2015年5月22日金曜日

2020年東京五輪のずさんな計画:あの「TOKYO!」の歓喜は何だったのか

2020年東京オリンピック、パラリンピックロゴ
2015.5.18 報道ステーションより
2020年東京五輪の杜撰な計画が次々に明らかになり、あの候補地決定会合でIOC会長はカードを取り出し「TOKYO!」と読みあげた時の歓喜は何だったのか。誰一人今の状況を描いた者はいなかったのだろうか。

まず問題になったのがヘルメットのような形の新国立競技場だ。廻りの環境を害すると言うことで設計に手を加えられたが工事費の巨額さに驚いたものだ。1300億円といわれていたが人件費、材料費の高騰で見積をし直すとと3000億円だ。縮小して1625億円になったが2600億円という話もある。おまけに大会後の年間維持費も35億円と高額だ。誰が考えてもペイする投資ではない。
評判の良くない新国立競技場の外観
2015.5.18 報道ステーションより

ところが18日の下村文科相と舛添都知事の会談で、開閉式屋根の完成は五輪後に先送り、更に観客席8万席のうち1.5万席を簡易席にして後で撤去するというのだ。舛添さんは「それで国民が納得するのか」と迫る。

下村さんは更に、東京都に周辺整備費として500億円の追加支出を申し込んだのだ。これについても舛添さんは「根拠は何だ。都民が納得するか」と反論した。

国立競技場の撤去もゴタゴタ続きで5ヶ月遅れて終わった。建築家の中には工事費を節約するために旧国立競技場を利用する代替案を提案したが撤去してしまったので新しい競技場を作るしかない。そういうこともあって撤去を急いだのか。

役人のやりそうなことだ。

下村さんは「大会に支障は無い」というが、舛添さんは「ずさんな計画の責任は誰か」と追求する。

分かっていることだ。森さんをはじめとする政治家連中と日本スポーツ振興センターの利権をむさぼる連中だ。前東京都知事の猪瀬さんも責任を逃れることは出来ない。

確かに、公共事業で工事費が大きく変動することはある。八ッ場ダムは2110億円から一挙に4600億円に、瀬戸大橋は当初8000億円が完成時には1兆2000億円になったと聞いたことがある。

難工事が予想される工事は変更も仕方ないが、どうしてこうも容易に増額できるのか不思議だ。政治が絡んでくる工事ではおカネも湯水のように垂れ流しだ。

東京に決まってから予算削減のため競技会場は周辺の都市にも分散開催することになった。東京オリンピックではなく日本オリンピックだ。

東京に決定した要因もメデイアは「お・も・て・な・し」を報じるが、大きな理由は「安全」と「資金」の面ではないか。相手候補地は政情不安がある。韓国、ブラジル開催では資金面の行き詰まりで開催も危ぶまれる状況だった。そんな中で猪瀬さんが言った「4500億円を用意している」にIOC委員の多くは賛同したのではないか。

このほかに「スポーツ・フォア-・トモロー」のテーマにも評価されたのだろう。

新国立競技場は10月着工で2019年3月のW杯に間に合うようにするらしい。スポーツ庁設置法案も成立しスポーツ庁長官の名前も挙がっている。

オリンピック開催でも政治家、スポーツ団体など利権集団がうごめいている。彼らにとって費用が上がることなど関係ないのだ。国威を発揚するためにはどこからかカネが出てくるとでも思っているのだろうか。

「財政難でそんなイベントには参加出来ない」と言う風潮が広まり、IOCがオリンピック開催自体を見直す機会になる事を期待したい。ブラジルでは「そんなカネがあったら生活に回せ」とデモが続いたそうではないか。


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