2016年1月31日日曜日

甘利さんの贈賄疑惑で東京地検・特捜部:この案件を挙げなければ存在価値なし?

真価を発揮出来るか 東京地検特捜部 
甘利さんが大臣を辞任したと思ったら贈賄疑惑で東京地検・特捜部が動き出したという。この案件を挙げられなければ地検・特捜部の存在価値はないのではないか。

今まで国会議員が絡む「政治とカネ」の問題で「国民は有罪ではないか」と思った案件も「不起訴処分」になるケースがほとんどで、市民団体が検察審査会に審査請求すれども「嫌疑不十分で不起訴相当」と言うことになる。地検は根っから及び腰だ。

そりゃそうだろう。検察が動いているという情報が流れると当事者は直ぐ、証拠の廃棄、隠蔽を図るはずだ。何ヶ月、何年後に家宅捜索しても証拠は何もない。クズばかりの証拠(資料)では挙げることが出来ないのは当然だ。

そして彼らは「推定無罪」を主張する。検察が有罪になる証拠を突きつけなければ無罪が推定される。

だから逆に「推定有罪」で議員が積極的に無罪を証明しなければ有罪という考えでないと議員の犯罪は挙げることが出来ない。

「妻に任せていた」「秘書に任せていた」「私は知らなかった」が疑惑議員の常套手段で、多くの大物議員も主張している。政治は家族、秘書らの働きがなければやっていけない。連帯責任が問われない法律では不備だらけだ。

甘利さんが辞任した途端に事件が明るみになってきた。

千葉の建設会社とURでの問題で、民主党など野党の調査ではURは「今、調査中」とはっきりしたことを言わなかったが、辞任した途端に12回会っているという。

道路工事で建設会社が資材置き場に使っていた場所を移転しなければならなくなり賠償の問題顔起きてきた。

125月にURは1600万円を賠償したが、その後どうしたことか136月に甘利氏側が増額を求めて交渉に参加したらしい。その結果8月に22000万円が支払われ、更に増額を要求したそうだ。
誰が見たって「あっせん利得処置法」に抵触する案件だ。

恐らく甘利さん自身は「まずい」と思ったはずだ。自分に責任が及ぶのを防止するには辞任が1番と考えたはずだ。

地検特捜部は果敢に挑戦し今までの失敗を覆す成果を上げて欲しい。でも、既に重要な証拠、資料は破棄されている恐れがある。小渕優子さんの事例では、素早い家宅捜索をしたがパソコンのHDをドリルで破壊したという。悪徳な行為であったが証拠がなく、秘書が行為を認めたのだからそれ以上の追求はできなかった。

今回の甘利さんの案件を立件できなければ東京地検・特捜部の存在価値はなく、警察の挙げた案件を起訴するだけの役目なのだろう、




2016年1月30日土曜日

マイナス金利という新緩和策:黒田さん、「もう打つ手なし」と言うことでは

日銀がマイナス金利という効果が不明な新緩和策を打ち出したが、本音は「もう打つ手なし」と言うことではないのか。にもかかわらず東京市場は500円高、ニューヨーク市場は400ドル高と珍しく日銀の政策に反応したが、目先の儲けに拘り中期視点を見間違っていないか。

2%物価安定目標達成時期も15年度から16年前半、16年後半そして今回の17年度前半。先送りばかりだが「経済は回復基調」という。半年単位の先延ばしにはどういうわけがあるのか。

一気に先伸ばしでは信用を落とすのでこまめに先送りして批判を少なくしているのではないか。そういうことをすることを批判するメデイアはいない。批判しないことでお互いの関係を保っているのか。

2年で2%達成を豪語したときの岩田副総裁は、「言い訳はしない」、未達成の時は辞職すると言ったのはどうなったのか。もう既に辞職し学習院にでも戻っている頃ではないのか。

黒田さんは「2年程度」と言っていた。

既に量的・質的金融緩和策は「打つ手なし」の段階ではないのか。先の決定会合では「暫定措置」そして、今回が「マイナス金利」と非伝統的な金融政策が続く。

80兆円という国債買い上げもその効果は「日銀当座預金」に貯まり253兆円に達した。今までは0.1%の利息が付いていたが2月以降は日銀に利息を払わなければいけない。思うに国民の預金は低率なのに何故、日銀の預金は高かったのか。

その間の銀行の貸し出しは8%しか増えず、市場に金を回す効果はほとんどなかったのだ。

だからそうなのかは分からないが、物価上昇が鈍い。

需要がなければ設備投資するカネなど要らない。貯蓄から何に投資しようというのか。

トリクルダウンに期待していると言うが、儲からなければ無理と言うことになる。経済界は法人税下げや規制緩和を訴えるが具体的には何をしたいのか。

計画書を提出した企業に優遇策を与えれば良いのではないか。だから税収は増えない。無駄な減収を起こすばかりだ。

黒田総裁、岩田副総裁! 次の金融緩和策は、あなたたちが辞任することだ。

政府との関係で2%物価目標達成が失敗だったことが言えない。政府の希望である「脱デフレ」が宣言できないのであれば、政府とは手を切るべきだ。

中国を除いて成長率は世界的に低い。

デフレは年金生活者、低所得者にはありがたい。無茶なことをして「経済の悪循環」にでも持って行かれたら生活貧困者になる。


「打つ手がなければ打つ手なし」と言えないのか。劇薬は一時は効くが、段々命に関わることになる。

(逆説)甘利議員を政治再生担当相に任ずる

逆説だが、甘利議員を政治再生担当相に任ずる。こんな辞令が安倍総理から発令されることはないか。

政治家としての美学(?)、議員としての矜持(?)を持っていて、不可能に思われたTPPを大筋合意まで持っていった噂通りのネゴシエーター(?)だとすれば甘利さんの辞任は残念なことであった。

でも、美学や矜持を持った国会議員がこんなことをするだろうか。そんなものを持っていないから秘書も適当なことをしていたのではないか。

TPPをまとめた功績として政府筋が流した嘘(?)をメデイアが垂れ流したに過ぎないのではないか。

そして、何よりも今回の事件は政治家が犯す可能性のある犯罪の全てを網羅していることだ。

政治資金規正法違反、あっせん利得処置法違反、贈賄罪、秘書は業務上横領罪など、政治家不正の総合商社だ。

今時そんな事をしていたのかと驚く議員もいたが、長い歴史の中で「政治家とカネ」の問題はついて回る。300億円以上の税金を政党交付金で配分しながら、もっとカネが欲しいのか。この政党交付金で議員はカネの心配をせずに政治に邁進できると言っていたのではないか。


そこで、甘利さんの能力、経験を生かして日本の政治を再生する担当相に任じてはどうか。

2016年1月29日金曜日

TPP担当相に石原元幹事長:安倍総理はTPP、日本経済再生を諦めたか

TPP担当相に石原さんが決まったと言うが、石原さんで大丈夫なのか。この人事から安倍さんはTPP,日本経済再生を諦めたのではないか。甘利さんの違法献金疑惑がどういう決着を目指すか注目していたが、責任回避は無理と判断したのか、安倍総理などの慰留を蹴って自ら辞任の判断をした。私もブログで「辞任しかない」と主張していたが、続投にでもなれば傷つくばかりだ。

本音として、ニュージーランドでの署名式には出席したいとコメントしていたが、世界の笑いものになる。

後任人事が石原さんということで驚いた。石原さんは能力に疑問符が付くのだ。国土交通相の時、日本道路公団の民営化に当たったが、公団の藤井会長に適当にあしらわれていた。何やら極秘事項を口にしたと思ったら、周囲の反対で口をつぐんでしまった。

幹事長の時、自民党総裁選に谷垣総裁を差し置いて自分が立候補した。麻生さんが「平成の明智光秀」と言ったことから一気に人気を落とした。それまでは長老の覚えも良く支持を固めていたのだ。

福島第一原発をサチアンと失言したのも大きな失点になった。

恐らく、不慣れなTPPの国会審議では立ち往生するだろう。揉めて審議が進まないこともあるだろうし失言は付きものだ。

石原さんとはお友達と言う関係らしいが、安倍さんはTPP,日本経済再生を諦めたのではないか。

アベノミクスは成果より効果なしの評価が増えてきた。「経済の好循環」は難しい。賃上げが大事だと経済界に訴えているが、どうなるか。

円高、株安も政権にとってはピンチだ。中国経済の減速、産油国の事情で大きく乱高下を繰り返す。海外投資家の「空売り」が解人らしい。日銀の量的・質的金融緩和などは少しずつ見直すべきだ。

政府、日銀の目指す2%物価目標も今年後半の達成は難しそうだ。「打つ手なし」が顕著になってきている。
甘利さん離脱で政府の経済運営も違ってくる。

今までは、リフレ派、経済産業省が経済再生諮問会議で主導権を持っていたがこれからは麻生さん率いる財務省の財政再建派が盛り返してくるのではないか。安倍総理と財務省を調整する役を誰も出来なくなった。間違って竹内さん当たりが出てくるか。

テレビに映る安倍さんの顔を見ると、やる気をなくした顔に見える。

サミットを経て、2016年後半に安倍さんも政権を放り出す。そんな気がする。


2016年1月28日木曜日

甘利大臣の違法献金疑惑:「辞任追い込み」作戦では「政治とカネ」の本質を見失わないか

甘利経済再生担当大臣の贈賄疑惑、違法献金問題を野党は「辞任追い込み」戦術で安倍政権にダメージを与えようとしているが、それだけでは「政治とカネ」の問題の本質を見失わないか。

政府、自民党は贈賄疑惑から「はめられた」論に本質転換しピンチを乗り切ろうとし、メデイアも挙って乗っかっているがこれに乗っては安倍政権の思う壷だ。

確かに新聞報道などによると録音されたり、写真に撮られたり不審な点も多く、また何故、今なのかという疑問も湧いてくる。

そういうことを考慮しなくても、この件は大きな疑惑をはらんでいる。

「政治とカネ」の問題は根絶が難しい根深い問題を含んでおり、今回の報道でも「まだそんな事をやっているのか」と呆れかえる程だ。

それが安倍政権の重要閣僚の一人だから「本人の説明責任」と言いながら裏でいろんな手を打っているのだろう。

しかし、野党にとっては辞任に追い込み、安倍政権を揺さぶるチャンスだろうがそれだけでは野党が勢いづくことは出来ない。「政治とカネ」の問題解決にはならない。


甘利さんは自ら辞任し、超党派の証人喚問に応じ国民に説明責任を果たすべきだ。それしか道はない。

2016年1月27日水曜日

甘利大臣の説明責任:贈賄疑惑から「はめられ論」へ?

28日に甘利さんが今回の違法献金疑惑について調査した結果を記者会見で説明すると言うが、贈賄疑惑から「はめられ論」で収拾する動きが自民党幹部、官邸側から出て来た。甘利さんは被害者だったのか。

重要なダボス会議でも言い訳から始めなければならないみっともない、恥ずかしい立場に置かれ、国内政治ではアベノミクスを先導し、TPPの立役者として他の人に代えがたい人材である事がメデイアを通じて報じられている。

だから、甘利さんの失脚はこれから始まるTPP審議、更に続く経済政策の推進に支障を来すので甘利さんを守りたい意向が見え見えだ。

そこで高村さんが「はめられ論」を言い出した。

「はめられ」論で行けば甘利さんは被害者で、疑惑の責任が緩和されるとでも言うのか。確かに録音もし、授受の写真もあるというのだから「はめられた」ということも成り立つだろうが、甘利さんが「曖昧な事実関係」とは言っても疑惑の土俵は出来上がっている。

秘書のやったことであるが所在不明で事実関係の確認が取れない。カネの授受についても思い出せないと言うことは、いつもカネをもらっていたので50万円位もらっていたことは覚えていないと言うことになるのか。

万一、「はめられた」と言うことであっても脇の甘さから政界を騒がせていることは確かだ。ダボス会議では「安倍総理に申し訳ない」と言ったそうだが、どうして「国民ではないのか」。

安倍総理のために働いていたのであれば了見が狭すぎる。まずは即刻辞任すべきだ。続ける事はあらぬ事までほじくり出されて人格に傷か付くばかりだ。

もし国会でのTPP審議に支障が出るのであれば、甘利さんを内閣参与、特別補佐官にして答弁書の作成を担当させたらどうか。どうせ国会は官僚の答弁書を読み上げているだけだから支障はあるまい。

一方、経済運営はどうなるか。
アベノミクスを推進し、経済財政諮問会議では安倍さんと麻生さんの考えの対立を調整したことが評価されている。

安倍さんはリフレ派の財政出動、麻生さんは財務省の財政再建派だ。安倍さん日本経済再生の両輪と言っていたので調整は重要なのだろう。今、アベノミクスは評価を落としている。一方で今までの政権のように財務省に牛耳られるのも問題だ。

難しい運営が予想されるが、疑惑まみれの甘利さんでは組織の信頼も落とす結果になる。


兎に角、一旦身をひくことが甘利さんのためばかりでなく、国民のためだ。

2016年1月26日火曜日

宜野湾市長選にみる:政府介入は憲法で保障する「地方自治の本旨」に反していないか

宜野湾市長選が終わってみると、政府介入が「地方自治の本旨」に反しているのではないかと疑問が出て来た。辺野古移設反対が勢いづくかどうか、注目していた宜野湾市長選は普天間移設賛成派で政府、与党の支援を受けた佐喜真さんが反対派の志村さんを破って当選した。

新聞による選挙結果は、投票率68.72%、佐喜真さん27668票、志村さん21811票、佐喜真さんは辺野古移設賛成派だが、辺野古移設には特に言及せず、普天間飛行場の「1日も早い閉鎖、返還」を主張、政府、与党の支援を受けた。

一方、反対派の志村さんは翁長さんの支援を受け二人三脚で移設反対を訴えた。

所謂、政府vs沖縄県の代理戦争の様相を呈したのだ。

政府はアメを与え続けた。菅官房長官はデイズニー・リゾートを持ってくると言う。更に3市町村には県を経ずにカネをばらまく懐柔策も採った。政府の何でも出来るという強権を見せつけたが、安倍政権のやりそうなことだ。

でも、地方共同体の長の選挙に中央政府がアメで介入することが良いのかどうか、憲法が保障する「地方自治の本旨」とは何か。考えなければならないのではないか。

憲法の教科書の地方自治の説明に、国の民主政治の基礎で地方が治まって始めて国全体が収まる。地方の政治は国の政治の根源で、政治の民主化は地方政治の民主化からというのだ。

中央の政治より地方の政治の法が頑強だとも言う。中央の政治が民主党政権に変わっても地方は従来のままという例は多かった。

今回の宜野湾市長選はどうだったのか。

憲法92条は地方自治の原則を謳い「地方自治の本旨」に従い地方公共団体の組織、運営の関する事項を法律で定めるという。

しかし、「地方自治の本旨」については特に規定されていない。
法律書では、地方自治の概念は「民主主義」の概念と「地方分権」の概念との結合によって形成されるという。地方自治=住民自治なのだ。地方の行政は住民自治と団体自治との2つの要素を結合せしめ、原則として官庁の関与によらないで地方民が構成員たる団体を通じて、地方民自らの手で処理せしめようという要請を意味するという(憲法Ⅰ 清宮 法律学全集 昭和329月)。


如何に政府が辺野古移設を推進しようとしても政府が宜野湾市長選に裏で介入することは憲法の趣旨からしても好ましくない。

2016年1月25日月曜日

何故急ぐ憲法改正:安倍総理に「国のかたち」を決めて欲しくない

安倍総理は急に憲法改正を急ぎだした。「国のかたち」を決める憲法改正を安倍総理に託してはいけない。安倍さんに取って立ちはだかるのは「2018年問題」だろう。自民党総裁の任期が切れるし、日銀の金融政策が行きつまりアベノミクスが信を失い政権がぶっ飛ぶときだ。

新聞、テレビは「安倍総理は憲法改正へ本気で取り組むようだ。具体的な内容は不明確なまま」と不安を隠さない。

「どういうことなのか」と施政方針演説、<全文>を見てみた。 

「はじめに」から読み始めてもどこにも憲法改正の記述がない。嘘じゃないかと思いながら「おわりに」まで読んでいくと、本当に最後に「民主主義の土俵である選挙制度改革、国のかたちを決める憲法改正。国民から負託を受けた私たち国会議員は正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく」というではないか。

これだけの記述でどうして本腰と見えるのか。本当にやろうと思えば本文中に「憲法改正」の欄を設けて主張すべきではないのか。具体的には緊急事態条項、環境権など具体的に記すべきではないか。

これでは、反対が多いので「今はこの程度しか言えないが、何かの拍子に突き進むぞ」と言っているようなものだ。

緊急事態措置は法律でも対応出来るし、環境権は国民の抵抗が少ないのでやりやすい改正だと思っているのだろうが、自民党憲法改正案しか今のところ参考資料はない。

でも、憲法を無視する一党独裁状況の自民党安倍政権で「国のかたち」を決めて欲しくない。

「国のかたち」はもっと国民の間で広く議論しなければならないし、確固とした考えがあっての「国のかたち」でなければならない。

安倍総理の憲法改正の本丸は憲法第9条だろうが、憲法9条は終戦直後の憲法草案検討時に当時の幣原首相が総司令部のマッカーサーを訪ねた時のマッカーサーの証言がある。

幣原首相は,日本が平和国家として国際社会の中でこれからも存続するためには軍隊を持ってはいけない。日本の新法に日本は軍備をいっさい持たないという条項を入れて欲しいとマッカーサーに懇願したと言うマッカーサーの証言があるのだそうだ(「経済は人々を幸せに出来るか」宇沢弘文 東洋経済新報社 2013.11.7)。

マカーサーの当時置かれている立場からの証言だったのだろうが、幣原首相は戦争の苦い経験から軍備を持たない「国のかたち」を考えていたのだ。

それに較べて安倍総理はどうなんだ。

安倍総理にだけは「国のかたち」を決めて欲しくない。



2016年1月24日日曜日

株高、円安から株安、円高へ:質的・量的金融政策という人為的調整の末路か

新興国、中国経済の減速、原油価格の下落などで株高、円安から株安、円高に基調が変わったように見えるが、量的・質的金融緩和で経済構造を変えようとする人為的政策の末路ではないか。

何故、2年という短期に2%消費者物価上昇を目指し、「物価の動きによっては間髪入れず追加緩和も辞さない」と言う意味の発言を黒田総裁は繰り返している。だから市場は物価上昇に支障が出れば追加緩和をするだろうと期待する。

しかし、先の決定会合でも露わになったが打つ手も限られてきて「補完的措置」で逃げるしかなかったのだ。いろんな手があるのだろうが、国債購入には限界が出て来た。

海外の専門家は2%物価目標は短期目標ではなく、中期目標でやるべきだとの指摘が多い。

日銀の政策決定会合でも木内委員は「中期目標でやるべきだ」と提案しているが、1vs8でいつも否決されている。

技術的問題で「2018年の問題」が出て来ているが、私は安倍総理の任期、黒田総裁の任期からも2018年が節目になるだろうとみているが、それ以前に解決すべきではないか。

新聞報道によると、黒田総裁はダボス会議で「政策手段が限られているとは思わない。2%という物価目標に向け、あらゆる手段を講じる」と強気の発言をした。出口戦略の「で」の時も言わない黒田総裁は更に「日米欧で同時に金融緩和から方向転換すると新興国に与える影響はより大きくなっただろう」とも発言した。

本当にそうなのか。FRBは世界経済の状況から次なる政策に躊躇しているとも言う。

経済政策は予め実験できないから難しい。

以前、速水総裁の時に政府の反対を押し切って金融政策の正常化に向けゼロ金利を止めたことがあるが、案の定経済は停滞したために元の戻した苦い経験が日銀にはある。

更に質的・量的金融緩和の見直しをすると言うこと、物価目標の見直しをすると言うことは、即アベノミクスへの不信に繋がり安倍政権がぶっ飛ぶことになるので日銀としては口に出して言えないことだ。

だから何を思ったのか、総理と同じように経済界に「賃上げ」を要求する。黒田さんは「金融政策では限界だ」と言っているのに市場は更なる追加緩和を期待する。

そんなにジャブジャブ市場にカネを流してどうするんだ。市場はアベノミクスではなく世界経済の状況で動き、日本経済もその影響を受けているのではないか。確かに一時は効果があった(?)ように見えるが今、海外ではアベノミクスは評価されていない。アベノミクスの成果と言っているのは国際会議に出席した日本の閣僚であり、日銀総裁だけだ。

今後の経済指標の動きにもよるが円高、株安は避けられず、2%物価目標達成も調整すべきではないか。

日銀は政府と手を切って出口戦略に付いて市場とコミュニケーションをとり金融正常化へ進むべきではないか。

金利も上がるだろう。でも預金金利が上がることは高齢者にとっては利子も付き消費に回す金額も多くなるはず。低所得者に特別給付金3万円を支給するという姑息な政策は必要ない。

金利が上がれば企業の設備投資に影響するというかもしれないが、今は巨額の内部留保がある。それを崩して自己資金でやったらどうか。企業家によっては「需要があれば借金してでもやる」という気概のある経営者もいる。

もし、中小企業がカネを借りにくいと言うことになれば、低利の融資をする制度を整備すれば良いことではないか。

法人税を下げ海外からの日本進出を誘っているが経済財政諮問会議でもうまく行っていないという。一度海外へ進出した生産設備を国内に戻すことは円相場との兼ね合いがあり直ぐには方向転換は出来ない。

国内での人口減、市場規模の縮小を考え海外でのM&Aが進んでいる。日本を主導するトヨタが自動運転技術の開発のためにシリコーンバレーに200億円投資して企業を興すという。政府の方針に逆行しているのではないか。

アベノミクスが期待したトリクルダウンも今の企業経営者には期待出来ない。

トヨタは企業業績も上がっているので部品供給の関連会社にコストダウンの交渉に入るという。

逆ではないのか。あれほどの高収益を挙げているトヨタなのだから部品供給会社に適正な価格を支払い下請け会社に余裕が出来れば従業員の賃上げに回す。それが本当のトリクルダウンではないか。

日銀も難しい金融政策を要求されているが、政権に惑わされてはいけない。政策決定会合で本来の議論をすべきだ。


2016年1月23日土曜日

18,23日続く相模湾地震:頻度は低いが近くに巨大地震の震源域が

地震情報 気象庁HPから
18日、23日に3回の相模湾地震、20日に駿河湾地震 23日に伊豆半島東方沖地震
余り頻度は高くないが、近くに相模トラフ、巨大地震の震源域がある相模湾を震源とするM2~3、震度1~3の地震が1823日と続けて発生した。

地震情報 23日1時33分相模湾地震
18957分 震源深さ150km、M4.2,埼玉県、千葉県、東京都が震度2で揺れた。地下の深いところで発生したために関東地方で広く揺れた。そして23日に3回、深さは10km、M2~4,熱海で震度2~3を記録した。

その間に201116分駿河湾を震源とする深さ30km、M2.7,震度1も発生、そして相模湾地震の後に23534分には伊豆半島東方沖地震M3.2,震度3が同時期に発生している。

Tenki.jpで相模湾地震を検索すると、2009年に2回、2012年に1回、2013年に3回、2014年、20015年にそれぞれ1回、そして20161月に3回で頻度的には多くはない。

しかし、場所が首都直下でM7クラスの発生が危惧されている震源域の近くであるし、東海、東南海、南海の連動巨大地震の震源域にも近い。

相模湾と駿河湾と伊豆半島東方沖で同時期に発生したことに意義がある。注目すべき地震かもしれない。

相模湾、駿河湾 伊豆半島東方沖での地震の発生歴史
日本列島「巨大地震史」全網羅マップ
SAPIO 2014..4





成長と分配の好循環:経済財政諮問会議で提言される政策は何時検討されているのか

「成長と分配の好循環」、日本経済の舵取りを担っているように見える安倍総理のYESマンの集まりである経済財政諮問会議だが、そこで提言される内閣府や財務省、民間議員の提言は何時検討されたものなのか。

1月21日に開催された平成28年度第一回議事録次第を見ると、たった50分の間に甘利さんが資料1,成長と分配、内閣府が資料2,3民間議員が資料4,麻生財務相が資料5で政策提言(?)、最後に記者連中が招きいれられて安倍総理の総括になる。

議事進行は甘利さんの指名で各資料に従い説明、その後意見交換があって次の議題へと進む。一議題について10分ほどの説明だと思うが、そんな短時間で重要な政策が議論決定できるのか。

しかも、その提出された資料は何時、どこで十分に検討された内容なのか。

それとも安倍政権の政策を忖度し既に決まっているので、それに沿う資料を作成し審議した格好にしてお墨付きを与えるだけなのか。

更には、経済財政諮問会議で提言され採用された政策をP→D→C→Aで軌道修正しながら目標達成に挑戦する姿が全然見受けられない。言い出しっぺの会議だ。

そして、時代によって政権によって会議の主導権が違ってくる。

基本的には財務省vs経済産業省、財政再建派vs財政出動派と言うことになるか。

名目成長率3%以上でも2020年度6.5兆円の赤字だが、安倍総理は施政方針演説で経済再生なくして財政再建なし、20年度の財政健全化目標を堅持するという。本当に出来るのか、その時誰が責任をとるのか。

今は経産省主導だ。財政出動なのだ。「アベノミクスの成果などの活用をどう考えるか」を経済財政諮問会議で議論して欲しいと安倍総理が総括している。「一億総活躍社会」の実現などに向けては、「経済/財政再生計画」の枠組みの元で適切な安定財源を確保する必要があるというのだ。

経済財政諮問会議で新たな政策提言があると「その財源はアベノミクスの成果で」という発言があるが、麻生財務相は「アベノミクスの成果は中長期計画にすでに織り込まれているので新しい財源を見つけろ」という。

今安定財源の確保が必要な政策に「一億総活躍社会」、軽減税率での1兆円(うち6000億円)だが、何やら参院選後に検討するらしい。選挙前に国民負担が目立つとまずいそうだ。

経済財政諮問会議の今後の検討課題は、アベノミクス第二ステージの課題である成長と分配の好循環を実現することでアベノミクスの成果をより実感出来るようにすると共に「一億総活躍社会」を構築することであるが、成長の果実なくして分配を続ける事は出来ずGDP600兆円を目指すのだ。

だとすると、YESマンばかりでなく、いろんな意見を出し合う必要があるが期待は出来ないのではないか。


そんな事より今まで主導してきた甘利さん自身が贈賄疑惑でピンチになっている。この苦難を切り抜けることは無理と思うが、万一切り抜けたとしても信頼は落ちてしまった。経済財政諮問会議の行く末も?が付く。

1月21日の会議で提出された資料より

日欧で追加緩和への期待:市場、投資家は何故、無理強いするのか

株価の乱高下が激しい東京証券取引所
原油価格下落、新興国、中国経済の減速で乱高下を繰り返す株価が日本や欧州の追加緩和期待から22日の日本の株式市場は17000円台に戻し941円ほど急騰し、円相場は円安で118円台、長期金利は0.23%だ。

欧州中央銀行(ECB)の総裁は次回の理事会で追加緩和に踏み切ることを発言していたし、日本銀行も前回は補完措置だったが次回は追加緩和に踏み切る見方が広がるとともに原油の下落に歯止めがかかったこともあって株安を食い止めた格好になった。

しかし、金融緩和政策は劇薬、毒薬と言われているのに何故、市場は求め続けるのか。市場が混乱して困るのは投資家達だが、混乱しても儲ける術があるとでも言うのか。

日銀の金融緩和策も国債だけでは手詰まりで専門家は限界論を打っている。そこで日銀は昨年12月に金融緩和の「補完措置」を発表しETF購入の検討を始めた。

限界にぶち当たっていると思うが日銀の黒田総裁は「何ら問題はない」と講演会で強気の発言をしていた。

21日の経済財政諮問委員会で民間議員が、経済のパイを大きくすることが大事だが、今の日本では海外からの投資が入ってこない。これが問題でここをしっかり議論する必要があると言い、日銀の「補完措置」のうちで投資や賃上げに積極的な企業のETF購入の検討はどうなっているかと日銀総裁に問いただした(平成28年1月21日 甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨より)。

これに対して黒田総裁は「アウトラインを示し広くアイデアを求め検討している」と説明、投資家と企業をつなぐ資本市場の役割について問題提起にもなっていると言うのだ(同上)。

でもドンドン市場にカネを流してどうなるというのか。劇薬、毒薬は早めに止めなければ日本経済が疲弊するが、出口戦略には一切応えていないのだ。

国債下落→長期金利上昇→設備投資の減少→景気停滞と言うことになる。国債下落は大量の国債を保有する日銀や主要銀行の経営にも悪影響が出るし90%以上を国内で消費していることから国債保有者の資産の目減りになり消費にも影響が出る。

日々の大きな株価の下落は産油国が日本からカネを引き上げているらしく海外投資家の最近は1兆円の売り越しだという。株の下落後、大きく株高になるのは「空売り」した後、買い戻しているかららしい。投資家はいろんな手で儲けを出す術を知っている。

こんなどん欲な投資家を規制する必要もあるのではないか。

一国の経済の変調が世界経済に大きく影響することから市場は我が儘な行動を慎み、市場を育てることが出来ないのか。


無理なことが分かっているのに、目先の利益を出すことに執念を燃やす市場に明日はない。

甘利経済再生担当相の贈賄疑惑(3):甘利さんは潔く辞任すべきでは

甘利大臣は既に辞任を覚悟しているのではないか。22日朝の記者会見では法に反する行為はしていないが、1週間以内に第三者を入れて調査し28日に結果を説明するという。

野党も強行だ。22日の本会議での経済演説を欠席した。夕方には、スイスでの世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席のため日本を離れたという。

こんな大変なときに海外出張できるとは驚きだ。しかも、2月4日のニュージーランドでのTPP署名式にも出席したい意向を持っているという。

甘利さんには2つの方法があると思う。

弁護士を入れた第三者による調査をすると言うが弁護士だって当てにはならない。甘利さん側の弁護士だろうから甘利さんに責任が及ぶことを極力避けた結果を出す可能性もあるが、本会議欠席など国会審議に支障を来す事態が予想される。

ここは、以前にも例があるが、「政府(国民ではない)に迷惑をかけたくない」という理由で大臣を辞任する方法が一つ。

もう一つは、週刊誌に載っている具体的な話と自分の記憶に大きな違いがありその溝は埋まらなかった。「自分としては贈賄などの認識はなかった」という理由で責任を回避する方法だ。

「何故、今」と言う疑問も出てくる。TPPに関連して妨害を狙ったのか。


甘利さんにとっては、ここは潔く大臣を辞任すべきではないか。

2016年1月22日金曜日

激安ツアーから規制緩和を考える:「安心、安全」は個人の責にあると言うことか

規制緩和された後の激安ツアーから見えることは、安全は個人の責任と言うことか。バス旅行社も認可制から許可制への規制緩和で4500社を数えるまでになり当然に業界内で競争が激化、今回の激安ツアーの転落事故から安全は個人の責任と言うことが分かった。

規制緩和を議論するときに監督官庁は「国民の安全安心の確保」から規制緩和に反対したはずだが、「反対者は抵抗勢力」と見なされ国民から批判を受け渋々緩和に同意したのだろう。

その結果は新規参入者が増え事業に疎い企業も参入することが出来た。案の定、社内管理体制も緩く、あらゆる面でコスト優先、安全後回し、従業員処遇の悪化になり、最後は今回のような結果が起きる可能性が大きくなった。今回事故に関連した旅行社、バス会社の社長がテレビの前で殊勝ンことを言っていたが、日常は「コストカット」、「無理しても受けろ」がまかり通っていたのではないか。

小泉内閣の時、タクシー業の規制緩和を実施、多くの参入者が出たためにタクシー運転手の収入は減る結果になったが、その是非を問われた竹中さん(規制緩和を推進した者)が、「タクシー業を規制緩和したから多くの失業者を出さずに済んだのではないか」とコメントしていたのには驚いた。仕事を失った人たちをタクシー業界が受け入れた結果、失業者が顕著にならなかったのだ。

そのタクシー業界の規制緩和も不備な点が出てきて今は規制をする方向にあると言う。当時も支障が出ることを警告していた専門家もいたが、実績を出したい政府の勇み足になったのだ。

今、その規制緩和がどうなっているのか。諮問機関などから政策の提言はあったが、既得権益者の業界や官僚の抵抗でうまくいっていないことは時々新聞で見る。農協の改革は一つの成果だろうが、自民党は農業従事者の票田を失ったと見られているがどうだろか、参院選を注目だ。

また、強引に規制緩和をやって既得権益構造を崩しても新たな既得権益構造が出来上がり規制緩和の効果が発揮できない事態に至ることも懸念事項である。

政府は「産業競争力強化法」を制定し、企業に実験的に規制緩和を認める「企業実証特例制度」も盛り込んだが、規制緩和、事業再編、設備投資で実効性が上がっているのか。

経済界にさじが投げられた格好になっている。「法人税を下げろ」「規制緩和を進めろ」と経済界は繰り返すが経済界自体どう考えているのか。おねだりばかりする経済界にうんざりだ。

楽天の三谷さんが、薬のネット販売の規制緩和を要求したが、国民の安全を盾に厚労省の抵抗に逢い思うようにいかなくなって審議員を止めると駄々をこねたが後に撤回した。自分の事業に利益誘導していると批判が高まった。厚労省の「国民の安全。安心を守る」ことは大事な点だ。

自由競争だから良いことばかりがいっぱいだろうと思うが、規制緩和後でも生産性向上ははるかに低く、逆に資源の浪費になることも考えられる。

逆に最近のLCCを見ると生き残りも大変だ。ピーチの経営者が確かテレビ東京の「ガイヤの夜明け」に出演し経営の話をしていた。低価格になったのは全従業員が3年の契約社員で人件費を抑えたこと。客室乗務員がいろんな仕事を兼務し効率を挙げていることらしい。

でも航空機の整備などはJALやANAに依頼することしかできないので会社自体が安全を維持しているとは言えない。そこまでの態勢は無理なのだ。

規制緩和を進めるべきであるが、規制改革で忘れてはいけないことがある。

規制は本来市場(業界)で何らかの不都合があったために、国民の財産、身体の安全を考えて規制が始まったのではないか。それを無視して規制緩和をやることは本末転倒だ。勿論監督官庁が既得権益者になってはいけない。

規制緩和も正しい方向で実施すべきである。


そして、何はともあれ「安心、安全確保は個人の責務」だ。その教育が大事になる。