2011年12月31日土曜日

示せ 政治の力量を


2012年こそ、与野党ともに「政治の力量」が問われる。示せ!政治の力量を。民主は反自民、自民は反民主の与野党対立構図では政治に限界があり、行き詰まると先送りの連続では前に進まない。それは前の国会で目の当たりにした。

野田総理が、国内の議論の前に国際公約までして不退転で取り組むとした税と社会保障の一体改革に絡む消費税増税問題は、政権与党内でも異論が出る有様で、公務員給与削減、国会議員数削減を先送りし、八ッ場ダム建設継続では、国民に理解を得にくいと言う正論まで飛び出した。

にもかかわらず、野田総理は何ら説明することもなく、実施時期と幅に関し半年遅れの素案をまとめてしまった。マニフェストも守らない党を批判して離党者まで出る始末だ。

一方の自民党は、10%増税を言いながら、賛否をはっきりしない執行部に長老である森元首相は、「自分も10%増税を掲げながら今、反対し解散に追い込み勝った後、自民党はどうするんだ。消費税増税法案など出せないのではないか」と増税賛成の姿勢をはっきりすべきだと批判した(朝日新聞 2011.12.29)。

これも真っ当な意見だ。自民党内では「長老だ、派閥の領袖だ」など批判されているが、長年の政治家の感だろう。

今進めている政策に批判的な人ほど、国民目線に沿っているなんて不思議だ。

消費税増税関連法案では、実施時期は「国家公務員削減法案、国家公務員給与削減法案が国会で成立した後」と明記すべきなのではないか。努力目標の条件を入れるなんて、そんなことで国民は騙されない。

民主党政権は、衆議院で絶対多数を維持しているうちに、政策のごり押しも出来るだろうが、最大勢力の反対グループがマニフェスト遵守を主張して党内を二分する状態になっている。一方野党第一党の自民党は、政権奪取を目標に解散・総選挙に追い込もうとしているために、政策での協調に組しがたい現実がある。

野田首相は、長年の政治課題を不退転で望むのであれば、もっと国民に説明すべきであるが、その姿勢が感じられない。政治主導が何処にあるのか分からない。マニフェスト違反の追及にどう応えるのか。
自民党も、政権奪取まで国民に不人気な政策を訴えないし、協調しないでは政権奪取後の政策推進に今の民主党政権の轍を踏むことになる。

これからの難しい政局運営に協調し合意点を見出し、国民に責任を持って説明する姿勢こそ求められる力量ではないか。

2011年12月27日火曜日

原発事故調・中間報告:余りにお粗末な「危機管理と津波対策」







政府事故調差委員会の中間報告を新聞報道で読んでみた。政府、東電の危機管理、自然災害である津波に対する最低で、無責任な対応には呆れ返るばかりだ。適切な注水やベントを行っていても水素爆発などを防止できたかは評価できないとしているが、原発の安全神話がひっくり返った事故であった。

いつも事故がおきると感じることは被害の甚大さに較べて防止対策費のわずかさだが、今回も15m超の防波堤、全電源喪失対策の自然災害への安全対策の欠如が悔やまれる。

中間報告では、事故対応とその背景分析が行われていた。1号機では電源喪失で緊急冷却装置が停止していたのに正常に冷却されていると判断したり、3号機では緊急冷却装置を手動停止するなど、事故対応では東電の初動ミス、処置の「誤り」、そして背景には自然災害に目を向けず幅広い原発の安全を考える視点に欠けていたと指摘する。

そして、国民の安全を守るべき政府、保安院の対応では官邸内のコミュニケーションの欠如、監督官庁としての機能がだめで、「正確な情報を早く上げろ」の指示を出すだけだったと言う。その間専門家のアドバイスがなく、政権首脳が独自の指示を出していたことになる。

立派な官邸を作り、地下には危機管理センターなる組織があったが、情報収集手段は派遣された東電社員が東電本店と取り交わす携帯電話だったとは驚く。

中でも注意すべきことは、政府が東電や保安院の公表に口出すようになったことだ。

東電は、まず官邸の許可を得て公表するために、公表の遅れや説明が曖昧になった。悪いことに意に沿わぬコメントは官邸からとがめられたと言う。思い出すのは早い時期の保安院の「炉心溶融の可能性」をコメントした審議官がテレビ画面から消えた。何かあったと誰もが政府を疑ったのは当然のことだ。

住民退避で問題になった汚染区域の設定だって、「スピーデイー」の予測も現地のモニタリングポストの消失で実測地を整合することが出来ず、政府はむしろ危険な地域への避難を指示する結果になった。

報告書では、全電源喪失、緊急冷却装置の操作など過酷事故対策(AM)に不備があったと指摘している。
東電ともあろう日本を代表する企業で、しかも巨大技術である原発を運転する東電が、相だったのかと呆れる。

化学工場では、安全教育、設備の安全チェックに「オペラビリテー・スタデイー」などの手法を使っている。

[正常状態をはみ出た起こりえる異常事象][原因][放置するとどうなるか][その拡大防止対策]をプロセスシートで設備間ごとにチェックし、対策の漏れがあるかどうかを確認している。今回の全電源喪失、緊急冷却装置の操作、勿論想定外とも言われる自然現象もチェックすべきだ。

その結果をペーパーで残し、教育、操作マニュアル化し、場合によってはパソコンで緊急事態発生時の思考のバックアップに使っていたら、「多くの情報の中で、重要な情報を総合的に考える」バックアップにはなっていたはずだ。

しかし、これでチェックして問題点が把握されても最後は人間の判断になる。「そんなことは起こらないだろう」、「対策に相当な費用がかかるので考えないことにしよう」と言うことになると、何の役にも立たないのだ。

事故発生当初は「想定外」のできごとと連発していた東電の副社長も度重なる「天災か人災か」の記者質問に、小声で「私としては人災だと思う」とコメントしていたことが思い出される。

15m超の巨大津波、全電源喪失は東電にとっては「あってはならない事象」だったのだ。

報告書は終わりにで、「想定外」の事柄にどのように対応すべきかについて重要な教訓を示しているというが、それにしても余りに大きすぎる事故だった。

写真左:原発事故調の中間報告を報じる読売新聞 2011.12.27

写真右:備えの甘さを指摘する みのもんたの朝ズバ TBSテレビ 2011.12.27

2011年12月26日月曜日

政権を揺さぶる民主党マニフェスト:修正か、遵守か



民主党は政権公約で誓った「4年間は増税しない」を修正するのか、遵守するのか。野田総理は税と社会保障の一体改革は長い間の懸案事項であり「先送りせず」と言うが、消費税増税の是非が国政を二分しようとしている。党内に反対意見があることから対立を回避するために、民主党幹部は素案に時期を明記するのは時期尚早という。

鳩山元首相は「4年間は増税しない」と政権についたが、菅元首相は参院選で「消費税10%」を唐突にぶち上げ、反対が強いと見ると「議論に入る事態はいいだろう」とトーンダウンしたが、選挙では増税は禁句なのだ。

「官僚は大ばか者」と政治主導を強引に進めていたが、国会審議で自民党の西田議員に「乗数効果?」と聞かれ答弁できなかったことから財務官僚に屈した格好になり財務省の言いなりになったというが、一概にそうでもなさそうだ。

財政再建に力を入れて後世に名を残そうとしたのではなかろうか。そもそも政治手法がパフォーマンス中心で鼻摘まみ者の感もあり目的を達成せず政権の座から引きずり落とされた。

続く野田首相になってから、財政再建、税と社会保障の一体改革はより強く推し進められるようになって今に至った。

それほど力を入れなければならない政治課題であれば、何故2009年の政権交代時のマニフェストに掲げなかったのか。予算の相組み替え、ムダの排除で財源は確保できると見たのだろうが、政権を得たかった民主党は増税を避けた。

2012年度予算案でも、民主党のマニフェストはことごとく縮小、総崩れの様相を呈した。選挙を控えての緊縮財政・政策は有権者の支持を得にくい。財政再建の趣旨とは反する道を「まやかし予算」で進む道を選んだことになる。

困ったことに政権与党内が民主党マニフェスト修正派の民主党政権、執行部と遵守派の小沢、鳩山グループの「遵守せよ」、「国民との約束を破っては政党は成り立たない」と二分することになった。

これでは国会運営もうまくいくはずがない。野党にしてみれば、協議の前に、「まず党内をまとめて来い」と言うことになる。先の国会審議でも政権与党がまとまっていないと攻撃されていた。

そもそも公約となるマニフェストについて十分認識されないうちに、国政選挙で採用されることになった。勢いのある民主党は、財源は何とかなると楽観し、あれもこれもと自民党政権とは180°違った政策を掲げ、一方の守勢に立った自民党は、民主党のマニフェストを待って公表した。

目標を掲げて政策を進めることに異論はないが、そのプロセスが当初考えていた道からそれることになれば、修正しながら最終目標を達成すると言うのが、品質管理、環境管理であるISO9000、14000シリーズの考え方だ。政治だって使えるのだ。

でも、財源が不足して目標達成が出来なくなれば、財源を確保する方策を考えなければならないが、目標自体を変えることになれば、国民の信を問い直さなければならない。

反対に、マニフェスト遵守をあくまで訴えるのであれば、どのようなプロセスでたっていできるのかを明確に示す必要がある。ところが鳩山、小沢グループの側からは何ら方策が示されていない。

党内で議論されたのかと思っていたが、それぞれのグループは、それぞれの機会に発言しているだけで一致点は見つかっていない。

うがった見方をすれば、民主党最大派閥の遵守派がいることによって、更には鳩山さん、小沢さんが率いていることによって、まだ民主党離れを防止できると思っているのだろうか。

マニフェスト修正派には、目標を守れなかった大きな責任があるし、遵守派にも政策遂行への道すじを説明する責任がある。

混乱を続けていては、国内外から信頼を落とすことになる。政権与党の民主党の無様な姿を見るにつけ、自民党はどうなのかということになる。政権を担っている与党と野党の立場での発言の重さは違う。

2012年は政権奪取向けて決戦の年だという自民党のマニフェストもしっかり議論する必要はないか。

2011年12月25日日曜日

2012年度予算案:これで政治改革、財政再建が出来るのか

日本再生元年予算(野田総理)、内需が底上げできる予算(安住財務相)と胸を張った2012年度予算だが、これで政治改革、財政再建が出来るのかと疑問に思った国民は多いはずだ。選挙を控えて、このままでは惨敗が予想され、巻き返しのために有権者に好まれる政策の要求が強まったための苦渋の「まやかし予算」との評価が高い。

財政再建を掲げる政府にとっては一般会計を前年比マイナスにするのは至上命題だった。しかし、復興費、増え続ける社会保障費を考えるとマイナスなど至難の業だ。苦肉の策として一般会計90兆3339億円にし、復興費3.8兆円、交付国債2.6兆円を特別会計にして昨年比約2兆円マイナスの予算にした。実質は96兆6975億円で昨年比プラス6.3兆円なのだ。

しかし、民主党が政権交代に掲げた政策は、財源不足で総崩れ状態だ、子ども手当ては縮小して1.3兆円、高速道路無料化への予算は0、公共事業は8%減の4.57兆円だが、八ッ場ダムは建設継続が決まり本体工事関連18億円、生活再建関連117億円が計上された。農家の戸別所得保障はTPPとの関係が出てきたし、高校授業料無償化は現行のままらしい。

政権交代時民主党は、国の総予算組み換えをやると言っていたが、同組み替えたのか良く分からない。逆に自民党は政権奪取して予算を組み替えると言っている。

国会議員数80人削減、国家公務員の給与削減だって進んでいない。事業仕分けで腕を振るったと思われている蓮舫議員より落選した日本創新党の山田候補が受かっていた方がマシだったのではないかと思う。

民主党って何だったのかと思うと、自民党政権をかく乱しただけだったと言えそうだが、自民党以下かもしれない。

日本再生元年に当たり、都市部のインフラ強化を始め再生重点化措置事業を挙げている。都市部の環状道路などの整備1433億円、水害、土砂災害、津波対策に644億円など1.577兆円が計上されているが、これで再生事業といえるのか。ほとんど効果はないと見た。

そのほか今回の大震災にかんがみ、日本海溝付近の観測機器の整備126億円、紀伊半島から四国沖にかけての観測に64億円が計上されている。強靭な国土作りの一環として観測体制の整備は欠かせないだろう。

「埋蔵金」と騒がれた特別会計の積立金、剰余金も政府、財務省に言わせれば底を突いているらしい。今までも非難が大きかったので一般会計へ、復興財源、税外収入などに組み入れたと言う。

しかし、国会審議を見ていても、野党からはまだまだ遊休の資金が残っていると追求しているが、政府は財務上はそれぞれ置いておく理由があるのだと抗弁している。予め提出された質問事項での答弁になっているので、それ以上の質疑にはならないのにジレッタさを感じる。

数字合わせの予算案は出来たが、予算関連法案など国会審議がスムーズに行くかどうかは不透明で、野田総理がどう打開するか。

財政再建に向け、メデイアはどこも増税の必要性を訴えるが、選挙を控えての政治家は増税に難色を示す。与党内だって最大派閥の小沢グループが反対の狼煙を上げている。政権与党内も説得できないで、国会で野党と戦う力があるのか。

政治改革、財政再建に向けてしっかり議論すべきだ。先送りは日本国債への信用を落とすことになる。。

2011年12月24日土曜日

政治の力量:民主党はダメ、では自民党ならいいのか



民主党はダメ、では自民党ならいいのか。増税を掲げ、ことごとくマニフェストに反する決定を下す民主党野田政権に対する批判が厳しくなっている。政治は前へ進まなければならないのに、民主党政権と自公の政治手法がどうしてもあわない。このままだと停滞し、国民生活にも影響が出るかもしれない。その背景には総選挙を控えての各党の思惑がある。

谷垣さん流に言えば、今望まれるのは政治が力量を発揮し、国民の信頼を取り戻さなければならないのだ。

野党の悲哀か、自民党の政策がメデイアに顔を出す機会は少なく、ほとんどが民主党の政策に対して「自公?」形式、総裁や幹部の記者会見やコメントでしか知ることが出来ない。

ところが、自民党の「News Pochet」で知ろうと思えば知ることが出来る。

自民党は来年こそ政治の力量を発揮し、政治に信頼を取り戻し、主権と国益を守る政治決戦の年だと位置づけ、政権交代を念頭に全力で戦い抜くと宣言している。

1日も早く政権交代し、復興、日本経済の再生、元気な地域づくり、強靭な国土作り、安心の社会保障制度、人材育成、国益を守る外交、防衛を進めるとしている。24年度予算案も政権交代で見直し、新しい国づくりをするというのだ。

何やら、2009年の政権交代での民主党の主張と似通っている。

復興も遅れているが予算規模が小さいと言うのだ。民主党が12兆円を上げていたとき、自民党は確か17兆円を要求していた。政権を担っている民主党にしてみれば現実問題として財源の壁があったはずだ。

デフレ脱却、円高対策に対しては、大胆な金融緩和を訴えているが、具体的にはわからない。税・財政政策、重点的な資金投入による成長戦略も合わせて提言している。

財政健全化は緊急の課題で、ギリシャに端を発した政府財政問題は、何時わが国に飛び火するか分からないと言い、自民党は[財政健全化責任法案]を提出し、今後10年以内に黒字化にもっていく政策を提案したと言う。民主党案よりいいと思うが、国会でどう議論されたのか不明だ。

財源確保には行革、公務員人件費削減、ムダの撲滅の徹底を上げ、バラマキ予算は撤回しろと言う。民主党に農業戸別補償、高校無料化、子ども手当の検証結果を要求したが、検証していなかったり、検証に値しないものだったと言う。

国家公務員給与に関しては、自民党が反対していたように思えたが、人事院勧告を実施し、その後深堀で7.8%の削減、そして地方公務員への波及を訴えている。民主党はいきなり7.8%カットを主張したので人事院長が「憲法違反だ」と訴えていたが、手法の違いだけではないか。

安心できる社会保障制度の構築では、[自助]「共助」「公助」の政策を組み合わせ、バラマキ予算をやめ、歳出削減と効率化で必要額を確保すべきだと言う。

今、争点になっている税と社会保障の一体改革での消費税「増税」については、数回読み直したが記述が見られなかった。自民党は消費税10%を公約しているが選挙を控えて腰砕けになっているのか。

政権与党の時は不条理な政策の野党だった民主党から厳しい攻撃を受けていたが、野党になって真っ当なことも言っているようだが、政権に就くと官僚の壁で頓挫するのではないか。

選挙での政権奪取を最優先課題に挙げ、そのために全て民主党政策に反対では、国民が困る。政治の力量は、自民党にも民主党にも要求されるのだ。

2011年12月23日金曜日

混沌とし整理できない政局?













政策にチグハグさが目立つだけで、整理できない混沌とした政局、このままでは無党派層になってしまいかねない。

ついに政権交代のメインテーマだった八ッ場ダム建設中止が、官僚主導(?)で建設継続になり、民主党が政権交代を訴えて戦った2009年のマニフェストは総崩れの様相を呈している。

野田総理が突き進める消費税増税の動きに、マニフェスト回帰の小沢、鳩山グループは反旗を翻し、党内分裂の機運も出てきた。政治基盤の脆弱な野田総理にとっては党運営も絡んで苦渋の選択を強いられる場面も出てくるだろう。

その時が総選挙となるのだろうが、「1票の格差」、国会議員80人削減が絡んでくるので制度を見直す準備が出来ているのか。各党がシミュレーションし自分に有利になる枠組みを主張するだろうから、その調整は難儀だ。

おまけに、今選挙となると民主党は大敗だ。国民に信を問うより政権を維持したい気持ちが大きいだろうから任期前の総選挙はないのではないか。

兎に角、政権与党の民主党は、政策の整合性をやってほしい。テーマごとのチグハグさが目立たないか。

バラマキ予算と批判されている「子ども手当」も3党合意で「児童手当」に復帰すると思われていたが、最近民主党から「子どものための手当」案が出てきた。民主党は面子にかけても「子ども手当」の文字が必要なのだ。所得制限をする案が出ているが、しっかり内容を詰めるべきだ。

農家の戸別補償も票獲得の政策だったが、TPPとの関連で内容がチグハグになってきた。農業も経営規模を大きくし農産物の競争力をつける必要があるが、戸別補償は貸しはがしを生み大規模化を阻害する結果になったが、TPPでは農業を強力にするためには大規模化での効率を目指した運営が必要になる。野田総理は農業を守ると言うが、どっちの方向をとるのか。

高校教育無料化、高速道路無料化など今どうなっているのか直ぐには思い出せない。

歳出削減は限界のようだ。政権交代時は予算の組み替え、見直しで確か16兆円浮くと言っていたが、現実問題として容易でないことが分かってきた。鳴り物入りで始めた事業仕分けも財務省の助けを借りたため根本的な見直しには行かなかった。中止、廃止評定が政治復活する結果に国民の信用を失うことになった。

公務員改革では7.8%の給与カットを提案したが、労働権付与などで頓挫しているらしい。人事院勧告をはるかに上回るカットであったため人事院長が国会で憲法違反と豪語することになった。過剰と思える公務員保護は解消するのが先決である。先の参院選で、東京区で日本創新党の山田候補(元杉並区長)が国家公務員30万人、地方公務員300万人いるために二重行政でコストもかかると公務員削減を訴えていたが落選し、一方事業仕分けで名を上げた蓮舫さんが170万票で当選した。有権者はどっちを向いているのか。

国会議員80人削減計画もどう進んでいるのか。各党、各議員の思惑もあり直ぐには制度改革は出来ないだろう。しかし、720人に一人当たり年間1億2000万円もかかっていることを考えると歳出削減では自ら身を削る決断をすべきである。

そういった改革を先送りし、財務省主導による財政再建のための増税が政治スケジュールに載ってきた。民主党内の事情もあり政府「素案」作りでもめている。さらに選挙を控えて「いま増税はやるべきでない」と言う小沢、鳩山系グループの動きは無視できない。

今民主党を割れば、折角巨額の選挙資金を投入して勝ち取った政権の座を手放すことになるので、そういう選択はないだろう。民主党の退潮を尻目に台頭してきた大阪維新の会の力を利用し、みんなの党など少数政党が政界再編を目論んでいるが、政策をはっきりするためには必要ではあるが、主導権争いも手伝ってうまくはいかないはずだ。

普天埋設問題は、長い年数をかけて自民党が結んだ約束を、鳩山元首相が「県外、国外移転」を言い出し、右往左往した挙句が元の案に行き着いた。しかし、環境アセスメント提出で沖縄県と溝が深まり旨く進むはずがない。決行は血を流す結果になりかねず心配だ。おまけに、米国でのグアム移転費用削減もあって不透明感が出てきたが、沖縄県民への負担軽減も限界のようだ。自由に使える地方交付金が「アメ」として与えられたが、それで沖縄県民の考えが和らぐはずはない。

東日本大震災復興も被災地域、被災者それぞれに考えもあるだろうから調整しまとめるのも大変な仕事だ。

私の当初、住居は高台移転、被災地は商業区と見ていた高台だって山を削って造成する必要があるが、その場所を見つけるのも大変らしい。住居ばかりでなくインフラ整備も必要で相当の投資が必要になる。「将来を見据えた街づくり」が提唱されたが、被災地は本質的には人口減少地域だ。その地方の産出額を超えた過大な投資は借金を残すことになる。

被災者の考えもあるが被災地に従来どおり住居を再構築し、以前の生活が出来るようにした方がいいのではないか。今回発生した東北地方太平洋沖地震の震源域と予想されていた宮城県沖地震の関係が分からないが、今後しばらくは、あのような巨大津波の来襲はないだろう。

従来の生活が出来るようにし、緊急時に避難できる施設、避難場所を整備し、生活弱者、高齢者などは高台へ移転、巨大な防波堤は景観や生活に不便を感じるので従来の規模で再構築する。流されては作り直すことの繰り返しでいいのではないか。ただ、人命の安全確保は最重要課題だ。

原発事故は巨大地震、巨大津波が原因だったとはいえ、世界最悪の事故となり、今も継続中だ。政府は早々と政治スケジュールにのった「低温停止」の安全宣言ともいえる発表したが、誰も真に受け止めている者はいない。

どう終息するのか見当もつかない。

結局、全てを政治に頼るわけには行かないが、チグハグな政策は整理し、整合性された政策の提案をしてほしい。

このままでは選挙になっても、どこを支持すればいいのか判断が出来ない。政権政党の民主党がダメなら、野党第一党の自民党となるが政策が不透明なまま支持すると、又混乱することになる。

無党派層になるのも勇気がいるのだ。

2011年12月22日木曜日

R&I日本国債格下げ:ほとんどが政治問題なのだが







遅ればせながら、日本の格付け会社 格付投資情報センター(R&I)が日本国債の1段階格下げ(AAA→AAプラス)を発表した。11月末に予告していたし、S&Pやムーデイーズなどが格下げした後だったので、影響はたいしたことはなかろうが、その理由がほとんど政治問題だから厄介だ。

日本の借金は1024兆円、対GDP比200%、純債務でも116%で先進国一悪い財政状況だから、誰も最上位の格付けはありえないと思っている。1段階下げても「安定的」だからこれといった影響は出ていないようだ。

ギリシャに端を発した財政危機は、休むことなく各国の財政に影響を与え続けている。ECBは50兆円という巨額の資金を3年間投入する(テレビ東京 WBS 2011.12.21)するというニュースが流れると株価も好転するが、しかし、本質的な解決にはなっていないのだ。

来年2月には、フランスなどユーロ圏の国債の格下げも懸念されている。制度維持のため精力的に回避策に奔走したフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相の間でも思惑の違いがあり、ドイツのメルケル首相は「他国を助ける」考えに抵抗している。どんな政局で破綻するか不透明なのだ。

格付け会社はどういう考えで格下げしているのか。経済見通しをどう見ているのか、主な理由に挙げている財政再建策をどう評価しているのか、R&IのNews Releaeを開いてみた。

経済見通しとしては、2011年度は成長率はマイナスであるが、2012年度は1%台前半を予想している。内需回復に結びつくような民間消費を活性化する必要がるとしている。

財政再建への取り組みとしては、政策次第では財政再建は可能と見ているが、財政状況を自ら調整する能力には欠けており、AAAの評価には値しないと言う。内需拡大とし根本的な体質変化がない限りは財政運営は厳しいと見る。そして現在のような規模での国債発行を続けられるのも、後数年だろうと言う。

そこで政治に対しては、規制緩和も後手で、財政再建は時間の問題だ。税や社会保障改革も野田総理はがんばっているように見えるが、負担増の先送りなど質的には例年と何ら変わらず、踏み込み不足と指摘し、消費税増税も先送りなら再格下げもあると警告している。

何やらR&Iにも財務省OBが天下るし、財務省主導の増税をバックアップしている光景にも見得るが、内需拡大は避けて通れないのは当然だ。規制緩和、税制改革で道を開こうとしても、利害関係者と政治家の抵抗で踏み込んだ改革が出来ないのも現実だ。

増税では、政権与党も一本にはなっていない。民主党で素案のたたき台を作り、政府が素案を作り、素案を決定するというスケジュールらしい。野党も反対している。選挙を控えての増税案は政治家にとっては禁物なのだ。

格付け会社や市場が政治への不満を表明しているが、政治の質はこの程度なのだ。

写真左:R&I News Release

写真右:ECB 50兆円資金投入 2011.12.21 テレビ東京 WBSより

R&I

遅ればせながら、日本の格付け会社 格付投資情報センター(R&I)が日本国債の1段階格下げ(AAA→AAプラス)を発表した。11月末に予告していたし、S&Pやムーデイーズなどが格下げした後だったので、影響はたいしたことはなかろうが、その理由がほとんど政治問題だから厄介だ。

日本の借金は1024兆円、対GDP比200%、純債務でも116%で先進国一悪い財政状況だから、誰も最上位の格付けはありえないと思っている。1段階下げても「安定的」だからこれといった影響は出ていないようだ。

ギリシャに端を発した財政危機は、休むことなく各国の財政に影響を与え続けている。ECBは50兆円という巨額の資金を3年間投入する(テレビ東京 WBS 2011.12.21)するというニュースが流れると株価も好転するが、しかし、本質的な解決にはなっていないのだ。

来年2月には、フランスなどユーロ圏の国債の格下げも懸念されている。制度維持のため精力的に回避策に奔走したフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相の間でも思惑の違いがあり、ドイツのメルケル首相は「他国を助ける」考えに抵抗している。どんな政局で破綻するか不透明なのだ。

格付け会社はどういう考えで格下げしているのか。経済見通しをどう見ているのか、主な理由に挙げている財政再建策をどう評価しているのか、R&IのNews Releaeを開いてみた。

経済見通しとしては、2011年度は成長率はマイナスであるが、2012年度は1%台前半を予想している。内需回復に結びつくような民間消費を活性化する必要がるとしている。

財政再建への取り組みとしては、政策次第では財政再建は可能と見ているが、財政状況を自ら調整する能力には欠けており、AAAの評価には値しないと言う。内需拡大とし根本的な体質変化がない限りは財政運営は厳しいと見る。そして現在のような規模での国債発行を続けられるのも、後数年だろうと言う。

そこで政治に対しては、規制緩和も後手で、財政再建は時間の問題だ。税や社会保障改革も野田総理はがんばっているように見えるが、負担増の先送りなど質的には例年と何ら変わらず、踏み込み不足と指摘し、消費税増税も先送りなら再格下げもあると警告している。

何やらR&Iにも財務省OBが天下るし、財務省主導の増税をバックアップしている光景にも見得るが、内需拡大は避けて通れないのは当然だ。規制緩和、税制改革で道を開こうとしても、利害関係者と政治家の抵抗で踏み込んだ改革が出来ないのも現実だ。

増税では、政権与党も一本にはなっていない。民主党で素案のたたき台を作り、政府が素案を作り、素案を決定するというスケジュールらしい。野党も反対している。選挙を控えての増税案は政治家にとっては禁物なのだ。

格付け会社や市場が政治への不満を表明しているが、政治の質はこの程度なのだ。

2011年12月21日水曜日

野田総理・街頭演説中止騒動に民主党の落日を見る

19日の野田総理の街頭演説中止による騒動で民主党政権、民主党の落日を見ることになった。野田総理の進める社会保障と税に一体改革、増税が国民に理解されていないとの危惧から、総理は19日街頭演説を予定した。ところが、北朝鮮の金総書記の死去発表で突然中止になったが、ご多分に漏れず有事の際の対応を不安視する発言が相次いだ。

私も遊説先が都内と言うことで聞きに行くべく数日前から場所、時間の確認しようしたが、全く埒が明かない。19日10時前に民主党本部に電話し「広報部に聴きたいことがある」と言うと、受付は「どういう用件ですか」と聞き返す、「街頭演説の時間と、場所の確認です」と言うと、しばらくして「こちらにはまだ情報が来ていない。ホームページで見てくれ」という。

民主党のHPを開いてもそれらしき記述はない。ただ「ビデオ配信民主党街頭演説」の欄があり、クリックするが「19日11時半ごろ」としか分からない。

そのうちにテレビのニュースで、11時半から総理の街頭演説がある」というニュースが流れた。場所はJR新橋駅前らしい。今から言っても間に合わない。ところが12時過ぎのニュースで北朝鮮の金総書記の死去で街頭演説は中止になり、総理は官邸に引き返したと言う。

そこから危機管理に関して、いろんな意見が出てきた。すでにあらかじめ「12時に重大発表がある」と報じられていたのだから中止し、ニュースを確認するのが先だろうという。野田総理は、出かける前に「何かあったら連絡しろ」と指示をしていたらしい。

「何か分からないが、北朝鮮の重大発表」と「国民に訴える街頭演説」、どちらを優先するか迷ったはずだ、重大発表の内容によっては、引き返すことも念頭に街頭演説会場に向かったはずだ。

ところが、金総書記の死去ニュースと聞いて、引き返した。結果的に「重大ニュースがある」と言うのに何故出かけたのだということになる。

そもそも有事の際のシミュレーションがなかったようだ。菅政権のときに、確か江田さんが、そのことを指摘していたはずだ。民主党の危機管理がなっていないことも問題であるが、国家の危機管理として、官僚だってそれぐらいのものは作成して置くべきものではないのか。

安保会議も招集されたが、山岡国家公安委員長は出席できなかったと言う。事務型も出席しなかったと言うから、連絡がどうなっているのか疑問だ。

ところで、総理の街頭演説が中止になったJR新橋駅前の会場はどうだったのか。夕刊フジのZAKZAKで記事が載っていた。それによると、300人ほど集まって、「衆議院を解散しろ」「増税反対」、「原発要らない」の大騒ぎになっていたそうだ。もし野田総理が会場に来たとしても総理の話しを聞けるような状況ではなかったのではないか。

マニフェストに反する政策を矢継ぎ早に出す民主党・民主党政権、八ッ場ダム建設継続に見られるようにいとも簡単に決定を覆す民主党政権に落日を見る19日の騒動だった。
それとは逆に、一地方自治体の首長である橋下大阪市長が、中央で各政党の重鎮等と会談を繰り返し、歓迎されているニュースを見ると、各政党の思惑があるにせよ既成政党の落ち目を見ることになった。

2011年12月20日火曜日

年賀状:この小さいスペースで何を伝えるか



また、年賀状の時期がやってきた。いつも思うことだが、この小さなスペースで何を伝えるかを大いに迷うのだ。百科辞典を引くと年賀状とは、年始の祝賀状で、新年の挨拶だと言う。この風習は平安以来続いているともいう。

一時、廃止の機運もあったと思うが、日本郵政のHPから年賀状の22年度の元旦配達は焼く21億通で、配達総数は出ていなかったが、約37億通と言われ、数年このレベルではないだろうか。

定番の年賀状でコメント記入なしのものを貰ってもありがたみはないが、コメントがあると差出人の気持ちが分かる。

私も、最初は定番の年賀状にコメントを記したものを送っていたが、物足りなさを感じていたので「今何をやっているか」が相手にわかる内容にした。本来の年始の挨拶とは趣が異なっている。

でも、生きがいを持って何かやっている人、趣味を生かして生活している人は、それに関連する内容なので、「がんばっているんだ」という気持ちが伝わって嬉しい。

種類も1種類ではなく、親戚、友人、子供の嫁ぎ先の両親あてなど4種類、それに家内の仕事の関係で2種類の計6種類の年賀状を市販の年賀ソフト、マイクロソフト社のPublisherを使って作成した。

一度は、ペンタブレット搭載のパソコンを持っているので、手書き文字の年賀状を送ったこともある。しかし、紙に書くのと違って、液晶画面をすべり気味に書くし、ペン先が意外に太いので、文字数の多い年賀状の作成には苦労したことがある。受けと言った側がどう感じたかは聞かずじまいになっている。

少しは本人らしさも出せたのではないかと自負しているが・・。

貰った年賀状を読むと、その内容が1年前に送った年賀状の内容に関するコメントで1年遅れの返事になる。元日に手にしたときは、チラッと見るだけで放っておき、年末に年賀状を書くときによく内容を見てのコメントなのだろう。

ところで、年賀状作成の費用もバカにならない。節約術は、パソコンで年賀状を作成しPDF化しメールに添付し、午前0時になった瞬間に送信することだ。これなら年賀状としての費用はかからない。しかし、相手先の皆がメールアドレスを持っていればいいが、もっていない人には年賀状を作成し印刷してポストに入れなければならない。2重手間だが節約は出来る。

毎年の行事で大変である一方、これがあるために先輩、友人の生死が確認できるのだ。私のように年配になってくると、その情報が多くなる。

いつも悩む年賀状作成であるが、自分の現状が良く伝わる内容にしたいと思っている。

2011年12月18日日曜日

八ッ場ダム建設継続:何だったのか建設中止





























政治主導で建設中止と思っていた八ッ場ダム建設が、どういうわけか官僚(国交省)主導で建設が継続されると言う。民主党がマニフェストで国民に公約した政策であるが、その変更は政府・民主3役会議で協議する必要もない案件だともいう。それほど軽い公約に地元住民は振り回されていたのか。

何故こんな結果になったのか。そもそも政権交代を目指した民主党のマニフェストに八ッ場ダム建設中止が載ってきた経緯に問題があったのではないか。

政権交代の機運が高まってきたとき、民主党は自民党政権との違いを出すために、何でも自民党政権の政策の180°転換した政策を打ち出した。反対運動と協調し、ムダな公共事業の削減、「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズにぴったりの政策だった。

鳩山さんは、もっと説明すべきだったと思うが野党時代に川原湯温泉地区を訪ねて地元の人と懇談した時、すでに「建設中止ありき」の雰囲気だったと当時参加した人が述懐しているのを新聞で読んだことがある。

私も7年ほど前、本体工事も始まりそうだと言う時期に、川原湯温泉を訪ね現場を見た。すでに地元高校教師が指摘していた「地滑り」の危険性は感じることが出来た。地盤は脆そうで、温泉地は急斜面の地すべり警戒区に指定されていた。奈良県川上村の大滝ダムの例もあるが、ダムが完成し冠水すれば地すべりの危険が考えられ、ダム建設不適地だ。こういった意見は、反対者の意見が真実に近い。

更には、工事を継続しダム湖が出来たとして温泉地(街)として新しい代替地でやっていけるのか。近場には草津温泉、伊香保温泉、軽井沢と有名温泉、観光地が存在する。そんな中で、川原湯温泉はひなびた温泉地としての価値があったと思う。

しかし、新築の湖畔の温泉宿に川原湯温泉のメリットをどう生かせるのか、観光客を楽しませる娯楽施設が移転先に出来るのか。

そしていつも問題になるのが、4600億江印と言う建設費の妥当性もあるが、このダムの目的が十分に果たせるかどうかだ。当初目的が治水、用水だったと思うが、景勝地が壊されると反対されると、景勝地を維持することもダム建設の目的だと国交省は抗弁した。

計算書もあるかどうか分からないでは、ダム建設の目的も曖昧になってくるのは当然だ。
それでも他の代替案と比較しても、工事継続が一番良い策であるというのは、計画根拠が不明朗になった結果の国交省の逃げなのだろう。

政治主導で中止し、官僚主導で工事継続とは、今の混乱した民主党を象徴する政策決定ではないか。


写真上段左:消え行く川原湯温泉風情 2004.2.8


写真上段右:八ッ場ダム建設継続を伝える読売新聞 2011.12.18


写真下段左:ダム本体工事予定地


写真下段右:ダムが出来れば水没する景勝地

2011年12月17日土曜日

財政規律への強行:市場(ファンド)、政府は責任ある経済見通しを示せ

市場(ファンド)は財政規律が不透明だとか期待できないとか言って国債、為替、株価に大いなるマイナスの影響を及ぼしているのは、「大儲け」の隠れ蓑ではないのか。各国政府は公務員削減、歳出削減、増税などで財政規律を市場に訴えているが、一向に市場は良い反応を示さない。わが身を削らない逃げの対策でもあり国民の信頼も得られそうにない。

まず、市場(ファンド)、政府は責任ある経済見通しを示せ。

欧州危機の拡大を回避すべくEU首脳が対策を打ち出すが、格付け会社は格下げ、国際派値下がり、逆の利回りは上昇し札割れなど資金調達も思うようにいかない状況が続く。新聞報道では利回りが危険水域の7%を越えたとか、下がったとか報道するたびに株価は動く。

ところで、今の時期に財政規律で歳出削減、増税などを打ち出せば経済はどうなるのか。そうでなくても経済状態は悪いのに、更に拍車をかけることにならないか。おまけに政治は与野党で主導権争いをし一致団結した政策推進など考えられない。

ユーロ圏にしても、フランス大統領、ドイツ首相が精力的に危機回避へ向けて動いているが、各国の思惑もあり大事なところで合意が出来ていない。

日本も状況は同じだ。財政規律への期待が見えなければ市場は日本国債に襲ってくるだろう。そのためにも、野田総理、財務省は増税への道へ突進するのだが、日本経済がどうなるのか、その見通しすら国民に説明できていない。

野田首相は予算編成で「希望と誇りある日本をとりもどすべく全力を尽くす」と言っているが、一般会計92兆円、税収42兆円では、赤字国債に頼るしかないが、その赤字を44兆円以下にしようと努力している。

「元気な日本を取り戻す」と言ったこともあるが、今でも明るい見通しなどない。むしろ「外的要因」と言って諦めの状態だ。

毎日の新聞報道を見ていると増税の話に加えて、減税、低所得者への配慮なども見受けられるが家計所得がどうなるかは、実施されて見なければわからない。

市場(ファンド)は、どのような世界経済像を描いているのか。経済が悪化しても大儲けできるのだから、「そんなことなど考えていない」と言うのであれば、無責任すぎ、その存在は悪である。

政府、財務省、政治家だって国民にどう説明しようとしているのか。大事なことを隠しての増税論議は国民を裏切ることになるが、いままでも裏切ってばかりだ。

第13回エコプロダクツ2011:エコの力で明日が変わるのか




































「エコの力で明日を変えよう」をスローガンの第13回エコプロダクツ2011が始まった。環境分野は日本が最も得意とする分野で、次の経済成長戦略に期待されているが、経済成長に貢献できる役立つイノベーションがあるのか、その技術を見ようと12月16日、東京ビッグサイトへ行ってきた。

この環境展示会は、他のイベントとは違って、兎に角、小学生や年配の女性も多く、更にはコンダクターに引率されたツアー客と思われる見学者もいる。環境問題と取り組む層の厚さを感じる。

環境に配慮した取り組みの各団体の提言の他に、定番であるリユース、リサイクル、LEDに変えた省エネ、自然に戻る環境にやさしい製品、CO2排出量の少ないハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電などの他に、エコビジネスも提案されていた。

自動車メーカーからの出展は電気自動車だが、近場で用事を足すには良いが遠距離はインフラの整備が必要になり普及には課題が残る。そしてガソリン車でもリッター30km以上の走行距離が出ている車もある。マツダは更に新しいエンジンを搭載した車を販売するという。いろんな面を考えるとガソリン車のほうが本命ではないのか。

また、電気自動車の使い方で、震災時の蓄電池として家電への給電が出来ることを宣伝されているが、蓄電池ならパン焼き機の大きさでも15万円で市販されている。200~300万の電気自動車よりはるかに安く購入できるが、これではダメなのか。

照明も変わろうとしている。LEDは当然のこととして、コニカミノルタでは、リン光発光材料を使用し、面光源を特徴とする高効率の有機EL照明を「Symfos」のブランドで市販し、次世代照明として期待されるという。

何といっても、自然エネルギーの活用となると太陽光発電である。SHARPは、地域に適した太陽電池を展開し、世界最大級の73MWのメガ・ソーラー発電所の建設(タイ)など着々と実績を積んでいる。パナソニックも業界最高水準の発電量を誇るモジュールを開発し、藤沢などで太陽光発電を設置した都市づくりを目指している。

今、流行のLEDを使った植物野菜工場は天候に左右されず、完全に有機農法であり、家庭で野菜が栽培でき、趣味プラントは30万円ぐらいで購入できる。

面白そうな技術としては、SONYの「紙から発電するバイオ電池」があった。紙を酵素で分解して出来るブドウ糖をエネルギーにして発電するのだ。シート状のバイオ電池が開発され、開口部からジュースやワインなどを垂らすと発電する。未来のエネルギーデバイスに育てたいと担当者は言う。

クリスマスカードなどに装着し、カードを開くと音楽などが聴ける試作品も見せてくれる。米国などはカードのやり取りがあるので市場はあるらしい。シート状の電池を脱着式にすると、他にも使い回しが出来る。CDプレヤーなどにはいいかもしれない。

太陽光発電、風力発電などはすでに実績も上がってきている。他の技術も実用化に成功してほしいと思う。そして、いろんな団体が、各ゾーンでいろんな提言、主張をしている。このような運動が環境維持に役立っているのだろう。

写真上段左:Active Office  エコは生み出せる 仕事もエコもはかどるオフィス フジゼロックス

写真上段右:有機EL照明パネル コニカミノルタ

写真中段左:SHARP 太陽光 メガ・ソーラ発電所

写真中段右:SONY シート状のバイオ電池

写真下段:LED植物野菜工場

2011年12月15日木曜日

参議院問責決議:無視することは民意に沿わず

一川、山岡両大臣が参院で問責決議を受けたが、野田政権、与党は無視し続投させるらしい。組織的に、いろいろ問題のある参院ではあるが、大臣の資質、野田総理の任命責任を問われたもので、国会の「ねじれ」状態を批判する事は勿論のこと、無視することは民意に沿わないのではないか。

政権をとったら強権面する輿石幹事長、仙石元官房長官など政権与党の態度は許されるものではない。

参院出身の一川、山岡両大臣が不適切発言、マルチ商法がらみでの不適任問題は先の国会で執拗に野党が追及した。国会審議を見ていてもこの程度の人間が大臣なのかとがっかりさせられたものだ。

そのそもが民主党内の対立構図を回避しようと、野田総理が党内融和を打ち出し、小沢系グループからの入閣者なのだ。今は有力者にのし上がった輿石幹事長の推薦もあって、野田総理自身が更迭を決断できない事情があるし、更に求心力を落とす結果にもなりかねない。

党内政治基盤の脆弱な総理の悲哀であるが、国民にとっても大迷惑な話だ。

ところで、参議院の決議を無視して政局を運営していいものなのか。

本来2院制を敷く場合、民意を正しく反映させ、多数党の横暴を抑制し議事を慎重且つ合理的にするためであって、「数」の政治に対する「理」の政治を要求していることなのだ。

現在の参議院は、衆議院のように「内閣不信任決議案」などを出す権限はないが、組織、活動、機能から考えて衆議院の2番煎じの傾向が強いけれども、「チェック機能」を持つことは否定できないのではないか。

衆議院が理想どおり国民を代表していれば、参議院は無用で、かえって有害であるが、今の衆議院は決して民意を反映しているとは思えない。

国民の信を直接問うていない野田総理にとっても、大臣任命には大きな責任がある。「適任者を配した」と抗弁しても国民の誰も信じてはいない。党内の実力者に気を使っているとしか思わないのだ。
今は、それもはかなく見えてきたが圧倒的多数で政権交代したのも民意であるが、「ねじれ国会」を作ったのも民意なのだ。

少しでも国民の信を得ようとするなら、謙虚に非を認めることだ。内閣支持率も30%台半ばとあっては、人間の常識に従った行動しか出来ないのではないか。

2011年12月14日水曜日

国破綻し、格付け、ファンドあり:こんな近未来社会を望むか







このまま行くと、国は破綻し格付け受け会社やファンドが残る近未来社会が見えてくるが、こんな社会を望んでいるのか。経済が政治を破壊するのか、政治が経済を破壊するのか。政治が放漫財政を許し財政危機をもたらせているが、今、財政健全化、財政規律を要求し経済(市場)が政治を揺るがせている。

ギリシャに始まった欧州危機は、イタリア、スペイン、フランス、ドイツそして日本にまで及ぼうとしている。

格付け会社の格付け見直し、格下げ判断が国債の値下がり、その利回り上昇で国が資金を調達できにくくなると同時に危機回避のための各国首脳の動き、コメントが為替を変動させ、株価は大きく値下がり、値上がりを繰り返し経済は不安定の状態が長く続いている。

ところが、国民の生活を守る政治と短期の利益を追求してやまない市場では、その政治が下す政策に短期の効果が期待できず、政治と経済(市場)の相反する動きに戸惑うばかりだ。

欧州危機回避のためドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領は精力的に動き、欧州安定メカニズム(ESM)発足の一年前倒しを決めるなど回避できるかと期待していたが、メルケル首相が融資上限の引き上げを拒否したと伝わるとユーロは急落する始末だ(2011.12.14 読売新聞)。

EUでもユーロ圏に対して判断が分かれている。イギリスは経済の主導権を放棄しなければならないので参加を拒否したとイギリスの首相が力説していた。財政規律で各国にそれぞれ思惑があるようだ。

でも市場の判断は、大方がS&Pやムーデイなどの大手格付け会社のレポートに頼っている。

S&Pは米国国債を格下げし、ムーデイーはEU加盟国の国債格付けを引き下げる可能性があるとコメントしていることも、ユーロ売りが止まらない誘引になっている。格付け会社は、「市場の信頼を回復する手段が出てこない限り」格付け下げの可能性はあるというのだ。

しかし、こういった格付け会社の判断に頼る危険性も指摘されている。

クルーグマン教授は、そのコラム「米国債格下げ 問題は算術ではなく、政治にあり」で、S&Pは米国異常に信頼できない。アメリカの見通しについて判断を頼るのにS&Pは最もふさわしくないと言い、2008年の金融危機を引き起こす重要な役割をし、リーマン・ブラザーズも消滅するまで[A]の格付けをし、その責任を追及されると「何も悪いことはしていない」と抗弁したという。

最近記憶にあるのは、米国債を格下げするとき、2兆ドルの計算ミスが指摘されていたが、それを認めながらも結局は格下げを実施した。

しかも、格付け会社が格下げをする時期は、いつも市場よりも遅れているのだ。

ところが格付け会社にもいろいろあるようで、儲かるか、損をしていないか、ずいぶん稼いでいるが社会的、道徳的な振る舞いに感心しない会社もある。フランスのウィジオは社会的責任投資に熱心な人たちに参考になる格付けをし、国にあっては政府の政策の決め方が公正で透明性があるかどうかを判断し、投資家に有意義な情報を提供しているという(格付け 見えること見えないこと 朝日新聞2011.11.26)。

私たちは、格付け会社の判断に踊らされているが、良質な格付け会社に向け、しっかり規制すべきである。空売り、レパレッジ、利益に対する厳しい課税などファンドの規制と格付け条件、格付け責任など格付け会社に対する規制も必要だ。無謀な経済活動を許してはいけない。

と同時に、政治家も選挙を念頭に不人気な政策、財政健全化を先送りするようでは国民の生活を守っているとはいえない。グローバル化の中で財政規律を守る策が必要だ。

「国破綻し、格付け会社、ファンドあり」の社会などあってはならないのだ。

写真:EU首脳会議の内容を伝えるテレビ東京 WBS 2011.12.23

2011年12月11日日曜日

COP17主張対立で紛糾:政治課題として急ぐ付け?





毎年のことだが、今回も国連気候変動枠組み条約第17回締結国会議(COP17)が新枠組み交渉で紛糾している。関係国の思惑がらみで難航しているのだ。地球温暖化という科学的検証も十分でないままに、政治課題として急ぐことに無理がある。

「国内問題だって旨く処理できないのに、このような国際問題を進めることなど無理な話しだ」と当初政府高官がコメントしたことが思い出される。米国や中国のCO2大量排出国が不参加を決め込んだ京都議定書は、全ての国が参加しない状態では、その効果において最初から無理があった。

先進国と途上国では又考えに大きな隔たりがある。先進国は全ての国が参加する新しい枠組みが必要といえば、途上国は自分たちには削減義務のない京都議定書の延長を主張する。

COP17も京都議定書に変わる枠組みを決める作業部会を設置する議長案が提示されたが、表現に異論が出てまとまっていないらしい。それによると、来年COP18から始め、15年までに枠組み作り、20年に発行を目指し、枠組みも議定書か法的文書あるいは法的成果のいずれかを目指すというのだが異論が出て、「法的効力を持つ合意された成果」に書き換えることでまとまりかけたのだが、まだ協議中というのが11日の午前中の報道だった。

ところが、毎日新聞Webニュースで、京都議定書を延長することで合意したという。延長期間はCOP18で決めるとし、新しい枠組みでの温暖化対策について作業部会を創設、協議し、15年までに採択、20年に発効を目指すと決まったらしい。

会期が2日間延びる異常な締約国会議になった。

日本は、13年度以降は「移行期間」として自主的に削減に取り組むとしているが、6%削減は厳しく、いわんや鳩山元総理が提案した25%削減は困難だという。

世界全体の排出量の24%を占める中国は、20年以降に削減義務を負うとし、それまでは自主的に削減する意向で、自国に有利な削減目標を作るのだろう。

18%を占める米国は、生活スタイルが石油消費でもあり、温暖化自体を否定的に考える勢力もあり、オバマ大統領は苦慮しているようだ。

しかし、肝心なことだが、本当に地球温暖化はCO2人為説なのだろうか。科学的に十分な検証をやらずに、CO2説の独壇場になっているが、異論も多く出てきている。

その中で自然変動説がある。IPCCは気温上昇をホッケー・ステイック状に急上昇をしているとして0.6℃/100年を主張しているが、北極圏研究の世界的権威であるアラスカ大の赤祖父先生は、そうではなく気温上昇は直線的で、0.5℃/100年だという。そして現在の温暖化の5/6は自然変動要因、1/6がCO2要因だというのだ(「正しく知る地球温暖化」 赤祖父 誠文堂 2008.7.7)。

IPCCと違って、しっかりした検証結果だという。

CO2は主に人間活動によって生じるものであるから、その削減は大きな課題を抱えている。しかし、間違った理由で莫大な投資をし、それでも効果がはっきりしなかったら、どうなるのか。

一度、あらゆる分野の研究者が集まり科学的検証をしっかりやったらどうだろう。

無駄な投資を少しでも遅らせるためには、モタモタしたほうがいいのかもしれない。



写真:COP17を報じるテレビニュースより 2011.12.11


[後記]

12月13日、カナダが正式に京都議定書から離脱すると発表した。

理由として、世界の2大排出国の中国、アメリカが入っていないことは京都議定書が機能していないこと、そしてカナダが目指した6%削減には1兆600億円が必要で国民に強いる事は出来ないという。

房総半島南方沖地震 M4.5:軽視できない震源域ではないか




12月8日朝方5時45分ごろ、テレビがグラグラと揺れ地震を感じた。地震情報では東京で震度1~2、震源は房総半島南方沖 M4.5 深さ70kmと言う。

房総半島沖のこの辺りは注意を要する震源域がある。一番注目されているのが、太平洋プレートと相模トラフの交わるところの内側の房総沖を震源とする房総沖地震 推定規模M8~8.5がある。1677年には掩延宝房総沖地震 M8が発生している。

3月11日の東日本大震災での「すべり」は房総沖まで及んでなく歪がたまり、地震の発生が危険視されているのだ。

そのほかに、この辺の地震の空白域として、銚子沖、房総東方沖と房総南方沖が指摘されている(「これから注意すべき地震噴火」 木村政昭 2000年11月 青春出版社)。

詳細な関係が分からないのだけれど、銚子沖を震源域とする地震は房総沖地震の震源域に重なるのではないかと思うが、房総東方沖地震は更に東、房総南方沖地震は更に南方で別の震源域ではないかと思う。

兎に角、この辺を震源とする地震は、巨大地震の発生に関連する可能性が考えられる。今回の房総半島南方沖地震も軽視できない地震である

写真:12月8日の気象庁発表の房総半島南方沖地震・地震情報に、房総沖地震、房総東方沖、房総南方沖の震源を加筆したが、正確さは分からない。

皆既月食2011:こんなきれいな月食は初めて





























月と地球と太陽が一直線に並んで出来る皆既月食、6月は梅雨時で見えなかったが、今回は11年ぶりの見事な皆既月食を見ることが出来た。

色は赤黒っぽい色で火星のようだ。

2月10日は高崎にいっての帰りだが、写真に撮ったので記事にした。


写真上段左:月が欠け始めた 午後10時過ぎ 東京都大田区久が原にて


写真上段右:まだ欠け始めていない満月状態 午後9時過ぎ 群馬県高崎市内で


写真中段:皆既月食 午後11時30分 東京都大田区久が原で


写真下段:皆既月食ズーム写真

2011年12月9日金曜日

野田総理「そもそも論」発言:要因は国民目線とかけ離れた政策推進か







野田総理の母校での講演で、「そもそも論のところで変な議論が起きる」と避けて通れず、不退転で取り組む決意を述べた社会保障と税の一体改革で財務省悪玉論、TPPでアメリカ謀略説が起きる指摘したという(読売新聞2011.12.8)が、その要因は国民の目線とかけ離れた政策推進にあるのではないか。

確かに、最近のメデイアの報道、学識者やジャーナリストの発言を聞いていても反対論者の論調の背後には、財務省、アメリカの思惑が絡んでいる。

しかし、政策を提案する当初から消費税増税で財務省主導、TPPでアメリカ謀略説が出ること事態異常なことであるが、その要因には野田総理の政策推進が国民目線とかけ離れていることにあり、当然のことながら世論調査でも支持率は下落傾向になる。

社会保障と税の一体改革では、今世界を騒がしている国家の財政健全化とも相まって消費税増税は避けて通れない問題であることは分かるが、「今の経済状況で増税はどうか」と疑問も感じる。

最近、いままで増税で突き進んできた野田総理の考えも少々トーンダウンしている気がするが、財務省悪玉論が出てくるのは、明らかに財務省主導・官僚主導だからだ。

何故、政治主導が見えてこないのだ。

国家公務員数削減、給与の削減、国会議員数の削減など自ら身を削らなければならない公的セクターでの歳出削減が政治的スケジュールにあがってこないのに、消費税増税だけが一人歩きし財務省主導を印象付ける。おまけに朝霞公務員宿舎問題では、国家財政が破綻しているにもかかわらず、公務員の福利厚生が確保されている異常なまでの財務省の感覚を見せ付けた。

野田総理、財務省のポチと言われ、悪玉論を廃するためには、国家公務員、国会議員の削減を政治スケジュールに載せ、国民に提案するのが常道ではないのか。

また、TPPでのアメリカ謀略説に対しては一理ある。アメリカは自国の「国益」を押し通すために無理難題を他国に要求しているのは明らかだ。日本だって以前アメリカとは「年次改革要望書」に沿った改革が要求され、毎年その進捗状況の報告まで課せられていた。

最近は、姿を変え「日米経済調和対話」で継続している。

TPP参加交渉では、アメリカは「高いレベルの対応が必要」と、あらゆる分野での関税撤廃が目的であることを機会あるごとに匂わせているが、野田総理は「農業など守るところは守り、勝ち取るところは勝ち取る」といい、例外条項もあることを匂わせている。

国民は誰もアメリカを相手に有利に交渉を進めるとは思っていない。9日の新聞に野上元外務次官が担当すると報じられているが、田中真紀子外務大臣のときに「外務省は伏魔殿」とゴタゴタした時の外務次官だ。

昨年、菅総理の時にAPECで突然参加の意思を表明し、今、野田総理が参加交渉に向け関係国と議論を始めると「まやかし」の発言をし、国会も賛否二分している。

アメリカ謀略説を否定し、「平成の開国」を主張するのであれば、TPPさんかでの「国益」をしっかり説明すべきである。

今、国会審議を聞いていても、政府、担当官庁がどういうデータに基づき、その政策を推進するのかの根拠が分からない。

野党などの質問者は、資料をフリップに記し質問しているが答弁する閣僚は、ペーパーを棒読みするばかりで理解できない。

官僚答弁を避けた国会審議では、何故そういう政策が出てくるのかの理由がはっきりしないのだ。いっそうのこと官僚答弁も許し、事前通告なしの国会審議は出来ないのか。そうすれば官僚の考え方が良く分かる。「最初に政策ありきか」、「誰のための政策か」など政策の本質も見抜くことが出来る。

国会審議を国民目線で出来るように、改革すべきではないか。

そして野田総理自身も直接国民の信を得ている訳ではない。不退転の決意があるのなら国民の信を問うべきだ。

写真左:野田総理「そもそも論」発言を報じる読売新聞 2011.12.8

写真右:一川防衛相更迭の意思がないことを表明するのだ総理 2011.12.7 NHKニュースより

2011年12月7日水曜日

世界経済危機:政治と市場の「つばぜり合い」

政治家が国民、国家を守らなければならないのに、ギリシャを発端とする欧州経済危機は政治と市場の果てしない「つばぜり合い」の様相を呈している。EU条約改正、ユーロ共通債構想で混乱も収まるのではないかと思っていたが、独仏両首脳の会談も不調に終わり多くの人をがっかりさせた。

おまけに又、S&Pはユーロ15カ国の国債下げに続き欧州金融安定基金(EFSF)も格下げの方向で見直しているとの報道が流れた。

一方、政治面では、各国が首脳交代、政権交代、財政削減政策を打ち出しているが与野党の主導権争いもあり、この国難に一致団結して当たろうとする気概は感じられない。

市場は相変わらず、財政・金融危機を払拭できず、景気回復も覚束ないと見ている。当然だろう、今増税、財政支出削減すれば経済成長は鈍化し税収は上がらず財政再建は遠のくと多くの人は見ている。しかも、基軸通貨であるドル安、ユーロ安で、円高が続いている。

市場は、政治家の不甲斐なさに危機を感じ、リスク資産回避のため、欧州では売りが先行している。その影でヘッジ・ファンドが暗躍しているのだが、国家財政も破壊されかねない危険があるのだ。

私たちは普通、安く買って、高く売り利益を出すが、ヘッジファンドは逆に高い時に売って安くなって買うそうだ。ヘッジファンドの特徴とも言える「空売り」だ。下相場でも大きな利益を出すのだ。おまけにレパレッジをかけるので実際には何倍ものカネが動くのだ。

この「空売り」で暴落を防ぐために政府は介入するのだ。

わが国財務省は、10月31日に大規模な為替介入に踏み切り、断続的な介入で1ヶ月に9兆円を投じた。11月末でのわが国の外国為替残高は約1兆3000億ドルの過去最高額になった。借金して介入し、ドル安で国民の財産は目減りするダブルパンチだ。おまけにこの1兆ドルがどう運用されているのかは財務省しか分からないのだ。

この実体経済、国家の財政の破綻をファンドから守るためにヘッジファンドを規制しようとする動きもあるというし、S&Pのような格付け会社の規制強化の話もあると報道されていたが、ヘッジファンドの横暴な動き、基準のはっきりしない格付けなど規制の必要なことも理解できる。
だが、一番肝心なのは政治家が財政再建、健全化に真剣に取り組んでいるかどうかだ。市場はそこを突いてきているのだ。

政治と市場の「つばぜり合い」は、しばらく続きそうだが世界経済は破綻し、莫大な利益を得たのはヘッジファンドだけという結果は避けたいものだ。

2011年12月5日月曜日

東京モーターショー2011:車離れでも技術には夢がある




































今年も東京モーターショーに行って来た。昨年に較べれば出展も多いようだ。若者の車離れが言われているが、デザインに目を見張るものがあり、進歩する技術には夢がある。

日本自動車工業会のHPから最近1年間の乗用車の生産台数を見ると、今年2月の台数は約68万台、前年同月比6.4%だったが、3月は震災の影響もあって約35万台、前年同月比57%に落ち込んだ。4月はさらに落ち込み約25万台、前年同月比60%だ。その後、前年同月比のマイナスが続きやっと10月に約77万台になり前年同月比プラス20%となった。

2011年度見通しも、エコカー需要が根強く、3月の大震災の影響が大きかったが後半供給も正常化し持ち直しているが、374万5千台で96.5%になるらしい。

エコカーは、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)そして低燃費のガソリン車が話題になっている。トヨタのプリウスPHVは、近距離はプラグインハイブリッドで61km/l、中・長距離ハイブリッドで31.6km/lで充電を気にせず走れるようになった。

プジョーは世界初のデイーゼルハイブリッドを開発し25km/lの性能があるというし、
ダイハツは、新液体燃料「水加ヒドラジン」を使った電池自動車で35km/lを提案している。

しかし、究極のエコカーは電気自動車(EV)だ。震災時の電気供給から充電した電気を未来住宅に給電できるシステムを日産自動車は「LEAF TO HOME」、三菱自動車は「MiEVハウス」として紹介している。停電時必要とする容量にもよるが2日分は供給できるらしい。

そして電気自動車への充電も非接触充電システムが紹介されている。トヨタは、発電、充電、給電、エネルギー・マネージメントなどの機能を持つスマート・モビリテイー・パークを提案し、震災時は救援スポットになる可能性がある。こういった非接触の充電システムが出来れば、交差点での信号待ちに充電できるし、スマート・モビリテイー・シテイーの構想にも役立つようになる。

次世代自動車戦略研究会の資料によると、2030年には従来者は30~50%、ハイブリッド車は30~40%、電気自動車は20~30%と予測している。

ホンダが出展した次世代スポーツカーEV-STERは、直感で曲がれるハンドルを作りたかったようでコックピット様の運転席だ。周りには機器類が配置されているようだ。これから安全対策でいろんな運転支援システムが開発されるが、それらの機器類が配置されるのだろうか。

トヨタのFun―Viiもパソコンでアプリケーションをダウンロードする感覚で内外装、表示類を変えられる未来志向型の車だ、実用ではダメだろうが、遊び心は面白い。

異業種の自動車産業参入とも言えるのだろうか、炭素繊維メーカーの東レが炭素繊維で車体を軽量化したコンセプトEV「TEEWAVE」を出展している。車体を軽量化することにより、搭載電池容量の削減、燃費の改善が出来、CO2排出量の削減に貢献できるという。

兎に角、「車だけを売る時代ではなくなった」というのが自動車メーカーのイメージチェンジの本音だろう。

写真上段左:炭素繊維メーカー・東レのコンセプトEV「TEEWAVE」

写真上段右:トヨタ スマート・モビリテイー・パーク

写真中段左:トヨタ Fun-Vii

写真中段右:ニッサン LEAF TO HOME

写真下段:ホンダ 次世代スポーツカー EV-STER

2011年12月4日日曜日

消費税増税:野田総理 分かっているんです必要なことは



4日の朝刊の政府広報「すべての国民の皆様へー社会保障と税に一体改革について」を見た。野田総理 消費税増税の必要性は分かっているんです。ただ分からないのは、選挙で敗退するのを怖がって増税反対を言ってみたり、国会で賛否二分化する状態でどうして増税が出来るんですか。

そしてまず、やらなければならないことはムダの削減による財源捻出だが、誰が見ても不十分すぎる。野田さんも「歳出全体のムダの削減」といっているが、消費税増税が税率、時期を明記されるように、国会議員数の削減、歳費の削減、国家公務員の数、給与の削減など自ら身を削る政策が政治スケジュールにあがっているのか。

古賀茂明さんが公務員宿舎問題で「国民に負担を強いる時に国家公務員の福利厚生をどうしましょうかという感覚事態が可笑しい」と指摘していたが、財務省をはじめ国家公務員自ら歳出削減の行動をしているのか。

「増税はせざるを得ない」決断だといっているが、他の財源からの捻出の努力も決断しなければならないが、その意気込みが伝わってこない。

また、今の経済状況の中での増税が、景気にどう影響するのか。付則に「経済状況を考慮して」と記されていたのを無視しても増税を進めるといっていたのではないか。法人税、所得税、消費税のうち景気動向に左右されないのは消費税だというが、景気が悪く、増税されるということになれば可処分所得も減り、誰だった消費を抑えるのではないか。

自民党橋本政権のときに、増税したが税収は増えなかった事実をどう評価するのか。

財政再建、健全化は国の借金が対GDP比200%を超えようとしている現在、日本の国際信用を確保するためにも必要であることはわかる。でも国にはもっとカネがあると主張する在野のエコノミストもいる。

財務省の国家財政に対する考え方のみでなく、もっと幅広い分野から日本の財政について議論し、国民のコンセンサスを得ることが必要ではないか。

それにしても、近未来の日本はどうなっているのか。総理はどんなビジョンを持っているのか分からなかったが、今回「分厚い中間層」のいる国を目指しているようだ。昔、確か中流階級という言葉があった。
でも昔は「容易に獲得できる果実」があった時代だ。今は、少子高齢化、円高で企業の海外進出が増え国内は空洞化が懸念されている。大学は出たが仕事がなく、若年失業者も増えている。65歳まで働けといっても、そうそう仕事は見つからない。

そんな時代に中間層を分厚くするなど考えられない。

野田総理は、「捨石」になってもこの国難打破のため先頭に立つといったそうだが、国民に信も問うのが先ではないか。

写真:政府広報「すべての国民の皆様へ」 2011.12.4 読売新聞

2011年12月3日土曜日

野田首相の「捨石」発言:「国益」を考えてのことか

野田首相が指導力を発揮すべく、今の国難を「捨石」になってけりをつけると発言したことが、メデイアのweb版で流れた。後々のわが国の「国益」を考えての捨石発言なのか。

そのとき上げられた政治課題が、TPP交渉参加に向けた協議、社会保障と税の一体改革での消費税上げ、そして普天間移設問題での安全保障問題で自分の代で国難をしっかり受け止め不退転の覚悟でやりたいと言うそうだ。

メデイアの報道によると、3日夜の若手企業経営者らの会合に出席し発言したらしいが、その会合は、高校の同窓生が主催する企業経営者団体の東京例会だという。身内の会合の気安さもあっての思い切った発言なのだろうか。

世論調査でも今欠けているのは、「指導力」「スピード感」「国民目線」が上げられている。野田総理も低姿勢、安全運転では埒が明かないと思ったのか、最近は「自分が先頭に立って」引っ張っていくといったり、「政治判断」をするといってみたり、その決意が伺われる場面が出てきた。

しかし、現実は厳しい。国会審議で「二枚舌」とまで言われたTPP交渉参加協議は、米国に言わせると「日本が高い水準の市場開放が出来るかどうかだ」という。例外事項で国益が守れるかどうかは不透明だ。

しかし、最初から希望を主張してみても始まらない。交渉するのは政府や官僚で、その結果批准するかどうかは国会が決めることだ。反対するかどうかはその時に考えればいいことではないのか。

消費税増税問題は、財政健全化、社会保障の自然増にどう対応していくか、決して財務省の言いなりになってはいけない。ムダの削減で財源の確保が出来るという意見は多い。国会議員、国家公務員がまず身を削っていない。問題になった国家公務員宿舎問題だって、財務省は5年間で25%廃止し、700億円を生み出すといっているが、公務員の利権を守る財務省が、すんなり廃止するなど考えられない。

国民目線からすると、まず財務省を解体し、行財政改革、国家公務員改革を推し進めるべきだ。その捨石になったらどうか。

普天埋設問題に絡んで、沖縄防衛局長の不適切発言が飛び出し、沖縄は態度を硬化させた。一川防衛相の更迭は当然と思うが、党内的には小沢グループとの関係もあり処理を迷っているようだが、そんなことでは捨石にはなれない。

それにしても、一川、山岡両閣僚は小沢グループから融和作で起用された閣僚だが、小沢グループにはこの程度の人材しかいないのか。党内抗争では名を馳せるが、政治ではからっきしダメとは情けない。小沢グループとの融和策での無理強いはきっぱり止めてほしい。

広く会議を興し、「国益」を守る政治決断をやってほしいものだ。

千葉県南部地震:同じ場所で深さを変え3度揺れ



12月3日早朝、グラグラっと揺れを感じたが、すぐ止まった。NHKおはよう日本のニュースで千葉県で3度続けて地震があったことを知り、気象庁の地震情報を開いてみた。

12月3日、発生時刻は、午前5時59分、6時07分、6時45分の3回、震源はいずれも千葉県南部(北緯35.5度、統計140.4度)で、震源の深さが20km→30km→20kmと変わっていた。地震の規模も最初はM5.2で震度4、2回目がM4.4で震度3、最後がM3.3で震度は2だ。

千葉県の房総沖は巨大地震の発生が危惧され警戒されているが、内陸のこの辺はどうなのか。同じ場所で、深さを変えて発生しているのに興味がある。「地震列島ここが心配(朝日新聞2001.5.16)」によると、ここより少し南に断層帯があり一通の調査は終了したという。

断層原因説からすると、地震の震源は断層「面」だ。しかし、気象庁は緯度、経度、深さの地下の「点」で表している。断層面の上で最初にずれ動きが始まった点が、最初に地震波が出発した点だという。

今回は、地下20kmで始まり、8分後に地下30km、その38分後に再び地下20kmでズレ動きが始まったことになる。

チョッっと気になったので記事にした。

写真:千葉県南部地震 気象庁地震情報より

歩きタバコ、ポイ捨て禁止:東京・大田区の清潔で美しい街つくり












































歩きタバコ、ポイ捨てを止め、清潔で美しい街づくりが出来ないか。東京・大田区久が原に移り住んで感じたことは、桜などの大木を区の保護樹として指定・保存し緑の多い街になっているのは感じる。

しかし、街を歩けばタバコの吸殻が至る所に投げ捨てられたままだ。繁華街のライラック通り、呑川沿いは人どうりも多く且つ駅から下りて家に帰るまでの長い道のりの間にタバコを吸い、吸殻を捨てる習慣の人が多いようだ。

「何とかならぬものか」と感じていたが、JR蒲田駅のホームで大田区役所に「大田区内全域歩きタバコ、ポイ捨て禁止・・清潔で美しい大田区を作る条例」の横幕が張ってあるのに気がついた。

「どんな内容の条例か」と思い大田区のHPを開いてみたが見当たらない。もとの条例は1997年3月に作られた条例であるが、全域にわたって歩行中の喫煙などを禁止する条項を加えて2004年6月に改正されたものらしい。

「区内全域 危険! 迷惑! ポイ捨て禁止! 歩きタバコは止めましょう」と啓発するポスターが載っていた。

「吸うな」とは言っていない。マナーを守れといっているのだ。清潔で美しい街づくりに区民は協力すべきである。


又、街中に啓蒙、禁止の表示類が全く見られない。これではなんの効果も期待できないと思っていたが東急久が原駅の改札口出入り口に「区内全域 ポイ捨て禁止 歩きタバコ禁止 あなたのタバコ迷惑をかけていないか」という啓発用の道路表示がされていたが、残念ながらすぐ近くにタバコの吸殻が落ちていた。


写真上段左:JR蒲田駅から見える「歩きタバコ、ポイ捨て禁止」の大田区の啓蒙横幕 2011.12.3

写真上段中:大田区のHPに掲載されているポスター 2011.12.3


写真上段右:東急久が原駅の改札出入り口の道路に表示されている「区内全域 ポイ捨て禁止」の標示 残念ながらすぐ近くにタバコの吸殻が落ちている


写真中段:呑む側沿いもポイ捨ての多い場所


写真下段:久が原ライラック通り 久が原交番近くでの吸殻のポイ捨て 至る所にポイされている 2011.12.3

2011年12月2日金曜日

野田内閣も支持率を維持できない内閣か







発足3ヶ月の野田内閣が、早くも支持率を維持できない内閣になってきた。発足当初は60%を越える支持率だったが、直近の世論調査では50%を切る有様だ。私は以前、「半年過ぎても支持率50%を維持できる内閣は出来ないのか」という意味の記事を書いたことがあるが、誰の内閣であっても相当無理なようだ。

野田内閣に何を期待したのか。

そもそも選出が異常だった。前原さんが野田さんと立候補で会談したとき、「何も出来ていないじゃないか。これでは負ける」と感じて前原さんが立候補を決意したと報じられていた。野田さんは泡沫候補だったのだ。

案の定、代表選は小沢vs反小沢の構図になり、消費税上げをもくろむ財務省の後押しもあって2位につけ、決戦投票で首位を得、代表→総理の座を射止めた。消費税増税論者の野田総理を選んだ。

「ノーサイドにしましょう。もう」といった野田さんのやらなければならないことは、党内融和だった。

普通なら小沢系グループをどう処遇するかだが、何か奇策でもあるのかと期待していたが、やっぱり常識の線で、2人の閣僚入閣と幹事長の起用で小沢系グループを抑えた。一応の党内安定で評価されたはずだし、発足した野田内閣は小粒で、余り名前の知られていない閣僚たちだ。かえって政権運営に不安を抱かせた。

それでも、余りにも酷過ぎた鳩山、菅政権に較べれば安全運転の野田内閣は、それなりに期待もされた。消費税増税を狙う財界筋、メデイアからは賞賛の声も聞こえた。

しかし如何にせん、山積する政治課題が多すぎ且つ難問ばかりだ。政治基盤の脆弱な野田総理には指導力を発揮し突破する力などない。

最近の読売新聞世論調査でも、「指導力」「スピード感」に欠けると指摘されている。TPP,朝霞公務員宿舎問題では「私が政治判断する」という。

TPPでは、党内議論もまとまらないまま、参加に向け関係国と協議に入るといってみたが、その態度は曖昧なまま、米国の「国益」に押される危険もある。関係国に歓迎されている報道だったが、そうでもないらしい。

消費税増税では、税と社会保障の一体改革で社会保障は自然増でも年に1兆円といわれ、恒久財源として避けて通れない問題である。野党は早く成案を出し協議しようというが、野田総理は成案とか素案とか言って何やらトーンダウンの様相を呈している。

財政再建の重要課題ではあるが、これが旨く進まなければ政府債務問題で何時市場が危機感を表すか分からない。そうなったら世界的経済危機であり、IMFの支援など無理な話になる。

この最大課題を「先頭に立って」政府、与党内の議論を引っ張っていくというが、最大派閥の小沢系グループは消費税増税に反対し、来年予想される衆議院選では、戻ってこれる者はほとんどいないといわれている。

消費税増税関連法案を国会で通してから、国民に信を問うのだから民主党が惨敗しても消費税増税は既成路線で財務省の狙い通りだ。

沖縄普天間移設問題では、防衛大臣、沖縄防衛局長の不適切発言もあり、日米合意の路線を進むことは困難を呈してきた。環境アセス提出、強硬路線をとろうものなら政権はもたないだろう。

こんな政局になったのは野田さんの所為ばかりではない。誰が総理になっても紆余曲折はある。内閣支持率50%を維持することは難しいだろう。

しっかり公約に掲げて総選挙で勝利し、誰にも有無を言わさぬ国民の信任を得ることしか道はない。

写真左:野田総理記者会見 消費税増税では、政府、与党内を先頭に立って議論を引っ張るという 2011.12.1 民放TVニュースより

写真右:民主党政権の発足直後の支持率の推移 読売新聞 2011.12.2

2011年12月1日木曜日

党首討論で国民に訴えたこと
















党首討論で、国民に何を訴えることが出来たか。野田総理になって、初めての党首討論が11月30日にあった。政権発足以来野田総理との記者会見も少ないが、国会ではドンドン政策が進み、谷垣さん曰く、「民主党はマニフェストに書いてないことを実行に移し、マニフェストに書いてあることを実行しない」状態で、国民に対して説明不足は否めなかった。

自民党谷垣総裁は開口一番「政権に欠陥があり、たるんでいないか」と今回の沖縄防衛局長の不適切発言、一川防衛大臣の晩餐会欠席による国務軽視を厳しく問う。野田総理は「心から沖縄の皆さんにお詫びします」と応えた。公明党の山口代表も同じ質問をしたが、「普天間移設問題で右往左往し、日米合意、負担軽減をやっている最中にこんなことになって、心からお詫びする」と繰り返した。

さらに「信頼関係を失ったときに、環境アセスメント評価書を提出できるのか」、自ら説明に行って、理解されてから提出するのが本来ではないかと質問したのに対して、野田さんは、年内にアセスを提出する。適切な時期に沖縄を訪問し対応すると応えていた。

沖縄米軍基地問題は、日米合意に基づき粛々と進めるらしい。鳩山政権時の右往左往は何だったのか。

谷垣さんは、大震災から8ヶ月、重要案件が迫っているのに、何をしようとしているのか分からない。マニフェストに書いていないことを実行し、書いてあることを実行していないと民主党政権の政策運営を批判した。

そして、TPPで国益は守れるのか。情報の開示が不足している。公開して国会で議論しようと「TPPに関する特別委員会」の設置を要求した。そして、「国益とは何なんだ」と問いかけた。

野田さんは、知的所有権、2000億円の関税をなくすこと、農業では守るものは守る、勝ち取るものは勝ち取るというのだ。

米国は個別の例外事項はない、高度の対応が必要としているが、稚拙な外交で要求が貫けるのか心配だ。

谷垣さんは、さらにTPPと同じく、円高、空洞化対策も打ち出してほしいと要求する。今まで政府が打ち出している対策は円高の対症療法で、本質的な対応にはなっていないことは皆が知っていることだ。

次に、消費税問題だ。

谷垣さんは、欧州問題は他人事ではない。自民党は取り組んできたが、民主党はどうなっているんだ。年内に税率、時期を盛り込んだものを出すことが出来るのかと質問。野田さんは、年内に成案をまとめて議論することになる。自然増が年間1兆円もあり、恒久財源の確保が必要で、法案提出は義務と考えていると言う。

さらに野田さんは、2010年に自民党はマニフェストで消費税10%の成案を作り協議すると言い、同じことを言っていると「自民党も約束しろ」と逆追及する。

この協議する方向とは、税率、時期の入った法案をまとめて閣議決定するということと野田さんは言う。

税は社会保障制度との一体改革が必要で、2010年半ばまでに具体的に検討するというが先送りするとしか思えないと谷垣さんは言い、最低保障年金だけでも消費税を4%上げなくてはならず、他の財源を見つけなければならない。公的セクターも身を削る必要があるが、国家公務員の給与削減を公務員にも広げたらどうかと提案したが、野田さんは行政改革は必要だと言うのみだ。

民主党はマニフェストに違反しているのではないか。消費税はやらないとは書いていないと抗弁したり、無駄を削減して財源にすると言う。

谷垣さんは、「沖縄、消費税で国民に信を問え」と言うが、野田さんは先送りの出来ない問題でお互いに議論しようと、はぐらかしの答弁だ。

財務省に後押しされた消費税問題で、野田政権は政治主導を放棄したのではないか。それこそ国民を裏切ったことになる。

公明党の山口さんも、民主党は消費税を上げなくても16兆円はムダの削減で出るといい、実施する前に信を問うとも言った。社会保障はまだ十分に議論されていない。社会保障のあり方、消費税、年金はどうなるのか。2013年に出すのではなく、「早く提出せよ」と迫った。

野田さんは、6月に閣議決定、社会保障のあり方を議論するのは当然で、安定財源として消費税を考えていると繰り返すばかりだ。

最後に山口さんは、苦い薬の後に痛い注射では困ると苦言を呈して党首討論は終わった。

国会で十分に議論尽くされていないTPP,消費税上げ問題を野田政権は急いでいる様が明らかになった。国民に信を問うていない政権に任せていいのかと疑問に思う。

消費税増税法案が通過した後、国会を解散して国民に信を問うなんて民主党政権が転んでも増税できるということなのか。


写真:党首討論 NHK国会中継より 2011.11.30