2011年8月30日火曜日

民主党再生への道は絶たれた?

「政権交代時に戻れ」と最近よく聞くが、それだけ民主党議員も今の党の状況に危機感を抱いているのだろう。鳩山、菅政権で民主党政権への信を失い、3度目に正直で3人目の野田さんが代表→首相に就くことになった。菅さんは「一定の目処が付いたら、若い人に託する」と言っていたが、戦後2番目に若い首相の出現になったが、民主党再生はどうなるのか。

民主党は政局になると、いつも小沢さんの存在がある。小沢さんの存在抜きには進まないのだ。今回で3度目の敗北であるが、負けても主役を演じたがる小沢さんの往生際の悪さには辟易する。

小沢さんの力=数の力は、民主党再生のネックになっている。

それを打ち破るチャンスが、この代表選であった。小沢グループ120人のうち80人が造反して、小沢さんが推す候補者を支持しない状況が出来れば、民主党再生の道は開けると思っていた。しかし、1回目の投票で海江田さんが143票取ったと言うことは、他候補の推薦などに廻った議員も考えると、鳩山、小沢グループの議員が小沢さんの推す海江田さんに投票したことになる。2回目の投票でも177票取ったと言うことは、相当えげつない方法で切り崩しを図ったのだろう。

398人中、150人ほどが小沢さんの支持に従う議員であると言うことは、新政権が党内では小沢さんの力に配慮しながら政権運営しなければならない事になる。

「全員野球」、「一致団結」、「ノーサイドにしましょう」と野田さんが言ってみても、あまのじゃくな小沢さんは、「これからの体制次第だ」と小沢グループの人間の要職登用を暗に要求している。

そこで野田さんは、幹事長に輿石さんの登用を考えた。

普通に考えると、輿石さんは小沢さんの側近だ。小沢さんの力に屈しての登用だとすると、野田さんも大したことはないと考えるが、そうでもなさそうだ。

野党協調で合意した3党合意を順守使用とすると、マニフェスト見直し反対、マニフェスト原点回帰を訴える党内の抵抗に遭い、立ち往生する場面も出てこようが、ここで輿石さんが、どう反対派を抑えられるかだ。
党内反主流派(輿石さんは親小沢、反小沢の考えに反対だが)の要求を、どう政権側に伝え抗争回避が出来るか。

政権側、執行部、反主流派の間をうまく調整する働きが出来れば、輿石幹事長案は味のある人事ではないか。

でも、小沢、鳩山グループのマニフェスト見直し反対、増税反対は無理な主張のように思えるが、財源確保の妙手があるのか。

こういう考えに党内で40%以上の議員が賛成していることに異常さを感じる。妙手があるのであれば、それを発信しなければ国民の理解は得られない。

野田さんをしても難しい舵取りだ。民主党再生の道は絶たれたと思うのだが。

2011年8月29日月曜日

これで良かったのか民主党代表選



「野田さんで良かったわネ」、「海江田さんでは、小沢さんの傀儡だもの」。29日の我が家の夕食時の女性陣の会話だが、多くの国民がそう感じたのではなかろうか。今日は、11時頃から民主党代表選の中継に見入った。決選投票で野田さんが、38票差で海江田さんを破り、民主党の新代表になった。これで良かったのか。

1回目の投票は、海江田さん143票、野田さん102票、前原さん74票、鹿野さん54票そして馬淵さん24票。海江田さんは小沢、鳩山グループの基礎票160票を考えると伸びず、野田さんががんばったと言う感じだ。

2回目の決選投票では、両者目をつぶっての集計待ちだったが、野田さん215票、海江田さん177票で、野田さんが次期総理の座を勝ち取った。

以前のブログ記事「民主党代表選:総理選びに失敗しないために」で、短命政権に付きまとう総理選びでの失敗の原因は、「人気度トップの人間を選んでいること」と「小沢さんの推す人間を選んだこと」だと書いたことがある。

すべてがこうだとは言わないが、ここ5年ほどはそうなのだ。

そこで、今回はどうなのだろう。

世論調査でも人気度トップは前原さんだったが、2位に入れず落選だ。外国人違法献金問題とそれが原因で外相を辞めて間もない事への批判が原因なのか。当初は出馬せずと言っていたのに急に出馬することになり、一悶着あったことも響いているのかも知れない。スキャンダルで政治空白を作るのはもう御免だ。

そして小沢さんが担いだ海江田さんだったが、及ばなかった。党員資格停止処分中の身でありながら、代表選候補者選びに主役の役目を務めたことに非常な違和感を持った。小沢グループの議員は、海江田さんはつなぎ政権で、来年小沢本格政権を作るんだと気勢を上げていたが、民主党及び民主党政権の今を理解していないと感じた。

小沢さんの何処が良いのか。小沢さんでなければ何故、この国難を切り抜けられないのか。今は処分中の身であるが、どうして小沢さんは政権に協力して国民の生活を守る政治に参加できないのか。反主流派だから協力しない魂胆なのか。

今小沢さんのやっていることは、自分が代表の時に作成したマニフェストの見直しに反対したり、増税に反対して政権交代の原点回帰を主張しているだけで、今政権が困っている財源不足にどう対応しようとしているのかの説明がない。

そんな小沢さんが政権につけば、急に政治が進むのか。

人気度も低く、小沢さんが担いだ候補者ではない野田さんが、代表になり首相に就こうとしている。華は無く、財務省の言いなりと言われているが、どの程度期待できるのだろうか。

野田さんの代表選中の主張は、支持層拡大のため(?)に主張がブレた面もあるが、主張すべき点は主張していたのではないだろうか。今後は「実行する政治」を目指すというのだからやってもらおうではないか。

それでも民主党に付きまとうのは権力闘争である。いつも対抗馬の出た代表選後は「ノーサイト」を叫ぶが、いつも党内ゴタゴタが続く。要因の一つに小沢さんの存在、そして小沢さんを頼る議員グループが最大勢力を築いていることだ。

マニフェスト見直しか原点回帰か、それに関連しての3党合意、増税、復興財源、TPP,さらには大連立と党内主流派、反主流派の抗争は今後も耐えないだろう。

野田さんは、国会はおろか党内にも配慮しながらの政権運営を強いられることになる。

誰が総理になっても、この国難とも言うべき事態を解決していく事は至難の技ではない。大連立は無理だとしても、是々非々で広く会議を起こす事が大事である。

華もなく、面白みのない野田さんのように思えるが、人間味のあるいい人のようだ。お互いに信頼を取り戻し、本来の政治主導で「国民の生活」を守ってほしいものだ。

写真:野田新代表の記者会見 2011.8.29 NHKテレビより

2011年8月28日日曜日

民主党代表選:議員一人一人が責任を持った行動を








民主党代表選の候補者5人の苦悩は、今の民主党を二分するほどの苦悩をそのまま反映している。2009年のマニフェストの見直し、小沢さんの復権をどうするかだ。政権交代の理念を変えた訳ではないと「国民の生活が第一」を改めて主張し、党内抗争を隠蔽するために「全員野球」、「一致団結」を言い出す。

代表選に向けて、数を確保するために最大グループの小沢さんに擦り寄り、マニフェスト見直し、増税問題、小沢さんの党員資格停止など、その政策主張も歪曲化されようとしている。

特に子ども手当などのバラマキ廃止の3党合意を、小沢、鳩山グループに支持された海江田さんが見直しを言及するに至っては、海江田政権が出来たとしても、野党の協力は得られず、第3次補正予算などは組めない。民主党政権の行き詰まりは目に見えている。

逆に、反小沢グループから新しい代表、総理が生まれても、マニフェスト見直し、増税などで最大グループの反対に会い党運営は厳しいモノになり、政権は立ち往生するだろう。

親小沢、反小沢どのグループから代表、総理が出ても政権の運命は同じだ。

それでも総理を目指し5人が立候補したと言うことは、今度が本当の民主党最後の政権になるため、無理難題があっても挑戦しようと言うことか。今回の民主党代表選に当たって各候補の政策、考え方をメデイア報道で見るにつけ思考基準が内向き過ぎる。

そんな政権に国を託すしかないのか。

民主党議員は、所属グループのシガラミに左右されず、一人一人が信念を持って代表を選び、これからの選択に責任を持つべきだ。

そして、一刻も早く国民に信を問う事だ。

写真:民主党討論会 2011.8.28 NHKニュース7 親小沢vs反小沢の構図がある以上、どちらの側から新しい代表、総理が選ばれようと、民主党政権は早晩行き詰まる運命にある。政治空白をつくらないためにも、思い切って解散・総選挙に打って出ることがすっきりする政局ではないか。

2011年8月27日土曜日

求められる代表、首相:難しい課題を先送りしないリーダー







求めていた法案成立で、一定の目処が立ったとして、やっと菅総理の首相退陣会見があった。この3ヶ月は居座りによる政治空白と批判されたが、菅さんは「やるべき事はやった」と胸を張り、次の代表、首相には難しい課題を先送りせず進めていくリーダーと言いきった。

「菅さんにこんなリーダー像を聞くとは」と思う向きも多いだろうが、菅さんは国民の嫌がる課題にも果敢に取り組んだと言う自負があるのだ。100%とは言わないが、間違いのないことをやってきたと言ったこともある。

確かに菅さんには相反する評価がある。TPP、消費税増税、脱原発など何ら根回しもせず唐突な政策発表で進むどころか中途半端になっている政策が多い。復興会議の議長だった人がソウルで「市民運動出身のために能力に限界があった」とコメントしていたが、政治主導の履き違いで、官僚を遠ざけ、内閣府参与を重用した政権運営は、多方面から批判されている。

シカし、一方で原発事故時多くの自衛隊員を救援に派遣したり、再生エネルギー特別措置法で外部からの電力を電力会社が買い取ったり、赤字国債発行を可能にする特例公債法の成立は、菅さんが居座りで「退陣条件」にしなかったら成立する見込みはほとんど無かったのだ。

社会保障と税の問題も財務省に唆されたと批判されたが、先の参院選の敗因原因でもあった唐突な消費税上げ表明でも分るように、財政再建に政治生命をかけていたのかもしれない。

菅さんはそう言った国民が嫌う政策にも、先送りせず言及していたことを、その後の中途半端な状態や選挙を気にしての他の国会議員の批判にもかかわらず、誇りに思っているのではないか。

メデイアや学者も、その必要性を主張するも菅さんの政治手法には疑問を投げかける結果で終わった。

菅さんは、市民運動出身者らしく次から次へ根回しなしに政策を打ち出して、国民の人気を取り戻そうとしたが、一向に支持率は上がらず、寧ろ居座り批判で下落する一方だった。

おまけに自身の外国人政治献金問題、疑惑のある政治団体に多額の資金供与の疑いが明るみに出て、クリーンさが化けの皮を剥ぐ結果にもなった。

菅さんが総理の座を辞する決心をしたのは、一定の目処が立ったからではなく、恐らく
この政治資金規正法違反事件などのスキャンダルのためではなかろうか。

民主党は決してクリーンな政党ではない。小沢さん、鳩山さんそして菅さんばかりでなく、次の候補煮上がっている前原さん、野田さんにも献金疑惑があるらしい。いずれが総理になってもスキャンダル追求が心配されている。

難しい政治課題を国民に訴えるにしても、政治家生命にも係わる政治資金問題をかかえていては、説得力を欠くことになる。

代表選候補者は、身の回りの検査し、国民に一抹の疑問も抱かせない自信が無ければ、辞退すべきである。

身を潔白にして、リーダーとして振る舞うべきである。



写真:民主党代表選 候補者共同記者会見 2011.8.27 NHK中継より

2011年8月26日金曜日

民主党は、凋落の道を歩むのか



菅総理退陣に向け、一致団結していたはずの民主党が、ここに来て主導権を狙う権力闘争に変わり、一歩間違えば凋落への道を歩むことになりかねない。最後まで国民を裏切る行動を取るのだろうか。否、再生への道を模索しているのか。

候補者乱立で混戦模様の民主党代表選は、各候補の政策で絞りきれず、グループの思惑、数の確保、更には候補者の次のステップ・アップ狙いもあってさながら権力闘争の雰囲気だ。

「クリーンで開かれた政治」を目指しての政権交代のはずの民主党が、最後の総理の座をかけた代表選で最も分かり易い(?)権力争いを演じている。

最も違和感があるのが、各候補者の小沢詣でだ。気をよくしたのか、最近の小沢さんは元気が良い。代表選候補者にその力を見せつけている。しかし小沢さんは党員資格停止処分中ではなかったのか。そんな人間が候補者としてではないけれども、大きな影響を与える行動を取っていることは理解しがたい。

各候補者も進めようとする政策は断片的には伝わってくるが、投票権はないとしても、どの候補にするかは絞りきれない。民主党議員はこれで、代表を選べるのか。

世界的にも重要な政治課題になっている「財政再建」にどう取り組むのか、これ一つ取ってみても経済状況を見ながら判断するでは、何時までも赤字財政を認めることになる。増税を言うと選挙に勝てないのは分っているが、国民にしっかり説明する責任が国会議員にはある。

党内で大きな溝になっているマニフェスト見直しに対して、2009年のマニフェスト回帰を訴えるが、その財源の確保をどうしようとしているのか。親小沢グループからの説明は全くない。ただ執行部に反対の姿勢では国民の理解は得られない。

民主党は、この代表選を経てどういう道を進むのか。

民主党再生への道の第一歩は、所謂小沢グループと言われている120~30人の民主党議員が、小沢さんの支持する候補者ではなく、自らの信念で選んだ候補者に一票を投じ、80人ぐらいが離反することから始まるのではなかろうか。

小沢、鳩山離れの程度が再生か、凋落かの判断になるが、古い体質の政治をやっているのであれば、結局は民主党は凋落の道を歩むしかない。

写真:民主党両院議員総会で退陣表明する菅総理 2011.8.26 NHK中継

2011年8月25日木曜日

民主党議員よ もっと自覚をもてないのか

民主党議員は、もっと自覚を持って自分の信条で行動できないのか。前原本名候補が出馬表明したことで、民主党代表選の争点がはっきりして来つつあると言えそうであるが、メデイアの報道を見る限りでは政権党の党員として総理を選ぶ自覚が全くない。

今、「この国難を挙党一致で乗り切る」と言うが、私達に映る姿は相変わらずの「親小沢vs非小沢」の構図で、国民そっちのけの人事抗争も含めた権力闘争で、小沢さんの復帰の是非が候補者の色分けに使われているほどの体たらくぶりだ。

民主党議員派自身をどう見ているのか。

小沢さんを盛り立てようとする議員は、この国難を乗り切るには小沢さんの指導力、リーダーシップが大事で、異口同音に復権を主張している。小沢さんにとっては、権力の象徴である「数」の増大、政治資金を通して権力を手中に収めることが最大の課題ではないか。

鳩山さんも訳の分らぬ事を言うが、うまく行かなくなると「宇宙人だから」と逃げる。政治理念はありそうだが、菅さんをペテン師と言うほど、自分もペテン師だ。

政局になると、現れては引っかき回す。そんな人間に連んで、どうしようと言うんだ。

世論調査で人気があるとみるや前原さんになびく民主党員も出てくるだろう。選挙の顔としても利用価値は大きいのだ。

しかし、考えてみよ。

有権者は国民全体の代表者として国会議員を選んでいるはずだ。2009年の総選挙では、自民党に変わる新しい「クリーンで開かれた政治」を期待し政権交代にかけた。その当時は騙されたとは思っていないはずだ。

ところが、我々が選んだ代表者が、古い体質の政治をひこずる権力者などに擦り寄って、権力闘争に引き込まれている。

民主党議員の行動基準はいったい何なのだ。まさか親小沢、非小沢ではあるまい。党に残るシガラミに左右されることなく、自らの信条で行動してはどうか。

特に、政権党としての自覚が必要であるが、それなくして国民の信は取り戻せない。

2011年8月24日水曜日

民主党代表選:総理選びを失敗しないために









自民党政権末期から、ここしばらく我が国は総理選びに失敗している。政治空白を作ることは勿論のことであるが、ここに来て格付け会社ムーデイーズにより、日本国債の1段階下げが発表され、その理由の一つに総理が頻繁に替わることが上げられている。

その影響に注目したが、東京円の値動きは小幅で、東証株価も8600円台で、大きな理由は欧米の経済の先行き不安定が上げられている。総理がコロコロ変わっても経済には余り影響しなくなったのか。

でも、やはり民主党代表選は総理を選ぶことでもあり、注目せざるを得ない。

今までの総理選びを見ると、政権党にあって世論の人気投票でトップを占める議員、今では40~50%を占める若者、無党派層に任期のある者を選んできたし、もう一つは小沢さんの担ぐ、小沢さんに都合の良い者が選ばれた。

しかし、結果は皆、短命な政権で、国任の新を失い政権は崩壊していった。

理由は何なのか。

小沢さんの担ぐ総理の場合は、いつも言われている権力の二重構造で、小沢さんに振り回され、挙げ句は放り出されて崩壊していった。

では、国民の人気度の高い者を選んで、どうしてダメになっているのか。その議員の発言、振る舞いなどで評価するのであって、決して政治力が分って人気を博しているわけではない。

政党の国会議員は、選挙が第一で、選挙の顔として相手に勝てそうな議員を選ぶのだ。政治力がどうかは二の次だ。

もう一つの選択肢は、「悪さ加減の小さいこと」だ。何らかのスキャンダルは抱えているので、それが一番小さそうな者を選ぶのではないか。

では、今民主党の中で「次の総理に相応しい人」と見られているのは誰か。「新報道2001(2011.8.21)」の成人男女500人によると、前原21.2%、板野11.6%、小沢7.4%、岡田7.2%、野田6.8%、海江田4.2%、そのほか候補者に名前が挙がっている人達は、これ以下である。

前原さんが優勢のように伝えられているが、人気度でも第1位だ。でも、「政策を散らかすばかりでまとめることはしない」と自民党側から批判されている。

前原さんが、長期政権を築くことが出来るのか。しっかり政策を聞きたいところだ。


写真:民主党代表選でのキーパーソンになった前原さん、小沢さん 2011.8.24 テレビ朝日 報道ステーションより

2011年8月23日火曜日

民主党代表選混戦で見えてきた党内事情

不出馬と言っていた前原さんが、急遽出馬を決めた事で候補者は出そろったが、これと言った実績、経験もないのにどうしてこんなに代表→総理を狙う議員が多いのか。菅総理が退陣の条件に「目処が付き次第、後を若い人に託する」と言った事も影響しているのだろうか。

ところで、民主党議員は民主党政権がいつまで続くと思っているのか。このまま衆議員任期一杯やれば、政権も維持できそうであるが、総選挙でもやれば民主党は野党に転落で、政権を手放すことになる。

来年9月の民主党代表選までの「つなぎ政権」だとか、「今度は待って本格政権を狙う」と言ってみたりしていたことを考えると、民主党にはまだ政権を維持できると思っていたようだが、もうそんなに甘くはない。

民主党政権は、長くても次の総選挙までである。

恐らくそんな事情もあって、前原さんは最後の決断をしたのだろう。他の候補が、数の確保で小沢グループに擦り寄り、小沢さんの復権をも匂わす中で、前原さんはそれを否定する。

代表選混戦は、民主党内事情をさらけ出し、前原vs小沢の様相を呈してきた。

勿論、小沢さんは党員資格停止の身分だ。直接候補者になれないが、最大多数のグループを背景に代表選を牛耳ろうとするのは当然だろう。

しかし、小沢頼みは世論では厳しい目で見られる。小沢さんに頼るメリットは何処にあるのか。2009年のマニフェスト回帰を主張するが、その財源となる根拠は乏しい。「政権に就けば何とかなる」と考えていた節があるが、今までどうして財源の確保を示せなかったのか。

自分は、党、政権の要職に就いていないからと言うのでは了見が狭すぎる。そんなちっぽけな人間を頼る民主党議員に愛想も尽き果てる。小沢グループがマニフェスト順守を言うのであれば、財源の根拠を明らかにして欲しい。

一方、前原さんにはある程度の好感は持てるが、「偽メール事件」「外国人違法献金」は誰でも心配になる。「あのメールは偽物だ」と政界では言われていたことだが、前原さんは「来週を期待してください」と何やら新しい根拠が示されるのではと注目したが何も出ず、張本人の永田議員(故人)は、衆議院予算委員会で「どういえば信用されるのでしょうか」と問いかけて周囲を唖然とさせたみっともない事件だった。

政治資金規正法違反は、金額の多少に関係なく、政治家生命に係わる問題だ。前原さんは認めて外務大臣を辞したが、事例は違っても小沢さんは秘書を含めて裁判闘争中だ。

裁判の結果を待たず、代表選で支持してくれれば復権のチャンスもあるとほとんどの候補者が言及するが、それでは今までが何だったのか。民主党としてのケジメはどうなるのか。
万一、そんなことになろうモノなら、民主党は完全に国民から見放されるだろう。

野田さんも、一番乗りで立候補を表明したが、「大連立」「増税」は受け入れ難いモノだった。財務省の言いなりと批判されるのは気の毒なことであるが、この人は決断力のない人だ。円高が進む中で、介入の声が挙がるモノの、「市場を注視する」との決まり文句で何にも出来ず、円高は最高値を更新している。

菅さんにしろ、野田さんにしろ、財務省との距離が近すぎることは政界では支持されにくい。

他の候補を見ても、グループの存在を誇示するため、あるいは代表選後の要職狙い、ステップアップのための無理な立候補だ。当然の事ながら20人の推薦人も確保できず退く者もいる。

今回の代表選が民主党政権の最後なのだ。各候補者が政策を訴え、民主党議員が個々の信念に基づき投票することを願いたいが、小沢さんに数を背景に引っかき回されては、民主党の明日はない。

2011年8月22日月曜日

三陸大津波:寺田寅彦随筆「津浪と人間」は、今も警告する



寺田寅彦博士の随筆は何時読んでも新鮮だ。今回「地震雑感 津浪と人間」が文庫本となり出版されたので購読した。その中の随筆「津浪と人間」は1933年の昭和三陸地震にあっての随筆で、今も十分に警告に値する内容のモノだ。

博士は、昭和三陸地震は、37年前の明治三陸地震による「三陸大津浪」と同様の自然現象が再び繰り返したのだと指摘する。過去に何遍も繰り返し、未来においても繰り返されるという。

今回の東北地方太平洋沖地震は、余りにも巨大な地震だったためか、大きな余震が続いている。予効変動もあって続く大地震が心配されているが、37年ごとにM7~8を繰り返し、30年以内に99%の確率と言われている宮城県沖地震の震源とは違うらしい。そうなると続く巨大地震、巨大津波の来襲は避けられない。

更に、気仙沼では10m以上の巨大津浪が1000年に1回の頻度で繰り返していることが、北大平川特任教授の調査で分ったという。今回の大津波も何ら「想定外」の規模ではなく、同規模の自然現象の繰り返しになるのだ。

ところで、この博士の随筆を読むと、80年前に、いまでも十分に通用する警告をしているのだ。

今、震災復興計画が進められている。住居を高台に移転する計画があるが、農地の関係で時間がかかるらしい。それこそ政治の力で何とかなると思うのだけれども、数ヶ月はかかるらしい。また高台に平地を確保するのも大変だという。

これ程巨大な津波被害を繰り返しながら、海岸近くの平地に街が出来た原因は何か分らないが、博士は見抜いていた。

曰く、津波に懲りて、はじめは高いところだけに住居を移していても、五年経ち、十年経ち、十五年、二十年と立つ間には、やはり何時ともなく低い所を求めて人口は移っていくであろう。そして運命の日が忍びやかに近づくと言う。

そこで、国の法令によって、恒久的な対策を設けることが出来ないかと考えるが、国は永続しても、政府の役人は入れ替わる。役人も変わるたびに法令も変わる畏れがある。その法令が不便なモノである場合は尚更だと指摘している。

政党内閣などというものの世の中だと尚更だとも言う。言い当てて妙なモノだ。

災害による警告記念碑を建てても、はじめは目の付きやすい所に立てるが、道路改修や地域開発であちこちに移され、山陰に埋もれないとも限らないと指摘する。

被災地には、記念碑として「これより下には家をたてるな」という内容の碑が立っていて、守った人は災害をのがれ、無視した人は災害にあったという。大きく明暗を分けることになった。

「自然」は、過去の習慣に忠実で、頑固に執念深くやってくるのだ。6000年の間に6回の繰り返しているのが、その証拠だ。自然ほど伝統に忠実なモノは無いとも言い切った。

一方、安全を無視すると、地震や津浪から災害を製造する原動力にもなると警告している。今回の地震、津波による福島第一原発事故による放射能被害は、巨大技術の恐ろしさを目の当たりにし、今もその被害に苦しんでいる。

そして、津浪の畏れのあるのは、三陸沿岸だけに限らない。太平洋沿岸を襲う大掛かりなモノがいつかは、また繰り返されるのだという。それは何時だか分らないが、来ることは来ると言うことは確かだと言い、その時は日本の大都市が将棋倒しのように倒される「非常時」なのだという。

少数の学者や博士のような心配性の学者が警告を与えてみたところで、国民一般も、政府の当局者も決して問題にしない。これが人間界の自然法則のように見えると言う。一度天災に襲われるときれいに諦める。そして滅亡するか復興するかはただその時の偶然の運命に任せるという事にする他はないという捨て鉢の哲学も可能だという。

今まで何回も津浪被害に遭いながら、どのようにして、いままで復旧、復興してきたのか分らないが、今回も力強く復旧できるのだろう。

最後に博士は、日本国民のこれら災害に関する基礎知識の水準を高めることが出来れば、その時初めて天災の予防が可能であるように思えると言い、「教育」の重要さを主張する。

津浪高さ6m、8mの対策は、巨大な防潮堤、避難場所の確保で対応を考えてきたが、これからは10m以上の津浪にどう対応するかだ。

寺田寅彦博士の警告は、今も十分に通用するし、何時読んでも新鮮さを感じる。

写真:6000年に6回三陸地方を大津浪が襲ったと報じる 読売新聞2011.8.22。文庫本は「地震雑感/津浪と人間  千葉編 中央公論新社 2011.7.25

2011年8月20日土曜日

民主党よ これが最後の政権の認識を





菅政権が民主党最後の政権と思っていたが、もう1政権に向け民主党代表選の候補者のニュースで持ちきりであるが,各グループの存続をかけた候補者選び、ベテラン、若手・中堅の色分け、そして数の確保のための小沢さん、鳩山さんのグループへの擦り寄り、これが民主党最後の政権になる可能性の認識に欠けた党内事情丸出しの乱立だ。

各候補者が、党員資格停止中の身ではあるが、党内最大グループを掌握する小沢さんに擦り寄る姿には、呆れかえるばかりだ。

この難局を切り抜けるためには、小沢さんの力、能力に頼らなければならないと言う考えがあるのだろうが、では今までの民主党政治は何だったのか。

おまけにマニフェスト見直しで、政権交代の根拠は大きく崩れている。やはり政権担当能力が無かったのかと判断されても仕方ない。

民主党政権も次の総選挙までだ。民主党も下野か、分裂の運命でしかない。

そこで、党内各グループのご都合で代表選をやるのではなく、今回が最後の政権の覚悟で代表を選ばなければならない。

小沢さんのグループだって、主役だとか、復権だとか鼻息の荒いことを言っているが、小沢さんで民主党が再生できるのか。野党の自民党だって小沢さんへの嫌気は強く、与野党協調に支障を来さないか。既に過去の人と思われる小沢さんが党存亡の危機に担がれるとは不思議な党だ。

代表候補乱立ではなく、最後のチャンスとして「この人がいる」つもりで代表選をやって欲しい。

すでに鳩山政権、菅政権で国民の信頼は地に落ちているのだから、旧態然とした代表選では国民の理解は得られない。

2011年8月17日水曜日

子ども手当は存続か、廃止か







特例公債法の審議と引き替えに、「子ども手当」の廃止が決まったとメデイアは報道し、私達もそう理解したが、「「子ども手当」存続します」、「誤解しないでください」というビラを民主党が配布した。赤字国債の削減の一端としての「子どの手当」の廃止が、与野党間で本当に合意が出来ているのか。

赤字国債の発行を認める法案なのだから、そのまえにムダの削減が必要だが、バラマキ4Kのうちでも「子ども手当」は民主党の看板政策であった。廃止となると民主党の面子も丸つぶれであるが、野党にとっては勝ち点になる。

それが、今になって「子ども手当は、存続します」と言われれば、あの合意は何だったのかと言う事になるので、合意内容を調べてみた。

3党合意の「子どもに対する手立ての制度のあり方について」(平成23年8月4日)を読むと、10月から見直しがされ具体的な支給額が提示されている。児童手当よりも増額されており、従来の児童手当では約1兆円だった規模が、2.2~2.3兆円になっている。

ただ、平成24年度以降の子どものための現金給付については、児童手当法に所要の改正を行なうことを基本とするという。

これが、「子どの手当」を廃止し、「児童手当」へ戻すという事になるのだ。

民主党には苦しい事情があるのは確かだ。マニフェスト見直しに根強い反対があることを考えると当然だろう。

民主党は5日に合同会議を開き、3党合意の経過説明を行なった。玄蕃政調会長は「国民の間には、児童手当に戻るような誤解があるように感じる」とした上で、児童手当約では
約1兆円であった処を今回の手当で2.2~2.3兆円に倍増したという。

城島政調副会長は「子どの手当の廃止は全くない。来年の4月から児童手当の復活が決まったわけでもない」と強く否定している。

民主党内では、「与野党の理解と協力を得て、子ども手当の廃止を回避した。また、恒久法として成立する見通しが立った」と理解しているようだ。

「「子ども手当」存続します」ビラでも、10月以降の「子どもに対する手当」制度を、新しい「子ども手当」と表現しているが、看板政策であった「子ども手当」の名称はつなぎたいようだ。平成24年度以降は児童手当法の改正になるが、果たして「子ども手当」の名称はどうなるのか。

自民党は、8月9日の3党合意を受けた谷垣総裁の記者会見で、子ども手当の撤回など歳出見直しに伴う減額措置など・・・・3党間の幹事長で確認したという。あくまで子ども手当は廃止の認識なのだ。

民主党は、子ども手当の廃止を理解しているが、表向き言えない事情があるのか、看板政策として廃止出来ないのか。これから新体制のもとでも波紋を広げる事になるのか。


写真左:民主党が配布した「「子ども手当」存続します」ビラ

写真右:3党合意「子どもに対する手当ての制度のあり方について」 平成23年8月4日

2011年8月16日火曜日

今後の政局安定には、どんな新体制でも、がっかりしないことだ




やっと菅さんも辞する覚悟をした。これからの政局で大切なことは、どんな新体制にもがっかりしないことだ。未だ衆議院で圧倒的多数の議席を持つ民主党の代表選に注目が集まっているが、大連立の可能性、増税の是非それにマニフェスト回帰、小沢さんの存在が絡んで混沌として来る。

6~7人が候補者に名を連ねているが、本当に国のリーダーとしての力量を持っているのか。


主流派、中間派、反主流派で、さらにはグループで色分けされ候補者を擁立できるか、新しい体制での役職狙いが見え見えで、何がやりたいかなどは二の次だ。

一方、自民党はと言うと、もし選挙になれば民主党に勝てる処まで来ている現状では、大連立か、閣外協力かで主導権争いの様相を呈しているように見える。

たかが民主党代表選ではない。代表=総理の可能性がある以上は、全国民がそれぞれの候補者の政策に注目すべきであるが、その代表選スケジュールがあやふやで国民に十分な政策を訴える機会が少ないらしい。

先の代表選のように35万人の党員、サポーターによる選挙だと民意も反映されようが、国会議員による選挙になれば、数の力になる。

小沢さんが言うように政治は闘争だから1人でも多くの数を確保した方が勝つ。そのためには、なりふり構わず各グループ・派閥に接近することになるが、自ずと政策は玉虫色になってくる。

その結果、政策の詰めの段階で曖昧さが仇になり、政局は混乱する。

或いは、小沢さんのごり押しで「何であの人が」という結果になるかも知れない。マニフェスト順守は与野党協調路線に水を差すことにもなる。

菅政権が未成熟政権で政治空白を作ったと批判されるが、だからといって今後マシな政権が出てくるかというとそうとは限らない。

政治の基本は、「数合わせ」であることに変わりはないからだ。

待ったなしの政局が続くが、今後の政局で大事なことは、どんな新体制であれ、がっかりしないことだ。

2011年8月15日月曜日

米国債格下げ:クルーグマン教授のS&P批判に同感

S&Pの米国債各下げは、株価や為替を混乱させているが、朝日新聞(2011.8.11)のクルーグマンコラム 「問題は算術でなく政治にある」にあるS&P批判には同感である。クルーグマンは、経済学ではなく、政治に問題があると言うが、日本でも当てはまることだ。

クルーグマンは二つのことを指摘している。よく言われている事だが、米国は基軸通貨であるドルを持っているが、世界経済にあって信頼できる国ではない。そしてS&P自体が米国以上に信頼できないというのだ。

その理由に、米国の大規模な財政赤字は、2008年の金融危機とそれに続く経済危機への対応でもたらされたモノであるが、その引き金となったのは、不動産担保証券の「AAA」の誤った判断を与えたことだが、そればかりではなく世界規模のリーマン・ショックを世界経済に与えたリーマン・ブラザーズに対しても「A」を与えていたが、S&Pは、「何ら悪いことはしていない」と強弁する厚顔無恥さを批判している。

コレも新聞で報道されていたことであるが、S&Pは債務残高の計算に2兆ドルの間違いが見つかり、財務省が抗議したが、結局は格下げしたという。2.4兆ドルの赤字削減が大変だというのだから2兆ドルって大きい額だ。

クルーグマン教授は、予算の専門家なら誰でも正しく見極めることが出来て当然で、それでも格下げをした判断は、ほとんど信用が出来ないと主張する。

また、格付け会社は市場予想の後追いで、債務支払い能力に関する真っ当な理由を私達に示していないともいう。今回も米議会の混乱なども絡んで、新聞はデフォルトの可能性まで指摘していた。その後で格付け会社は、格下げを決定したことになる。

更に、格付け会社が格下げしたからと言って何ら心配することはない。2002年にS&Pにより格下げされた日本を見てみろと言う。

日本の債務残高は、約950兆円、米国は約1130兆円だが、日本の国家予算は92兆円、米国は約200兆円だ。日本の方が厳しいと思うのだが、円高基調は変わらない。

クルーグマン教授は、新香君9院受け読める必要はないというのだ。

でも、経済学での米国の財政問題の解決は難しくはないと思うのだが、難しくしているのは政治だという。信頼するに値する政策をことごとく妨害する過激主義者を打倒し、追いやることが出来るかどうかだという。今回の米議会のゴタゴタの原因だった共和党のテイー・パーテイーのことを言っているのか。

政治が問題なのは、日本にも言えることだ。

財政再建は、誰が総理でもやらねばならないことであるが、安易な増税には抵抗が大きい。特に国会議員は選挙で増税を言うと落選の憂き目にあう事は分かり切っている。過去にも総選挙で増税を唱えて敗退した事例は多い。

徹底した無駄の排除、余剰金の利用などで一時的には対応で起用が、将来的には増税は大きな政治課題だ。国会議員は責任を持ち選挙民と対さなければならない。

格付け会社の格付けは、世界経済を混乱に巻き込む危険がある。その分しっかりした説明責任を果たすべきだ。厚顔無恥では許されない。

2011年8月10日水曜日

熊野詣で知った紀伊半島の津波防災









































いつか行こうと思っていた熊野古道と熊野詣でに行ってきた。世界遺産として興味があった事もあるが、次ぎに起こるであろう東海、東南海、南海の3連動型巨大地震、更にはコレが最近ではもう一つの震源があり4連動型地震という超巨大地震の可能性もあり、地域がどう対応しているのか知りたかった。今朝(10日 8:13)も「この間の和歌山県北部を震源とする震度4、M4.6の地震が発生した。

紀勢大内山ICを出て42号を那智勝浦に向かう途中の紀宝町のウミガメ公園で、「地震・津波・避難 ゆれ1分 高いところに直ぐ避難」の看板が目に入った。海岸縁で防風林もあるが、大きな津波では緩衝にはならないだろう。従業員の人が誘導するのだろうが、避難方向、場所は表示されていない。

宿に着いて仲居さんに「この間の地震はどうだったんですか」と聞くと、「海水は引いたんですが、大したことはなかった」という。気象庁が作成した「平静23年東北地方太平洋沖地震」による津波観測値では、この辺りは1~3mだ。

翌朝、町を歩いてみた。宿の裏の海岸では老朽化した堤防の緊急工事が進んでいた。那智勝浦町役場に行って聞くと「低いところはこの辺から高いところは天井まで浸水した」という。20cm~3m位のようだ。地区によってかなり被害が異なるらしい。

資料として、「那智勝浦町 津波防災マップ」をもらった。和歌山県が作成した津波浸水予測結果(平成16年)を元に作成したモノだ。3つの地震が連動した場合紀伊半島南端沖を中心とするM8.6の地震発生が予測されている。

このマップによると、那智の浜では6.1mの津波が13分後に、勝浦湾では3.8mの津波が13分後にやってくるという。予想浸水深さ毎に色塗りされている。避難場所も海抜12.6mの小学校や防災公園、海抜6m前後の公共施設が指定されている。でも昭和19年12月7日の東南海地震での津波潮位が+6.5mを考え、3連動を考慮すると、10~15mともっと高い津波ではないかと思うが。

町民が住んでいる地域の「海抜は○○m」の表示も、漁港近くの足湯で1.9m、銀行で2mなどこまめにされているようだ。魚の加工工場の壁に「この地点は海抜3mの高さです」との表示板がある。向こうの小高い山が海抜12.6mの避難場所だ。

道路の分離帯にも「高いところに直ぐ避難 予想津波浸水深さ2m」という「津波注意」がされていた。海岸寄りだったので、海とは逆の山の方へ走ることになる。地震が起きて津波が来るまで13分ほどだが、逃げる時間は十分なのか。「まず高いところに避難」は当然としても逃げる時間がない。東北地方太平洋沖地震でも30分位はあったと思う。

帰ってインターネットで関連する資料を探すと、和歌山県知事が、現在権が進めている防災計画を見直す方針を示したという(MSN産経ニュース 2011.3.17)。新宮市もHPで津波ハザードマップ見直し中と表示されている。

和歌山県の津波ハザードマップ作成に係わった和歌山高専の准教授によると、東海・東南海・南海地震も連動して起こる事を考えて想定規模をM8.6としたが、M9ならば波の高さは単純計算でも2倍になるという(同上)。

そう考えると、那智の浜は12m、勝浦湾では7mを越えることになる。今避難所に指定されているところも危ない。東北地方太平洋沖地震の被災地を同じことになる。

ところが最近、東海、東南海、南海地震の他に、もう一つの震源があり、4連動地震になると津波の高さは15m以上になるというのだ(「震度5弱 異例の続発 4連動のリスク」2011.8.7 フジテレビ Mr.サンデー)。

もう一つ考えなければならない大事なことがある。

大津波警報が出され、避難指示・勧告が出されて従った人は、避難対象者のたったの1.6%に過ぎなかったことだ。ハザードマップが見直され、津波の高さが2倍以上になると、避難対象者も増えるはずだ。周知徹底、災害教育はいつも言われることであるが為政者の思うようにはいかないモノだ。大きな犠牲が出て初めて分るのでは遅すぎる。


写真上段左:町のいたるところに表示されている海抜○○m表示 無効の小高い山に避難所、防災公園がある 2011.8.9 那智勝浦町内で


写真上段右:道路の側帯に「予想浸水深さ2m」の津波注意の看板 那智勝浦町内 2011.8.9


写真中段左:東南海・南海地震の津波の高さ 3~5m


写真中段右:那智勝浦町津波防災マップ


写真下段」4連動型地震の可能性 津波高さは15mを超えるという 今のハザードマップは見直し必要がある 2011.8.7 フジテレビ Mr.サンデー

2011年8月7日日曜日

もう止めよう菅総理の「続投意欲」関連記事



菅総理の「続投意欲」を匂わす発言、記事が相変わらず続く。6日の広島・平和記念式典の菅総理の挨拶にあった「原発に依存しない社会を目指す」文言が、続投意欲の表れではないかとの憶測が飛び交っているが、詮索せず読めば当たり前のことを言っているだけだ。

こんな憶測記事を読んで喜んでいるのは、「政治ゲーム」を楽しんでいる菅総理だけで、国民はもううんざりしているのではないか。

原発は無いに越したことはないが、古い原発から廃炉にしていきながら新しいエネルギー政策を模索し、脱・原発に持っていくべきで将来の話だ。唐突に脱原発を言っても市民運動では理解されるも、政治的には絵空事だ。

菅総理は、今回の事故を鑑み国民の考えが変わって、政権延命の契機になるのを期待しているのではないか。そうだとしたら判断が甘い。今回の平和式典での参列者の意見をテレビで聞いていて、核兵器としての原子力と原発に対しては一線を画っしているようにも思える。

メデイアは、菅総理の「続投意欲」観測報道を辞めたらどうか。報道記事の価値が落ちる。

菅総理を選んだのは、民主党議員、サポーターなど35万人の投票だ。国民の直接の信を問うた結果ではない。

菅さんを代表に選んだ民主党は、責任を持ってこの政界の脱力感を払拭すべきである。菅総理を早期に退陣させようと、野党との交渉で譲歩を続ける岡田さんの努力も分るが、菅退陣のために政策を歪曲化させては国民を裏切ったことになる。

民主党執行部、閣僚一人一人が責任をとり辞職すべきである。何時までも菅政権にしがみつき国益を害する政治状況を作っている責任は大きい。

写真:平和式典挨拶でも「続投意欲」模索記事 2011.8.7 読売新聞

市場予想、格付けが、世界経済を揺さぶり続ける







国民が職を得て、消費が上向けば経済は回復軌道に乗ったと予測できる。多くの投資家がエコノミストが発する予想、政府が発表する雇用統計、消費者物価指数など経済指標に注目するのは当然だが、先行き不透明感が高まっている今、もたらされる数値に株価、為替が大きく動揺している。

そして、今回のスタンダード&プアーズによる米国債の初めての「格下げ」は、すでに市場は織り込み済みと言う見方もあるが、市場にどう影響与えるか予想が付かない。

経済指標、統計値は勿論であるが、株価、為替が敏感に反応する「市場予想」って何なんだ。

今回の世界同時株安の要因は、米国の財政再建に絡んだ債務上限引上げと赤字財政削減問題での議会の混乱、欧州中央銀行のトルシェ総裁が「先行き不透明感の高いのは、ユーロ圏だけではない」と世界経済の先行き不安に言及したからだ。投資家は当然に、米、欧の経済の異常に注目することになった。

それに加えて、市場では米の資産運用会社の社長が「7月の雇用統計はあまり期待できない(日経 8/5夕刊)」と、8月、9月になるまで大きな改善はないと発言した。

その注目の米・雇用統計は、失業率は市場予測は9.2%だったが、9.1%で0.1%の改善だ。雇用も市場予測は8万5000人増だったが実際は11万7000人増で市場予測を上回った。

当然、株価、為替に+効果が期待できたが、如何にせんここ数日の株価下落、ドル安で打ち消された感じだ。

市場予想は、金融機関、エコノミストの予想。

SankeiBrizによると、スペインの4~6月GDPは市場予想を下回った。スペイン銀行もGDPの減速を予測していた。イタリアは市場予想と一致したという。コレは、エコノミスト20人を対称にした調査で中央値と一致したのだ。

Yahooファイナンスによると、豪州の4~6月期のCPIは、市場予想の前年同期比で+3.4%を上回る+3.6%になり、外国為替市場では豪ドルが急騰したそうだ。
一方、米国のGDPは1.3%増で、市場予想を大きく下回った。

世界経済は、市場予想、統計値、経済指標値で大きく動いている。政府が発表する統計値等は、それにより政府が経済運営の責任を追及されるので責任ははっきりしているが、市場予想の信頼性の是非、その責任を誰に問うのか。

エコノミストに騙されないようにするにはどうすればいいのか。あるケインズの高弟が、「どうして経済学を学ぶのか」と聞かれ、「経済学者に騙されないためだ」と答えた事を経済書で読んだ事がある。一喜一憂するのも疲れる話だ。

そして、今回のスタンダード&プアーズの米国債格下げだ。米国債をAAAからAA+に下げると発表した。

米・政府も黙っていない。資料を精査したら2兆ドルもの債務計上ミスがあると反論したが、格下げの根拠は、今の財政赤字削減では財政再建は不十分と見ているところにあるようだ。

この初めての格下げが、世界経済に与える影響は8日からの市場の反応を見るしかないが、他の格付け会社のムーデイーズ、フィッチは当面変更しないと言う。

格付け会社により判断基準が違うようだが、スタンダード&プアーズはその判断の責任をどう感じているのか。格付け会社は、国や企業が借金を約束通り偏在してくれるかどうかを独自の基準で判断すると言うが、今の経済情勢の下での赤字削減の影響、軍事費削減、医療費削減などが社会に与える影響、世界経済への影響をどう考えているのか。

あのリーマンショックの引き金になったサブプライムローンに高い格付けをしていたのも格付け会社だ。決定にはそれなりの責任がついてくるモノだ。

折しも、悲観的レポートで市場を動揺させたと言うことで、イタリア検察が格付け会社を捜索したという。S&Pとムーデイーズが「政党でない悲観的レポートで株式市場が揺さぶられ他可能性がある」として消費者団体が検察に告発したのだ(asahi.com)。

格付け会社の社会的責任を規制などを含めて、はっきりさせる必要がある。

しかし、今の経済は難しい局面が続く。「人々が消費し、雇用を増す自立的循環が戻るには時間がかかる」と言ったのはオバマ大統領だ。

写真左:格付け会社のスタンダード&プアーズ 2011.8.6 MSN産経ニュース

写真右:米国債の格下げ 2011.8.6 読売新聞夕刊

2011年8月5日金曜日

米国発世界同時株安:投資家は、どうして持ち堪えられないのか













オバマ大統領よ、何とか出来ないのか。投資家はどうしてもう少し持ち堪えられないのか。そう言いたいところであるが、世界経済の先行き不透明感から世界的規模での株安、米国の債務上限引上げ問題から来る基軸通貨の信用低下でドル安、円高が続いている。

東京株式は、ほとんどニューヨーク株式に影響をされる。過去9番目に当たる512ドルの大幅下げを受けて、東京株式も300円を超える下落だ。

円高も77円台の過去最高の円高を回避するために、単独介入し一時、80円台まで下げたが、円の買い戻しで78円台まで戻っている。大方が単独介入の効果に否定的だったが、そう通りになった。

円高対策が後手になっているとの指摘は以前からあるが、菅総理が財務相だった時が91円ぐらいで、理想は90円台中ぐらいとコメントして顰蹙を買っていたが、それからもう13円も高くなっているのだ。

でも、面白い見方をするエコノミストがいた。実質ベースでは大幅な円安なのだという。
95年4月と11年6月を比べて、ドル円レートは、それぞれ83.7円、80.5円であるが、米国の物価は100に対して150となっており、実質ドル円レートは83.7円に対して現在は120.7円だというのだ(2011.8.4.テレビ東京 WBS)。

米国経済も持ち直すので、円安傾向は続くだろうと予想している。でも投資家はそう言う見方をしない。

米国経済の減速懸念もあって、期待に反して円高だ。日本はまだ安全という意識があるのか、株が下がればドル安、円買いになる。

しかし、日本は決して安全ではないのだ。米国は14.3兆ドルの債務上限に近づいたということで2.5兆ドル引上げで民主党と共和党が駆け引きで揉めた。日本だって秒速170万円で債務残高1000兆円に迫っている。米国も債務が約1130兆円であるが、米国の国家予算は約200兆円なので約5倍、日本は92兆円なので約10倍だ。

コレでも日本は、まだマシなのか。国債の94%位は国民が持っており、国民の資産約1400兆円を考えると、まだ数年は大丈夫という見方なのだが安易過ぎないか。
投資家の運用資金は株価が下がれば、日本の国債に向かう。債券市場での長期金利は下がる。

更に、米国の財政再建は厳しい。2.5兆ドルの引上げが認められたとしても、それに匹敵する2.4兆ドルの赤字削減が要求されているのだ。

小さな政府を標榜する共和党にとっては、当然の要求かも知れないが、この財政再建が、経済の足を引っ張りかねない。来年の大統領選を見据えての事だろうが心配の種だ。

株価、ドルは、米国の発表される経済指標、統計資料に大きく影響する。5日に発表される7月の雇用統計が市場予想を下回れば、ドル売りは続くという。

ところで市場予想って誰が作っているのか。国の統計値は莫大な情報から作成されているはずだ。それを民間の機関が予想した数値と比較するなんて無理な話ではないのか。そんなことで株価や為替が変動しては堪ったものではない。

以前、エコノミストが自嘲気味に行った言葉に「予想はうそよ」がある。予想を逆に読むと「うそよ」と言うことになる。

機関投資家が、毎日の売り買いで利益を確保するのも分るが、じっくり持ちこたえて経済の安定、企業を育成することも大事ではないのか。

写真上段左:5日発表の米の雇用統計次第では、また円高に向かうという 2011.8.5 NHKおはよう日本

写真上段右:単独介入を発表するのだ財務相 2011.8.4 民放テレビニュースより

写真下段:過去の介入結果を報じる NHKおはよう日本 2011.8.5

2011年8月4日木曜日

「菅降ろし」のはずが、民主党分裂、自民党主導権争いの危機













民主党の看板政策であった「子ども手当」の廃止で、政局は8月中の官退陣へ向けて進んでいるように見えるが、「菅降ろし」のはずが、民主党は分裂、自民党は主導権争いの畏れが出てきて、コレではポスト菅が思いやられる。

「菅降ろし」で政治は前に進むと思っていたが、菅政権と、まだ見えてこないポスト菅政権の悪さ加減を比較することも難しくなってきた。

「子ども手当」は今年度末で廃止し、今までの自公政権時の「児童手当」を復活させることで、民主、自民、公明が合意したという。

子育てを社会全体で見ていくための、税額控除から直接給付への理念は間違っていなかったが、財源不足のためには仕方結果と見る向きが多いが、看板政策の廃止だけに民主党は意見が二分している。

岡田幹事長は、子育て世代には大きな支援になっていると胸を張るが、復興財源に振り向けるために所得制限を設けたと意義を主張する。

しかし、小沢、鳩山さんは黙っていない。マニフェストの理念は消えた。「子ども手当」は私達の命と不満この上ないし、お盆までの今月半ばまでに、一致して退陣させるべきだと小沢さんは宣戦布告だ。

来るべき民主党代表選では、脱・原発、増税の是非、そして「子ども手当」が争点になるだろう。菅執行部と180°違う政権交代の原点復帰政策が争点になるだろう。

民主党内の権力闘争次第では、小沢、鳩山グループの離党が現実味を帯びてくる。

一方、自民党だって騒々しくなるだろう。

民主党執行部と協調路線を進もうとする大島副総裁らのグループと、民主党の他のマニフェストの見直しも要求しようと強硬路線をすすむ若手、中堅グループの思惑は大きく隔たっている。

肝心の谷垣総裁は、「政権交代の正当性が大きく損なうことになったのだから、選挙で信を問う必要がある」と解散、総選挙を主張するが、選挙の顔となるはずの谷垣さんの人気が、石原、石破、河野等に比べて遙に低いことも悩みのタネだろうし、自民党改革も進んでいない。

週刊誌などでの選挙予測も民主党300議席から100議席へと大きく議席を減らす予測が出ている。自民党は選挙に持って行きたいだろうが、民主党はどうなのか。菅総理も「憲法に規定する権利は知っているとか」、「憲法に記された権利の範囲内でやっていく」と、解散権をにおわすが牽制だろう。

政治の混乱は、まだまだ続く。「菅降ろし」でまとまっている今が、一番安定していると言うと皮肉になるか。

写真上段左:自民党本部 ポスト菅でベテラン議員と若手、中堅議員で主導権争いが勃発する危険

写真上段右:子ども手当て見直しで民主党、自民党、公明党で正式合意 2011.8.4 NHKニュース7

写真下段:民主党本部 子ども手当ては看板政策自分たちの命と言う 政権交代原点復帰で分裂の危機 

2011年8月3日水曜日

東京都発電所建設検討:消費地立地、電力事業の検証に役立つか



2日のNHK首都圏ニュース8:45で、東京都が天然ガス発電所建設の検討プロジェクトを発足させたと言うニュースを知った。首都圏への遠方からの発送電を改善する消費地立地(地産地消)、電力の高コストなど独占的電力事業への検証に役立って欲しいと思うのだが。

今回の福島第一原発の事故で、「東京のために犠牲になった」、「安全というのであれば、東京の近くに建設しろ」と言う周辺住民の感情、次々に明らかになってくる「原子力村」を基盤とする原発に係わる不祥事、更には理解が難しい発電コストと高い電気代、電力事業には、公共事業と言いながらも不透明な事が多すぎる。

石原都知事は、事故後早い時期に、東京での発電所建設の必要性を問うていた。原子力発電1基分、100万kW規模の天然ガス発電所を東京湾埋め立て地に建設するというのだ。菅総理が主張する太陽光発電は、メインには為らないともいう。

国のエネルギー政策への不信、電力不足で産業界の海外避難による産業の空洞化を考えると、正論に向けて一歩前進なのだろう。

しかし、官が参入して大丈夫か。

学生時代に読んだ本で、独占企業の暴利を貪る経営を抑制するために、官が競合会社を設立する事例が出ていた。どんな業種だったかは出ていたと思うが、結果がどうなったかは記されていなかった。

普通は、官の事業に私企業が参入し、サービス、コストダウンを追求する事例であるが、今回は地域独占企業の電力事業に東京都が参入することになる。東京都だって官だ。

悪しき前例もある。新銀行東京は大銀行が手を出さない中小企業を相手にして設立されたと思うが、結果は大赤字、経営の公開もままならなかった。

官は、「隠す」、「責任を持たない」、「ノー・ハウを持たない」が常識だ。

官の悪例を跳ね飛ばし、消費地立地、電力事業の検証に役立って欲しい。

写真:東京電力本社 東京都発電所建設で地域独占事業に楔を打ち込んで欲しい

2011年8月2日火曜日

菅総理 あなたの狙いは何なんだ

「菅総理、あなたの本当の狙いは何なんだ」と問いかけたい状況が続く中で、2日の新聞に「首相続投発言」の記事が載った。何のことなんだ。国会の予算委員会審議での発言かと思ったがそうではなさそうだ。他の新聞で、江田法相などグループ議員の会合で、「特例公債法案が成立しない場合は、9月以降も続投する」と言ったらしい。

3つの法案の目処が付いた時点で、若い世代へ引き継ぐことを退陣時期と表明したのだから、そのうちの重要法案である特例公債法案が成立しなければ、退陣の条件は整わないことになる。

しかし、菅総理自身が3つの法案を成立させるために自ら汗をかいているのかと言うと、そうとは思えない。岡田執行部が野党を相手に法案成立に向けて努力しているが、それに水を差すような行為が目立つ。

自らの政治献金疑惑でも領収書の提出は拒否するし、疑惑の政治団体への資金提供でも、国民が納得のいく説明は出来ていない。

信頼関係が無くなってしまった菅総理に対して、大方は「退陣せずに続投だろう」という諦め感が漂うが、野党にとっては人気の全くない菅総理続投の方が選挙では優位に立てると見る向きもある。

しかし、こんな政治環境は、国民にとっては迷惑な話だ。

外交面でも、オバマ大統領提案の日米新共同宣言の策定が予定されていたが断念することになったという。その理由が政治の機能マヒと言うから黙ってはいられない。

こうまで言われながら居座りを画策する菅総理の狙いは何なんだ。

菅総理は、唐突ではあるが重要な政策を次々に打ち出している。しかし、十分な検討がされていないために、TPP、復興計画、社会保障と税改革をはじめ、中途半端に滞っている。財政赤字だって、債務上限問題であれほど騒がれた米国であるが、日本もそれ以上に厳しい状況でありながら先送りの菅がする。

菅総理は、重要テーマを掲げているが、自ら推進する積もりはなく後の政権で持ち上がったとき、「その政策は菅政権で手がけらたモノだ」と歴史に残したいだけではないのか。
今、国会は菅総理の存在自体が、政策推進に障害になっている。菅総理が退くこと自体が、菅総理の政策提案の評価を上げることであるが、今は逆であることを菅総理は気づいているのか。

なでしこジャパンに国民栄誉賞を贈ることが決まった。国民に「さわやかさ」を与えてくれた功績だと言うが、政治でも「さわやかさ」が欲しいモノである。

2011年8月1日月曜日

弥生台の里山:残すべきはホタル生育自然か、墓地か




































TBS噂の東京マガジン(2011.7.31)で、横浜市泉区の弥生台の森で、ホタルの生育環境を守るため墓地建設に反対する住民運動が立ち上がっていることを知った。ホタルと墓地の奇妙な組み合わせだったが、都市開発が進む中で、そんな里山が残っていることに興味があり早速現地を訪れた。

JR横浜駅で相模鉄道いずみ野線に乗り換え弥生台駅で下車、南口を出ると左手に森が見えた。ここが現地だ。

入り口付近に「墓地建設反対」の看板があって、建設予定地付近の地図も掲げられている。「亀谷戸せせらぎ」と言うらしい。里山は50,000m2の市街化調整区域で、ホタル、サワガニやトンボの生育地になっているという。

せせらぎ沿いに歩いていくと、「ホタル生育地域 自然を大切にしましょう」との看板が立っている。里山のあちこちからの湧水がせせらぎになって流れ、サワガニがゆっくり這い、トンボが縦になり上下動し、尻尾を水面に付けたり離したりしている。他にカワニナ、ドジョウ、カブトムシなど100種以上の生物がいるらしい。

問題の墓地建設を知らせる「墓地の設置計画のおしらせ」の看板が出ている。開発面積は2,681.87m2、工事着工予定は平成22年9月21日、完工予定は23年1月31日。予定どおりならもうできあがっているのだが、住民の反対で着手も出来ないようだ。

山林の中に入ってみた。高木が生え地面は軟らかそうだ。葉っぱが落ち枯れた腐葉土が層になっているようだ。保水も良いので、植物の生育には適している。

地形は周囲が急勾配の傾斜地で窪地になっている。恐らくこの窪地部分に墓地を造成しようとしているのだろう。隣接地が墓地になっているが、この場所が墓地に適しているとはとても思えない。

工事は自然環境を大きく壊す。まず高木の伐採、工事車両、資材の搬入道路、軟弱地盤の地盤改良、整地、のり面保護等を考えると、自然環境は大きく変わる。今ある「せせらぎ」は保存するとしても地下湧水脈は壊れるだろうし、豪雨時の対策も考えなければならない。

ホタルが生育する自然環境を守るには、墓地開発を止めることだ。

「噂の東京マガジン」では、高齢の土地所有者は、相続税対策などで売りたい。一方お寺は墓地の確保をしたい。売り手と買い手が一致しただけのことであるが、お互いに悔いを残す結果にならないか。

更にこの自然環境を守りたい地域住民だって、他人の土地の所有権を制限してまで、保護を強いることへのはかなさも感じるだろう。

一番良い方法は、「市民の森」と指定し、市が買い取ることだろうが可能かどうかは分らない。

数少なくなっていく都会での自然環境保護地の所有者、行政、地域住民が協力してやっていく必要があるが、土地所有者の自然保護意識は重要だ。


写真上段左:里山原風景 田舎では良く見かけるが、都会で保存されているのには驚く


写真上段右:計画地の地図 「墓地建設反対」の看板とともに表示されている


写真中段左:山林内の建設予定地周辺


写真中段右:里山周囲を流れる「せせらぎ」 カワニナ ドジョウ トンボ サワガニなどが生息 


写真下段:ホタル生息地の表示がいたるところに表示されている