2018年10月31日水曜日

東電強制起訴裁判(4):勝俣被告は従来の判例を踏襲した証言で責任回避か


30日の東電強制起訴裁判公判に出廷した勝俣元会長は「自らの責任」について従来の判例を踏襲した証言に終始した。企業の事故で経営トップまで責任は及ばないのだ。

勝俣被告人は当時の東電の会長でどう証言するか注目していた。31日の新聞報道でその供述を拾ってみると従来の判例を踏襲していることが見え見えで「あれほどの事故」を起こした責任はどこに行ったのか。犠牲者、被害者を無視して「自らの責任回避」に走る姿に日本を代表するトップ企業とはとても思えなかった。

従来の判例は事故責任は経営トップには及ばず担当部門の管理職、担当者が責任を取ることで終わり、企業責任はあいまいになっている。

経営トップには日常の業務として「安全に対する配慮」が要求されていないのだ。今回の経営陣3人に対する裁判も無罪を主張しているのだろう。検察が不起訴にしたことも強気の姿勢だ。

会長の権限について:「業務の執行にかかわらず社長や各部門を指揮する立場にない。責任は原子力・立地部門にある」という。東電の組織がどうなっているか知らないが、「カミソリ勝俣」と言われた元会長が主要事業に関して発言しないことなど考えられない。

経営責任について全くないのか:「全くとは言い切れないが基本的にはそうだ」と証言した。「全く責任がないと言い切るには何が不足していたのか」と問いかけてくれなかったのか。

巨大津波を予見できたか:会議で「14m津波が来るという話を聞いたことがある」と言い、14mの根拠を質問しなかったのは「社長に任せている。私は余計なことは言わない」と言うのだ。

その時点でなぜ、「14mに耐えるかどうか」の話が出なかったのか。15.7mと14mでは危険度が違うのか。このような話が出れば経営者としては確認すべきではなかったのか。

肝心なことに関しては「社長や部下に任せている」と逃げ口上だ。

原発の安全性について:国の基準をクリアーしており、原子力・立地本部が安全対策を取っていると思っていた。「対策に疑義を挟む情報はなかった」と言う。

原発の安全対策としては原子炉の安全対策もあるだろうが、地震や津波に対する安全対策も重要だ。長期評価を信用していなかったということは安全対策に欠陥があったことにならないか。

14mの話があった時に15.7mのシミュレーションの報告があったはずだ。切り売りした証言は信用できない。

そして、安全対策は職務外:従来の判例を踏襲すればその通りなのだ。

ではなぜ、責任がないのに謝罪に言葉を述べたのだ。犠牲者、被災者にとっては不思議に思うのは当然だ。結果に対して経営者としての姿勢を示したのか。

先日、テレビ東京で「ガイヤの夜明け」だったと思うが、作家の村上さんと女優の小池さんがJR東日本の社長招いて対談していた。JR東日本の社長は今まで起こった事故を風化させないためにいろんな施策を講じていることが紹介されていたが。その中で「安全は守るものではない。作り出すものだ」という発言が忘れられない。

JR東日本は社長自ら安全確保、社員の安全教育に努力しているのだ。

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2018.10.30掲載
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1 件のコメント:

moshrabbi121 さんのコメント...

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