2014年7月31日木曜日

検察審査会、原発事故で東電・旧経営陣3人を「起訴相当」:今度こそ安全注意義務の責任追及が出来るか?

31日、メデイアは一斉に東電・福島第一原発事故で東京地検が不起訴処分にした東電の旧経営陣の勝又元会長、武藤元副社長、武黒元副社長を業務上過失致死傷罪で「起訴相当」とする議決を行ったと報じた。強制起訴の可能性も出て来たが最大級の安全注意義務を議論することができるか。

専門家の間では賛否が分かれるところで、検察が一度不起訴処分にしたものを改めて起訴することは考えられないとも言う。

事故というものはチョットしたことが原因で巨大な被害をもたらす事もある。その原因も全く未知なものではなく、どこかで検討され事故防止策がとられていれば事故発生には結びつかなかったことになる例が多いのではないか。

事故が起きなければ、「あの時対策を取っていて良かった」と言う事例は公にはならないが、事故が起きてみれば「あの時対策を取っていたら」と言うことになる。

それが、この東電・福島第一原発の放射能事故ではなかろうか。

基本的な問題として、この福島第一原発事故は地震によって設備が破壊され発生したのか、それとも後続の巨大津波によって起こったものか。各種の事故調査でもはっきりしなかったが、最近の解析結果から津波による電源喪失が原因であることが分かったという。

だとすると、東電の旧経営陣はこれほどの津波が押し寄せる事態を予見していたかどうか。そして何故事故防止の対策を取らなかったかと言うことになり責任追及がされることになる。

放射能汚染事故として、避難生活や離散生活を強要され、帰宅も許されない人たち、農産物、鮮魚などの放射能汚染で生活の糧も失っている人たち、除染で発生した汚染土壌などを最終処分する土地の確保で悩んでいる現状を考えると東電・旧経営陣の「責任なし」は納得がいかない。

当然に3年前にも議論された津波対策での旧経営陣の責任問題に決着を付けなければならないのだ。

先の検察の捜査では、M9の東北地方太平洋沖地震と同規模の地震や巨大津波は専門家の間では「予見可能性はなかった」とされていたために「東電の津波対策は不十分」という結論に至らず不起訴処分となったはずだ。

ところが、02年に東電は土木学会の評価に基づき想定津波の高さを5.7mと設定したが、地震発生の3年前の08年に貞観地震や地震調査研究推進本部の見解を基に津波の規模を試算した結果、津波の遡上高さが15.7mという結果を得た(日本経済新聞 2011.8.24)。

だからその時に対策をきちんと取っていれば全電源喪失という事態は避けられ、メルトダウンと言うあってはならない放射能事故は避けられたのではないかと考えられるのだ。

それが問題になったときに東電は確か、「試算は試算、社内の公の会合ではなかった」として経営陣の関与を否定していた。

しかし、その後の事故調査委員会で、防潮堤のかさ上げが提案され、工事費は80億円と見積もられていたはずだが、当時の本社の部門にいた吉田さん(事故当時は福島第一原発の所長)が否定したらしい。事故調査の委員長は、吉田さんは英雄扱いされているが本当は事故の張本人(?)と断じていた。

今回の検察審査会は「 15.7mの津波を試算していたが、原発運転停止のリスクがあると考えて対応を避けている」、「津波は自然現象であり、いつどこで起きるかまで言い当てることは不可能、襲来を想定し対応を取る必要があった」と結論づけた(朝日新聞 DIGITAL 2014.7.31)。

当然の結果だと思う。原子力発電という危険な巨大設備を運転管理する東電にとっては世間が思う以上に事故防止に細心且つ高度の注意義務と安全配慮義務を負うべきである。

例え試算であっても、また公の会合ではなくても安全に対する疑念が出た以上は、最優先で対応すべきで80億円という工事費を惜しんで対策をしなかったとしたら原発トップ事業者として失格ではないか。

万一、3人の旧経営陣が知らなかったとしたら、それこそ東電の経営、管理体制に問題があったことになり、その責任も大きい。東電の会長は○○天皇と言われるほどのワンマンであったとすると株式会社の体をなしていない。

今後、法律で3人の「業務上過失致死傷罪」の構成要件を満たしているかどうか議論することになるのだろうが、国民の一般常識にも答えられる捜査を地検には期待したい。

菅元首相や、政府関係者は「嫌疑なし」として不起訴処分にしたのは、当然かもしれない。

佐世保の女子高生殺人事件を考える:責任の80%は家庭にあるのでは

佐世保市の女子高生殺人事件を見て思い出すのは、子どもの教育の80%は家庭、10%が学校、残り10%が社会にあると言われていたと思う。この種の事件が起きるたびに学校、教育委員会は何をやっていたかと責任を追及され、地域社会は「子どもを見守る運動」をしていたが効果がなかったのかとがっくりくる。

この佐世保市の女子高生の事件や大津市の「いじめ問題」でも同じことだが、犯罪防止など子どもの教育は家庭にあるのだ。それが家庭の問題を問わずに、批判しやすい学校、教育現場にその責任を押し付けル結果になっている。

でも学校自体の責任は全体の10%程度で、いくら対策を講じても効果は薄い。

それは、80%の責任を負っている家庭での教育を議論していないからではないか。佐世保の事件では加害者と思われる女子高生の家庭構成が週刊誌などで報じられている。何と立派な保護者ではないか。

父親は弁護士、母親は教育委員もやったという。でも母親の死、父親の再婚と加害女子高生にはたまらない家庭環境の変化があったのだろう。それが引き金となって今回の殺害事件に至ったとみられるが、「人を殺したいという欲求があった」とも言っているようで別の要因もあったのだろう。

こんな女子高生を学校はどう教育するのか。教育委員会にどう責任があるのか。

また、「声かけ」、通学路の安全監視活動をやっている地域社会がどう責任を取ろうとしているのか。

ほとんど無理な話ではないか。10%+10%の教育責任では対応は難しい。

ここはやっぱり80%の責任がある家庭の問題なのだ。この家庭内での責任を問わずしてこの種の事件の未然防止はできない。

ところが家庭内の子どもの問題になると、親が外部の言うことに聞き耳を持たず、逆に子どもを守ることに必死になり問題解決の糸口も作れないことだ。今回の佐世保の女子高生殺人事件も加害者の家族にそういう問題があったのではないか。

それと、「こんなことをやれば親、兄弟姉妹はどうなるか」ということを考えて思いとどまる思考の欠如があるのではないか。事件が起きれば家族は夜逃げ同然、バラバラになり世間の目を避けて生活するような悲惨な目にあう。

家族、兄弟姉妹、親戚は大事だからそんな事件は起こしてはならないという教育は学校でもできる。

でも、家庭問題を議論することはなかなか難しい。今回の例でも、大津市の例でも加害者(?)の母親は教育委員をやっていたという。そういう場合はなかなか意見ができないものだ。

家庭が子どもの教育に十分な責任を果たしていないところに、こう言った事件が後を絶たない要因ではないか。

まずは、学校、教育委員会を批判する前に、自分の家庭は責任を果たしていると言えるかどうかを反省してみることも大切ではないか。

本当に責任を持たなければならない家庭の問題に踏み込まずに対策の取りやすい学校、教育委員会を追及しても無駄のような気がする。








2014年7月29日火曜日

最大級の延宝房総沖地震再来襲で房総半島は10m隆起するのか


科学の扉
朝日新聞 2014.7.21
M8.34,津波高さ17mの過去最大級の延宝房総沖地震が再来襲すると房総半島では10m以上の海岸隆起が見られる。そんな危険が東北学院大、東北大の研究チームの研究から推測される。

それによると、最近の房総半島の地質調査で鴨川市から茂原市の海岸にかけて高さ10~18mの隆起段丘が見つかり、今まで4~6mの隆起を繰り返していた元禄地震や関東大震災では説明が付かないという(科学の扉 関東で起きる地震 朝日新聞2014.7.21)。

古文書や池の堆積物調査から1677年の延宝房総沖地震による海岸隆起ではないかと見られたのだ(同上)。

中央防災会議も2013年12月初めて想定に盛り込んだ。震源断層は日本海溝と伊豆・小笠原海溝を跨ぐ幅100~200km、長さ600kmで、あの東北地方太平洋沖地震にも匹敵する広域で、発生確率は30年で7%と言う。

南房総館山市の根来、西川名付近は、7200年前、5000年前、3000年前、1703年の元禄地震、1923年の関東大震災で海岸線が隆起した海岸段丘が見えることで有名だ。

1677年の延宝房総沖地震による10~18mの海岸段丘が鴨川市~茂原市にかけて見えるのではないかと言うことで28日に外房に行ってきた。

海岸線を行けばよいのだと思い、灯台の立っている岬、漁港を回ってみたがうまく行かない。

大東崎灯台から太平洋を見下ろす
この下の海岸線に行きたかったが不可能
最初、太東崎灯台に行ってみた。灯台は58mの山頂にあったが、その海岸線に行こうとしたが、NPO法人の人に「危険で無理だ」と言われた。「ここは元禄地震で沈降した。海岸線に出れば色が変わって見えるが船でしか行けない」というのだ。

NPO法人でボランティアしている人が「ここで捕れるタコは伊勢エビを食っているから非常にうまい。我々だって正月しか食えない。市場には出ないので地元でしか食えない」と教えてくれた。NPO法人「太東崎灯台クラブ」の活動資金でもなればと思って「たこカレー」を土産に買った。
大原漁港で
大原漁港によってみた。「元禄地震再来想定津波高」の標識が設置されて、「緊急時避難誘導路 高台」と表示され矢印が書いてある。道路面から1.5m位の高さだ。

漁港を回って海の方に出るとどうしてこんな地形になるのか分からないが、海岸線が隆起したようにも見える。

勝浦に入り、勝浦市役所によって総務課の防災担当に「1677年の延宝房総沖地震で10~18mの海岸段丘が出来たと言うが、どこに行けば見えるのか」と聞いてみたが、「館山市の方では海岸段丘が見えるが・・・」と分からない様子だった。

気がついたのだが、勝浦市役所は新しく、小高い高台の上に立っているように見え、市の施設も付近に整備されていた。津波対策の一環なのだろうか。

埒があかないので諦めて館山市に向かった。

館山市西川名で
1923年の関東大震災でできた海岸段丘に立つ
野島崎灯台付近、根本、西川名は今まで1923年の関東大震災、1703年の元禄地震など5回の巨大地震で隆起した段丘が確認出来る海岸線だ。新聞やネットで見ることが出来る。房総半島とともに三浦半島も隆起断層が見えることで有名だ。

この延宝房総沖地震について、1677年に地震動の小さい特異な津波地震が発生し、この再発に注意を喚起している(大地動乱の時代 石橋 岩波新書 2003.12)。

房総半島を中心に東北から愛知県までの太平洋岸で津波による災害報告が多いが、地殻変動を伴う大きな地震で、もう300年以上発生していない。

しかも想定される震源域は、2011年の東北地方太平洋沖地震で割れ残ったとみられる場所で何時割れるか危険視されている場所だ。

もし発生となると首都圏にも近く、その規模、津波高さなどから考えて、その被害は想像を絶するものとなろう。


30年以内の発生確率7%をどう考えるか。

2014年7月28日月曜日

NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層に迫る」を見て:「この論文一つが科学界を震撼」という感じ

NHKスペシャル
2014.7.27
27日午後9時からのNHKスペシャル「STAP細胞不正の深層に迫る」を見て、この論文たった1つのために日本科学界のを震撼、信頼を失墜させた悔いは大きい。何故、共著者は立ち止まるチャンスを見逃したのか。これこそSTAP細胞不正の根源ではないか。

小保方さんや笹井さんにもっと謙虚さがあったら防げた不正事件ではなかったか。

NHKだからと言うわけではないが、メデイアの報道を100%信頼することは避けた方が良いが、内容的には納得がいくものだった。

番組の中で日本の研究者が5人ほど論文を検証していた。画像を含めかなりの箇所の疑惑が指摘される。その中の1人が「こういうのあり得ない」とショックを隠せなかった。

不備だらけの実験ノートが写されていたが、実験はうまく行っていないようで、「キメラ生まれず」と記されていたが実験の記録とは言えない内容だ。

STAP細胞のアイデイアはバカンテイ教授で受精卵のような万能細胞を作ることにあったが、ハーバード大のジョージ・デイリー教授は、論文が本当なら万能細胞の研究に新しい扉を開くものと言うが、論文通りに万能細胞を作ることは出来なかったと言い、細胞が緑に光る現象を確認したと言うが、細胞が死ぬ直前に起きる現象ではないかという。

今まで専門家から指摘されていたことだ。

実験成功のポイントになるマウスとキメラマウスの「TRCの確認」も論文では「TRCの再構成を調べた」と記述しているだけで結果はどうだったかの記述がない。

九大の中山先生は、「何でこんなデータを調べないのか。何で徹底的に調べたら分かることなのに何でやらなかったのか」と疑問を呈する。他の多くのデータの一つであり、それだけで初期化出来ることを立証する論旨にはなっていないと言うのだろう。

著者達が知っているとすれば、この論文のストーリーそのものが成立しない。もう一回やってみようと言うことになるはずだと指摘する。

理研の改革委員会が指摘していたように「論文作成への真剣味が足りない」のだ。

科学誌の編集者は、自らを反省すると共に、発表される論文が、ある程度の基準に達するように少しで良いから時間を使って欲しいと苦言を呈した。

では、どうすればこのようは不正が防止できるのか。

どうして不正に走ったのか、どうすれば防止できるか。そればかり考えておかなければ不正は防止できないと言う一方で、組織の風土を替えることも必要と言う。組織に不条理な命令が有れば大きなプレッシャーとなって不正は減らないという。

今回もstap細胞不正事件の背後には理研の思惑があったはずだ。

理研で検証をやった遠藤さんは「STAP細胞は調べれば調べるほど、存在自体が分からなくなってくるようなものだ」と言っていたが、今はまさにその通りなのだ。

ただ、相変わらず竹市センター長は「99%存在しなくても、1%の可能性はある。全解析をやってから結論を出す」というのだ。実験を手がけたメンツでもあるのだろう。確か8月に中間報告が成されるはずだ。

今まで一回でも成功していれば直ぐにコメントを出すだろうが、それがないことは成功していないのだろう。

研究のあり方、不正防止に説得力のある内容ではあった。

データの大部分が不完全で、説明不十分なSTAP細胞論文一つのために日本の科学界が信用を大きく失墜させたことは本当に残念なことだ。

逆説だが、小保方さんはいろんな教訓、警鐘を鳴らしてくれた功績は大きいのではないか。自らの現状をしっかり把握し潔く出処進退を決めるべきだ。

2014年7月27日日曜日

理研のSTAP細胞不正事件の解明と改革を日本学術会議主導で

理研STAP細胞不正解明と理研改革を日本学術会議の主導に移したらどうか。今回の理研の不正事件の解明と不正防止への対応、理研改革は今後の日本科学界の信用回復に大きく影響していることは日本学術会議の声明の通りだ。

でも、今の理研の対応は小保方さんとその弁護団vs理研の様相で背後には理研自身の利権が見え隠れする。これでは公明正大さに欠け、うやむやの内に誤魔化されて収束しそうに見える。残るのは小保方さんと理研の裁判闘争だけのような気もする。

こんなことは誰も望んでいないはずだ。

そこで、不名誉な世界三大不正事件とまで言われたSTAP細胞不正事件の検証を日本の科学者の総意とし国民の意見を反映させたものとするためにも日本学術会議主導の検証、改革を進めるべきではないか。

まずはこんな結果を招いた要因を小保方、若山、笹井、竹市、丹羽さんら共著者の責任、ここまで無理な採用、実験を押し通した笹井さん等の上司としての管理責任を明確にし、それに応じて懲戒処分をすべきである。

更に、今までも改革を進めるチャンスはあったにもかかわらず見過ごしていた責任は、野依理事長、川合理事など本部の理事連中にもある。思い切って解雇すべきだ。

特に野依理事長はノーベル賞受賞者として扱いにくい面もあるが、今回の最大の責任は野依理事長にあることは誰だって分かる。日本学術会議なら思い切って辞任を勧告することも出来るはずだ。

日本学術会議は実証実験と懲戒処分は切り離して考えるべきだと言っているが、その通りだ。誰が考えても小保方さんは懲戒解雇処分だろう。そういう人間、「未熟な研究者」、「研究者の資質に欠ける」と言われた研究者に実証実験を任せていること自体、滑稽ではないか。

世界の科学界の笑いものだ。

理研は何故、STAP細胞の再現、検証に拘っているのか。小保方さんが抱える弁護団が怖いのか、存在した場合の大きな理研を失いたくないからか。
でも今は、先の利権より今の信用回復に力を入れるべきでないか。

改革委員会はCDBを解体しろという。でも利権幹部は解体を拒んでいる。どんな組織が良いのか分からないが、センター長、副センター長は懲戒処分し、公募すべきではないか。

そして今、難航しているように見えるのが保管されているSTAP細胞の資料、管理されているデータの検証だ。不正を立証するのも簡単ではなさそうだ。若山さんもマウスの出所で訂正し、小保方さんの弁護団から注目されている。

小保方さんがしっかり研究者倫理を教育され、データ管理をしっかり教育されていたらこんなことにはならなかっただろう。検証にも時間が無駄に過ぎるばかりだ。

でも、保管されている資料の是非はしっかりまとめておくべきだ。今後小保方さんとの裁判闘争も考えられるが、その資料にもなる。

身内での内々の調査、検証には限界がある。外部の研究者を入れての調査した方が実体を評価しやすいのではないか。

日本学術会議には日本の優秀な研究者が参加している。必ずや検証、改革に一役買うだろう。

そして思うのだが、理研は昔の理研コンチェルンのように研究開発成果を事業に結びつける組織に改革したらどうか。それが安倍政権の言う成長分野、成長戦略ではないのか。

文科省の天下り組織を脱却しもっとでっかいことをやったらどうか。


日本経済の力?:為替レート101円は円安か、株価15,000円は株高か

日本経済の力をどう判断するのか。為替レート101円は円安なのか、株価15,000円は株高なのか。欧米で政情不安があると安全資産として買われ円高になる。民主党政権時は70~80円台を付け、日本経済にとって理想の為替は110円と言われていた。

株価も円高と連動して、7000円台で推移したが、第2次安倍政権の円安誘導で10,000円を超え、今15,000円台になった。一時は一気に18,000円を超え20,000円を予想するエコノミストも現れたが、今はどう考えているか。

為替は101円台、株価も15,000円台を右往左往する今、アベノミクスの評価も停滞気味で安倍総理は株価のつり上げに年金基金の積立金を使おうとしているし、日銀は株価の支えにETFの買いに入って安倍政権を援護しているようだ。

経済学では為替レートで円高は、日本の経済の強さを反映するものと教えられたはずだが、長いデフレ経済から脱出出来ず、自民党、民主党政権を通じて解散・総選挙、政権交代、そして東北地方太平洋沖の巨大地震・津波災害と東京電力・福島第1原発のメルトダウンによる修復できない原発事故は政治経済に大きなマイナス効果を与えたが円高が続いた。

政権交代直前から言われていたのが、マネタリーベースの問題だ。欧米の中央銀行はリーマン・ショック後、急激に市場にカネを流したが、日銀は従来からの緩慢な増加を繰り返した。

その結果、市場での円の通貨量が少ないから当然円高になると言うのだ。円安にするには通貨量を思い切って増やすことだと自民党は民主党政権を攻撃した。民主党政権だって日銀に通貨量の増加を訴えたが当時の白川総裁はウンと言わなかった。

そこで政権交代した安倍総理は、日銀法の改正をちらつかせ白川総裁の更迭に出た。黒田新総裁によるインフレターゲットの設定、異次元の金融緩和策で円安に動き輸出産業を中心に産業界は潤った。

円安は、また株高に通じた。海外ファンドが儲け時と買いに走り、10,000円を超え、15000円台に。

一気の円安、株高に動くと思っていたが、101円台、15,000円台で市場は足踏み状態だ。
白川さんもそうだったが、黒田総裁も日銀の金融政策には限界があり、政府の成長戦略が重要になってくると主張し続けたが、第3の矢は不評で見直し成長戦略が出された。

成長分野への効率的、集中的投資、法人税下げ、公共投資、地方再生などで100兆円の予算規模になるとも言われている。景気の好調で税収増も期待出来るが赤字国債頼りの財政運営だ。

一方で政府は財政再建も日本再生の車の両輪と言って2020年を目途にプライマリー・バランスの黒字化を謳っているが不可能だ。

国民の負担増となった消費税増税を財政再建の一方策だと国際社会でも訴え、1000兆円で対GDP比200%の借金へのIMF, G20の改善要望に応える姿勢を見せた。

日本経済は長いデフレでGDPも今、480兆円だ。うまく行っていれば今は1000兆円にもなり対GDP比では100%? そうなれば海外から何も言われることはないはずなのだが、そううまくは行かない。

需給ギャップも縮まりプラスに変わり、脱デフレも目前に迫っている。

日銀の量的・質的金融緩和も今の経済状況では、年間60~70兆円のマネタリ-ベースの増加を継続するという。政策決定会合が近づくとメデイアは市場の追加緩和期待を報じるが今は、弱まっているのか。

これからの理想は、成長戦略で企業が活発になり賃上げも出来、持続的な物価上昇(2%?)に移ることだが、これがなかなか難しいとの見方がある。

2%を下回れば、実質賃金は低下、個人消費も伸びず、日本経済は停滞局面になる。欧米も2%物価目標を設定しているので日本が2%を達成出来なければ円高の可能性も出てくる。

日銀が継続している量的緩和策も問題だ。FRBは今秋にも量的金融緩和を終了する。しばらく置いて金利の引き上げをするんではないかと見られている。

一方、日銀は何時「出口」戦略に出るのか。出口戦略に出れば金利も0.6%から上昇するだろう。

どう見ても日本経済は厳しい。本来ならもっと円安に動くはずだ。

それでも円高気味なのはどうしてか。その基底には日本は債権国、アメリカは債務国があるのだろうが、アメリカは自国製品を売るためにドル安政策をとっている。

貿易、投資で為替は変動するが、市場は生き物だ。考えているようには動かない。海外ファンドが儲け口をどこに見いだすか。


2014年7月26日土曜日

黒田総裁、岩田副総裁の辞任回避狙いか:「2%物価安定目標」への日銀の強気

「2%物価安定目標」に向け、日銀は強気の読みをするが本当はどうなんだ。黒田総裁、岩田副総裁の辞任回避狙いか。民間エコノミストはほとんどが不可能とみている。同じ目の前の経済、経済指標でありながら何故、エコノミストによって見方が異なるのか。

過去の経済指標の見方、経験から将来予測を引っ張り出すのだろうが、でもこうも見方が違うと頭が痛くなる。

高名な経済学者が「何故、経済学を学んだか」と問われ、「経済学者に騙されないためだ」と答えたと言うが、その経済学者はあのケインズの高弟だった。経済学者が10人いれば10の見方があるといわれたものだ。

日銀の今の日本経済の見方は、消費税引き上げの需要の反動があるが基調的には「穏やかな回復」を続けているという。

先進国は回復している。輸出は横ばい、設備投資は緩やかに増加、公共投資は高い水準で横ばい、個人消費は駆け込みによる反動が見られ、雇用/所得は改善、物価は1%台前半であるが全体的には上昇しているとみている。

海外事情によるリスク要因はあるが、必要は時点まで「量的、質的金融緩和」を継続する姿勢だ。

でも、この日銀の政策決定会合でも金融政策運営については多数決で決まったものの全員が一致しているわけではない。表現において異論が出ている。

日銀は、2%物価安定の目標達成を目指し安定的に持続するために必要は時点まで「量的、質的金融緩和」を継続し、上下双方向のリスク要因を点検し必要な調整を行うと言う。これに対して政策委員の1人が、日銀は中長期的に2%の物価安定の目標を目指すその上で、「量的、質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置づけ、その後柔軟に見直すべきだと議案変更の提出がされた(5月20,21日政策決定会合議事要旨)。

多数決で否決されたが、この異次元の金融緩和は当初「2年間で2%の物価安定目標」を達成すると言うことだったのではないか。2年間で達成出来なければ日銀総裁、岩田副総裁は責任を取ると言うことだったと思う。

それが日銀の政策運営では「2年間」という期間が省かれているのだ。

黒田総裁、岩田副総裁は責任逃れをしようと考えているのか。2年間で2%の物価上昇が未達なら約束通り辞めるべきだ。

ただ「好ましい成長」でなければならない。好ましからざる成長は期待されていない。

7月14,15日の金融政策決定会合では日銀は2%に揺るぎがないという。

2014年 1.3%、2015年 1.9%、2016年 2.1%と見ている。でも日銀が発表する予測値は9人の「中央値」であり、たとえば2015年の1.9%は、1.0~2.1%の間なのだ。

民間エコノミストは今秋、1%を割ると見ているが黒田総裁は「その可能性はない」と否定した。

日銀の言うことを心底信用は出来ない。政府と一体になって都合の良い経済指標に誘導していくこともある。

安倍総理は、その経済政策アベノミクスの評価に株価をあげている。

ところが今、株価は15000円台前半で右往左往している。安倍総理にとっては不満だろう。株価が下落すると日銀はETE購入で介入に入り、株価は戻ることを繰り返す。

更に今まで御法度だった年金積み立て金を株価操作に投入しようとしている。どこまでバカな総理なのか。

その総理に何の抵抗もなく追随(?)する日銀に一抹の不安を感じないか。



理研改革:日本学術会議の援助と助言で日本の科学者総意の改革を目指せ

日本学術会議の声明 HPより
STAP細胞論文不正事件から再発防止が急がれる理研だが、内々の身勝手な改革ではなく、日本の科学者の総意としての改革を目指すべく日本学術会議の援助、助言を受けるべきではないか。

先に理研の川合理事がメデイアのインタビューに「改革委員会の提言を全て受け入れるわけではない」と答えていたのを見て一種の反感を覚えたが、理研は自らの失策で日本の科学界の信頼を大きく失墜させたが、その責任の重大さを未だ感じていないようだ。

25日に発表された日本学術会議の幹事会声明「STAP細胞事案に関する理化学研究所への要望と日本学術会議の見解について」をHPから開いてみた。

幹事会声明では、STAP細胞研究自体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達し、革新性を必要以上に強調し社会問題化、研究不正の深刻化は日本の科学全体の負のイメージを与えたという。

そして、STAP細胞事件の解明、対処することが出来るかどうかは今後の我が国の科学研究のあり方に大きく影響すると懸念している。

この声明では(1)野依理事長は、改革委の提言を受け実効性のあるアクションプランを具体的な実効に早急に移せという。

先の川合理事の各メデイアのインタビューでは、今年度中に全体像を明らかにすると言っていたようだが、「改革委の提言を全て受け入れるつもりはない」とも言っていた。主たる提言でもあるCDBの解体はしないというのだ。

(2)このCDB解体については声明では、若手や中堅研究者が安心して能力を発揮出来る環境を整えよという。

STAP細胞の疑惑からガバナンスの欠如など大きな問題がクローズアップされたが、まじめに研究し、社会に貢献している研究もあることを考えると解体は無理だろう。

(3)改革委の提言では、不正を防止する組織の構造的欠陥、詳細な解明に及び腰ではないかと指摘しているのだがCDB指導部に大きな過失責任があったと言う指摘は説得力があると言う。
そこで、解体についての理研の考えを示せというのだが、川合理事は解体はしないと言っていた。

(4)更に、理研は保存されている関係資料を速やかに調査し、取り下げられた論文にどれだけの不正があったのかを明らかにせよとも言う。そして認定された不正に応じて関係者を処分することがこの事案に対する関係者の責任を曖昧にしないと言う意味で重要だという。

全くその通りだ。小保方さんは「申し訳ない」の一点張り、笹井さんは「今の段階では、整合性された説明は困難」と言い、若山さんはマウスの出所が曖昧になり小保方さんの弁護団が注目しだした。

責任著者として小保方さんの責任は重大であるが、論文作成に当たって笹井さん、若山さんの責任はどうなのか。

各科学誌で不正が指摘され掲載拒否されていたにもかかわらず、何故改善もせずに相変わらず疑惑まみれの論文を投稿していたのか。その責任は誰にあるのか。

そして小保方さんを研究者として教育する責任はゼミの常田さんだろうが、その責任は。

又、小保方さんが実証事件を始めたことで、懲戒処分が先送りになり小保方さんも「ホットしている」らしいが、大西会長は会見で「実験と懲戒処分は切り分けて考えるべきだ」と話し、実験が終わる前でも小保方さんの懲戒処分について検討を進めるべきだと苦言を呈している。

「研究者の資質に欠ける」と言われている小保方さんが実験をする滑稽さ、早稲田の調査では「まともな審査体制では学位の授与は到底なかった」と言われている。疑惑まみれの研究者の実験に信頼性があるのか。

そして、最後に(5)改革委の提言では、再現実験の監視、論文検証、改革のモニタリング評価に委員会を設置し、日本学術会議の援助、助言を得ることにより改革に科学者および社会の意見を反映させることを求めている。

日本学術会議も理研が健全性を回復する行動を支援するというのだ。

川合さんは「所内で調査に協力できる人材が皆無だ」と言い、「外部の研究者の人選をしている」とも言っていた。

日本学術会議に協力を依頼したらどうなのか。

文部科学省ではなく、日本学術会議の元で理研の改革を推進する方が理にかなっているのではないか。政治家が絡んでくると可笑しな事になる。

官僚はノーベル賞受賞の野依さんには何も言えないが、日本学術会議だと「野依さん、あなたから辞任すべきだ」と言えるのではないか。

兎に角、国民の納得のいく改革であって欲しい。



2014年7月25日金曜日

NHKの小保方さん追い回し取材事件:行き過ぎた取材は「実験不調の口実」を与えるだけ

小保方さんを追い回す行き過ぎた取材による不測の事態は、小保方さん側に執拗な取材に対する「精神的ショック」、「右手の痛みが実験に支障が出る」と「実験不調の口実」を与えるだけだ。メデイアとしての取材のやり方に反省すべき点がある。小保方さんの近況とか博士論文などへの厳しい判定が下されてことへの見解を聞きたいのだろうが取材を強要してはいけない。

ZAKZAK(2014.7.24)、テレビ朝日報道ステーション(2014.7.24)で「NHKが小保方さんに謝罪」といニュースが流れた。

何のことかと思って聞くと、理研からの帰りにNHK記者やカメラマンのバイクで執拗に追いかけられ、ホテルに逃げ込んだとき、不測の事態が発生したようだ。

小保方さん側によると、首の捻挫と右肘筋挫傷で全治2週間の怪我だという。

小保方さんは「右手が痛いと実験に支障が出る。非常に悔しい」と言うし、代理人の弁護士は「まるで犯罪者扱い、精神的ショックが激しい」、「強要罪になる」とも言う。

小保方さんに取っては当然のことだろう。しかし、気をつけなければならないのは「実験不調の口実」にされることだ。

STAP細胞検証実験がうまく行かなかった場合、「精神的に不安定だった」とか「まだ、右手が痛くうまく行かない」などと弁解される恐れがあることだ。

NHKは早速代理人に謝罪したと言う。

小保方さんは、今までの理研、早稲田大の調査委員会の調査でも大きな痛手を負っている。「研究者としての資質に欠けている」のだ。

小保方さんに取っては実証実験でstap細胞の存在を示さなければならない。理研だって「やっぱり出来なかったよね」と念を押し、小保方さんに認めさせる実験でもあるのだ。

ここは静かに結果を待つしかないのではないか。


不測の事態を招いて小保方さん側の弁護団に有らぬ口実を与えるようなことがあってはいけない。

2014年7月24日木曜日

民主党は代表選で「脱じり貧」を:海江田さん 若手に嫌われて何が出来る?

民主党は代表選でじり貧からの脱出ができないか。海江田代表はなぜ、代表選を嫌がっているのか、若手議員に嫌われて何が出来るというのか。滋賀県知事選では民主党の三日月さんが当選したが、民主党が勝ったと言えないところに、今の民主党の立場が見える。

ところが、民主党6人衆のひとりと言われる岡田さんが「代表選前倒し」に言及した。民主党は尻すぼみで国民に関心がなくなっている。政策課題や党再生で議論することにより閉塞打破ができるのではないかというのだ。

ところが、海江田さんは拒否したらしい。まず今月末の「総括」を聞いてくれというのだ。1年前に誰かがやらなければと、「目に見える成果が出なければ代表をやめる」と言って立候補し代表に付いたのだから、それらしい成果を示さなければならない。

しかし、それらしい成果もなく、代表に座り続けることに若手議員が反対している。玄葉さんも動いた。

何故、海江田さんは代表選を嫌がるのか。

輿石さんらに率いられた旧社会党系議員らに支持を得ている背景と、場合によっては生活の党の小沢さんらとの合流の可能性も考えられ、党勢拡大、野党再編に期待できると言うのか。

一方で、代表選をやれば、反海江田勢力との対決になり、更なる分裂の危機にひんする。それだけは避けたいのではないか。

また、海江田さんの選挙区の事情もある。近いうちに解散・総選挙のうわさも出ているが、東京一区での海江田さんは厳しい。代表のままでも苦戦だろうが、無役になると落選が確実だ。そのためにも代表の座にしがみつきたいのだろう。

ここは、分裂覚悟で代表選を実施するべきではないか。

分裂になればなったで党もスッキリする。基本的に政策が違う保守系と革新系が同居すること自体が混乱を招き、国民の政党選択を迷わす根源でもある。

「民主党よ 分裂でスッキリした政党になれ」と言いたい。

「改革委の提言をすべて受け入れるつもりはない」:こんなことで理研の改革ができるのか

新聞報道によると、「改革委の提言をすべて受け入れるつもりはない」と理研の川合理事がインタビューに答えた。こんなことで皆が望んでいる理研の改革が本当にできるのか。歴史のある我が国有数の研究機関であると思っていた理研が、小保方さんの異例の採用から始まり、STAP細胞論文と言う疑惑だらけの論文を華々しく発表したことから多くの人たちの監視の目が張られ、次から次へと出てくる疑惑は理研という組織のガバナンス、コンプライアンスの欠陥の一気にさらけ出す結果になった。

理研は改革推進本部を設置し、外部識者も入れた改革委員会を立ち上げ、CDB解体、経営陣の辞任などを含む調査報告書も公表された。

これで理研の改革も進むかに見えたが、そうはいかないようだ。24日の読売新聞、毎日新聞WEB版に載った川合理事とのインタビュー記事を見て前途多難と感じた。

解体を提言されたCDBは残したいという。実績もあるし世界中から存続を希望されているというのだ。「改革委員会の提言をすべて受け入れるつもりはない」と言う。

チョット待った。改革委員会が「解体」を提言したのは、余りにも理研が問題意識を持っていなかったためではなかったのか。そんな考えでは改革はできないから「解体」を提言したのだ。

抵抗するのであれば、それに代わる改革案を示すべきだと思うが、川合理事は8月中に方向性を示し、年度内に全容を明らかにするという。

次々に出てくる論文の疑惑の予備調査も始めたという。改革委も要求していたことだ。最近では若山さんのマウスの出所についても疑惑が出てきた。以前に「それでも若山さんがコメントした結果には影響しない」と言っていたが本当にそうなのか。

小保方さんのSTAP細胞作製から若山さんのSTAP幹細胞作製マウス実験まで、疑惑だらけの論文と言うことになるのか。

一人の論文ではなく、複数の研究者が分担したことで責任もあいまいになり、なすりあいの結果になった。本当の責任著者がいないのだ。

そして、辞任を勧告されたトップの処分はどうなっているのか。自ら辞任したのは西川さん一人だ。竹市さんは本部と相談すると他人事のようなことを言っていた。

辞任を勧告された川合さんは、インタビューで辞任を拒否した。「理研の改革をやり遂げることが自分の責任」と言うが、誰が川合さんに改革を期待しているのか。

理研の運営に問題を抱えたままの理事が本当に改革にと取り組み新しい理研を立ち上げることができるとは思えない。川合さんがいなくなることが改革の一歩ではないのか。

野依理事長は自分の責任をどう思っているのか。ノーベル賞受賞の野依理事長に辞任を求める人間はいないだろうが、まずは野依理事長が自ら辞任することだ。

そうすれば、川合理事、竹内センター長、笹井副センター長なども辞任しなければならなくなるのではないか。

そして一番肝心な小保方さんも懲戒解雇ができるのだ。小保方さんだけ懲戒解雇では、弁護団も黙ってはいないだろう。ゴタゴタが長引く要因にもなる。

野依理事長が優柔不断だから理研の改革は進まない。

そして、小保方、若山、笹井さんで自ら自分たちの論文の再検証をすべきではないのか。理研の研究者らのアンケート調査でも実証実験より論文の検証が先と言う。

共著者と言ってもうまくいっている時の話だ。こうまでこじれてくると敵対関係にあるのだろう。

小保方さんは「反省しています」の一点張り、笹井さんは「今は、論文を整合性して論じることは困難」という意味のことを言うし、若山さんは自分のマウスの出所も疑惑が出てきた。

研究費に税金が使われていることを考えると、3人による再検証が必要と思うが、データ管理がずさんではそれも無理か。

川合さんが重要なことを言っている。調査するにも「理研内では委員になり手が皆無」というのだ。そりゃそうだろう他人の不祥事を検証しようとする研究者などいないはずだ。だから調査するにも外部の研究者の人選が必要なのだ。そうなるともっと大変になる。ただ弁護士は別だが、問題は科学なので弁護士だけではどうにもならない。。

一方、特定国家研究開発法人への指定の問題も残るだろう。しかしこのままでは理研は失格である。理研にお灸をすえるためにも除くべきである。野依理事長では文部科学相や科学担当相の考えに左右され、当初は否定していた小保方さんを検証実験に参加させた。

それによって、理研の改革、関係者への処分が先送りになった事は否めない。

理研としては、STAP細胞が存在していたことでの大きな利権に目が行き優柔不断な運営をしているが、ここは信用を回復することが最大の課題ではないのか。

そのための改革を急ぐべきだ。今年度内に改革の道筋を示すでは悠長すぎないか。






2014年7月23日水曜日

どうなるベネッセ顧客情報流出事故:調査委員長は、早稲田大・調査委員長だった小林弁護士?

どこまで広がるのか、ベネッセの顧客情報流出事故。当初原田会長兼社長が否定していたクレジットカード情報まで含まれるということになると最悪の事態までなりそうだ。また、朝日新聞(2014.7.23)のベネッセ関連記事の写真を見て驚いた。ベネッセの事故調査委員長は、あの早稲田大学博士論文調査委員会の委員長だった小林弁護士ではないか。

あの早稲田大学の調査委員会では、結論が「早稲田寄り」と批判されていたが、今度も「ベネッセ寄り」の調査になるのか。ベネッセからの依頼だから当然だろうが、今回の流出事故はベネッセが加害者で通信教育などを受けていた子どもたち、親たちが被害者だ。

ベネッセからの顧客情報流出の不安はとどまるところを知らない状況になってきた。流出件数も2070万件から2300万件と件数の推定もできないほどだ。

ベネッセの対応が後手に回っていることに批判が集中しているが、企業はできるだけ被害を小さく見せたいものだ。だから誰でも想定できるクレジットカード情報まで含まれる危険をベネッセは否定していた。

だから、そこまで被害が及ぶ可能性に言及した時に、企業の危機管理の不手際が鮮明になってきた。おそらくベネッセ内では当然のことながら想定はしていたはずだ。

私の孫もベネッセの通信教育を受けている。おそらく申込用紙には家族構成、生年月日などが含まれているはずだ。子どもの情報は今後数10年にわたって貴重な情報を与えてくれる。どこの企業でもほしい情報だ。

それに支払いでクレジットカードの情報も含まれると、悪徳業者に渡れば詐欺事件にもかかわってくる。クレジットカードの支払い情報をしっかり監視しなければならない。

今ネットで何かを申し込もうとすると、いろんな情報を記入しなければならない。必須項目には*印が付いている。わざと避けると何回の画面が戻り進まない。

個人情報漏れを心配する人はやらないのだろうが、それでは今の時代にやってはいけないのだ。

アマゾンでもクレジット支払いしか認めない企業もあるし、それ以外では手数料を取られたり、送料が有料になったりする。クレジット支払いをした時には支払い情報をしっかりチェックしなければならない。

しかし、このベネッセの流出事故はどう展開するのだろうか。ベネッセは賠償に200億円を予定していると言ったり、1人500円と言う説もある。

場合によっては経営が危なくなる事態にもなる。優良企業から一転危ない企業になる。

ところで、今ベネッセではタブレット端末を教材に使っている。子どもは遊び感覚で勉強している(?)感じだが、母親に「勉強は紙と鉛筆でやるべきだ」と言ったら、母親が「今度端末タブレットにしたがダメなので変えようと思う」と言う。

これも経営の合理化なのだろうが、紙と鉛筆による勉強も大事にしなければならない。



2014年7月22日火曜日

早稲田大・小保方博士論文調査委員会:弁護士が委員長だから調査は中立と考えるのは間違い

何か不祥事が起きると調査委員会を立ち上げ原因究明をするが、弁護士が参加したり、委員長だから調査は中立と考えるのは間違っている。小保方さんの早稲田大博士論文疑惑で調査委員長に弁護士、STAP細胞不正事件で理研の調査委員会は弁護士も加わり後に委員長を弁護士が担当した。

しかし、いずれの調査委員会も「早稲田、理研寄り」の調査結果で評判がよくない。むしろ疑惑を助長する結果になっている。

弁護士が調査するのだから、結果は中立で正しい内容だろと誤解することから疑惑が広がるのだ。

先の早稲田大・調査委員会も小保方さんを「データの管理の杜撰さ、注意力の欠如、論文作成への真剣味に欠ける」と指摘、審査体制にも疑問を呈し、まともな審査だったら学位授与はなかっただろうとこき下ろした。小保方さんに学位を授与する資格はないとまでいった。

著作権侵害など数々の疑惑が指摘されていたが、それでも早稲田大の学位取消規定には反せず、「取消の必要なし」と判断を下した。

今回の調査委員会に何故、小林さんが弁護士として加わったのか分からなかったが、読売新聞(2014.7.22)で、早稲田大からの指名だったという。そして5人の委員中で2人は早稲田の教員だという。

弁護士も生活の糧には、仕事の声がかからなければやっていけない。そして依頼者の期待にこたえるには、今回のように審査法や小保方さんに問題があったが「授与してしまった学位はしかたない」ということになるのだろう。苦渋の選択だったかもしれない。

実験はやった形跡もあるらしい。論文も草稿版から完成版に変えられたいうが、その経過も疑問は残る。うがった見方をすれば、適当な論文を書いた後で修正すれば学位をもらえるというのか。

こんなに多くの不正(?)、不備が指摘されるのに、早稲田大の博士号に値する論文なのか。

審査体制も確かにおかしい。理研のSTAP細胞不正事件でも名に上がった大和、バカンテイ教授の名前がある。バカンテイさんは一説によると、論文を読んでいないというし、調査委員会の聴取も受けていないという。

ゼミの先生が論文を書けというときは、必ず学位をもらえるものと思っているし、どこもそうなんだろう。

それにしても、私たちの期待を裏切る早稲田の博士論文、学位授与に間違いない。

弁護士の調査委員長は、指名されたし、早稲田のためならいろいろ不備はあったが「取り下げの必要なし」で早稲田大の体面を最小限保ったと言うことになるのだろう。

しかし、これが大きな間違いだった。

「取り下げの有無」は調査委員会ではなく、鎌田総長が言うように「大学の問題」なのだ。

これで、大学も窮地に立つのではないか。

大学が「取り下げ」を下すと、調査委員会との判断に違いを追及されるだろう。小保方さんは好むと好まざるとに関係なしに「恥をさらす」ことになる。

反対に調査委員会の判断通り「取り下げなし」となると、学内で大きな異論がおきるだろう。総長選も近いというが、「取り下げなし」の判定を出した候補者は不利ではないか。

早稲田の大学院生に問うてみたらどうか。「このような博士論文で早稲田が学位授与したことをどう思うか」と。小保方さんの弁護団は「集団リンチ」とでもいうのだろうか。

そして、小保方さんの博士論文を審査した人達はどう責任をとるのか。体調不良で、またまた入院患者が出るのか。本当に自信があるのならこんなことにならないはずだ。正々堂々と自分たちの考えを主張すべきだ。

弁護士が調査委員会に参加しているからと言って、その結果を信じてはいけないのだ。













2014年7月18日金曜日

小保方博士論文不正事件:失地回復へ早稲田も理研も厳正な対応を示せ

STAP細胞の原点ともいえる小保方さんの早稲田大学の博士論文も「取消には該当せず」といえども、厳しい判断が下された。素人には「それでも取り消しなしか」と疑問が高じる。早稲田大の総長も「委員会の報告を十分に尊重しながら大学として対応を決めていく」とコメントしたが、早稲田大も大きく信用を失墜させる結果になった。

理研も、早稲田大も相当厳しい対応をしなければ、この小保方論文不正事件で失った信用は回復できない。

早稲田は総長選にも影響しそうだという記事を見たことがあるが、「教育の在り方」が争点になる総長選になるのか。小保方さんの博士論文を取り消さなければ致命傷になる事態も考えられる。

理研のSTAP細胞論文不正が報じられた時、「どうしてこんなことが起きるのか」と不審に思ったものだが、今回の早稲田大の調査委員会の調査結果で納得がいった。

小保方さん自身が研究者としての資質を欠いていたのだ。

報道によると、調査委員会は小保方さんについて「データ管理のずさんさ、注意力の不足、論文作製への真剣味の欠如」を指摘している。

盗用、実験ノートのお粗末さ、間違っていれば訂正することで問題ないとする考え、博士論文でも草稿版を提出してしまった軽率さは早稲田でも理研でも共通して言えることだ。

調査では、11か所の著作権侵害、15か所の形式上の不備を挙げて、「多数の問題個所、信ぴょう性、妥当性が著しく低い」と言い、審査体制に重大な欠陥がなければ学位を授与されることには到底至らなかった」という。

それでも「学位取消には該当せず」と言うのはチョットおかしくないか。まともに審査していればNOなのだが、授与されてしまった。

朝日新聞(2014.7.18)によると、審査したのは常田、武岡、大和、バカンテイの4人だという。理研のSTAP細胞不正事件でも名前が挙がっていた人もいる。

仲間内の審査ではないか。だから、審査した教授たちの責任も重大だという。常田教授は朝日新聞の取材に「責任問題が今後審議されるので、今はコメントできない」と言った(朝日新聞2014.7.18)。

博士論文は、指導教官が提出しろと言うと必ず通ることは分かっている。その程度の論文だろうが、今回の小保方さんの論文は理研のSTAP細胞論文として華やかな発表となったために逆に注目された。

理研も早稲田も小保方さんと言う若き研究者の作為で完全に信用をなくしてしまった。「早稲田の博士号はこの程度か」、「理研の論文もこの程度か」と世界中の研究者が見ているとすると、他の真面目な研究者には気の毒でならない。

総合科学技術イノベーション会議でも、研究開発法人の評価項目に不正防止策の強化、管理責任の明確化、厳正な対応が評価指針に加わるという。

明らかに小保方STAP細胞不正事件の反省に立っているが、これからしても特定法人への指定では理研は失格である。改革も野依理事長では無理だろう。力があれば既にやっているはずだ。

組織の前向きな解体、野依理事長はじめトップの更迭が理研には要求される。

一方、早稲田大は、調査委員会が「取消に該当せず」と言ったが、誰が考えてもおかしい判断だ。早稲田の体面を考えてのことだろうが、早稲田は自ら「論文取り下げ」、論文審査員の降格など厳しい処分で失地回復を図るべきではないか。

小保方さんもこれだけのことが言われているのだ。研究者としての生命はないのではないか。潔く身を引くべきだと思うのだが。

理研も文科省も、万一STAP細胞が存在した場合の巨大な利権の事を考えて、優柔不断な対応をしているのだろうが、ここは信用回復に力点を置くべきではないか。

STAP細胞の存在を証明して失地回復するか、STAP細胞は一旦諦めて信用回復に努めるか。理研も早稲田も難しい選択だが、一日も早く信用回復に努めるのが筋ではないか。




2014年7月17日木曜日

川内原発・1,2号機再稼働へ一歩:新基準合格でも安全とは言わないのだ

3年停止状態だった川内原発1,2号機の再稼働に向けて規制委員会は「新基準合格」とするも、安全とは言わないのだ。原発地下には活断層はなさそうだし、津波対策だって高所に立地するために小規模な対策で済むことが他の原発に先んじて合格判定したのだろう。

テレビ朝日 報道ステーション
2014.7.16
しかし、これで決して「安全だ」と田中規制委員長が言ったわけではないのだ。

特に今まで論じてこなかった火山噴火による降灰、火砕流被害は「噴火は予知できる」という見解を取っており専門家と考えが異なるし、避難計画では自治体と住民の見解が違っている。

更に振り返って東電・福島第一原発事故を考えたとき、巨大津波による要因が大きく報道されているが巨大地震による設備に被害はなかったのか。未だ根本的なところで疑問が残っているのだ。

今回の川内原発については、基本的に新規制基準に照らして合格というのだ。

原発地下には活断層がないと言うが、近くには断層とか破砕帯が見受けられるのだが、地震や津波の想定について九電の評価を了承した形だ。

津波対策では、元々高所に立地しているために特段の津波対策は必要としていない。南海トラフ巨大地震でも宮崎県の串間市では17mと予測されているが、反対側この辺では3m程度か。

冷却ポンプ車、電源車は1300億円かけて配備すると言うし、フィルターベントは5年間の猶予、免震重要棟は2015年の設置予定だ。福島第一原発事故では重要視された施設も猶予されている。

そして、審査の対象にはなっていないが、避難計画は自治体と地元住民の間で考え方の違いが大きい。5km圏内の5000人は避難、5~30km圏内の21万人は、まず屋内避難とされているが住民は「密閉された部屋がない」と不安がる。

特別老人ホームなどは孤立化が懸念されている。10km圏内は県が作製すると言うが、10~30km圏内は自分で避難計画を作れというのだ。避難経路も万一の時は危険で、しかも鹿児島市内までは50kmもある。施設毎の計画作成は無理な状況だ。
しかし、なんと言ってもこの辺で心配なのは、桜島、阿蘇山の噴火だろう。

姶良カルデラのようなカルデラ噴火は十万年も起きていない。そろそろ何かの前兆があっても不思議ではないと言う(東大地震研究所噴火予知研究センター 中田教授)。

しかも川内原発、玄海原発の付近には火砕流堆積物も見つかっている。姶良カルデラ噴火の火砕流が川内原発に到達した可能性もあるのだ(毎日新聞2014.6.26)。

新規制基準では原発の半径160km以内に火山の火砕流や火山灰が到達する可能性を調べ、対応できないと判断されれば「立地不適」で廃炉になる。

火砕流の到達の可能性と九電は火山灰も15cm積もると想定して対応を考えているようだが、代替電源の確保、物資、作業員の確保などほとんど不可能ではないのか。

それでも合格したというのは、「噴火は前兆がつかめる」ことを前提に対応が可能と見ているのだろうが、火山噴火予知の専門家は、「火山噴火の中長期の予知は出来ない」と断言している。

規制委員会の見解は非常に楽天的なのだ。

GPSによる地殻変動で火山噴火、地震発生が予知できる可能性も出ているが、東大名誉教授の村井さんは2013年7月、川内原発近くで地殻変動が観測され、年末までにM6クラスの地震発生を予測したが的中はしなかった。

的中しなかったからダメというのではなく、地震予知が不可能に近いのだ。ところが7月12日の福島県沖地震M6.8をHazard Labが的中(?)させている。どんな技術で予測したか分からない。

例え的中しなかったとしても批判してはいけない。

川内原発の規制委の「規制基準に適合」の審査書案は、政界を始め、産業界、地元に大きな期待を持って迎えられたが、一方で近辺住民などの不安は積もるばかりだ。

東電は、リーデイングカンパニーとしての驕りが、安全軽視の原発電力供給業務となった。

田中規制委員長は、川内原発の安全性を「世界最高レベル」と評価した。それでも「安全とは言わない」というのだ。

一つ一つの設備は安全基準に合格したが、立地も含めた川内原発システム全体では「安全とは言いがたい」のか。 


川内原発周辺の火山、活断層
1914年には桜島の大正大噴火で1ヶ月に分かって爆発を
繰り返した。九州から東北にかけて広い範囲で降灰を観測。
1997年には鹿児島県北西部地震でM6.5が発生した
SAPIO 2014.4