2018年10月19日金曜日

消費税10%への是非:本当に増税は必要か、国の借金は問題ないとも言うが


消費税を8から10%への増税が現実味を帯びてきたが、複雑な還元策、軽減税率をしてまで本当に必要なのか。地方、国の借金は1050兆円、対GDP比245%の実態は財務省が言うように本当に問題なのか。IMFは報告書で日本は増税が必要というが国の純負債は純資産を考慮するとプラスマイナスゼロという。

安倍総理は今まで2度増税を先送りしたが来年の8から10%への増税は「やる」と宣言した。1年前とは言え早い判断だ。

裏を返せば今後1年間に経済環境が変化すれば3度目の先送りがあるのか。
麻生財務相は記者の囲い込み会見で「リーマンショックのような事態が発生したら・・」という質問を受け、麻生さんは「いまそういう状況にあるか」と記者に問いかけた。

増税の是非はいつも議論になる。

今日本の経済は「緩やかな拡大」にある。今増税すれば買い控えなどで景気は下振れ、これが今までの増税の実績だ。さらに悪いことに東京オリンピック後は景気後退が予想され日本経済は低迷することになり、むしろ5%へ戻すことを政治家や専門家に指摘する者もいる。

一方で財政再建を訴える政治家、経済学者そして財務省は10%への増税を主張する。PB黒字化も何度も先送りされ1023年まで先送りも達成不可能だ。数兆円の赤字がでるという。

完全に黒字化するのには更に40兆円の税収が必要で今の赤字国債発行額に匹敵する。若者世代にも考慮した社会保障に当てる財源にするらしいが軽減税率、ポイント還元など低所得者などを配慮すれば2%増税による税収増も目減りする。

ところがIMFが日本は単一税率での増税をすべきだと指摘し、国の借金も資産を考慮すれば負債もプラスマイナスゼロになるというのだ。高橋洋一さんも同様の指摘だ。

日本の国、地方合わせての借金は1050兆円、対GDP比245%で先進国一悪いというのは当たり前の話になっている。世界経済をけん引する中国はGDP1000兆円で赤字は対GDP比255%で日本より酷い。米国も法人税下げで結構赤字をためている。

ところが、日本は資産も持っており5~600兆円と言われているので負債など問題ではないと経済学者はいう。

決して日本は財政危機ではないらしい。

国会でも野党議員が国の借金のことを問いただしたが、財務省の回答は「全部が現金にかえられるわけではない」ということだった。当時の質疑を思い出しても簡単な質疑で終わったのだ。重要な問題だが国会質疑はお粗末だった。

あまり借金、赤字国債発行を気にしない理由に赤字国債も国内で捌かれているのだ。ほとんどを日本国民が買っている。しかも量的緩和で市場から日銀が国債をじゃぶじゃぶ買い取っているので政府は容易に借金できる。いわゆる財政ファイナンスの疑いを海外は持っているのだ。

米国を考えると、昔は日本が一番の米国債保有者だった。当時の橋本総理が訪米し米国の大学で講演したとき「アメリカもしっかりしてほしい。米国債を売りたい衝動に駆られる」と発言し物議をかもした。

今は、中国が一番の保有者だが、米中関税戦争もあって中国がどうカードとして使うか注目だ。

「増税か」、「先送りか」、さらには「5%へもどすか」。

統一地方選、参院選を控え国民に負担を強いる人気の悪い増税に安倍総理は踏み切れるか。

増税はアベノミクスを否定することにもなりかねないし、米国との通商交渉では「為替条項」がテーマに上がって来るらしい。今まで日本経済、アベノミクスの成果を支えた輸出も陰りが出てこないか。

「為替条項」は為替操作をけん制されることになる。円高ドル安局面で円安操作ができないことになり政策上は難しいかじ取りになる。米国は中国に対して為替操作をにおわせていたが今回は認定だけはしないようだが相変わらず中国に対してはけん制を続けるらしい。

過去6年間の経済政策の根幹であるアベノミクスの成果は認めるが、これからの経済政策がアベノミクスの延長であったはならない。日銀の量的緩和の出口戦略をはじめ安倍政権では取り扱いにくい政策にも打って出なければならない。

全世代に貢献する社会保障、輸出に頼らぬ内需拡大、老朽化したインフラの再構築、巨大災害(局所豪雨、巨大地震、津波災害)への対応、バラマキではない新興国支援など新しい経済政策が必要になる。

大企業、富裕層を益する法人税下げや優遇税制を見直し格差を是正する税制の見直しも喫緊の課題だ。

消費税増税には賛成するが、アベノミクスではない発想を変えた新しい経済政策を期待する。 



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