2015年9月29日火曜日

我が耳を疑った習主席の「国際社会への貢献、他国との協調」国連演説

29日の中国・習主席の国連演説「国際社会への貢献、他国との協調」はテレビニュースで聞いていて我が耳を疑った。今までの中国の国際社会でのやり方を改め明日から新しい国際関係を築こうと宣言しているのかと誤解するほどの内容だったのだ。

国内問題、今海外で領土問題、領海問題で紛争、火種を抱えていることを棚に上げての身勝手な演説と思えば納得がいくのだ。

29日のテレビ朝日 ワイドスクランブルでのニュースの要点は下記の通りだ。

「70年前に我々の先輩が将来への展望と高い見識によって
日本の軍国主義に抵抗し反撃を加えた。
世界のファシズムの戦争の勝利において歴史的な貢献をした。
(中国の脅威論についても)永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を
追求しようとせず、我々は更に緊密に団結し永遠に助け合い協力し
新しいパートナーシップを築き、心を一つにして人類の運命共同体
を造っていきたい」と言うのだ。

これを一体どう理解すれば良いのか。米中首脳会談でもテーマになった南シナ海の岩礁埋め立て、軍事施設の問題も中国の領土内での問題であり米国がどうこう言う筋合いのものではない。尖閣諸島の領海侵犯問題も尖閣は中国の領土という考えに立っていれば、この演説に反する内容ではないことになると言うのか。

国連常任理事国にあってロシアとの二人三脚外交を止め、米国と新しい大国関係を築こうとしている目論みも今回の訪米では失敗に終わった。


相変わらずの無法行為を進めるのだろうか。世界の平和、安全を維持する活動が常任理事国の努めではないのか。

大丈夫か日本経済:政府も日銀も「打つ手なし」が現状ではないのか

大丈夫なのか、日本経済。安倍総理は安保関連法で落ちた人気を復活させようと「旧3本の矢」には触れず「新3本の矢」を唐突に放ったが言葉だけの上っ面の政策で足元の経済を見ると経済成長すらマイナス成長で、日銀は見通しで強きの発言をするが政府、日銀共に実体は「打つ手なし」が現状ではないか。

私は起きると直ぐNHKラジオ第一を聞くことにしている。「マイあさラジオ」で6時半のラジオ体操の後、いろんな分野で専門家と電話インタビューのような企画がある。29日は経済の話だった。相手が誰かは聞き取れなかったが金融政策での日銀の打つ手も限界に来ていると言う内容だった。

要点は、(1)日銀は異次元の金融緩和で長期国債の買い入れをしているが既に発行国債の90%以上を買い入れ市場での取引が成り立たなくなっていること、(2)株式も年3兆円規模で買い入れ株高を維持しているが、これもすでに購買余力が無くなってきた、(3) 投資信託などで株価を支えること自体が疑問視されてきたこと、(4)国債を多く抱えることは日銀の資産を劣化させること、(5)アベノミクスの目的である経済がほとんど成長していないと言う5点を上げて日本経済を論じていたように思う(メモせず、記憶に頼って記述したので間違いもあるかもしれない)。

これらは以前から専門家の間ではよく言われていたことで新しいことではないが、政府、日銀ともに実体経済の足元を直視し経済政策の見直しが求められるのではないか。

国債も90%を日銀が購入しているということは政府の借金を肩代わりしている財政ファイナンスだ。この実体がばれると国債下落、長期金利上昇で企業はカネを借りにくくなり経済は停滞するとみられているがその兆しはまだない。

18日には、S&Pが日本国債をワンランク下げ中国、韓国以下で発展途上国並みのランクになったが、日本経済には今のところ影響は出ていない。そのランク下げの理由がここ2,3年で国債の信用力を回復させる可能性が低いという。消費税を10%に引き上げることも予定されているがそれでもPBの黒字化にはいたらない。

しかし、日本国債の下落は大きな影響が出てくる。多くを抱える日銀の資産が不良債権になり日銀の経営をはじめ大手銀行も経営難になるのだ。日銀は資本金1億円の株式会社(?)だが、特別な会計処理をしており政府と一体だから潰れることはないと言われている。 

だから日銀の政策運用に緊張感が欠けているように見えるのか。異次元の金融緩和では市場に予定の270兆円を超えるカネを流し継続中だ。

市中銀行からの国債を買い入れた金額は日銀の当座預金口座に入れられ、それに比例して銀行は企業にカネを貸すことができるが、麻生財務相が経済財政諮問会議で「そこから外にカネが流れないことに問題がある」と指摘したことがある。銀行が企業への貸し出しをしぶっているのではないか言っているのだ。

アベノミクスも当初は円安、株高に貢献し企業に成長感をもたらしたが、政府、日銀が目論む実質2%経済成長、2%消費者物価上昇達成も今のところ非常に怪しい。期待感を持っているのは日銀だけだ。

安倍政権は株価を政権評価の指標の一つにしているが適当な指標ではない。寧ろ我々の年金基金を25%まで投資できるようにし批判されているが、その年金基金からの投資も23%を越えすでに限度に近づいている。ギリシャをはじめ欧州経済、バブルが弾けた中国経済、ドイツのVWの排ガス不正問題で株価は停滞するのではないか。安倍政権の経済政策以外で変動するのだ。

15日の日銀政策決定会合後の黒田総裁の記者会見で「中国経済は政府の財政金融政策に支えられ安定した成長をたどる」というし、今後の物価上昇も「先々物価は上がる」と従来の日銀の予測を変えていない。

逆に市場は追加緩和への期待を匂わす。マイナス成長もあって追加緩和に踏み切るとの見方も多いのだ。ここにFRBの利上げも絡んで世界経済の減速も予想されているのだ。

しかし、打つ手がないと手をこまねいているわけにはいかない。

政府は3~5兆円の補正予算を組むことも考えられるが、先日麻生財務相は否定した。14年度補正、15年度予算でやれというのだ。法人税を下げろと言うから下げたが企業は内部留保で356兆円もため込んでいる。これからは「財政出動から民間出動」だろうと、企業が投資に意欲を出すべきだと麻生財務相は言うのだ。補正予算は=借金、赤字国債だ。 

安倍総理は安保関連法での支持率下落をアベノミクスの第2ステージと称して経済政策で目くらましをしようとしている。肝心の旧3本の矢の成長戦略もパッとしなかった。1本目の矢は飛んだが的の真ん中には当たらなかった。2本目の矢、3本目の矢は飛んだが途中で落下し的までいかなかった。
経済の好循環にために消費を上げ成長路線に持って行くには需要を喚起し企業の儲けを家計に再分配し経済の好循環を構築することだが、「何が儲かる事業なのか」、企業が悩んでいることかもしれない。

人口減はコミュニテイーを維持するのも困難になってくる。「新3本の矢」には出生率を1.8倍にし50年後も人口1億人を維持する政策「1億総活躍社会」が掲げられている。これ一つとっても裾野の広いテーマになる。担当大臣を新設してもアイデイアは官僚組織に頼らざるを得ず、新鮮みがあるのか。

今までの自民党、民主党政権で長くデフレ、円高、株安に悩まされ日本経済は停滞の時期だったが、3年前リフレ派が市場に多量のカネを流せば円高→円安、物価高になり日本経済は好転すると言う説に同感した安倍総理は日銀総裁まで更迭し「異次元の金融緩和」に打って出、3本の矢で経済政策を煽った。国民は3本の矢だから折れにくく成果も出てくるのではないかを淡い期待をもって安倍政権を支持した。

しかし、経済成長率名目3%、実質3%、消費者物価上昇率2%の2年での達成は難しくなってきた。大見得を切って2年で達成させると豪語した岩田副総裁、2年程度で達成とした黒田総裁も理由はどうあれ達成出来なかった責任を取って辞任すべきだろう。

安倍総理もいくらやっても良い政策は出てこない。任期も下落の一方で参院選では安保関連法の余波もあって自民党惨敗の予測が出ている。おまけに自公議員を落選させる運動まで出て来た。

体調不良、「燃え尽き症候群」で政権放り出し、たらい回しに出る可能性もある。石破さんはそこを狙って「石破派」を立ち上げたか。

いつも馬鹿を見るのは国民なのだが、こんな政権を生んだのも国民の責任だ。


2015年9月28日月曜日

習主席の外交:中国はこんなことで「責任ある大国」を目指せるのか

今回の米中首脳会談の習主席の外交を見ると、中国国内問題を棚上げにしての振る舞いは、民主党次期大統領候補のクリントンさんをして「恥知らず」と言わしめたが、こんなことで「責任ある大国」を目指すと言えるのか。

新聞報道によると、習主席は26日の国連サミットで指導力を誇示したという。

ところが国内に目を転じれば、人権問題では弁護士やジャーナリストの拘束が続く。廃墟と化した建設途中の高層ビル、ショッピングセンターは都市開発の無秩序さを暴露し、国内バブル経済ははじけ、上海株式市場の暴落に始まる経済政策はチグハグさを露呈、安全を後回しにした開発の結果は天津大爆発事故を招いた。さらに北京市内もスモッグでかすむ環境汚染、泡や魚の死がいがぷかぷか浮かぶ河川を見ると自然破壊の激しさが分かる。

中国が国威を主張しようにも国内問題を棚上げにしての片手落ちでは、経済支援で厚遇されている国以外は、だれも信ずる者はいない。

先の抗日運動戦勝70周年記念でもそのことが露わになった。参加した大国はロシアのプ―チン大統領ぐらいだった。

中国は今まで、国際社会でも常任理事国として、何かと言うと拒否権を持ってアメリカ、イギリス、フランスに対抗してロシアと組んできた歴史がある。

ところが最近、中国は米国を相手に「新しい二大国体制」の構築を目論んでいる。

経済規模でもGDPは米国に次いで第2位に円換算でも1200兆円、日本は先日安倍総理が2020年までに600兆円を目指すと言ったことから考えても大きな規模だ。軍事費増、軍備拡大から考えても「米国恐れるに足らず」と言うのだろう。

ロシアと一緒に行動していても将来は開けないと見ても不思議ではない。朝日新聞(2015.9.28)によると、習主席は国際外交で「国連の反対野党から「責任ある大国」へ脱皮」するというのだ。

しかし国内事情も棚上げにしての「責任ある大国」とは、余りにも身勝手すぎる感じもする。まずは国際ルールを守り、常任理事国として世界の平和、安全維持に貢献すべきであるが近隣諸国との領土、領海問題、サイバー攻撃など紛争の当事者になっている。
米中首脳会談でもサイバー攻撃、南シナ海の岩礁埋め立て、軍事施設化が大きなテーマになった。

サイバー問題では「中国も被害者」と強弁した習主席も、米国が中国の国営企業はじめ25社を特定し、制裁案を中国に付きつけたこともあって一定の合意を取り付けることになったようだが、習主席側に不利があって譲歩したのだろう。

「両政府は実効、支援しない」ということで合意したようだが、オバマ大統領も記者会見で言っていたように「中国が本当に実行するのか」確認が必要になる。それだけ信頼されていないのだ。

一方、南シナ海の岩礁埋め立て、軍事施設化ではアメリカの強い懸念も「中国の領土問題に口出しするな」の一点張りだったようだ。東シナ海のガス田建設、軍事施設化と含めて領海権の掌握を狙っているようだが米国は「航行の自由」を主張したようだ。

米中ともに譲れない一線だが、中国のこのような行為は近隣諸国に脅威を与えアジアの平和と安全を侵すものであるが、「米国はアジアのことに口出しするな」と言うのが中国の本音だろう。

歴代の中国主席に比べて外交で強硬路線をとる習主席だが、任期は後、7年だ。国内の民主化運動、汚職追放で軍部との摩擦もあると言うが、習政権はどのくらいもつのか。

習主席の疲れきった姿、オバマ大統領との会談でお互いに顔をそむけた様子、記者の要請(?)で握手を習主席に求めたが、習主席はしばらく応じようとしなかった態度を見ても初の米国での首脳会談も目的を達成したとはいかなかった。

習主席は明らかに米国を恐れてはいない。軍事費の増加、軍備拡大路線は続くだろう。「責任ある大国」を目指すと言ってもあくまでも中国中心の外交だ。

今回の安保関連法も米国との同盟強化で尖閣諸島の領海侵犯、領空侵犯に抑止力を期待したが、それで中国が緊張を緩和するとは思えない。

先の抗日運動戦勝70周年記念で韓国の朴大統領と習主席の会談で日中韓の首脳会談が話題になったようだが、経済に苦しむ両国が日本に助けを求めてきた感じだ。

「経済は市場化、政治は共産党一党独裁」ではグローバル経済に対応するには無理がある。

対中国政策は早急な緊張緩和で譲歩すると国益に反することになりかねない。慎重に越したことはない。

2015年9月27日日曜日

東京・大田区久が原から中秋の名月



                   東京・大田区久が原から中秋の名月

                   2015年9月27日 午後6時18分頃


落選運動のすすめ:期待に応えられる候補者の擁立が重要になってこないか

今の自民党・安倍政権が率いる国会は反立憲、反護憲で変質し選挙を通じて立憲、護憲の国会に再構築する必要がある。安保関連法は「違憲」と主張する学者、国会前集会を主催する団体のなかから「安保関連法を成立させた自公議員を落選させる」運動が出て来たし、共産党は安保関連法廃止に向けて野党での選挙協力を申し出てきた。

野党が協力して反自民あるいは非自民の候補者を調整し立てることが出来れば可能性はあるが、それぞれ各政党の事情もあるようだ。

選挙制度の問題もある。衆院選のように小選挙区比例並立制では、自民党候補者を落とそうとしても比例で復活してくるかもしれない。また自民候補以外で支持できる候補者がいるかどうかだ。

適当な候補者がいないとして棄権すれば元も子もない。

落選運動をするのであれば、立憲、護憲の適当な候補者を擁立しなければならない場合も出てくるのではないか。

安保関連法を違憲と反対する学者達の団体や今回、国会前集会を主催した団体などで候補者を擁立する組織を作ることも考えなければならない。そして政治姿勢をチェックし「この人なら」という保証(?)を与えることだ。

選挙資金などない。維新の会のように公募し推薦状を出すだけになるかもしれない。所属する政党も考えておかなければならないだろう。

日本新党を例に同じドジは繰り返さないように注意が必要だ。

特に自民党は田舎の選挙区では強い。「反立憲で反護憲の議員で落とそう」と外部から発信しても有権者は「うちの先生が一大事、ここは応援しなければ」ということになって群馬5区の小渕議員のようにトップ当選を許してしまうことになる。

公明党の議員は創価学会が落選させれば良い。

幸いに今の選挙制度では落選運動の方が制限が少ないから比較的楽だという評価もある。

時間はかかるだろうが立憲主義、護憲を大事にする国会へ再構築しようではないか。


そのためには今回の安倍政権の政治手法、国会への「怒り」を持ち続けなければならない。

野党共闘も民主党次第:共産党提案の選挙協力、国民連立内閣はどうなるか

共産党が22日、今国会で成立した安全保障関連法の「廃止」を目指し国政選挙で選挙協力し国民連立政府を造ろうと提案、野党との協議に入ったが、例によって保守と革新の入り乱れた民主党が慎重姿勢で野党共闘もままならないようだ。一層のこと共産党は「独自候補を立てない」ことがよさそうだ。

共産党は今まで選挙区で候補者を立て選挙戦を戦ってきた。泡沫候補の時もあったし自民党候補と一騎打ち(?)の時もあった。京都などの選挙区では強い。

何で勝ち目のない選挙に挑戦するのかと思っていたら、共産党の支持者の動向を調べるのに良い機会らしいということが分かった(以前の話だが)。

しかし今回は、戦争法案と言われる安全保障関連法を廃止するという強い目的があり連日の国会前の反対集会も後押ししたようだ。

読売新聞(2015.9.22)によると、野党が共闘した場合の来夏の参院選「1人区」を試算した結果が報じられている。自民党が2013年参院選で勝った1人区で野党が共闘した場合7選挙区で逆転するという。

私もブログで野党共闘に関連する記事を書いた。「野党再編は民主党分裂から」(2014.12.16掲載)、「共産党が野党共闘すれば:東京小選挙区当選者は自民、野党接戦の可能性も」(2014.12.15掲載)。

それによると、先の衆院選で野党が共闘すれば東京小選挙区の当選者は、自民22,野党3から自民13,野党12の拮抗した結果になるのだ。

そのほかに野党再編構想では共産党が加わっていないことが気になって「共産党は野党でないのか」という内容の記事も掲載したことがある。

ところが今回、共産党が野党共闘の可能性を提案してきたのだ。共産党というとどうしても共産党アレルギーがある。選挙公約などを見ると正論を吐いていると思うが保守系からは抵抗が大きい。

以前、共産党は「名称を変えた方が支持が広がるのではいか」という話もあったようだが日本共産党の名称は守りたいようだ。
ところが折角の野党選挙協力もうまくは行かないようだ。

民主党は維新と連携協議会を設置して合流を目指しているようだ。維新はその前に解党し名称を変える必要がある。「維新」と名が付けば橋下、松井さんらが絡んで二進も三進も行かない。

民主党は例のごとく保守、リベラルの混在だ。共産党との選挙協力は出来ても国民連立政権などは不可能だ。前原さん達がどう出るかだ。反対に労組系議員もどう出るか。連合の古賀さんは「民主党解体の可能性」に言及していたが、今回はハードルが高いと言っているようだ。

連合など労組の支援を考えると岡田さんも踏ん切りが付かないのだ。やっぱり民主党も分裂、解体が必要になる。

やっぱり野党共闘は直ぐにはいかない。一層のこと共産党は選挙協力するのであれば「独自候補を立てず」、支援もせず静観してはどうか。それしか,今可能な策はない。


2015年9月26日土曜日

中国の新しい大国関係:国際ルールを守り、常任理事国としてのプライドを持て

中国は新しい大国関係を構築したいのであれば、国際ルールを守り、国連常任理事国としてのプライドを持ち近隣諸国との領土問題などで火種を造らず世界の平和と安全を維持する行動に出るべきだ。

内政では人権問題、環境汚染、安全、バブル経済破綻を抱えていながら米国と対等な外交を狙う新しい大国関係構築を目指す中国に米国がどう対応するか、今回の米中会談を注目していた。

同じ時期にローマ法王の訪米もあり米国の対応の違いで際立った扱いになったような気がする。

今回の米中会談の大きなテーマは新聞が報じるところではライス報道官も言っていた「サイバー攻撃問題」や「南シナ海の岩礁埋め立て」だろう。他に地球温暖化問題も上げられている。

しかし、他にも経済問題では人民元切り下げ、上海株式市場の暴落から始まった世界同時株安などに対する経済問題などグローバル化経済にあって中国の「経済は市場化、一方で政治は共産党一党独裁」で本当に対応できるのか。


詳細は明日の新聞で報道されるだろう。

今日の新聞報道では、サイバー攻撃問題では米国経済の損害は毎年30兆円を超え、中国政府が関与していると米国は見ていたが習主席は「中国も被害者」と言い出した。今ままでの数々の不法行為を考えれば誰も信じてはいない。

落としどころは、米中両国で閣僚級の「ハイレベル対話」を創設することになったそうだが、お互いに被害者意識で加害者は不明と言うことになるのか。企業情報や個人情報が流出しているというのだからたまったものではない。

日本も関連しそうな南シナ海での岩礁埋め立て、軍事拠点化では中国は自分の領土だから他国に言われる筋合いはないとの立場だ。しかし、大規模な埋め立てで滑走路などを建設、軍事施設化は近隣諸国に脅威を与える。

国際ルールを守れと言っても反論されるが、中国は国連の常任理事国で世界の平和、安全を維持する責務を持つ国だ。それだけのプライドがないのであれば拒否権を取り上げ制裁を強化すべきだ。

南シナ海ばかりでなく東シナ海でも尖閣諸島への領海、領空侵犯を繰り返しているしガス田建設は将来軍事施設化の可能性もある。

今回の安保関連法制定理由の一つに尖閣諸島への中国の不法行為を抑止しようとする目的もある。アメリカや日本の航空機に対して異常接近する挑発行為は紛争の糸口を掴もうとしているとしか思えない。

新聞報道では最近中国の艦艇がアラスカ沖でアメリカの領海侵犯したというニュースも流れた。習主席の公式訪米が行われる前は控えると思うがそんな事は関係なさそうだ。

もしかすると、習主席は中国軍を完全に掌握出来ていないのではないか。

地球温暖化対策では排出量の取引制度の導入がある。アメリカと中国は温室効果ガス排出量の1,2位をしめる。規制は当然国内経済の発展に足かせとなり好ましくない。

数年前に、中国の首相(名前が直ぐに浮かばない)が、会議で「中国は発展途上の大国」と主張し規制逃れに走ったことがある。中国はいつも屁理屈を上げては責任逃れする国だ。

しかし、今回の会談では2017年に排出量取引制度を導入し、途上国に31億ドルの援助をすることも決めたようだ。「発展途上の大国」の考えを捨てたのか。

テレビニュースで見る2人の表情からはサイバー問題も南シナ海の岩礁埋め立て問題も前進したとは思えない。

オバマ大統領の任期は後1年チョット、習主席は後7年、この辺の違いが戦術に影響していたのか。

安倍総理も国連に出席するために日本を発ったが、バイデン副大統領とは会談の予定が出来たそうだが、オバマ大統領との会談の予定はなさそうだ。これだけ安保関連法成立で日米同盟の強化を図り沖縄辺野古移設問題では工事を続行しているのに評価されていないのか。


「再び日本が世界の中心に」と思っている安倍総理は国連改革を訴えている。国連総会での演説で先にやるオバマ大統領の時は満席だったのが安倍総理の時は空席が目立つ状況にならないことを祈るばかりだ。

今必要なのは、麻生財務相曰く「財政出動から民間出動では」と

今、必要なのは「財政出動から民間出動ではないか」と麻生財務相が言う。麻生財務相は時々良いことを言うのでテレビに映ると気をつけて聞いているのだが、25日夜の民間テレビニュースで「財政出動から民間出動へ」の重要性を主張していた。番組の前後がどうなってこう言う発言になったか、編集の意図は定かではないが聞くに値する発言だ。

確か、25日の株価も17,880円と300円以上の値上げになったが18000円を割り込んでいるし、FRBのイエレン議長は年内に利上げを考えている。と言うことは日本経済も景気の停滞と言うことになる。

そこで、景気対策と言うことになるのだが麻生財務相は「補正は考えていない。2014年度補正、15年度予算で好循環を生むことが大事」と例のごとくふんぞり返っての記者会見だった。

消費税10%への増税時の負担緩和策で財務省提案に対して公明党が軽減税率を求め対立、安倍総理も財務省案には拘らないと発言したことから麻生財務相にとっても大変な立場に置かれている。

消費者物価指数もマイナスになれば景気下支えで政府は財政出動を考えるだろうと思うのだが、麻生財務相は特段の予算化は考えていないようだ。

麻生財務相に言わせれば財政出動より民間出動、企業が投資行動に出ることが必要だと言うのだ。正論ではないか。

麻生財務相は更に、「法人税を安くしろ」というから下げたが企業の内部留保は356兆円になっているという。この前260兆円と言われていたのがもう100兆円も積み上がっているのだ。

日銀は量的緩和を続けるので長期金利は低水準を維持し、企業がカネを借りやすい状況にはあるが、内部留保が巨額なので借金してまで設備投資する必要はいはずだ。

それなりの需要があれば企業は投資するが、その需要が見あたらないというのだ。金利が安いから投資をするという考えは間違っている。

麻生財務相は以前、経済財政諮問会議でも量的緩和をするがカネは日銀の当座預金口座に貯まってそこから外に出ないのが問題である事を指摘していた。その時、民間議員が「その点もしっかり議論しましょう」と応えていたのを議事録から読んだことを覚えている。

必要以上に補正予算など組んで予算化すればそれは即、国の借金なのだ。少しは企業の業績も良くなり税収も増えているが、16年度予算は100兆円を超えている。

アベノミクスの「旧3本の矢」も成長戦略の面で折れかかり、今アベノミクスの第2ステージとして「新3本の矢」を放ち安倍総理は国民の目をそらそうとしているが「3本の矢」の言葉に惑わされてはいけない。

財政政策と成長戦略、国の借金1050兆円、対GDP比230%の実体経済を直視することだ。


角界、政界の今を考える:白鵬関、安倍さんの一強がなければ相撲も政治も面白くなるか

角界、政界の今を見ると白鵬関、安倍さんの一強がなくなると相撲も、政治も今より面白くなるのではないか。今秋場所、白鵬が4日目から休場すると4人の優勝争いになり俄然相撲が面白くなってきた。一方政治の世界も今は、自民党安倍さんの一強状態で安倍さんのやりたい放題、自民党のリベラル、野党の不甲斐なさを見せつけるが安倍さんがいなくなると政治も面白くなるのではないか。そんな気がする今ではないか。

相撲の場所が始まるといつも白鵬の連勝記録、優勝数が話題になる一方で、横綱としてのマナーの悪さも指摘されるようになった。一時はメデイアに背を向けるときもあったが、これでは日本の国技である相撲を背負って立つ人材ではない。国技を外人力士に頼らなければならない角界の不甲斐なさも目立つ。

しかし、これも今の日本社会の一現象を映しているのだ。高齢化が進み日本人だけではイベントがやっていけない問題が各地で発生している。関西の大規模団地では東南アジアの人たちが入居するようになってきたが、団地の各種イベントもそういった外国出身の人たちの協力がなければ成り立たなくなってきたのだ。

角界も取組表を見るとモンゴルをはじめ外人の力士の負うところが大きい。

ところが今場所は白鵬休場で優勝争いも2敗の鶴竜(横綱 モンゴル)、照の富士(大関 モンゴル)、3敗の稀勢の海(大関 日本)、勢(前頭 日本)の4人の争いになった。照の富士関が先日の稀勢の海関との取り組みで膝を負傷し休場の可能性も出て来て残念な結果になりそうだが14,15日目の3人の優勝争いは面白くなりそうだ。相撲に余り興味のない私でも取組表が気になる。

以前、一人が強すぎると観客動員数も減り相撲の興行的にはマイナスで苦悩していたこともあるがやっぱり数人が優勝争いをする方が活気も出てくる。

一方、政界でも同じことが言えるのではないか。

安倍一強に染まった自民党、不甲斐ない野党で政界は安倍総理のやりたい放題だ。その政治手法は反立憲、反護憲で、総裁選でも見るように対抗馬潰し、ポスト安倍潰しで長期政権の礎を築いているように見えるが自民党凋落の始まりだ。

No2たる後継者を育てなければ長期政権も心許ない。
自民党は昔から党内に保守、リベラルがいてバランスの取れた政策を打ち出していた。ところが安倍政権になってリベラル系は影をひそめ安倍官邸の我が儘が目立ってきた。

野党は当分ダメだろう。政界再編といっても旗印がはっきりしなければ肝心なときに一致出来ない。共産党が今回の安保関連法の成立の反省から選挙協力して反自民を結集できないかと提案している。

でも議席数は政党の主導権にも係わる重要な要素だ。主導権争いの火種になり不甲斐ない野党を尻目に自民党は政党支持率33%と高い。支持政党なしを除いて野党の支持率を合わせても太刀打ちできない。

今回の安保関連法は安倍政権の強権政治を目の当たりにし、立憲、護憲の大切さを再認識させた。国会前には連日数万人の人たちが反対ののろしを上げた。「9条守れ」「戦争させない」から最後は「安倍政権打倒」へと広がった。

次の参院選、3年以内に行われるであろう衆院選で自公議員の落選運動をしようとの動きも出て来た。

今回の安保関連法の首謀者である安倍さんや高村さんが落選すると有権者の怒りを感じるが、なかなか田舎の選挙区はブランドがものを言う。あの政治資金規正法であくどい行為を後援会、秘書がし大臣辞任に追いやられたが直後の総選挙に立候補しトップ当選した群馬5区の小渕議員を思い出せば分かることだ。

こういった運動と、今度から選挙権が18歳まで引き下げられることで240万票が新たに加わってくるし、今まで投票率の20%台と低かった20~30歳台の若者が投票所に現れ投票率が大きく上昇すると自民党だって安堵してはいられない。


与野党拮抗での政治に期待したい。

2015年9月25日金曜日

アベノミクスは実体経済とかけ離れた言葉だけの経済か

総裁選再選後の安倍総理記者会見
新3本の矢を発表
2015.9.24 報道ステーション
安倍総理の経済政策アベノミクスは、実体経済とかけ離れた「期待感だけを煽る」言葉だけの経済なのか。自民党総裁再選後の記者会見で「アベノミクスの第2ステージ」に移ると言うことで「1億総活躍社会」を目指し「新しい3本の矢」を放ったがチョット待った、古い3本の矢はどうなったのか。折れちゃったのか。

今、アベノミクスは実体経済を直視し見直す必要があると多くのエコノミストが提言している。と言うことは古い3本の矢をしっかり検証し次のステップに移るべきではないのか。安保関連法案の審議に時間を取られてしばらく「3本の矢」が聞こえなかったが安保関連法の成立とともに突然に新しい3本の矢が出て来た感じだ。

古い「第1の矢」は、日銀総裁を更迭してまで異次元の量的・質的金融緩和で270兆円、今は300兆円を超える資金を市場に流した。国債価格は維持され長期金利も低水準で企業は投資のためのカネを借りやすい環境にはなった。市場は期待感から円高→円安、株安→株高へ転換し、安倍総理の政権基盤は強固になったかに思えた。

ところが円安は輸入物価高→コスト高→国内消費者物価上昇へとなり、狙いとは逆に経済の悪循環の様相を呈した。それでも政府、日銀は経済成長へ緩やかな回復過程にあると評価し脱デフレを匂わす。

しかし、実体は芳しくない。市場にカネが溢れ金利が低水準でも設備投資にカネがまわらない。内部留保も260兆円を超えており借金してまで投資はしなくても良いし、なんと言っても国内需要が低調なのだ。経営者は今投資したい事業が見つからないと言う。

また、企業は儲かっても実質賃金は長期にわたり下落傾向でGDPの6割を占める個人消費が伸びない。一方で高級品などの購買意欲は旺盛なようだ。

消費税8%への影響もあるが、今度は10%への増税が控えている。景気条項を削除したために今度は必ず増税と言うことになるのだろうが安倍官邸vs財務省の攻防に注目すべきだろう。今話題の軽減税率を導入すればその分税収は減る。

そして一番注意しなければならないのはFRBの利上げのタイミングだ。そうなれば新興国から米国へカネが逆流すると言われているが日本はどうなるか。日銀は量的/質的緩和を継続しているし、景気を支えるために市場は継続を望んでいる。そんな市場がどう動くか。
旧「第2の矢」の財政政策も課題が多い。安倍総理は財政再建と経済成長は両輪だと言うが、相反する政策を同時にやろうとしている感じだ。95兆円と言われる日本の予算も公共事業は3兆円を超える程度まで削減されている。ところが国土強靱化で10年に200兆円を投資するという話も出ていた。1年で20兆円にもなる予算の手当が出来ているのか。更にインフラの維持管理に莫大な予算が必要だ。

海岸寄りの重要な高速道の橋梁が鉄筋がはみ出てボロボロになった状況、河川に架かる橋が老朽化し危険なので通行禁止になっているところも多いようだ。

一方で各国が財政健全化に向け厳しい規制を受けているにもかかわらず、日本だけが猶予されている国の借金は1050兆円、対GDP比230%に達し先進国一悪い状況だ。あのギリシャよりも悪いと指摘する人もいる。

2020年までにPB黒字化を目指すというが今の状況では数兆円の赤字で、どうやって赤字を解消するかが問題になっている。係わった多くの政権が目指すも2020年までの政権ではないために責任などない。安倍政権も任期が2018年9月だから「目指す」といっておけばそれですむか?

旧「第3の矢」の成長戦略は今までどの政権も挑戦したが、族議員、官僚や民間企業の既得権益者の抵抗もあり規制緩和、岩盤規制への打破はなかなかうまく行かない。

アベノミクスの成長戦略も経済産業省vs財務省の構図の中で経済産業省寄りのスタンスを取っているのだろうが財源の当てのない戦略はないに等しい。

結局、折れ気味の「旧3本の矢」に変わって「新3本の矢」を安倍総理の側近連中が持ってきたのだろう。

2050年でも1億人の人口を維持した「1億総活躍社会」の構築を目指すというのだ。
一時、人口増は社会問題になると言って出生率1.4位に落とす政策をとったはずだが、今度は人口減で1.8にしようという。またまた女性が人生設計を考え直さなくてはならなくなったが、そう簡単にはいかない。

新しい第2の矢に希望出生率1.8達成と共に夢をつぐむ子育て支援が上がっている。具体的な政策が新聞報道では分からないが、結婚し家庭を持とうとしている年代の若者が十分な年収が得られることが必須であるが、不安定な非正規従業員ではなく安定な正規従業員など課題は多い。企業としてみれば景気に合わせ雇用も調整できることを望んでいるのだ。

新「第1の矢」では希望を生み出す強い経済が上げられている。GDPを490兆円から600兆円にし、「戦後最大の経済、戦後最大の国民生活の豊かさ」を標榜している。

しばらくの間GDPは1位アメリカ、2位日本と考えていたがいつの間にか2位に中国が上がりGDPは円換算で1200兆円、1位の米国は2000兆円だ。若い頃はアメリカは日本の2倍と考えていたので大きな開きが出て来たことになる。

でも達成は2020年に置いているが、新聞報道では名目3%の成長率が必要になるらしい。最近3%の成長率は経験していないし、日銀が2%成長率を掲げているが楽観しているのは日銀、政府だけでエコノミストの多くは無理とみている。それも2020年達成では責任逃れの政策ではないか。

しかも、国民の豊かさをGDPで図ることは出来ない。財とサービスの合計だから高齢化で社会保障費が上がってもGDPは増加する。社会現象として好ましくないと思ってもGDPは増加する事項が多い。

そして、「新3の矢」が安心につながる社会保障だ。2020年までに今社会問題になってきた介護離職ゼロも掲げられている。

政府の言う社会保障も低所得者の虐め政策に頼っていないか。介護、医療は60%を保険料、残りを国や地方が財政負担することになっているが、国が出来るのは高齢者の負担増、窓口負担を引き上げることだけだ。更に削減できるのは年金ぐらい。

税金を投入しなければ成り立たない医療、介護、子育て、貧困分野を成長戦略にすると財政的にやっていけるのか。必然的にうまくは行かない。

安倍総理はアベノミクスの第2ステージを言葉巧みに掲げるが、実効性をどう担保しているのか。達成時期を2020年にすれば自分の任期は2018年9月だから責任回避できるとでも思っているのか。


国民は本当にそうなって欲しいと思っている
同上
もっと実体経済に即した経済政策が必要ではないか。

2015年9月24日木曜日

夢の再生医療「STAP細胞」にとどめ

夢の再生医療としてノーベル賞候補に匹敵する快挙として華々しく論文発表されたSTAP細胞も直ぐ捏造疑惑がネット上に流れ、理研も右往左往し対応に手間取っていたが、読売新聞(2015.9.24)によると理研の調査結果がNATUREに発表され「STAPはES細胞由来だった」ととどめを刺した。

世界中で発表された研究論文が捏造、コピペなど不正行為があったことが容易に検証できる今の技術に驚くとともに、最近では東京オリンピックのエンブレムでの盗作疑惑のようにイベントで華々しく発表された分、注目を引きすぎた感がする。

もし、STAP細胞論文を公表せず黙って発表していたらどうなったか。恐らくこれほど騒がれることもなかったろうと思う。しかし、それでは理研の目論見に反するのだ。

世界三大研究不正事件と言われるほど今回の捏造事件は不可思議なことが多すぎる。

専門外の小保方さんが再生医療分野での研究を始め、研究仲間の伝手でハーバード大関連の病院の麻酔科教授だったバカンテイさんのアイディア、指導でSTAP細胞研究に取り組み23年の短期間に研究成果(?)を発表できるほどになったことにもメデイアは小保方さんを持ちあげ、秀逸な研究者として煽った。

不思議なことの一つ目は、バカンテイさんは小保方さんにどういう指導を行っていたのか。アイディアは植物からとったようだがバカンテイさんは自ら実験をやっていたのか。小保方さんが自ら再現テストに苦しんでいる時、酸処理ばかりでなく、細い管を通す必要があるとアドバイスしていたがその方法でも再現は不可能だった。何ら小保方さんを援護したことにはならない。

早い段階で米国の学会は「STAP細胞は存在しない」とコメントしているのが新聞に載っていたが、それでもSTAP細胞を力説していたのはどういうことか。

二つ目は、小保方さんは何故、日本で続けて研究しようとしたのか。小保方さんが持ちこんだ研究テーマは他の機関は採用しなかったが、理研の若山さんだけが理研の自らの研究室に迎え入れたという。若山さんは理研に黙って小保方さんに研究の場を与えたそうだが、そんなことができるのか。

研究費を若山研究室の費用から捻出したとすると刑事事犯になるが、バカンテイさんから出ていたとも考えられる。

三つ目は、理研内で目玉となりそうな研究を探していたらハーバード大で研究していた小保方さんのSTAP細胞が目にとまり、応募期間、応募手続きも無視して正式な研究テーマに取り上げることになった。その後の研究は秘密保護のために所内の研究発表等はせず、秘密裏に進められたようだ。

後に理研のコンプライアンスが問題になったが、正式な手続き、研究報告の手はずを踏んでいれば、優秀な理研の研究集団だから研究の問題点が明らかにされ、こんな不祥事は未然に防止できたはずだ。STAP細胞論文は所内の研究発表の段階で没になっていたはずだ。それが出来なかったことが残念だ。

四つ目は、誰が、どうしてES細胞を混入したのか。一番可能性があるのは実験をやっていた「小保方さんがES細胞を混ぜた」と見ることだが、小保方さんは頑固に否定している。誰が考えたって実験担当者以外が他人の研究資料に手を加えることなんてできっこないはずだ。

「知らない」「やっていない」では研究者としての責任を回避することは出来ない。

特に弁護団を組んだことは心証を非常に悪くしたのではないいか。

恐らく、懲戒解雇処分、損害賠償請求など今後理研と争うことになる事は分かっているので、弁護士が「「知らない」「やっていない」「STAP細胞はある」だけ応えろ」とアドバイスしている事は容易に想像出来る。弁護士は真実を追求するのではなく、依頼人を守ることが本職だ。

小保方さんも弁護団を抱えているために理研の実験不正の検証が終わり懲戒処分を決める前に依願退職を許してしまった。これで懲戒処分は逃れることが出来た。更に損害賠償請求も論文掲載料のみで済ませることが出来た。理研はゴタゴタが長引くことを嫌ったし、理研の非を追求されることも避けたのだ。

後、弁護団が活躍出来るのは早稲田大が博士号の学位を取り消したときに異議の申し立てが出来ることだ。ここでも早稲田大はゴタゴタが起きるのを嫌って何か策があるのか。

しかも小保方さんは地に落ちた研究者になったが、弁護団が背後にいることで「危険な研究者」のレッテルを貼られ今後不自由をするのではないか。

寧ろ、理研の特殊事情から成果を出すことをせっつかれ実験に成果が出ていなかったこともあり、「ES細胞を混入させ成功したかに見せよう」と考えたとすれば、まだ未熟な研究者として同情を買うことも出来たのではないか。早い時期に真実を説明しなかったことが悔やまれないか。

五つ目は、これだけ日本の科学界の信用を失墜させて事件を起こしながら理研トップの責任の取り方に疑問が残る。理研トップの野依前理事長はなかなか責任をはっきりさせようとしない。「研究での不正は現場の研究者が責任を取るべきで、組織のトップが取った例はない」と責任回避の発言をした。皆、「責任を取るはずだ」と思っているのだから理研という組織はどうなっているのかと言うことになる。

最後は定期の人事異動という格好で野依理事長や理事連中が辞任した。このときも「責任を取ったわけではない」と引責辞任を否定したが、皆引責辞任である事は分かっていた。野依さんは「もう年なので」といっていたがその後文科省傘下の研究所の役職のたらい回しに乗っかった。

世界的にも著名で優秀な研究者だった笹井さんを失い、組織は大幅な改変となった。また多くの研究者は任期雇用で成果を出すために過酷な環境で研究をしているブラック企業もどきの実態も明らかになり、新しく理事長に付いた松本先生は研究者の待遇改善、「研究者のやる気」に頼る運営を目指すという。

今回の事件で日本学術会議や他の学会から再現実験など止めて早急な処分を要求され、理研もそうしようと考えたようだが、文科相や科学担当大臣まで「再現実験をやるべし」と介入してきたために問題解決がゴタゴタした感が強い。

後になって考えればもっと上手く解決出来たのではないかと思えるが、普段から研究不正防止に力を注ぐ一方で、不正が発覚したときは「どう処置するか」、マニュアルの作成も必要ではないか。


又、研究者は弁護士に隠れてはいけない。自分のやったことは自分の言葉で説明すべき責任がある。そうすれば又、道も開ける。

2015年9月23日水曜日

日本の安全:安保関連法頼みか、憲法9条堅持か

日本の安全は安保関連法に頼るのか、それとも国民の多くが願う憲法9条を堅持で守るのか。安倍総理の10年来の念願、「国民の命、安全を守る」と大見得を切って始まった安保関連法の国会審議も「急ぐ必要はない」「説明が不十分」と言われる中でドタバタ劇の末に成立したが、政権は今後も丁寧に説明し、国民の理解を深める」とトンチンカンなことを言う。

安倍総理は岸家、安倍家の墓参りをして「法の成立」を報告したというが、岸家、安倍家の念願の政策課題であったのか。別荘地でのゴルフと言い誤解される行動の多い総理だ。

本来なら国民に提案し、理解が進んだ段階で選挙で賛否を問うのが筋ではなかったのか。それなのに安倍政権は人気が落ちても議席数を確保できている間に成立を目論んだ。結果的には安倍総理の作戦勝ちだが、その政治手法はファシズム的で自民党の「反立憲」「反護憲」は今後の選挙でその責を問われる事になった。

私も変質してきた国会を立憲主義、護憲の国会に立て直す必要があると思う。

ところで日本の安全をどうやって確保するか。安保関連法で米軍の力が抑止力の強化になるのか、それとも従来のように憲法9条を堅持すべきなのか。

安保関連法賛成派の国際政治学者、外交官、軍事評論家は、安全保障環境は時と共に変わってきており、今の中国、北朝鮮の脅威を考えれば抑止力として「良い法だ」というが、何も国際政治学者や外交官、軍事評論家に指摘されるまでもなく危機感が抱いている。

でも、反対派は国会審議の前に解釈改憲を閣議決定したことは立憲主義に反し、憲法違反だと主張する。憲法に問題があるのであれば憲法改正手続きですべきだと正論を吐く。

多くの憲法学者が「違憲」と言う中で「合憲」と主張する憲法学者は極少数では太刀打ちできない。

自民党の高村さんは「法令審査権は最高裁判所に有り、憲法学者ではないと、最高裁の砂川判決を「合憲」の根拠にするが、元最高裁裁判官も「砂川判決は集団的自衛権については言及していない」と反論する。

一方で、国際政治学者は国際法上は個別的自衛権も集団的自衛権も認められていることという。従来からの内閣法制局の見解は「 集団的自衛権は認めるも憲法9条から行使はしない」という見解で法的安定性を保っていたが、安倍総理は内閣法制局長官を更迭してまで我を通した。

総理という権力者が人事権まで使って政策を曲げようとするのだから野党は黙っていないが、与党の自民党は全員ダンマリを通した。

7月の国会前の集会で北海道から参加した施設の職員のプラカードに「安倍総理 あなたが脅威です」と書かれていた。多くの国民の総意だろう。

安倍総理は時々国会で妙なことを言い出す。みんなの党の渡辺さんの主張を取り込んで「責任野党」と所信表明で言い出すかと思ったら今度は「積極的平和主義」と言い出した。

私は日本人なら「積極的平和主義」というと憲法9条を堅持することと思っていたが、安倍総理は集団的自衛権を行使できるようにして同盟国と世界の平和維持に努めるというのだ。日本が世界の中心に出ようというのだ。

でも本来であれば国連が中心になるべきではないのか。

世界で紛争が始まれば国連の事務総長が動き、安保常任理事国で調停、制裁など行動するべきであるが今は国連が役割を果たしていない。

シリアの内戦、難民問題、中国の南シナ海での埋め立て軍事施設化、尖閣諸島での領海・領空侵犯、アラスカ方面での米国への領海侵犯など、国連常任理事国である中国とロシアの国際ルールを守らない不法行為が要因になっているのだからどうしようもない国連の現状なのだ。

そういった中国などの脅威に対して成立させた安保関連法に対して、自由主義国はエールを送るが中国は「専守攻防」を破棄したのかと批判するし、ロシアは警戒感を表明したと言う。無法国家の勝手な論理には困った物だ。

ところで、安保関連法が成立すると「用心に越したことはない。予め備えておくことが重要なのだ」と自民党幹部は言う。

「備えてはおくが使うことはないだろう」という意味であれば何も制定する必要はない。今まで通り「集団的自衛権は認めるが行使はしない」で良いのではないか。

同型国である米国等の要請で動くことになるのだろうが、今回の法案の成立過程を見ても支援要請でまた国会が混乱し、反米意識が高まる事態は米国の望むところではない。米国の要請は相当慎重になるのではないか。そうでなくても米国の軍事費削減を日本が肩代わりしているのだ。

国会審議では想定される事態がいろいろ議論されていたが、実際に優先度が高い軍事行動としては、中東での支援行動、東シナ海、南シナ海での中国を監視する活動、北朝鮮のミサイルへの対応だろうか。

中東での後方支援活動は兵站になり危険性が最も高い軍事行動になる。政権は「リスクは低い」と言うが、戦争を知らない人たちの言うことだ。PKOでの駆けつけ警護も今までは危険と背中合わせの状態だったが、今後は危険の中へ突っ込んでいくことになる。

安保関連法は6ヶ月以内に施行される。

国連主導の平和維持活動が出来れば抵抗も少ないが、米国主導の有志連合での活動となると国民の理解が得られるか。国会の事前承認では今は自公が圧倒的多数の議席を占めるので政府提案も通るだろうが、安倍政権後は分からない。

政権によって対応が異なれば、それこそ法的安定性を害することになる。

安保関連法の適用を許すこともなく世界の平和維持活動が出来るのは、国連の安保常任理事国に与えている拒否権を廃止し、安保理事国で調停、制裁行動がとれるようにすべきではないのか。

中国、ロシアに対しては指導者が変わることを期待したいが、現状改善を急いで国益に反する譲歩をしてはいけない。

「将来に対する備えはするが使わない」、そういう安保関連法であって欲しいと思う。