2013年12月28日土曜日

日本国憲法:改正して日本をどうしようというのか

本当に日本国憲法の改正が必要なのか。改正して日本をどうしようというのか。初詣では家族の健康・安全、家業の反映、景気回復などとともに平和を願うだろう。そこで一度、現憲法改正の必要性を考えてみる機会ではなかろうか。現憲法の成立過程も分からないままに連合国のお仕着せ憲法と批判していないか。何故、今改正が必要と言われているのか。

現憲法は96条(改正手続き)に各議院の総議員の2/3以上の賛成で発議し、国民投票にかけて承認を得ることになっているように2重に改正のしにくい硬性憲法である。

発議が2/3以上の賛成では難しいので1/2以上に緩和したらどうかの考えがある。でも96条で96条を改正することは出来ないという憲法学者もいる。詰まるところ現憲法は改正などを予定していないのだ。

ところが、為政者にとっては政策を推進するに当たって、自衛隊の存在、集団的自衛権の問題など現憲法の規定では都合が悪いのだ。解釈見直しで法制局長官に生え抜きではない外務省官僚を据えたが、その新長官も国会審議で集団的自衛権について野党議員から質問を受けたが、政府の解釈が憲法に合致しているかどうかを判断するのであって、我々のような裏方が脚光を浴びるようなことがあってはならないと記者の取り囲み会見で発言していた。全くその通りだと思った。

そこで自民党の憲法草案を読んだことがあるが、何かしっくりこないのだ。憲法改正よりも新憲法制定のようで、革命でも起きてガラッと変えたという感じだ。

憲法を論じるときに、もう一つ大事なことは現憲法草案策定の過程をしっかり知ることではないか。

その辺の説明がされないままに、連合国のお仕着せ憲法と批判している。

私が読んだ憲法学者の話では、連合国が当初日本政府に草案作成を指示し、2つの系統で審議され、どちらかの系統の案が草案として提出されたが、連合国はこの草案では民主政治にほど遠いと言うことで、連合国が草案を作成に日本側に渡された。

日本側も各種検討したようだ。日本側の修正案も採用あれ現日本国憲法がまとまったというのだ。決して言われているようなお仕着せ憲法ではないのだ。

憲法改正というと第9条が問題に上がる。そして周辺国が警戒する。

この辺について、面白い話が紹介されている。

宇沢弘文先生の「経済学は人びとを幸せに出来るか(東洋経済新報社2013.12.7)」を読んでいたら、「マッカーサーと憲法9条」の項目が目に止まった。

それによると、上・下院合同の委員会での証言で「幣原首相があるとき、総司令部を訪ねてきて、日本は平和国家として国際社会の中でこれから存続するためには、軍隊を持ってはいけない。・・・・・日本の新法に日本は軍備を一切持たないという条項を入れてほしい」と言った。だからマッカーサーは日本の憲法に第9条をいれたのだと言うのだ。

これは、マッカーサーがある事件で批判されていたときの証言なので、マッカーサーの立場を誇張して言ったことかもしれず、真意の程は分からない。

しかし、こういった現憲法草案過程をしっかり国民に説明して、現憲法改正の是非を論じるべきではないか。それがまた、海外の警戒感を払拭することにもならないだろうか。

新年にあたり現憲法を考えてみることも大切だ。


2013年12月27日金曜日

安倍首相・靖国参拝:お互いに不幸な事態を回避できないのか

26日急遽決断したような安倍総理の靖国神社参拝だが、当然のように中韓は激しく反発した。こじれている対中、対韓を更に悪化させる懸念があり、反対する意見も多かったようだが、「痛恨の極み」を解消すべく参拝を決行した。

「今の我が国の平和と繁栄は、先の戦争での尊い犠牲の上に成り立っており、心から敬意と感謝の念を持ち参拝、今後の平和と不戦を誓った」と安倍総理は談話を発表するが、中国、韓国はA級戦犯を崇拝すると批判する。

戦争で犠牲になった人たちに感謝するのは当然のことと思うが、一国のリーダーで、私たちの代表として参拝することがまずいのか。

平素は終戦記念日などに参拝しないが、総理大臣という肩書きが付くと参拝するのでは、確かに中韓を刺激することにもなるだろう。普段も参拝していて総理になっても変わらず参拝することとは事情が違うだろう。

しかし、中国も韓国も大人げないのではないか。国内問題のはけ口を日本たたきで回避しようなんて間違っている。

今までの対中、対韓を考えると、安倍総理が靖国参拝をしようがしまいが変わらないだろうという見方も出来る。安倍総理に何か策があっての決行だったのだろうか。ただの「痛恨の極み」を解消するための決行だったのであれば一国のリーダーとしてお粗末すぎないか。

特に今回は米国も懸念を表明している。

お互いに信頼関係が築けない状況では何をやっても効果は無い。韓国軍に銃弾1万発貸与問題も「感謝される」一方で、「返却する」という韓国側の考えがニュースで流れた。本当はどうなんだと言いたい。

中曽根、大平、橋本、小泉さんなど歴代多くの総理が靖国参拝をやっているが、当時と今では国際情勢は変わってきている。今の時点では外交上障害となることは極力控えた方が良いのではないか。日本の総理が我慢しても事態が急変することなど期待出来ないが。


2013年12月26日木曜日

安倍政権の1年:忘れてしまったのか「国民目線」、旧態依然の自民党へ回帰

忘れてしまったのか「国民目線」、安倍政権の1年は先の総選挙で長い野党生活から「自民党は変わった。国民目線の政策」を進めると訴えたはずだが、衆議院に続き参議院でも大量議席の確保による「ねじれ国会」解消で、初心を忘れ旧態依然とした自民党の性格を丸出しにしたのではなかろうか。

安倍総理の政治信条は「憲法改正」、「歴史認識」にあると言われている。先の第1次安倍政権では国民投票法を成立させ、更に憲法改正に向け突き進むのかと思ったし、河野談話見直しなど歴史認識にも踏み込んだ発言をしていたが何故か封印した。タカ派と見られることを嫌ったのだろう。

今(2611時)、安倍総理が総理1年目を迎え、在職中に念願の靖国神社に参拝するというニュースが流れた。韓国、中国がどう反応するかだろう。

経済政策では、リフレ派と組したインフレターゲット、思い切った金融政策は日銀総裁をも更迭し市場の期待感に応えた。アベノミクスが一定の効果を上げようとしている。さらには成長戦略、家計への儲けの分配のため企業へ賃上げも要求している。その見返りに企業へ優遇策を与えてもいる。

消費税増税はリフレ派の内閣参与がこぞって延期を主張していたにもかかわらず増税へ決断した。学識経験者の意見を聞いたが、ほとんどが賛成意見だったことも影響したのだろう。

しかし無理もあった。家計圧迫は庶民いじめと映り内閣支持率の下落が始まったが、景気腰折れ対策として法人税減税など企業優遇策をこれでもかこれでもかと打ち出してきた。消費税増税3%の内2%分が景気対策に当てられたほどだ。

それほど景気の腰折れが心配なら、消費税増税は遅らせるべきではなかったのか。無理を押し通そうとするから政策の整合性にも無理がかかってくる。

国会終盤の特定秘密保護法案の国会審議、採決は頂けない。旧態依然とした自民党体質を目の当たりにした。

「私が、もう少し説明すれば良かった」と記者会見で反省していたが、こんな重要法案を担当大臣、官房長官に任せっきりにしたのか。「アメリカから要求されている」とも説明していたが、学識経験者、文化人、メデイアのほとんどが反対する法案をごり押ししたことは支持率に大きく影響するだろう。

2014年度予算案も、国土強靱化に名を借りた公共事業の大判振る舞い、診療報酬改定などで族議員の顕在化、利権争いの様相を呈した。財政再建も目指すと言うが消費税増税だけが対応策では心許ない。

安倍政権は、もう一度思い出す必要がある。何故4年前に下野する羽目になったか。

国民は自民党の長期政権に飽き飽きしていた。政官癒着も目を覆うばかりで年金不祥事は野党から攻撃される的だったし、政権交代へ大きく影響したはずだ。「ここらで変えてみよう」「自民党にお灸を」と言うことになった。

「一度下野して考え直せ」が有権者の気持ちだったのだ。

ところが、民主党政権の不甲斐なさに自民党復権が早まった。先の衆院選で大量議席を確保、参院選でも勝利し、「ねじれ国会」を解消させた。やろうと思えば何でも出来る環境は整った。

アメリカが「ねじれ国会」で債務上限問題がこじれ、政府機関一時閉鎖になったことでオバマ政権を「弱い政権」、一方日本の安倍政権を「強い政権」とメデイアは評したほどだ。

2年目に入り安倍政権はどういう舵取りをするのか。

4月からの消費税増税は安倍政権にとっては試練だろう。岩盤規制緩和を強力に進め成長戦略を実効性のある内容に持って行けるか、企業の賃上げが成功するかどうか。


すでに内閣支持率は50%スレスレだ。政策は人気投票であってはならないが、政権運営には細心の注意が必要だ。言論へも口出ししている。NHKの偏向放送批判でNHK会長が更迭される。野党がだらしない現在、国民の監視が重要になる。

2013年12月25日水曜日

2014年度・政府予算案95兆9千億円:これで生活安心感から消費が伸びるのか

2014年度の政府予算案95兆9千億円が閣議決定したが、国民はこれで安心して消費が伸びるのだろうか。新聞報道を見ると、不安だけが募る予算案なのだ。消費税増税を見込んで予算は軒並み増額で過去最高の95兆9千億円、すべてが家計の負担になるのだ。

財政再建も必要な時に、歳出抑制には疑問が付く。朝日新聞(2013.12.25)は、規律なき歳出膨張と言う。

緊縮財政は景気の腰折れを招くおそれもあるし、念願の「デフレ脱却」も遠のく.のを回避したいのは当然だろう。

国土強靭化で公共事業6兆円を計上、自民党族議員は防災対策を放置していていいのかという。安倍総理が力を入れている安全保障対策に4兆9000億円、2年連続の増額になる。

社会保障費は、高齢化で年間6000億円の自然増で30兆円の台代に乗るが、給付にかかわる費用も年間3兆円に達するまでになった。

新たな借金になる国債発行は41兆円で6年続けて40兆円超だ。

積もり積もった借金は1000兆円を超え、国民1人当たり800万円だ。しかしここのところはしっかり議論する必要がある。財務省は増税したいために借金の多さを強調するが、資産もその半分ほどあり決して心配する金額ではないという学識者もいる。

時の政権は、国家財政の姿をしっかり説明することなく、財務省の言いなりになっていないか。

民主党政権時は財務相経験者が総理の座にあって財政規律も重視する傾向にあったが、自民党・安倍政権になってアベノミクス推進で財務省より経済産業省重視の姿勢に変わった。

一方、消費税増税で家計負担は増え、社会保険料、利用料の負担増、年金の減額では、将来の安心など感じるはずがない。

安倍政権の予算は、頭の中で容易に整理できない増税として国民の家計負担となって迫ってくる。その実態が分かった時こそ、内閣支持率の下落、自民党内閣の瓦解が始まる。

旧態依然とした自民党政権に監視の目を厳しくすべきだ。


総理と食事をする目的?:自民党補完か、それでも野党再編ができるのか

総理大臣が誰と飯を食べようが知ったことではないが、政局がきな臭くなってきたときに、与野党問わず総理と会食する議員が出てくる。何を話しているのか想像はできるが、結果的に政策で自民党補完を目指し党や自らの存在価値を示そうとするのであろうか、それでも野党再編ができるのか。

みんなの党の渡辺さんは、特定秘密保護法案が自民党単独のごり押し状況になった時、安倍総理と会食し合意を取り交わし法案賛成に回った結果、自民党補完政党の体をなしてきた。当然のことで野党再編を目指す江田さんのグループは反対し、「みんなの党は変わった」と離党する羽目になった。

日本維新の会も党内は対立状態だ。橋下さんが総理と会食し、今後の政策などで話し合ったというが、23日の役員会では「結いの党」との距離感で大きな差が分かった。石原さんは憲法観で食い違うと言えば、橋下さんは憲法観では石原さんと自分でも違っていると応じたらしい。

橋下さんは結いの党との合流を目指しているが、石原さんは拒否しているようで、大阪vs東京の構図になっている。

野党は、自民党の補完政党で生き残りをかけるのか、それとも野党再編に向かうのか。

結いの党は政策協議をし、その政策に他の野党が乗ることができるかどうかだ。憲法改正にどう対応していくか。日本の根幹をなす政策への対応は各政党、各議員で違っているだろう。

民主党は民主党を軸とした再編を目指しているらしい。でも民主党政権での失態は回復のしようがない痛手だった。

結局は、日本維新の会は大阪維新の会と旧太陽の党で分裂、民主党も細野さんのグループが離党ということになるのか。

見渡して見ても、自民党に代わり政権を担当できる政党ができるとは思えない。行き着くところは主導権争いなのだ。国民のためではなく、自分にどう利するかが国会議員の判断基準である限り野党再編も覚束ない。

自民党だって、今は安倍総理で一枚岩のようだが、来年4月の消費税増税で一段と支持率が下落するだろう。そうなると今まで黙ってついてきていた議員が反旗を翻すことにもなりかねない。

自民党も総裁選での選出基準を変更し、党員も国会議員と同じ1票にするようだ。そうすると石破さんが党員選挙でトップになりながら、国会議員だけの選挙で安倍さんに持って行かれたような結果は避けることができるらしい。何かが変わろうとしている。

でも、政権交代可能な野党再編が実現するのだろうか。総理と会食するのもいいが、私たちが判断を迷うような行動は控えたほうがいいのではないか。










2013年12月22日日曜日

みんなの党の内紛に見る議員、政党のあり方

政党ブロックか、野党再編か揉めたみんなの党の内紛が収まらない。議員、政党のあり方も問われているのではないか。国会議員は全国民の代表であり、国会で自由に活動できる立場でなければならないし、同じ考え方の議員がグループを作り目標を達成する活動をするのも当然だ。

しかし、その過程で考えが変わったときは、支持者への説明は不可欠であるが、グループを離脱することも自由でなければならない。

みんなの党も結党時は自民党に対する野党の立場であり、先の衆院選では橋下共同代表の慰安婦問題で協同関係を解消したが維新の会とも良好な関係にあった。

ところが野党再編の問題になると、解党して野党結集を試みる江田さんに対して、渡辺さんは解党せずに政党ブロック制を唱え根本的に考えが違った。

そして、特定秘密保護法案では自民党と手を組んで合意文書を取り交わし自民党補完政党に成り下がった。渡辺さんは安倍総理と会食したことを党内での主導権を強化する武器にもした。

渡辺さんの考えは「自民党渡辺派」として政治活動を続けることにあったらしい。これに自民党に対抗できる野党構想を持つみんなの党の議員は反発したのは当然だろう。

15人が離脱して「結いの党」を結成したが、14人はみんなの党の比例議員であったために、議員を辞職して議席を戻せと渡辺さんはいう。

でも考えてみよう。先の衆院選ではみんなの党は野党的立場で戦い、それなりの票と議席を得た。しかし今はみんなの党は変質してしまって野党のかけらもなさそうだ。国民が信を与えた政党とは内容が違ってきているのだ。寧ろ渡辺さん側がみんなの党を離党すべきなのだ。

議席を返せという論法が勝手で無謀ではないか。

更に、数億円のカネが減ることも渡辺さんが会派離脱を認めない理由でもあるようだ。

メデイアの報道によると、渡辺さんにとっては「みんな」の党より「オレ」の党との考えが強く、政党助成金の使い方、党運営も不明朗だという。政党助成金は我々の税金から拠出されている。議員が自由に活動できるために使うべきであって個人的判断で適当に使われては困ったものだ。

行政改革で名を馳せた渡辺さんだったが、野党再編は勿論のこと、政党ブロック制で渡辺さんを軸に集まる政党があるのか。

渡辺さんは速やかに14人の離脱を認めるべきである。このまま行くとみんなの党も解体の運命にあり渡辺さん一人の党になってしまうのではないか。今、残っている議員も役職などが付いて利権があるために残っているのではないか。

我々の選んだ国会議員は自らの考えで行動する自由があり、政党の代表の考えで制限することは避けるべきである。


東京都知事選:政党の人気・知名度重視、メデイアの安易な報道に迷わされるな

東京都知事選候補での政党の人気・知名度重視、メデイアの安易な報道に迷わされず、しっかりした人材を選ぼうではないか。こういう風潮にしたのは他でもない人気投票をやる有権者自身であり、馬鹿にされていると思わなければならない。

東京都知事の投開票が2月上旬になりそうだ。準備期間が短いことで各政党は安易に知名度、人気度で勝てる候補を選び、メデイアはそれを助長する報道を繰り返すだろう。

東京都は6兆円を超える巨大な予算と行政機構を持っている。有権者数1050万人、投票率から考えると約600万人が投票する。そのうち人気投票的なことをやるミーハー票が160~170万票あると言われる。

地域のコミュニケーションも希薄、政治不信、無関心から浮動票が増加しているらしい。

しかも、誰が知事になっても都庁の官僚がしっかり行政を推進している。だから「オリンピックの顔」を選び、行政は副知事に任せれば良いと言う有権者を馬鹿にした話もあることを忘れてはならない。

石原さんはカリスマ知事として人気があったようだが、登庁は週に2日、日常の仕事は副知事や特別秘書がやっていたという。それを聞いた候補者が公約で「私は毎日登庁する」と言ったほどだ。表向き立派に見える都知事も裏では何をやっているか分からない。

確かに、詳細なマニフェストなど期待出来ないが、やりたい基本的政策は示さなければならないし、その是非で有権者は知事を選ぶべきだ。

青島さん、石原さん、猪瀬さんを選んで何か良くなったことがあったか。

候補者は何がやりたいかの基本政策をしっかり訴え、有権者は政策で決める選挙をやってみないか。

政党や候補者に馬鹿にされてはいけない。


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2013.12.21

新しい東京都知事選び:「オリンピックの顔」だけでの安易な選択は止めよう

2013年12月21日土曜日

新しい東京都知事選び:「オリンピックの顔」だけの安易な選択は止めよう

やっと猪瀬さんが辞任すると言うことで、新たな都知事候補選びが加速しそうだが、「オリンピックの顔」というだけの安易な選択は避けよう。「東京の顔」、「オリンピックを成功させられる人」「国際的に知名度のある人」などが理想像(?)として挙げられているが第一次的には都政を推進できる人だ。決して人気投票やミーハー的選択は止めるべきだ。

東京都の最近の有権者数は1050万人と言われているが、投票する人は約600万人、そのうち160万票はミーハー票だと言われている。

都の財政は一般会計で6兆2600億円、チョットした国の財政より大きいのだ。

勿論、知事が誰であろうと基本的な政策は官僚によって推進されるが、大きな方向性は候補者の掲げる政策だ。そこをしっかり掴まなくてはならないだろう。

石原さんが都知事の時、週に2日しか登庁せず、特別秘書や任命した副知事が実務をやっていたということが明らかになったことがある。都民が信任していない人間が都政を操っていたとは驚いたものだ。対立候補者が公約に「私は毎日登庁する」と掲げていた事もあった。

東京都という巨大な組織は官僚がしっかりしているので、知事が誰であれ、そんなに影響することはないのだろうが、433万票を獲得した猪瀬さんが「私は民意を背負う」と豪語したのは議会や都庁幹部を牽制したのだろうか。

候補者には知名人、人気者、官僚出身、タレント、国会議員などの名前が挙がるだろうが、東京都知事選ともなれば自薦他薦入り乱れ候補者も多くなる。東京都民でなくても必然的に注目される知事選なのだ。

今までの都知事で思い出すのは、東龍太郎さんは確かオリンピック絡みだった。その後、美濃部亮吉さんが社会党公認ででて、300万票を獲得しおどろいたものだ。「1人でも反対があればその政策は進めない」は有名だったが、財政赤字を積みあげていった。

その後、自治省出身の鈴木俊一さんだ。借金を返したが何かの理由で責任を負わされたような気がする。NHK出身の磯村さんが対立候補になり、銭湯で「裸の付き合い」を強調したが次点だった。その時強引に磯村さんを担ぎ上げたのが自民党・幹事長だった小沢さんで責任をとって辞任したが、その後離党するはめになった。
青島さんも170万票を勝ち取り1期だったが知事の座に着いた。その時の次点は自治省出身の石原さんだった。青島さんの「意地悪悪ばあさん」は圧倒的人気だった。

そして石原慎太郎さんが「裕次郎の兄の慎太郎です」と記者会見で発言、300万票を勝ち取り知事の座に着いた。次点の宮城県知事だった浅野さんが170万票、「よそ者に東京は渡せない」が石原さんのスローガンだった。また、一度は出馬を諦め神奈川県知事だった松沢さんを押したが、勝てそうにないので急遽自分が出馬した前々回の次点が東国原さんで170万票だ。

石原さんに振り回される都知事選だった。一時は後釜に自分の息子の伸晃さんを考えていたようだ。ところが自民党総裁の芽が出て来たので都知事候補にならなかったが、自民党総裁選では敗退し、その芽はなくなった。世襲に至らなかったのは幸いだった。

石原さんが国政に進出で知事を辞めた後、「これほどの人材はいない」と石原さんから絶賛された猪瀬さんは433万票を得て知事に付いた。次点は弁護士の宇都宮さんだった。このときも石原流の「後出しジャンケン」だったが、選挙資金の工面に四苦八苦していたのか。

このように注目される東京都知事選にはいろんな人間模様が浮かんでくる。それほど各候補者も特別の意義を見いだしているのだろう。

だからこそ、有権者は真剣に選ばなければならない。

決してオリンピックだけが選択肢ではない。政党は手っ取り早く知名度で推してくるだろうが、そういう動きにしたのは他でもない有権者自身なのだ。

どんな候補者が名乗りを上げるか分からないが、ミーハー的に選ばず、適任者なしで棄権せず、都知事選択の意思表示をすべきだ。

東京都知事選は、その時その時でいろんな背景があるのだ。


2013年12月20日金曜日

首都直下地震被害想定:都心南部直下地震(M7.3)で死者2.3万人、経済被害95兆円

朝日新聞 2013.12.20
首都直下地震による被害想定が発表になった。聞きなれない都心南部直下地震(7.3)が、聞きなれた東京湾北部地震より被害が大きく、死者が最悪で23000人、経済被害は95兆円だという。家屋倒壊や火災を防止できれば被害は軽減できるというが広い範囲で震度6強、震度7も予測されている。

私の住んでいる東京・大田区から品川区にかけての断層を震源と想定しているが、こんなところに断層があるのか。いろいろ調べてみたが分からない。その長さ、深さは被害に直接関係するのだ。

関東平野の地下構造は複雑で、3つのプレートがいりこんでいるが、以前4つ目のプレートの存在を提唱した研究者がいた。プレートが4つあると、色々説明が付くというのだった。最近でもプレートが予想より10kmも浅いという研究も発表されている。

この都心南部直下型地震もフィッリッピン海プレート内部の浅いところで発生する地震で、被害想定は1855年の安政江戸地震を参考にしたという。

安政江戸地震と言うと、その震源は荒川河口付近ではなかったのか。だとすると東京湾北部地震ではないか。

東京湾北部地震は、首都直下地震としていつ起きても不思議ではない地震として有名であるが、この東京湾北部地震より首都への影響が大きいケースとして都心南部直下地震で被害想定されたのだろう。大田区には町工場が密集しているし、木造住宅も密集している。品川区もオフィスが林立し企業の重要施設が集まっている。超高層ビルと木造住宅の混在する光景が見受けられる。

首都圏は震度6以上の地震に、すでに90年も見舞われていないのだ。海溝型の関東大震災タイプは200~400年間隔、元禄関東地震タイプは2000~3000年間隔と言われ、その間のM7クラスの地震が発生しているので、その発生の危険が迫っているらしい。

何時も言われることだが、死者数で大きな数値を出すが、減災の方法はあるというのだ。火災防止では「感震ブレーカー」を設置し、初期消火をすれば焼死者の9割は救済できるらしいが、感震ブレーカーの設置は数%らしい。

大田区も「総合防災力プログラム」で「区民の命を守る」対策として、倒壊家屋や火災による死傷者の減らすというのだ。

我が家も家具類の転倒防止、1週間分の食料の確保、簡易トイレを手に入れているが、ライフラインの復旧状況からすると不十分なことが分かった。家具の転倒防止も震度6弱までの対策で、震度6強、震度7になると対策のしようがないのではないか。家具が転倒するのではなく、飛んでくるのだ。

「逃げまどい」はあるだろう。

わたしも小学校、保育園に言っている孫たちを迎えに行く役目だ。いままで引き取り訓練には参加しているが、実際に巨大地震が発生すると訓練通りにはいかず、てんやわんやだろう。

私の避難場所は多摩川河川敷になっている。場所は9月に確認しに行ったが、通常はグランドだ。ここに自治会ごとに集合するらしいが実際にはどうなるか。近くのほかの避難場所があるが、遠くの避難場所に行かなければならない。自治会、町会ごとに決まっているのだ。

また、勝手に集まっても駄目なのだ。必要な時は防災放送で設置を知らせるという。先の3.11では河川敷に集まった区民がいたという話を河川管理をしている作業員から聞いたことがある。

被災後の復旧を考えると群馬にある一戸建てを保有していた方がよさそうだ。あれば何とか私たちと孫たちの生活を維持することはできるだろうから。

20日の新聞は、都心南部直下地震による国想定のニュースと猪瀬知事辞任のニュースが隣り合わせになっており、どちらも重要なニュースだったので注意が散漫になりかけた。

しかし、次の都知事にはオリンピックを成功させることのできる人、オリンピックの顔となる人という希望が多かったようだが、それだけでは困る。防災は最優先課題であると同時に、国土強靭化に名を借りた公共事業の無駄遣いであってはならない。オリンピックも無駄遣いの温床ではなかったか。

しっかり監視しなければならない。







2013年12月19日木曜日

FRB,量的緩和縮小へ:円安、株高か、市場の動きに注目


世界の株高を受け19日の日経平均も株高へ
2013.12.19東京八重洲 みずほ証券ボード
FRBがついに出口戦略に出た。買い入れペースを850億ドルから750億ドルへ量的緩和を縮小するというのだ。市場は円安、株高にどこまで動くのか注目だ。

19日朝、テレビを入れるとニュースタイトルに「量的緩和縮小」が上がっていた。FRB・バーナンキ議長が発言したというのだ。量的緩和縮小は議長交代後ではないかと見られていたが、難しい決断をバーナンキ議長自ら決断したのだろう。

折しも米国は景気回復が確実視されてきた。11月の雇用統計では失業率が5年ぶりに7%に改善、就業者数増も20万人を越える状況が2ヶ月続いている(讀賣新聞2013.12.7)。

金融緩和の「出口」は遠からずやってくるものであるし、量的緩和を始めるときよりも、終了するときの方が難しいと言われていたが、今回がチャンスと見たのだろう。

この緩和縮小で為替、株価がどう動くのか。円安/株高か、円高/株安か、二通りの見方がある。

確かめようと、19日朝、東京駅南八重洲のみずほ証券に向かった。

途中、証券会社の電光掲示板には赤文字の会社名、+○○という表示が連続しているので、全面高なのだろうと予想された。

ドルも104.06~07円
2013.12.19 みずほ証券
10時10分の段階で、日経平均は15816.8円(+229.00)、ドル/円104.06~07円(-0.22)、18日の海外の株高を受けて全面高の状況だ。

終値も日経平均15859.22円(+271.42)で6年ぶりの株高、ドルは103.92円(-0.35)、大きな変動とは見えず、市場はすでに織り込み済みで限定的なものだろう。

欧州経済もギリシャを除いて国際的金融支援から外れる見通しだという(讀賣新聞 2013.12.17)。

安倍政権のアベノミクスや日銀の異次元の金融緩和に関わらず、欧州経済、アメリカ経済の動向に左右されるドル/円、株価の上下動が続くのだろう。
FRBは今回、量的緩和縮小へ、一方日銀はマネタリーベースで年間60~70兆円に相当するペースで市場調整を続行中だ。

異常な状態から早く脱して正常状態へ持って行くことが今後の中央銀行の役割ではなかろうか

2013年12月18日水曜日

猪瀬知事5000万円疑惑:「説明責任を果たせ」と言っても無理、辞任で逃げ切るか

猪瀬知事5000万円疑惑
で揺れる東京都庁
2007.4.6撮影
5000万円疑惑の猪瀬知事に「説明責任を果たせ」とは、所詮無理な話ではないのか。メデイアも私たちも「説明責任を果たしていない」との批判に対して、猪瀬知事は説明が二転三転するも「20時間も総務委員会で説明した」と反論する。時間の問題ではなく、内容の問題だと思うが、疑惑はあいまいなまま、辞任で逃げ切る戦法も見てとれる。

そりゃそうだろう。メデイアや都民が描く疑惑ストーリーは知事の責任問題、法令違反にもかかわることなので猪瀬知事にとっては乗るわけにいかないのだ。だから「説明責任を果たしているか」で見方が分かれる。

埒が明かないと総務委員会は「100条委員会」の設置の検討に入るという。疑惑は深まるが追い詰められず、反対に議会の責任問題に発展しそうになっているらしい。

100条委員会では、関係者を呼ぶこともできるし、証拠の提出を求めることもできる。禁固刑、罰金刑も課すことができるので、猪瀬知事にとっては窮地に追い込まれたことになる。以前、浜鍋さんが100条委員会にかけられ副知事を辞任した例がある。

それにしても窮地に追い込まれている猪瀬知事に「説明責任を果たせ」とは所詮は無理な話ではないのか。

収支報告書への虚偽記載など公職選挙法違反、政治資金規正法違反等とともに、以前から言われていた東電病院の売却、徳州会入札問題で贈収賄疑惑も真実味が出てきた。

ところが都から提出された関連書類には、肝心な個所が黒塗りになっている代物で何が書いてあるのか分からない。こんなのを見ると疑惑が深まるばかりだ。

これから先は、強制捜査による解明に頼るしかないのか。

既に東京地検特捜部は市民団体から告発を受けているので、注目している案件だと思うが、猪瀬知事周辺も早く家宅捜索し必要資料の確保をした方がいい。おそらく弁護士が付いていれば、危ない資料は廃棄、隠ぺいをしているはずだ。

しかし、何故こうもコロコロと猪瀬知事の説明が違うのか。本当にどう答えれば責任が回避できるか訳が分からなくなっているのか、それとも本当にとぼけているのか。

本人は基本的には同じで、大した問題ではないとみているのだろうが、猪瀬さんは日本道路公団や東電に対して、そこのところを厳しく追及していたはずだ。今になって相手の気持ちがわかったのだろうか。

テレビニュースで20日の定例記者会見で話すという意味のことを言っていたが、今更どんなことを言っても信じてはもらえないのではないか。

100条委員会を回避し、不信任決議案の提出も回避するために、疑惑がうやむやのまま知事辞任を表明するのではないか。

本当の気持ちを聞きたいものだ。





2013年12月17日火曜日

猪瀬知事 24日に辞任表明が430万票へのベストの選択では

猪瀬知事 都議会総務委員会でできるだけの説明をして、24日に辞任表明するのが430万票に対するベストの選択ではないか。注目されている5000万円疑惑での総務委員会での長時間の質疑でも疑惑解明への道は程遠いようだ。

答弁の食い違いは、ますます疑惑が深まる一方で、このまま知事職続投を希望する猪瀬知事にとっては部が悪すぎる。

テレビカメラを前にしての日本道路公団や東電を追究し、名をはせた猪瀬さんにとって16日の5000万円の札束が持ってきた鞄に入るか入らないかのシーンでは、自らかばんに押し込む姿は滑稽としか言いようがなかった。

強引に入れようとしてもファスナーが閉まらない。こんな状況で事務所に行っても誰も何とも思わなかったのか。紙袋に入っていたからと言っても異様な光景ではなかったか。

借りた5000万円をそのまま貸金庫に保管したからと言っても、数回貸金庫が利用されていたことは、一部のカネを使ったのではないかと議会は見ている。その貸金庫の管理は「妻が・・・」と責任転嫁をしている。

新たに見つかった収支報告書の記載ミスには「秘書が・・・」と政治家の常套語を使っている。確かに猪瀬さんには細かすぎる面もあろうが、肝心なところは大雑把なことに脇の甘さが目立つ。「覚えがない」、「知らない」では、疑惑解明にはならない。

また、私用目的に公用車を使った疑惑も持ち上がったが、猪瀬さんは日本道路公団民営化委員の時も、私用でタクシー券を使いまくっているとリークされたが、資料を運んだのだと強弁していた。

最近では、海外出張に無駄が多いと市民団体が警告していた。

もう猪瀬さんの信は失われている。回復の兆しは全くないのではないか。

都政も議会が相手にしないので停滞しているし、オリンピックでの人事、予算でも支障が出ているようだ。

今後は、自ら辞任表明するか、議会が不信任決議案を提出するかだろうが、不信任決議案をだされれば猪瀬さんの政治生命は終わりだろう。

結局は、24日の総務委員会で十分に説明した後、辞任表明することがベストの選択ではないか。それしか430万票に答える道はない。




2013年12月15日日曜日

103円の円相場よ何処へ:105円→110円→115円の道筋か

朝日新聞 2013.12.14
103円の相場よ何処へ。105円→110円→115円の道筋をたどるのか。メデイアは一斉に円、一時103円92銭、リーマン・ショック直後の水準になったことを伝える。まだ分からないがFRBの量的緩和縮小の読みもあって円安が進んでいるらしい。確かに米国の失業率は7%、就業者数の伸びも20万人を越えた。言われているように量的緩和縮小の期は熱しているのだ。

でも素直にそうはいかないだろう。2月には債務上限問題が再燃しデフォルトの危険も残っている。さらにはFRB総裁の交代もあり、縮小時期のタイミングを市場は計りかねている。

メデイアが報じる円相場の推移を見ると、2008年9月15日のリーマン・ショック時は自民党麻生内閣、その後民主党政権が続き2011年10月28日には75円85銭、そして野田政権が終わり自民党安倍総理はインフレターゲット2%、思い切った量的緩和を唱え、2013年4月4日黒田日銀総裁は量的・質的金融緩和を導入、12月13日103円92銭の最安値を記録した。

安倍総理のアベノミクス、量的緩和での日銀への圧力で円安基調に転換したが、野田政権時でも日銀に量的緩和を働きかけたが白川前総裁は頭を縦に振らなかった。しかし安倍総裁(まだ野党の時)になって日銀法改正での介入圧力がかかると一転して日銀は量的緩和を受け入れ、黒田総裁のマネタリーベース2年で2倍、2%インフレ目標で円安、株高へ動いた。

ところで円安はどこまで進むのか。

白川総裁時の円高は、日銀の政策を批判する政治家、エコノミストらは市場への資金の供給量が足らない。リーマン・ショック直後からアメリカなどはマネタリーベース2,3倍に増やしたが、日本は1.5倍でしかない。これでは円高だと言い、もっと資金を供給しろという。先の衆院選でも自民党安倍総裁らは日銀をこう批判した。

でも、低金利下での金融政策は効果がないのが経済学者間での見解になっていたのではないか。米国でもマネタリーベースで物価やインフレが決まるわけがないと言われていた。

5年前、白川さんが副総裁から総裁へ昇格するときも、ゼロ金利に近い低金利下では誰が総裁になっても難しいだろうと言われたものだ。日銀の武器は金利を上下させて物価を安定させることだったのだ。それがゼロ金利に近ければ出来ないのだ。
ところで民主党政権時の円高は、本当に日本経済は強かったのか。逆に欧州やアメリカ経済が酷く日本の方がまだマシだったのか。

そして、市場への資金の供給量が少なかったためなのか。今、日銀は年に60~70兆円のペースで増加するように金融市場調節を継続している(日銀政策委員会 金融政策決定会合議事要旨(2013年10月31日))。

マネタリーベースを増やすと円の価値は落ち円安になるはずだが、一時的に104円手前だ。

100円を越えるのに時間がかかったが、これから105円→110円→115円への道筋をたどるのか。

月曜からの円相場に注目だ。



2013年12月13日金曜日

一枚岩ではない「2%物価安定目標」、日銀にもその道筋に異論も

日銀が目指す「2%物価安定目標」も、その道筋に異論もあり、決して一枚岩ではないのだ。日銀の異次元の金融緩和でマネタリーベース2年で2倍、2%物価安定目標を目指すというが、日銀内にもその道筋で異論が出ている。

一方、政府はインフレターゲット2%を掲げた後は、日銀にまかせっきりだ。財政政策、成長戦略では、財政再建も加わり二兎を追うことになったが、第2の矢では国土強靭化を御旗に公共投資を増やし、第3の矢の成長戦略も今までの政権でも言われていた課題で目新しさ、実現性に疑問符が付く。

アベノミクスと囃したてられ、当初は円安、株高基調に転換したが、今、アベノミクス効果はどうなっているのか。打ち出す政策との整合性が不確実になっている感じだ。むしろアベノミクスがなかっても欧州経済、アメリカ経済をみると行く行くは円安、株高に動く要素はあったという考えに説得力がある。

そこで肝心の日銀の政策評価がどうなっているのか知りたくて、金融政策決定会合議事要旨(2013.10.31分)を読んでみた。

余りなじまない文章だ。「委員は・・・」「一人の委員は・・・」「大方の委員は・・・」「何人かの委員は・・・」と誰が発言したのか分からないが、それぞれの意見を発している。以前、自民党の中川さんが「名前が具体的に記してないのは無責任ではないか」と国会審議で追及して事があるほどだ。

9人の委員の多数決で政策、展望、基本的見解が決まるのだ。異論が出れば多数決で決する。エコノミストは10人10色と言われ、それぞれ分析、評価が違うのだ。大方の方向性は合意しても、それへの道筋は異なるるのだ。

特に、経済環境に対する上振れ、下振れ要因は、どこに重点を置くかによって評価が変わってくるのだ。

その要因には、海外経済動向の不確実性、家計の雇用、所得動向、消費税率引き上げの影響、企業、家計の成長期待、財政の持続可能性があげられ、個々のデータの読み方、公的情報、個人情報で各委員が意見を陳述している。

だから表現法に異論が出るのだ。

たとえば、「2%の物価安定目標に向けた道筋を順調にたどって・・」では、順調ではなく緩やかにしたらどうか。

物価見通しでも、「2%程度に達成する可能性が高い」と言うところを「見通せるようになる」に変更したらどうか。

物価見通しのリスクについて、「上下に振れバランスしている」を「下方にやや厚い」に変えるべきだ。

予想物価上昇率についても、実際の物価上昇率の高まりによって上昇傾向をたどり・・」と言うところを「緩やかに上昇傾向」に変更すべきだという。

概して、積極的な表現を緩和する方向での意見が多い。日銀としては掲げた目標に対して順調に進んでいると言いたいのだろうが、慎重派はそうは思っていない。

9人の委員のうち3人が慎重な表現を主張している。

また、注目すべき指摘に経済の不確実性が高く下振れした場合に、日銀の金融政策に対する信認を毀損すると「読みを誤った時」の危険性を指摘する委員もいる。この委員が前の3人のうちの1人か、新しい委員かどうかは、分からない。

これは黒田総裁に変わった時から、こういう意見が出ていた。

10月31日の政策決定会合をまとめると、

金融市場調整方針では、マネタリーベース年間60~70兆円に相当するペースで増加させるという。無担保コールレートについては議案に記載がなかった。

米国の金融緩和縮小についても記述はあったが、米の緩和縮小→円安、株高→物価上昇、実質金利低下→実体経済への好循環が高まる可能性が高いとみている。

日銀の金融緩和縮小については何もコメントしていないが、これでいいのだろうか。米国の金融緩和縮小は世界経済に大きく影響するといわれているのだが。

経済、物価に関するリスク認識では、リスク分布は上下にバランスしていると委員の全体が認識しているというのだ。

問題の量的、質的金融緩和の効果については、企業や家計の支出活動を支える金融環境の緩和度合いは着実に強まっていると評価し、マネタリーベース60~70兆円分の増加ペースを今後も続けるというのだ。

ところが京大翁先生は、それはプラシーボ(偽薬)効果で薬効があるわけではなく、一度は効いても2回目以降も効く保証はない。偽薬を本当の薬のように宣伝し、期待に働きかけるという賭けに出た日銀を批判している(異次元緩和の功罪 朝日新聞2013.12.11)。

私も白川前総裁の慎重な緩和が正しかったと思うが、もうすぐその結果がでるだろう。





2013年12月12日木曜日

もし石破さんが総理になったら、特定秘密保護法はどうなる?

新聞を見ながらフッと考えた。自民党・石破幹事長が総理になったら特定秘密保護法の運用はどうなるのだろうか。石破幹事長が特定秘密保護法の話をするたびに理解不足(?)を露呈し、撤回や訂正を繰り返している。

先に「デモはテロ行為」と言ったかと思ったら、今度は「入手した秘密を報道することにより安全が極めて危機にひんした場合は、何らかの方法で抑制されることになる」と「知る権利」に一歩突っ込んだ発言をした。

でもすぐに「報道は処罰されない」と訂正もした。安倍総理は審議中も「知る権利はうばわれない」と発言していたが、石破幹事長は反対の発言をしたのだ。

石破幹事長は与党のナンバー2だ。「もっと良く勉強して発言しろ」と言うべきか、「今の法体制では、石破さんのような考えは、当然出てくる」と言うべきなのか。

時の政権の恣意的運用を防止することが大事であり、第三者機関の名称がどうあれ、いかにして中立性を確保するかが重要なのだ。

新聞報道によると、安倍総理が1年生議員に「地元に帰って秘密保護法を分かりやすく説明してくれ」と求めたという。

説明を受けたいところだ。

「秘密の範囲が広がらないか」、「知る権利、報道の自由が侵害されないか」、「日常生活が脅かされないか」、安倍総理は「断じてない」と言明したが、どう担保されるのか。

石破総理が出現したら特定秘密保護法はどう運用されるのか。


2013年12月11日水曜日

次は「共謀罪」新設か:「首相動静」に見る安倍総理と内閣情報官の次の一手

讀賣新聞2013.12.11 安倍首相の一日
悪名高きと言うか内容が不備なまま泥縄式で強引に成立させた特定秘密保護法に次いで、安倍総理と内閣情報官が企てる次の一手は「共謀罪」の新設なのか。

何気なく朝日新聞(2013.12.11)の首相動静を見ていたら安倍総理が内閣情報官と警察庁警備局長と頻繁に会っているのが目についた。

それによると午後の部で「5時3分北村内閣情報官、高橋警察庁警備局長、11分中川参院国家安全保障特別委員会委員長、14分北村内閣情報官、高橋警備局長、18分高橋局長出る、33分北村氏出る」と記されている。

内閣情報官とは特定秘密保護法案作りに携わってきた官僚で、内閣の重要政策に関する情報の収集、分析などをまとめる人間らしい。スパイ組織ともいわれてきた記憶がある。

その内閣情報官と安倍総理が会っているのだから、何かを企てているのだろうと勘ぐるのは当然だろう。

msn産経ニュース
2013.12.11
ネットで最近の動きを見ると、msn産経ニュース2013.12.11に「重大犯罪に「共謀罪」新設検討 政府、東京五輪のテロ対策見据え」という記事が目に止まった。

その記事によると、政府は殺人などの重大犯罪で実行行為がなくても謀議に加われば処罰の対象となる「共謀罪」の新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を来年の通常国会に提出する方向で検討に入ったという。

外国からもテロ対策の徹底を要求されているし、東京五輪開催に向けテロ対策を強化する必要性が高まったと判断しているようだ。

共謀罪については、国連が2000年11月に「国際組織犯罪防止条約」を採択し参加国に共謀罪の創設を求めていた。我が国でも03年から3度関連法案を国会に提出したが、当局の恣意的適用を懸念する世論の反発が起きいずれも廃案となっている(朝日新聞 DIGITAL2013.12.11)。

何かしら世論は特定秘密保護法と同じような見方をしている。

しかし、安倍総理は数に物を言わせた政権運営で「共謀罪」新設に突き進もうとしているのだ。

安倍総理は「丁寧な説明」「議論を尽くす」というが、着々と「警察国家」の構築に進んでいるのではないか。

しっかり審議しなければ、特定秘密保護法の二の舞になる。

またまた石破幹事長が日本記者クラブの記者会見で秘密保護法で報道機関の処罰に言及したが、直ちに撤回したという。「国の安全が極めて危機に瀕するのであれば何らかの方法でその行為は抑制されることになる」と言ったそうだ(msn産経ニュース2013.12.11)。しかし、その後訂正したようだ。

石破幹事長は与党の幹事長だが、法案審議には加わっていないために熟知していないのか。それともそういう解釈も出来ると言うのか。発言すれば訂正では格好が悪くないのか。

安倍総理、安倍政権の強引且つ無謀な政権運営にNOを突きつけよう。


[後記]
讀賣新聞2013.12.12によると、菅官房長官が「提案する考えはない」と否定したそうだ。



猪瀬知事 ここは潔く辞任し、信を問い直したらどうか

猪瀬知事の5000万円借用問題が、時間が経つに従いつじつまが合わないことが多くなっている。東京オリンピックへの拘りがあるのであれば、ここは潔く辞任し都民に信を問い直したらどうか。

東京都議会総務委員会の審議内容がメデイアで報じられているが、脂汗をかきながらの一問一答はどう見ても猪瀬知事に部が悪い。日本道路公団民営化委員、東電問題で見せた明晰な頭脳(?)はどこへ行ったのか。場当たる的対応がつじつまの合わない弁解を繰り返すことになっていないか。

おそらく今は、敏腕(?)弁護士あたりがブレーンになり、裁判になっても有罪を避ける対応をアドバイスしているのだろう。だから、都民向けの説明が自分のための言い訳になっている。

都民の描く猪瀬疑惑はこうだろう。

石原さんが適任者と後押しした都知事選を控え、選挙費用に不安があった。知人に「面白いところに行こう」と誘われて徳州会前理事長のところに挨拶に行った。その後選挙にはカネが要るだろうということになりどちらが言い出したかは知らないが、裏金の選挙資金提供の話になった。

借用書もない5000万円は巨額な裏金になるが、選挙費用が不足したときに使おうと貸金庫を用意して保管した。

選挙は自分の用意した資金でまかなうことが出来たので5000万円は使わずに済んだので、そのまま保管していた。ところが地検特捜部が徳州会本部などに家宅捜査に入ったために急遽5000万円を返すことになった。

運の悪いことに5000万円返した直後に個人住居にも家宅捜査が入り、たまたまそのままになっていた5000万円の現金が押収される結果になった。

「これは何のカネだ」と問い詰められて前理事長の奥さんが「猪瀬知事に選挙資金で工面したカネだ」と応えたのだろう。徳州会選挙資金では実力者議員の名前が挙がっていたが、意外に猪瀬さんが先陣を切った事になる。

選挙資金としてもらったはずが、個人の生活のために借りたという論法に出たので、なかった借用書を急遽用意したが、これが不信に油を注いだことになる。

また面倒なことになってきた。個人で借りたとしても都の事業に関連する業者から便宜を受けることは職務規程に反し懲戒免職の対象になるのだ。副知事だって当然適用される。

猪瀬さんが強く押した東電病院売却に当たっては、辞退したが当初は徳州会も入札していたというし、介護施設などでは都の補助金を得ている。都のトップが絡んでくると贈収賄の疑いも出てくる。

市民団体も黙っていない。

東京地検に告発しているし、万一地検が証拠不十分で不起訴にしても、検察審査会で強制起訴の可能性も出てくる。

猪瀬さんにしてみれば、ここは都知事の身分に留まり、地検の強制捜査だけは避けたいのではないか。自民党の副総裁だった金丸さんの例もある。

しかし猪瀬さんは人望がない。

都議会は皆敵なのだ。猪瀬さんがなかなか都知事選への立候補を表明しなかったのは、政党の支持も得られない、自分では議会運営は無理、勿論選挙資金の問題などがあって延び延びになったのではないだろうか。石原さんの常套手段である後出しジャンケンを真似たのかと思ったが、そうでもないらしい。

こんな状態では都政も停滞するし、「説明の食い違い」ばかり報道されては猪瀬さんのメンツにも関わる。

折角獲得した2020年の東京オリンピック開催への拘りもあるだろうが、だからこそ潔く辞任し、再度都民に信を問うたらどうか。

情勢は「ポスト猪瀬」で動いている。都知事選に再度挑戦するためかどうかは知らないが、東国原さんが衆議院議員を辞職するという。

桝添さんも明言しないが充電中という。

猪瀬さんは外堀を埋められたようだ。一刻も早く辞任すべきではないか。



2013年12月10日火曜日

臨時国会閉会後の9日の安倍総理記者会見を聞いて:否めない審議不足、反省ならサルでも出来る

9日 安倍総理記者会見
2013.12.10 テレビ朝日
スクランブルより
久しぶりに乱闘審議になった特別委員会、本会議採決で右往左往する野党を目の当たりにした臨時国会閉会後の9日の安倍総理記者会見をテレビ、新聞で見た。安倍総理は「もっと丁寧に説明すべきだった」と反省しているが、反省ならサルでも出来る。

確かにNHKの国会中継を聞いていると、安倍総理は「丁寧な説明を・・」と盛んに答弁していた。しかし、その一方で森担当大臣の答弁は二転三転、究極は安倍総理の唐突な第三者機関設置構想だ。野党からの不備追及で出て来た内容で中立が担保できるかというと不確かだ。

特別委員会で審議している裏で、自公、みんな、維新の会が修正合意が企てられている異常な国会だった。

あまりのデタラメさに、委員会室では野党議員から激しいヤジが飛び交う。それを受けて安倍総理は「静かに聞いてください。今説明しているんですから」とヤジを制する。

更に「国民の皆さんは真意を知りたがっている。知る権利を侵害するんですか」ともいう。安倍総理に言われたくない。

安倍総理は「そういうことは断じてない」というが、「秘密の範囲が広がらないか」「知る権利、報道の自由が侵されないか」「日常生活が脅かされないか」という危惧は募るばかりだ。

「日常生活が脅かされる」という発想はどうして出てくるのか。反対のために煽っているのか。昔はそういうこともあった事を考えると、無碍に否定も出来ない。

誰のために急ぐのか。

当然、国民の安全、生命財産を守るため情報を一体的に管理しないと海外から重要な情報が入ってこない為だろう。アメリカからも要求されている。

でも、大事なのはギブ&テイクではないのか。日本が関連国に如何に重要な情報を発信することが出来るかどうかではないのか。

時の政権、官僚の言いなり、使い勝手のいい特定秘密保護法であってはならない。施行まで1年あるから説明を尽くすと言っても、知らぬ間に施行されている状況に持って行きたいのではないか。

安倍総理の暴走にブレーキをかける野党の存在が今こそ要求されるのだ。