っておられた。

「安全は守るものではない。作り出すのだ」と。安全もそうだが、品質もそうだ。本部を設置し監視や改善をするのも良いが、「品質は現場で作り出すもの」ではないか。各製造工程で「品質確保」の手段を設け品質保証部門は最後のチェック部門なのだ。

顧客の要望、納期、コストも製造部門で作り出すべきで、それ以外の部門で作り出そうとすると不正が起きる。

品質保証、安全は経営者、企業が絶体に守らなければならない事だが、残念ながら意外に軽視されている。「カネ儲け」にならないとでも言うのか。




日産、ゴーン容疑者解任:西川、日産、ルノー、フランス政府も無傷ではいられない


日産はゴーン容疑者を解任したが、西川現執行部、日産、ルノーの法人、フランス政府も無傷ではいられないのではないか。ゴーン容疑者の不正経理、会社の私物化を長期に渡り放任した責任は重大である。

西川さんは全てが「ゴーン容疑者の長期政権による不祥事」と決めつけているようだが長期にわたりゴーン体制を維持してきた現経営陣の責任は大きい。

証券取引監視委員会が不正経理の指摘をしていたにもかかわらずゴーン容疑者が拒否していた事はガバナンスの欠如として経営者、監査役、社外取締役の監視を怠った責任でもある。

又、金融商品取引法では、法人の責任も問う「両罰規定」がある。これほどの不祥事を許していたことに対する株主への責任を考えると日産、ルノーの法人も責任を追及されて当然だ。ただ、司法取引がされていることを考えると罰金も減額されるのではないか。

特にルノーは43%の株を取得し日産の経営に大きな発言権を持ちながら、放置した責任を追及されるべきである。ルノーの経営トップの関連会社での不祥事だ。万一拒否権でも行使しようものならゴーン容疑者の不正を認めていた事にならないか。

そして15%の株を所有するフランス政府にも責任がある。ルノーはフランス国内にあっては重要な自動車産業である。今、収益を考えても日産の方が上であるが、ルノーの地盤沈下はフランス政府としては認めがたいことだろう。

今回のゴーン容疑者の逮捕、解任劇もフランス政府の意向であるルノーと日産の経営統合が問題だったという。そうなれば日産のアイデンテイテイーは危機だ。日産にとっては容認できない事態になる。

一自動車会社の問題がフランス政府vs日本政府の構図になってくるかも知れないが、ニュースが出た直後日産の執行役員が官邸を訪ねて説明(?)したことからもうかがえる。

ゴーン容疑者、ケリー容疑者、西川現執行部、日産、ルノー、フランス政府がそれぞれ自らの責任を取り、日産という企業を活かしていかなければならない。

当分は後任会長を現取締役の中から選任すると言うが、ゴーン容疑者に引き上げられたYESMAN執行部に重大な役目を遂行できる人材がいるのか。

それとも、又ルノーから派遣されるのか。経産省が高級官僚出身者を送ってくるのか。それとも主力銀行、経団連当たりから人材を求めるのか。世界はグローバル化と言うが日産が日本企業として立ち直れるかが問われる。

特に国内経済は内需拡大が必要だ。そのためには日本人経営者が必要ではないか。「外人に食い物にされた」日産の姿は見たくない。

2018年11月22日木曜日

トランプ大統領、ゴーン容疑者の共通点:大きな手振り、身振りで魅了させるか


今、世界をときめかしている(?)人間と言えば、ポピュリズムで泡沫候補から大統領になったトランプ大統領、ちょっと前までは「カリスマ経営者」として名を馳せたゴーン容疑者であるが、2人の共通点は大きな手振り、身振りでの演説で聴衆を魅了したことではないか。

ある経営者がゴーン容疑者のことを「正論を吐くが正しいことをやった例しがない。最後はカネだ」と言うように次から次に明るみになる不正行為に「日産は外人経営者に食い物にされている」と同情する向きもあるがどうして今まで問題にしなかったのか。

ゴーン容疑者の演説する姿をテレビ映像で見てみると、大きな手振り、身振りは聴衆を魅了し信用させる。「何か変わるのではないか」と錯覚させる演説のやり方と似ており、ドイツのナチスとダブらせることが出来ないか。

兎に角、人を陶酔させるのだろう。

一方、トランプ大統領もゴーン容疑者とまでは行かないが大きな手振りで大きく口を開けて演説する。皆、「何かやってくれるのでは」と陶酔する。

ポピュリズム台頭には打って付けだが内容が伴わなければ期待を裏切り、支持を失い事になる。

日本にもそのようは政治家、経営者は見当たらない。政治家が腰に手をやり手を振り上げて演説する姿を古いフイルムで見る事が出来るが、やっぱり憧れる。

今は、大きな声で演説する政治家はいるが、これではポピュリズムの台頭はない。

手振り、身振りに騙されて主張を誤解してはいけない。ゴーン容疑者には言えるのではないか。

今日の新聞を読んで(197):石破氏曰く「「よいしょ質問」では議会の役割なし」と


新聞報道によると石破さんが都内で開かれたフォーラムで与党が「「よいしょ質問」するのは議会の役割を果たしていない」と批判したそうだが全く同感である。国会での与党議員の質問は恥ずかしいほど安倍政権を「よいしょ」している。

既にその質問を知っているのか安倍総理は苦笑いだ。

石破さんは、「野党の質問を先取りせよ」「外国人労働者の受け入れは労働力対策か、移民政策か本質を議論せよ」「議論することにより、よりよい一致点を見いだす、それが出来なければ議会の役割はほとんどない」などに言及した。

全く同感だ。

更に私は、各種委員会での担当大臣のペーパー棒読みも「やらせ質疑」だと思う。予め質問する野党議員は質問事項を提出し、担当閣僚が答弁書を作成、大臣に持たせる。質問に応じその箇所を棒読みするのだ。それでもうまく答弁出来ない大臣もいる。

ただ「読み上げる」だけなら、以前の「官僚に答弁させます」の方がマシだ。奇しくも今、大臣の質が問題になっている桜田大臣がそう言い物議を醸した。

国会改革が叫ばれているが国会の質疑のやり方を改革することが第一ではないか。ほとんどお膳立てされた議事進行では聞いていてバカらしい。

もし石破さんが総理になったら今のような国会審議が改革されるかどうかは分からないが、一抹の望みはあるだろう。

国会が開かれスケジュールが込んでいるのに外交に精出す安倍総理を見ていても、ストーリーは側近や閣僚で書き上がっているので安心して意気抜きをしているとしか思えない。

しっかり勉強すべきだと思う。そして野党の意見も良く聞いて取り入れる程の寛容さが欲しい。それとも官僚が仕切っているので自分の考えを入れることが出来ないとでも言うのか。

政府が提出する法案の背景にある根拠も揺らいでいる。100%完全な内容ではない。だからこそしっかり議論すべきなのだ。

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2018.10.7掲載
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