2010年9月30日木曜日

中国漁船衝突事件:中国の理不尽な要求と頼りすぎる危うさ露呈


7日の尖閣列島の領海内での中国トロール漁船の衝突事件は、その悪質さから公務執行妨害容疑で船長が逮捕された。当然両国主に抗議に仕合になったが、日本は領海内での事件であり、「国内法に則り厳正に進める」と当たり前の主張をした。しかし、中国は「中国の領土内で違法な操業ではない」と抗議はエスカレートの一途だ。

この背景には、棚上げされていた尖閣諸島の領有権、東シナ海での本土から太平洋に抜けるルートの確保、「反日、愛国」世論、そしてこの海域での資源の確保、さらには米中関係の悪化など中国側の事情がある一方、普天間移設問題、日米安保の尖閣諸島への適用など日米関係での不透明さを確かめる必要性もあったのだろう。

この海域での中国漁船の領海内航行は8月頃から増加し、中国艦船の太平洋ルート拡大行動も頻繁に報道され、その都度日本が抗議することが続いていた。

中国の領土主張に対して、11日には前原国土交通相が「東シナ海には領土問題を抱えていない」と反論した。1895年に尖閣諸島は日本に編入された経緯があり、当然のことであるが、中国との領有権問題は棚上げにされていたことも確かだ。

8~10にかけ5回にわたって、副首相クラスの要人が中国大使を呼びつけて抗議した。これ程の要人が出てきたことは、「即時釈放」に向け並々ならぬ気迫を感じた。裏返して考えると、たかがカワハギ漁の漁船でありながら何かあるのではと疑う。

この海域では160隻の漁船が違法操業しているという。中には特殊な任務を抱えた漁船もいるだろう。紛争が続く海域ではスパイ合戦は当然だ。

インターネットでも「反日、愛国」世論が盛り上がった。70年代から中国、台湾が領有権を主張したが、90年代に入って「反日、愛国」教育の一環として領有権が主張されるようになった。折しも1931年満州事変の発端となる柳条湖事件から79年となる18日にあわせて抗議活動への呼びかけがネットで広がりを見せた。

11日、日本の測量船が排他的経済水域内で測量していたことに中国は「測量中止」を求めてきた。

13日に、乗組員14人が帰国した。インターネットは「中国外交の重大勝利」だと盛り上がったようだ。18日、中国政府は、デモを一部容認するも秩序崩壊を恐れて抗議行動の囲い込みもやった。中国は強く日本に当たらなければならない国内事情があるのだ。

中国は、重要な会議やイベントの中止を通告してきた。日本も15日には「安全に注意」と警告を出す羽目になった。

日本が中国を頼りすぎる危うさが露呈した。

経済への影響も出てきた。レアアースの輸出規制見直しを日中経済協会の訪中団が要求したが、逆に「日本は輸入先の多角化を図れ」という。しかしこのレアアース規制強化は7月に提案された課題だ。21日に日本商社に対してレアアースの対日禁輸を通告したという。

輸出では、日本の対中国は18.9%、中国の対日本は13%、お互いに大きな割合を占めている。中国がエスカレートすれば国内経済への影響は大きい。日本でも電器製品、雑貨、食料品など中国製の安い物が入らなければ日本の生産者が助かるだろうが、物価は上がり国内への影響は大きい。

19日には、石垣簡裁は、船長の拘置延長を決めた。当然中国は「即時無条件釈放しなければ、強烈な報復措置をする。すべては日本の責任である」を強硬に抗議した。21日には温家宝首相が米国で報復措置を再警告した。

23日に新たな事件が発生した。遺棄兵器処理事業で調査していたフジタ関係者4人が拘束された。漁船衝突事件とは関係ないと言うが、誰が見ても報復措置だ。

相次ぐ中国の報復に及び腰になったのか、24日に那覇地検は日中関係を考慮し船長の釈放を決めた。この決定には野党から「歴史的大失態」と批判されるし、各界の識者もこぞって反対した。政治的判断を検察に委ねたのかと政府は痛烈に批判された。

14日に「平和的に解決されることを望む」とコメントしていた米国だが、23日になってクリントン国務長官が、日米安保適用発言をした。それまでは、1996年キャンベル国務次官補代理が「尖閣諸島は日本の施政下に置かれる」と発言、8月16日クローリー国務次官補も「安保条約が尖閣諸島に適用されるかとの質問にYES」と答えていた。オバマ政権は中国に配慮して安保条約適用を明言していなかったのだ。

中国の主権拡大に嫌悪し、米中関係の悪化にともなって、普天間移設問題でギクシャクする日本にてこ入れをする結果になった。中国がどう判断するか。米はグアムに無人偵察機を配置したという。
ところが27日、第2次世界大戦終結65周年に関する中露共同声明で、領土をめぐり対日圧力を欠ける結果になった。尖閣諸島に続き北方領土にも飛び火しそうだ。

29日になって、「中国が軟化するのでは」というニュースが流れているが、現場では中国が監視船を常駐化しているという。

主権拡大を狙っている中国に対して、どんな政権でも対応は難しいだろうが、菅政権は完全に足下を見られている。漁民の安全、領土を守るためにも毅然とした対応が必要だ。
習氏を天皇に無理矢理会わせたり、160人もの国会議員を引き連れた大訪中団を送り込んだり、鳩山さんの「私ならホットラインを使ってうまくやれた」発言など中国を増長させているのも日本の政治家なのだ。

国連の常任安全保障理事国の中国が、東シナ海、南シナ海で隣接国の迷惑も顧みず、こんな主権拡大の暴挙に出るなんてとんでもないことだ。

レアアースに見るように、中国に頼りすぎる危うさが今回の事件で露呈した。景気回復も中国経済に負うところが大きいが、方向転換すべき時かも知れない。

中国は非民主国家なのだ。私達の常識が通用する国ではない。
写真:2010.9.27 事件を報じるテレビニュース「 釈放でも強硬 対中国政策・・問われる政府」より

2010年9月24日金曜日

特捜検事の証拠隠滅疑惑:揺らぐ「検察官一体の原則」


100年も前に田中正造も「国民監督怠れハ治者盗人為る」と警告しているように、政治家や公務員の不正を暴き出し、捜査し起訴する特捜検事への期待は大きかった。

ところが、村木元局長の優勢不正事件の無罪で明らかになった主任検事の証拠隠滅疑惑は、小沢さんの政治資金規正法違反事件でも明らかなように、特捜の捜査能力に疑問を抱かせるなど大きな失望へと変わった。

小沢さんの政治資金規正法違反疑惑では、検察しか知り得ない情報をメデイアが垂れ流したことから、検察は世論を操作していると批判が出たが、今度は検察が身内の不祥事に関する情報をメデイアに垂れ流すことになった。

中には「FDに時限爆弾を仕掛けた」との前田容疑者の供述が、面白おかしく報じられ、ミステリーまがいの推測が乱れ飛んでいる。さらには同僚検事、報告を受けたとされる前特捜幹部の談話らしきモノも見受けられる。

しかしその内容は、検察組織に責任が及ばない範囲のものだ。故意でない限り証拠隠滅罪は成立しないために「本人は過失だ」と言っている。報告を受けた上層部は「問題はないと報告を受けた」と主張し責任を回避する。せめてもの慰みは「FDは証拠にしていない」といい、裁判への影響はなかったと主張するようだ。

ところが、検察内にも正義はあったようだ。「公表」を進言した女性検事がいたそうだ。公表すれば、したで反響は余りにも大き過ぎる。提案されたり、報告された幹部検事は困り果てたに違いない。我が身や組織を守るためにどうするか、雁首を揃えたのではないか。

人間は、悪事を果たす時が一番頭が働くという。法や実務に長けた専門家だからいろんな考えが出ただろう。突っ込んだ調査をせずに放置した代償は大きい。

今回の事件は「検察官一体に原則」を揺るがすモノである。

検察官は、上層部の指示、命令で行動し、外部の者からの圧力は受けない。その頂点は法務大臣で、法務大臣の指揮・監督の下に置かれる。指揮権発動が出来るのは法務大臣だけである。私的感情や特殊事情で起訴・不起訴が左右されず、「検察官は十分な事実上の根拠が存する限り」公訴の提起を義務づけられている。この「十分なる事実上の根拠」という概念にいかなる内容を盛るかは検察官の自由裁量である(この項 刑事訴訟法講座 第1巻 有斐閣 昭和38年 参照)。

大阪地検特捜部の証拠隠滅疑惑は、この検察官一体の原則の中で生じた不祥事だ。

何故こんな事件が生じたのか。

最高検の公正な捜査がその問題点を明かして欲しいと思うが、検察に対する国民の不信を増大させる結果になった。検察行政に対してしっかりした監察が必要になる。

検察審査会の制度も国民目線での監視の強化がされたが、まだ生ぬるさはある。政治的に中立な学識経験者、長年法曹生活または矯正教育の経験者などによって構成される検察審査会が、検察監査機関として、より強力な権限を行使し得るような制度を提案されている(この項 前書より)。

今回の事件も関連してか、小沢さんの政治資金規正法違反事件で起訴された3人の秘書の公判前整理手続きで「無罪」を主張する方針だという。第5検察審査会の再議決にも影響するのだろうか。

功を焦って「十分な事実上の根拠」をぐらつかせた大阪地検特捜部の責任は大きい。
検事総長など検察トップの責任はまぬがれない。一方小沢さんの政治資金規正法での疑惑は強制起訴し、検察特捜経験者らから為る3人の選任された弁護士で、小沢さんの「政治とカネ」の問題に取り組んでいった方がお互いに良いのではないかと思うのだが・・。
写真:事件を報じる読売新聞 2010.9.24

ゲームショー2010:技術革新は認めるが、悪影響も否定できない







トランプが主だったと思う任天堂が、1983年にファミコンを開発したというニュースを聞いたとき、「たかがおもちゃ」と思っていたが、ゲームがブームを巻き起こすことを誰も予想しなかっただろう。

その後、スーパーマリオ、ドラゴンクエストなどヒットを飛ばし、今まではゲームセンターでしか遊べなかったモノが、家庭で出来るようになったのだ。2007年には、37%の人が、Wiiを買いたいと答えている。

市場規模も大きい。ゲーム産業の国内市場は2005年には1兆1445億円だが、テレビゲーム市場では2007年6769億円、2008年5826億円、2009年5712億円で逆に減少傾向にある。

簡単なPCゲーム以外にはやったこともなく、ゲームには興味がないが、テレビでのCMでスポーツ、フィットネスに応用されているのを見ると、技術開発も相当進んでいることが伺えるが、私は寧ろゲームが引き起こす社会現象に興味があった。

丁度、2010.9.18に「ゲームショー 2010」で一般公開されるというので、会場である幕張メッセに行ってみた。

薄暗いホールになかで、大音響と妙にリアル感のあるアニメ、戦闘シーンの画面が目に飛び込んできた。各ブースには体験コーナーがあり、この日は1時間待ちだ。大画面の壇上では、真剣な顔の若者がゲームをやり、その画面が表示されているのだ。人前でこれだけのことが出来るのだから愛好者なのだろう。

何よりも興味を引いたのが、操作する人の動きを画面内のキャラクター似反映させる体感ゲームだ。スポーツ、フィットネスに応用出来る。これなら何とか出来そうだ。

しかし、多くは格闘、戦闘ゲーム、少女アニメ(?)。高度なグラフィックとスピード感、キャラクター作成など技術革新が伺えるのは確かだ。ゲームは多様化し、ネット端末の普及や3Dなど、「ゲームは新章へ」の今回のゲームショーのテーマもうなずける。

この幕張メッセには、学会の研究発表会、産業の展示会、モーター・ショーなどで年に数回来るが、壁にもたれてしゃがみ込み、ボーッとしている若者が多かったのには驚いた。

この成長するゲーム産業の一方で、それが巻き起こす社会現象には注意しなければならない。

はっきりは分かっていないそうだが、よく言われるのが「暴力的になる」と言うことだ。攻撃性が高く、戦闘シーンで自分が主人公になると言うことで、現実と仮想現実が区別できず、中高生が引き起こす凶悪事件の背後にはテレビゲームがあると言われている。

「ひきこもり」など「社会的不適合」も指摘されているが、オンラインゲームではその依存性が問題になっている。

若い夫婦が、子供を連れて深夜ゲームセンターで遊ぶと子供が睡眠不足になりキレやすくなると言う。睡眠時間を取り戻すと治るというのだ。子育て中の親は気を付けなければならない。

1998年のネイチャーには、ゲームには覚醒剤や麻薬と同様の依存性があると指摘する記事が載っている。韓国ではオンラインゲームが止められない「中毒者」の存在が社会問題化し、「インターネット中毒予防センター」が相談にのっているという。韓国はこの面で先進国だ。

「フィットネス」ぐらいは手が出せそうであるが、現実と仮想現実をしっかり区別し、自らを律しなければ、間違った行動に出る危険はある。成長産業のジレンマだ。

2010年9月22日水曜日

腹が立たないか、「国民は素人」発言







「素人が、良いか悪いか判断する」と自らが政治資金規正法違反容疑での再審査で「起訴相当」の可能性もある小沢さんの検察審査会批判だ。

小沢さんの代表選敗北の結果、「今回の小沢さんの敗北出、一番喜んでいるのは検察だ。検察情報をリークし、メデイアが世論を操作し、小沢惨敗の結果になった」と著名(?)なジャーナリストがテレビの情報番組でコメントした。国民はバカだからメデイアの垂れ流し情報を鵜呑みし、小沢悪者の世論を形成したと言うのだ。

確かに、「国民目線」は、専門家とは違った判断を下している。

多数の死者を出した明石歩道橋事件、JR西日本宝塚線脱線事故では、専門家である検察が不問にした副署長や社長にまで責任追及を求めた。余りにも自己の悲惨さからトップにも責任があると考えた結論だが当然の判断だ。

又、最近の押尾容疑者の保護責任者遺棄致死事件では検察は6年を求刑、専門家は7~8年ヲ想定していたが、判決では2年6月の減刑になった。公判では新聞情報になかった証拠もあっての裁判員制度での国民目線判断なのだろう。検察の求刑の7~8割が判決の量刑の相場であること自体がおかしい。

今、検察捜査が批判の的になっている。検察を国民目線で監視する検察審査会は重要な役目を負っているのだ。

政治家の事務所経費の疑惑で政治資金規正法に違反する事例が後を絶たない。「知らなかった」で議員本人の責任が不問になるなど政治倫理、国民感情からすると許せないことだ。政治資金規正法は、政治家の活動が公明正大であるかどうかを国民が監視するシステムなのだ。特に政治資金が税金から拠出されていることを考えると、しっかり監視しなければならない。監視されるのが嫌なら政党助成金を断ればいい。

本当に、国民は素人なのか。逆に専門家は正しい判断をしているのか。

私達は法治国家に生き、法律で生活が律せられている。刑法=道徳の教本なのだ。多くの国民はやってはいけないことを知っている。常識から考えて不条理なことには強い抵抗がある。国民の常識、国民目線こそ法解釈の原点なのだ。古い法律を古い固定観念で解釈していては、法は死んでしまう。法解釈も時代にあった解釈にしていかなければならない。
又、私達はメデイアの世論調査、情報に大きく影響されているのか。

確かにメデイアの世論調査の頻度が高く、それにより内閣が変わっているのも事実だ。代表選、総裁選や総選挙などが続くとその傾向が強い。内閣支持率、政党支持率の下落で、このままでは選挙に勝てないと言う理由で頻繁に変わることに疑問がないわけではない。

最近の世論が政治を動かした結果はどうだったのか。1年前の雪崩的な政権交代の波で実現した民主党政権、小沢さんはメデイアの煽る(?)「政治とカネ」で代表選を惨敗した。

難題山積の政局では誰がやっても同じことだ。確かに私達は、情報をメデイアに負うところが大きい。残念ながらこれしか手はない。テレビをよく見る人ほど選挙に行くという結果もあるようだ。数々の不祥事で民主党になれば、何か変わるだろうと期待したのは確かだ。代表選での小沢さんの政策も説得力はあったが、実行となると何の保証もないことも分かった。

菅改造内閣の発足を受けての直近の世論調査で、菅内閣は66%の支持を得ていることが分かった。しかし、その理由に積極的理由はない。「悪さ加減の少ないのはどちらだ」が、判断基準になったようだ。

誰が総理になっても国民が望みを達成できることは難しい。でも国民は常に意思表示をしていかなければならない。「監督を怠れば、政治家は自分勝手なことをする」のだ。

政治家のレベルは、国民のレベルを反映している。テレビのコメンテーターやジャーナリストの安っぽいコメントに惑わされず、事実をしっかり掴んでいくことが重要だ。
写真
裁判員制度導入PR(法務省まえ):国民目線で活きた法解釈を
第一検察審査会 小沢氏政治資金規正法違反事件で「不起訴不当」議決(検察審査会掲示板 2010.7.15)
後期高齢者医療制度反対抗議行動(2008.6 自治省前) テレビで報道され、激励に多くの高齢者が駆けつけた。主催者は外国通信社のインタビューも受けていた

2010年9月18日土曜日

菅改造内閣は民主党最後の内閣という現実


国民新党を含めた412人内閣の全員参加の政治を訴えたが、党三役を承認する両院議員総会には、注目の小沢さんは出席せず、実力者とは裏腹の幼稚さをまたもや見せつける結果になった。

こんな感覚しかない人間が代表→総理の座を狙うなんて考えられないことだ。小沢敗れたホッとする人も多いはずだ。

代表戦後の民主党は、大差の勝敗で安定、僅差で不安定と見ていたが、国会議員票の僅差での勝負は党内の不安定をさらけ出した。

党、閣僚の人事は結果として「脱小沢」の様相だ。小沢さんは代表代行などの就任を打診されていたが拒否したらしい。直接自分の考えを説明しないために側近筋が忖度してコメントしている。

人事の裏話としてメデイアの報道を読むにつけ、挙党一致とはほど遠い内閣で心配になるが、一方で小沢グループに属している人を新聞で見たが、名も知らず、政策論争に登場したこともなく、スキャンダルや夜の飲み屋の玄関でよく見る顔しか思い出せない。

小沢グループというのは、結局権力闘争のための数の集団のようだ。これを人事に配慮しろと言っても無理な話だ。
  
代表選での敗北の要因は「政治とカネ」へのアレルギーであり、検察審査会での再審査結果への不透明さであり、小沢さんも最後の演説で謝罪しなければならなかったことを考えると、小沢出馬は無理筋を強行したことになる。

今後の国会で菅内閣は、菅支持グループ、国民新党役210人vs小沢支持グループと野党約510人の勢力構図になるのだろうか。世論調査では菅内閣支持は約60%であるが、国会での菅内閣支持は約30%だ。相変わらず民意と乖離した国会だ。

小沢支持グループの人は、年末、来年3月の政局まで、しばらくは静かに見守るという考えらしい。これでは党内野党を抱えているようなものだ。党内野党、国会では野党に配慮しながらの政局運営は誰が見ても困難だ。

小沢さんは「一兵卒となって皆とがんばろう」と言っているのだから、小沢支持グループの議員も党内の政策論争で勝負した方が良いのではないか。そのために菅さんは政調会を復活させ、玄葉さんは内閣の一員だ。

このままでは、菅改造内閣は、民主党最後の内閣になりかねない。折角政権交代した民主党が政権を失うようなことはしないと思うが、小沢さんや小沢支持グループの言動が菅内閣の、さらには民主党の首根っこを押さえている「危うい政局」である。

メデイアは政界再編を煽るだろうが、予算編成、普天間問題、雇用、景気対策、財政再建など難題が山積している。菅さんは法案や政策を正式に国会に提案する前に野党と協議することを考えているようだ。

国民のために政策は決まっている。要はその内容をどうするかだ。政権党の民主党の支援団体へのご都合で内容が歪曲されることを回避できたり、野党も責任を持った政策提案が出来たりする。仙石官房長官の独断専行も防止できる。

民主党国会議員は、選挙区に帰って良く民意を汲み取らないと、1年前に戻ることになる。その時の自民党は、以前の自民党とは違っているはずだ。
写真:首相官邸 菅改造内閣も短命内閣でおわるのか 

2010年9月17日金曜日

民主党よ 古い体質の政治から決別を


民主党員は、代表選でのあの熱気(?)を忘れたのか。両陣営共に「国民のためにがんばろう」と気勢を上げた。菅さんは民主党の原点を「世の不条理との闘い」と結党時を省み、小沢さんに至っては「今日の危機的状況を見て、今政治を変えなければ間に合わない」と言い切った。

ところが、代表選が終わった後の民主党は挙党態勢どころか、相変わらずの権力闘争の様相を呈している。菅さんが言う412人内閣で全員でやろう所ではない。

野党が烏合して政権交代を目指し、打倒自民党で結束した民主党だ。政権に就くと甘い汁を求めて権力闘争が絶えない。

こんな政党に政権を託して良いのか。民意と乖離した民主党に失望感が強い。菅さんが選ばれたのも、政策オンチと揶揄されながらも「悪さ加減の少ない」基準で考えた結果だ。

民主党の悩みの種、「小沢さんをどう処するか」に多くのエネルギーを使わなければならない民主党に古い体質の政治が健在であることが分かる。「クリーンで開かれた新しい政治」など雲の上だ。

当の小沢さんも、自分自身の処し方に何らコメントせずダンマリを続け、側近が忖度しコメントする小沢流政治が続く。こんな人が総理になったらとかえって敗北にホットする。

「今政治を変えなければ」と主張するのであれば、まず自分の立ち位置を明確にし、不満ならば離党し、民主党内を整合しなければ変革など期待できない。

古い体質の政治と決別し、次世代に継ぐことの出来る政治を構築していって欲しいものだ。

2010年9月16日木曜日

面子の為替介入、これでもサプライズか


円高局面で、「慎重に見守る」とか「必要なときは断固措置をとる」とコメントしていたので直ぐ為替介入が実施されると思っていたが、なかなか実施されず、口先介入で脅しただけだった。

ところが15日、政府・日銀は介入に踏み切った。選挙期間中は、菅さん続投では円高、株安が続くと見られていたので菅さんが大勝したことで、15日には82円台に突入した。市場が菅政権を試した。

しかも、選挙期間中に、小沢さんが積極的な介入を主張していたのだから、対抗心もあり面子をかけた為替介入に出たのだろう。やっぱり小沢さんでなければ円高は阻止できないと思われるのが怖かったのだ。

今まで為替、株価派、米国の経済状況に大きく左右され、国内の経済政策、金融政策は余り影響はないと思っていたが、円は2円安で円高傾向に歯止めがかかったし、株は220円高で効果があったという。

ところが、介入をやったらやったで異論も多く出ている。欧米などとの協調介入でない限り効果は限定的だという。円高阻止のための介入でも一時的に効果はあるが、今までの傾向を見ても為替のトレンドは円高傾向が止まらず、為替差損は増大するばかりだ。

今は亡き橋本さんが、総理の時渡米し大学での講演で、「アメリカにはしっかりしてもらわなければ。ドル売りの衝動に駆られたことがある」というような発言をして、「外交で言うべきことではない」と批判されたことがある。信頼の下落するドルに手を焼いているのは事実だ。

おまけに82円ぐらいで介入すると、これが当面の為替相場になる。菅さんは財務大臣に就任した時、為替は93円台だったが、「90円台半ば」が理想(?)と発言して顰蹙を買っていたが、それなら何故90円のレベルで積極的に介入しなかったのか。財務大臣の専権事項だからやる気になればやれたはずだ。

民主党政権は、経済無策と批判されても仕方ない。

企業が想定する為替レートに対しても円高で、1円で50~300億円の差損が出る。1円安で株価は100円高くなる。為替90円で株価10,000円が今の傾向である。株価はNY市場10,000ドル、東京市場10,000円のラインを米国経済の状況であがったり下がったりしている。

民主党代表選は、国会議員の票では僅差の勝負だった。小沢支持グループはおとなしくはしていないだろう。相変わらずの権力闘争は止めて、しっかり雇用、景気対策に取り組むべきだ。政策を提案しあい成果を出した方が、権力を持てばいい。

経済失政は後々まで尾引きやり直しは利かない。

迷い、躊躇、過去の事例に捕らわれず果敢に挑戦すべきだ。
写真:財務省 できる手は全て使って積極果敢な政策を

2010年9月15日水曜日

民主党の悩み:何時まで続く「小沢さんとの距離」という柵(しらがみ)


先に「民主党代表選の後:大差の勝敗なら安定、僅差では不安定」という内容の記事を書いた。今回の菅さんの大差での再選は、安定を思わせるが、国会議員だけの票を見ると、6票という僅差での勝ちで、党運営、国会運営を考えると不安定だ。

案の定、党、内閣人事は「小沢さんとの距離」が重要なポイントになっている。そればかりではなく、これから取ろうとする政策も代表選で小沢さんが主張した政策との比較になる。「小沢氏との距離」は民主党にとっては柵なのだ。

「小沢さんに会って謝りたい」、「小沢さんのポスト?」、「小沢さん近い人材」、「小沢さんと距離を置く人材」などという言葉が憶測で乱れ飛ぶ。

それだけ小沢さんの存在は大きいことは確かだ。今まで小沢さんの考えは断片的に伝わって来ただけだが、今回の代表選での街頭演説、立会演説、テレビ討論などで小沢さんの政策が明るみになってことは評価できる。

民主党国会議員の役半数が小沢さんを支持したのは、いろんな場面で小沢さんの世話になった恩義もあるだろうが、大方の議員は強い指導力、リーダーシップで、今の政局を打破したいと考えたのだろう。

しかし、民意は「政治とカネ」へのアレルギーで小沢さんを拒否した。

民意は「脱小沢」だが、政権党の民主党は「小沢さんとの距離」で人事、政策を論じなければならないことになる。

代表選で菅さんの選挙対策本部の責任者だった前参議院議長の江田さんが、記者の質問に答えて「我々年配者は、何らかの古い体質の柵を持っている。そう言った柵を棄て、新しい政治を次世代に伝えていかなければならない」と答えていた。

民主党の運命は、「「小沢さんとの距離」をどう保つか」から「脱小沢」へ。どうやって展開していけるかがポイントになる。

小沢さんが要職から降りるときに何回も口にする「一兵卒でがんばる」とは、下働きをすると言うことだ。党を攪乱したり、大将に立候補することではない。

小沢さん自身が本当に変わるか、「離党」するか。「脱小沢」が出来ない限り、民主党の混乱、政治の空白は絶えない。
写真:民主党本部 今後の人事、政策には常に「小沢さんとの距離」をどう保つかがポイントになる

2010年9月14日火曜日

民主党代表選結果:民意と乖離する民主党国会議員


民主党代表選は、小沢さん491ポイント、菅さん721ポイントで圧倒的な差が付いた。メデイアの事前の世論調査では菅さんが圧倒的に優位だったが、民主党国会議員の選挙結果は6票差の菅さん412ポイント,小沢さん400ポイントの僅差だ。

バランスが取れていると言えばそうかも知れないが、民主党国会議員は民意と乖離している結果になったとも言える(勿論、党員・サポーターの投票結果の集計法にもよるが)。小沢さんは「国民の生活が第一」と約束したことは必ず守ると主張、菅さんは「元気な日本の復活」を次世代に残そうと言うが、訴える政策が民意と乖離していないか再検討すべきである。

ところが、菅優勢の世論調査は、「メデイアの恣意的な結果」で世論を操作していると批判する記事が目に付いた。大メデイアは街頭演説会での「小沢コール」を報じないとか、ネットの世論調査では、逆に小沢さんが圧倒的に優勢な結果を根拠にしていた。

街頭演説会では動員は当たり前であり、ネットは国家権力を背景にしている者には厳しい。
有権者は、そこの処はよく知っているはずだ。有権者だってメデイアに煽動されるほどバカではない。

小沢さんには「政治とカネ」の問題が付きまとう。小沢さんが代表→総理になったときの政治の混乱を考えたとき、「悪さ加減の少ない」のは菅さんと言うことになったのだろう。
今までに国会などで真面目に証人喚問などに応じていれば、こんなに大差での敗北はなかっただろう。

小沢支持派のキーパーソンが、「理解頂けるものと思う」と言っていたが、小沢さんヘのアレルギーは根深い。

民主党国会議員での僅差は仕方ないことだ。小沢さんに候補者として掘り起こされ、選挙資金をもらい、秘書に選挙を手伝ってもらっての当選では小沢さんに投票するしかないだろう。数とカネで戦うのが小沢流の政治手法だ。

小沢さんは敗北を受け「一兵卒でがんばる」と言うが、一兵卒が党内をかき回したり、大将に立候補したり政界を混乱させることだけは止めて欲しいものだ。

この政局にあって、国民が願っているのは「強い指導力、リーダーシップで何かやってくれることだ」。民主党国会議員の小沢支持の主要な要因だった。

菅さんは、1人での政治主導出はなく、412人全員参加で、412人が内閣だと言う。自由に全員が議論できる参加型民主主義、党内の開かれた政治を目指すという。多くの特命チームをつくり、立案、実行することにより政治主導に持っていきたいらしい。

しかし、みんなでギャーギャー言っていても拉致は明かない。総理として、政治家としてリーダーシップを発揮しなければならないが、菅さんには唐突な方針転換もさることながら、この辺が欠けると見られている(一閣僚としての責任と、総理としての責任ではその重さが違う)。

私は先に、代表選後の民主党について「大差の勝敗なら安定、僅差では不安定か」と言う内容の記事を投稿した。今回の230ポイント差が大差かどうか一概に判断が出来ないが、「国民の生活が第一」「元気な日本復活」を標榜するのであれば、党内の権力闘争は避けるべきだ。

人事や国会運営で権力闘争を繰り広げるのであれば、政権党の座から引き下ろされる運命にある。
写真:民主党臨時大会での代表選 2010.9.14 NHKテレビより

2010年9月13日月曜日

円高、株安基調:日本の経済政策では動かないのか


政府の経済対策、日銀の金融政策では、円高、株安は動かない。米国の経済に影響されることが大きい。10日の株価は9日の米国の株高、円高一服感で買いが先行し、一時は190円高まで言ったが、終値140.78円高の9239.17円だ。

13日の午前の取引は、92円高の9331.22円、一部上場の時価総額は284.7754兆円で、2009.7.16に比べると株価水準もほぼ同じなので5兆円減ったことになる。

為替も0.26円高の84円18銭。8年ほど前は117円ぐらいで、115円を超えると介入され、金融商品の為替リスクは低いと営業は言っていた。それが政府の介入が回避されジワジワあがり、今では30円以上の円高だ。その都度日本経済への悪影響が報じられたが、必死で日本経済は対応してきた。

自民党も「政策不況」と民主党政権を批判する。政府も日銀も打つ手はなく、市場は「どちらがなっても、何も変化はないだろう」と踏んでいる。私も依然、「市場は民主党政権を舐めている」という意味の記事を投稿したことがある。

景気対策で菅さんは、9200億円の補正予算を組むと言うが、小沢さんはそれでは足りず2兆円を主張し対立している。ところが自民党は緊急経済危機対策として民主党のバラマキ予算の停止による7000億円を含め、5兆円を提案している。ここは市場にインパクトを与えるためにも思い切った政策が必要だ。

菅さんのような小出しの政策では対応できない。しかも換算は財政再建派だ。債券高、株安に為りやすい。一方小沢さんはマニフェストでの約束は守るバラマキで株高、債券安の傾向がありそうだ。

財政再建を延ばし、思い切った財政出動が必要だと主張する経済学者が多い。

為替対策も一国だけの介入ではうまく行かず、他国との協調が必要だという。自民党も日米関係を修復し協調すべきだと提案している。一国でもやってみる価値はあると思う。

これと関連するが外為特会には140兆円に上る資金がプールされている。民主党は特別会計を事業仕分けすると言うが、この外為特会をどうするか。為替介入をしないのであれば、廃止すればいい。

介入する可能性を残すのか、止めるのか。直ぐに判断を下さなければならない。

また、みんなの党の「デフレ脱却法案」も注目だろう。民主党がみんなの党と組むようなことがあると、この法案の行方も気になる。これをステップに一気に為替介入に突き進むこともあり得るだろう。

やるぞやるぞと言ってやらなかったり、遅れてやっと実施したりする経済政策では、市場は折り込みで動くために、インパクトはなく効果は期待薄である。思い切った政策を躊躇することなくやってみる強いリーダーシップが、政権には要求される。
写真:東京証券取引所 2010.9.13午前の株価

自民の緊急経済危機対策と協調を


9月に入っての政局は、民主党代表選一点張りだ。代表→総理を選ぶ選挙だから仕方ないことだが、自民党も森さんの離脱による町村派の崩壊、政治資金の減少、ポストなしでの派閥の求心力の低下など良いニュースはなかったが、ここに来て党3役を50歳代に刷新した。

これから民主党新政権との闘いに向けた新陣容であろうが、これぐらいの人材しかいないのかと首をかしげる。

ところが、自民党もこの間、何もしていなかったわけではない。政権奪還に向けて緊急経済危機対策を提言し、5野党共同で政府に申し入れている。

経済の現況を民主党の「政策不況」と言い、自民党政権時代の経済政策を凍結し、民主党のバラマキ政策が不況の一つの要因になっていると指摘している。

今問題になっている円高では、民主党政権、日銀は「必要に応じて対応する」と言い欧州と協調の検討をしているようだが、自民党は日米関係を修復し、協調すべきであるという。

金融政策では日銀が長期国債の買い取り増額、短期金利誘導目標の移送の引き下げなど思い切った政策を提言、デフレ脱却では物価目標を1.5±1%定めろと言う。

補正予算も菅さんは予備費9200億円を考えているが、小沢さんは2兆円だと主張している。しかし、自民党は民主党マニフェスト施策の執行停止7000億円の財源を含めて5兆円規模を提案している。

経済政策は、政党がそれぞれ専門家を含めて検討した結果を提案しているのだろう。自民党の言うように思い切った政策の実施が要求される。

経済活性化に向けた対策も、法人税の引き下げ、中小企業金融対策に加え切れ目なく実施し、企業の雇用や設備投資、民間消費を促そうとしている。
しかし、企業は法人税を下げろとか、規制緩和などを要求するが、企業自体も考えなければならない。モノを作っても売れないと言うが売れる商品を開発しているのか。消費が上向かないのは、購買力のある年代の消費者が退職などで減ったり、リストラで若者が失業したり、仕事に就いた者でも収入が減っている。安物しか手を出さない。

年配者はカネを持っているが、将来の医療、介護のために貯蓄する。子供手当を受けても3割が消費に廻るだけで、残りは貯蓄に廻されるという報告もある。

企業は収益確保のために国内ではリストラ,海外進出に走るのではなく、国内雇用を確保し,就業者の収入を増やすことを考えなければならない。雇用、収入が増えれば消費も上向き税収も増すはずだ。

又、税増収に向けて施策も必要だ。企業でも利益を出しながら75%の企業は税金を納めていない。税の捕捉も10:5:3と言われるように不公平である。国民背番号制が考えられているようだが、納税を完璧にするためにも是非やるべきだ。

自民党は他にも、CO2 25%という突出した削減目標、製造業への派遣禁止、最低賃金の拙速な引上げなどアンチビジネスの施策を早急に撤回せよと言う。

CO2の削減目標は、当時の鳩山さんの国際評価は上がっただろうが、IPCCのあり方にも検証が必要とされている。もっと国内での議論が必要だ。派遣禁止は若者や資格のない者にとっては就業の機会を減らしていると思う一方で、低賃金の恒久化には賛成できない。労働者の収入源は、即消費減につながる。景気は悪いと言いながら日本企業は229兆円に上る内部留保を確保している。雇用確保は企業の優先課題だ。すべてが経済を悪化させている。

5野党が申し入れているように、政治空白を1日も早く解消し、閉会中審査は勿論のこと、臨時国会の早期招集で、しっかり議論しなければならない。「ねじれ国会」は与野党での政策協調に利するはずだ。今までのような民主は「反自民」、自民は「反民主」は通用しない。
写真: 民主党の代表選で埋没気味の自民党本部

2010年9月12日日曜日

一体民主党ってどんな政党なのか

終わりに迫った代表選、「国民のためにがんばろう」と三唱し気勢を上げるが、本当に「国民のため」になっているのか。

テレビの情報番組では、各陣営の代表が出演し、提案する政策に言及している機会が増えてきた。党員・サポーターによる投票は終わっているのに、誰に訴えているのか。

街頭演説で菅さんは、「これから大改革の本丸に攻め込む」と言えば、小沢さんは「政治生命、一命をかけて約束は守る」と訴える。

政策は同じであるが、そのアプローチが異なっているようだ。小沢さんは衆院選で約束したマニフェストは守るという。菅陣営から出ている財源から見直し案も、やり方をゼロベースで組み替えれば問題ないと反論する。30兆円ぐらいの埋蔵金は確保できるらしい。

私も何度も指摘したが、どうして今まで党内や国会で議論しなかったのだ。鳩山政権の時でも提案されていなかった。一度言った政策手段も、その後小沢さんは修正しているモノもある。

菅さんが言う見直しも、1年前は良く現実問題が分からなかったときに、理想論としてあげられた政策で、その後政権を担当して現実の壁に突き当たり、見直しになった。小沢さんの言う「仕組みを変える」のも良いが、直ぐに実行に移せるのか。しっかり検討した結果でなければ、小沢さんが政権に就いた時に、野党から言行不一致で責任を追求されることになりかねない。

更に「ねじれ国会」を乗り切るためには、野党との協調も必要になるが、野党は財源からマニフェストの見直しがない限り可能性はないという。どうしても特別会計の仕分けから捻出する必要があるのだ。

この難題が山積する政治にあっては、どうしても強力な指導力、リーダーシップが求められる。そこが小沢陣営の利するところだ。直ぐに仕事が出来るのは、今のところ小沢さんしかいないという。

菅さんが世論調査で66%の支持を得ているのは、「コロコロ総理が替わるのは良くない」という消極論からだ。菅さんも「もう少しやらして欲しい」というのが本音だろう。

互いに批判しあってどうするんだ。どちらかが代表になり、総理になって挙党一致の政治がやっていけるのか。

ところが、基本的な問題であるが、民主党ってどういう政党なのか。

どういう国作りをやろうとしておるのか、綱領がない。細野さん急いで作成する必要があるという。

「政治とカネ」、普天間移設問題、発言のブレなどで責任を取り退陣した鳩山、小沢さんがここに来て復帰してきたその大儀は何か。「国民のため」と言うのでは国民をバカにしている。「政治とカネ」の問題はどうなったのか、「クリーンで開かれた政治」を目指すとすれば、小沢さんの今までの政治手法はマイナスイメージではないのか。バラマキ予算と思われているマニフェストの強行では、野党都の協調は望めない。

普天間移設問題では、「話し合いを始める」と言うだけで、小沢さんには特に案はないよう
だ。おまけに海兵隊のあり方に小沢さんは違う見解を持っている。小沢さんが総理になると、国会で問題になるだろう。

どちらが代表、総理になっても代表選で訴えた政策が、今度は国会で論議を呼びそうだ。党内、閣内不一致で不信任案提出にもなりかねない。

そうなれば、解散総選挙だ。同じことが又繰り返されるのかと思うと、何が「国民のため」なのか。

2010年9月11日土曜日

民主党に本当に政権を担当する意識があるのか


民主党員・サポーター、地方議員、国会議員35万人での代表選は、外国人にも投票を認めており、憲法に違反するが総理を決めることにもなる。

それにしても報道によると、結構幼稚な選挙だ。国会議員の支持の色分け、支持への威圧行為、囲い込み党員確認の不確かさ、投票用紙の回収法など公明正大な選挙とは縁遠い選挙だ。

「チョット待ってよ民主党。総理を選出する選挙でもあるんだぞ」と文句を言いたいほどだ。

立会演説での政策の訴えも、どうして衆院選前のマニフェスト作成時に検討しなかったのか都疑問に思う。しかも今初めて小沢さんが提案したように勘違いする程だ。菅さんにしても総理の地位を利用して繰り出す政策に、今まで何をしていたんだと言いたい。

両陣営共に、数人のスタッフが作成、練り直す政策に35万人の有権者が右往左往する。

どちらを支持するかは、最後の演説を聴いてから決めるという曖昧な態度。一瞬のだまし演説に左右されるのか。

それに時間が経つに従って、曖昧になってきた「政治とカネ」。「クリーンで開かれた政治」はどうなるのか。

菅さんを小沢さんが猛追していると言うが、何が原因なのか。政策か、指導力・リーダーシップか、ポストの約束があったのか。

「クリーンで開かれた政治」にはほど遠い選挙である。どちらが選ばれても、民主党政権を引き続き支持するかどうか、マニフェストの見直しかそのまま実施か、国民の信を問う総選挙が必要になる。
35万人に任せてはいられない。
写真:首相官邸 国民に信を問わずに居座る続ける事はできない

どんな要人でもただの人間、高尚な行いなど期待できない




期待されて政府(機関)などの要職に付いても結局はただの人間、高尚な行為など期待できないのだ。木村剛氏率いる日本振興銀行が破綻したが、その背景には初志と かけ離れた拡大路線と不正の横行があったという。

小泉、竹中時代の金融行政に颯爽と登場した。金融庁の顧問になり金融行政にも大きく関わり、中小企業向け投資に挑戦したが、如何にせん理念にかけた杜撰な経営に走った。

当時は、木村氏との経済誌で対談した経営者もいたし、新聞は時代の寵児とはやし立てた。どうしてこんな人間が要職に付けたのか不思議だったが、日銀総裁だった福井さんが竹中さんに紹介したらしい。

その福井さんも、総裁時代に村上ファンドの投資に係わっていて、大きな利益を出していたことが問題になった。野党は「契約書を提出せよ」と迫ったが、結局は曖昧なままに任期一杯勤めた。どうも広告塔として実際には出資していなかったようだ。

どんなに高い地位に就こうが、究極はただの人間で、高尚な行いなど期待できないのだ。

日本郵政でも、三井住友銀行の西川さんが請われて社長の座に就いたが、かんぽの宿など施設を破格の価格で、規制改革会議の宮内さんのオリックスの系列会社に一括売却しようとして当時の鳩山総務相がストップをかけた。西川さんは、他にも出身の三井住友銀行に利のある商行為をしていたらしい。後に解任された。

何らかの事件で明るみに出たモノであるが、疑惑が闇の中で進められているモノも多いだろう。

足尾鉱毒事件で、被害者の側に立って戦った田中正造先生は「国民監督を怠れハ治者為盗」と警告している。100年以上前の1902年8月のことだが、今も十分納得のいく警告だ。

「悪を眠らせず」と検察特捜部は息巻くが、その検察も信頼を損ねる事犯が出ている。

小沢さんの政治資金規正法違反事件は、秘書3人の起訴になったが、小沢さん自身への責任追及には至らなかった。政党解党時の政治資金、西松建設献金疑惑も関係者の証言が雑誌などで載せられるが、立件のハードルは高いらしい。その弱腰が、逆に検察捜査の質を問われている。
郵政不正にからむ村木元局長の無罪判決は、供述に頼る検察捜査が完全に否定されたことになる。

政治家や高級官僚への悪の立件は、国民に代わって監視する特捜の仕事だが、その検察事態に問題があっては治者をのさばらせるだけだ。

一刻も早く検察内部の体制を見直し、国民の期待に応えるべきである。
写真左:田中正造 100年以上前に「国民は監視を怠るな」と警告している
写真右:東京地検 「悪を眠らせぬ」姿勢には賛成、体制を整えて捜査すべきだ

2010年9月8日水曜日

民主マニフェスト論争:内輪もめで終らせてはいけない


小沢さんが執念を燃やして作成した衆院選マニフェストへの原点回帰と菅政権でのマニフェスト見直しが代表選の争点になっている。

政権交代へ向けた一大政局に向け掲げたマニフェストが、1年足らずの間に見直しを迫られる結果になったことに、小沢さんは国民を裏切ることになると言う。ここはあらゆる政策手段を使ってもムダを排除し、財源捻出に努力し国民との約束は守らなければならないという。小沢さんの主張は正論だ。

党内の代表選での勢力図を見ても、閣僚は菅支持、反菅勢力が小沢支持だ。閣僚は日々政務をこなしていると現実の課題に突き当たりマニフェストの遂行が不可能と判断することもあるだろう。一概に官僚に取り込まれたと批判するのは総計だ。

一方、小沢さん側にも、反菅だけでは許されない。党内から民主党政権に批判的なことに、政権党としての責任が感じられない。

民主党は元々、野党同志が政権を取ってみたいというグループが一緒になったようなモノで、政権党としての自負、責任が感じられない。

自民党政権を批判しながら、内実は自民党以下の政党だったことは明らかだ。

このマニフェスト論争を代表選が終了すると同時に終わらせてはいけない。次の国会での与野党の攻防の争点にもなる。民主党はしっかり政策の整合性をすべきだ。
写真:財務省 官僚の総本山をいかに使っていくか 財源捻出に強力な指導を

35万人の民主代表選で国民の信を問うことになるのか


自民党時代は安倍、福田、麻生政権、民主党になって菅、そして今度の政権と国民の信を問うことなく、1年ごとに総理が替わる異常状態が政界に続く。代表選、総裁選で選ばれた代表、総裁が即総理の座につくのだから疑問も出てくる。

コロコロ政権が変わることに、北朝鮮からは「日朝会談は、政治が安定してから」と軽く交わされ、米国では「普天間問題が進まないのは、政権が頻繁に変わるから」と担当の国務次官補が議会で愚痴る次第だ。

海外で不評を買っているばかしではない。生活を託する国民だって大変だ。人気投票では能力のある総理が選べない。

菅さんが3年間は解散しないと禁じ手を打ったのも分からない気はしない。3年間じっくり政策を推進したいと言う気持ちもあるのだろうが、「指導力なし、リーダーシップ欠如、政治主導後退」では国民は容認できない。

自民党時代コロコロ変わる政権の是非に麻生さんは「国民の負託を受けた国会議員が選ぶのだから、議院内閣制から言っても、何ら問題はない」と発言した。しかし、政権党のご都合主義で総理選出を簡略化するのは迷惑な話だ。

今回の民主党の代表選を見ると、世論は菅60,小沢20弱で菅さんの方が相応しいと考えている。小沢さんが新総理になるとすると一悶着起きるだろう。

大きな争点はマニフェストをどう忠実に実行するかにある。小沢さんは自分が作ったマニフェストへの原点回帰で、指摘されている財源不足は政治の根本的見直しで捻出出来るという。一方の菅さんは、現実問題から見直しを主張している。世論は見直し容認だ。

菅さんには、政策推進に総理としての責任がのしかかっており、用心深くなるのは当然だが、小沢さんには気楽さはある。

でも何故、衆議院選のマニフェスト作成時に、今小沢さんが掲げている政策手段を検討しなかったのか。党内で各グループの数人が、専門家の話を聞きながら作成したのだろうが、党内で十分議論されず、国会議員だって説明しにくい政策を提案し政権交代を目指したことに、国民を裏切る結果を招いている。

鳩山政権になって「政策は政府、私は党の運営」と割り切って答える小沢さんに「数とカネ」にしか興味のない小沢さんに総理の資格を疑問視する。

小沢さんの政策に対する説得力は、政治・経済の閉塞感を脱するためにもある程度の支持は出来る。

菅さんが引き続き総理の座に座るとすると、小沢さん主張の政策アプローチを再検討し、その採否を国民に説明すべきだろう。

政治改革での政治主導の後退は目に余る。「クリーンで開かれた政治」を目指す民主党はまず、党内改革もやるべきだ。自民党が政権時代は、まだ党内自制が聞いていた。しかし、民主党は「政治とカネ」でスキャンダルを抱える小沢さんの存在で自制心は薄くなっている。

菅さんは、3年間は解散しないと言うが、内閣不信任案提出などで早い時期に、国民の信を問うべきだ。
写真:国会議事堂 代表選後の国会内攻防が激しさを増す

2010年9月7日火曜日

代表選後の民主党:大差の勝敗で安定、僅差では不安定か

政治手法、政策へ向けたプロセスの異なる菅、小沢の激しい選挙戦の後の軋轢が心配される。小沢さんが勝った場合、あるいは小沢さんが僅差で敗れた場合の民主党内は非常に不安定だろう。

小沢さんが僅差で負けた場合、復権に向けて人事面でゴタゴタする。離党し民主党が整合されることが望ましいと見ていたが、民主党が政権党である以上、負けても離党はないだろう。離党し再び政権の座に就くことはほとんど不可能だから。

民主党が安定を保てるのは、菅さんが大差で勝つことだ。そうすれば小沢支持派は、しばらくは黙り込むだろう。

マニフェストの原点回帰か見直しかが大きな争点になっている。

先の衆院選でのマニフェストで、どうして小沢さんの主張する政策プロセスが検討されなかったのか。幹事長だった鳩山政権で、何故議論されなかったのか。あの時は、政策は政府の仕事と割り切る小沢さんには賛成できない。

鳩山、小沢さんが責任を取って辞任した後の菅政権で、現実問題から見直しがされると、今度は小沢さんは激しき批判し、国民との約束を守らなくてどうするんだと言う。

今回の代表選での小沢さんの政策を聞いていると、説得力もあり賛同すべき面もある。しかし、その政策に向けたプロセスは実効性のあるモノかどうか確信が持てない。

菅さんの政策は、現実問題として議論されたものであり、不安は少ないが、その効果の大きな期待は出来ない。しかし小沢さんの主張には、「やってみる価値はあるのでは」と思うこともある。

「効果の程は、余り期待できない政策」か「効果は未知数であるが、やってみる価値はありそうな政策」のどちらを選ぶかにある。

民主党員は、冷静に判断することだ。小沢さんの選挙手法に迷わされては行けない。

菅さんとの街頭演説会では、大いに熱弁を振るうが、テレビ出演では笑顔も、そろそろ限界に近いのかTBSのNEWS23クロスでは、不機嫌そうだった。「政治とカネ」の問題など質問に不愉快そうだった。

作られた選挙戦術は、直ぐほころびる。以前の民主党の代表選で菅さんと戦ったとき、「私こそ変わらなければなりません」と演説し劣勢をひっくり返したことがある。しかし、小沢さんは何ら変わらず、政治改革で良いことは言うが古い体質の政治手法をひっさげていたことが明らかになっている。

小沢さんが勝った場合、ゴタゴタは続くだろう。しかし大差で負けたときは、清く去るべきである。小沢さんがいる限りどうしてもマイナスイメージ付きまとい、「小沢vs反小沢」の構図で政界が語られやすい。

「脱小沢」が、これからの政治を変える時のポイントだ。

2010年9月6日月曜日

民主党代表選:35万人の攻防で日本を制するのは菅か、小沢か


激しい攻防が続く国会議員412人、地方議員2382人と、大きく悩んでいる党員・サポーター34万2493人による日本を制する民主党代表選が繰り広げられている。日本を制するのは菅か、小沢か。

毎日2人の論戦が伝えられるが、党員・サポーターでもない私は選び権利はない。どちらに決まっても国民に信を問うた代表ではないし、特に小沢さんは世論からも総理を否定されている政治家でもあり、早晩総選挙が必要になるが菅さんはそれを否定した。

小沢さんは、世論での劣勢を挽回せんと、普段の強面を隠して、笑顔と比較的丁寧に政策を述べている。最初の共同会見では、司会者から指名されると「はい」と答えて政策を述べていた姿には好感を抱いたが、その後、厳しい質問になると持ち前の強面、ぶっきらぼうの説明になる。笑顔の対応は本当の姿ではなく、選挙が終われば幹事長時代の会見の風景になるのだろう。

兎に角、小沢さん陣営は選挙がうまい。大阪の小沢コール等は先制攻撃を仕掛けたようなモノだ。「やらせ」と思われても不思議ではない。

政策面では、小沢さんは衆院選マニフェストの原点回帰を主張し、国民との約束を守ると実行力をアピールする。問題の財源については政策によっては十分に確保できるという姿勢を取っているが、これが不透明で現実性に欠ける。

テレビ番組で、小沢系議員が、所謂「埋蔵金のようなモノがある」と主張したのに対して、自民党の河野さんは「あるというのはストックか、フローか」と詰問するが、曖昧な答えしか返ってこない。

又、小沢さんは「予算編成での一律10%削減は、官主導で古い自民党のやり方だ」と批判し、政治が責任を持って判断すべきだという。私も民間企業で予算に係わったことがあるが、一律5,10%カットはよく使う手だ。事業毎に検討すると恣意的になり、利権の温床になりがちだ。

菅さんの話に現実味があるが、総理の座にあるから、どうしても「官僚主導」と取られやすい。プロセスではなく、結果で政治主導を判断して欲しいと逆襲するが国家戦略局構想の挫折、官僚の重用、国家公務員制度改革の変質など政治主導に疑問を投げかける政策が目立つ。
今回の代表選での小沢さん支持の理由に、「実行力、強いリーダーシップ」が挙げられている。菅さんに比べて実行力が期待できそうであるが、小沢さんには強権政治で間違った方向に走りやすい。

民主党系35万人以外は代表→総理への選挙権はない。民主党員一人一人が、しっかり熟慮し、「悪さ加減の少ない代表、総理」を選んで欲しい。
写真:民主党本部 

2010年9月4日土曜日

小沢新総理という無理筋をどうして推すのか


「このままではこの国はダメになる」と立ち上がったという小沢さん。小沢新総理という、どう考えても無理筋と思われることを推そうとする民主党。2人の会見を見ると、小沢さんは、まだ政権交代前の理想を掲げ、一方の菅さんは理想から現実へ修正している。

菅さんは「クリーンで開かれた政治」を標榜し、小沢さんの政治手法とは真っ向から対立するが、小沢さんは「政治の仕組みを変え、政治家が最終的には責任」を取る政治主導を訴え、今の政権とは相対する姿勢だ。

何故、政権交代を訴える前に、党内で良く議論しなかったのか。2人の主張の相違点はそれに尽きる。

「政治とカネの問題」や今までの政党交付金の不明瞭な処理というスキャンダルを抱えた小沢さんがどうして出馬しなければならなかったのか。

さらには、参院選での敗北の責任が問題になっているが、鳩山、小沢体制での1年間の政権の総括が出来ていない。

世論に支配され、政権がコロコロ変わる事態には決して賛成ではないが、しかし世論の80%がNOを突きつけている小沢さんが出馬すると言うことは、民意をどう考えているのか。

小沢さんは、今まで政治改革、国会改革など共感出来る政策を提言しているのは確かであるが、その実体は利権誘導の古い体質の政治である。「政治の仕組みを変える」といいながら、権力志向そのものであることに疑問が出る。

今回の代表選での2人の激突回避に向け調整されたと言うが、小沢さん側が人事に関して要求し、それを嫌った菅さん側が拒否したことは誰でも想像が付く。

多数の秘書を抱え、選挙になると肝いりの候補者に秘書をつけ、選挙運動を指南する。メデイアが「作戦は」と問いかけると「企業秘密」と言い返す場面を見るに付け、政治の歪みを垣間見る気がする。多大な資金を必要としているのだろう。

小沢系議員にとっては、小沢さんが復権し人事で優遇されたり、虎の威を借り国会内で威勢を張ることを望んでいるのだろう。
「このままでは国がダメになる」なんて考えている民主党議員が本当にどれぐらいいるのか。

国を救おうとするのであれば、どうしてもっと党内で、さらには国会内で議論しないのか。

政治家を選ぶ基本は「悪さ加減の少ないのは誰か」だ。小沢新総理という無理筋を通せば、更に政治は混乱すると思うのだが。
写真:民主党本部 政権の座にとどまる事ができるかどうか 「このままでは日本がだめになる」と思っている議員が本当にいるのか

2010年9月2日木曜日

不可解な民主党、こんな政党に政権を託せるか




代表選に向けた論戦が始まった。2人の主張点は「マニフェストで国民に約束したことは守る(小沢)」、「雇用、クリーンは政治(菅)」だろう。何ら目新しいことはなかったが、小沢さんの製sかうに対する考えが少しばかり明らかになった。デモ、小沢さんが第保湯になった場合、即総理になるか、誰かを担ぐかは不明のままだ。

会見全体では、小沢さんに説得力がある。政治主導にしても小沢さんなら出来そうである。菅さんには心許ない気がした。


今回の民主党の実力者2人による代表選は、民主党議員の心中も穏やかではないらしい。選挙で小沢さんに世話になり当選できたため、小沢さん支持に廻ったが、地元では小沢批判を浴びている。

代表選後の政権運営を考えると、菅さんが無難なように思うが、政治主導、指導力から考えると小沢さんだ。「脱小沢」で冷や飯を食った小沢系議員は復権を目指すだろうが、露骨な人事は有権者の批判を浴びることになる。

スキャンダルまみれの小沢さんが、代表、総理になったとすると、国内は勿論海外でも笑いモノだろう。「政治とカネ」の問題で、小沢さんは「1年余り、検察の捜査でも不起訴になったのだから問題はない」と主張するが、内容は検察トップの弱腰で不起訴になっただけで、疑惑が晴れたわけではない。

秘書3人が政治資金規正法違反で起訴され、政治倫理からすると出馬する資格はない。そんな小沢さんを支持する民主党議員に政治倫理があるのか。

菅さんは、世論調査で80%近い支持を得ているが、「コロコロ総理が替わるのは良くない」というのが主な理由だ。政策、指導力で支持されているわけではない。苦境に立つと立ち上がる力に乏しい。先の参院選の敗北で「小沢さんに会って謝罪したい」と言ったと言うが、その現れだ。

そして大きな争点の違いが「マニフェストを実現するか、修正するか」だ。

小沢さんは「財源は見直しで十分確保できる。政治家が責任を持つことが大事だ」と言うが、菅さんは財源不足の為に修正が必要の姿勢だ。小沢さんは、先の衆院選で政権交代を目指し、地方遊説でいろんな約束をしている。それを守る立場に立っているのだろうが、政策はPDCAで修正しながら目標を目指すことが大事で、闇雲に実行をすることには疑問がある。

しかし、民主党って不思議な政党だ。「クリーンで開かれた政治」を目指す民主党が、スキャンダルまみれの小沢さんを代表選に立てる。鳩山、小沢政権時に、内閣支持率が下落し、参院選で克己込みがないために責任を取って辞任した2人が、この大事な局面に出てきた。

こんな政党に、政権を託せるのか。
写真:記者会見の様子を報じるNHK「おはよう日本」2010.9.2より