2014年8月31日日曜日

地球温暖化:CO2増でも気温は上がらず、人為説は間違いか

1960~2020年の全球平均地表気温偏差
黒太選が観測値
JGL Vol10,No3 2014.8
異常気象、巨大台風が増えると地球温暖化が頭に浮かぶが、今、CO2は増加しているが地球表面の気温上昇は停滞を示しているという。自然変動説を唱える赤祖父先生がその著書で「もうすぐどちらが正しいか分かる」と言っていたが、CO2人為説は間違っていたのか。

昨年3月、エコノミスト誌が「ここ15年間世界のCO2は増加しているが、地球表面の平均気温は上昇していない」という記事を掲載し驚かされたものだが、英国の気象庁も同様の発表をしている。

赤祖父先生は、地球温暖化の要因にCO2の影響も否定できないが、それは1/6程度で5/6は自然変動要因によるものだと言っていた。今の時点で考えるとその通りのような気がするが地球温暖化は進んでいるというのだ。

JGL(Vol10,No3,2014)「近年の地球温暖化の「停滞」」、NHKスペシャル(2014.8.30)「巨大災害」でCO2増でも気温が上昇しない「ハイエイタス」の原因は、地球温暖化が止まったのではなく、深海の層で熱を吸収しているのだという。

そして、10年後には停滞も終わり、再び気温の上昇が始まるというのだ(NHKスペシャル)。

平均気温の将来予測 
NHKスペシャル 2014.8.30
2100年には4.8℃平均気温が上昇するとか、上昇を2℃以内に抑制しようと地球温暖化対策が議論されているが、各国の思惑も絡んで対策は進んでいない。地球温暖化の科学的検証が不十分なままに政治課題になってしまったツケかもしれないが、自然災害が巨大化してくる中で温暖化原因物質の削減が再び注目されて来た感じだ。

JGLでは、1997~8年から今年まで10年間で気温上昇は0.03~0.05℃の上昇に留まっているが、地球が受ける余剰エネルギーは変わっていないし、太陽活動の変化、火山噴火などの自然要因はハイエイタスの10~20%だと言う。

ではその原因は何か。

深海の水温 NHKスペシャル
海洋の熱吸収はハイエイタス期間でも増え続け、運動によって良く海水が混ざり合う表層より深い700~2000mの深海層での水温上昇が検出されているのだという。

NHKスペシャルでも同様の指摘をしている。中緯度での海水温上昇の条件が整えば、700~2000mの深海層で水温が上昇するというのだ。

でも、これも10年後には終わりまた気温の上昇に転じるという。

また、CO2人為説に反する研究結果もある。アイスコアの研究で11700年前には5年間で10℃という急激な気温上昇もあったのだ。CO2人為説では説明できない、自然変動説に有利な研究結果とも思えるのだ。

地球表面の平均気温が上昇し海水面の温度が上昇、海水の蒸発が自然災害の要因になっていることは分かるし、年々巨大化している可能性もある。

研究者は、変化に適応することこそ人類にとって大きな挑戦だという(NHKスペシャル)。


電気、ガス、ガソリンの使用量に注意しなければならないが、無駄を排除することも地球温暖化防止には重要なのだ。

2014年8月30日土曜日

石破さんが翻意した殺し文句:「次は石破さんしかいないじゃないか」、「首相が転けたら拾うのはあなただ」?

幹事長続投がかなえられなければ「無役」まで決めていた石破さんだが、安倍総理と会談し、幹事長は交代と告げられ「他の閣僚で入閣」を決断した原因は何だったのか。今ひとつ分からなかったがメデイアの報道により安倍総理側近の「殺し文句」が効いたようだ。

会談後「組織人としてトップの考えに従う」としおらしいことを言い出したので「何かあった」ことは想像出来たが不思議だった。

そのため新聞、web版で「何か」を探していたら側近連中の殺し文句が浮かんできた。

朝日新聞 DIGITAL(2014.8.29)によると、石破さんの党を割ろうとする動きを制するために菅官房長官、萩生田補佐官が「次は石破さんしかいないではないか」と言う説得に石破さんは矛を収めたらしい。

もう一つ、mainichi.jp(2014.8.30)でも「首相が転けたら拾うのはあなただ。今はガマンすべきだ」と首相に従い閣僚を受け入れるように説得されたらしい。

安倍総理直々の約束ではなく、側近の説得だ。政治家の約束事は信用できないのは昔から分かっていること。石破さんだってよく分かっていることだ。

これで石破さんは党内の求心力を失い、安倍さんは一応、挙党態勢を築くことが出来たと見える。

石破さんもここで幹事長続投が無理なら「無役」を主張すれば、2年前の総裁候補選びでの谷垣(当時・総裁)vs石原(当時・幹事長)の抗争の二の舞になり、石破さんの求心力が急速に低下することを恐れたのではないか。

今回の安倍vs石破駆け引きで、どちらが勝ったのか。今後の政局での出方に注目だ。









どうなる内閣改造での安倍VS石破:ポスト安倍を狙うも、「石破潰し」に阻まれる?

内閣改造での今回の安倍vs石破抗争はどうなるのか、29日の会談の成り行きが注目されたが、ポスト安倍を狙うも安倍さんの「石破潰し」に阻まれるか。石破さんは幹事長続投を希望したが新聞報道によると、安倍さんは幹事長を更迭し地方創生相などの重要閣僚で処遇するらしい。石破さんも了承したらしいが、2年前の自民党総裁選候補者選びで演じた谷垣(当時・総裁)vs石原(当時・幹事長)の二の舞を避けたのではないか。

当時、石原さんは、自民党派閥の領袖の覚えが良かったためか、「谷垣さんのために働いているわけではない」など好き勝手なことを放言し、谷垣さんが総裁選に立候補するのを諦めさせ自分が立候補した。谷垣さんは「同じ政権でありながら2人が立候補することは避けたい」と降りたのだ。

それを見た麻生さんが「平成の明智光秀」と揶揄したことから石原さんは自らの失言も相まって、一気に支持を落としていった。

今回も、石破さんが県知事選、春の統一地方選を幹事長として戦うことを主張し幹事長続投を希望すれば、安倍さん周辺からはポスト安倍を睨んで勢力拡大を模索していると警戒された。

時を同じくして派閥解消を訴えていた石破さんに群れるグループができあがってきて、行く行くは石破派の結成とも見られる状況になってきた。

石破さんが、安倍さんに謀反を起こすのではないかという警戒感は安倍さんはじめ、側近連中には高まったのではないか。

安倍さんも、長期政権へ向けポスト安倍で力を付けてきた石破さんの勢力をそぐことは必須の課題だ。側近連中がいろんなアドバルーンを上げ石破さんを追い詰めていった。

この醜い抗争がどう終結するのかは、93日の組閣を見なければ分からない。

一説には新設する「地方創生相」の話もあるが、地方を再建しようとすれば地方に行脚しなければならず、またまた地方で石破さんの人気が上がり、前回の総裁選での1次選で石破さんにトップを握られた苦い経験が蘇るのではないか。

小心者の安倍総裁、総理にとっては難しい判断を要求されているのではないか。
安倍さんの本当の魂胆は、3日の組閣を見てみないと分からない。

それにしても、安倍さんの強権で自民党内の反対派を押さえ込むのは考え物ではないか。自民党には「党内野党」がいたためにバランスが取れ長期政権を築くことが出来たのではないか。

決して自民党の長期政権を希望する者ではないが、民主党も醜い党内抗争で国民に信任を失ったことを考えると、自民党安倍政権への信任はいつまで持つか。

驕らず、高ぶらず謙虚にわかりやすい政治が必要だ。政治を動かす力は政策であり、権力闘争ではない。


2014年8月29日金曜日

8月29日、日向灘地震M6.1,震度4:単独ではM7でも、南海トラフ連動ではM9の危険

真ん中の星印が日向灘地震の震源
気象庁HP 最近の地震活動より
8月29日、未明から明け方にかけて日向灘を震源とする地震が5回発生、4時14分にはM6.1で宮崎市、熊本市で震度4,九州、中国、四国と広い範囲で揺れを記録した。

Tenki.jpによると、今年に入って2月19日M2.6,3月25日M3.8,4月4日M4.3,5月4,28日M4前後、61012M2.6~3.5,8月に入って7回、そのうち29日は5回も発生している。

この辺は東北地方太平洋沖地震以来、歪みがたまり危険視されているところだ。

過去の例では、1961M7.0,1968M7.5,1984M7.1,1996M6.9が記録されている(日本列島「巨大地震史」全網羅マップ SAPIO 2014.4.

単独では、せいぜいM7クラスであるが、南海トラフ、南西諸島海溝が5連動するとM9.0クラスの巨大地震の可能性があるのだ。どこの震源域が引き金になるか分からないが注意が必要だ。

過去の日向灘を震源とする地震
SAPIO 2014.4

関連記事
2016.5.16掲載
5月16日、17時50分頃、日向灘地震、M.4.7,震度3発生、熊本地震が誘発か
yamotojapan.blogspot.jp/2016/05/blog-post_75.html

50年前の「末は博士か大臣か」:安倍内閣改造、STAP細胞不正事件で今は?

「末は博士か大臣か」、昔は憧れてもなかなれなれない博士、大臣だったが、今、安倍内閣改造、STAP細胞不正事件で一躍有名になった小保方さんの博士論文問題で、今はどう感じているか。

50年ほど前の大学生時代に「末は博士か大臣か」という映画をみた。「父帰る」の作家・菊池寛と当時文部大臣など数々の大臣を歴任した政治家・綾部健太郎の京都帝大時代からの友情物語だったと思う。

当時、人生の目標として博士か大臣が憧れの的になったものだ。

そして今はどうか。29日の昼前、9月3日の安倍内閣改造を目指し安倍総理と石破幹事長の会談が昼飯をはさんで始まったというニュースが流れた。27日は理研のSTAP細胞の存在の有無を確かめる検証実験の中間報告がなされたが、そのキーマンである小保方さんの早稲田大学での博士論文の正当性が問題になっている。

昔は大臣も重量感があり、政策も重視され専門性を有し、自分の意見を言える国会議員が選ばれたが、今は軽量級で専門性を有しているかどうかは不明で、官僚の書いたペーパーを棒読みして国会審議に当たっている。昔の様に爆弾発言もなければ答弁で窮することもなく(答えることが出来なかったり、質問の意味が分からなかったりした大臣はいたが)、時間が来れば採決し国会の本会議へ回される。たまたま与野党で考えが食い違う政策については採決で乱闘になることもある。

今、政界は自民党一強時代で安倍政権の思うままだ。

安保相をめぐって安倍総理と石破幹事長が対立している(正確に言うと周辺筋のリークで対立させられている)。安倍さんは長期政権を狙い総理の座を脅かす石破さんを閣内に封じ込めようとするが、石破さんはポスト安倍を狙い幹事長の続投を希望している。両陣営が流す情報戦で石破さんは窮地にかかり、他の閣僚でも入閣を了解する事態にまで追い込まれている。

60人の大臣待機組、女性枠、派閥の権勢拡大、サプライ人事で内閣支持率の向上など安倍さんの課題は大きい。議員にとっても地元で「家の先生もそろそろ」と期待されればプレッシャーもかかる。選挙区に「今度は大臣だ」と情報を流したり、礼服を用意して入閣の連絡を待つ代議士の事務所が映し出される度に、「大変だな」と同情する。

安倍総理実現へ貢献したか、政治献金は十分かで、資質に欠ける国会議員が選ばれることもあり、国会の委員会審議でみっともない光景を国民に見せつけた議員も居る。

一方、博士は国の政策で急増した。そのも結果、ポスドクの社会現象まで出て来たのだ。

大学院博士課程で、「そろそろ論文を書け」と言われると必ず博士号の学位がもらえるのかどうかは分からないが、STAP細胞不正事件で明るみになった小保方さんの早稲田大学の博士論文が問題を起こしている。

STAP細胞論文がクローズアップされた当初は、AO入試で合格し、「生物学の常識を覆す理論」と賞賛された論文を発表したと言うことで早稲田大は躍り上がって喜んだが、悪いことは長続きしない。あっという間に論文の疑惑が指摘され、早稲田大の調査委員会で「まともな審査をしていれば学位の授与はなかった」と酷評されることになった。

調査委員会は「学位取り消しには該当しない」と早稲田寄りの見解を示したが、「学位取り消し」でもしない限り早稲田大は最高学府として持たないのではないか。

全ての学位がそうではないのは分かっているが、博士号も落ちたものだ。

27日の理研の研究不正防止アクションプラン発表の記者会見で、自らの責任について野依理事長は「論文不正問題は個人の責任」と言ったが、本当に小保方さん本人だけの問題なのか。

それにしても、大臣、博士を素直に信じて良いのかどうか。難しい時代になったものだ。

せいぜい政治は、わかりやすく、国民のためにあってほしいものだ。

2014年8月28日木曜日

理研のアクションプラン、STAP細胞検証実験中間報告で分かったこと

昨日の理研のアクションプラン、STAP細胞検証実験中間報告の一連の報告は「社会のための理研」改革、STAP細胞の存在の有無を確認する重要な報告であったが、分かってきたことは期待と大きく離れていることだ。

[改革委員会が提言したCDBの解体と言えるのか]
センター名の変更、研究室の規模を40~20に半減し、センター長を更迭することで解体的見直しとした。CDBのしっぽ切りで批判を回避しようとしていないか。

そして、今回の事件は笹井さんと言う権力者が出てきてルールを逸脱した恣意的運営を許したことにある。そういう温床はどうして出来上がったのか。今回のアクションプランで透明性を高めた民主的な運営が確保できるのか。

[本部は今回の事件に責任はないのか]
理事長や他の理事の辞任はないという。日本の科学界にこれほどの悪いインパクトを与えながらトップにお咎めなしで国民は納得するのか。

今こそ、野依理事長は責任をとって辞任すべきチャンスではないか。この機を失すると馬鹿な理事長のレッテルをはられることになる。

[文科省と築いている「理研村」を守る構想を温存していないか]
再生医療分野以外にも理研は大きな利権を抱えている。下村文科相は、「この課題をクリアーしなければ特定国立研究開発法人構想は進まない。野依理事長の強力なリーダーシップで理研の再建にあたってほしい」という意味の発言をしている。文科省としては野依続投を願っているのだ。

理研は今までも外部の評価、助言を受けながら運営してきたが、今回の不正事件を防止できなかったことは構造的欠陥があったことになると言い、改革として第三者を含めた会議などを設置し、運営の透明性を高めようとしている。アクションプランもモニタリング委員会でチェックするというのだ。いわゆるP→D→C→Aで改革の質を高めるというのだ。

しかし、人選をどうするのか。誰が任命するのか。理研寄りの人選になれば、会議などが形骸化する。厳しい意見の言える人材を探し出す必要があるのだ。

[丹羽さんが実証実験の責任者では、実験に対する判断が迷うのではないか]
今回も22回も実験しながら「まだ結論に至っていない」と慎重姿勢を崩さず、一抹の光を求めてダラダラした実験が続けることは税金の無駄遣いにならないか。そして結論の先送りは、懲戒処分の先送りになり、改革に足かせとなる。

[丹羽さんは共著者でありながら本当に実験にはタッチしていなかったのだ]
論文の通りではSTAP細胞の再現はできていない。実験に携わっていればノーハウも分かっているはずだ。今回のアクションプランでも、2か国、14人の共著者の存在を重視し、共著者の責任についても論じられている。

[そして、検証実験、小保方さんの実証実験を更に続けるということは、理研には予算が十分あるということだ]
週刊誌では高価な家具をそろえたり、無駄遣いが指摘されていたが、もし予算がひっ迫していればもう少し効率的な方法、不正論文の調査を選ぶはずだ。実験継続に多くの研究者が冷めた目で見ていることがこのことを証明している。

こういうやり方にも理研の問題意識の欠如が見える。

[本当に理研の改革になるのか]

「社会にための理研」をスローガンにした改革を目指すというが、今回の文科省と理研で検討した改革案は「理研村」を温存することになり、何ら改革とは言えないのではないか。常に野依理事長の背後に文科省の存在が見え隠れするテレビの映像を見ると、本来であれば「理研村」こそ解体を急ぐべきだ。

そのためには、文科省ではなく、日本の科学者の総意として日本学術会議の助言、指導も仰いだ方がいいのではないか。


2014年8月27日水曜日

STAP細胞検証実験・中間報告:期待はしていないが「何だったのか」ということになる

理研が4月からやっているSTAP細胞検証実験の中間報告は期待していなかったとは言え、「何だったのか」という疑問が湧く。メデイアのWeb版は一斉に、論文に記された通りに検討を行ったが、報告されたようなSTAP細胞様細胞塊の出現は認められなかったと言う。

今まで22回試みたが、いずれもSTAP現象の再現は出来なかったが、丹羽リーダーは「断定は出来ない」と慎重だ。

臓器の摘出や細胞の回収には熟練した技術の必要な可能性もあるので、11月まで小保方さんの参画も予定しているらしい。

この実証実験は3月まで継続するようで、論文の条件やハーバード大が公開したストレス処理などの条件を変えて検証するらしい。

理研のHPより「STAP現象の検証の中間報告」を開いてみた。専門用語も含まれるが簡単な2枚の報告書だった。

ただ、毎日新聞web版では、酸性処理で細胞の塊のようなものが現れ、万能性の有無を確認すると「緑色蛍光タンパクが光った」と言うが、これは細胞が死ぬ際におきる「自家蛍光」のようだと言う。

これはSTAP細胞論文の疑惑が出た当初から専門家によって指摘されていたことだ。小保方さんが200回以上成功しているというのはこの「自家蛍光」だったのか。

それともES細胞とかTS細胞が混ざったことによる緑色蛍光だったのか。

キーマンの小保方さんも勘を取り戻すためのウォーミングアップが必要だとか、いろんな事があって精神的に不安定では、自らの実証実験も覚束ないのではないか。

ある程度小保方さんを信用していた笹井さんも、なかなか実験をしようとしない小保方さんに失望したのではないだろうか。

小保方さんが実証実験をやるといっても、理研内では「再現性なし」と見る研究者が多いだろう。「体調不良」で先延ばしするにも限界がある。

実証実験の結果が出次第、懲戒審査を再開するとも言うが、11月を待たずギブアップと判断した方が良いのではないか。

野依理事長自ら「未熟な研究者」と断じた小保方さんに実証実験をさせるなんて滑稽としか言いようがない。下村文科相や山本科学技術担当相の強い意向があったとしても、野依理事長は体を張って理研の立場を通すべきだったのではないか。

ここは、日本学術会議が助言しているように実証実験とは別に、不正論文の責任に応じて懲戒処分を急ぐべきではないか。それが「社会のための理研」へ向けた改革への第一歩だ。



脳天気な理研・野依理事長:それでも「辞任せず」で、国民は納得するか

理研が不正防止でアクションプランを発表したが、野依理事長は「辞任せず」と言ったそうだ。何という脳天気な理事長なのか。学者生活が長く、人から「先生 先生」と言われ批判されたこともないので世間離れしているとしか言いようがないが、国民が納得するか。

今回のSTAP細胞論文不正事件で、理研のみならず日本の科学界の信頼を著しく失墜させ、更に処分などを先送りしたために笹井さんを自殺に追いやった責任は重大である。

それでも辞任せず、「これから全力でこのアクションプランを進めるつもり」と言う。これで国民は納得するだろうか。年間850億円と言う運営費を税金で拠出している国民は納得できないのではないか。

野依理事長が自分には責任がないと考える根拠に「研究不正の問題は個人の責任」とかんがえているようだ。ノーベル賞受賞者らしい考えだが、世間一般では通用しない。

他の理事たちの責任についても「5人の理事は有能な人たち、アクションプランを確実に実施するためにも、いあなければならない人材」としているが、そんな有能な人材でありながら、どうして構造的欠陥による研究不正の発生を防止できなかったのか。そして問題発生後の危機管理がなっていなかったのか。

その監督官庁の文科省の下村大臣は「この課題をクリア―しなければ特定国立研究開発法人の法案は出せない。野依理事長の強力なリーダーシップで理研が生まれ変わってほしい」という意味の後押しをしたようだ。下村さんには理研より法案の方が大切なのだ。

しかし、これは間違っている。下村さんも政治家なら理研に対する国民の見方をしっかり読んだ方がよいのではないか。

今、野依理事長に「辞任したらどうか」と助言できるのは下村さんしかいないのだ。笹井さんの自殺に当たって、理研改革委員長は「ここまでなったら理事長が辞任しなければ国民は納得しないのではないか」とコメントしていたはずだ。

それが常識というものだ。

大きな犠牲を出し、CDBは規模が半減することは多くの研究者が路頭に迷うことにもなりかねない。そんな状況下でトップが残留では話にならない。

野依理事長は、即刻辞任すべきだ。野依理事長はお飾りの理事長だったことを忘れてはいけない。


理研・アクションプラン:CDB解体的出直しで「社会のための理研」改革を進めるというのか

理化学研究所
理研が不正防止でアクションプランを公表した。発生・再生科学総合研究センターのしっぽ切りで「社会のための理研」を目指す改革を進めるのか。理研にとって最大の財産は「社会の信頼」と言うが、今回のSTAP細胞不正事件で完全に失墜させた。

それなりの運営体制も構造的疲労を起こし、監査・コンプライアンス室も実効性において不十分さをさらけ出した。理事長も研究不正の防止措置、リスクマネージメントに至らぬところがあったことを認め、反省し有効な再発防止策を講じるという。

27日、理研は「研究不正再発防止をはじめとする高い規範の再生のためのアクションプラン」を発表した。

理研 アクションプラン
理研HPより
その中で、社会的使命を再確認し実効性のある運営改革を目指し(1)ガバナンスの強化、(2)CDBの解体的出直し、(3)研究不正防止策の強化、(4)アクションプラン実施のモニタリングなどの策を掲げた。

ガバナンスの強化では、今までも独立行政法人評価委員会の評価やRACの助言で運営し、外部有識者の助言も取り入れていたが、今後は国立研究開発法人の使命である成果の最大化を目指すという。

理研全体でも13の研究センターを理事長直結にし研究センター毎に研究推進室を設置し、理事長の下で一元的にガバナンスを担保する体制にするらしい。

では今まで理事長は何をしていたのか。お飾り的な存在だったのかと疑問が出るが、名誉職だったのだろう。

CDBの解体的出直しでは、名称を「多細胞システム形成研究センター」に変え、40研究室から20研究室へ半減、運営会議を設置すると共に、センター長を補佐する機能も強化するという。またセンター長は国際水準1級の科学者に委嘱する。竹市現センター長は更迭するらしい。

又、若い経験の浅い研究者を研究主宰者に採用するときは、2人のメンターを配置するという。これで小保方さんのようなことは起こらないのだろう。

不正再発防止では、改革推進本部を設置し、高い規範を再生すべく抜本的改革に向け、アクションプランを公表した。

このアクションプランの実効を担保するために運営・改革モニタリング委員会を立ち上げ、運営に関する助言、不正防止改革のモニタリングをする一方で、国立研究開発法人審議会の助言も踏まえ、継続的な改革に取り組むと言う。

そして、今回のSTAP細胞論文は日米5機関、14人の共同研究で共著者間での内容確認がはなはだ不十分だったことから内容検討プロセス、責任分担の明確化を進めるとも言う。

STAP細胞検証では可能性に対する社会の期待感からその有無を明らかにすべく期間限定で実験を行っていることを付け加えている。

今回の理研の不正事件は、理研内の各種手続きがあるにもかかわらず、権力者に成り上がった笹井さんの恣意的運営、iPS細胞への対抗心から暴走が始まった。ルールを守るかどうかは人間次第であり、1人の暴走を止めるのも人間だ。

いろんな会議を設置し、外部の有識者の助言を仰ぐ改革を進めているが「本当に大丈夫か」と不安が残る。研究者はえてして世間知らずなのだ。

驕り高ぶらず、謙虚さを持って「社会のための理研」を目指して欲しい。


2014年8月26日火曜日

理研の改革:今回の事件の根本問題の摘出と文科省を含めた「理研村」の解体から

理研・再生研の改革案は、今回のSTAP細胞不正事件がどうしておきたか、その根本原因の摘出からはじめるべきではないのか。要は、笹井さんの血迷いがどうして始まったか、笹井さんがどうして小保方さんのSTAP細胞研究にのめり込むことができたのか。そこに組織としての弱点があったのではないか。

朝日新聞(2014.8.26)の「理研再生研 幹部一新へ」という記事が目にとまった。それによると、改革委から指摘されていた解体はせずに、幹部を一新し組織を大幅に見直すというのだ。

理研は文科省と改革案を検討しているともいう。

理研・再生研発足後13年間、幹部研究者、組織が硬直化していたことが「構造的欠陥」を生んだとみて、新たに運営会議を設置したり、役職を廃止し、約40ある研究室を約30廃止、他のセンターに移すという。

しかし、今回の事件は笹井さんが小保方さんを特別に取り込んだことが主因ではないのか。理研にはルールがあったが、何故かルールを無視したために監視機能が働かなかったことにあるのではないか。

ルールはあっても、守るか守らないかは人間のやること。今回は他の研究者が「おかしい」と思っていても笹井さんの行動をとめることができなかった。

それだけ、笹井さんに権威があったことになる。1年ちょっと前に副センター長に就任したとはいえ、ノーベル賞に近い男と言われていれば他の研究者は黙ったのだろう。

だからこそ、本部の役員のチェック機能が問題になるのだが、生物学の常識を覆すことになるかもしれない研究テーマで、秘密にすべきテーマだと言われれば、折れたのではないか。

小保方さんが若山研に入りSTAP細胞実験を始めたが、新聞報道などによるとキメラマウス(?)の実験がやりたくて日本の研究機関を訪問したが、皆断られ若山研に来ることになったという。他の機関が断ったのになぜ若山研は採用したのか。それにはバカンテイ教授のもとで研究していた医師のつてがあったと言われている。

理研の研究者の採用なんてそんなものなのか。

また、理研の新しい研究課題の公募に応募したというが、応募期間も過ぎ手続きはすべてルールに反していたようだ。不満をもっている研究者も多いという。

それでも採用になり小保方さんはユニット・リーダーとして年間2000万円も使える立場になったらしい。私たちの税金からだ。

この辺の採用状況、研究課題の選択について本部の担当理事、理事長はどう判断していたのか。その責任については一切分からない。

笹井さんが絶大な権限で思うがままのことをやっていたとしたら、本部の研究担当理事、理事長がしっかりチェックすべきだったのではないか。

また、運営を外部有識者や若手を加えて新設の運営会議に委ねるというが、研究テーマの秘密保持はどうなるのか。特に外部有識者が加わるということで理研内部で秘密にしてしまう危険があるのではないか。

今回の事件の背後にも研究テーマの秘密保持にあったのではなかったのか。

笹井さんは、研究もさることながら新しい研究構想となる行政の仕事もやっていたという。センター長以上にカネと権限をもった人材に作り上げてしまったことに問題はなかったのか。

改革委員会の誰かが言っていた。CDBの解体を提言したのは、あまりにも理研に問題意識がなかったからだという。

850億円と言う運営費が国から出ていることで文科省も含めて「理研村」を作ったことが、諸悪の根源ではないのか。

理研改革案は、文科省ではなく日本学術会議の指導、助言で行うべきではないのか。それが科学者の総意にもなるし、誰だって利用するかもしれない理研の新しい姿を構築できるかもしれないのだ。


2014年8月25日月曜日

政府、日銀は今の日本経済の状況を「緩やかな回復基調」と言うが実感できるか

今の日本経済を政府や日銀は「緩やかな回復基調」というが、本当に実感できるのか。ある意味では実感できるも、民主党政権の方がよかったと感じる人も多いのではないか。安倍総理の経済政策をアベノミクスと称し「変わるんではないか」という期待感から市場は動いた。円高から円安、株安から株高へ転じる効果はあったが、経済は好循環ではなく、悪循環の傾向を呈している。

「第一の矢」の金融政策は、日銀の異次元の金融緩和政策で、「その期待」から市場は大きく動いた。安倍総理はインフレターゲット設定を日銀に迫り、日銀は2年で2%の物価上昇を掲げた。国会審議で前原さんから「2%の根拠」を聞かれ、安倍総理は「2,3,4%といろんな説があるが、一番実現可能な2%を選んだ」と答え、前原さんから「特に根拠があったわけではないのだ」と指摘されたことがある。

前原さんにも民主党政権時、じれったさがあった。野田政権の末期に前原さんは日銀にインフレターゲットの設定を迫ったが、当時の白川総裁に拒否された。安倍総理は白川総裁を更迭してインフレターゲット設定に漕ぎ着けたのだ。

その2%物価上昇率達成にも日銀、政府と民間エコノミストでは大きな隔たりがあり、大本営発表と揶揄されている。

最近の会議などから政府、日銀は、今の日本経済をどう見て、今後の日本経済の舵取りをどうしようとしているのか調べてみた。

第13回経済財政諮問会議で安倍総理は予算の全体像に絡めて、(1)デフレ脱却、(2)民需主導で経済の好循環を目指す、(3)アベノミクスを地方へ波及を訴えている。公共事業など官公需から民間需要で成長を促進したいようだし、アベノミクスも津々浦々まで浸透していない国民の不満を知っているようだ。

当然の話で、アベノミクスも特に変わった経済政策ではなく、従来から言われているように大企業、富裕層向けの経済政策なのだ。農村、漁村、山村にまで浸透する政策ではない。

甘利経済財政担当相も8月13日の談話で、先行き景気動向指標、消費者マインド、設備投資計画が改善していることを踏まえ、反動減で一部に弱さも残るが次第にその影響は薄れ「緩やかな景気回復が進む」と見込んでいる。

日銀も政策委員会金融政策決定会合で、駆け込み需要の反動も見られるが「基調的には緩やかな回復」を続けているという(2014.7.14~15)。

また、日銀・黒田総裁は2%の平均物価上昇率をしっかりアンカーすることで労使がこれを前提に交渉行うことが可能となり、それによって企業や家計は2%の平均物価上昇率を前提にしっかり行動計画をたてることが出来るようになる。デフレを脱却させ、将来にわたって明るい展望を経営者と労働者が共有することが大切だという(カンザスシテイー連邦準備銀行主催シンポジウム「デフレーション、労働市場、量的・質的金融緩和」2014.8.23)。

日銀の政策は、企業と家計に期待感を持たせ経済の好循環に寄与しろと行っているようだ。

しかし、内需拡大を目指した提言である前川レポート、21世紀版前川レポートも政策がつまずいた要因は、企業が儲けを家計に再分配するシステムが構築できなかったことにある。

安倍総理は、そこを見て企業に賃上げを要求する手段に出た。「法人税も下げる代わりに賃上げせよ」というのだろう。

でも、結果的に賃上げは出来ても消費税増税などで実質家計はマイナスだというのだ。

そして、第2の矢の財政再建はどうか。

世界的に債務を削減する動きの中で、IMF,G20からは債務改善に向け特例扱いされているが、対GDP200%以上、1000兆円を越える債務は成長戦略で税収増を目指すしかないようだが前途多難だ。

第14回経済財政諮問会議で民間委員が、経済再生と財政健全化の好循環を実現していくこと、成長戦略を実行することで官公需から民需中心の成長へ転換、1%成長率を2%に引き上げることを提言し、歳出削減しなければ消費税を10%に引き上げてもプライマリーバランスは黒字化できないと指摘している(2014.7.25)。

第三の矢で成長戦略を掲げるが、成長戦略は以前の政権でも同じような政策課題で目新しさに欠ける。安倍総理は既得権益者の岩盤規制にドリルの刃となって風穴を開けると海外で豪語するが、利得権益官庁、族議員、既存の利得権益者の抵抗が大きくテーマは掲げるも内容は骨抜きの状態だ。

政府の出来ることはほとんどやったことになる。今度は経済界の出番だ。「おねだり」経済団体を脱却し、「何をすべきか」を国民に説明すべきではないか。もうお亡くなりになった経済同友会の代表幹事を長くやられ「おねだりは辞めろ」と訴えた品川さんのような人材が財界に居ないのか。

安倍総理とゴルフをやって親交を保つのも良いが、喧嘩してでも「これをやりたいからこうしてくれ」ぐらいのことを言ってほしいものだ。

クルーグマン教授も「今の企業の儲けは、労働者の犠牲の上に成り立っている」というように、人件費などのコストカット、内部留保、生産設備の海外シフト、非正規従業員などの見直しをすべきではないか。

若い者が結婚出来る年収、安心できる正規従業員への移行を考えないと少子化も回避できないのではないか。

消費税増税の是非もエコノミストで見方が分かれている。8%への増税でも反動減は想定ないと言ってみたり、影響はあるものの次第に薄くなっていくと楽観的で、経済財政諮問会議では民間委員は「増税しても経済は成長する」という。

しかし必ず成長戦略が必要だと付け加えるのだが、ここが一番難しいことではなかったのか。

8%でも異論が続出しているのに、10%への引き上げではどうなるのか。

内閣府参与のエール大名誉教授の浜田さんは、10%への引き上げは待った方が良いという発言をしていたと思う。8%でも消費に影響が出ているのだから10%ではもっと影響が大きいのではないか。

そして肝心なLことであるが、3党合意で10%への引き上げが決まっているので「待った」をかけることになると、新しい法案が必要になる。増税分を社会保障費に回すと言うが、公共事業で甘い汁を吸おうとしている族議員は多いはずだ。

需給ギャップも、この間プラスに転じたと言われたが、またマイナスらしい。

経済指標も良くなったり、悪くなったり、速報値と確定値で評価も違ってくる。安倍政権も政策の評価のためには数値をいじくることなど朝飯前だろう。

発表される経済指標は、実態を反映させたものなのか。御用学者はヨイショするが間違っていないか。成長率の官民乖離をどう判断するか。

今のところ言えるのは、黒田総裁も、岩田副総裁も首を洗って待っていた方が良いのではないか。

安倍総理もアベノミクスを「バカノミクス」、「アベノミス」と揶揄されている。デフレ脱却宣言はどの政権にとってもやりたいことだ。民主党政権では、確か菅政権で検討されたことがあるが諦めた経緯がある。

デフレ脱却、民需主導の好循環に向けしっかり国民に説明すべきだ。


















2014年8月24日日曜日

政治を動かす力:内閣改造情報に見る政策か、権勢拡大志向か

政治を動かす力は政策も勿論大事だが、権勢拡大志向ではないか。9月3日の内閣改造を目指し、新聞報道によると永田町でいろんな情報が飛び交っているようだ。注目は安保相での安倍vs石破、女性登用での女性議員枠に誰が入るか、党内不満を解消するために入閣待機組の処遇そしてサプライ人事があるのか。政策もさることながら安倍総理、各派閥の領袖の権勢拡大志向が見え見えだ。

その中でもポスト安倍も絡んで石破さんがどう出るかが最大の関心事になってきた。安保担当相と言うよりも政治バランスの問題になってくる。

安倍総理は閣内に取り込んで石破さんの力をそぎ、長期政権の基礎を作りたいだろうが、石破さんや支持者はポスト安倍を狙った権勢拡大が至上命題になる。

それぞれの思惑が絡んで結局、石破さんは幹事長を外れ、安保担当相も固持することで無役になりそうだ。

安倍さんの周辺筋は選挙での候補者選び、集団的自衛権での公明党などとの対応に不満があると言えば、石破さんの方も官高党低の今の安倍政権のやり方には不満があるだろう。

集団的自衛権行使、集団的安保では安倍さんとの考えの違いもあるだろうし、安保相に着けば以前出版した本で主張していた点との違いを野党から追及される時間に追われて建設的な議論が出来ない可能性もある。

でも、今回の改造は政策課題を誰に担当させるかだ。

集団的自衛権行使にかかわる関連法案の改正と新法制定、集団的安保、経済政策、経済成長と財政再建、国土強靱化、TPP,近隣諸国との外交、北朝鮮問題、少子高齢化など重要政策課題を誰に任せるかだ。

朝日新聞(2014.8.23)に、政治部記者が現閣僚の勤務評定を満点が5つ星で表示していた。

一番成績が良かったのが4つ星で、ほとんどが2つ星だったと思う。

自分の意見を発信せず安倍総理の言いなりという評価もあった。国会審議のほとんどを官僚が作ったペーパーの棒読みに費やしている姿を見ると誰でも何とかなるのだろう。

しかし、自分の権勢拡大に血眼を上げるようでは、国民が安倍さんを諦めるのも時間の問題だ。

特に最近は驕りの姿勢が見え、危ない総理とみられている。野党の不甲斐なさから国会での追及はままならないが、県知事選、春の統一地方選で国民の民意を示すしかない。

今回の内閣改造、自民党執行部の人事で安倍さんの本意を見抜いてはどうか。

2014年8月23日土曜日

「なぜ戦争をするか」:クルーグマン教授は「算数の苦手な指導者の政権強化策だ」という

クルーグマンコラム
朝日新聞 2014.8.22
朝日新聞(2014.8.22)のクルーグマンコラム「なぜ戦争するか 危うい政権強化の思惑」は久しぶりに読み応えがあった。クルーグマン教授は、戦争はペイしないが算数の苦手な独裁主義政権の指導者が実績を示せなくなったとき、武力をちらつかせて脅し合う。戦争を始めることはまずい考えだが、それでも戦争は起こり続ける理由がそこにあるというのだ。

納得のいく内容だ。

今日の新聞を広げて見ても世界の紛争に関連する記事が多い。

注目はウクライナ情勢だ。ロシアのウクライナのクリミヤ半島編入以来、政府軍vs親ロシア派武装集団は欧米vsロシアの構図になってきた。日本もロシア制裁に参加したがロシアは日本に報復制裁を課してきた。エネルギー問題、北方領土問題にも影響するだろう。

イラクではイラク軍、シーア派民兵vs「イスラム国」でイスラム国が勢力拡大を狙っている。

イスラエルも大変だ。パレスチナ自治区ガザでの軍事衝突でイスラエルvsイスラム主義組織ハマスでの戦闘継続だ。恒久的な停戦協議も決裂したらしい。

タイではタクシン派を排除し軍による暫定政権が出来、改革を進めようとしている。

パキスタンでも総選挙の不正を追及し、シャリフ首相退陣デモが頻発し軍が介入する懸念も出て来た。

中国は尖閣諸島問題、南シナ海での領土問題で一触即発の危険まで出ている。

昔と違うことは、世界の平和、安全を守らなければならない国連の常任理事国、中国、ロシアが近隣諸国と領土問題で紛争の当事者になっているのだから、国連に仲裁などの機能を期待することは出来ない。

そして決して国内は富裕ではなく、貧しい国民の生活を守らなければならない国で国内紛争が頻発し、それに大国が一方を支持し紛争が長期化している。

このような世界的紛争にあってクルーグマンは第1次世界大戦の開戦から100年、「全ての戦争を終わらせるための戦争」であると多くの人が明言したが、あいにく戦争は起こり続けたと言い、日増しに恐ろしさを増すウクライナのニュースに「何故?」と問う好機だという。

クルーグマンは専門家の見方も紹介しながら次の様に言っている。

貧しい国でよく起きる内戦を予測するにはダイヤモンドなど略奪可能な資源の有無を見れば良いという。反政府勢力がいろんな理由を挙げるが、誰が不正な商売を取り仕切れるかどうかという犯罪者一家の抗争に進むのだという。

何やら今の中国指導部の不正防止、北朝鮮の権力闘争でも言えることだ。

又、豊かな近代国家では、戦争は楽勝でもペイしない。相互依存の世界では戦争になれば戦勝国でも深刻な経済損失を被り、近代戦は高く付くというのだ。

たとえば、イラク戦争の費用は1兆ドルを超え、イラクのGDPの何倍にもなるという。

ブッシュ前政権がフセインを倒して新政府を樹立するのに500~600億ドルと算出したらしいが、今のイラクを考えたらどうなのか。

ウクライナ問題では、プーチンは少しの費用でウクライナ政府を転覆できると思っていたのではないかとも言う。

なのに戦争は何故起きるのか。

それには、指導者が算数が出来ないからだと言う。

でも、戦争で政府が得することも非常に多いのだ。ウクライナへのロシアの介入はロシアの経済実績の悪化を国民の目からそらそうとしているとみる。過去にはフォークランド紛争、対テロ戦争で時の政権の支持率は急上昇している。

今は中国、韓国が対ニッポンで同じことをやっている様に見える。

そして、最後に独裁主義政権が実績を示せなくなったとき、武力をちらつかせて脅したくなる。だから戦争はまずいが起こり続けると言うのだ。


ロシア、中国に注目だ。

2014年8月22日金曜日

巨大化する土砂・洪水災害:家周辺を自ら見直す自己責任も大切では

広島土砂崩れ 泥流町をえぐる
読売新聞 2014.8.21
「過去にも同じような土砂災害があった」、「気象庁の降雨データを見ると高い降雨量」など巨大化する土砂災害、豪雨による洪水災害が続くが、いつも言われているのは同じような反省だ。勿論自治体の対策に頼る面も多いが、「自らの命を守る」ためにも自ら家周辺を見直す自己責任も大切だ。

広島市北部の土砂災害の現場の映像を見ていると、人口増による宅地開発が山際まで迫っている。背後に山を抱え昔から土石流の繰り返しで形成された地形で、土石流の流れた傷跡は沢状に見える。15年前にも土石流災害が発生したが、今回の被害を防げなかったというのだ。

都市開発でデベロッパーは危険なところを宅地開発し、住民は何の心配もせずに購入するが今のような異常気象は何時発生するか分からない。過去にそういう事例があったとしても何時起きるか分からない災害に注意する人はごく少数だろう。

今、地名も○○市○○―○―○―○○という現代的な表示になり、昔のようにその土地の地形などを表す○○沢、○○沼という地名はなくなり、土地を購入するにも古い地名に注意しなければならない。

更に自治体が土砂災害警戒区域に指定するのを嫌う住民も多い。土地の資産価値が落ちるというのだ。売買で利益をだそうとする建物なのか。住むための家なら関係ないと思うが。

又、災害が発生する住民の話を聞いていると、「私は80年、ここに住んでいるがこんなことはなじめてだ」という。しかし、地形上危険がある場所では、今まで起こらなかったことは、ただ運が良かっただけなのだ。

私も他人事ではなかった。

母が岡山で一人暮らししていたところは、背後に山を抱え車一台がやっと通る急傾斜地の麓近くで、今回の広島の災害地とよく地形が似ている。上の方には集合住宅も建っているのだ。

背後の小高い山は、観光開発がされていて尾根付近を舗装された道路が走り、宿泊施設、イベントが出来る建物、広い駐車場が整備されていた。しかし倒木が目立ち、大きな岩がごろごろし、山肌はあれている。沢伝いに山から麓まで歩道もあるが通行止めになっており、途中には池もあると言う。

今回のような異常気象での豪雨があると、同じような惨事が起きる可能性はあるのだ。

母には、大雨が降って道が泥水で川のようになったり、石がゴロゴロ流れたり、寝ていて耳元でゴロゴロ言う音が聞こえたら危ないから親戚の家に早めに行くように言い聞かせていた。

「ガスようの臭いもする」と言うことは良く聴いていたので、それも教えたが判断は難しいだろうと思ったが、今回の広島の現場の住民もガスの臭いをかんじていたようだ。

今、母はなくなったので、そう言う心配はせずに済んでいるが自分たちが住んでいるところの地形はしっかり把握していることが大切だ。

その上で、地域住民による防災力が威力を発揮する。

自治会の役員などが中心になって声をかけあい、「命を守る」行動を取ることが重要なのだ。

いつも思うことだが、昔は人が住んでいなかった山際に迫ったところを宅地開発するなど、自然災害と言うより人災の傾向が強い気がする。

 

2014年8月21日木曜日

広島土石流災害で分かった天皇と安倍総理の対応の違い

広島市北部を襲ったバックビルデイング現象による土石流災害は宅地が山際まで伸びた結果、甚大な被害を伴った国内最大級の惨事となったが、その背後で国民の災難に対する天皇と安倍総理の対応の違いを如実に示す結果にもなった。

どちらが本当に「国民の共感」を得るか。

天皇・皇后両陛下は当初、予定されていた軽井沢行きをイベントを中止しての計画に変更されたが、災害の大きさに考慮され、軽井沢行きを中止されたと宮内庁が発表した。

常に「国民とともに歩む」と言っておられる皇室にとっては、当然の結果で、これが帝王学なのだ。

昔から地震、火山噴火などの天変地異、疫病の流行、政変は為政者の責任と考えられ、いろんな施策が実行された。たとえば京都などで疫病が流行したの退治するために八坂神社を建立したののも一例だ。

天皇・皇后両陛下が、今でも戦災地、被災地を訪問されるのものも帝王学の一つで、多くの国民がその姿に感動するのだ。

一方、安倍総理はどうか。今回の広島の土石流災害でその対応が批判されている。

危機管理センターを立ち上げたまでは良かったが、惨事が伝わっていたにも関わらず避暑地でゴルフに出かけ、惨事の大きさに2時間で切り上げ急きょ官邸に戻り各方面に指示を出し、また避暑地に帰ったという。

この安倍総理の行動を批判する野党もあれば、情報を受け、指示を出せる状態であれば問題ないのではないかというもの分かりのいい野党もいる。

各方面に指示を出せばいいのではないかという考えは自民党内にも多く、国土交通相は「安倍総理のご指示で・・・・」とコメントするが、「それぐらいのことは自分で指示すべきではないのか」とも思える。

国民がこの安倍総理の行動をどう評価するかだが、要は「総理の心得」だろう。

集団的自衛権行使では「国民の生命を守る」と豪語しながら、災害ではちぐはぐな行動をとり批判にさらされる。

民主党・野田政権の時、北朝鮮でデポドンの発射の危険があった時に、野田総理は「何かあったら連絡するように」と指示して街頭演説に出かけたが、途中で官邸に引き返したことがある。

これを見て当時野党の自民党は「危機管理がなっていない。発射の危険があったのだから官邸にとどまるべきだった」と批判したものだ。

今、民主党の海江田代表は安倍総理を批判している。

安倍総理も最近は驕りの姿勢が目立つ。天皇の政治行為は内閣の助言が必要であるが、天皇の「国民とともに歩む」考え方は参考になるのではないか。国民の安倍離れは何時、どんな時に起きるかわからない。油断禁物だ。

最後になりましたが、今回の広島土石流災害で亡くなった方、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。














2014年8月20日水曜日

STAP細胞も終わりか:バカンテイ教授、1年間の休職の真意は

騒がせたSTAP細胞も終わりになるのか。アイデイアを提案したバカンテイ教授も1年間の休職を申し出たようだ。旅先でニュースを知って帰ってmsnを見ると、バカンテイさんが友人にメールで知らせたのがブログに掲載されたようだ。STAP細胞との関係は不明と言うが誰だって疑う。

ずっと前にバカンテイさんが勤める病院も調査に乗り出したと言っていたが、そろそろ報告も出そうでバカンテイさんに取っては不利とでも見たのか。兎に角、キーマンが真相を説明せず休職して逃げるのは納得がいかない。

バカンテイさんは麻酔科の先生らしいが、何故再生医療に興味を持ち、STAP細胞というアイでイアを提案したのか。植物ではそういう現象があると言うが本当に正しい着想だったのか。

小保方さんがバカンテイさんの研究室で実証実験を始めたと言うが、どの程度の研究内容をひッさげて理研にやって来たのか。「生物学の常識を覆す理論」であるならどうしてバカンテイさんは自分で論文を書かなかったのか。

実証実験にはカネもかかるので、自分の研究室では出来ず、日本の研究機関に実験を託したとでも言うのか。

また、バカンテイさんは最後まで論文撤回を拒否していたが、自分で再現実験をしたのか。小保方さんの論文通りでは再現できないと言われると、酸性溶液の他に細い管を通すことも重要と発表したが、香港の研究者は、それでも再現できなかったとさじを投げた。何故、自ら実証実験をして小保方さんを助けなかったのか。

アイデイアの域を出なかったとしたら、何故、理研の研究者は興味を持ったのか。信じてしまったのか。竹市センター長は「私は信じたんです」と記者会見で言っていた。小保方さんのプレゼンテーション、ハーバード大のバカンテイ教授と言うことで信用してしまったのか。

新聞報道によると、STAP細胞論文疑惑が出たときに、米国の学会では「STAP細胞は存在せず」が大勢だったそうだ。シンポジウムを主催した研究者も再現に失敗したという。

米国では余り相手にされなかった新説だが、日本では理研の論文と言うことで異常な反応を示したのか。
笹井さんはなくなり、バカンテイさんは一時退き、大和さんは入院状態ではSTAP細胞を論じる研究者はいなくなる。小保方さんでは再現実験は無理だろう。

0.1%の可能性も期待したいところであるが、説明不足ではどうしようもない。マスコミに追っかけられる不安もあるだろうが、それは十分に説明していないためだ。

理研は早く処分を発表し再建に向け進んで欲しいが、下村文科相や山本科学担当相の意向もあって小保方さん自ら参加する実証実験を先行している。

850億円という税金で運営を賄うのだから仕方ないことだろうが、日本学術会議の助言と指導で国民の納得のいく再建へ進んで欲しい。