2013年12月7日土曜日

特定秘密保護法案審議に見る「もう一つの違憲状態」

讀賣新聞2013.12.7
最高裁、高裁による7月参院選の「違憲状態」判決が続いているが、今回の特定秘密保護法案の国会審議を見ると「もう一つの違憲状態」が見えてこないか。特別委員会で不備が指摘されると泥縄式に第三者機関の設置が提案されるが、安倍総理、森担当大臣の答弁も整合性では疑問が残る。

アメリカから情報管理の統合が要求されているとは言え、今、何故急ぐのか。「国民のため」になっているのか。

本来、国が持つ情報は国民の財産であることは明らかだ。だから国民の安全のためには情報をしっかり管理していかなければならない事も理解できる。

しかし、国会審議や国会を取り巻くデモ、有識者、知識人の主張では「国民の知る権利」、「報道の自由」を侵害する秘密保護法案は廃案にすべきだという。つまり時の政権、官僚機構の「情報隠し」を危惧しているのだ。

政権、行政機関の長が好き勝手に秘密を指定し、国民の知られないうちに国政を推進する。例え国益に反しようとも政権、官僚の省益に合っていればいいご都合主義なのだ。42万件の秘密事項のうち9割は衛星写真だと言い、安倍総理は更に絞り込むから心配するなと言いたいようだ。

でも、これでは憲法に言う「福利は国民が享受する」に反するのではないか。

日本国憲法前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」と言い「これに反する一切の憲法、法令および詔勅を排除する」と記されている。

国民の為にならない法令は排除されなければならないのだ。

そこで、今回成立した特定秘密保護法は国民のためになる法律になっているのか。菅官房長官は施行までに1年間あるのだから、その間にしっかり検討すれば良いと脳天気なことを言っている。

参院特別委で可決
NHKニュースヲッチ92013.12.5
国会審議も酷すぎた。委員会で審議している裏では、与野党が合意協議をやっている。担当大臣の答弁は二転三転の曖昧さをさらけ出した。審議時間は衆院で43時間、参院では16時間ほどでも十分に審議したと与党は言い。参院・特別委員会採決では、久しぶりに委員長席での乱闘をみた。これが新生自民党なのか。時間をかけてじっくり審議する代わりに本会議では戦術化している。会期末までに成立しなかった法案は廃棄になるために不信任決議案などを乱発し野党・民主党は時間切れを狙った。その他の野党は採決で退席する戦術に出た。

民主主義政治と言うが、間接民主主義には問題も出て来た。弁護士グループは「法の下での平等」を掲げて「一票の格差」問題で衆院選、参院選の無効を訴えた訴訟を起こし、今、最高裁、高裁で「違憲状態」、岡山支部では「無効判決」まで出た。

しかし、こんな国会審議では民主主義政治とは言えず、「一票の格差」問題の無駄さを露見していないか。

「もう一つの違憲状態」を示す特定秘密保護法成立ではなかったか。


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