2015年5月30日土曜日

30日、20時24分小笠原西方沖地震発生、M8.5,震度5強:東京では26分、28分の2回の揺れを感じたが

20時24分 小笠原西方沖を震源とする地震発生 気象庁地震情報
5月30日、20時24分、小笠原諸島西方沖を震源とするM8.5の地震が発生し、小笠原母島、神奈川県二宮町で震度5強、そのほか広い範囲で大きな揺れを起こした。深さが590kmと深かったためだろう。

私が住んでいる東京大田区も大きな揺れだった。テレビがグラグラ揺れだし時計を見ると26分頃だった。20秒ぐらい揺れて止まったが、更に28分頃一段と激しい揺れを感じた。

NHK地震情報 20時26分頃
2回の揺れだったが、もしかしたらM8.5の巨大地震で深さが深かったために長い揺れだったのか。NHKテレビや気象庁の地震情報では24分の発生しか伝えていない。

2回目の揺れをテレビは「関東地方で地震」と伝えていたのだ。

この小笠原諸島西方沖はエネルギーがたまっている恐れのある小笠原海溝付近なのだろう。


昨日の口之永良部島の新岳噴火といい、近くの南西諸島海溝、伊豆・小笠原海溝はこれからも注意だ。

伊豆・小笠原海溝、南西諸島海溝付近は
エネルギーがたまっている恐れのある箇所
生田領野静岡大助教らの解析
朝日新聞 2013.10.31



リフレ派の日銀は間違っているのか:通貨供給量増で円安になるも物価は上がらず

リフレ派の日銀は間違っているのか。マネタリーベース増で円安になったが物価は上がらない。15年間の長期デフレに悩まされ続け各政権が「脱デフレ」を掲げたが達成できず「デフレは結果か原因か」が議論された。

前々回の衆院選で当時野党だった自民党の安倍さんが「インフレターゲット設定、強力な金融政策」を掲げて総裁に就き政権交代の気運も高まって市場は円高から円安へ、株安から株高に動いた。

衆院選では自民党の全候補者が「円高は貨幣の供給量が少ないためで供給量を増やせば円安になる」と有権者に訴えた。そして第2次安倍政権発足後は日銀総裁を更迭し黒田総裁の下で「2年で2%の物価目標」、異次元の量的緩和で「2年で2倍の通貨供給量増」を掲げた。

市場は何か変わるのではないかとの期待感から円高→円安、株安→株高で輸出産業を中心に企業の業績は好転した。勿論安倍政権以前からこの傾向があったと言うエコノミストもいる。全てが安倍総理の経済政策であるアベノミクスの効果ではないというのだ。

ところが円安が順調に進んだと思っていたら今では124円、理想の水準は105円と言われていたから大きく越えて円安が進む。

昔経済学では「為替は国の経済力を反映する」と習った。民主党政権の時までの円高は日本経済の強さを反映し、今の円安は日本経済の弱さを反映しているのか。投資だって「強い通貨の国に流れる」と言われている。日本経済は弱くなったから海外から設備投資が戻ってこないのか。

円高の時は国内生産では競争できず企業は海外へ生産設備を移した。協力会社も追随した。当然に人件費をへらし、労働者を切ったが、このことは日本経済の強さを反映していると言うことなのか。

国内需要が低いから消費や設備投資も増えず物価も上がらない。最近設備投資も増えてきたという見方もあるが海外投資や旧設備の更新などではないのか。

物価は上がらないから安定的に2%目標になるまで追加緩和をすると日銀は言う。黒田総裁は躊躇なく手を打つと言うのだ。
でも異次元の量的緩和を継ぎ目なく続けるがどうして成長率がゼロ近辺なのか。

日銀は何か間違っているのか。追加緩和でも物価は上がらないが、物価水準は通貨供給量で決まるのではなかったのか。

原油安が物価低迷の要因だと言いながら、原油安は家計にゆとりができ消費が増えれば物価は上がると考えていたのではないか。消費税10%増へ向け早々と追加緩和を発表したが安倍総理は先送りし日銀との思惑の違いが明らかになった。

8%への時もそうだが景気の後退を避けるために追加緩和をやったのではないか。

ここに来てリフレ派の旗振り役である浜田さんが「2%目標に拘るな」と言い出した。

当面2%の物価達成は不可能とみたのか、それともこれ以上のマネタリーベース増は危ないとみたのか。

国内の経済事情だけでは動かない。米国は金融政策正常化に向け利上げのタイミングを計っている。ドル高、円安の基調は変わらないだろう。

更に赤字国債の発行も難しくなってきた。財政ファイナンスと警戒されるし、国債はリスク資産として金融機関の規制強化がされだした。日本のメガバンクは国債を売りに出ているという。

そして安倍政権が目指す財政健全化がある。2020年までにPBの黒字化を目指すのだが対GDP比も重要視するらしい。歳出を削減し経済成長路線でGDPを増やせば目標は達成出来るとみている。


一番理想である内需拡大→国内生産増→失業率改善、企業の儲けの家計への再分配→消費増→税収増の経済の好循環が達成出来るのか。

IAEAの福島第一原発事故報告書:起こるべくして起きた甚大事故だったのだ

朝日新聞 2015.5.29
IAEAが東電・福島第一原発の事故報告書をまとめ、その要旨から事故は起こるべくして起きた甚大事故であった事が分かった。朝日新聞(2015.5.29)によると「事故当時は原子力事故と大規模自然災害の同時発生を想定した備えがなかった」という。

あれだけの取り返しの付かない事故を起こしておきながら東電の経営者の責任が問われないなんて可笑しくないか。事故が大きければ大きいほど問われる責任も大きくなる。

社長の日常業務で業務上注意義務があったかと問われれば難しい面もあるが、安全、技術担当の役員には巨大地震とともに発生する巨大津波による原子炉機能不全の予見可能性は認めるべきだ。

ところが当時、東電には原発のリーデイングカンパニーとしてのプライド、思い上がりが大きく周囲の意見を無視した傾向があったのではないか。原子力発電と火力発電では扱っている物質に大きな違いがあり注意義務も厳しく問われるべきだ。

IAEAの報告書では、「東電は最新の知見に基づく評価手法で東日本大震災とほぼ同等の津波を試算したが処置しなかった」と指摘している。福島第一原発を襲った津波の高さは15.5mだが東電の想定は5.7m、ところが福島沖でM8.3の地震が起きれば津波高さは15mになる試算が出ていたが措置をしなかったのだ。

この点は今までにも良く指摘されていたことであるが、東電は正式な会議での報告ではなかったとか、地震の専門家はM8.3クラスの地震を認めていなかったと抗弁した。

当時福島第一原発の所長をしていた吉田さんが本社の上級管理職についていたとき専門家は認めていないと措置を講じなかったと聞いている。更に防潮堤のかさ上げが80億円程度かかるとも言われていた。80億円をケチって村を離れて暮らしたり、帰宅困難者が多数出ている事故を起こしてしまった損害は遙かに巨大であることを認識すべきではないか。

また、2007年には原子力安全基盤機構(JNES)が15mの津波で炉心損傷がほぼ100%起きることを指摘していたのだ(東日本大震災SP 2014.3.9サンデーモーニング)。

折角の指摘も原子力の安全神話を守るために原子力安全保安院が公表を抑えていたらしい。
原子力の3原則の中に「情報公開」があるはずだが「原子力村」の面々は国民を騙してばかりだ。

又、報告書は「複数の炉の電源や冷却機能を失った場合の備えが運転員になかった。適切な訓練を受けていない上、対応する機器も不十分だった」と指摘する。

今回の福島第一原発の事故が地震によるのか、津波によるのかは未だ最終的な結論が出ていない。ある報告書では津波による被害と認めている。

ところがこの全電源喪失により冷却不能に至る危険は2人の所長経験者は予見していたのだ。

当時の吉田所長と所長経験者で東工大特任教授の二見さんは「福島第一原発が抱える問題は外部電源喪失」であることを認めていたのだ(週刊現代2013.12.14)。その週刊誌の記事「墓碑銘2013忘れない夢」で二見さんが吉田さんのことを述懐していた。

それによると、2人は歓送迎会の帰りに二見さんが福島第一原発の抱える問題点として外部電源喪失を指摘したとき吉田さんは深くうなずいたというのだ。事故はその10ヶ月後に発生した。所長となって赴任したばかりで10ヶ月で何が出来るか分からないがどの程度吉田さんが認識していたかだ。

私たち国民は「原子力は安全」と思い込まされていた。御用学者も率先して安全を吹聴し、
理論物理学者の武谷さんのように「原発の危険性」を論じる専門家は影が薄かった。

また「原子力村」の人間に頼っていて良いのかという不安は残る。今の規制委員会の田中さんも原子力村の人間だ。原発反対運動の集会でそのことを指摘する団体があった。

そして今、田中さんは川内原発の審査に関しで地震学者の石橋さんの指摘に反論している。

こんな調子で地震や火山大国の日本で原発の安全、国民の生命、財産の維持が出来ると言うのか。


更に報告書では「安全性の定期的評価、災害の再想定、過酷事故に対する対応の基準や指針が国際的な慣行などに沿っていなかった」という。見劣りする自分勝手な安全施策に東電など原発事業者、規制委員会など原子力村の人たちはどう言い訳できるのか。聞きたいところだ。

正式に報告書が出たら読んでみたい。


[関連記事]
2013.12.3掲載
東電・福島第一原発の「外部電源喪失」:2人の元所長は危険を予知していたのではないか

2015年5月28日木曜日

中国は本当に脅威なのか:安保法制化の前に毅然たる態度を示せ

中国は本当に脅威なのか。抑止力強化のために安保関連法案の国会審議が始まったが、中国に対する毅然たる行動も必要ではないか。11本の関連法改正案を1本に一括提案され与野党の質疑が行われているが、全議員が一致して制定に向かえば良いが強行採決になったり、憲法改正によるのが常道だと先送りにでもなれば仮想敵国である中国、北朝鮮にはその経過が筒抜けで「日本たいしたことなし」と笑われるのが落ちだ。 

この改正案や日米同盟強化は中国の尖閣諸島への領海侵犯や小笠原諸島での不法操業など拡大する不法行為への抑止効果を狙ったものであることは分かる。

ところが本当に中国の力は脅威なのか。中国と真っ向から戦闘をやった経験がないのでその実力は分からないがメデイアは「脅威だ」と煽る。

確かに軍事費の伸びは大きく、兵員の増加、空母の建造、増加する潜水艦建造はミサイル搭載の可能性もある。南沙諸島の埋め立て、「砂の長城」建設は原潜基地を目指しており潜水艦による軍拡路線はンベトナム、フィッリッピン、マレーシア、ベトナムばかりでなく日米にも脅威だ。

つい先日は米軍の哨戒機が南沙諸島に接近し中国海軍が警告を発したというニュースが流れた。米国も中国の無法振りにガマンできなくなったのだ。

でも、中国が国際ルールを無視した我が者が顔の不法行為を繰り返すのは日本をはじめ相手国が「強硬な手段に出てこない」ことが分かっているからだ。

尖閣諸島での領海侵犯、漁船による我が国巡視船への体当たり事件、小笠原諸島での珊瑚の不法操業などに打つ手がなかったし、我が国の政権と中国の主席との会談はぎこちなかった。

一方、中国にも大きな課題を抱えている。国内の種族問題、大きな格差、経済成長率は7%と秀でているがバブル経済の危険があり民主化運動も何時勃発するか分からない。AIIBのようにインフラ投資を利用して低開発国の経済の主導権を握ろうとしているが、おカネを借りたいために中国の覇権主義に寄り添っているのか。

我が国にとっては法整備もさることながら中国に対して毅然たる態度を取ることが先決ではないか。へりくだった態度は中国に誤解を抱かせるだけだ。

特に中国を巨大市場とみて自民総務会長(すぐに名前が出てこない)の3000人を超える経済外交は中国に媚びる最悪の外交だ。総務会長は以前から親中派で疑惑もささやかれていた人物で今のギクシャクした日中関係を改善しようとしているのだらうが中国を自惚れさせるだけだ。


中国恐れるに足らず。「弱い犬ほど良く吠える」という例えがあるではないか。毅然とした姿勢を示すべきだ。

安保関連法案の国会審議始まる:抑止力にはリスクも伴うが、安倍総理の認識もリスク要因では

何故か安倍総理が執念を燃やす安保関連法案が平和安全法制特別委員会で審議が始まった。抑止力にはリスクもともなうが、安倍総理自身の認識もリスクではないのか。「一般論」で説明しながら「例外」も多い。11本の関連法案を一括提案なのだが、どの改正法案のどの条項がどう変わっているのか全く分からない。

NHKのラジオ中継を聞いていたが、質問者も分からないから質問するが、答える大臣もペーパーの棒読みだ。

分かったことは抑止力はリスクを伴うもので業務に当たる自衛隊員のリスクは高まるが、安倍総理達は安全の確保を見極め万一の時は応戦するのではなく直ちに退避するからリスクは高まらないという論法だ。

共産党の志位さんが「では何故自衛隊は武器を携帯するのか」と従来の事例を挙げて質問する。

憲法9条が禁ずる武力の行使には当たらないと防衛大臣は説明するが「武力の行使」と「武器の使用」の違いが分からない。

中谷さんは「本当に分からないのですか」と言い「ここが分からなければ前に進めない」とも言う。ところがその違いを中谷さんはペーパーの棒読みで説明したのだ(ここは夜のテレビニュースから)。中谷さんだって分かっていないのだ。

野党は一旦武器を使用すると相手も反撃して来て戦闘になるのではないかと心配する。

安倍さんは応戦するのではなく、直ちに退避するのだと説明し心配は無いと言いたげだ。後方支援は安全な場所でしか展開しないとでも言うのか。

又、アメリカは先制攻撃で戦争になる場合どうなるか。先制攻撃は国際法上違反しているので集団的自衛権を行使しないと岸田外務大臣は相変わらずペーパーの棒読みで答える。

イラク戦争で機雷敷設され、その掃海は3条件に合うとも言う。

他国領域での集団的自衛権行使は一般的には許されないと言っていたと思うが、安倍総理は新3条件に照らして行使する可能性もあると「例外」適用があると言う。
「一般的」とか「例外」などと言いながらドンドン拡大していく可能性を見せつける。

安倍総理自身がリスクになるのだ。

この法案も衆院で80~90時間の審議を経て委員会で強行採決、衆院通過後参院に回されるが、参院は「ねじれ現象」でうまく行かない。当然次の参院選で大量議席を得ての参院審議を安倍政権は狙っているのだろうが、そうはうまくいかないだろう。

世論調査では60%を越える国民が「急ぐべきでない」という。衆院選で圧倒的多数の支持をえたのも経済政策を表に出したためで自民党が公約に載せている「憲法改正」まで支持されたわけではない。

自民党議員は総理が安倍さんでなくても集団的自衛権行使容認、解釈改憲を強行する気があるのか。何故、文句一つ言わず追随するのか。

民主党・長妻さんの「憲法9条を改正してからやるべきだ」という正論がどうして通じないのか。


2015年5月26日火曜日

新緑を求めて1日鎌倉散策、一時地震で揺れた:鎌倉高校ー勝手踏切ー極楽寺ー切り通しー成就院ー大仏ー由比ヶ浜ー鶴岡八幡宮

25日は天気も良く新緑を求めて鎌倉に行ってきた。アジサイには少し早いと思ったがJR藤沢駅で降り江ノ電と徒歩で鎌倉高校前→稲村ヶ崎の「勝手踏切」→極楽寺→極楽寺切り通し→成就院→高徳院「大仏」→由比ヶ浜→鶴岡八幡宮「ひこばえ」のコースだ。ついでに地震、津波対策も見てきた。

最近のように地震が多いと出かけるときに「今日は起きないで」と祈っているが、今回は25日午後2時30分頃発生した地震は埼玉県北部を震源とするM5.6,震度5弱の規模だったが、鎌倉は震度3(?)位だったか。JRも一部影響を受けていたが私の利用する電車は影響がなく安堵した。

鎌倉高校駅前
そんな地震が起きることなど予想だにせず江ノ電で鎌倉高校前に降りた。鎌倉高校から駅への下り坂の景色は人気のスポットになっており電車が通過するのを移そうとカメラを構えて待っている観光客が多い。近県ナンバーの車は勿論のこと中国人の観光客もいる。ここはテレビのドラマでも使いたい光景ではあるが、国道は車の渋滞区間なので諦めて隣の極楽寺駅周辺となる。中井貴一、小泉今日子さんの「最後で2番目の恋」も極楽寺駅が使われていた。

稲村ヶ崎周辺の「勝手踏切」は危ない。線路を跨いで民家だったり料理屋があったり急な石段を登って民家が建つ。ゴミ集積所はさすがに線路の手前にある。線路内に歩きやすく板をひいたところもあるが、ほとんどは線路のままだ。線路がカーブしていて電車の接近が見にくいところは「注意」看板と「ガード柵」で急いで渡れないように工夫(?)されている。

注意看板の多い勝手踏切
稲村ヶ崎
しかしこの「勝手踏切」も「生活の便利さ」か「安全」かで住民と会社がもめているらしい。江ノ電が出来る前から住んでいる住民にとっては言い分があるらしい。

極楽寺に向かった。新緑がきれいだが、相変わらす「撮影、写生厳禁」だ。それでもカメラを構えている見学者もいる。6~7人の修学旅行の中学生が「ここなら撮っても良いだろう」と門を背景にシャッターを切っていた。




極楽寺


近くのトンネルもシャッターチャンスの場所で観光客がカメラを構えて電車が来るのを待っている。江ノ電は観光に大きく役立っている。








極楽寺切り通しから成就院へ
又、この付近の切り通しは昔は鎌倉に入る主要な箇所で、鎌倉を守る役目も負っていた。今の道路は海抜19.6mと表示されているが,昔は成就院への参道の途中にある東結界の門付近が道路の位置だったようだ。急な坂道を上り、下りして鎌倉に入ることが出来るようになっていたというのだ。

その成就院のアジサイを見ようと思っていたら、2015年から2017年まで工事中でアジサイは咲かないようになっているという。そんなに上手く調整できるのか疑問に思ったが、西結界の門がある参道の両側にアジサイが海に向かって咲く光景が人気の的らしい。






海に向かって参道の両側に
咲くアジサイは名所だ

成就院は800年の歴史があるが1333年の新田義貞の鎌倉攻めで堂宇は焼失したが復興した。縁結びの神様らしい。

坂を下って鎌倉大仏に向かった。途中で力餅のお菓子屋さんのとこに碑が建っている。なんて読むのか分からなかったが、「はせかんのんへのちかみち」と読むらしい。長谷駅に出て大仏に向かった。

観光客が多い。車道も車で渋滞しているが歩道も混雑していた。200円で入った。ここは歴史的にも多くの震災に遭っている。入場券の裏に簡単に説明されているが、「国宝 鎌倉大仏因由」に詳しい。

始めて知ったのだが、この大仏は頼朝の侍女が民間の資金集めで最初は木像だったという。1238年から作り始め6年後に完成したが、1247年の大風で倒れたため1252年に現在の青銅製で復興し大仏殿の中に納めたようだ。1334,1369年の大風で倒れ、1498年には海潮(津波?)で流出し今のような露像になった。1923年の大震災では台座が崩れ前に傾いたが1925年に修復し、震災の時は台座と仏体が離れる免震構造になっているという。

鎌倉大仏 数度の天災にあう

鎌倉市の海抜マップでは高徳院は海抜11.8m、13mと言う人もいるが恐らく地点の違いか。台座の位置が13mとすると15m位の津波が押し寄せ引くときに持って行かれたのだろう。実際の津波の高さはそれ以上だったかもしれない。20円払って仏体の中に入ってみた。免震構造がどうなっているのかは確認できなかった。





大仏の内部 空洞になっているところが
頭部

その後海岸線に出て由比ヶ浜に向かった。











由比ヶ浜の海浜墓域
今は地下駐車場か

朝日新聞(2015.5.6)の「由比ヶ浜に墓域確立の跡」という記事でサーファーが遊ぶ鎌倉海浜はかって墓場だったというのだ。それによると、庶民の遺体は遺棄されるのが普通だったが京都で庶民の埋葬の習慣が広がり、京都から鎌倉の極楽寺の招かれた忍性によって広められたという。

この由比ヶ浜遺跡では4000体も埋められていたが1333年の新田義貞の鎌倉攻めノ時の戦死者だという。山間部は建長寺や極楽寺が入ってきて追い出されたために庶民は海浜に移ったようだ。

鎌倉には寺院が多く仏教が興隆したことと関係している。今は地下が由比ヶ浜駐車場になっている。

由比ヶ浜に表示されている避難経路
この付近には震災時の避難経路が表示されている。海辺の道路面は役4mあるが、更に高い場所にある避難所の小学校や中学校に誘導しているのだ。津波の高さはサイレンで知らせるという。

遅くなったが昼食を摂るため食堂に入った。14時20分頃だった。

食べ始めるとユラユラ建物が揺れ始めた。かなり大きく、時間も長い。30秒ほど揺れていた。お客同士顔を見合って「揺れていますね」という。店員が店の外を見に行ったが「変わらない」と帰ってきた。

大きくなった「ひこばえ」
帰りの電車が気になったので鶴岡八幡宮へ急いだ。「ひこばえ」は3年前の苗木から大きく成長していた。当初は専門家も事例がないので困っていたのだ。

でも気になったことは若宮大通りでの海抜表示は下馬付近で4mがあったきり鶴岡八幡まで気づかなかった。

以前来たときに職員に聞いたら社務所で12~13m、本殿では30mという。14mの津波が来ると社務所は水に浸かってしまう。

鎌倉駅近くでサイレンの音を聞くと鶴岡八幡宮の本殿に早く駆け上がることだ。10分ぐらいで津波が押し寄せてくる場合がある。

帰りは「わらび餅」を買って鎌倉駅に急いだ。遠くからホームに電車が入っているのを見て一安心。無事に帰って来れた。冷や汗ものの鎌倉見学だった。

東京に帰って孫たちに「地震どうだった?」と聞いたら、「揺れたよ」という。校内でサイレンが鳴って
皆机の下に潜ったらしい。久しぶりに緊張した日だった。

関連記事
2011年9月28日掲載
鎌倉を巨大津波が襲うと鎌倉大仏、鶴岡八幡宮はどうなる


2015年5月24日日曜日

住民投票で間接民主制の危機:議員の資質が問題なのでは

住民投票が実施されるようになると間接民主制の危機につながるが、その背後には代表者である議員の資質に問題があるのではないのか。大阪市の都構想の賛否を問う住民投票の結果には驚いた。210万人の都市の重大な機構改革がたったの1万票差で否決されたのだ。もし議会で賛否を問うたらどうなっていたか。

議員は自分の意思で賛否の判断をするのではなく、所属する党の決定に拘束されるのだ。集計結果で日頃の言動から誰が党議拘束に従わなかったかが分かるほどだ。

憲法では「国会議員は全国民の代表」と規定しているように市会議員は全市民、府議会議員は全府民の代表なのだ。

ところがそこのところが違っている。

今回の大阪の住民投票を見ると、自民党府連は地方選挙で維新の会に痛めつけられているので反対だが、橋下さんは安倍総理と友好関係にあるから支持への働きかけを期待して暗躍した。公明党も支持団体の創価学会の意向で反対した。橋下さんは最後は取引に持ち込んだが失敗した。

維新の会は勿論橋下さんが賛成と言えば賛成だ。自分の意向に沿わなくても、しっかり政策の内容が分からなくても賛成に向けて運動するしかなかった。

また、議員は自らの政治生命をかけ、生き残りをかけて右往左往するのが常で節操のなさも指摘されている。党勢が退潮しているときは特にそうだ。今度、民主党の代表になった松野さんだって民主党が落ち目になったので勢いの出ている維新の会に移った。

議員の候補者難も問題だ。勢いがあったとは言え維新の会は新興政党だ。候補者を公募し研修会で選別、選挙資金を支給するのではなく、公認料を取って看板を与えた。

比例で議席を確保できたが議員の質の悪さは否定できない。

民主党は完全に見放され、衆院選で全選挙区に候補者を立てることが出来ず党の退潮に歯止めがかからない。

間接民主制の根本のところで深い問題を抱えているのだ。
又、今回の都構想の住民投票は市長側が提案した政策課題だ。

だから賛成側には比較的多くの運動資金が流れるが、反対側では人的にも資金的にも苦しかったようだ。反対、賛成両方に均等な資金面での援助をすべきだ。

地方都市の住民投票でもいろいろ問題が出てくる。これが国民投票と言うことになるとどうなるか。特に憲法改正というと政策の提案の仕方もあるが大騒動になる事は間違いない。

まず、議員一人一人が自分の考えで行動でき、後援会組織をしっかり構築することだろう。国民投票の前に自分の後援会組織からの民意をくみ上げ国会の場で議論すべきではないか。


国の借金1053兆円:資産を考えると対GDP比は210%から130%台になるが

国の借金は増える一方で既に1000兆円を超え1053兆円、対GDP比210%で先進国一悪い財政状況であるが対外資産もあり、それを考慮すると対GDP比は130%台になり、米、英、ドイツ、フランスには及ばないがイタリアの146%よりは良くなる。

財務相は消費税増税、社会保障費の削減の必要性を説くが、本当に財務省の言うように悪いのか。日本の財政の肝心なことがよく分からない。

国の借金は2015年6月で1039兆円、2015年度末で1144兆円と見られているが今まで3~4%ノ伸びだったが2.8%まで下がっている。

EUは赤字を対GDP比3%以内にするルールがある。日本の場合だと15兆円になるが実際は40兆円を超えており手の打ちようがない状況だ。

ところが借金があると同時に資産も持っている。その資産を考えると国の借金など問題ないという学者、エコノミストもいることは確かだ。

その実体はどうなのだろうか。

財務省のHPに「資産を考えれば借金の返済は容易ではないか」という質問に答えた資料が載っている。

それによると、平成21年度の負債合計は1019兆円、資産(資産・負債差額)が372兆円、純負債(負債及び資産・負債差額合計)が647兆円になる。これだと対GDP比134.8%になるが、それでも主要先進国中最悪の水準だという。

最近ではどうか。財務省発表の「平成26年度現在本邦対外資産負債残高の概要」を見ると、対外資産残高945兆2730億円、負債残高578兆4160億円で、純資産は366.8560億円だという。

内訳は、公的部門純資産70兆3510億円、民間部門純資産296兆5050億円、銀行部門60兆2550億円だ。

これで最近の状況は、負債1053兆円、資産367兆円、純負債額686兆円ということになる。対GDP比140%だ。
でも、この資産で借金を減らせと言うことにはならないらしい。

年金積み立て運用寄託金(21年度で121兆円)は将来の年金給付のために積み立てられたものであるし、公共用財産である国道(63兆円)や堤防(67兆円)は買い手がおらず売却できない。外貨証券(82兆円)、財政融資資金貸付金(139兆円)は別の借金によって調達した資金を財源にしている資産で借金の返済にあてるためのものだ。出資金(58兆円)もある大部分が独立行政法人、国立大学法人、国際機関などの対するもので市場で売買される対象ではないと言う。

平成21年度の金額であるが財務省に言うとおりなのだろうか。


国会予算委員会では一般会計94兆円の審議を一生懸命して割合の大きい社会保障費をどうやって削減するかばかり検討しているが、特別会計を入れれば220兆円ぐらいにはなるし、もっと日本の財政の肝心なことに注目して欲しいと思うのだが。

2015年5月23日土曜日

クルーグマンのコラム「過ちを認めないのか」:間違いでも多数意見は生き残れるのだ

朝日新聞(2015.5.22)のクルーグマン・コラム「ブッシュ・ワールド 過ちを認めないのか」は私たちにも思い当たる点が多い。間違っていても多数派の意見を吐く人間は生き残れ、逆に正しくても少数派意見を吐く人間は無視され忘れ去られる風潮が政治、経済面でも強いのだ。

直ぐ思い出すのが3.11東北地方太平洋沖地震による津波被害(?)で福島第一原発が全電源喪失で冷却機能を失い原子炉崩壊事故を起こした時だ。NHKの解説委員はいち早くメルトダウンが起きていることに言及したが、その解説員は直ぐに画面から消え、他の多くの解説委員はメルトダウンへの言及を避けた。

後になって早い時期にメルトダウンが起きていたことが判明した。正しいことを言った少数派の専門家が葬り去られ(後に復帰したが)、メルトダウンに言及しなかった多数派意見を言う専門家が御用学者として重用された。

政府筋の意向が働いたのは確かだがメデイアは正しいことを言う少数派意見を遠ざけたのだ。周辺住民を混乱させてはいけないという政治的姿勢があったとしても問題になった。

クルーグマンさんはコラムで言う。次にアメリカの大統領選に共和党から元大統領でジョージ・ブッシュさんの弟に当たるジェブ・ブッシュさんが立候補するというのだが、その外交政策の上級顧問リストにイラク戦争で重要な役割を果たした人たちが名を連ねていることに異議を唱えているのだ。

当時米国は、イラク戦争では解放者として歓迎され戦争コストはほとんどないと反対する同盟国を説き伏せ戦争に入っていったが大量破壊兵器は見つからず人命とおカネを投じても何ら安定は得られず、その後の混乱が今のイラクの混乱につながっている。

クルーグマンさん曰く、「ブッシュ・ワールドでは壊滅的に失敗した政策に中心的役割を果たしても未来に影響力を奪われる訳でもない」と。失敗した人が再び要職に就くというのだ。

更に、クルーグマンさん専門の経済政策を見ると、共和党指導者に大きな影響を与えるエコノミストには当時、「住宅バブルはない」、「米国の経済は明るい」、「FRBの取り組みは深刻なインフレを起こす」「オバマケアーは雇用に大きなとどめを刺す」と予言していたエコノミストがリストに挙げられているがバブルは弾け、インフレは起きず、雇用は2014年には最高の雇用を創出したという。

エコノミストは完全に間違っていたのだ。

時の政党はの考えに疑問の声を上げただけで破門され返り咲くことが全くない。「勝ち残っている人たちは、過去に過ちを犯した人ばかり」と喝破し「過ちを認めないのか」ということになるのだ。

極めて重要な問題で間違った人だけを受け入れるような政治的公正が共和党には広く浸透していると米大統領選の共和党候補者に懸念をしめすのだ。

しかしこの傾向は米国だけでなく、ずばりとは言わなくとも我が国にも謂えることではないか。

アベノミクスに異論を唱えようものならそのエコノミストは遠ざけられ、安倍政権にヨイショする評論家、エコノミストが重用される。アベノミクスが正しい経済政策と言えるかどうかはもう少し先になるが、懸念を示す人は反・安倍政権でありヨイショする人が間違っていても多数派意見として生き残ることが出来るのだ。

経済指標が更新される度に、エコノミストは先をどう読むかで自らの考えを開陳するが
例え間違っていても性懲りも無く又出てくる。メデイアは「当たったか、外れたか」を追求しないのが常識なのだ。

今、問題になっている集団的自衛権の行使で安保法制の閣議決定が先行し、やっと国会審議が始まった。

閣議決定が先行する解釈改憲は可笑しい。事実上の憲法改正、安保改定ではないかという意見は少数意見で、メデイアに顔を出す大方の意見は容認している状況だ。安倍総理は「国民の命と生活を守る」と力説するが逆に危険に晒しているのではないかとも思える。

先の党首討論でも安倍総理の答弁は肝心な点へ踏み込むのではなく、回避しているので質疑にチグハグさが目立つが、いつものことだ。

確かに尖閣問題など中国への抑止力には自衛隊の強化、日米安保の強化が必要なことは分かるが、解釈改憲では国民の民意にも反している。ここは憲法改正、安保改定が常道だが。そのハードルは高い。
安倍政権の強引な政策運営に警戒心を煽るがメデイアも少数派意見より多数派意見に沿う傾向が強い。

どちらが正しいかは歴史が証明してくれる。イラク戦争の是非も歴史が証明してくれた。

ところが同じ朝日新聞の「記者レビュー」欄にテレビ制作者らでつくる放送人の会が今年の放送人グランプリにTBSの「サンデーモーニング」を選んだというのだ。

その受賞理由に、政権側からテレビへの口出しが目立ち、テレビ側の萎縮も起こっている。去年までとジャーナリズムの様相が変わったことを賞に反映させたかったという。報道姿勢の変容が危惧される昨今、中庸を貫く確かな存在感を示しているというのだ。事例として安保法制閣議決定の話題で、岸井さんは「事実上の憲法改正」だと主張したのだ。

安倍政権も耳触りの悪い少数意見を牽制し退けるのではなく耳を傾けていく姿勢がなければ政権基盤は弱くなる。


今からでも遅くはない、「過ちは認めるべきだ」。


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2015.5.15掲載
「安保法制」閣議決定、国会審議へ:憲法改正、安保改定の裏技で抑止力強化を狙うのか