2011年8月15日月曜日

米国債格下げ:クルーグマン教授のS&P批判に同感

S&Pの米国債各下げは、株価や為替を混乱させているが、朝日新聞(2011.8.11)のクルーグマンコラム 「問題は算術でなく政治にある」にあるS&P批判には同感である。クルーグマンは、経済学ではなく、政治に問題があると言うが、日本でも当てはまることだ。

クルーグマンは二つのことを指摘している。よく言われている事だが、米国は基軸通貨であるドルを持っているが、世界経済にあって信頼できる国ではない。そしてS&P自体が米国以上に信頼できないというのだ。

その理由に、米国の大規模な財政赤字は、2008年の金融危機とそれに続く経済危機への対応でもたらされたモノであるが、その引き金となったのは、不動産担保証券の「AAA」の誤った判断を与えたことだが、そればかりではなく世界規模のリーマン・ショックを世界経済に与えたリーマン・ブラザーズに対しても「A」を与えていたが、S&Pは、「何ら悪いことはしていない」と強弁する厚顔無恥さを批判している。

コレも新聞で報道されていたことであるが、S&Pは債務残高の計算に2兆ドルの間違いが見つかり、財務省が抗議したが、結局は格下げしたという。2.4兆ドルの赤字削減が大変だというのだから2兆ドルって大きい額だ。

クルーグマン教授は、予算の専門家なら誰でも正しく見極めることが出来て当然で、それでも格下げをした判断は、ほとんど信用が出来ないと主張する。

また、格付け会社は市場予想の後追いで、債務支払い能力に関する真っ当な理由を私達に示していないともいう。今回も米議会の混乱なども絡んで、新聞はデフォルトの可能性まで指摘していた。その後で格付け会社は、格下げを決定したことになる。

更に、格付け会社が格下げしたからと言って何ら心配することはない。2002年にS&Pにより格下げされた日本を見てみろと言う。

日本の債務残高は、約950兆円、米国は約1130兆円だが、日本の国家予算は92兆円、米国は約200兆円だ。日本の方が厳しいと思うのだが、円高基調は変わらない。

クルーグマン教授は、新香君9院受け読める必要はないというのだ。

でも、経済学での米国の財政問題の解決は難しくはないと思うのだが、難しくしているのは政治だという。信頼するに値する政策をことごとく妨害する過激主義者を打倒し、追いやることが出来るかどうかだという。今回の米議会のゴタゴタの原因だった共和党のテイー・パーテイーのことを言っているのか。

政治が問題なのは、日本にも言えることだ。

財政再建は、誰が総理でもやらねばならないことであるが、安易な増税には抵抗が大きい。特に国会議員は選挙で増税を言うと落選の憂き目にあう事は分かり切っている。過去にも総選挙で増税を唱えて敗退した事例は多い。

徹底した無駄の排除、余剰金の利用などで一時的には対応で起用が、将来的には増税は大きな政治課題だ。国会議員は責任を持ち選挙民と対さなければならない。

格付け会社の格付けは、世界経済を混乱に巻き込む危険がある。その分しっかりした説明責任を果たすべきだ。厚顔無恥では許されない。

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