2018年12月31日月曜日

2019年? 2020年?:テレビ朝日「緊急取材 首都直下地震の可能性」


テレビ朝日 グッド・モーニング
緊急取材 首都直下の可能性 2018.12.31
31日のテレビ番組から何を見ようかと探していたら、テレビ朝日の「緊急取材 「首都直下の可能性」」が見つかった。グッド・モーニングでMCが京大鎌田先生を訪ね「2020年に首都直下地震の可能性」を取材していた。

首都直下地震は「30年以内に70%の確率でM7クラスの地震」が想定されている。首都を襲う地震だから政治経済両面で甚大な被害を被る事は確かだ。確率から何時発生しても不思議ではないが、いつかが分からないところに対応の難しさがある。

首都直下地震の後で、今度は南海トラフ沿いに発生する東海地震、東南海地震、南海地震、日向灘地震が単独(?)又は連動で発生する。東海地震の発生は間近と見られ観測網など整備され監視されているが未だ発生していない。

京大の鎌田先生はこのうちの南海地震の発生について高知県室戸岬の室津港の地震前後の地盤の隆起量から次に南海地震が発生するのは2035年頃と予測している(サンデー毎日2012.9.23)。

番組では何故、次の首都直下地震の発生を2020年とみているのか解説していた。


「今世紀の災害は9世紀の災害に酷似している」という考えで今まで発生した地震の傾向と発生後の年数を比較している。貞観地震から9年後の相模・武蔵地震が発生、その1142年後に震源域は分からないが首都直下地震が発生すると予測できる。
この相模・武蔵地震は関東を襲った大地震で「南関東地震」とも言われ貞観地震から9年後に発生していることから3.11東北地方太平洋沖地震のあとで相当の確率で東京・南関東で地震が発生すること思っていたが9世紀はそうだったが、今世紀はそうはなっていない(「歴史のなかの大地動乱 保立道久 岩波新書2012.8」。

首都直下地震の震源パターン
都心南部直下地震の震度分布 朝日新聞2013.12.20
首都直下地震の震源域は中央防災会議では19パターンを想定、今までは東京湾北部地震を想定し各種防災計画を発表していたが最近は都心南部直下地震が大田区から品川区を通り都心に走っている断層で発生した場合が都心に甚大な被害を及ぼすと言うことで都心南部直下地震が注目されだした(2013.12.20)。

私が住んでいる大田区は震度7の揺れが想定されている。近くの活断層は26km離れた立川断層になるが、国府津―松田断層、伊勢原断層なども震源となるようだ。

これらは既に存在が分かり、過去に発生した実績がある断層、震源域を想定しているが「地震は繰り返し発生する」と寺田寅彦博士も指摘していたが、そうとばかりは言えないようだ。

最近では、東大名誉教授で測量学の権威である村井先生がGPS測量から各地の地盤の隆起、下降を測定し、その「ひずみ」から4cm以上の変動がある場合に地震発生の危険を警告している。


それによると、東京も徐々に隆起している。関東平野は堆積物が厚く断層を直接見る事は出来ないが、断層のあるところだけで地震が起きているとは限らない。隆起や沈降のひずみを舐めたらダメだと警告している。

話題の場所だけ注意していると足を掬われるという(「地震は、必ず予測できる」村井俊治 集英社新書 2015.1)。

関連記事
2015.2.25掲載
今の天変地異は9世紀に類似:巨大地震、火山噴火、京都での群発地震が多発するのか



2018年12月30日日曜日

安倍政権の6年間の評価、そして今後3年間をどう見るか


安倍総理の6年間をどう評価すれば良いのか。そして後3年間をどう付き合っていくか。

6年前、民主党政権から自民党へ、その前の自民党総裁選では安倍さんが自民党総裁に返り咲いた。国民は当時の自民党総裁の谷垣さんが出馬するのではないかと考えていたが当時の幹事長だった石原さんが出馬を強行し谷垣さんは出馬を諦めたのだ。安倍さんが総裁選に当選した後の挨拶で、野党時代の自民党を守ってきた谷垣さんの労をねぎらった。

続く政権交代をかけた衆院選では長い間日本経済は円高、株安に悩まされていたがその立ち直しにリフレ派経済学(?)を活用し市場にカネをばらまけば円安、株高になると主張、多くの国民の賛意を得て安倍総裁は再び政権に返り咲き、経済政策としてアベノミクスを発表、3本の矢を放ちその1本が「異次元の量的緩和」だった。

折しも欧州では日本の株安に目を付けていた市場は日本株に投資してきた。タイミングとして株高、円安は輸出産業を中心に息を吹き返した。

「2%、2年」の挫折

急激な金融緩和を嫌がる白川前総裁に変えてリフレ派(?)の黒田現総裁を日銀に送り込んだ。「2年、2%」、2年で、物価目標2%を達成すると言う語呂合わせ金融政策は国民に響きは良かったが、6年経った今も物価目標2%は達成出来ず2年の予定が先送りの連続で2019年になったらしい。

欧州各国の中央銀行が緩和縮小、出口戦略に向かっているのに日銀は「緩和継続」だ。安倍総理は出口戦略について黒田さんに任せていると言うが「自分の任期中に何とかしたい」と言ったようだ。

金融政策は一時の時間稼ぎ財政政策、規制緩和策が必要という

金融政策は一時の時間稼ぎだから政府の財政政策、規制緩和策が連動しなければうまく行かないという。ところが景気対策に財政出動すれば国の借金である赤字額は増え今、1090兆円、対GDP比245%にもなり先進国一悪い。中国が対GDP比255%と言う。

規制緩和だけでは緊急の対応が出来ないとみると戦略特区構想を打ち出した。ところが「モリカケ」問題を引き起こし憲政史上稀なる総理夫妻による大疑獄事件にまで発展した。

「モリカケ」問題

国会の責任追及で安倍総理は「私や家内が関係していることが分かったら総理、議員を辞める」と答弁したために財務省をはじめ関係閣僚の忖度政治が始まった。財務省の文書改ざん、国有地の格安払い下げという民主政治の根幹を揺るがす大事件に発展した。

その財務省のトップである麻生財務大臣が一切責任を取らず居座り続ける事で批判が高まり財務省の威厳は失墜した。

責任を取らない姿勢のまん延

これが責任を取らない政権の姿勢がまん延する結果になった。勿論それまでのことある毎に安倍総理は「責任は私にある」と認めるが何らの手も打たない。閣僚の政治資金疑惑や失言、暴言が続くが誰も責任は取らない。

「ご飯論」法

国会審議も野党の質問にまともに答えようとはしない。だから「モリカケ」問題でも国民は70%を超える国民が安倍総理の説明に納得していないのだ。外国人労働者受け入れ、働き方改革法案では根拠となるデータの不正使用でも曖昧な答弁を繰り返し最後は強行採決だ。スケジュールありきの国会審議で安倍総研は逃げ切りを図る。

憲法改正

政治生命をかけているという憲法9条改正だが、9条をそのままで自衛隊を明記する事で「自衛隊は違憲」論を封じようとしているがチョット無理ではないか。取り敢えず先の国会で議論を進めるように自民党草案の提出、憲法審査会の議論入りを目指し自民党の憲法改正推進本部の役員もお友達に入れ替えたがこれが裏目に出て、自民党草案の提案も出来ず国会は閉会した。公明党は慎重論、国民民主は議論の環境作りを訴えていたが立憲民主は改正反対、安倍総理の下では応じないと言う。

財政再建、PB黒字化

財政再建は喫緊の政治課題と常に言われているがPB黒字化は2021年まで先送り、2019年度予算は101兆円を超えたが、赤字は33兆円超だ。EUではルールとして赤字財政は対GDPの3%以内を掲げているが日本が6.6%でいつまで世界は認めてくれるのか。更に財政審は完全に黒字化するには更に40兆円の収入増が必要とお言う。

消費税増税はどうなる

それよりも来年の消費税10%への増税はどうなるか。悪いことにトランプ大統領に起因するリスクによる株の暴落だ。またまた延期になるのか。

更には増税対策として軽減税率が複雑さを増す。確実に税収増を狙えるがこれをやると効果が半減する。統一地方選、参院選を睨んだ対策だろうが考え物だ。何時も選挙対策で政策の趣旨が歪んでくる。

安倍政権送り出す政策は何処で作成され、誰が検討しているのか

お友達やYESMANによる〇〇審議会、〇〇諮問会議などが多すぎないか。そして内閣府でのYESMAN の登用もそうだ。何時何処で誰が審議しているのか。

国会審議のお粗末さ

国会での審議はお座なりでスカスカのザル法案がスケジュールに追われて審議されている。

経済財政諮問会議を見ても民間委員に、安倍総理が加わって約1時間の審議だ。恐らく民間委員が提案した政策課題に官僚が肉付けした資料により審議しているように見えるが多くの議案が次から次に説明され、1時間後の意安倍総理は総括し国会の委員会にかけられるようだ。

根拠となるデータもしっかり検討されないので国会で野党の標的になる。

得意の外交はどうか

何時もの政権と同じでアメリカべったりだ。北朝鮮の拉致問題では口添えのお願い、中国の尖閣諸島領海侵犯問題では「安保の範囲内」発言と重要な外交はトランプ大統領頼みだ。

手ぶらでは頼めないので貢ぎ物として「高額な兵器の購入」となる。予算の国防費は対GDP1%未満という枠組みは反故になってしまった。北朝鮮、中国問題は「国難」と言うが安倍総理自身が「国難」である事が分かっていない。

念願の北方4島返還はプーチン大統領に平和共同宣言後の実施を迫ばれた。平和条約締結後の2島返還という曲玉を返された。安倍政権の狼狽えは河野外相が記者会見で問われて「次の質問どうぞ」を4連発したことでも分かる。今環境整備中だというのだ。

安倍総理は国民から信用されていない

「安倍総理は信用できない」が「他の内閣に較べてマシ」という国民が40%をしめる。何時になったら信頼の出来る総理に日本を託すことが出来るか。

谷垣さんが総理になっていたら

病気で療養中も谷垣さんの政界復帰を望む声、谷垣さんを陣営に付ける考えはが大きかった。それだけ安倍さんでは心許なかったのだ。「谷垣さんがいれば何か変わったのに」という考えは専門家の間でも多くなかったか。

話は元に戻るが、谷垣さんが自民党総裁に選ばれていたらどうなったか。自転車事故で議員を辞めたが惜しい人材だった。

2018年12月29日土曜日

地検特捜部はどう追求するか:ゴーン容疑者の二面性、「強欲」と「コストカット」


地検特捜部はどう追求するか。ゴーン容疑者に関する今までの新聞報道を見ると、ゴーン容疑者には二面性があるようだ。則ち「強欲」と「コストカット」だ。コストカットが活かせる内は会社再建にコストカットが働き会社再建で「カリスマ経営者」と崇められるが、強欲性が出てくると会社を裏切り私利私欲を追求する貪欲経営者と批判される。

日本の会社法では取締役に「忠実義務」があるがそれに反し自らの損失を日産に一時的に付け替える行為に出たり、高額報酬を批判されると見ると半分を退職後の後払いにして有価証券に虚偽記載する。

日本の役員の一人が「日本では高額すぎる」と批判すると「何が悪い。海外ではモットもらっている」と聞き耳も立てず首にしてしまう。

新聞によると自らの資産管理会社の損失18億円についてはその負担を一時的に日産に付け替えた。ゴーン容疑者は「やった」事を認めるが「実損はかけていない」と反論する。

高額報酬隠しも「やったこと」は認めるが定年退職後も「後払いでは金額は確定していない」とこれも反論する。

新聞報道だから一方的に検察サイドのリークをメデイアが流しているのだろうが、日本人が考えるとおかしいのではないかと思う。

如何にグローバリゼーションの時代とは言え、「郷に入れば郷に従え」で日本に本社を置く会社の会長、社長であれば日本の文化を重んじるべきである。それが出来なくて「グローバリゼーションの申し子」なんてとんでもない。

「やった」と言うことは日本の会社法では「取締役の忠実義務」に反するのだ。

ゴーン容疑者がどれほどの大物か知らないが、顧問弁護士に元特捜部長経験者や外国の法律事務所の弁護士を付けたり、日産からの16億円の支払先がサウジの大物実業家だと言う。

地検特捜部はびびっているのではないかと論評するメデイアもあるが、特捜部には頑張って欲しい。有罪に持って行くにはハードルが高いとしても「これほどの悪事」を働く経営者には退場して欲しいものだ。

ゴーン容疑者は確かに日産を再建してくれたし、ルノーは資金支援してくれたが、それは「コストカット」が活かされるまでの話だ。

日産が再建された時点でゴーン容疑者の役目は終わっているのだ。そのまま会長、社長に付いていたためにこのような悪事に手を出し、名誉を傷付けて行くだけだ。

ゴーン容疑者は如何に「実損を与えていない」と抗弁してもこれだけの悪事をやったと言う事は裁判でも名誉の回復など出来ない。

2018年12月28日金曜日

年賀状:何時止めようかと考えているが今年も書いてしまった


また、年賀状に悩む時が来た。何時止めようかと考えながら今年も書いてしまった。それにしても年賀状書きは生活リズムを狂わす。少しづつ仕上げていこうと思っても終了するまでは他の仕事も手に着かない。

長い間の習慣というものは怖い。強迫観念に襲われているようだ。でも私の年齢になると友達、知人、お世話になった人の近況を知ることが出来る。「喪中につき・・・」というはがきが来ると「亡くなった」と言う情報を得ることが出来るのだ。

以前に作成した住所録に赤線を引く。増えている。

10×14.5cmの狭い範囲に何を書くか。毎年、頭を悩ませる。目的を持って生活している人は近況を詳しく記してくれる。「この人は頑張っているな」と感心する。

定番の文章には何の感激も湧かない。「元気か」「どうしてる」「会いたいね」と手書きを添えている賀状はいい方だ。「会いたいね」と言っても何の連絡もない。私に幹事をやれというのか。

中には昨年の私の年賀状を見て書いているのだろう。その返事が書いてある。1年遅れの便りだ。笑ってしまう。

今までは市販の年賀状ソフトで7種類作っていたが、面倒になり3種類に落とした。孫娘が「私にも作ってくれ」と言うので好みのイラストを選ばせて目の前で作成してやった。「ああやれ、ここはこう」と指示された通りに作ってやった。手にとって満足そうだった。

段々枚数も減っていく。何時止めようかと迷う。相手から「今年で終わりにしたい」と言う文章も添えられていた。皆困っているのだ。



2018年12月27日木曜日

有罪へ高いハードル:「知らぬ存ぜぬ」「実損なし」で責任回避できるか


企業トップを有罪に持っていくハードルは高い。「知らぬ存ぜぬ」、「実損なし」で責任が回避できるとしたら企業の大事故のトップ責任を問うことも難しくなるし、組織のトップの民法でいう「善管注意義務」、会社法での「忠実義務」も何のために規定されているのか疑問になる。

人を罰するのであるから刑罰の成立条件も厳しく適用する必要はあるのだが、一方で厳しく解釈するために経営トップの無罪放免がありすぎないか。

経営トップにも企業で大事な「安全配慮義務」を「日常業務」として組み込まなければならないし、株主、組織を守るためには「善管注意義務」「忠実義務」など一般人に比し高度な義務を要求すべきではないか。

最近目立った企業の品質不良問題も社長が謝罪会見で頭を下げているが、「報告を受けていなかった」と言い訳する。しかも相当前からやっていたというから驚く。いったん不正が発生すると信用はがた落ち、大きな損失を被る。しかしどうして企業トップの日常業務に「品質保証」が含まれていないのか。

26日の東電旧経営陣3人に対する業務上過失致死傷での禁錮5年の求刑は経営トップに日常業務として安全配慮義務のあることを認定した当然の求刑であったが裁判所がどう認めるかが問題だ。

裁判所はJR宝塚線での脱線事故事案ではJR西日本の歴代3社長の責任を回避し無罪とした。

一度検察が不起訴にした事件を検察審査会で強制起訴した場合、有罪に持っていくハードルは高い。検察審査会の判断は一般国民の判断で国民感情からすれば不起訴は妥当でないと考えた結果なのだ。

それでも無罪となることは刑罰に対する一般国民と裁判所の判断にギャップが大きいということだ。JR西日本の例ではあれほど大きな事故を起こしながら経営トップに責任がないとはどういうことかと言うことになる。

それが昨日検察官役の弁護人が求刑した東電旧経営陣に対する禁錮刑求刑でもいえることだ。
3.11東北地方太平洋沖地震、津波で取り返しのつかない被害を出した東電の経営者にも責任を負わせることは当然だと思う。ところが公判では従来の裁判例からもわかるように経営トップまで責任を求められたことはないのだ。

ゴーン被告は有価証券虚偽記載でも「高額報酬の一部を後払いすることは確定していない」と無罪を主張、特別背任事案でも「日産に実損は出ていない」と反論している。

工場閉鎖やリストラで解雇された人、直接日産とは関係ない人間での「経営者としてあるまじき行為」と見られているが公判での検察、日産vsゴーン、ケリー被告との攻防に注目だ。

下級審では国民感情と合った判決が出ても上級審に行くほど国民感情からギャップが出てくる。

強制起訴の検察官役弁護人は「正義の味方」的立場だが、法の不備は判例で補っていくべきではないか。「一般社会通念上」経営トップには業務上安全配慮義務があること、法人、組織のトップには高度の「善管注意義務」「忠実義務」があることを判例、最高裁判例で築いていくことが大事なのではないか。

国民の期待に法が答えることが重要で、そうでないと法が信用を失うだけだ。


2018年12月26日水曜日

東電旧経営陣3人に禁錮5年求刑:当然と思うが判決では3年?

業務上過失致死傷で強制起訴された勝俣、石黒、武藤の旧経営陣3人に検察官役弁護士がそれぞれに禁錮5年を求刑した。当然だと思うが判決では3年という所か。それでも従来の裁判例では無罪と言う事もあり得るのだ。

問題は経営トップ陣に「業務上」で「安全配慮義務」があるかどうかなのだ。

検察官役弁護士は「被告は積極的に情報収集し的確な対策をしていれば事故は防止できた」と「情報収集義務」があったが果たさなかったと責任を追及している。

予見できる機会としては「部下が被告らに巨大津波が来ることを試算して報告した時」と認定、政府機関が地震予測「長期評価」により子会社が15.7mの予測をしていたときに更なる情報収集していなかったことに過失を認めたのだ。

関連記事
2018.10.31掲載
東電強制起訴裁判(4):勝俣被告は従来の判例を踏襲した証言で責任回避か
yamotojapan.blogspot.com/2018/10/blog-post_31.html

2018.10.30掲載
東電強制起訴裁判(3):経営トップにも「業務上」「安全配慮義務」を
yamotojapan.blogspot.com/2018/10/blog-post_99.html


これも米国発グローバリゼーションか、トランプ・リスクで世界的株安


NY株式市場653ドル安、東証1010円安の2万円割れ、為替も1円高の1ドル110円台に、小出しになっていたトランプ・リスクも市場が危機感をあらわにした。トランプ・リスクが最大になった感じだが、好転に向けての材料が見当たらず、これも米国発のグローバリゼーションか。

トランプ大統領は株安、ドル高を利上げに進むFRBのパウエル議長のせいにしているが、自分の政権の失政が大きく影響しているのをわかっていないのか。

世界的景気減速が叫ばれている中での米中貿易摩擦、政権運営の不安から米国発の世界的株安であることは誰だって予想がつく。

シリアから米軍の撤退に反対していたマテイス国防長官を更迭することは良識派閣僚が政権からいなくなることで世界は驚く。中間選挙で勢いを取り戻した民主党優位の下院では「つなぎ予算」が通らず政府の一部閉鎖となっている。

FRBが利上げを進めることはドル高、輸出不振で米国経済に与える影響は大きいと前々から警告しており解任するというが理由が理解できない。

パウエル議長を推薦したムニューシン財務長官も市場に資金不足を疑わせるような発言、行動で市場は何か隠された問題があるのではと疑心暗鬼になっている。

トランプ大統領は公約であるメキシコ国境の壁建設、移民、難民問題を突破しようとしているが民主党の反発が強く予算がつかない。衰退した産業、城下町、失業者を救うべく大赤字の対中貿易を解消するため中国などからの輸入品に高関税を吹っ掛け、中国も報復関税で戦争状態だ。

国際舞台でもことあるごとにトランプ大統領は「保護主義」を主張し自由貿易を擁護する中国、先進国である日本、ドイツ、フランスなどと溝が深まるばかりだ。

いつも株安になると安全資産と言われ円買いがすすみドル安、円高になる。なぜ、円は安全資産なのか。日本の安倍政権が安定しているためか。

そんなことはない。一見安定しているように見えるのは野党がふがいないからだ。安倍政権自体は多くの問題を抱え、政権はあと3年の期間しかないレームダック化している。

市場にカネを流せば円高→円安、株安→株高になると異次元の量的緩和を主体としたアベノミクスも破たんしている。FRBの利上げは円安に動くと思っていたが利上げペースを減速することは円高の傾向だし、新ルールとして為替条項を突き付けられることは円安への策がなくなることだ。アベノミクスは本来、円安施策だから日銀の量的緩和策も米国からの警告になるのだ。

経済成長率も先進国では最低、2%の物価目標も届かない。少子高齢化で社会保障費が増え、対中国で国防予算も増え始めて国家予算が100兆円を超えた。

税収増も期待されるが財政出動も多く、赤字国債は33兆円を超え財政再建はどうなるのか。すでに国、地方合わせた借金は1090兆円を超え、対GDP比245%、中国の対GDP比255%に次いで大きい。

赤字国債もEUでは対GDP比3%をルールとしているが日本は6%になっている。いつまで先進国が例外を認めるか。

安倍総理は外交が得意と言うがトランプ大統領との友好関係も怪しいものだ。主として安全保障、北朝鮮問題で頼りにしているようだが貢物が大きい。役に立つかどうかわからない兵器を言い値で購入し、トランプ大統領は「何か言うとすぐ買ってくれる」と安倍総理をばかにしている。防衛費の対GDP比1%枠も反故にしてしまった。

そして、自らの政治疑惑である「モリカケ」問題は野党の追及を受け続けている。国民も十分な説明を行っていないと批判する。他の政権だとすでに終わっている政権だが、なぜか安倍政権はもっているから不思議だ。

トランプ大統領は心配していた米国経済の減速も自らの失政が影響していることを早く認識すべきである。そしてそれが世界経済まで大混乱させているのだ。

2018年12月24日月曜日

今日の新聞を読んで(208):中国が「発展途上の大国」という不思議


中国が「発展途上国の大国」と言いながら経済に力を付け覇権拡大に余念がない。それにトランプ大統領が危機を感じ米中貿易赤字対策、ファーウェイ携帯等通信機器の排除と中国叩きが始まった。

ことある毎にトランプ大統領は「保護主義」を主張するが習主席は「自由貿易」で対抗する。

地球温暖化対策ではトランプ大統領が離脱を宣言すれば中国はCO2削減負担交渉に積極的に関わったと言うが、中国が世界第一位の温暖化ガス排出量でありながら削減は途上国枠を死守、義務を負う場面では「発展途上の大国」を主張、途上国基金拠出も不似合いに少ない。

一方、新聞報道によると国連予算分担金では日本を抜いて中国が第2位に躍り出た。国民総所得から分担金が決まると言うがアメリカが第1位、中国が第2位、日本が第3位だ。米国、中国は常任理事国だから当然と思うが、中国は国連内での発言力を強めようとしている。

義務を負うときは「発展途上国」、覇権拡大では「大国」の振る舞いを使い分ける事は国際舞台では多くなるだろう。

中国が自由貿易を主張するには輸出で成り立つ中国経済では仕方ないことではあるが、WTOでは自由貿易を主張しながら国有企業奨励など途上国の論理を強要する始末だ。

ところが覇権拡大政策も破綻傾向が出て来た。

一帯一路構想は新興国の経済成長にも貢献できると思っていたが、背後には中国の軍事化構想もある一方、新興国に過大な負債を背負わす事になり、気づいた新興国が計画を中止する事態に発展している。中国は否定するがやり方はあくどい。

インド洋、太平洋沿岸国を守ろうとトランプ大統領がインド太平洋インフラ支援構想を打ち出し日本にも協力を呼びかけた。

日本は中国との関係改善で一帯一路構想に協力する姿勢を見せていたが、トランプ大統領からも声がかかり右往左往しているのではないか。

GDPでは日本を抜いて中国が1350兆円で第2位になった。日本は伸び悩み500兆円、2030年代にはIMFの本部がワシントンから北京に移ることも考えられると専務理事が言っていた。

トランプ大統領も「保護主義」で引っかき回しているばかりでは世界のリーダーとは言えない。国際舞台で先進国の協調が崩れると中国が割り込んでくる。自由主義国もピンチなんだ。

メルケル首相は国内問題で2012年には引退すると言うし、メイ首相はEU離脱で国内が大変だ。マクロン大統領もEU改革を訴えていたが国内は大混乱だ。

日本は、安倍政権で安泰のように見えるが抱えている問題は上記先進国のリーダー以上に厳しい。世論調査でも「安倍総理は信用できないが、他の内閣よりマシ」と消極的支持だ。

中国は、日中会談をやっても関係改ざんが難しいのか。中国も現政治体制では世界に君臨する事は出来ない。

ゴーン被告の行為を善管注意義務、忠実義務に照らして考えるとどうなるか


今回のゴーン被告の行為は民法644条「善管注意義務」、会社法355条「忠実義務」に照らして考えるとどうなるか。会社法では「会社経営に携わる者として、その会社の規模、業務などの元もとで通常期待される程度の注意義務がある」と規定している。取締役としてそれ相当の高度な注意義務が要求されるのだ。

民法でも「善良な管理者の注意を持って委任事務を処理する義務がある」と言う。

会社で言えば取締役には忠実義務、法人で言えば選ばれた役員、もっと分かり易く言えばマンションなどの管理会社には善管注意義務があるが別個のものではないのだ。

それに照らして考えるとゴーン被告は「日産に実質的な損害を与えていない」と主張し役員報酬の虚偽記載(10年~)、自分の投資の損失を日産に付け替えた(08年)疑惑に対して無罪を主張しているがおかしいのではないか。

善管注意義務や忠実義務を考えると、「高額報酬を隠す」、「自らの投資の損失を日産に付け替える」ことを考え、手を付けたときが刑罰成立条件の着手になるのではないか。

「株主や会社に損害をかけても良い、自分さえ良ければいい」と考えたときに株主や会社を裏切ったことになるのだ。

更に自分の悪事を成功させるために人事や制度まで手を付けている事は余りにも酷すぎる。その人達にも嫌疑がかかることを考えなかったのか。実際に今回の疑惑は外国人執行役員の内部通報、司法取引によって明るみになったのだ。その悪事に協力させられた執行役員も「もう限度だ」と悟ったそうだ。

高額報酬の差額の「後払い」も金額が確定したわけではないと主張しているが守銭奴のゴーン被告だから必ず要求するだろうが、その時有価証券に本当の事を記載するか。株主総会で追及されるだろう。

投資の損失付け替えも外部から注意されたと言うことで元に戻したというが、元の戻せば「それでよし」と言うわけにはいかないだろう。

海外で不動産を購入させ、自分の家族に使わせていた不動産取引でもケリー被告の妻が「売却すれば値上がりで儲かっている」と主張していたが、これも変な考え方だ。自分や家族のために不動産を購入させたことが問題なのだ。

あるメデイアの記事が目についた。

リーマンショック後、アメリカのGMが経営不振にかかり米国政府が経営者を探していたとき、ゴーン被告も「自分を後継に」と日産の再建を示して運動していたそうだが米国政府はゴーン被告は「ただのコストカッター」、平常時の経営能力はないと判断し拒否したそうだ。

全くその通りだ。日本はゴーン被告を見る目がなかったのだ。

法曹関係者やジャーナリストには長期拘留、形式犯、実損が発生しているかどうかなどハードルが高いと解説するが、今回のゴーン被告の悪事を「良し」と考えているのか。どうすればこのような「ダメ経営者」を追放できるのか。

日本が馬鹿にされていることを知るべきだ。

2018年12月22日土曜日

FRBの利上げ減速、米の為替条項要求は日銀の量的緩和への攻勢か


FRB3ヶ月振りに利上げ、来年は2回にペースを落とすと言うし、日米経済懇談会では新ルールとして為替条項に言及するという。トランプ大統領はかねがねFRBの利上げに反対していたが利上げはドル高を招くからだ。

利上げのスピードを落とすと事によりドル高を回避し円高を誘おうとしている。更に新しいルールとして為替条項は為替操作をするなと言うことだ。

だとすると日銀の量的緩和にアメリカが攻勢をかけているのか。考えてみれば市場にジャブジャブおカネを流し円高から円安に誘導するのがアベノミクスだ。トランプ政権はそう考えている。

米国経済は成長率3%、物価上昇は2%のグローバルスタンダードで推移、雇用も改善していながらFRBは利上げを減速すると言う。その理由には影響が出始めた米中貿易戦争、高い成長率で世界経済をけん引した中国経済の減速が心配されている。金利も3%を目指していたが2.75%ぐらいまで引き上げるらしい。

日銀はどうか、大規模金融緩和を継続、長期金利0%、ETF買い入れも継続という。

緩和縮小で出口戦略に向かえばどんな混乱が出てくるか不透明、一方で量的緩和継続は市場にも安心感を与え従来どうりの動きが予想される。決定会合では副作用を重視すると言うだけだ。

日銀は何の知見も持ち合わせていないのか。そうではないと思う。情報を公開し市場、国民と会話が不足しているのではないか。アベノミクスが破綻していることは皆分かっているのだ。

東京地検特捜部、特別背任でゴーン容疑者の疑惑の「本丸」に迫るか


東京地検特捜部はついにゴーン容疑者の本丸に迫った感じだが時間との戦いでもあった。今回の裁判所による勾留却下、地検の特別背任での再逮捕はいろんな意味で重要だった。

裁判所は国際的問題にまでなっていた長期勾留批判に答えた処置と見えるし、特捜部は有価証券報告虚偽記載が形式犯的に見られ長期勾留に対する批判は検察捜査に支障を来すものだったが、「それなら「本丸」でやるぞ」との意思表示だ。

それだけに今回の事案は世界的に評価を受けていた「カリスマ経営者」の違法行為が注目されているのだ。

それにしても地検特捜部の扱う案件は難しい。「有罪に持って行ける」、「バッジをとる」と意気込んでも法解釈で負ける場合が多い。その都度、特捜部解体論が出て来ては担当検事がかわいそうではないか。

今回のゴーン容疑者の有価証券虚偽記載でも「高額隠し」が確定しているかどうかが争点になるらしい。容疑者は「確定していない」と反論する。

特別背任でも日産に「実質的は損害が発生したか」がポイントになるが容疑者側は「日産に損害は与えていない」という。

1つ、1つが認識が違うが「カリスマ経営者」と言われてもこんなことが出来るのか。改めて日産のガバナンス欠如を批判すべきだ。創業家経営で不正があったことはあるがサラリーマン経営者でこんなことが出来るのか。

実際に日産や株主にどの程度の損害を与えたかは分からないが、「こんな違法行為」をやること自体が背信行為であり「ダメな経営者は出ていけ」と言う事になる。

今回の一連の東京地検特捜部のやり方に批判する法曹関係者、専門家、ジャーナリストがいるがゴーン容疑者の行為をどう考えているのか。それでも「よし」なのか。

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2018.12.21掲載
東京地検特捜部、ゴーン容疑者を特別背任で再逮捕


2018年12月21日金曜日

東京地検特捜部がゴーン容疑者を特別背任罪で再逮捕

東京地裁がゴーン容疑者の拘留延長を却下した事でその後が注目されていたが、今日特捜部が特別背任罪で再々逮捕したという。良くやったと思う。これだけのことをやっていながら無罪放免では日本が馬鹿にされる。

今朝のブログ「ゴーン容疑者に記者会見があるか:手振り身振りでの反論会見を誰が信ずるか」で、私は「地検が拘留延長を却下された事を怒っているようだがジェスチャーではないか」、「何か別の疑惑を追及するつもりだったのではないか、そうだとしたら保釈後の再々逮捕もある」と記した。

ところが本当にそうなった。特別背任はゴーン容疑者が日産を私物化していた数々の事案が出て来ているので最後はここに行き着くかと思っていた。

更には同時に調べていると思うが国税による税務調査がどうなっているかだ。

ここはしっかり東京地検特捜部に頑張ってもらうことだ。このままで曖昧に終わると日本が馬鹿にされたことになる。

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2018.12.21掲載
ゴーン容疑者に記者会見があるか:手振り身振りの反論か意見を誰が信ずるか
yamotojapan.blogspot.com/2018/12/blog-post_21.html




ゴーン容疑者に記者会見があるか:手振り身振りでの反論会見を誰が信ずるか


ゴーン容疑者の保釈が実現しそうだ。ゴーン容疑者は自分にかけられた疑惑を「裁判で信用を取り戻す」という意味のことを言っているようだ。当然だろう。しかし、記者会見をやったとしても、今までのような手振り身振りでの会見を誰が信用するか。

罪、疑惑に対する感情は外国人と日本人では違うだろう。ゴーン容疑者が記者会見し反論しても素直には信じることはできない。もちろん裁判所、検察がゴーン容疑者の「会見を許せば」の話だが、公判までは可能性は低いか。

今回の容疑者への長期拘留には国内のみならず海外からも批判の声が上がっていた。

同一事案に対して2度の逮捕拘留は常識では考えられないことで、裁判所の判断が正しいと思うが、何か別の疑惑を追及するつもりだったのか。そうだとしたら保釈後の再再逮捕もあるだろう。

検察は保釈を怒っているようだが、ジェスチャーではないのか。

さらに本件は有価証券虚偽報告で専門家の間では形式犯といわれている事案に逮捕、長期拘留はないだろうという批判がある。でも金融商品取引法での罰則は懲役刑、罰金の金額も1000万円と高額であることを考えれば厳しい罪になる犯罪だ。

証拠隠滅、国外逃亡の危険を検察幹部は上げていたが、本件は日産の内部通報、司法取引から始まったことを考えると証拠書類は一切検察が握っている可能性があり隠滅があるとしたらゴーン容疑者が自ら作成した資料、メモ類だろう。ゴーン容疑者の本音を知るには重要な書類かもしれない。

国外逃亡はどうか。裁判には出るといっているし、国外逃亡、裁判無視はかえって不利になる。

保釈に当たっては居住地指定、移動するときは許可が必要になるだろう。証拠隠滅を防止するためには関係者との接触禁止にすればいい。

しかし、ゴーン容疑者の弁解記者会見は聞きたいところだ。拘留中にあらゆる高額報酬隠し、日産への私物化が暴露されている。

犯罪の場所は日本だ。なぜ、ルノー本社ではこういった高額報酬隠しをやらなかったのか。ルノーを私物化しなかったのか。日本を舐めきっていたのか。経営陣の一人は「日本では報酬が高すぎる」と忠告したが聞く耳を持たなかったという。逆にフランスでも政府から高額すぎると批判された結果かどうか知らないが高額報酬隠しは企てていない。

外人経営者に舐められたものだ。

グローバリゼーションとごまかされてはいけない。日本人経営者に頑張ってもらいたいものだ。

今、日本経済は内需拡大が重要かつ喫緊の課題であるが、外国人経営者で内需拡大などできない。

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2018.12.20掲載
ゴーン容疑者保釈?:日産に対する報復力が残されているか
yamotojapan.blogspot.com/blog-post_86.html

2018年12月20日木曜日

ゴーン容疑者保釈?:日産に対する報復力が残っているか


東京地裁がゴーン容疑者の拘留延長を却下したニュースが流れ、情報番組で簡単に事実関係だけ報じられた。有価証券虚偽報告でこれだけ長い期間の拘留は海外で批判される現状を考慮しての東京地裁に判断だったのか。

今まで拘留中に徹底して犯意を否認していたことを考えると保釈後のゴーン容疑者の日産に対する報復が始まるだろうとメデイアは見ているがそうだろうか。

事件の発端はゴーン容疑者に協力して虚偽記載などに手を貸した日産の外国人執行役員が「もう限界」と内部情報を上部に上げ、司法取引しての発覚だった。

ゴーン容疑者がいくら「高額報酬の後払いを確定したものではない」と反論しても証拠書類は検察が握っている。

では何故、検察はさらなる拘留が必要だったのか。特別背任、脱税などの容疑を調べているのか。

一方、ゴーン容疑者が保釈後も権力を行使できるのか。

日産、三菱は会長職を解任したが取締役は残っている。ルノー本社もメデイアの報道によると現在は代行が置かれているが解任の方向だという。ルノー、日産、三菱の三社連合組織の責任者はどうなっているのか。

これだけの悪事が露わになれば「カリスマ経営者」としての評価は地に落ちているだろう。

確かに窮地だった日産を再建したことは事実だが、そのやり方は「コスト削減」だ。5工場の閉鎖、2万人に及ぶ従業員の首切りなどは日本人経営者だと人情があってできなかっただろう。ゴーン容疑者にはうってつけのタイミングだったのだ。

しかも、再建案は前社長が作り上げた内容でゴーン容疑者が作成したものではないし、ただ実行しただけだ。そこが大事だったのかもしれない。

その後のゴーン容疑者のコミットメントはことごとく未達に終わっている。市場率、利益率などは未達だと言う。カリスマ経営者として評価されていた頃は他社の社外重役も務め、コミットメントの重要性を指摘していた。でも自分のことになるとからっきしだめなのだ。

そんなことはわかっているので、取締役会や株主総会で自分の実績を訴えても誰も信用しないのではないか。

保釈後の居場所も問題だろう。指定されるし、移動するときは報告が必要、関連会社、関係者との面会も制限されるだろう。日産が提供したとされる施設への立ち入りはできない。押収された書類の返却などはないはずだ。

東京地検は準抗告する可能性もあるだろうが難しいか。拘留延長が却下されたこと自体も異例なはずだ。検察は新しい疑惑を理由に挙げることができるか。

相手がゴーン、ケリーという外国人容疑者だから日本の裁判所も批判の目にさらされている。

注目される検察との抗争、裁判になるだろう。



最高裁、1.98倍で「合憲」判決:問題は「民意をどう国政に活かせるか」ではないのか


最高裁が「一票の格差」問題で先の衆院選では2倍未満のため「合憲」判決をしたが、問題は選挙において「国民の声をいかに国政に活かすことができるか」の民主政治の在り方ではないか。

それが憲法の「法の下での平等」という概念で「一票の格差」を議論するには原告弁護士グループの趣味の範囲を出ない議論ではないのか。

民主政治のあり方を考えるときに国民の身近に国会議員がいることは大事なことだと思う。だから各都道府県に原則1人の「一人別枠制」は理想であるが、東京など首都圏は人口増、一方地方は過疎化で人口減では「一票の格差」が出てくるのが当然だ。

この問題が提起されてから最高裁は3度にわたり「2倍以上は違憲」判断を下したため衆院選挙区画審議会設置法で「2倍以上」にならぬようにした。

何故、2倍以上はだめで2倍未満はいいのか。1.979倍は一般常識なら2倍ではないのか。

国会議員は決められた選挙区の代表と言うより全国民の代表ではないのか。そして今の政権の国会運営を見ればわかるが民意とは無関係に経済界、利益団体の要望で政策を実行している。議員立法は少なく、ほとんどが政府提出の法案だ。

だとしたら、各都道府県での選挙区単位でなくある程度まとめた選挙区で全体の国会議員数を200~300人程度に減員する選挙制度改革をやるべきではないのか。

最高裁の「合憲」判決を受け野党が抜本的定数削減を主張しているのは当然だが、国会議員が率先して自らの首を絞めるような決断ができないところに国民の悩みがある。

一人別枠、議員定数、2倍未満にこだわっていては、いつも「法の下での平等」が出てくる。今後も人口の増減で選挙区を複数に分割する自治体は増えてくる。
今回の最高裁の「合憲」判決が出たのは11年ぶりと言う。16年の都道府県の人口比で定数を配分し、アダムス方式を採用、20年の国勢調査後に導入するという。「0増6減」で97選挙区別に調整し2倍未満にしたようだ。格差を縮小させる状態が安定的に続き「一人別枠方式の影響」が解消されると判断されたのだ。

でも11人が多数意見の「合憲」で、反対意見は2人が「違憲」、2人が「違憲状態」だそうだ。衆院選自体が無効という判断には踏み込めない。立法府である国会の裁量に任されている。

ところが実際には22年以降の選挙からで実際にどうなるかは不透明なのだ。

今後も人口動態は変わってくるので、「法の下での平等」で一票の価値を議論すると難しくなる。ある程度選挙区を県単位を超えてまとめ、人口比例で議員数を配分していくことを考えなければならないのではないか。

国会議員の首切りを誰が言い渡すか。有権者だろうが、国会へ改正を提案するのも国会議員だ。自ら不利になるような議案を提出することなど考えにくいのだ。