2009年6月30日火曜日

とにかく、古臭いモノから「CHANGE」だ


あの小泉さんが強力に応援し、自民・公明・民主が推薦する現職の市長が落選し、若い元市議の吉田さんが当選した横須賀市長選は自民vs民主の構図ではなかった。
 考えられることは、何でもいい、古臭いモノからの変化だ。
 政党自体も古くさい感じがもたれ、既存政党に関係のない無所属或いは県民党などが支持され、年齢も若い方が良さそうだ。
 「若さ」は何をしでかすか分からないが、そんなリスクは問題ない。

 麻生自民党は、党内人事も思うように行かず、このままでは分裂しかねない状態で、選挙にでもなれば惨敗は目に見えている。

 麻生さんは、「麻生降ろし」が激しくなるにもかかわらず、何故こうも総理・総裁にしがみついていられるのか。誰の目にも「麻生さんでは選挙に勝てない」と思っているが、麻生さんは「自分で勝てる」と思っているらしい。

 党役員は今までのままで、麻生さんで選挙を戦おうとするグループ、麻生さんでは選挙を戦えないので、総裁選前倒しをしようとするグループ、麻生さんで総選挙を戦うために党役員人事をすべきだとするグループが勝手にいろんな動きをしている。

 昨年9月の自民党総裁選で、圧倒的な多数で麻生さんを選んだのだから、ここは麻生で一致団結すべきだという主張も色あせて見える。

 党役員を替えたって、麻生さんが総裁である以上は、自民党の支持が上がるわけではない。総裁選挙を前倒しすれば、恐らく麻生さん以外の候補者が新しい顔として選ばれるだろう。今は、麻生さん以外なら誰でも良いからだ。

 麻生さんは「ポスト麻生はいない」と考えているので、居座っていられるのだろうが、総裁選をやれば引き下ろされる運命にある。

 このまま、麻生さんをたてて選挙に打って出ても、惨敗は分かっている。下野しか残された道はないのだ。麻生さんは「遠からず」と言ったようだが、「遠からず」9月の任期満了になるのだ。

 「国民のため」の政治を考えるのであれば、自民党内の事情は関係ないのだ。早く総選挙を実施して、新しい政権で政策を提案し実行して欲しい。政治の空白こそ麻生政権の人気の無さの原因なのだ。

2009年6月25日木曜日

ここまで来たら、進むしかない八ツ場ダム建設




半世紀以上かけ、総額4600億円にも上り、2015年完成を目指す八ッ場ダム建設の完成が困難であると「八ッ場あしたの会」が見解を発表した。明日26日には、群馬県が支出している建設費負担金の差し止めを求めた住民訴訟で前橋地裁の判決が出る。
その後川原湯温泉がどうなっているのか、7ヶ月ぶりに温泉街と工事現場を訪れた。
新しいキャッチフレーズも作られ「あたらし なつかし 川原湯温泉」の幟が各所にひらめいている。国道に立っても工事車両の通行が多くなったし、工事現場からの重機の騒音がはっきり聞こえて来る。工事が進んでいることが分かる。

秋にはダム本体工事が始まると言う場所に行ってみた。観光ポスターでも有名で観光客は必ず訪れる「瀧見橋」に行き、上流、下流を見ると新緑が眩しい光景が見れると同時に下流では、仮排水トンネル工事の河川水の呑口構造物の建設が進んでいた。ここはダム完成後は水没する事になっている。

何時だったか、テレビ番組で、無くなる温泉を一目見ようと最近温泉客が増えてきたと報じていた。その原因の一つに活性化を目指して再度訪れたときに利用できる3000円の割引券が配られたことらしいというのだ。若い夫婦が「これは嬉しいですね」と喜んでいる映像が映し出されていた。

駅員に「最近、観光客が増えたんですね」と聞くと、キョトンとした顔をしている。どうも増えてはいないようだ。

前に来たときに、昼食をとった「ふるさと」も今年2月1日に胸も痛む思いで閉店したと挨拶の看板が出ていた。名物だった水車も取り外され、軒下に放置されていた。温泉客、住民も減り、計画も遅々として進まない現状では移転を諦めざるを得なかったようだ。

平日で11時頃だったので、温泉客もみあたらない。

山木館の向かいの急峻な斜面に「標高586.00m」の標識が置かれている。ここがダムの堤高で、これから3m下が水面になる。ほとんどの旅館が水没する。

山木館のご主人に「何時移転するんですか」と聞くと、「2~3年にはそうなるでしょう」という。「あそこの塀を見てください。お土産屋さんがあったところですよ。皆廃業して行っている」と寂しがる。温泉街のあちこちで空き地が目立っている。

「最近観光客が増えたようですね」と聞くと、苦笑いして首をかしげる。どうもウソのようだ。観光振興のための割引券をPRするために、「やらせ」をしたのではと疑問が出てきた。

「今、反対運動や訴訟が繰り広げられているけれども、こうなったら前に進むしかないですよね」というと、「そうなんです。民主党がマニフェストで反対を掲げると言ってますが・・」と不安そうだ。

「用地買収も進んでいないというニュースも流れているが、移転計画はおくれているんですか」と聞くと「もう数軒移転しています。橋のこちらで右に入っていく道があります。町道なので、移転先に行くことが出来ます」と教えてくれた。

教えられた通りに行ってみるが、「工事関係者以外は通行できません」と看板が出ており引き返し、お土産屋の年配の女性に確認すると、「みんな通っていますよ」と屈託なく笑う。
急ごしらえの道路を上っていくと、「地元民車輌優先」の看板が出ている。

 登り切ると、急峻な山肌を切り土したり、盛り土してできた造成地が現れた。公園も併設され、ゆったりした町づくりになっており、既に8軒ほど建っている。しかしその区画以外は、未だ造成中である。温泉街や駅などの施設はまだ先のようだ。
写真:新しいキャッチフレーズ「あたらし なつかし 川原湯温泉」 の温泉街。 移転代替地にはすでに住宅が建つ

 計画されて半世紀以上、4600億円の事業費、それも最近見直されて大幅に増額された金額なのだ。生活基盤を失って他の町に出て行った人、廃業した人、これから心機一転新しい土地で事業を続ける人、移転して温泉旅館を続ける人。ダムで地域が水没することは多くの人が犠牲になることだ。

 ここまで来て、「中止だ」、「反対だ」はない。前に進むだけだ。この建設で生活が大きく変わる人達をしっかり支援すべきだ。大きな環境破壊と地元住民の生活破壊を残して良いはずはない。

2009年6月24日水曜日

「骨太の方針」修正:まず小泉構造改革の総括を!

経済財政改革の基本方針である「骨太の方針2009」で、賛否両論があった年間2200億円の社会保障費抑制を実施しないことになった。
 麻生さんは、総選挙に向け歳出改革の継続に拘ったようだが、叶えられなかったばかりか、3年後には消費税増税を訴えていたが、これも文言にはなかったという。
 この社会保障費抑制については、医師不足や介護施設の経営難、職員不足など福祉分野で制度のほころびから医師会など関係者から強い批判があったようだ。
 2007~2012年の5年間で1兆1000億円抑制が小泉政権末期に決まったが、少子化、高齢者の増加、介護の必要者の増加で、社会保障費は毎年1兆円規模の自然増が発生しているとも言われる。財源確保に消費税増税が上がってきたが、小泉さんは「自分の政権では増税しない」と逃げ、後の政権でも選挙を控えて増税論は影を潜めている。
 
 一方で、日本の財政は厳しい。国・地方の債務残高は約820兆円に達し、対GDPでは約170%にもなり、先進国ではワースト1だ。しかも09年度税収予想は46.1兆円と見られているが、数兆円の不足で修正される可能性が大だ。さらには経済対策で財政支出も決めており、09年度は44兆円を超える国債の発行が考えられており、税収を超える借金を負うことになるようだ。

 そんな09年度の予算でも、社会保障費は24.8兆円から28.2兆円に増額され、3兆円以上が上乗せされている。2200億円の抑制は、年金特別会計の余剰金から穴埋めされているのが実体なのだ。

 財政健全化へ向けての歳出抑制も、国民生活を守る「安心・安全社会の構築」にとっては社会保障の確保は最優先すべき課題である。

 弱小派閥の領袖で、政権与党である自民党ににらみの利かない麻生さんに、どういう政治力学が働き、こういう決定になったか想像に難くない。

 だが言えることは、小泉構造改革が今まで、これと言って総括されないまま、その時その時の政治経済環境で右往左往している事に起因するのではないだろうか。

 税金(目的税、保険料など)のムダな歳入、歳出は根本的に廃止すべきであり、一般会計の5倍にもなる特別会計はしっかり見直しすべきである。180兆円にもなろうとする特別会計の経費見直しで1%程の2200億円を捻出するなんて簡単に思う(勿論法改正も必要であろうが・・)。この辺もはっきりしないから、民主党政権になると「骨太の方針」も廃棄される事になる。
何をやるにも小泉政権での構造改革という呪縛に縛られたままでの議論になる。「何をどう守り、次ぎに何をするか」、めまぐるしく変わる世界情勢に臨機応変に対応すべきである。

メガネの誂えは、自分の生活スタイルに合わせて


メガネを誂えた東京の眼鏡店から、「調子はどうですか 一度お寄りください」という連絡を受けた。私の好みのブランドのメガネの新作販売をやっているとも記してある。
 55年近くメガネにお世話になっており、遠近両用にしてからもう20年近く経つが、最近満足のいくメガネが作れないでいた。
 近視用、遠近両用といろいろ試してみた。中近用も検討したが、1セット10万円を超えるメガネである。利用頻度の高いメガネでなくてはもったいないと思って止めた経験がある。
 1年前に誂えた遠近両用メガネで、メガネ店の人と議論したことがある。
 検眼し、近めを調整する時に、店員は「30~35cm離して新聞を読んでください」という。いままですべてこういった調整をしてきた。
 しかし、遠近両用であっても、新聞や雑誌を読むときに、メガネを外さなければ見えにくい状況になり、「何とかならないか」と店員に注文を突きつけた。店員は、近めは通常30~35cm離して見えるように調整しているという。それが姿勢良く本を読む事が出来るのだ。
 私は、「このぐらいの距離を離して新聞や雑誌類を読んでいる」と店員に説明したが、店員は渋っている。私の習慣からして、「このぐらいで楽に新聞が読めなければ、遠近両用のメガネの役をしないのだ」と譲らない。
 店員は「仕方がありません。お客さんの希望に合うメガネを作りましょう」と言って、納得してくれた。
 度数を調整して、習慣になっている姿勢で新聞を読むと丁度良い。
 「僕が欲しかったのは、こんなメガネです」というと、店員は喜んでくれ、気に入ったのか、傷の付きにくいメガネの玉にサービスでグレードアップしてくれた。今そのメガネを愛用している。

 考えるに、理想的には近視用、遠視用と別々に誂えた方が良さそうだ。パソコンをやっていて遠近両用では不便なので、15年ほど前に近視用のメガネを誂えたことがある。しばらく使わずにいたが、試しに今使ってみると良く見える。おまけに度数も変わっていない。

 メガネは、眼鏡屋の言う通りではなく、自分の生活スタイルに合わせて誂えるのが本来のやり方であることが、やっと今知った。

2009年6月23日火曜日

惜敗を期してがんばる麻生さんに先はない

 満面の笑顔で握手する。「生で麻生太郎の面を見た人?」、「テレビで見るよりは良いと思う人?」と受けを狙っての聴衆への問かけ。
 テレビでの麻生さんの東京都議会選候補者の応援の画面を見ていると、支持率とは違う反響に「何故」という疑問が湧いてくる。
 最後に拳を振り上げて、「先頭に立って麻生太郎は戦うぞ」という姿に世論調査の民意とかけ離れた自民党政権の姿が映る。
 麻生さんの演説で、「必勝を期して・・」と言うべき場面で「惜敗を期して・・」と言ったのには驚くが、反面間違えるのも当然だという気もする。自分が「選挙の顔」として来たるべき静岡知事選、東京都議選、総選挙を戦おうとしたとき、「勝利」「惜敗」が頭の中を巡っているのだろう。
 今は、「惜敗」が頭の大部分を占め、それが応援演説の中に出てしまったのだ。言い間違いとは言えないところに、麻生さんの置かれた今の立場がある。

 麻生さんの政治判断、行動は支持率を落とし、どんどん「惜敗」に近づいているのだ。
 西川日本郵政社長続投問題では、認可を拒否する鳩山さんを切り、続投の道を選んだが、国民の西川支持は15%程度。ここでも民意に反する判断をしてしまった。鳩山さんの「正義が通じないことがある」という発言は国民に訴えるところが大きかった。
 補正予算での相次ぐ景気対策は、先に予算ありきで、その効果に疑問がある政策が多く盛られた。
 党首討論も歯切れが悪い。追いつめられても反論できずにニタニタしている姿は総理らしくない。政策責任者としてもっと積極的に論ずるべきだろうが、相手の政策を「財源は?」で切り込むだけでは討論に迫力を欠き、見ていても減点だ。
 
 麻生降ろし、内閣改造、総裁選前倒し、総総分離など麻生さんにとっては、足を引っ張る事ばかりが自民党内から噴出しているが、こんな考えが出るたびに麻生さんの心配する「惜敗」に近づいていないか。
 
 民主党にも麻生さんに点数を稼がせる場面も出てくるだろう。小沢さんの公設秘書の公判開始、厚生労働省の局長を巻き込んだ偽造証明書問題での民主党議員への捜査だが、「敵失」を期待した今後の政局運営では、あまりにも寂しすぎる。
 
 今、自民党が考えなければならないことは、「麻生で何をするか」だ。そうでなければ
大方の予想である「惨敗」なのだ。

2009年6月22日月曜日

麻生さんって言われているほど駄目な総理か


「解散・総選挙は何時だ」「麻生降ろし」などむなしい政局が流れる中で、「麻生さんが何をやろうとしているのか」が見えてこない。
 これが混乱と、重要な時期にもかかわらず腰を下ろしての政治が、今ひとつ見えても来ない。
 敵失で一時、人気が戻ってきた(上がったのではない)かに見えたが、リーダーシップの欠如、指導力の無さなど本人の資質が、人気の無さに影響していると見られている。
 福田さんは、自分で解散・総選挙するには、人気が無いと言うことで、選挙の顔となる人に次ぎを託そうと政権を放り出す結果になったが、今考えると福田さんの時に選挙に打って出た方が、まだ良かったのではと勘ぐられても仕方がない状態だ。
 私も以前そう考えていたが、今までの総理と比べて、言われているほど麻生さんはダメなのか。
 資質に問題がある一つに「政策がブレる」がある。
 しかし、他人の言うことを聞くからブレることにもなるのだ。国民の支持を上げたい、何か良い政策はないかとの焦る結果が、ついつい詰めもしないで口から出て、周りの反対に遭い直ぐ引っ込める結果になる。厚生労働省の2分割論が良い例だ。
 麻生さんに良い取り巻き、相談相手がいないことでもあるのではと思える。
 一方、今だかって人気があり、次の総理にしたい人でもトップに名をあげる事もある小泉さんは、変人と言われたブレない政治家だった。しかしその手法は、抵抗勢力、刺客、メデイアを存分に活用したカリスマ政治家で、他人の言うことを余り聞かなかった。当時国民には絶大な人気があったが、彼が進めた構造改革路線は今、否定されつつある。
 強引に進めたかに見える郵政民営化も、西川社長続投問題は小泉さんをはじめとする推進派も絡んで、麻生政権の支持率を下落させる結果になった。
 当時、民営化に反対する議員も、民営化には賛成であるが、今の内容では反対であると言ったほど、その中身の議論が不十分だったのだ。
 
 強力な指導力を発揮するのも良いが、民主的議論を制限するやり方には賛成できない。反対意見もしっかり聞き、「国民のため」になる政策を推進して欲しいモノである。
 小泉政権に続く安倍、福田そして麻生政権では国民に信を問わない政権が、自民党のお家の事情で続いていることに批判がある。おまけに世襲議員のひ弱さが政権放り出しに繋がっているとの見方もある。
 
 しかし、安倍政権では、小泉改革の推進、憲法改正、国民投票法などいままでの政権では出来なかった道も開いた。
 さらに、福田政権では民主党との大連立構想を打診したし、「ねじれ国会」での国会運営の難しさをあからさまにした。「民主党の誰に話を通せば進むのか」、涙が出るほど苦労していると福田さんは党首討論で訴えた。
 その背景には、民主党小沢代表の強権的党運営があり、民主党の政権担当能力の不足を国民に示したことになる。
 行き詰まった福田さんは、国民に信を問うべき「選挙の顔」を次ぎの総裁に託して政権を放り出す結果になった。自分の能力を十分分かっている総理としては珍しい人材であった。
 そして、自民党総裁選における秋葉原での若者に圧倒的人気があると見誤り、麻生さんが選出され、総理の座に就いたが、解散・総選挙を考えている間に、世界的な金融危機が発生し、「政局より景気対策」が優先されたのは、当然の結果だ。
 景気対策で繰り出す、本予算、補正予算そして関連法案の議会通過に全力を尽くす結果になった。何回も補正予算を組めば、先ず予算ありきで、最後の方はドウでもよい政策も上がってくる事になった。その中には景気対策の効果が疑われる政策もあり、麻生さんの指導力が疑われたが、誰が総理であれ財務官僚主導の政治の続きだ。
 今までどの総理も経験したことのない社会不安、金融危機にあって比較的良くやっていると評価出来る面もある。
 
 任期満了まで、どう騒いでも2ヶ月ほどしかない。ここまで来たら任期一杯勤めたらどうか。
 その間、国会で議論しながら、国民に訴える価値のあるマニフェストを各党が作成し提示すべきだ。自民党は民主党の政策に対して「その財源は?」が潰しの常套句になっているが、民主党だって岡田さんは「財源なくして政策なし」と主張している。政権を一度執ってみなければ、財源など把握出来ない面もある。
  自民党は、麻生さんで選挙を戦い負ければ潔く下野して、新生自民党に衣替えすべきだ。
写真:都議選を応援する麻生総理 2009.6.22 スーパーモーニングより

2009年6月21日日曜日

日本郵政に国が口出しするのは是か非か



日本郵政のガバナンスに問題があるとして、鳩山前総務相が反対していた西川社長続投問題で、世論の80%が鳩山さん支持だったにも関わらず、鳩山さんを更迭した麻生さんに批判が集中したのは当然だろう。
 麻生政権の支持率が20%を切って、こんなに落ちるだろうとは麻生さん周辺は思ってもいなかったと言うことは、今の自民党幹部に民意を把握できていなかったことになる。
 このゴタゴタを認可権を持っている鳩山さんを切って収めるか、民営化を推進する人達が強力に推す西川さんを切るかは麻生さんにとっては決断がいったことだろうが、その結果が、更に混乱に招いているは麻生さんの責任でもある。
 ところで、今回の決断で麻生さんや安倍元総理など改革派を名乗る人達の論点に疑問を感じない訳にいかない。
 「鳩山更迭は間違っていない。郵政民営化を進めており、民間の株式会社に政府は口を出すべきでない。西川社長を尊重し、経営は経営者に任せるべきで、株主が判断すればいいことだ」というのが、彼らの考えだ。
 しかも、経営はうまく行っており、収益も上げ、300億円にもなる税金を納めており、西川さんは民営化に向け良くやっているという評価だ。
 しかし、今の日本郵政の置かれている状況は不思議だ。
 2007年10月に株式会社化されたとはいえ、株の100%は国(財務省)が持っている。最後は国が1/3、残り2/3が民間に売却される予定だという。そうなると国はあくまでも大株主で、経営に対して発言権があることになる。
 さらには、総務相に社長などの認可権があると言いながら、日本郵政には社内人事を決める指名委員会がある。指名委員会が指名した社長を総務相が拒否する事態は、当初から想定されていたことではないか。官僚出身者にするか、民間人にするかの争いは当然出てくる問題である。

 私は、日本郵政は、今の段階では国のモノであると思う。日本郵政のガバナンスに問題があれば異論を呈するのは当たり前のことで、「国民の財産」を適正に処理する責任がある。

 「かんぽの宿」の格安(?)売却、DM不正事件、東京中央郵便局、大阪での郵便物未配達事件など民営化の過程で、国民の信頼を損ねる不祥事が明らかになったことがこのような混乱を産んだことで、官邸、自民党、日本郵政も想像していなかった事だろう。
 それだけに今後の不安が残る。
 小泉さんが、郵政民営化是か非かを問い、あれほど騒いだ選挙が何だったのかとの疑問も出てくる。
 当時のことを思い出そう。郵政民営化は米国の年次改革要望事項に沿っていることは別として、税金のムダ遣いを歳入、歳出両面から改革、公務員を3万人削減、郵便局がコンビニのように便利になると良いことずくめであった。
 しかし、郵政民営化に反対した人達も民営化には賛成であるが、今の内容には反対であるという考えが大方であった。小泉さんが功を急いだためか、十分な議論を尽くさない前に民営化に踏み出したのが原因なのだ。
 
 それに初めての今回の3年ごとの見直しも、小泉さんが何か発言したことで、尻すぼみになってしまったが、小泉さんの顔色を見ながらの民営化は止めて欲しい。

 誰がなんと言おうと、今は国が株主なのだ。国民の財産を預かっている総理は、毅然とした考えで日本郵政の経営に口出しすべきである。麻生さんには無理だろうが・・。

写真:売却が決まっていた「かんぽの宿」磯部  東京中央郵便局 鳩山さんのクレームで保存計画の見直し中

2009年6月20日土曜日

「見逃すリスク」の方が大きい西松建設違法献金事件

 政界の大物、しかも野党第一党の代表が絡む政治資金規正法違反事件ともなれば、検察の苦悩も分かるような気がする。
 折しも、官僚、自民党による長期政権による疲弊、あわせて麻生首相の人気の下落している時期での小沢さんの剛腕による政権交代の可能性も出て来ていたのだ。万一小沢さん側にマイナスの影響が出た場合は、政権交代は遠のき、国民の期待を裏切る結果に成りかねなかったのだ。
 今回の事件は、政治献金は法に則り届け出していれば問題はないとする小沢さん側の主張に対して、検察によると、献金者側である西松建設には公共工事欲しさの献金だったとすると、一時大問題になった政治腐敗がまだ続いていたことになる。しかも大物議員によってだ。
 一方、小沢さん側によっては「あっせん収賄」の疑いが濃い事件だ。私達は新聞で検察サイドの情報リークと批判されたニュースを毎日見るたびに、今時まだそんなことをしていたのかと唖然とした。しかし、以前の不動産取得での週刊誌との名誉毀損事件での敗訴を感上げると、政治にかこつけた金の亡者のような気がする。
 一時は恩師と見られていた故金丸さんが隠し金が暴露されたときに、政権交代に使おうと思っていたと弁解していたが、小沢さんは巨額の献金を何に使うために集めていたのか。
 政治献金は、内容がどうあれ、献金側がどういうつもりであれ、届け出していれば良いというモノでもない。その中身が問題であるのは検察の言うとおりだ。
 政治家は献金を受けるときは、政治活動を支援するための浄財であるかどうかを常に頭に置いておかなければならない。
 そうしなければ政治資金規正法の趣旨に反する。
 民主党の第三者委員会の報告書では、指揮権発動にも言及しているようであるが、今回の事件は「見逃すリスク」を犯さなくて良かったと考える。
 小沢さんは、未だ代表代行として総選挙を担当しているようだが、一歩退いたことは良かったと思う。
 今、政局は小沢さんの剛腕に頼る政権交代から、マニフェストによる政権選択の機運が出てきた。これが政治の常道だ。

写真:東京地検 秘書逮捕を受けての小沢さんの記者会見 2009.3.17 テレビ朝日 報道ステーション

2009年6月19日金曜日

増税を言う前に「省利省益予算」(特別会計)を根本的に見直せ



財務相だった塩川さんが国の財政について、「母家ではお粥をすすっているが、離れでは子供がすき焼きを食っている」と表現したことがある。国の一般会計では国会での審議もあり、ケチケチの予算であるが、もう一つの会計である特別会計は国民の監視から離れ、官僚が思うままに彼らの事業などに使っていることを説明したモノだ。

 私も3年程前に国の会計はどうなっているのか調べたことがあるが、分かった事は一般会計は約83兆円、特別会計は約450兆円で、一般会計から約50兆円が特別会計に繰り入れられていることだった。一般会計と特別会計を合計した約530兆円が国の予算ではないのだ。内容はものすごく複雑で、素人には全く分からないものだった。

 国会議員の一部や財政学者は、税金の無駄づかいをテーマにしたテレビ番組で、国の予算は約210兆円と言っていたが、その内容が分かった。

 最近出版された、「亡国予算」(北沢著 2009.5.8 実業之日本社)、闇に消えた「特別会計」により、概要が分かった。

  それによると、08年度の予算は一般会計で歳入総額83.1兆円、特別会計は368.4兆円に上る。特別会計は一般会計の約4.5倍になっている。

 ところが、一般会計と特別会計の間では資金が行き来する重複計上されているために、本当の姿はこの重複計上を除いた純計ベースで見なければならないと言う。

 そうすると、一般会計の歳入純計が81.0兆円、特別会計が155.6兆円、歳出純計は一般会計で34.2兆円、特別会計が178.3兆円だ。特別会計の規模は一般会計の5.2倍にもなる巨大な金額なのだ。

 

 その特別会計がこの1世紀の間、国民(国会)の監視なしに、官僚事業に思うままにつかわれてきた悪例が蔓延っていた。しかも特別会計には予算があるが、決算はないらしい。予算取りはするが、最終的にいくら使ったかが報告されていないのだ。そこで特別会計から事業費用以上の交付金(余剰資金)を受けて、余った金が「埋蔵金」になっているらしい。

 変な事件を起こし、表舞台から去った元東洋大の高橋洋一さんが発掘し、中川さんが「埋蔵金がある」と騒ぎ、問題が明るみに出て、政府、財務省も隠しきれなかったようだ。

 行政改革推進法で、2006年度の31あった特別会計が統廃合し2011年度に17まで減らされるそうだが、問題は名称を変えて統合されたりして「特別会計の数だけ減らした」と主張されることだ。

 一般財源からの組み入れ(約50兆円)、目的税(例えばガソリン税)、数々の保険料、使用料、手数料などで賄われる特別会計ではあるが、本来必要が無くなった事業、省利省益でやっている事業で、「国民のため」になっていない事業もまだあるはずだ。

 特別会計での事務、事業を徹底的に見直す必要があるが、民主党が根本的に見直すといっている課題の一つだろう。

 先の党首討論でも、麻生さんは3年後に増税をお願いすることになると訴える一方で、鳩山さんは増税の前に徹底した見直しをすれば10兆円は捻出出来るので、4年間は増税しないと言う。210兆円の約5%に当たる金額だ。

 民間会社は、予算に対して5%カットでの執行は当たりまえだ。官僚だけが、余剰資金で事業をしていいはずがない。国民の実生活に無関係な事業は大幅に廃止すべきだ。

 北沢さんも、その著書で、特別会計の不用金10兆円が毎年活用できると指摘している。決算ベースでは、巨額の使い残しが出ているのだ。

 

 北沢さんの前書を購読し、その怒りを官僚、自民党政権に向けよう。統廃合と言いつつ廃止せずに、統合するだけの行政改革は許してはいけない。

 

 足尾鉱毒事件で被害住民の側にたって争った田中正造は「国民が監督を怠れば、為政者は盗人になる」と警告した。100年前のことであるが、今も十分に通用する警告である。


写真は財務省とそのHP「特別会計のおはなし」

2009年6月17日水曜日

これだけバカにされても居座り続ける麻生さんに、もう後はない


「もともと期待していなかった」とは、麻生さんの実績に対する世論調査の一つだ。
  麻生さんは、何で今まで、総理の座に居座っていられるのか。「空気が読めない、「漢字が読めない」、「リーダーシップに欠ける」、「ブレる」、「言い出しても直ぐ引っ込める」から「選挙に勝てない」に至るまで、麻生さんに良いところはない。
 昨年の自民党総裁選挙では、マンガオタクを自称し、秋葉原では若者に人気があるかに見え無党派層の取り込みに貢献するのではと思ったが、総理としての資質に問題が出てきてはドウしようもない。
 それでも外交が得意と見えて海外に行き、要人と「ガッハッハ」と笑いながら握手する映像を見るにつけ、海外の要人はどういう積もりで付き合っているのだろうかと心配になる
 日本国内では、人気もなく、何時降ろされても不思議ではない一国のリーダーと見られているはずなのだが・・。
 ここまで来れば、総理の座を辞するのが普通の人間の判断になる。

 それなのに、何でこうも居座り続けられるのか。これと言った対抗馬であるポスト麻生がいないこと、このまま放り出すと3人目の汚名総理になり、自民党にとっても汚点だ。
 小泉さんに引き立てられ、長老、派閥の領袖の相次ぐ支持で、弱小派閥の領袖で本来なら総理の座に一番遠かった麻生さんが折角手に入れた総理の座だ。一日でも長くその座に就いていたい気持ちは分かる。
 しかも、一度総理の座につくと、その権限は絶大である。三木政権の時は強力な対抗馬がいたために、三木さんは引きずり降ろされたが、今の麻生政権では、「自ら降りない」限り他の力で降ろされる可能性はゼロだ。
 
難しい課題が次から次へ出てくる政局にあって、「能力がない」からと言って政権を放り出すわけにもいかない。ここは解散・総選挙に打って出て、惨敗し、潔く下野させられるのが、一番の方法かも知れない。
 麻生さんは、都議会選挙に賭けようとして候補者を激励に回っているが、所詮都議選は石原都政だ。現状自民党48人、公明党22人で過半数を超しているが、勝っても石原さんに頼るところが大きい。その石原さんも新銀行東京、東京卸売市場移転問題、東京オリンピック招致などで都民がどう判断するか。
 
 麻生政権支持率も20%を大きく割った。もう後はない。

写真:麻生首相は自民党が第一党を保持し続けることの重要性を訴えている 2009.6.17 NHK おはようにっぽん

2009年6月16日火曜日

「衆議院で解散・総選挙決議」をするか「全員辞職」でこの閉塞感を脱却せよ


西川日本郵政社長継続問題で、民意に反して鳩山総務相を更迭した麻生内閣の支持率が再び20%を切る状況になったのは当然だ。小沢さんの西松建設違法献金疑惑という“敵失”で一時的に支持率があがっていたことを考えると、元に戻っただけなのだ。
 冴えない麻生さんは官邸での会見で「私の責任だ」と認めるが、後どうしようかのビジョンがない。
 それだけに国民も不安と苛立ちが募る。
 メデイアは「麻生下ろし」をはやし立てるし、自民党内はこれでは選挙に勝てないと悲壮感が漂う。しかし、解散権を持っている麻生さんは「私が決める」と言うだけで、いつも決まらない。
 テレビの情報番組では、以降の外交日程や選挙日程を掲げながら、解散・総選挙の時期を予想しているが、ここまで来たら任期満了、総選挙が真実みを帯びてくる。
 予算案、補正予算案、関連法案など与野党が考えを異にする議案は多かったが、野党から不信任決議など出たことはない。
 国民の60%は評価しないと言うが、麻生さんは今までやった経済対策の効果がでるのを見たいらしいし、「民主党との政策の違いを明確にしたい」らしいが、先の党首討論でも課題づくりに麻生さんは劣っている。
 
 解散は、広く国民に民意を問うためにある。普通は衆議院が内閣を信任しない場合、衆議院と内閣が甚だしく意見を異にする場合、国家の大事について民意を確かめる場合などが考えられる。

 内閣不信任案も衆議院での可決が必要で、参議院で内閣と意見が甚だしく異なっても参議院での可決は無視されればそれまでであることは先の福田政権で経験した。国家の大事なことと言うと、憲法改正や条約締結などが考えられる。小泉さんの郵政民営化の是非を問う解散・総選挙はどう見ても解散権の行使は疑問が残る。

 では解散権は本当に総理だけが持つ専権事項なのだろうか。

 憲法を見ても明文での規定はない。憲法第7条(天皇の国事行為)「衆議院を解散すること」、憲法第69条(衆議院の内閣不信任決議)「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」の規定から推論されているだけなのだ。形式的な解散権は天皇にあるが、実質的解散権は内閣のみにあると言うのが多数説である。

 そのために、あの総理はダメだと大半の国民や国会議員が思っても、総理本人にその自覚がないと解散権の行使など出来るはずはない。いわんや選挙をやっても負け戦で下野するしかない今の麻生自民党にとっては解散・総選挙は鬼門なのだ。

 何とか解散させる方法はないのか。

 憲法Ⅰ 法律全集3 清宮(昭和32年 有斐閣)によると、解散決定権は内閣の他に衆議院にもあるとする説がある。これは最高裁での1裁判官の補足意見であるらしいが、政策論としては傾聴に値するが、解釈論としてはダメらしい。
 衆議院が内閣に対して「解散の決定を要望する決議」をすることも可能であるし、さらに衆議院議員が総辞職することも方法の一つである。

 自民党議員だって、今の状況では次の選挙に自民党公認で出ても、当選する保証はどこにもない。寧ろマイナスであるかも知れない。
 だとしたら、決議や総辞職へ向けて動いた方が、選挙で自分の行動をPRできるし、大方の国民が解散・総選挙を願っている事にも合致するのではないか。

 麻生さんは、もう何をやってもダメなのだ。死に体の麻生政権は早く潰したほうがよい。自民党は下野して、出直すべきだ。

2009年6月15日月曜日

やっぱり民意は違っていたのでは 郵政民営化


西川日本郵政社長続投問題で麻生さんは鳩山総務相の更迭で幕引きをしようとしたが、麻生さんの政治姿勢、小泉さんをはじめとする郵政民営化推進派の巻き返しなど、その焦臭い背景が見られる。
80%の国民が、西川続投にNOを突きつけている民意を無視した総務相の辞任は、麻生政権には大きな痛手だ。
数々の不正疑惑が明るみに出ていることから考えてその責任を追求されるのは当然であるが、何故、こうも大きな問題になっているのか。
行き着くところは、2005年の郵政民営化の是非を問う総選挙で、「民意が違っていたのでは?」との疑問が出てくる。

私はこの時、「郵政民営化賛成は49%、反対が51%」という記事をJanJanに投稿した(2005年9月)。

 その内容は、つぎの通り。

「郵政民営化賛成か、反対か」を問う衆院選は議席数では、自民・公明与党で約70%を確保し圧倒的多数で国民は賛成したかに見える。
しかし、得票数から考えると賛成49%、反対51%になるし、有権者数から判断すると賛成は33%、反対は34%(勿論投票していないヒトは除く)で、国民の半数は反対している事になる。

郵政民営化反対派に送り込まれた対抗馬(刺客候補)の得票数を見ても、地縁、血縁のない選挙区で、良くもこれほど支持票を得ることが出来たものと驚くばかりである。自民党の地方議員が協力したことも大きいであろうが、公示前の小泉劇場の過熱報道が相当の関心を呼んだのではなかろうか。

各報道機関も、刺客報道で、他の予想される候補者もついでに取り上げる事により、公平さを出そうとしていたが、公職選挙法の事前運動に抵触する恐れがないだろうか。HPが問題になったが、それ以上の影響がマスコミの報道ではある。

選挙期間中、反対派は「郵政民営化には賛成であるが、法案には賛成できない」という。
賛成派に「実際に法案を読んで、賛成しているのか」と叫んでいたが、今回自民党に投票した人でも、関係者や、学識経験者の一部を除き、読んだ人は皆無ではないか。

小泉さんと一緒に郵政民営化の本を出版した松沢神奈川県知事が、現在の法案の内容は当初の民営化案に比べ50%程度の出来で、「やらないよりは、まし」という内容であるとコメントしている。

「小さな政府」、「官から民へ」、「民で出来ないものはない」、「民営化で税収が増える」、「官の無駄な事業をなくす」、「利権がらみの政治をなくす」のが何故悪いのかと問われれば、皆良いに決まっている。しかし、実際に突き詰めて考えると「?」ばかりの内容のようだ。

郵政民営化に反対している人が51%もいる。これからの審議で、その内容を国民の前にはっきりさせる事が新しく選ばれた国会議員の責務である。「おかしい」と判断するか、「その通りで、推進すべきである」と判断するかは有権者の責務である。

このような政策を議論するに当っては、往々にして反対派が指摘した問題点が現実のものになる事例が多いようだ。郵政民営化が行財政改革など構造改革全般にわたって整合性された内容になっているのかどうか、

小泉さんは、「自分の在職中は増税しないが、増税の検討はする」といい、財政再建を叫びながら、4年間で170兆円の借金を増やしたし、「小さな政府」と言いながら、官僚の利権から脱却出来ていない。

選挙期間中は、「まずい問題」には、一斉にほおかむりし、やさしい問いかけで、圧倒的多数(?)の支持を得た。しかし、これからもずっと隠し通せるものではない。

これから1年、なにをやるのか。頻繁に国民に説明する義務が、小泉さんにはある。
二大政党化してきた現在、今回の民主党の敗北も、「次は我が身か 自民党」になる可能性が大である。

 成果を急ぎすぎた小泉郵政改革の混乱が、今も政界を荒らし回っている。
 鳩山さんが辞めた後、誰が責任を持って日本郵政民営化のチェックをしていくのか。
既に引退を表明した小泉さんに振り回されてどうするんだ。

写真:未だに影響力が大きい小泉さん 2008.9.16 NHK おはよう日本より

千葉市長選:民主の勝利は”敵失”によるところが大きいのでは


14日投開票のあった千葉市長選では、民主推薦の元市議である熊谷さんが17万629票、自民推薦で前副市長の林さんが11万7560票で、結果的には民主党が勝った事になる。
 具体的にどういう政策提案で両者が戦ったのか分からないところもあるが、前市長の汚職での辞任、その副市長であったことは林さんにとっては大きくマイナスに影響したことは理解できるが、自民党麻生政権に対する批判票もおおかったことを考えると、自民党の“敵失”に負うところが大きい民主の勝利ではなかったか。
 秋田知事選では自民党に負けたモノの、名古屋、さいたま、千葉の3市長選で勝利したと喜んでばかりはいられないのが、民主党だ。
 来月は静岡県知事選、東京都議選があり衆議院総選挙の前哨戦と見られており、民主党はこの勢いで勝利したいだろうが、小沢さんの公設秘書が関連した西松建設違法献金事件の公判が始まる。西松建設関係者はその容疑を認めているので、公判では小沢さんに不利な事実が公になるだろう。
 しかもその小沢さんは、民主党代表代行で選挙対策の責任者になっている。今、メデイアの世論調査での「民主党支持か自民党支持か」では拮抗しているようだが、場合によっては民主党が大きく傷つくかも知れない。
今の政界の動きは目が離せないが、政権交代を目指すのであれば、政策で競争すべきである。
(写真)6月15日 テレビ朝日 スーパーモーニングより

2009年6月12日金曜日

西川日本郵政社長よ 企業トップとしての責任を取れ

日本郵政社長問題は、麻生さんが鳩山総務相を更迭したことで政治決着したようだ。
 西川さんは、「民営化は道半ばなので、土台づくりを全うしたい」として、続投の意思が強そうだ。
 しかし、世論調査では80%の人が西川辞任を支持しており、かつ「正義のために認可しない」と主張する総務大臣を更迭してまでの続投はどうなんだろう。
 郵政民営化を支持する人達は、竹中さんを筆頭に「収益は2倍になっているのに」と批判する。まだ完全に民営化されていない巨大な郵政会社を経営するには、西川さんしかいないと言うことか。
 でも考えてみれば、“かんぽの宿”の政商たる宮口さんのオリックス系列企業に一括売却など、誰だっておかしいと思うが、一向に説明がない。
 続く東京中央郵便局の高層商業ビル建て替え工事、逮捕者が出ている不正DMの問題など郵政の信用を裏切る事件が発生している。この経営責任をどう考えているのか。
 民間会社だったら、監督官庁の大臣がクレームを付ければ、進退問題になり、辞任するのが常道であるが、日本郵政は監督官庁の大臣などヘッとも思っていないのは何故か。
政治的に背後に小泉さんなど郵政民営化推進議員の援護があるのだろう。
 ここは常識ある経営者なら、自ら辞任すべきである。喧嘩両成敗とは言わないが、それが日本人の常識だ。
 民間会社を目指すのであれば、企業トップの責任をとれ。

西川日本郵政社長続投問題:鳩山総務相の辞任で幕引きでは納得できない


鳩山総務相の“かんぽの宿”オリックス系列企業への一括売却にクレームを付けたとき、私もインターネット新聞janjanに「異議あり、かんぽの宿オリックス系列企業への一括売却」という記事を投稿した。
私の住んでいる所でも、「かんぽの宿磯部」が営業している。一度止まったことがあるが、部屋代が決まっており、その部屋を当日の宿泊者数により何人が利用するかによって1人分の宿泊代が出てくる。だから安いのは当然なのだ。
 しかし、私達国民の財産をタダ当然の価格で、規制改革メンバーであり、自分の事業にその情報を最大限に活かして収益を上げた政商の宮口さん率いる企業に売却することに私も大きな疑問がある。
 その原因究明に鳩山総務相に期待したが、数々の疑惑行為、違法行為も分からずじまいになりそうだ。
 そこに不正行為の多い日本郵政に、その責任者である西川社長の続投の波紋が広がった。
 鳩山さんは、続投を認可しないと言うし、西川さんは西川さんで、どういう訳か社長続投で民営化を全うしたいという。
 国民の80%もが西川辞任を主張しているにもかかわらずだから、理解に苦しむ。
 認可権は総務相、株主は財務省(国)なので、麻生さんがリーダーシップを取り、局面打開に向け対応したが、12日鳩山辞任、西川続投(?)で郵政民営化への従来の道を形上は選んだように見える。
 この背景には、小泉さんを初め郵政民営化推進派との攻防もあったようだ。西川さんは民営化で利益も2倍にしているのに、何故批判するのかという竹中さんの発言がそれを代表している。
 しかし、郵政施設はまだ国民の財産だ。国民の納得する説明が欲しいが、政治の常道として闇に葬り去られることになるのだ。
 鳩山さんは辞任会見で「汚れたモノを許すわけに行かない」、「このことは歴史が証明するだろう。そう遠くない1年以内に」の発言は国民の大方の考えを代弁しているのだ。

2009年6月11日木曜日

西松建設違法献金問題:政治家の疑惑を「見逃すリスク」をどう考えるか


小沢さんの公設秘書が逮捕される事件まで発展した西松建設の違法献金事件を検証する「第三者委員会」の最終報告書が出た。
 大方が当然の事ながら、罰則適用や起訴の理由、この時期の立憲での政治的影響など検察に対する説明責任を求めている。そして不適切な公権力の行使が、ヤミに葬り去れようとすると民主主義に重大な驚異となるとして、情報公開を求めている。
 報道のあり方についても検証しているが、記者クラブを通じた情報リークに不透明感があると指摘する。
 一方で、民主党の対応にも問題がある。小沢さんは個人の立場と党首としての立場を混同したが、もっと積極的にマスコミに訴える必要があったと論じている。
 民主党が設置した第三者委員会の検証だから、小沢さんに気を遣った様子がうかがえる。
 この問題は小沢さん側の政治資金規正法違反の疑いであるが、そもそもの発端は西松建設が海外から違法送金したことである。海外で資金を作り違法に日本に持ち込み、その一部が政治献金に使われたことが、西松建設側の供述で明らかになった。
 更に西松建設は「公共事業への口利き」を期待して小沢さん側へ献金を続けたという。だとすると時効の問題もあって、あっせん収賄の疑いも出てくる。
 この時期に小沢さん側に疑惑をもたらすことは、折角政権交代の機が熟しつつあるこの時期では、「政権交代の潰しにかかっているのではないか」と疑われても仕方ないことである。
 しかし、国民にとっては政治家の疑惑を「見逃すリスク」も考えなければならない。民主主義にとってはこちらのリスクの方が大きい。
 小沢さんは、代表辞任だけでなく、議員辞職すべきであったのかも知れない。
 小沢さん側は、法(斡旋収賄など)に違反する事は一切やっていないと言う。しかし、送る側の西松建設は「公共事業が受注できるのは、小沢さんの力がある」と思って献金を続けたという経緯があるらしい。
 だとすると、小沢さんは詐欺罪で立件できるのではないか。「人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取シタル者ハ10年以下ノ懲役ニ処ス」だ。

2009年6月10日水曜日

新聞よ 生き残ってくれ


アメリカでは日刊紙が経営難にかかり、生き残りをかけて事業の縮小、リストラそしてwebサイトへのシフトが盛んな事が報じられているが、日本でも状況は同じだ。
 朝日新聞は大きな赤字決算になったと言うし、毎日新聞は以前から経営難にかかっており、朝日や読売が36ページ印刷しているときに、毎日は28ページしかなく、「どうしてか」と聞くと、「設備投資が出来ず、体力が弱っている。ページ数は基準が28ページであるが、広告の数によって増ページになるらしい。当然に広告料は減少する。
 メデイアの広告料は、テレビ、ネットに食われて新聞は減少している。特にネットの伸びは大きいらしい。新聞は若者の購読が減っているし、活字離れで発行部数も減っている。一方広告主にすれば、PRしようとする客層を絞ることが出来るので、効率的に広告を打てるのはネットなのだ。
 
その新聞の存続が危ぶまれる記事が、COURRiER japon7月号でも取り上げられている。

新聞の一つの使命は「私達の目となり、他のどのメデイアよりも協力に国家を監視し、私企業の行き過ぎをチェックする」存在なのだが、新聞がその使命を果たせなくなるかも知れないと言うのだ。
研究によると、購読部数の低下と政治の不正には強い相関があると指摘されている。新聞の健全化は必要なのだ。
 「政治と金」で民主党小沢さんの西松建設違法献金の問題が騒がれた。メデイアは検察が流す情報を垂れ流ししていると批判され、報道のあり方が問題になった。
 私もインターネット新聞で記者をやっており、「見逃すリスクを考えると報道のあり方は仕方ない」と論じたが、ネットでは検察リークに強いアレルギー反応を呈し、「見逃すリスク」に関しては議論がなかった。メデイアもこの点にはダンマリだった。
 
 新聞は多くの記者を海外を含め各地に配してニュースを追っかけている。テレビもそうであるが、朝の情報番組は新聞記事の紹介が多い。新聞と違うところは芸能ニュースが多いことだ。新聞のリストラが進むと、ニュースを通信社に頼るようになる。実際に通信社は増強しているようだ。
 一方、webニュースサイトは独自の取材も無いことはないが、他のニュース源からニュースを集めてモノがほとんどらしい。紙媒体を廃止して、webに完全に移行すると、コストを40%削減できるが、収入の90%を失ってしまうと言う。
 
 ネットサーフィンとよく言われる。ニュースをテレビや新聞でなく、インターネットで自分が最も関心のあるニュースを選び出すことだが、これは良くないことだ。
 結局は自分に都合の良いニュースだけを探るようになり、密閉された空間に閉じこもることになり、社会の分断かが進む危険がある。批判すべき意見にも注目する姿勢が欠かせない。

 コンテンツの信頼性については、他のメデイアに比べれば高いはずだ。新聞が得意とする分野は解説記事、分析記事だろう。若者の政治離れも新聞を読まないことに関連しているのではなかろうか。テレビやネットのニュースにばかり頼らず、活字をしっかり読めば政治に無関心ではいられないと思うのだが・・。

2009年6月9日火曜日

分かっているはず 内閣不人気の原因は麻生さん自身なのを


甘利行革担当相が「内閣改造」を言い出した。自民党内では、今までにも解散・総選挙に向けて麻生政権人気回復のために内閣改造が言われていた。しかし今回は日本郵政の西川社長継続問題で反対している鳩山総務相の更迭を狙っての発言とあっては、きな臭い。
 本当に改造すれば、人気は回復するのか。
 そんなことはないはずだ。
 不人気の根本原因は、総理であるはずの麻生さんの資質に関連しているのだ。もう古い言い方になったが、「空気が読めない」、「漢字が読めない」、「政策がブレる」、「言い出しても直ぐに引っ込める」、「リーダーシップにかける」、「官僚に丸投げする」など一国のリーダーとしては困ったモノだ。
 当然の事ながら、世論調査でも、一時“敵失”で小沢さんを上回ったが、常に民主党代表に勝てない。
 他の閣僚には、何ら失点はない。麻生さんも世論調査の不人気の理由を記者に聞かれて、「他の閣僚に問題があった訳ではないので、自分に問題があるのだろう」と言わしめたほどである。
 麻生さん自身が引き下がらない限り、閣僚を入れ替えても人気の回復はあり得ない。
 このままでは自民党政権に後はない。

 永田町の噂として、小泉さんが引退発言を撤回して議員を続けるのではという噂もあるらしい。
 信じられないことだが、万一議員を続けるのであれば、「小泉改革」を総括して欲しい。
すべてが小泉さんの改革の結果ではないが、金融危機も絡んで、日本は社会不安に満ちている。

 一度自民党は下野して、国民の声を本気で聞くべきだ。

2009年6月8日月曜日

にっちもさっちも行かない自民党・・次を育てなかったツケは大きい




本当に困ったモノだ。
 この政局の閉塞感は偏に麻生さんの口とは裏腹に、地位に連綿としていることにあるし、何よりも次ぎを育てていなかった(若手に活動の場を与えていなかった)事に尽きる。
 各メデイアの報道も「何時解散・総選挙か」の解説が続くが、だんだん任期満了が近づく。コメンテーターも「自民党の誰々と話してみたが・・」と話すが、一向に先が見えてこない。
 世論調査も、内閣支持率は30%を切って横ばいの状態で、不支持率も60%を越える。「首相にふさわしいのは誰か」と聞くと、鳩山さんに10ポイント以上引き離されている。「新聞は余り読まない」というが、一国のリーダーが新聞を読み切れていないなんて信じられない。気にはしているが、人気回復の手だてがないのだ。
 民主党は、次の内閣や若手がんばっているが、自民党には次ぎの総理の人材にも事欠く始末なのだ。いままでの常道では先の総裁選の次点が、候補に上るはずであるが、石波さん、石原さん、小池さん、与謝野さんの誰をとっても?だ。
 そこが麻生さんの強みで「次は誰か」、誰かいるのかと言うことになる。
 今、総裁選前倒しで次ぎの顔を決めようという動きがあるが、ポスト麻生が直ぐに思いつかないのだから、ほとんど無理だ。
 一番可能性があるのは、任期一杯勤めて選挙し、自民党は下野することだ。
 このときは民主党が主体で政局は動くだろうが、政治の仕組みを根本から見直すことに期待したい。
 民主党が単独で政権を取れない場合は、大連立構想も浮かび上がってくるだろう。政局を安定させるためには大連立構想も考えられるが、有権者の理解が得られるだろうか。
 やることがあって、会期を延長したのだろうが、何をするのか。
 お願いだから無駄な経済政策だけは辞めて欲しい。
 「景気対策」、「雇用の確保」、「政治と金」、「年金」、「改革」、「税制改革」、「あるべき社会の姿」などしっかり議論してマニフェストで争点を明確にして欲しい。 誰も余り期待はしていないが・・。

2009年6月7日日曜日

景気上方修正は選挙対策か


景気指標改善では、前月比が時々プラスになるが、底入れ確認に最も説得力があると言われる前年同月比では余りない。
 しかし月例経済報告(21年5月25日)では、「景気は厳しい状況にあるものの、悪化のテンポは緩やかに減少している」という。
 雇用状況は悪化する中で、輸出は大幅減少から下げ止まりで対外経済改善の動き、生産の大幅減少も下げ止まりで在庫調整圧力の低下、さらに今まで打ってきた経済対策の効果が期待できることが根拠のようだ。
4月の「景気は急速に悪化が続いており厳しい状況にある。輸出・生産は極めて減少し、雇用も急速に悪化」に比べると一縷の光りが見えてきたと強引に言いたいのだろうが、実感は湧かない。
 そうだろう、生産活動は極めて低い水準で、雇用は一層の悪化が懸念され、景気は更に下押しのリスクがあると続けている。
 何やら迫り来る選挙対策のにおいがする。
 他として、公共事業は底堅い動き、倒産件数の増勢は鈍化していると言う。
 今後の政策としては、当面は景気対策、中期は財政再建、中長期は「改革による経済成長」の3段階で進める事になるが、75兆円という経済対策を確実に実施することになるらしい。
 景気実感として景気判断指数は家計、企業、雇用すべてに4ヶ月連続で上昇しているというが、個々に見ていくと心許ない。
家計部門では、プラス要因として高速道料金下げ、定額給付金の給付、環境対策車への減税が上げられている。高速道料金の1000円は、無駄な目的、CO2の排出で感心しない。本当に高速道を必要としている人には良い迷惑だ。早く国民が諦めることを期待する。プリウスなど売れているらしいが、反対に他の車種が売れないと営業は困っている。マイナス面として、価格競争の激化は問題が残る。企業収益は落ちて、人件費、雇用に影響する。
 企業部門では、在庫調整、受注が回復したと言うが、2月が底で4,5月は2~3割増でも好況時の50~60%でしかない。値下げ圧力は継続すると見られている。
雇用は、求人数も減少し、離職者も増加している。
それでも「悪化と判断する人」は31.6%から23.4%に減少し、「変わらない」という人が29.4%から38.4%に増えている。
 株価だって、数ヶ月前までは危険水域の7000円を割り込む危険があったが、年金基金が買い支えた経緯があるが、今は10000円を何時突破するかだ。麻生さんにしてみれば高いに越したことはない。
 日本は今不安だらけだ。「家族の不安」「社会の不安」「制度の不安」が上げられているが、麻生さんは「国家の像」「社会の像」を提示し、国家の「大きな不安」に答えようと、「安心社会実現会議」を設置した。
 日本をどういう社会に導いていくのか、早く示して欲しい。不安払拭は景気に大きく影響することは間違いない。

2009年6月5日金曜日

自民党下野はすでに想定内なのでは


会期延長で解散・総選挙の時期が絞られてきたようだ。麻生さんは解散権行使のフリーハンドを持ち、民主党との政策の争点を明確にしてから解散したいようだが、国民は自民党下野を織り込み済みではないのか。

 昨年9月の総裁選で麻生さんは「小沢さんと戦うことが出来る人?」と問いかけた。当初は麻生さん優位であったが、個人的な資質の問題、政策のブレが目立ち小沢さんに移った。しかし、西松献金問題で逆転し、小沢さんの人気が落ちた影響で麻生さんに人気挽回のチャンスが巡ってきたが、小沢さんの代表辞任で鳩山さんが優位に立った。

 先の党首討論で麻生さんは「どちらが総理にふさわしいか?」と問いかけたのは意外な発言で、麻生さんの頭は昨年の9月にリセットされたのではないかと疑った。

 解散・総選挙を「やるかも知れないぞ やるかも知れないぞ」と言ながら、いままでズルズルやってきた麻生さんに本気度を疑いたくなる。衆議院で政策論戦を張り、どうしても政権政党として政策推進に支障を来すようになった時に、解散権を行使し国民に信を問うのであれば、政局にインパクトもあり、効果があるだろう。

 しかし、もう任期満了に近いことを考えると、国民は自民党下野を織り込み済みでは無かろうか。

 各メデイアの世論調査でも、麻生さんに人気はないし、次回総選挙で「どの政党に投票するか」の設問では、民主党が優位に立っている。

 ところで、麻生さんは自民党が勝つためには、争点をどこに置こうと考えているのか。

 先の党首討論を見ても、政策課題の設定は鳩山さんの勝ちだ。麻生さんは言葉尻をとった議論に徹していたように思える。財源の確保の問題は自民党だって同じ疑問が残る。約15兆円に上る09年度補正予算なんて民主党の批判が当たっている。

 「政治と金」も問題だって、小沢さんの責任を追求しただけで、却って自民党の方が疑いをもたれる議員が多いと切り替えされた。総理・総裁として国民の信頼を取り戻すにはどうするかの議論が無かった。

 最近になっても自民党の右往左往ぶりは目に余る。

 日本郵政の西川社長継投問題では、閣内不一致と見なされる状況だ。麻生さんでは総選挙は戦えないと、山本さんは「総裁選前倒し」の運動を始めたが、党内が騒然となった。寧ろ、無視されるより、騒がれた方がありがたいとは山本さんの弁だ。さらに民主党が推し進めている世襲制限も次の選挙では見送られた。

 西川問題、世襲制限問題の背後には小泉さんの影があると言うから、「鳩山さんの影に小沢さんあり」とばかり言ってはいられない。

 麻生さんも自分のリーダーシップが問われていることは分かっているのだろう。官邸での記者会見で記者から質問されても、「“たら、れば”には答えない」とか、「直接聞いたわけではないからコメントできない」と説明をはぐらかす態度が見え見えで、強引に打ち切って背を向ける麻生さんに未来を託すことは出来ない。

 麻生さんは今、何をやってもうまく行かない。「出しては引っ込める」「またぶれてる」は今回の厚生労働省の分割案でも言われた。これ以上の失点を抑えるには、「こう言えば、国民はどう思うか」をしっかり考えるべきだ。常日頃反対している人達にも問うべきだ。

 国民にとって、「自民党下野」は想定内なのだ。

 次の選挙で「痛手を少なくするのは、どうすれば良いか」考えた方がよい。麻生さん自ら続投を考えているのであれば、民意が分かっていない。政策課題だってそんなに変わるはずはなし、中身だって「国民の目線」で見るとどっちがよいかは明らかではなかろうか。

 ただ、安全保障、外交、核問題など民主党内でも異論が出てくるだろう。野党共闘も躓く場面もあるだろう。

 自民党が勝つためには、「根本から政治を見直す、大幅な改革が必要なのだ。

2009年6月3日水曜日

リマンブラザーズよ 京品ホテル廃業と不当解雇の責任をとれ




3月に京品ホテルを尋ねた時は、板で閉鎖され人影は見えなかった。1月の強制退去でこの京品ホテル闘争も終わったと思っていたが、そうではなかった。
 まだ続いているのだ。
 6月3日、品川で降りて、京品ホテルに向かうと、「リーマンブラザーズは京品争議を解決しろ」という横断幕が広がり、15人ほどの組合員の皆さんが活動していた。
 500円のワンコイン弁当で京品ホテルを応援しようと先月25日から、カンパが始まっていた。
 その後の状況をリーダーに聞いてみた。
 「もうこの闘争は終わったのかと思いました」と言うと、「そんな事はありません。我々は雇用の保障を求めて戦っています」という。
 リー万ブラザーズは民事再生計画を5月15日までに裁判所の提出する予定であったが、未だ提出できていない。組合員の雇用問題が解決しなければ、買い手が付かないのだという。そのため組合はリーマンブラザーズに雇用の保障を求め、奪われた職場を取り戻そうとしているのだ。
 参加者は15人ぐらいであるが、皆生活があるので、アルバイトをしたりしながら交代で運動に参加し、我々の職場を取り戻すために最後までがんばるという。
 そして彼らは、リーマンブラザーズが京品ホテルで行おうとしている反社会的な債権回収を許さないことは勿論、リーマンブラザーズの被害を受けている人達と連携して、その責任を追求していくとし、「リーマンブラザーズに抗議し、一緒に戦いましょう」と訴えている。
 1月の強制立ち退き執行で、経営者側の思惑通り行ったかに思えたが、リーマンブラザーズグループの責任を追及し、雇用保障の闘争はまだ続いているのだ。

てるてる坊主 てる坊主

孫「じいちゃん “てるてるぼうず” 作りたいの」という。
私「あの“明日天気にしておくれ”のてるてるぼうず?」
孫「うん そう」
私「どうして?」
孫「あした 遠足があるの。晴れて欲しいの」という。
 材料と言ったら紙だが、新聞紙とテイッシュペーパーしか見あたらない。仕方ないのでテイッシュペーパーで作る事にした。頭にテイッシュペーパーを丸めて入れ格好良くするが、頭が大きすぎると逆さまになる。
 「てるてるぼうず てるぼうず・・・」と唄いながら孫が顔を描いていった。そして首に巻いた糸を軒先の物干し竿にくくりつけた。「晴れると良いね」と孫は見つめていた。
 天気予報通り、翌日は朝から雨は上がり天気は良さそうだ。無事遠足から帰ってきた孫は、その「てるてる坊主」を振り回して遊んでいた。
 百科事典で調べると、照照坊主は晴天を祈って、軒下などにかける紙人形で、願いがかなえば、顔に目を書き入れたり、酒をかけたりして川に流すという(現代世界百科大事典 講談社)。
 願い事をする以上は、最後もきちんと処置しなければならないのだ。ゴミ袋に入れて焼却に出すなんてもってのほかなのだ。
 しばらくして、所用で公民館前を通っていたら、女性の合唱で「てるてる坊主」の唄が聞こえてきた。地域の学習活動の一環としてコーラスをやっているのだ。
 「てるてる坊主 てる坊主
 あした天気にしておくれ
 いつかの夢の空のよに
 晴れたら金の鈴あげよ」
子供の頃、必ず唄って聞かせてくれた曲だ。私達が子供の頃は母親に聞かされたが、今は保育園や幼稚園で唄っているのだろう。保育園に孫を迎えに行くと、廊下に沢山の照る照る坊主がつるされているのを見る。願いが叶うかどうかは関係なしに、最初から顔が描いてある。
 合唱団の発表会でも必ず童謡の部があり、「てるてる坊主」は定番になっている。幼い日にお母さんが唄って聞かせてくれた唄として、参加者の心を打つモノがこの唄にはあるのだろう。
 そんな唄が作られた背景はどうだったんだろう。興味が出てきた。
 作詞は長野県の安曇野出身の浅原六朗(鏡村)、作り酒屋の家に生まれたが父親が事業に失敗し、近くの山里に住む叔母に預けられてそだったが、後に福島の親元に戻り早稲田を卒業した。成人後、六朗は故郷を度々訪れるが誰も知る人がいないむなしさを感じたという。明日は生まれ故郷へ歩いていく予定と言う日に、山に黒雲がたれ込めているのを見て、「明日は雨だろうか、明日も今日のように天気であってくれればいい」と思ったとき「てるてる坊主」の一節が浮かび上がったという。
 この唄には幻の1番後半があるという。 「もしも曇って泣いていたら、空を眺めてみんな泣こう」というすてきな歌詞があったが何故削られたらしい。
 一方で、3番は残酷だ。
 「てるてる坊主 てる坊主
 明日天気にしておくれ
 それでも曇って泣いてたら
 そなたの首をチョンときるぞ」
 子供の唄には普通は見られないが、六朗は、子供の一面である残虐性を取り入れたと説明していたらしい。イタリアでも普及したらしいが、この3番だけは除かれた。
 六朗はその手記になかで、「「てるてる坊主」の唄は今も生きている。多くの子供達の心の中に。そしてかって唄った人々の心の中に」と記している。
情緒豊かな子供を育てるには、童謡はいい教本だ。「雨雨降れ降れ母さんが・・」も良い唄だ。お使い帰りや保育園、幼稚園帰りにお母さんと一緒に唄っている光景を失ってはいけない(お母さんばかりでなくていい。お父さんでもいいし、おじいちゃん、おばあちゃんでもいい)。
「国家の品格」を著した藤原正彦さんも「情緒」が失われているのを嘆いている。今は世知辛い世の中で、生活も苦しいが、心は豊かさだけは失いたくない。

参考:唱歌・童謡ものがたり 読売新聞文化部 岩波書店 1999.10.5

2009年6月1日月曜日

官僚から政治を取り戻せ




国民全体の奉仕者としての国家公務員は政策決定、その実施のために高度の専門知識と幅広い視野などを持った人材で、その地位は昭和22年に成立した国家公務員法で手厚く保護され、今では過保護の感がする。
 ところが政治は「官僚主導から政治主導へ」を政権交代のキャッチフレーズするほど官僚主導政治への批判が高まっている。官僚への風当たりは強くなってき事例は多い。
 確かにこの50年、官僚は巨大な組織を築いた。
 必要な政策の立案は各省庁へ丸投げされる。各省庁から上がってくる政策、議案は事務次官会議に図られ、閣議に上げられる。それを牛耳るのは官僚出身の官房副長官だ。当然の事ながら「国民のため」とはいえ、国家公務員の利に反することなど上がって来ようはずがない。
 安倍政権の時に、事務次官会議にかかっていなかった議案を、閣議にかけたために官僚は大混乱したというし、政策検討に有識者を集めた審議会、懇談会などが設置され検討されるが、改革を取り入れた案であっても最終案では官僚が作文して骨抜き案になった例もある。
 さらに、今回の約15兆円に上る補正予算も、国家公務員、族議員の焼け太りしか効果はないと多くの人は見ている。
  また、霞ヶ関は国民が知らないことを良いことに数々の私利私欲行為に走っていたことは、大阪府知事の橋下さんが国の直轄事業の地方自治体負担金問題で火を付けたことでも分かる。
 道路、寡占、ダムそして港湾などの国の事業ではその費用を国が70%、地方自治体が30%持つことは知っていたが、その内容は分からなかった。しかし、それが国家公務員の人件費、事務所費や退職金も含まれその総額は約1兆円に達するという。
 地方交付税も削られ、自治体も財政難に喘いでいる。これを機会に国の予算執行を厳重に監視して欲しいモノである。
ところで官僚主導政治からの脱却は、なかなか難しい。まず官邸組織の改革といま検討されている国家公務員制度改革基本法の原案通りの実施が必要だ。
 政治は霞ヶ関を動かさなければならないので、官邸に官僚のトップが官房副長官などの立場で座るのは仕方なく、政治をスムーズに実施するための調整役であれば良いが、政治が牛耳られるのはもってのほかである。
 
 そして、今までの行政の弊害は、その縦割り行政に根本原因があり、各省庁独自の人事権にあると言う。そこで人事を一元管理し、民間、学界から適任者を任用する制度が上がっている。それを実施するには内閣人事局の設置がある。以前、新聞で堺屋太一さんが「公務員制度の改革懇談会」のメンバーで、官僚に原案を書かすのはまずいと言うことで、自ら原案を作成し、その要である人事局長には官僚でない人を当てるとしていたという。
 誰が見ても官僚に不利な案である事は歴然としている(改革とはそんなモノでないといけないのだ)。官僚組織はこぞって反対したし、新たなポストを造ることは、人件費削減にも反すると反対した。官房副長官が当たるというニュースが流れたとき、漆間さんは「官房副長官である私が併任しなければ、私の存在価値がない」とまで言い切ったのには驚いた。
私は、人事局長には官僚でない人を選ぶべきであり、人件費が増加しても、それだけの公務員改革が出来るのであればメリットは大きいと見る。
 しかし、官僚、特に国家公務員の中立、公平性を主張する人事院は、黙っていない。閣僚の集まった検討会で、人事院総裁の谷さんが憮然とした顔をしていたのは当然だろう。
 加えて、2008年年次報告書(国家公務員白書)骨子(人事院HP)、第1編第2部:人事院の創立、変遷と国家公務員人事管理における現代的課題で「平成21年国家公務員改正案」について言及している。
 それによると、今回の改正案に関して、現在の国家公務員法の基本的枠組みに関する問題があるので、人事院の提案や意見を法案に反映させるように求めてきたが、合意に至らず法案の閣議決定の運びになったため、平成21年3月31日、総理大臣に対して修正を求める意見書を提出したというのだ。つまり内閣人事局構想は「法の枠組みを超えている」というのだ。そして、人事行政に対して自らも改革していることを強調している。

 そのほか国家公務員の人事管理に関していろんな主張をしている。

 国民全体の奉仕者であり人事管理に関しては中立、公平性が要求され、労働基本権の制限や給与に関しては、民間とは異なる面があり、多角的な視点から幅広い議論が必要であるとしている。
 確かに、公共サービスの提供という面からすると、ストライキなどの労働争議はまずいことかも知れないが、今の時代にみんかんでもストライキをやる情勢ではない。公務員であっても労働基本権を認めて、国・地方自治体と公務員で労使協議しても良いのではないか。
 公務員の給与の財源は税収で賄われており、民間企業のように利益の分配とは異なり性格を異にすると言うが、民間では利益が出なければ給与は下がる。公務員でも税収が下がれば当然に給料も下がっていいはずだ。
 公務員の勤務のあり方の基本は、「公務員の真の使用者である国民」を代表する国会において定めるべきモノであり、国会議員自身の待遇も含めて国会でもっと議論すべきである。名古屋市長の河村さんが自分の給与を1/3に下げたのはあっぱれだ。
 人事行政の中立・公平性に関しては、職業公務員が本来求められる役割を十分に果たすために、恣意的人事運用を排し、成績主義に基づく採用、昇進、身分の保証の確保、厳正は服務規律の確保が不可欠だという。
 そうだが、実際には反対のことをやっている。問題が出てきても責任逃れに終始し、メデイアで批判が増すと、更迭するが、いつの間にかほとぼりが冷める頃、復職している。縦割り行政での恣意的人事運用は当たり前のことになっているのだ。
 やっぱり内閣人事局は必要で、官僚以外の優秀な人材が担当すべきである。官僚は「国民全体の奉仕者」であり、その人事は国民に帰すべきで、官僚主導政治からの脱却は、国家公務員人事管理改革からだ。