2011年8月1日月曜日

弥生台の里山:残すべきはホタル生育自然か、墓地か




































TBS噂の東京マガジン(2011.7.31)で、横浜市泉区の弥生台の森で、ホタルの生育環境を守るため墓地建設に反対する住民運動が立ち上がっていることを知った。ホタルと墓地の奇妙な組み合わせだったが、都市開発が進む中で、そんな里山が残っていることに興味があり早速現地を訪れた。

JR横浜駅で相模鉄道いずみ野線に乗り換え弥生台駅で下車、南口を出ると左手に森が見えた。ここが現地だ。

入り口付近に「墓地建設反対」の看板があって、建設予定地付近の地図も掲げられている。「亀谷戸せせらぎ」と言うらしい。里山は50,000m2の市街化調整区域で、ホタル、サワガニやトンボの生育地になっているという。

せせらぎ沿いに歩いていくと、「ホタル生育地域 自然を大切にしましょう」との看板が立っている。里山のあちこちからの湧水がせせらぎになって流れ、サワガニがゆっくり這い、トンボが縦になり上下動し、尻尾を水面に付けたり離したりしている。他にカワニナ、ドジョウ、カブトムシなど100種以上の生物がいるらしい。

問題の墓地建設を知らせる「墓地の設置計画のおしらせ」の看板が出ている。開発面積は2,681.87m2、工事着工予定は平成22年9月21日、完工予定は23年1月31日。予定どおりならもうできあがっているのだが、住民の反対で着手も出来ないようだ。

山林の中に入ってみた。高木が生え地面は軟らかそうだ。葉っぱが落ち枯れた腐葉土が層になっているようだ。保水も良いので、植物の生育には適している。

地形は周囲が急勾配の傾斜地で窪地になっている。恐らくこの窪地部分に墓地を造成しようとしているのだろう。隣接地が墓地になっているが、この場所が墓地に適しているとはとても思えない。

工事は自然環境を大きく壊す。まず高木の伐採、工事車両、資材の搬入道路、軟弱地盤の地盤改良、整地、のり面保護等を考えると、自然環境は大きく変わる。今ある「せせらぎ」は保存するとしても地下湧水脈は壊れるだろうし、豪雨時の対策も考えなければならない。

ホタルが生育する自然環境を守るには、墓地開発を止めることだ。

「噂の東京マガジン」では、高齢の土地所有者は、相続税対策などで売りたい。一方お寺は墓地の確保をしたい。売り手と買い手が一致しただけのことであるが、お互いに悔いを残す結果にならないか。

更にこの自然環境を守りたい地域住民だって、他人の土地の所有権を制限してまで、保護を強いることへのはかなさも感じるだろう。

一番良い方法は、「市民の森」と指定し、市が買い取ることだろうが可能かどうかは分らない。

数少なくなっていく都会での自然環境保護地の所有者、行政、地域住民が協力してやっていく必要があるが、土地所有者の自然保護意識は重要だ。


写真上段左:里山原風景 田舎では良く見かけるが、都会で保存されているのには驚く


写真上段右:計画地の地図 「墓地建設反対」の看板とともに表示されている


写真中段左:山林内の建設予定地周辺


写真中段右:里山周囲を流れる「せせらぎ」 カワニナ ドジョウ トンボ サワガニなどが生息 


写真下段:ホタル生息地の表示がいたるところに表示されている 

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