2014年8月3日日曜日

経済指標の数値の官民乖離:市場は売り買いの口実にし、政治は政策の評価にする

経済成長率、消費者物価上昇率、雇用統計などで市場は金儲けの口実にするし、政治は政策の評価指標とするが、発表される経済指標は正しいのか。民間予測と政府の報告値との乖離が市場では売買の判断にされる。

日銀、アベノミクスは物価上昇率2%を目途に経済の舵取りをし、FRBは雇用統計20万人増、GDP成長率を指標に金融政策を実施する。

安倍総理はアベノミクスの評価を株価に求めるが、その株価は我が国の経済指標より欧米の経済指標に大きく左右されているのが現状ではないか。

発表される指標は各国別にスケジュールが決まっており、市場関係者はその様子を見ながら売買のチャンスをうかがう。大きな問題がなければ、次の指標の結果待ちをしたりするし、「利益確保のための売り」もある。

更に各国の経済指標でも重要度が決まっているようだ。三つ星が付いているのは日本では、消費者物価指数、GDP速報値(年換算)、日銀政策決定会合/その後の記者会見、マネタリーベース年間増加目標だが、海外ではイングランド銀行金利、ECB政策金利、ECB定例記者会見、米国・小売売上高、米国・消費者物価指数、米国・GDP速報値、米国・新築住宅販売件数等があり、二つ星では有効求人倍数、英・消費者物価指数、米・住宅着工件数、米・個人消費支出、一つ星はマネタリーベース、景気先行指数、外貨準備高などだ。

ところが、その経済指標が民間予測と乖離しているとすれば、何が問題なのかと言うことになる。民間予測に比べ高ければ市場は買い、低ければ売りになる。

日本の為替レート、株価は日本経済もさることながら、米国などの経済指標の民間予測との乖離が大きく影響しているのだ。

米・FRBが参考にする指標で経済成長率は4~6月期4%増だったが民間予想は3%、雇用統計は20万人増を基準にしているが7月は20万9000人増で、市場予想の23万3000人を下回ったが20万人増を6ヶ月連続で達成しているという(29万8000人増と言う時期もあった)。

これによりFRBは量的緩和を引き続き縮小するようだが、注目の利上げは成長の力が弱いとみて先送りになるようだ。
我が国でも政府、日銀は物価上昇率を2%とし、日銀・黒田総裁は「1%を切る可能性はない」と強気の見方をするが民間予測では2%は到底無理とみている。

日銀によると、2014年1.3%、2015年1.9%、2016年2.1%を予測している。でもこの数値は9人の政策委員の中央値であって下限値は1%に達していない。日銀内部でも2%達成を懐疑的に見ている委員もいるのだ。最終的にどういう値を使うのか分からないが、黒田、岩田両氏は首を覚悟したほうが良いのではないか。

雇用面でも日米共に改善していると言うが、正規従業員より非正規従業員数が大きくなり内容的には決して良くはない。

民間エコノミストが2%達成は無理と考えている理由に、円安は一服する、輸出は伸びない、実質賃金は増えず増税が景気を押し下げるとみている。

一方、日銀は人手不足が懸念されるが、これが所得環境の改善に結びつき賃金増で消費は盛り上がり、物価は上昇するとみるのだ。

でも、肝心の実質賃金は12ヶ月連続でマイナスとなっているのをどう考えるのか。

おカネの動き良く把握できる日銀の予測も信用できそうだが、高給取りで象牙の塔の感じもする。

ここは民間エコノミストの予測が当たっているのではないか。



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