2009年12月26日土曜日

相変わらずクラウド・ポリテイカル(雲の上の政治)か


今、ITではクラウド・コンピューテイングが2年ほど前から話題になっている。ネット社会では大きな転換点になるらしい。ソフトウェアーやセキュリテイーなど面倒な仕事は雲の上に任せ、パソコンを楽しむ。雲の向こうには「データセンターがあり、ユーザーにいろんなサービスを提供できるというのだ。

  しかし今、逆の意味で政治もクラウド・ポリテイカル(雲の上の政治)になっていないだろうか。

  税制改正、予算編成、外交、小沢さんへの権力集中、参院選に向けた政策など重要なことが、「雲の上」で決まっている。

 「政治が変わりそう」と期待し政権交代した民主党政権で、「事業仕分け劇場」はその期待を垣間見せた。しかしよく見ると何か「小泉劇場」に通じるものがあった。メデイアは連日仕分け現場を映し、仕切議員は脚光を浴びた。私もそれなりの成果はあったと思うが、後になって考えると、本当にこれで良いのかと疑問も出てくる。予算編成でその成果が生かされていない。

 鳩山政権樹立だって、その背後でどんなことが起こっていたのか。

 今回の鳩山総理の偽装献金問題は「知らなかった」「秘書に任せていた」とは言え、母親からの巨額な資金提供であり、脱法行為の疑いがある。一国のリーダーがこんなことでは政治への信頼は失うばかりだ。

  一体この巨額の資金が何に使われたのか。誰でも想像できるのが「総理になるための資金ではなかったか」だ。「私腹を肥やしたわけではない」から総理を辞めないともいう。しかし、総理の座を射止めたと言うことは、利益を得た以上のモノを得たことにならないか。

 政治を私達の手に取り戻すのは、容易なことではない。民主党は来夏の参議院選でも勝利し、単独政権を目指すという。自民党は再生が覚束ないほど痛手を被っているようだ。国民に対して積極的なメッセージを発する力もないらしい。

 しかし、民主党単独政権だけは許してはいけない。小沢さんの暴走は、クラウド・ポリテイカルを助長するばかりだ。

2009年12月23日水曜日

鳩山さんが辞めるとき


鳩山さんの立場が、だんだん悪くなってきた。総理を辞任するのであれば通常国会前だ。

 鳩山さんは「政治は税」と言っているが、民主党政権は増税へ加速しているようだ。景気の悪化で税収減が大きくひびいているが、これから自分の家計への負担が分かってくると民主党支持者も民主党から離れていくだろう。

 国民に税負担を強いながら自分の「政治とカネ」では、「知らなかった」で押し通す。恐らく贈与と言うことで、贈与税の納付になるだろうが、誰も指摘しなかったら脱税行為であり、立場がない。

 総理に就いた直後、国際舞台に華やかにデビューしたのはよいが、普天間基地移転問題では「常駐なき安全保障」の持論もあり、従来の日米合意が置き去りにされた感がある。鳩山さんは「クリントン国務大臣は理解を示した」というが、実情は違うようだ。駐米大使が呼び出され「日米合意の推進」を要求されたらしい。

 これで、一気に日米関係を危惧する論調が増えてきた。鳩山さんの発言の軽さが改めて指摘される。

 民主党政権の売りである「子ども手当」は、所得制限を刷るかどうかで異論が続出したが、所得制限なしで進めることになった。「暫定税率の廃止」は実質税率維持で決着するが、後味の悪さが残った。政権を維持するためには、マニフェストの変更もやむを得ないが、鳩山さんは「マニフェストが実行できなければ、総理を辞める」と見得を切ったこともある。

 そして、鳩山政権のリーダーシップに疑問を投げかける論調が多い。いろんな人の意見に耳を傾ける鳩山さんの性格も影響しているのだろうが、業を煮やした小沢さんが発言/行動するたびに鳩山政権の力は下落する。

 これ以上、総理の座に座り続ければ、通常国会は「針のむしろ」状態だ。国会審議で立ち往生し、自民党の追求の仕方では政局になる。鳩山さんが今、自分の置かれている立場が分からないのであれば、それこそ総理の資格はない。

もし、続けるのであれば、正式な記者会見をして国民に説明すべきである。

 総理になりたかった拘りはあったのだろうが、如何にせん器ではなかったことになる。小沢さんの担ぐ政権で成功した例はない。

2009年12月22日火曜日

小沢さんに頼りすぎる危うさはないか


鳩山さんは総理にむいているのか。性格から来ているのか、なかなか決断できず、周辺や国民はイライラするばかりだ。異論が続出する中で、最後は「私が決める」は麻生さんも口癖だったが、タイムリミットぎりぎりまで先送りしたのも似ている。

 そんな内閣だから与党幹事長の小沢さんの存在が大きい。

 鳩山総理誕生のお膳立てをしたのは小沢さん、政権交代への選挙を仕切ったのも小沢さん、予算編成での子ども手当、暫定税率に悩む政権に助け船をだしたのも小沢さん。こうなってくると小沢さんの存在は大きくなるばかりだ。

 世論調査では、内閣支持率は下落する一方で、政党支持率はまだ高い支持率を保っているのは何故か。まさか小沢さんの存在なのか、あるいは今の自民党では政権を任すことが出来ないためか。

 小沢さんが政権与党にいる限り、権力の二重構造は避けられず、政権発足時もそのことを危惧する人は多かった。それは細川政権時で前例があったからだが、今回もその心配は現実のものとなった。

 政府が頼りないと思われると、皆小沢さん詣でをするようになる。小沢さんの意向で政策が決まるようになる。小沢さんにしてみれば満足かも知れないが、これが一番危険なことだ。

 小沢さんは総理として国民の信を受けていない。国民の信を受けていない者が日本の政治の主導権を握り、政策を決めていくのはまずい。

 「小沢さんも変わった」という人もいたが、小沢さんは変わっていないのではないか。小沢さんに苦言を言える人達が去っていったと聞く。しかし、小沢さんは「裸の王様」にはなっていない。国民の声を知っているのは、選挙で各地を回って国民の声に耳を傾けているためだろう。

 小沢さんの役割は何なのだ。

 幹事長として選挙、党運営、国会対策を任されたと言うが、国民の声を政府に伝えないのは、与党幹事長として職務怠慢ではないかといって、自分(?)の考えを政府に伝え、政府の政策選択に影響を与えたことを正当化している。

 「政治とカネ」の問題も付きまとう。未だかって疑惑にははっきり応えず、「国民は信じてくれているものと思う」と身勝手な判断に終始している。

 民主党政権が国民の信を得るのは、小沢さん抜きの政治になったときだ。小沢さんが動けば動くほど政権の力は低下するだけだ。

 こんなことでも国際舞台でやっていけるのか。日本の国益を害することだけはやって欲しくない。

2009年12月21日月曜日

自民党よ 「少しは変わった」と言えるか


鳩山内閣の支持率が50%を切って48%に急落した世論調査(朝日新聞2009.12.21)が発表された。鳩山首相のモタモタ感、政権発足当初の閣僚の勢いが亡くなってきたのが原因だろう。技術系の首相だから、政策課題にいろんな条件を絡めて、一番よい結果を出そうとするから途中過程で揺れるのは当然かも知れない。

 それでも、政党支持率では、民主党42%、自民党18%で圧倒的な支持を得ている。まだ国民は民主党政権で「政治が、何か変わりそう」な期待を持っているのだ。鳩山さん自身の問題かも知れない。

 しかし、その鳩山さんの政治献金疑惑でも、40%が辞任すべきであると言うが、54%は辞任の必要はないと言う。鳩山さん自身は「知らなかった」と弁解するし、小沢さんのような悪事性は低いと判断しているのだろうが、脱法行為の疑いもある。「知らなかった」ですまされる程、甘くはないと思うのだが・・。

 これらの状況は、逆に自民党に有利に展開できる可能性がある。

 通常国会での審議を考えたときに、鳩山さん及び鳩山政権にとっては苦難が続くだろう。第2次補正予算、赤字国債発行での財政規律の問題では自民党政権時の違いを争える。マニフェストの初志貫徹か、臨機応変かでは自民党の現実重視で議論できるし、税制改革では増税なき財政再建の難しさでも民主党政権と渡り合える。

 自民党は、「変わろうとしている」ことを国民に示さなければならないが、今まで何をしてきたのか。

 「政治とカネ」では、二階さんの処分で従来と同じような対応に終始したが、中堅議員からの猛反発で役職を降りた。本人が議員辞職でもしていれば、もっと状況は変わっていたはず。民主党が繰り出す政策に何ら反論できていない。これでは間違っていたことを認めるだけだ。鳩山政権にはビジョンがないと言われている。自民党にこれが成長戦略だというビジョンはないのか。今一番大事なのは生活苦難者の救済と雇用創出であるが、何も政策がなかったのか。

 さらには、悪い情報ばかり目に付く。離党者も続いている。自民党は消滅するしかないとか、名称を変えて出直すしかないとか、ネガテイブな情報ばかりだ。

 今、民主党政権は、理想から現実への直面で大きく揺れているのだ。まず自民党は変わってきていることを示せ。

 まず、総選挙敗北の総括をすることだ。森さんや青木さんら今まで政権を維持してきた長老に気兼ねしていては、自民党は変われない。世代交代も進めることだ。来夏の参議員選では思い切って長老は辞退すべきだ。「政治とカネ」の問題では、党内で厳しく対応すべきだ。

 そして、成長戦略のビジョンを示せ。政権の座から滑り落ちると、莫大な情報を持っている官僚組織からも遠ざかることになるが、民主党に出来ないことを先んじてやることだ。

 自民党には、しっかりしてもらわなければ、健全な二大政党制は難しい。民主政治を守るためにも、自民党は今までのしがらみから脱皮し、がんばらなければならない。

2009年12月20日日曜日

一足早く、銀座に門松


マツヤ銀座店に一足早く、門松が飾られた。

まだ周辺はクリスマス商戦たけなわである。銀座も変わった。デパートは久しく売り上げが減少を続けている。ブランド店は閑古鳥が鳴き、ユニクロ、アバクロの低価格競争店が繁盛している。

2009年12月18日金曜日

また政治に裏切られるのか







民主党は、先の総選挙で政権交代を訴えた時、国民に向かって「「政治に裏切られてきた」「どうせ変わらない」と言うだろう」とも言った。一方、自民党は現実を見据えた政策があると訴えた。

 野党時代の発想だから威勢はよかった。自民党政権の180度転換した政策を掲げなければ政権交代はなかっただろう。長期政権での省利省益、族議員が育む環境、官僚の不祥事が明らかになった年金問題などは、当然のことながら脱官僚、官僚依存から政治主導に傾いた。

 しかし、政権交代後の鳩山政権が直面した現実は厳しかった。

 連立を組んだ結果、日本郵政の新社長に旧大蔵事務次官を選任したことで「脱官僚」のスローガンが剥げ、その後官僚出身者の人事が続いた。普天間基地移転問題では、新たな日米同盟を築こうと試みた間ではよかったが、現実は厳しい。結論を先送りしたことで鳩山総理の指導力が問われることになった。

  政治の仕組みを替える意欲は理解できたが、国家戦略相の存在感は感じず、目指すべき経済社会、成長戦略は一向に見えてこない。法律を作らなければ権限がないのでは心許ない。

 ムダの排除では、鳴り物入りで「事業見直し」をした。自民党政権時代も河野太郎さんや中堅、若手の議員が、ムダの洗い出しをやっていたが、これ程までにメデイアが飛びついたのには正直驚いた。異論もあるだろうが、政治を国民の身近に感じさせた功績は大きい。限られた事業の見直しだったために、成果はそれほどでもなかった。しかし、鳩山政権での目新しさはここまでだ。

 民主党政権での2次補正予算、10年度予算編成は、マニフェスト実現も含めて、その力量が問われることになったが、一向に改善しない経済、景気対策では財政出動か、財政規律かが問われる。折しも予想を超える税収減は、赤字国債の限度枠44兆円にも波及した。

 初志貫徹か、臨機応変か。

 悩む(?)鳩山さんに救いの声がかかった。小沢さんが「国民の声」として民主党の要望事項を政府に提出した。その内容は、政権幹部が雁首そろえて議論するも結論が出なかった政権の政策に逆行するものも含まれていた。

 民主党政権は、ここに来て臨機応変の政策へと大きく転換することになるのだろうか。
国民の期待にそぐわない結果になりはしないか。

 私は、PDCAで政策の実現を目指すべきだと思うが、そのためには国民にしっかり説明すべきである。要望、陳情なしの事項もあるとなると、小沢さんの「天の声」ということになる。

 鳩山総理は、通常国会できちんと国民に説明できる政策の選択をして欲しい。そしてビジョンを持って国民に訴えるべきだ。勿論自身の政治資金問題についての身の施し方を国民に納得させられるかどうかだが。

 そうしないと、何やら自民党政権と変わらない様相を呈することになり、国民は又、政治に裏切られる羽目になるのだ。

2009年12月15日火曜日

「貧しいときは、親は子供に飯を分け与えたものだ」

この言葉を聞いたことがある人が何人いるか。
 私は終戦直後に生まれたから食糧事情は悪かった。しかし、田舎で生活していたので食べる物は何とかなったようだが、量は十分ではなかった。

 毎日がそうだったから男の子供を持った母親は大変だ。母親の分を私達に分け与えてくれたものだ。その当時はそんなことは気づくはずもなかった。母親は、その後、皆が集まってチョッと豪勢な(?)な食事をするときに、「あの頃は、生活が苦しかって十分に飯を食わせてやれなかった」と申し訳なさそう言いったものだ。

 ところが最近、立て続けに2回、この言葉を聞くことになった。

 一回目は、東京に向かっていた車に中でNHKの「子育て」に関する対談を聞いていた時だ。

 5年前に離婚した男の子供を持つシングルマザーの家庭の話だ。御多分にもれず生活は厳しい。男の子は話しもしないし、問題のある家庭なのだ。1日3食の所を2食にし、それでも自分は我慢して子供に分け与えていた。貧しいなりにがんばる生活だったらしい。

 そうした生活が続くなかで、ある時突然、子供がまともになったというのだ。その男の子が、貧しい生活の中で母親は我慢して自分に飯を分け与えてくれていたことを知り、真面目な子供に変わったという。

 これこそ食育だという。

 2回目は、「たけしのTVタックル」の番組で、「子ども手当」が話題になった時、政治評論家の三宅一生さんが「昔は、親は我慢して子供に飯を分け与えたものだ」と発言された。生活が大変だから子育ての手当を出して、社会全体で子育てを助けることへの是非を問う議論の時だったと思う。

 三宅さんは、「貧しければ貧しいなりに子育てをするやり方がある」と言いたかったようで、私も同感であるが、「時代が違う」という多数の意見にかき消された。

 民主党が進める「子ども手当」は議論のあるところだ。子供に支給するのではなく、待機児童解消のための施策にまわし、親が仕事に就き家計を助け、貧しいなりにも生活を確保できる方が良いと思うのだが・・。
 「子ども手当」がテーマになると、子持ちのシングルマザーの家庭がテレビ画面に映る。今の生活は、「3食を2食しにし、自分は我慢して子供に分け与えている」とコメントしている。

 望んでそう言う境遇になった訳ではないだろう。貧しい成りに親子で生活できる手助けは、政治の責任だ。

2009年12月14日月曜日

「政治が変わる」のなら、どんなことも許すのか


「どんなことでも」とまでは言わなくて、「少々のこと」と言うべきか。

 何やら民主党政権もおかしい。

 中国に行った小沢さんのゴリ押しで、「無理」と判断されていた天皇と習・中国副主席会見が急遽決まったという。慣例上からの是非が議論されているが、内閣の要請があったとは言え、政治利用の疑念は消えない。鳩山さんは「特に日中関係を発展させると言う判断は間違っていない」というのだが・・。

 小沢さんのライフワークである草の根外交の長城計画で共に中国に行く細野副幹事長がテレビの取材で、トップ会談が予定されているとコメントしていたが、日本のトップは小沢さんなのか。こんなことを言うと完全におかしな政治構造になる。

 マニフェストに対する考え方、財政規律の考え、米軍基地問題などで鳩山さんの考えがフラフラしているように見える。基地移設問題では、どちら就かずで、二進も三進もいかなくなってきた感がする。これに08年サンフランシスコ連邦地裁のジュゴン訴訟も絡んでくるらしい。

 一方、辺野古移転では、埋め立てに大きな利権が絡んでいるらしい。利権問題で責任をとった元防衛事務次官の守屋さんの話だが、辺野古移転でも問題は消えない。

 そして民主党政権の総理、政権与党の幹事長という2人が、政治資金規正法違反疑惑に絡んでいる。そんな政治家が日本の政治を動かしている。鳩山さん自らの政治資金疑惑では、自民党も追求のためのプロジェクトチームを立ち上げ、通常国会で追及するらしい。これが理由で、国会審議が滞る恐れがある。

 国民に負託された民主党国会議員の多くが、小沢さんの顔色を見ながら行動しているのも問題だ。これでは民主政治ではなく、独裁政治のはじまりである。こんな議員に1人年間1億円モノ歳費を税金から拠出していて良いのか。国会議員は全国民の代表として行動しなければならない。

 鳩山さんは国民にメッセージを送れていない。官邸内の会見やぶら下がり会見では、誠意ある対応をしているように見えるが、ブレたり、決断できていないようにも思える。しかも政権内での意見の相違、官邸と与党・民主党とのコミュニケーションの欠如は、官僚につけ込む隙を与えることにならないか。「政治主導」が危うくならないかと心配になる。

 そして、数合わせの安易な3党連立はどうか。鳩山さんは「政権運営のベースは、民主党政権」と言うが、老練な国民新党の亀井さんとの太刀打ちは難しい。連立に拘るなら鳩山政権は危うくなるし、民主党に飲み込まれるようでは、社民党、国民新党は消滅の危険もある。

 政治にも規律がある。

 「国会審議の確保」・・国会審議に支障を来すようなことがあってはいけない。今までの総理の辞任会見での口癖は、「国会審議に支障を来す」だ。

 「政治家の道義的責任」・・当たり前のこと。政治家には特に必要で一般人よりも高いレベルの責任がある。「知らなかった」ではすまされないのだ。

 「滅私奉公」・・自分の名誉のため、自分の力を増すため出はなく、国民のために行動すべきである。故人の利権に走っては行けない

 「民主主義の厳守」・・一人の政治家に権力が集中する政治体制は避けなければならない。

 鳩山民主党政権は、まだ3ヶ月しか経っていない、鳩山さんは人柄が良いと言うことで許して良いのか。こんな政治規律に反する政府、与党を糾弾すべきではないか。

 12月上旬のテレビ朝日世論調査(回答者数571にん)で、内閣支持率が56.2%、民主党支持率は43.8%になったという。難問山積で政権内がゴタゴタしたようにみえた結果なのだろう。

自民党は今、政権復帰への力はない。民主党政権が何らかの形で続くだろうが、もっと襟を正すべきだ。

2009年12月12日土曜日

納得のいかない地球温暖化 もっと検証を




ポスト京都議定書、COP、温暖化対策、温室効果ガス削減が話題になると本当に憂鬱になる。温暖化人為起源説が科学者らの十分な検証を経ないままに、政治課題になりドンドン進んでいることだ。

 今開催されているCOP15では、日本は2020年までに25%削減することを政治合意文書に盛り込むことを決めたという。確か麻生政権では8%だったと思う。既に省エネが進んでいる我が国では25%は厳しい目標値だ。

 この温暖化対策をとった場合、所得は2.5~16.2%減少するらしい。ある機関の試算ではそれが13~76万円減ることになるのだ。環境分野で内需拡大を狙っているのではなかったのか。

 更に役50%の排出量を占める途上国の削減目標に対して、反発が強いらしい。当然だろう経済成長にも関係する重大な問題だからだ。そこで先進国からの支援が必要になるが、先進国の経済状況も厳しい。日本も3年間で約8000億円の拠出を考えているようだが、他の先進国に比べるとかなりの高額である。鳩山さんは初めての国際舞台でいい顔をしすぎたのではないか。

 それにしても納得のいかない地球温暖化論争だ。

 私が学生の頃、1960年代、地球は寒冷化に向かっていると言われて今から考えると笑い話であるが、就職するには繊維会社が一番だと言われたモノだ。長期トレンドの中で気温はグッと上がったかと思うと、グッと下がる。その下がっているころの話だったのだろうか。

 大気のCO2の測定は、1958年頃からハワイ上空で毎日測定され始め、CO2の濃度は上がり下がりを続けながら着々と上昇していることは分かっていた。

 それが政治の舞台に躍り出たのは、1988年、NASAゴダード宇宙研究所のジェームス・ハンセンが連邦議会で、「温暖化傾向は自然変動ではなく、大気中のCO2ガスなどの増加に寄ることが99%確かだ」と証言したことから始まる。

 1992年に国連総会で採択され、リオデジャネイロで地球サミットが開催された。確かこの時、日本は政界の実力者・竹下元首相を送り込んだ。これと言った政治課題がない時で環境問題に飛びついた格好になったと当時新聞で読んだことがある。
 日本がイニシアテイブをとって、1997年12月のCOP3で、温室効果ガス削減義務を定めた京都議定書が出来た。

 なかなか発効を見なかったが、2005年5月ロシアが批准して京都議定書が発効した。「政治的課題」に大きく飛び込んできた。

地球温暖化は不幸なことに科学者による十分な議論、検証を経ないままに「政治的課題」になったのだ。これが後後の禍根を残すことになった。

地球温暖化に異論を唱えたのが、1998年のビヨルン・ロンボルグの「環境危機を煽っては行けない」(邦訳 2003年)だ。私も読んだが、莫大な資料から検証を試みており納得がいく。環境団体やビジネス・ロビイスト、メデイアだけに優先付けの提案を任せておくべきではない。環境論争において慎重な民主的チェックをがんばって追求すべきだと言う(本書より)。どっちの議論が正しいのか判断するのは貴方だともいう。

2007年元副大統領のアル・ゴアが「不都合な真実」を著したが、今まで言われていた資料を羅列したモノで、何ら新鮮さは感じられなかった。

そして、IPCCの第4次報告書で「20世紀半ば以降の温暖化は、人為的起源温室効果ガスが原因である可能性が非常に高い」と一歩踏み込んだ。これには日本のスーパーパソコン「地球シミュレーター」の解析結果が大きく貢献していると聞いた。あの「事業仕分け」で「何故世界一位でなければならないんですか。第二位ではダメなんですか」と質問されたスーパー・パソコンだ。

 そう言った論争が続く中で、日本エネルギ・資源学会が貴重な科学的論争の企画をした。e―mail討論「地球温暖化:その科学的真実を問う」を実施したのだ。5人の学者が論争に挑んだ。

 赤祖父先生は、気温上昇は2001年頃止まっているが、それでもCO2は上昇している。IPCCの報告の仮説は間違っている。自然変動しか考えられないと言う。

 伊藤先生は、大気や海洋の大きな振動も平均気温に動いているのでモデルにいれなければならない。温室効果ガスの影響を「検出」出来たとは言い得ない。温度測定も不確かで結論を急ぎすぎだと指摘する。

 江守先生は、このプロジェクトに参加した研究者だ。反対意見には誤解が多く整合性と定量性に欠けるとして、本質的な非半紙はなっていないと反論する。

 草野先生は、エアロゾル、雲も影響するがその挙動が積極的に理解されておらず、ファクターが欠けている。今の気候変動モデルは試行錯誤のモデルで気温上昇は仮説する仮説を導いているだけだと言う。

 丸山先生は、古気候額の観点から地球の平均気温は±1℃で変化してこれを越えていない。理由は地球の緩衝機構だという。

 正確さを期すためには、学会のHPhttp://www.jser.gr.jp/index.htmlを参考に。

 データの読み方、長期トレンドで見るか短期トレンドで見るか。それぞれの研究分野での重要なファクターをどう取り込んでいるか、気温の測定法など論争は尽きない。

 そして、「温暖化データの誇張疑惑に波紋 発信源の英米 沈静化に必死」という記事を目にした(朝日新聞 2009.12.12)。

 それによると、イギリスの気候変動研究の中心的大学のコンピューターがハッカーの攻撃を受け、盗まれた電子メールのなかに、英国の研究者と米国の研究者が、地球気温データを操作して温暖化の進行を誇張していたことを疑わせるやりとりがあったことが発覚したという。約1000通の中から、「気温の低下を隠す策略を終えた」などと書いてあったらしい。

 地球温暖化対策は、莫大な費用を要する割には、投資しても直ぐには効果は現れず、100年以上は続くという報告も見たことがある。

 ここは、急がずもう一度各分野の研究者を加えての検証をやる必要があるのではないか。これ程論争があり、各国で利害が絡んでくる政治問題では、「確かに、そうらしい」という確証がいる。

 国民全体のコンセンサスを得なければ、温室効果ガス削減対策もうまく行くはずがない。

本当の「政治が変わる」は脱小沢から


小沢さんの留守で、民主党は束の間の自由を取り戻しているようだ。鳩山さんは連立与党の党首を呼んで慰労会をするという。その本音がどうあるか知らないが今の政局の話が出ることは推測できる。

 また、党内では渡辺さんをはじめ、小沢さんと距離置く議員が集まったらしい。テレビで記者が渡辺さんに「小沢さんら600人が中国に行ったことを知っているか」と質問したところ、「知らなかった」と応えていた。私だって相当前から予定があることは知っていたので、渡辺さんが知らなかったことは信じがたい。

 恐らく、小沢さんの居ない間にやったことが分かったら拙いので、知らなかったことにしたのだろう。

 今の民主党は、小沢さんに異常なまでの遠慮をしていることが分かる。

 小沢さんの恐怖政治は、その強面、考え方、反対者への人事報復、自らははっきり言わないことから、周囲が憶測して変な動きを導き出すことにある。「数は力」の論理、「政治は闘争」と言って憚らない姿勢は昔の自民党そのものだ。

 それだけの力があるのなら総理を狙うことも出来るだろうが、如何にせん「政治と金」のダーテイーな問題を抱えており、幹事長止まりだろう。そうなると当然に権力の二重構造が出来あがるが、陳情の処理も含めて、今の民主党はそれを乗り越えて権力の一元化構造だ。

 こんなことでは、政府の力は落ちる一方で、外国や官僚は、小沢さんに話を通せば何とかなると考えるのも当然だろう。今回の中国への長城計画での草の根外交(?)で皆思い知ったはずだ。

 一国の権力者が大多数の議員らを引き連れての中国外交はが、国益に叶っているかは甚だ疑問である。

 形振りかまわず、来夏の参院選では過半数を確保し、安定多数を確保し、あわよくば自民党を壊滅状態にさせてしまおうという政治闘争は、小沢独裁政治をもたらすモノで、民主政治に反する。

 小沢さんが望む政権交代が出来、民主党安定政権が出来たときは、小沢さんの本望を達成したのであるから政治から引退すべきである。

 最初は遠慮がちに低姿勢で中にはいってくるが、そのうちに引っかき回して相手の力をへし折り、権力を手中に収める。これが今までの小沢さんの政治手法であった。

 しかし、もうこれ以上小沢さんにがんばってもらうことは、弊害が大きくなるばかりで、日本の政治にとっては疑問が残る。おまけに与野党問わず、優秀な政治家の芽を摘むことにもなりかねない。

 今の民主党政治が「政治が何か変わりそう」を期待した政治なのか。脱小沢戦略が必要なのではないか。

2009年12月11日金曜日

鳩山さんの「自分が決めます」は、麻生さんの二の舞か


麻生さんと鳩山さんの最近の発言何かにていないか。
 
 麻生さんは、解散・総選挙の日程が与野党問わず、メデイアからも出ていた時、官邸での会見、記者クラブの会見でも「状況を判断し、私が決めます」と繰り返していた。

 もうすぐかと色めき立ったが、一向に解散権を行使しできずに、結局は会期末間際になって解散に出た。もっと早く解散せいておけば、これ程の敗北は避けられたのではと悔やまれる。

 麻生さんは「決断できない」「ブレる」総理が定評になった。

 一方、国民が望む「政権交代」で民主党鳩山政権が実現したのはよいが、普天間基地移設問題、赤字国債発行など重要課題に直面はするが、周りがいろんな発言をするが方針が出ず、最後は「自分が決める」と先送りになる。

 発言もブレるので関係者は右往左往するばかり。能力がないのかと疑う。

 鳩山さんも何やら麻生さんに似た状況になってきた。

 鳩山さんも麻生さんも軽い総理と見られているのか、閣内、党内でいろんな意見が出てくる。何かのきっかけで思わぬ方向に動くかも知れない。それを回避するためにも自分に最終的決定権があることを言いたいのだろう。

 麻生さんと違って、会見でも鳩山さんは丁寧に応えている。その真面目さは評価できるが、逆にどうなっているんだろうと不安感が増す。

 民主党政権は、「政治主導」を掲げて官邸を強化したはずであるが、初めての政権だから経験も乏しく、野党時代と違って現実を前にすると戸惑うことも多いのは確かだ。

 しかし、今大事なことは国民に安心できるビジョンやメッセージを送ることと決断、実行力を示すことだ。官邸内、政権与党内でのゴタゴタは、相でなくても国民を不安に晒すことになる。

 臨時国会中の党首討論は実現しなかったが、直接国民に向かって会見すべきではないか。

 鳩山政権での経済ビジョンは何か、政権内で起こっていること、自分の政治献金疑惑などについても直接説明すべきである。

 出来なければ、通常国会に向かって不利になり、支持率も更に下落し鳩山政権運営が難しくなる。

 自信がなければ辞任すべきだ。今はぐいぐい引っ張っていく指導者が必要なのだ。小沢さんは海部総理の時だったと思うが、「担ぐには軽くて、バカがいい」と言ったという話が伝わったことがある。そんな総理ではダメなのだ。

2009年12月10日木曜日

この悪化する経済を財政規律で切り抜けられるか


 経済は本当に難しい。「自分が経済学者になったのは、経済学者にだまされないためだ」といったのは大経済学者ケインズの愛弟子だときいたことがある。経済学者が10人集まれば、10通りの見方があるのだ。現下の経済情勢に対して、いろんな見方が出されている中で、鳩山政権の経済対策が発表になった。

 09年度の第2次補正予算案の新たな経済対策で財政支出が7.2兆円、事業規模で24.4兆円が決まった。財政支出は当初7.1兆円といわれていたが、国民新党の亀井さんが8兆円を主張してもめたようだが、鳩山さんが7.2兆円で決定したそうだ。

 この結果、税収は36.9兆円に落ち込むために、借金になる新規国債発行額は53.5兆円にのぼり、麻生政権で44.1兆円だったので、44兆円以下にしたかった鳩山さんだったが、景気低迷での税収減、公約実現のため9兆円を越え、過去最大になるらしい。

 民主党政権、財務省は財政赤字を抑えるために赤字国債発行額にこだわったが、亀井さんは、「景気対策には財政出動が必要だ」という考えのようだ。今回は8兆円を要求していたが、1000億円の増で我慢したらしいが、10年度の予算では大幅な財政出動が必要だと怪気炎を上げている。10年度の予算の概算要求は95兆円だ。仙谷さんは、事業仕分けで3兆円削減を目標にしていたが、今回は1.7兆円で終わった。

 財政出動か、財政赤字の抑制か。

 景気対策に財政出動し赤字国債が増えると、国民や投資家の信頼を落とし、長期金利は上昇、経済は停滞するという見方を、民主党政権や財務省はとっている。

 しかし一方で、今は景気対策で思い切った財政出動しなければならないときだと主張する人も多い。景気が回復すれば、雇用、税収も増え、家計もよくなるので消費が戻るとみる。国民新党の亀井さんもこっちのほうだ。

 ほかにも国内でも財政出動を訴える学者もいるが、どちら正しいというか、どちらが経済対策として適しているのかわからない。ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授も財政出動派だ。今は思い切ったことをやらなければ、景気は回復しないという。

 今回の政府の経済対策の見方もさまざまだ。エコカー補助金、エコポイント制度の延長、更には拡大政策で景気を下支えする効果に期待し、適切な規模だという産業界の評価があるが、市場関係者は雇用調整助成金の至急条件緩和などで雇用に安心感が出て、個人消費を下支えし、物価の下落も支えるのではないかと期待する一方で、エコカー、エコポイントは需要の先食いだと疑問を投げかける。

 なんら麻生政権の政策と変わらず、目新しい政策がないことに失望する人もいる。当たり前のことだ。みな官僚の政策に頼っているのだ。政治主導といって、民主党側から特に出てくるものもない。考えることは皆同じなのだ。

 「明日の安心と成長」のための緊急経済政策と銘打ってはいるが、雇用創出、新産業の育成といってもこれといった妙案は思いつかない。経済ビジョンを知りたいのだけど、民間研究機関からも官庁経済機関からもでてこない。

 すでに国の借金は600兆円を超え、先進国では一番の悪い財政事情であることから、「財政危機」を心配する向きは多い。当然である。思い切った無駄の削減をして、その分を有効な経済政策にまわすことも重要である。

 しかし、不思議なことに霞が関から積極的な事業見直し、予算削減の話は一向に出てこない。メデイアも独立法人のピンハネ体質、法外な役員報酬をすっぱ抜いているが、税収が落ちれば自分たちの報酬も減ることぐらいわからないのか。

 わかってはいたことだが、官僚国家の弊害は一夜にして“CHANGE”できるものではない。

 財政出動か、財政規律か、難しい判断だが民主党政権は財政規律で進めるようだが、政権内部でのゴタゴタは、国民に不安を掻きたたせるだけだが当分は改善の見込みはない。

 ビジョンに欠ける民主党政権、税制改革で家計に増税/減税の二極化がはっきりしてくると、「こんなはずではなかった」と考える国民が多くなってくるだろう。そうなると民主党支持は落ちてくる。

 自民党にはそれに変わる政権復帰への体制ができていないので、すぐには政権交代はないだろう。
写真 首相官邸
    経済ビジョンを示して国民に安心感を与える必要があるが、政権内、政権与党内でのゴタゴタが     国民の不安感を増長している

2009年12月8日火曜日

国益? 国民は疑い、政府は否定した密約


来年は日米安保50周年に向かって「普天間基地問題を解決しない限り、すっきりした気分で50周年を迎えることは出来ない」と岡田外相は発言している基地移設問題に加えて、日米間での密約文書の存在も問題化してきた。

 1972年の沖縄返還時の土地原状回復費400万ドルを日本が肩代わりした費用肩代り問題と、60年安保時と沖縄返還時の「核持ち込み」に関して密約があったと言うのだ。

 当時、毎日新聞の西山記者が外務省の女性職員の協力で、費用肩代わりの秘密文書をすっぱ抜いて大問題になった。当時の記憶では、密約内容よりもすっぱ抜きの行為がセンセーショナルに話題になったように思う。

 これらに関して、米国で公文書が開示され存在が明らかになったが、それでも自民党政権は存在を否定し続けた。麻生さんは「調査する必要もない」と言い切った。

ところが、「秘密文書」をめぐる情報公開訴訟で、当時の担当者だった外務省OBの吉野文六さんが文書の存在と金額について存在を証言し、さらに故大平首相の秘書官だった森田さんの証言も出てきた(大平さんは、秘密文書を公開すべきかどうか、大いに迷った唯一の政治家だ)。

 何時までも秘匿は出来ない。この辺で公開した方がよいと判断されたのだろう。

 外務省や旧大蔵省が、どうしてそう言う約束をしたのか。歴代自民党政権はどうし存在を否定し続けたのか。

 当時、国益をどう考えたか。

 沖縄返還は日本の長年の課題であり、更に事前協議から艦船の寄港を除外し、有事の際の沖縄への核兵器の再持ち込みの合意は、米の核の傘で日本の安全を確保することが当時の国益だったのではないか。

 当時核持ち込みなどは、国民の大方は知っていた。疑惑があると言うことで反対運動もあったと思う。核を持たない軍備など考えられなかったし、米軍基地があることによるいろんな問題は局地的問題だった。密約を否定することにより、大きな混乱もなく達成することが為政者にはあったのではないか。
 
 外交には秘密事項が付きものではあるが、主権は国民にある。情報公開は重要である。

 民主党議員が野党時代に情報開示を求めると、マジックで真っ黒に塗られた資料が渡されたが、政権与党になると、それが極端に減ったと言う。官僚は国益をどう考えているのか。官僚は特権的な身分ではない。職業としての国家公務員であることを忘れてはいけない。

 それにしても、普天間基地移転問題はどうなるのか。前政権との合意事項を望むワシントンは「猛烈に怒っている」と言うが、社民党の連立3党離脱の可能性を回避する為の鳩山案の一つであるグアムなどへの移転か、現実性を考え岡田外相の言う日米合意事項の履行しかないのか。

 日米ともに民主党政権にCHANGEし、「政治が変わるのではないか」という国民の期待は大きい。米国も米軍基地はどうあるべきか、新しい発想で再構築する必要があるのではないか。従来の在日米軍のあり方では、節目節目で、同じ問題が提起されるだけである。

 そう言う意味では、鳩山さんの言うグアム移転などは、良さそうな案だと思うのだが・・。

2009年12月6日日曜日

政治資金規正法は格下の法律か




 小沢さんは、巨額の不動産を購入していたと指摘され売却、公設第一秘書が逮捕された献金疑惑では「修正すればいいだけの形式犯で何故逮捕するのか」と真っ向から検察を批判した。鳩山さんは、故人献金、母親からの超多額の資金提供を「知らなかった。驚いている」、「公設秘書がやったこと」と終始曖昧な説明だ。

 政治献金疑惑で、議員辞職まで追い込まれた議員もいるが、それは少数例で多くは責任逃れで生き残っている。

 政治資金規正法は、「規制」ではなく、「規正」と言われているように重要な法律なのだと主張する法律家もいる。辞書の通りだと、「混乱しないように規則を作って制限することではなく、悪い点を正しい方に直すのだ」とすると、チョッと意味合いの違う法律だ。

 しかし、民主政治のために、我々が代表として国会へ送り込む人達の政治活動を規正する法律としては、格下の法律と見られてはいないか。

 法の解釈に迷ったら第一条(目的)をよく読めと教えられた。図書館で政治資金規正法を開いてみた。

 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみー中略―政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行なわれるようにするためにー中略―政治資金の収支の公開並びに―中略―政治資金の授受の規正、その他の措置を講じることにより政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とするとある(第1条 目的)。

 崇高な法の目的とは裏腹に、議員や候補者のその理念の低さに驚くばかりだ。「正直に報告しているから問題ない」とか「知らなかった」ではすまされないのだ。

 その基本理念では、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民に委ねー中略―適切に運用されなければならないという(第2条 基本理念)。

 昭和23年に制定された法律だから、国民の浄財を集めて活動することを前提にしているのだろうが、何か見返りを要求されているような、いやしくも国民の疑惑を招くようなことをしてはいけないのだ。 

 その政治資金の運用も金融機関への預金、貯金、債券などに限られている(第8条の3)。政治資金で不動産取得を取得するような蓄財なんて考えられないことだ。それが政治家個人のモノだとすると誰だって疑う。

 政治家が「オレは関与していない」、「秘書に任せている」と言い逃れ出来るのは、政治団体の会計責任者に報告書の提出義務があるのだ。国会議員本人は何ら関係ないのだ。
 しかし、これはおかしい。私達が何らかの報告書を自治体や国に提出するときは、企業では社長、事業所長など、施設では施設長や理事長の名前でするのが常識で、経理部長の名前ではない。

 本来は候補者や議員本人の名前ですべきである。そうすると責任が明確になる。

 お笑いは、報告書の真実性の確保のための措置として、「真実の記載がされていることを誓う」旨の宣誓書を添付する必要があるという(第29条)。

  監督上の措置として、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会は、提出書類に形式上の不備があり、記載が不十分であると認めるときは、説明を求めたり、訂正を命じることができる(第31条)。

 これに反する場合の罰則は、3年以下の禁固または50万円以下の罰金だ。

 政治資金規正法が、甘く見られているのは、その形式的処置からだろう。

 一方で、衆議院議員や参議院議員に係わる公職の候補者が代表である政治団体でも「政治資金監査報告書の提出が求められているが、この時は登録政治資金監査人(弁護士、公認会計士、税理士)が作成した報告書を合わせて提出することになっている(第19条)。

 政治資金規正法が、国会議員に軽視され、格下の法律のように扱われているのは、法の趣旨に反する。

 西松建設違法献金の問題のあり、企業、団体献金の禁止などが課題になっているが、議員本人が責任者となり提出義務を負い、政治資金報告書は予め公認会計士などの監査を受けるべきである。形式上の措置で済まない大きな疑惑のある場合は、議員辞職など罰則も強化すべきである。

 政治倫理に欠ける人が議員に選ばれたり、政治資金規正法で疑惑を持たれた人が政治の中枢に座り、その追及で政治が停滞することのないようにオンブズマンの活躍を期待すると共に、何よりも自分の選挙区の議員、候補者に疑惑のある人をあててはいけない。

 この法律の保護法益が何であるか、しっかり考えなければ・・。あっせん収賄、業務上横領、詐欺、脱税の隠れ蓑になってはならない。

 政治資金規正法は、格下の法律ではない。政治家の公明、正大な活動を希求する重要な法律なのだ。

2009年12月4日金曜日

ビジョンなき政権交代だったのか


鳩山民主党政権の右往左往ばかりが目立った、短い臨時国会が4日閉会した。
 私達は、「何か政治が変わるんではないか」と期待して、民主党政権を選択した。しかし、明けてみれば、ビジョンを欠く政権だったのではないかと疑う。野党時代は、自民党政権の政策に、何でも反対をしておけばよかったが、実際に政権の座に就くと、現実と前政権からの継続性で大きく悩む結果になった。

 おまけに、議席数で多数を確保するための国民新党、社民党と連立を組んだ為に、郵政民営化見直しや普天間基地移転問題で振り回される結果になり、さらに社民党のお家の事情から連立離脱の可能性まで出てきた。

 「ねじれ国会」が本当に悪いのかというと、決してそんなことはない。しっかり国会で審議し、それでも妥協点が見いだされない場合は、多数の議席数を使っての強行採決/再議決も許されると思うが、十分な審議が為されないままでの議席数頼みの議決は大いに問題がある。「ねじれ国会」は政権党の暴走の歯止めでもあるのだ。

そもそも国民新党や社民党のマニフェスト(公約)は、多数の国民の信を得ているのか。安易な連立は公約違反になりかねない。

「政治を根本から見直す」姿勢は評価できる。

 確かに「事業仕分け」は、事業費の半分以上が人件費であったり、ピンハネ法人の為に事業であったり、官僚の説明しにくい事業はムダな事業と思えた。問題はあるだろうが、公開で実施したことは国民から評価されている。しかし、100人の議員を霞ヶ関に送り込んで政治主導を目指したが、政務三役が認めた事業が「廃止」「見直し」の判定を受けることもあり、政治主導の難しさが伺える。

 子ども手当などは団体を通さない直接支給と言うことで、税のあり方を変えるものだろうが、国民の60%は反対している政策ある。少子化対策なのか、内需拡大策なのか、不透明な気がする。バラマキ予算であるのなら自民党政権と変わらない。

 税金の無駄づかい削減のための公共事業の見直し、高速道の無料化など耳さわりのよいことに違いないが、マニフェスト実現に向けた財源は十分にあるのであれば、はっきり示すべきである。

 今国会での民主党政権をみると、国民に示すビジョンを持っているのかと疑うこともある。

 雇用・経済対策では、「デフレ宣言」はしたものの、経済対策は示さず、日銀に放り投げの感もする。国際舞台で内需拡大による経済危機対策をぶち上げたのは良いが、どんな経済社会を描いているのか。是非知りたいところである。

 そして今必要なのは、「財政出動」か、「財政赤字削減」か。経済学者でも意見が分かれている。需給ギャップが40兆円とも言われているのだから、ここは思い切って財政出動すべきだという意見が強い。しかし、日本はGDPの170%を越える債務を抱えた、先進国一の借金国なのだ。財政赤字の積み上げは、国民や投資家の信頼を損ねる。

 円高、株安経済をどう乗り切るのか。財務相は円高容認発言をし、批判されると「異常事態」と認め為替介入の可能性も示唆した。事務次官や官僚に代わって大臣が会見するのか良いが、軽いコメントは禁物だ。

 地球温暖化対策では、他国に突出して25%削減を提案し、米国、中国、インドの削減目標を引き出したのはよいが、相当厳しい目標だ。改めて別メンバーで家計への負担を試算すると言うが、政権寄りの結果が出るのは目に見えている。

 さらには、これから政局になりそうな普天間基地移設問題では、国外、県外を提案しているが、具体的にはどこなのか。何も言っていない。今更「検討しろ」ではないだろう。
国内では社民党に配慮し、対外的には米国の不信を買う安全保障に未来はない。このままでは有事の際に本当に米国は助けてくれるのか。

 オバマ大統領は、東京演説で「日本を守ることに変わりはない」と特に言及したことは、米国の日本軽視を打ち消したのだろう。対等な立場での日米関係の維持は簡単にはいかない。

 後1ヶ月で通常国会が開会する。民主党政権は、国民にビジョンを示すべきである。ビジョンなき国会議論は政治ごっこだ。そんなことをやっている時ではない。

 政治資金規正法での疑惑で鳩山さんは「辞任すべきだ」と思うが、国民は、企業献金疑惑に比べ悪質性が少ないと言うことで鳩山さんに鷹揚な反応を示している。だとすれば、なおさら国民に応えるべきである。

 何をどう我慢すれば、どんな社会が見えてくるのか。
 自民党も押しつぶされることなく、しっかりしたビジョンを示せないのか。

2009年12月3日木曜日

住民の不安は募るばかりの八ツ場







話し合いを求める国土交通相、5万人を越える署名を集めて推進を訴える地域住民、そして生活再建事業がどうなるのか。前原さんは「生活再建事業はこれまで通りつづける」と言うが、前提になるのは「ダムに頼らない生活再建」だ。住民は「見直しされるのでは」との不安を募らせる。

 そんな時、新聞報道によると移転先の川原畑地区と川原湯地区を結ぶ「湖面1号橋」の4本の橋脚のうちの2本分の工事の一般競争入札を群馬県が公告したと言う。橋脚1本分は既に発註済みだが未着工だそうだ。

 前原さんは、はっきり言わない。県も先行き不透明としながらも予定通り実施する立場をとっている。

 1ヶ月半ぶりに長野原を訪れた。紅葉も終わり観光客もまばらだが、「やんば館」や湖面2号橋の工事現場付近は、観光のポイントになっている。

 ダム湖に架かる3本の橋のうち、もうすぐ完成するという3号橋(林地区と横壁地区を結ぶ一番奥の橋)のある横壁地区に初めて行ってみた。国道145号から橋を渡って吾妻川の対岸にあるが、「工事関係者以外進入禁止」など立ち入ることを躊躇させる看板が多く立っている。古い家屋が多いが、護岸工事が終了し新築の家が建っているところが新しい移転先なのだろう。

 3号橋とその向こうにクレーンのそそり立つ2号橋工事現場が目に入った。土建会社の現場事務所の看板も目立つ現場を、あちこち走っているうちに、工事が途中で止まっている3号橋工事現場と解体中の家屋、解体撤去後の平地、木々の切り株など工事再開に向けての準備が進められている場所に出た。

 解体中の家屋では、元の家主だろう年配の男性が業者に混じって片付けをしている。「解体ですか」と声をかけるとウンとうなずいた。必要なモノは運び去った後のようだが、それでも片づけている。何十年も暮らした家だ。思い入れがあるのだ。近くの民家でも植木の移し替えが始まっている。

 付け替え国道、県道、移転先を結ぶ為にダム湖に3本の橋が必要であること自体、何か無理なダム計画であるような気がする。

 総事業費4200億円のうち予算ベースでは7割ほど使っていると言うが、学校の移転、個々のトンネルを除いては、何一つ完成しているものはない。八ッ場ダム建設反対者が、「事業費はもっと上がるはずだ」ということもうなずける。

 次いで、1号橋の架かる予定の川原畑移転先に行ってみた。現場に架かっているこの付近の完成図を見ると立派な橋が架かるようだ。この橋の橋脚2本分の一般競争入札を県が公告したのだ。新築工事も進んでいるが、まだ数は少ない。神社は一番早く移転した。

 最後に川原湯温泉街にいった。平日の午後だから温泉街には特に活気がない。美容院が解体されていた。すでに移転先で営業をしているらしい。

 昼食をとるために、ラーメン屋に入った。注文した野菜ラーメンは野菜がたっぷりのっている。「すごいな」というと、ご主人が笑った。

 「反対運動は進んでいるんですか」と聞くと、「民主党案にですか」と問いかけてきた。そうなんだ。ここでは反対というと「ダム建設に反対」なのか、「民主党の建設中止に反対なのか」、区別しなければならないのだ。

 移転を1年先位に考えているそうだが、まだ移転先は造成中であり、移転先で営業しても商売になるかどうか不安なのだ。計画がはっきりしないと温泉旅館も大変なことになる。ある旅館で200万円以上かけて修理したそうが、移転が決まっていれば必要のない金を使ったことになる。

 この温泉街は、源泉から温泉水を木管で各温泉旅館に送水しているが、これも痛んでいるらしい。埋設し直すにも移転の問題が絡んでくる。

 ご主人は「ダムを作らないのであれば、橋を3本も作る必要はない。こんなに大きな環境破壊をしてまで」と言う。JRの新川原湯温泉駅もまだ工事もやっていない状態らしい。

 温泉街の一番奥が予定地だというので行ってみた。何回も来た所だがここが新駅が出来る場所とは気が付かなかった。何のための工事かは分からないが始まっており、その先には有名になった湖面2号橋につながる。

 生活再建を優先するにしても、移転先もままならず、商売になるかどうかも不透明、温泉街はどうなるのか。ダム湖のない温泉街では魅力がないし、今の場所で温泉街の再生が出来るのか。

 上流の住民には、また違った考えもあるようだ。

 ダムに頼らない生活再建と言うが、50年もダム建設と付き合ってきた人達だ。ダム前提での生活を考えていた所に、「ダムに頼るな」と言われても頭の切り替えには急には出来ない。ダム計画を中止し、生活再建に切り替えた先例もあるが、住民のコンセンサスを形成するには相当時間がかかったらしい。
 
 政治に振り回された無謀な計画だったと考えられるが、途中で止めるのも無謀過ぎる。民主党政権は「政治主導」でどう解決しようとしているのか、前原さんは早急に生活再建策を提案すべきである。

2009年12月1日火曜日

鳩山さん 潔く辞任を


総理の座について早3ヶ月、鳩山さん自身に降りかかる問題が厳しくなってきた。「友愛」を政治理念として主張するなどおこがましいのだ。

 政権交代を目指していた野党時代に、小沢さんの公設第一秘書が政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部に逮捕されたとき、「国策捜査」と批判の急先鋒だった。野党幹事長の発言としては違和感を感じたものだ。

 その背景には、小沢さんの援護で総理の芽が出ていたのだが、「政治と金」の問題で火種を抱えていた。総理の座に就くやいなや、許容限度を超える様相を呈してきた。

 個人献金、偽装献金さらには実母からの多額な資金提供は脱税の疑いが濃いほど、疑惑に関して本人が説明できない程の悪質さがある。

 誰かが言っていたが、子供の時から大金持ちで、政治以外にも遊び歩ける(決して悪いことではないが)人間に「国民の目線」での政治など期待できないという疑問には同感だ。貧困率15%、低所得化が進む中であらゆる事に課税され可処分所得も減少し、生活が厳しい者にとっては、怒りがこみ上げてくる。

 案の定、政策の節目に、その決断が出来ていない。少しでも先延ばししようとするから、混乱が起きる。

 国会審議も十分ではない。総選挙後の国会開会がおそかったし、円高、株安、デフレで国民の生活は更に厳しくなるにも関わらず、何ら対策は示されていない。それなのに会期を4日で閉めるらしい。

 その原因の一つに鳩山さんの「偽装献金問題」で追求されることを民主党が恐れている為だという。「鳩山総理隠し」でこのような国会運営を余儀なくされているとしたら、何をか言わんやだ。

 即刻、総理の座を辞任すべきだ。

 国権の最高機関としての国会をどう思っているのか。国民をバカにしているとしか言いようがない。

 「政治と金」の問題は、政治倫理の問題だ。疑惑を持たれると言うことは、政治家として命取りだ。小沢さんの問題も含め、総理、与党幹事長の2人が政治資金規正法で疑惑を持たれていること自体、日本の政治の恥ではないか。

 最近の世論調査を見ても、国民は、鳩山さんが総理だから民主党政権を支持しているわけではない。「政策」あるいは「政治が変わることが期待できそう」だからだ。

 潔く辞任し、通常国会では国民が必要とする議案の審議を存分にやれる体制を早くつくって欲しいものだ。

2009年11月29日日曜日

民主党政権の斬新さもこれまでか


これからは、自民党政権と変わらない政治・政局運営が続くだろう。

 事業仕分けは多くの国民に政治に目を向けさせた機会となり、異論はあるものの高い評価を得たと見るべきだろう。短時間に事業説明をし判定するのは無謀すぎるという官僚、自民党幹部の意見もあったが、1時間もあったのに十分説明できなかった官僚の能力不足であり、国民に説明しにくい事業を展開していた官僚の無責任さを曝露したことになる。

 しかし、これからが民主党の正念場である。予算編成で如何に効率的で、ムダのない、景気浮揚に役立つ事業が出来るか。自民党清見寺の事業の「見直し」も続くだろうが、これからは独自性が要求される。

 税収も落ちる。赤字国債の規模が問題になるだろうが、景気対策の財政出動か、赤字財政の削減か。今のところ財政赤字がポイントのようだ。急に経済好転のネタはないが、どういう経済社会を目指すのか。その姿が示せるか?

 国会審議も十分ではないようだ。野党時代は「数の横暴」を批判しておきながら、一括審議、強行採決をした。与野党が逆転しただけで何ら従来の国会審議と変わらない。

 「政治と金」の問題は、自民党の攻撃の的になるだろう。二階さんも同類であるが、鳩山さん、小沢さんの政治資金規正法違反疑惑は、政権政党のトップ、NO2の座に居る者として、余りにも不自然である。何故、鳩山さん、小沢さんでは許されるのか。鳩山さんは脱税性があるし、小沢さんは、否定しているが「あっせん収賄」の疑いがある。

 国民が期待していた脱官僚、政治主導も怪しくなってきた。郵政の社長人事、人事院人事も事務次官経験者を当てた。民主党大臣も実際に政権に当たると、様子が違ってきた。今回の事業仕分けの結果でも「自分たちで見直す」「意見は述べさせてもらう」と言い、廃止、見直し事業が復活しそうである。

 国会の各種委員会での政権与党の質問はどうなるのか。今の大臣では、政治主導がおかしくなっているのだから、与党民主党の議員が「政治主導」を御旗に、官僚主導政治に果敢に闘いをいどまなければ、可笑しげな政治主導になってくる。

 そして、あれほど言っていた「情報公開」「説明責任」も、政権に就いた途端に、トーンダウンした。国民は誰でも知っている「官邸機密費」の件では当初「何ですか。知りません」と官房長官は惚け、大きく信用を失った。鳩山さんも自分の献金疑惑に応えようとしない。

 小沢さん率いる国会運営も危なかしい。国民が自分たちの代表として選んだ国会議員を、小沢さん流に使っては拙い。小沢さんは「日本の本当の民主主義を目指す」と機会あるごとに豪語していたが、こんな民主主義はまっぴらゴメンだ。

 民主党議員は、一度初心に返るべきだ。このままでは、今後民主党が初心を貫く局面は全くない。

 小沢さん! 政治は「闘い」ではなく、バランスだ。バランス感覚に欠ける政治は、本当の民主主義ではない。

2009年11月28日土曜日

財政出動か 財政赤字削減化 どちらがリスクが大きいか




オバマ、鳩山日米両民主党政権は、「CHANGE」したのはよいが、口先ばかり良いことを言うも、一向に景気は改善しない。具体的に景気対策が出せないから、経済予測は悪化するばかりだ。

 エコノミストも悪い予測はするが、具体的で実効性のある経済対策は提案できていない。

 財務大臣の藤井さんの発言は、円高容認と受け止められ円高が止まらない。言い方を変えて介入の可能性を示唆して初めて、円高幅が縮まったモノの、市場に信頼されていない。

 政府系企業が590億ドルの債務支払いの延期を発表したドバイ・ショックで、円買い、ドル安で円高になり折角好転しかけた日本経済は冷や水を浴びせられたことになり、輸出依存季語湯のトップが、政治的配慮を訴えた。民間企業で対応できる状態ではないのだ。

 益々、鳩山政権の経済政策が問われることになる。

 鳩山政権での経済対策は行き詰まっているのだろうか。具体策に欠けるのだろうか。景気対策を日銀に迫った。より一層の金融緩和を要求しているのだが日銀の腰は思い。今回のドバイ・ショックでは、短期市場金利がドルより高いこともあって円買い運動を起し円高の要因になった。亀井さんの言うようにやっていれば、ここのところは回避できたかも知れない。

 しかし,景気対策は需要を躍起することだが、値下げしないと消費者は寄りつかない。スーパーでは値下げ競争だ。フロアの責任者に「こんなに値下げしても大丈夫なのか」と聞くと、値下げで客を呼び他の商品も買ってもらおうとの作戦であるが「値下げ品しか買ってくれない」とぼやく。

 財政出動するか、財政赤字削減をするか。

 無責任に「財政出動だ」と叫ぶのは簡単だが、政権に身を置く者にとっては悩むところだろう。財政赤字が増えれば、投資家の信頼を失い、長期金利は上がり景気の改善にはならないと考えるが、一方で財政出動は景気を好転させると見る考えもある。

 我が国の多くのエコノミストは、財政赤字の拡大は避けるべきだと思っているのだろう。提案する景気対策は、待機児童解消、教育投資、羽田24時間化、雇用・内需創出の新分野、環境分野などを上げるが、3兆円がほとんどだ。
政府の経済成長戦略が分からない。
 
 菅さんは、約2.7兆円の第2次補正予算の必要性を訴えたと思ったら、国民新党の亀井さんは、11兆円を要求した。税収は落ちて40兆円を大きく下回りそうだという。一方で公約もある。どう見たって赤字国債発行は過去最高になるだろう。

 アメリカ経済は、大きく変わろうとしている事は、オバマ大統領の東京演説で分かった。内需拡大しかないが雇用、介護、環境分野で成長が期待できるのか。

 民主党は、どういう政策をとり、どういう経済社会へ導こうとしているのか。事業仕分けのように公開審議をやって欲しいものだ。

2009年11月26日木曜日

山、露頭、化石から日本誕生を知る下仁田ジオパーク







 いや正確には、まだ下仁田ジオパークではない。下仁田町役場(群馬県)の教育委員会によると来年正式に申請し、正会員になる予定だという。

 地質や地形など地球の持つ遺産を、市民が地球に親しみ地球を科学的に知るために活用する仕組みが世界ジオパークネットワークで、日本ではユネスコの支援で委員会が設立された(JGL 2009.No4)。我が国では洞爺湖・有珠山、糸魚川、島原半島が今年加入が認められた。

 ここ群馬県下仁田町は、街周辺には孤立しているように見える山、鏑川の河床の青色をした巨岩、崖に露出した断層が多く見られ地質学上、何やら意味のありそうな風景が広がっており、中央構造線の一部が露出している場所でもある。

 私が学生の頃は、中央構造線は、西南日本を日本海側と太平洋側に分ける大断層線で、諏訪湖付近に始まり、四国、九州まで伸びている。諏訪湖付近では、糸魚川―静岡構造線と交わっているのをよく目にする。中央構造線が諏訪湖の辺りで止まっているのだ。

 どうしてこんな変なことになっているのか。一つの原因は、中部日本以西の活断層を地形からチェックし、地図に書き込むと活断層分布図が出来るが、活断層の大部分がこの地域に密集し、横ずれ断層が主らしい。一方、東日本は蜜になってなく、逆断層なのだそうだ。

 ところが、その後、下仁田に中央構造線の一部の露出が確認され、関東地方を横切って、茨城県沖に伸びているという記事を見た。何時の頃だったのかと、県立自然史博物館で出版物を調べてみた。1990年辺りではまだ、見あたらないが、1995年頃になると、下仁田構造帯、諏訪湖から東側で中央構造線の記述が見受けられる。その頃なのだろうか。

 一度見てみようと、下仁田を訪れた。青岩公園を見て、下仁田地質見学会などを催している下仁田自然学校のある自然史館に行った。

 公園入り口の案内板に、下仁田地質は1953年藤本治義先生が「根なし山」の考えを発表、1960年から6年にわたり山下登先生が中心になって研究が行なわれ、興味深い地域になったそうだ。

 この下仁田町中を東西に大断層が通り、中央構造線の東の延長だという。

 青岩公園では、海底火山活動で出来た岩が、大規模な地殻変動で高圧を受けて変成岩(三波川結晶片岩)となり、変成作用で出来た緑泥岩を見ることが出来る。この三波川帯は、中央構造線の太平洋側の外帯だ。

 自然史館では、発掘した化石類や採取した石片など多くの標本が保管され、出版物も販売している。青倉の廃校になった小学校に移転するために整理中であった。資料の中から
下仁田地質見学案内の冊子(100円)を買った。この辺の事が詳しく出ている。この冊子には、諏訪湖からの中央構造線が下仁田を経て関東山地を抜け茨城県沖の太平洋に抜けるように記述されている。

 翌日、改めて他の場所を見るために再訪した。

 ポイントの確認に困って、町中で談笑している年配の方に「大北野―岩井断層を見たいのですが」と聞くと、「私が案内しましょう。丁度散歩中です」と案内をかって出てくださった。

 西牧川(鏑川)に架かる八知代橋から下流に淵が見える。鬼淵と言うらしいが、この右岩がその大断層が露出している箇所だ。右手上に善福寺がある。その墓地の下を断層が走っている。

 案内してくれた男性の家の墓所がある。この3月に墓に陥没が見つかったというのだ。墓地に近づくと、立派なモノだ。人間が入れる地下室があるのだが、そこで陥没が見つかったのだ。

 断層は動いている。糸魚川―静岡構造線の松本付近は、左ずれで、1000年当たり8m以上動いているという。中央構造線も大地震を起こしかねない活断層である(「地震と断層」 東京大学出版会 1995)。

 上流には、今でも沢山の貝の化石が採取出来るという。

 下仁田層からは、海に住んでいた貝の化石が40種類以上見つかっている。化石を調べることにより、その地層の堆積した時代を知る事が出来る。それによると、2300万年から1600万年前らしい(下仁田地質見学案内 下仁田自然学校 2005.2.18)。

 日本列島最古の岩石が形成されたのは、南半球の赤道~中緯度地域、ゴンドワナ大陸の一部だ(4億2000万年前)。海洋底の沈み込む場所、海溝で、深海の堆積物や海洋地殻の一部がはぎ取られ、陸側に付け加わる作用(付加作用)で日本列島の土台ができあがったのだ。日本らしい格好ができあがったのは約1億3000年前。日本海が拡大し始めたのが1700万年前だ(日本列島の誕生 平 岩波書店 1991)。

 日本誕生に興味を持ち、それを知ることは防災にも役立つ。今まで発生した巨大地震も、すでに分かっている活断層もさることながら、未知の断層からも発生しているのだ。
写真左 青岩と「根なし山」
写真中 川井の大断層 大北野ー岩井断層の一部が露呈 中央構造線の一部
写真右 下仁田構造線

2009年11月24日火曜日

民主党よ 何故マニフェストにこだわるのか


メデイアの最近の世論調査では、「マニフェストにこだわるべきでない」と鷹揚な考えの人が70%を越えている。

 ムダを排除し、マニフェスト実現に向けての財源確保のための「事業仕分け」の公開作業は、下落する鳩山内閣支持率をかろうじて60%台に維持する大きな効果があった。仕掛け人の資格、作業仕分けの事業の選定、仕分けのやり方、この結果をどう活かすか。野党の自民党から詰問されれば、マニュアルがないのだから、回答の根拠は薄弱だ。

 我が国の経済状況は厳しい。先進国でも一番の厳しさだ。為替が110円になれば経済状況は大きく好転と言うが、米国のドル安容認もあって円高傾向は続くだろう。オバマ大統領の東京演説にもあったように、米国だって輸出で儲けなければならないのだ。米国市場に期待するなと言う。

 リーマン・ショック以来、経済構造は変わってきたのだ。人件費を抑制した経営、価格競争は雇用や企業収益の悪化に繋がる。政府はやっとデフレ宣言する事になった。

 実際に、税収は40兆円を切ろうとしている。一方、あれもこれもで予算は95兆円という過去最大のふくらみである。行政刷新会議の仙谷さんは、3兆円の削減を目指しているが、今回の事業仕分け作業で見通しがあるのかというと、それも不確実だ。

 朝日新聞(2009.11.23)によると、「マニフェスト見直しに着手したのか」との質問に菅副総理は「見直していない。約束は守る。高速道無料化、戸別所得保障制度は第一段階としてどこまでやるか」検討しているという。7.1兆円についても「見極めようとしている」のだ。

 苦しい胸の内がよく分かる。

 何故、マニフェストに拘るのか。

 小泉内閣の時、菅さんが予算委員会で「公約に反している」と詰問した時、小泉さんは「この程度の公約が守れなくたって問題ない。もっと大事なことがある」と切り返したことがある。

 恐らく党首討論、通常国会での自民党の「マニフェスト違反」の追求を交わしたいのだろう。自民党は転落しても自民党だ。追求に手をこまねいているだろう。民主党の予算削減ムードは景気対策に逆行すると見られるだろう。

 民主党の置かれている立場は厳しい。

 民主党政権が支持されているのは、首相が鳩山さんだからではなく、朝日新聞の世論調査では「政策」であり、毎日新聞の世論調査では「政治のあり方が変わりそうだから」だ。

 何かが変わらなければ、一気の信を失ってしまう。

 子ども手当、農家の戸別補償など、控除から手当へと税制が大きく変わって来るだろう。しかし実際に家計で損得がはっきりしてくると、民主党政権への不満のうねりが出てくるだろう。「マニフェスト通り」と言ってみても、通用しない。

 情報公開と説明責任が強く求められる政局になる。

2009年11月23日月曜日

理想的政治家でない小沢さんが追求する理想的政治




小沢さんと言えば、剛腕で最も自民党的で、「民主主義」とよく言うが、今の小沢民主党をみると、とてもではないが理想的な政治家とは言えない政治屋だ。しかし、その小沢さんが追求する理想的政治には、賛同すべき点があるのは皮肉なことだ。

 国会は多くの議案を審議しなければならない。しかし、いつも言われることは、国会の会期末を基準に法案審議の日程をさかのぼっていくと、何時までに委員会で議決し、衆院を通さなければならないという。日程がタイトになってくると強行採決になる。野党は、民主主義を否定するモノだと批判すれば、与党は委員会での審議に応じない野党の責任だと主張し合う。

 小沢さんは、これを改善し法案の審議を円滑にするために、「会期制や常任委員会の定例日を見直す」と言う。良いことではないか。しっかり審議してもらって、与野党問わず法案の内容を見直し、「より国民のため」の内容にして欲しいモノだ。

 国会の事務局を強化し、「野党の政策立案のための情報を与える」体制にすることを提案している。長い野党生活で身に染みた情報が入ってこない事への危惧、マニフェストなどを造るに当たって、より正確な行政の情報を得たいこともあるだろう。大幅な人員増に繋がって欲しくないが大切なことだと思う。

 「企業や、団体の政治献金廃止」も国民の政治に対する信を取り戻すためには、是非やって欲しい改革である。鳩山総理、小沢さんの政治資金に関わる疑惑は、政治不信を増大させるばかりだ。しかし、これで小沢さんの政治資金への疑惑を帳消にしたり、鳩山さんや小沢さんの「禊ぎ」が出来るわけではない。更に税金からの政党助成金を増やすようなこともやってもいけない。

 よい改革もあるが、一方で憲法の精神からしても疑問のある改革案もある。

 政策の立案は内閣に一元化しているのだからという理由で「議員立法を原則禁止」することは、どう見てもおかしい。確かに171回国会の議案提案状況を見ても、衆議院提案97件、成立17件で成立率17%、参議院は提案41件、成立1件で成立率2.4%、一方で内閣提案は91件で、成立71件、成立率78%で、圧倒的に内閣が提案する議案の方が高い成立率だ。これだけ見れば、議員立法を禁止しても、大して問題はなさそうだ。

 しかし、国会は国権の最高機関で唯一立法権がある(内閣は憲法に規定はないが、内閣法で認められている)。内閣の提出する議案は、社会の必要性、官の事業、外交など多義にわたり国民生活に必要な政策を提案しているが、今その是非が問われているように、我々の代表による十分なチェックが為されず、官僚の利権の温床になる要因でもある。

 議案が十分に審議されず、おまけに一括提案での採決となると、あの議案はよいが、この議案はダメだと言う場合の対応が不十分だ。

 国会議員の権利として、国民の要望に応えるべく個々の議員、あるいはグループによる議案提出の権利を棚上げすべきではない。

 「官僚の国会答弁禁止」はどうだろうか。小泉内閣の時の女性法務大臣のことを思い出す。専門用語も理解できず、答弁も儘ならず、「仕方ないと呆れかえった」大臣がいた。薬剤師会が推す議員で政治献金に応えた登用だった。決してあってはならないことだ。

 大臣はその政務に長けていて欲しいと思うが、省の政策の細かなところまで把握できるのだろうか。また、そんな人材が国会議員の中にいるのか。今までの予算委員会などの審議を見ていると、詳細は官僚の答弁に頼っていた。メデイアもそこのところをニュースとして取り上げていた。

 耳打ちされながらの答弁を続けるのか、政治主導といいながら自分の考えを述べて混乱を起こすのか。「野党の民主党議員はよく勉強して質問していたが、大臣は官僚に頼るしかなかった。政権交代の兆しは見えていた」と述懐したのは、与党時代予算委員長をした自民党の逢沢さんだ。民主党政権の閣僚に期待したい。

 そして小沢さんは、事あるごとに「日本の民主主義のため」と言う。最近の議席数に物を言わせた自民党まがいの強行採決を、「おかしいんじゃない」と止めた感覚は認めるが、今の民主党の小沢さんの立場を考えると、とてもではないがそうとは思えない。

 小沢さんは「政治は闘争だ。選挙に勝つことだ」と記者会見で言ったと記憶している。確かに選挙に勝って、「数は力」で政治を突き進める事は分からないでもないが、新人議員や比例区で勝ち残った議員を国会活動より地元での選挙活動を優先させるなんて、とんでもないことだ。

 国会議員は国民全体の代表者であって地元の代表者や一部の人の為の代表者ではない。国会でしっかり活動をやって欲しい。中央で政党ががんばれば選挙区でも政党が認められ、候補者も票を得ることが出来る(候補者自らの人気も必要だろうが)。

 政権交代が容易になる小選挙区制、政治家は金集めに窮せず、存分に活動できるようにしようとした政党助成金、国会内で党首が政策を論じ合う党首討論の導入など小沢さんの功績であると言うが、どうなんだろう。

 小選挙区制では、選挙区で落選した候補者が比例区で復活したり、政党の獲得票数の割合以上の議席を確保する結果になり、健全な2大政党の育成にはなっていないし、少数政党は埋没を避けて連立に走る。その結果マニフェストもギクシャクするモノになっているのが今の民主党政権だ。

 政党助成金も300億円を超える金額が税金から持って行かれ、党の活動資金の確か7割位を占めるらしい。しかし、鳩山さんや小沢さんのように政治資金に関わる疑惑、怪しい話に口利きする行為など後を絶たない。どうしてそんなに資金が必要なのか。

 党首討論はどうだろう。小沢さんが代表の時の党首討論では、さすがに小沢さんに軍配が上がった。小沢さんは良いことを言うのだが、自民党政権は政策に活かす事はなかった。主張が平行線では何をやっているのか分からない。鳩山さんになってから1回もやっていない。鳩山さんの政治資金問題を突かれるのを避けるためだと言うんであれば代表、総理の資格はない。

 小沢さんの改革に対する功績は認められる面もあるが、小沢さんに頼る危うさもある。

 イギリスの政治を参考にしているようだが、政治の歴史が違う。そのまま持ってきてもうまく行くはずがない。小沢さんがどんな政治を目指しているのかは、過去の出版物から推測するしかないようだが、口べたは別として記者会見などで十分に国民に説明すべきである。

 次の参議院選は、小沢改革の是非を問う選挙になってもよいのではないか。景気対策、雇用対策は必須の政治課題であるが、国会改革も重要課題である。小沢さんばかりに頼らず、国会議員自ら意識改革を!

2009年11月21日土曜日

新型インフルエンザは、どの程度怖いものなのか


新型インフルエンザで、脳症などで亡くなった子供さんの親御さんや持病があってお亡くなりになった方々の関係者にとっては、新型インフルエンザは「怖い」疾病である事は確かだ。一方で、私達は通常の生活で、新型インフルエンザの「怖さ」をどうかんがえればいいのか。

 孫が通っている東京都大田区立の保育園で、今までに新型インフルエンザに罹った園児が4名いるという。保育園では蔓延拡大防止のために、「体温が37.5度以上の時は休園し、保護者も来園しないように」と注意している。

 私の孫も「ゼン息」があり、感染した場合、重篤化する恐れもあり注意していた。すこし、「ゼーゼー」言うと小児科でアレルギーを抑える薬を飲ませた。

 そこに、娘から上の孫が37度台の熱がありインフルエンザかも知れない。休園し、医者に連れて行くという。娘夫婦は共稼ぎだ。どうするんだと聞くと、2人で半休をとって面倒見る予定だ。

 午後になって、「新型インフルエンザだった」と電話があった。新型インフルエンザは精密な検査が必要で、簡単に判定することは出来ないはずで、「本当に、新型インフルエンザなのか」と聞くと、「季節型インフルエンザA型も今は、新型インフルエンザなんだよ」という。

 新型インフルエンザの簡易キッドがないために、季節型インフルエンザA型も新型インフルエンザに含めているらしい。ごっちゃにしているのだ。

 季節型インフルエンザA型は、昨年も経験し、普通の風邪だろうと思っていても念のために検査したらA型だった。リレンザを吸引し、熱も上がらず4日ぐらい休み、通園を開始した。下の孫は直ぐではなく半月ほどして罹った。でも新型インフルエンザではどうなるか未経験だ。

 新聞報道などを見ると、似ている点もあるし、異なっている点もある。

 違う点は、まずワクチンが違う。別々に接種しなければならない。新型は肺で増殖しやすいが、季節型はほとんど報告されていない。感染者は新型は10代以下に多いが、季節型の死亡は高齢者がおおい。

 似ている点としては、新型インフルエンザも人、鳥、豚などに感染して大流行になることがあるA型だ。季節型は例年高齢者を中心に10,000人がなくなっており、子供の脳症も報告されている。新型でも欧州疾病センターによると、11月3日現在で約6200人が亡くなっている。

 共に弱毒性ではあるが、免疫部分で共通点もあるらしい。ある種のT細胞が反応する抗原決定基の69%が同じだという(朝日新聞2009.11.17)。これにより、多くの人が何か免疫反応を持っている可能性もあるし、1回のワクチン接種でOKかも知れないのだ。

  新型インフルエンザで多くの知見が蓄積された時点で、メデイアも私達も落ち着くだろう。それまではごっちゃに考えてはいけないのだ。

 今日も、ワクチン接種で思い副作用6人(朝日新聞2009.11.21)とメデイアは、毎日新型インフルエンザの「怖さ」を報じるが、必要以上に心配することがあってはならない。

 人口10万人当たりの死亡者数(人)でみると、ガン 261.0、心臓病 137.1、脳卒中 101.7,肺炎 85、新型インフルエンザ 39.1,自殺 23.7、交通事故 7.2で、リスクが許容できるレベルかどうか判断し防衛しなければならないと指摘する(読売新聞)2009.6.28)。

 医者は平熱になって2日で保育園へ行っても良いと言うが、保育園は1週間は休ませろと言う。症状が出たときはもう感染力はないのだが・・。

 寺田寅彦は、そのエッセイ「小爆発二件」で、「正しく恐れることはむずかしい」と言っている。寺田寅彦は、昭和10年8月4日の浅間山爆発に遭遇した。丁度東京に帰ろうと駅で待っていたら、下山したばかりの学生は「何でもないですよ、大丈夫です」と言い、これから登山しようとする平気な4人連れ、駅員は「そうではない、そうではない」という場面に出くわしての考えだ。

 「正しく恐れること」が出来るようになるのは何時のことか。

 娘に、「呼吸が苦しくなったり、けいれんを起こしそうになったら、酸素を吸引すれば重篤化は避けられるそうだ」と電話してしまった。
 写真:インフルエンザ発生状況 2009.11.20 NHK特報首都圏「気になるワクチンいつ打てる」より

2009年11月20日金曜日

現在の経済社会が、今後恒常化するのでは


企業の経営環境は、改善されて来たと言うが、相変わらず雇用は厳しい。政府は緊急雇用対策本部を設置し、就職未定者の支援、企業に雇用拡大の促進を訴えているが、企業だって生き残りをかけている。

 企業に収益の改善が見えているとは言えリストラ効果だ。企業は経営に占める固定費の軽減に人件費を抑制した経営を余儀なくされているが、雇用調整助成金で企業内失業者を抱えたままだ。企業の価格競争も日増しに激しくなっている。これは更に雇用悪化の要因になる。

 昨年のリーマン・ショックで今までの経済社会は構造的に変わり、現在の困窮した状況が今後恒常化し、それが当たり前の社会になるのではなかろうか。

 我が国は、古くから景気後退の度に、内需拡大の必要性が叫ばれてきたが、その度に海外市場の回復で、輸出に甘んじる経済にどっぷり浸かってきた。しかし、今回の金融危機の教訓から米国は新戦略に転じた。

 先のオバマ大統領東京演説で、貯蓄を殖やす、支出を減らす、金融システムの改善、財政赤字/負債の削減だ。今までのように米国民の借金に頼る消費に依存することは出来なくなった。却って日本と米国はあらゆる面で競合することになる。

 我が国も本気で、内需依存の経済構造に変革していかなければならないが、これが難しい。

 新たな期待分野に、介護、福祉、環境事業が上がっている。

 この介護・福祉分野は高齢者化が進むと、絶対に必要であるが、私達の払う保険で運用されている。利益を出せる分野では決してない。私の住んでいる街にも多数の施設が存在するが、送迎バスは高齢者、夜間勤務は介護士が勿論いるが、管理責任は定年退職者に任されたり、家族経営の超零細施設も存在する。

 職員の給料も安いようだ。酒井法子さんが更生のために介護士の資格を取り、介護をやりたいと言ったとき、専門家は15~16万円の安い給料で、反対に勤務は厳しい職業だとコメントしていた。若者がこの程度の給料で絶えられるのか。製造業が立ち直ればそちらに逃げていくとも言う。必要性は認められるが、生活するには不安定な職場なのだ。

 環境分野では、太陽光発電、風力発電、エコシステムなどが上がっているが、これだって補助金で持っているようなモノだ。投資額は200万円を超える設備であるが、100万円位の補助金がつくから、初期投資は低くなり、更に発電量全量が電力会社の買い上げにな
るから10年経たずにペイするというのだ。しかし、どう見ても需要の先取りの感がする。
その気になって増設すると痛い目にあう。
 労働市場も需要と供給の関係がある。職を求める者が多くなれば、賃金は下がる。

  低所得化が進んでいるのだ。正規雇用者でもこれまでの35歳とは異なる状況にあるという(NHKスペシャル“35”歳を救え)。低所得、社会不安は結婚も出来ず、人的資源の使い捨て、労働力の再生産も出来なくなる。
 
景気拡大を狙った急場を凌ぐエコカー補助金、エコポイント制度も即効性に疑問があるし、需要の先取りの心配もあり、補助金、制度を止めると売れ行きが極端に落ち込む事は、先にも例があり、当然危惧されることである。

 デフレ・スパイラルもやっかいな問題だ。低価格競争が後を絶たない。安売りは人件費を抑えるためにアルバイトを多用する。小売りNO1のユニクロの銀座店に行ったとき、増設するというので、スタッフを募集していた。全員がアルバイトで時給1300円ぐらいだったと思う。従業員の生活を保証できるNO1ではないのだ。

政治に期待するのも大変だ。

民主党に変われば、経済政策もかわり、景気も回復することに期待した向きもあるだろう。税収が40兆円を下回るようでは、新しい景気刺激策も期待薄である。CO2 25%削減は、家計に15~76万円の負担増になると言う報告もある。どうしようもなく消費税増税となると、景気の冷え込みは避けられない。

内需拡大はほとんど無理となると、米国、中国、インド市場に頼るようになるのだろうが、それでは先進国首脳会議で批判の的になる。

あれも欲しい、これも欲しいという世代の消費は萎み、特に欲しいモノはないが、老後が心配だと言う世代が増えていく。

現在の経済社会は、今後も恒常化するだろう。官事業のムダは徹底的に排除し、若者、弱者救済の制度も完備し、社会不安を取り除くことが先決か。
写真は、三菱総合研究所 Thinking TODAY
  正規雇用者でもこれまでの35歳とは異なる状況にあるという 。 低所得化だ。

2009年11月18日水曜日

官の事業は、「国民のため」の事業だが


事業仕分け人の矢継ぎ早の質問に、書類をめくり返して応える官僚、「私にも説明させてください」と訴える公益法人の理事長。さながら公開処刑との批判も当たっているように見えるが、私達に国家予算の仕組み、官の事業の実体を見せてくれた効果は大きい。

 何かにつけ発言がブレたり、閣内不一致の目立つ鳩山総理率いる政権の下落する支持率が60%台を保ったのも、この事業仕分け作業が斬新に見えた結果だろう。この作業を「オレたちもやっていれば」と歯ぎしりしている自民党議員も多いはずだ。

 民主党政権にとって、初めての目玉政策とはいえ、「比較的うまく行っているのでは」と思って見ていたが、やっぱり財務省の手のひら上で踊っていたことになる。何故最初に財務省の担当者が、見所を説明するのかと思ったら、財務省の力を借りなければ出来ない仕分けであり、財務省の考えが大いに反映されているのだ。

 仕分けされた事業の内容も詳細にシートに書き込まれているようだが,メデイアが報道する仕分け人の質問を聞いていると、「目的は」とか「効果は」、「何故、国が」が目立つように思う。

 官の事業は、税金を使った「国民のため」の事業だ。PLAN(計画)→DO(実施)→CHECK(評価)→ACTION(見直し)のプロセスをしっかり踏むことだ。

 官だって計画を立てる場合は、どんな社会現象に対応するのか、放置すれば将来悪影響が出るかも知れないことに対応しようとしているはずだ。しかし、そこに縄張り、陣容(天下り先の確保など)、金が絡んでくると、邪な考えが出てくる事に問題がある。

 実施に当たっては、建物、装備、陣容、提供できるサービスの内容など、しっかりした検討が必要であると同時に、大切なことは、数値目標も含め目標を明確にし、どういう状態になったら目標を逸れているのか、どういう状況になったら撤退するのかも決めておくことだ。目標から逸れていることが分かれば修正するための政策が必要になる。

 そのためにも、定期的なCHECKが必要になる。これがうまく行っていないのだ。その理由に村意識、拙いことには蓋をする。先輩達のやってきたことを変更しないという役人根性がある。これを守らないと役人人生が破滅するのだ。

 一度大きな事業を決めると、後はその事業を維持するための予算取りに明け暮れていればいいという考えもある。特別会計には、予算取りはするが、決算が公になっていない事業がほとんどだという。税金は他人の金という意識がうすい。右肩あがりの税収であれば問題なかったろうが、税収が支出を大幅に下回る事態には適応出来ない。財務相だった塩川さんが「母家ではお粥を啜っているのに、離れではすき焼きを食っている」を例えたとおりだ。彼らは、赤字国債を発行しても何とも思わないのだ。

 官は莫大な量の情報を握っているテクノクラートだ。事業計画に予測(予想)値を掲げるときがあるが、それも都合のよいように使われているとおり、ウソが多いのだ。自分たちの利権のために正確な予想を曲げている。予想は裏返せば、「ウソヨ」と言うことになる。

 情報公開など期待すること自体がおかしい。 閉鎖社会の官は、事なかれ主義、役人論理、ウソがまかり通る社会なのだ。鳩山政権での官邸機密費の公開が袖にされたのは、何ら珍しい事ではない。公開すると拙いのだ。その拙いのは何かを知りたいのだから約束など守れるはずがない。

 官の事業は「国民のために」、国民の税金を使って実施する事業なのだ。PDCAのサイクルをしっかり廻し、国民に批判されない事業に取り組むべきだ。そして、今継続して進んでいる事業も、PDCAサイクルで見直し、国民を裏切る結果が出ていれば、思い切って撤退すべきである。

 ムダはそり落とし、予算は圧縮して「湖0区民のため」の事業を実施する人材を評価すべきである。

 次に再開される「事業仕分け」は、財務省関連の事業がある。是非行って傍聴したい。

2009年11月15日日曜日

オバマ大統領演説を読んでみて


今回の初来日(実際は2度目)にあたり、これ程多くの人に「ありがとう」を言い、大きな拍手と時々の笑いを誘う、米国の大統領の存在の大きさを感じた。
 日米同盟の重要性/絆の強さを強調するために、オバマ大統領が最初にホワイトハウスで会った指導者が日本の麻生さんであることも付け加え配慮してくれたが、これは屈辱外交であったことを私達はまだ覚えている。
 当時、下落する人気を回復したくて、オバマさんが大統領就任直後に、無理矢理に日帰り訪米を強行し、共同記者会見もない異例の訪米で、メデイアはこぞって疑問を呈した。

 何と言っても日米同盟は、日本の戦後政治の基軸であることは確かだ。何があっても米国大統領と良好な関係が築けることが、政権維持の基本であった。

 その日米同盟が、50周年を迎えようとしているのだ。あの時は、安保反対で学生、労組のスクラムが国会を取り囲み、フィリッピンで待機していたアイゼンハワー大統領の訪日を阻止した。

 その後、事あるごとに米国追随の外交は、自民党政権下で、それなりの成果を収めると共に、批判にも満ちていた。イラク、アフガニスタン、パキスタン、ソマリア沖海賊対策では日本が世界の舞台で大きな役割を演じていると評価している。しかし、国内では憲法9条の精神から考えると、国際貢献への大きな足かせになっているし、解釈は変容する流れにもなっている。

 それでもオバマ大統領は、日米同盟は共通の価値観を保っているから持続している。そして自らの手で指導者を選び、夢を実現する民主的権利を信じているから、「CHANGE」、「政権交代」を訴えて2人は指導者に選出されたという。

 だからこの重大な時に、同盟を再確認するだけでなく、「深化させる」という。

 最初ニュースを聞いたとき、「進化させる」と思ったが、実際は「深化させる」だった。原文でどんな英単語が使われているか知らないが、辞書を引くと、「深化」は「深まること」。「進化」は「だんだん高い、優れた状態に発展する」とある。メデイアは皆「深化」だ。

 しかし、鳩山さんが言うような、「対等な関係」を追求するのであれば、「進化」が良いと思うが・・。

 その深化させるのであれば、沖縄の米軍再編問題は、自民党政権時の合意を遵守すべきだろうが、進化であれば新たな方策の模索も可能性がある。どうやらオバマ大統領と鳩山さんの合意点には、大きな相違点もありそうだ。

 基地問題は、最重要課題のひとつでもあるが、米国は本当に日本の安全保障を担ってくれるかという疑念を持つ専門家もいるが、今回は「米軍が世界で二つの戦争に携わっている間も、米国の日本やアジアの安全保障への責任はゆるがない」と強調しているのは、米軍再編問題と絡んでいるのだろう。

 アジア、太平洋地域にあっては中国の存在は脅威だ。GDPは日本を抜いて世界第2位、米国債保有も日本を抜いてトップになった。米国が中国の意思を尊重しなくてはならない立場になった。「米国が中国の台頭をどう見るか」という問に、ゼロ・サムゲームに罹る必然性はないと言う。他国の成長を恐れず、協力できる範囲を開拓することが、アジア太平洋の発展に繋がると言い切る。

 中国は高い成長力の為に世界中から資源・エネルギーをかき集めている。国内では民族問題、人権問題と対中問題で米国が立ち往生する場面も出るだろう。鳩山さんも、中国を重視しているが、友愛精神など通用する相手ではない。

 経済面では、経済回復と持続可能な成長を追求するという。最悪の経済危機から脱却が可能になったと言うが本当だろうか。両国共に高い失業率を抱え、テレビでは「仕事が欲しい」という画面が映し出される。

 今回の景気後退から得た教訓として、米国の消費者、アジアの輸出に頼ることの限界だ。米国人の借金生活、失業、輸出の下降が景気を後退させた。そこで、米国は貯蓄を殖やす、支出を減らす、金融システムの改革、財政赤字・負債の削減など「新戦略」を追求するというのだ。

 米国は、モノを世界中に売り、輸出し、数百万人の雇用を作り出す戦略に打って出るのだ。この雇用で風力タービン、太陽光パネルから、日常生活で使う技術製品までが製造される。そのためには、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉で野心的な合意を達成し、世界中の市場を開放し、輸出を増やすという。日本も力を入れている分野だ。軋轢が生じるだろう。

 気候変動対策では、未来の世代にとって、持続可能な成長力のために必要で、COP15でも容易ではないが責任を果たしていくという。これまでになく多くの対策を講じたと主張しているが、確かにブッシュ政権と比べると大きな変化だ。
 「主要排出国は、明確な削減目標を持たなければならない」発展途上国も、資金や技術面での支援を受けながら、効果的な対策を講じる必要性を訴えているが、現状は各国に理由があり、数値目標が打ち出せないのだ。

 オバマ大統領は「よい知らせは、適正なルールを設け、動機付けを行なうことが出来れば、創造力を発揮でき、新たな雇用、新たな産業へとつながる」とも言う。日本は、早々と25%削減を提案し、この分野で先端にいると評価されている。

 しかし、省エネが進んだ我が国では、限界削減費用から考えると、とてつもない価格になり、諸外国と太刀打ちできなくなると懸念する声が多い。

 アジア・太平洋の反映と安全は21世紀の最大の課題であることは理解できる。オバマさんは太平洋地域で生まれ、初めて大統領になったことを訴えることにより、パートナーとして行動し、大いに指導力を発揮したいのだろう。

2009年11月13日金曜日

自民党よ このままでは”おいてきぼり”だ


事業仕分け作業も3日目にはいると、民主党閣僚内にも異論が出るように、いろんな意見が出てくる。「地方交付金はマニフェストに則ったモノだ」「事業仕分け基準をはっきりさせるべきだ」から、思いやり予算について防衛大臣は「相手もあることだし、今防衛省で水面下で交渉している。任せて欲しい」という。この大臣は業務仕分けの目的が分かっているのか疑問に思う。防衛省に任せているとろくな事がないから、国民の目線でチェックしているのではないか。

 連立与党内でも、不協和音が聞こえる。「仕分け人の資格は」「誰が認めたのか、その根拠は」「外人をいれるのはけしからん」「やり玉に挙げる事業の基準が分からない」とか、「自分の党からも参加させろ」など注目度が上がるたびにやっかみとも聞こえる。

 確かに、急いだ余り、よく議論しコンセンサスを得ていなかった点もいなめないが、それを差し引いても、その効果は大きいと期待する。

 しかし、之も自民党政権時の政権の見直しであって、「廃止」「見直し」を決定していればよいが、来年度予算編成では、本当の民主党の力量が問われることになる。そこのところの決意は出来ているのか。

 それにしても、自民党は何をしているのか

 テレビ画面では麻生さんが「右から左にパッパパッパと移せるものではない」とか、伊吹さんは「何やら公開処刑のようだ」と批判して見せたが、大手全国紙は自民党に関し、どんな記事を載せているのか。

 自民党首脳である石破さんは、毎日フォーラム・・「日本の選択」で「スピーデイーだが、乱暴だ」と事業仕分けを批判した(毎日新聞2009.11.13)。しかし、一緒だった仙谷さんのコメントに比べて、余りにも少なすぎる。政権の中枢にいる人と比べて扱いがこんなに違うのか。

 政権時は権勢を誇った自民党の政務調査会も87から道路調査会も含め減らして19にするという(毎日新聞2009.11.13)。国政への影響が大幅に縮小するのは目に見えたことである。小沢さんが提案しているように、行政への請願を一元化することになれば、自民党は息の根も止められる運命にある。

 自民党派閥の影も薄く離脱が続出して、無派閥が自民党衆院で最大勢力になったと言う(読売新聞 2009.11.13)。以前は権力機関であったが、今は情報を取りに来る議員サロンになったという。選挙資金や選挙指南などから派閥の役割が大きく変わってきたようだ。

 民主党鳩山内閣を直接批判としては、谷垣さんが「鳩山政権は偽物」と言ったことだ(読売新聞 2009.11.13)。鳩山政権はH.FAKE(詐欺師)だという。Fは普天間基地問題、Aは天下り、Kは献金疑惑、Eは経済問題。「変転、はぐらかし、H(開き直り)していると言うのだ。

 驚いたことに、朝日新聞は、同日の朝刊では自民党関連記事が見あたらなかった。

 自民党は一体どうなっているのか

 自民党政権時、やってきた政策、官僚に任せてきた政策にどうして弁解できないのか。官僚主導から政治主導への過程の中で、間違っていたことを黙認するのか。

 今まで、自民党政権が重要な課題を発表するたびに、野党である民主党は幹事長が反論のコメントを出していた。今の野党・自民党に反対のコメントを出す力も無くなってきたのか。

 今実施されている事業仕分け作業が終わり、結果が報告された時点で、自民党は自分たちのやってきた政策にキチンと弁明できるのか。

 自民党の政策が「負の遺産」としてレッテルを張られようとしている今、自民党に関するニュースは、後ろ向きなニュースが多い。

 これでは、大きく変わろうとしている政治から“置いてきぼり”を食わされかねない。国民に向け、しっかりしたメッセージを流さないと、本当に埋没してしまう。
 谷垣さんが、健全な民主主義を守ると言うのであれば、国民にメッセージを流せ

2009年11月12日木曜日

「事業仕分け」を尻目に、鳩山政権が細川政権の二の舞の危険


鳩山民主党政権の目玉政策の一つである「事業仕分け」が国民の衆目の前で始まった。矢継ぎ早に飛び交う質問に、官僚が答えに戸惑う場面も出てくる画像で廃止や見直しの決定を見ると、悪徳官僚に必殺仕分け人が挑む構図は何やら時代劇じみたパフォーマンスに似てくる。

 しかし、「やっぱり」という官僚への疑念が湧いてくる。長野県をドライブしていると、両側を畑で囲まれた農免道路がある。最初は信号も少なく農作業に使われているのだろうと思ったが、時間が経つに従って信号も増え、アクセス道路も整備され、道路の両側はレストランや商業施設が埋まって来て、バイパスの様相を呈してきた例がある。

 仕分け人が「農道と普通道の境目がなくなってきた」と質問すると農水省の官僚は「普通の一般道の基準でやっていると、後回しになる」と必要性を訴えていたが、「農水省の予算づくりのため」との指摘は、かなり以前から指摘されていたことである。

 こんな事がなければ、改善はされないだろう。いろいろ批判はあるけれど、「事業仕分け」はあらゆる面で大きな効果がある。

 数十億円を「額は微微たるもの」と言ったり、「地方の現場にかこつけての外郭団体への支出」は税金を誰のモノと思っているのか。官僚の悪い体質がそのまま現れている。ムダあぶり出しの成果は別として、国民の声をしっかり官僚に教え込むことだ。

 ところが、その一方で、鳩山政権に暗雲が立ちこめたのではないかと危惧する。

 一つは、幹事長の小沢さんと官邸とのコミュニケーションがうまく行っていないことだ。

 二つ目は、亀井さんの存在だ。閣僚の一人でありながら、事業仕分けをパフォーマンスと批判したり、民主党の公約である「脱官僚」に反する人事を強行し、それ以降の人事に公約とのズレが目立ち、内閣支持率も下落した。

 この官邸と2人とのコミュニケーションの欠如は、「脱官僚」に抵抗する霞ヶ関・官僚にとっては、政権中枢につけ込むチャンスであり公約に反する政策を打ち出せば、鳩山政権は瓦解に向かう。

 あの16年前の細川政権の二の舞になる可能性が大きいことだ。官僚に隙を与えてはならないのだ。当時官僚は言うことを聞かない官邸を避け、小沢さんが権力を握る党にすり寄っていき、環境福祉税なる政策を発表させ、細川政権は表舞台から去っていった。

 このことは「又そうなるのでは?」と皆心配していることだ。小沢さんが幹事長の可能性が出てきたとき、識者の指摘に小沢側近と言われている人は「小沢はあの時の失敗から多くのことを学んだ。2度と同じ失敗は市内から心配ない」とか「小沢は大人になった」とその心配を払拭する発言を繰り返していたが、何の事はない。逆に益々権力者に成り上がり官邸と一線を引いている。

 鳩山政権の瓦解も「官邸と党の二重権力構造」と「鳩山、小沢両氏の政治資金問題」のどちらが先か分からないが、可能性は十分にある。

 でも今回の事業仕分けを、「右から左へパッパパッパと出来るモノではない」とか「何やら公開処刑のようだ」と総理経験者や派閥の領袖が言うような自民党では、政権復帰への芽はないと思うが・・。

2009年11月11日水曜日

どうした自民党 堂々たる野党で闘え




 なかなか自民党に今置かれている立場が理解できないらしい。自信亡失の状態で、何をしたらよいのか定まらないようだ。

 この急場を凌ぐに谷垣さんしか思い当たらない。若手の登用が大事と思っても、人事となると経験を重要視し、急激な若返りを嫌って無難な人事になる。「幹事長は誰」と聞かれても直ぐに名前が浮かんでこない(少し考えて大島さんだと言うことになる)。

 臨時国会の予算委員会での自民党の質問も何やら迫力に欠けていた。今の鳩山政権は、自民党政権の180度方向転換した政策になっているのだから、自民党は政権を担っていた時の政策で何故反撃できないのか。自民党政権での政策と民主党政権での政策の違いを国民に何故明らかに出来なかったのか。

 国民が民主党マニフェストを選んだと言うことで、自民党は政策立案の自信を喪失したのか。それとも自民党の質問者は自民党政策に精通していなかったのか。真剣な政策論争にかけていた。

 それも仕方ないことかも知れない。今の自民党にとっては、どうやってこの敗北から這い上がるかが問題なのだが、それが非常に難題なのだ。政権から引きづり降ろされた衝撃は余りにも大きかった。

 「みんなでやろうぜ!」をスローガンに、総裁の座に就いた谷垣さんは、「再生こそ 私の使命」と、党の信頼回復に全身全霊を傾けると主張、思い切った党改革の断行と国民との対話を進め、国民の期待に応えられる政党に生まれ変わる決意を新たにしている。

 その国民との対話には「歩く。聞く。応える。」が大切で、日本各地を歩き、地域の声に真摯に耳を傾けるために、大阪を皮切りに全国行脚を始めた。

 「政治は国民のもの」という立党の原点に立ち返り、国民との対話から党再生のヒントを掴もうとしているのだ。

 大阪での行脚では、先の総選挙の敗因を「地域に根を生やした方々とのパイプが細くなった」ことを上げている。公共事業の見直し、郵政民営化などの構造改革推進で、自民党の旧来の支持基盤が脆弱になってきたことは既に指摘されていた。

 自民党再生に向けて、先の大惨敗の総選挙の総括をまずすべきなのが筋道ではあるが、今の自民党にはこの総括が出来ないのだ。これが出来ないから次ぎの展望が開けてこない。その出来ない理由に構造改革推進の是非を議論する勇気がないことだ。

 「新しい人材の育成が急務だ」という指摘に対して、谷垣さんは「党内に教育機能がなくなったとは思わないが、若手を発掘し、政治的関心を持ってもらう機能を充実する必要がある」という。自民党はどうしても、世襲制、血縁で後継者を育てがちであった。そのために官僚で議員を志す者は、民主党へとなびいた。

 これから与野党に関係なく積極的に進めて欲しい課題に、「教育問題」がある。本来親がやらなければならないことを、学校に押しつけている。家庭での教育力が相当落ちているのだ。大平さんが以前「家庭基盤の充実」を主張したことがあったが、こういう教育に力を入れる、正常に戻す事が、自民党再生の一つの鍵としている。

 そして、政策の方向性について、自民党は各種団体と突込んだ議論をし、出来る限り自民党としての考え方、対策を出していくという。

  「このどん底状態」でも、自民党を支えている人達はどう考えているのか、「今回だけはゴメン」と離れていった人達もどう思っているのか。今、言えることは、国民の願いは「雇用の確保、景気回復、地域の活性化」だろう。兎に角「仕事は欲しい」に尽きるのではないか。

 自民党が次ぎにどんな政策を打ち出してくるか。公平感のある生活支援、景気回復策を期待したいのだが・・。


 一方、民主党に対しては、攻撃の材料に事欠かない。

あれほど国民が期待した民主党政権も、理想論のマニフェストに対して、現実論では行き詰まっている。機関誌「自由民主」2393号では「マニフェスト変更」、「普天間基地問題の迷走」、「インド洋補給問題の先送り」、「補正予算の方針の大揺れ」を指摘し、民主党政権に対する不安を浮き彫りにしている。

 小沢さんの国会改革も急進的だ。議員立法禁止や本会議での代表質問をしない方針は、民主主義を弱めるものだと反対し、体を張ってでも民主主義を守ると決意を新たにした。
小沢さんお暴走を止めるには、野党である自民党がしっかりした闘いを挑まなければならない。
 政治の信頼を損ねる政治資金規正法違反でも、民主党は鳩山代表、小沢幹事長に新たな疑惑が持ち上がっている。もっと他にやらなければならない事があるとは言え、この2人がいる限り、民主党が政治的信頼を取り戻すのは難しい。細川政権の時のように、自民党の追求の仕方によっては、途中での放り出しの危険もある。

 しかし、崩れた地方組織の再生はかなり難しそうだ。自民党は次ぎの選挙の公認内定にもなる小選挙区支部長の就任基準を決めたが、相変わらず古い名前が挙がっている。世代交代もなかなか進みそうにない。谷垣さんを総裁に担いだのだから当然の結果だろうが・・。

自民党本部に機関誌「自由民主」を貰いに行った(実際には105円で買った)。職員に「自民党はどうなんですか」と聞くと、「見ての通りです」と苦笑う。本部は尋ねる人も少なく、閑散としている。「依然は賑やかだった」と肩を落とす。

 自民党が再生をかけた、全国行脚での地域の人達の考えをどう吸い上げていくのか。大いに関心をもって見ている。

 そして、野党として堂々と闘って欲しい。

2009年11月9日月曜日

正倉院展:庶民生活とかけ離れた文化に感動できるか




 今、やっている正倉院展に11月7日に行ってきた。年に一回の宝物の曝涼・日干しを利用しての展示で、奈良では風物詩になっているらしい。

 正倉院と言えば、美術や歴史でアジア、ヨーロッパを結んだ古代の交易路(シルクロード)の執着点で、西方の影響を受けた工芸品が多く保管されていると聞いていた。一度は見なければと思っていたが、今まで機会がなかった。

 ところが、正倉院の宝物に、752年の東大寺大仏の開眼供養で使用された調度類や聖武天皇の49日忌に光明皇后が献納した品物も納められ、今回は天皇即位20年を記念して、その中で66点が出展されているという。

 市内は込んでいる。早めに駐車場に車を止めて奈良国立博物館に向かうが、人の波はみなそっちに向かっている。案の定、入場者の列が長い。案内人が白いボックスで入場券を買って列に並べという。「最後尾はここ」のプラッカードが出ている。看板には「60分待ち」の表示だ。

 博物館の軒下部分では、3重に列が折れて入場口までノロノロ進むことになった。やっと入場でき2階の展示場に向かうと、女性の案内人が「立ち止まらず見てください。展示品を順番に関係なく見てください」という。

 かなり前、学生時代に「ミロのヴィーナス」が日本に来て、京都での公開に行ったが、この時も警備員が「立ち止まらないでください。ドンドン進んでください」と声を張り上げていたのを思い出す。

 じっくり落ち着いて鑑賞する習慣にかけている。案内人はドンドン見学者を捌いた方が良いのだろうが、見学者にとっては折角来たのだからじっくり見たいと思うだろう。

 まず展示されている花氈(かせん)が目にとまった。山羊の毛を圧縮したフェルトの敷物だ。今で言う絨毯か。材質を活かし豪華に染め上げている。

 紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)は唐代の琵琶で、背面に花、鳥を画き、ツゲや象牙、シカ角などの素材をはめ込んだ木画技法を採用に豪華な仕上げになっている。国際色豊かな琵琶で、見学者が釘付けになっている。五面現存する四弦琵琶の一つだという。この琵琶で奏でた曲が流れていた。素人目からすると、いろんな素材をはめ込まない方が良いのではないかと思うのだが。
 これらの琵琶を包んだ袋の残骸?(琵琶袋残欠)も展示されている。ここまで来たら普通はポイするだろうが、よく保存されているモノだと感心する。

 当時貴族で盛んに行なわれていた碁盤、桑木木画棊局(くわのきもくがのききょく)はヒノキの板に木目のある桑の薄皮を張り合わせたモノで、これも木画技法を駆使している。
貴族の使うモノは、遊び道具とは言え手が込んでいる。

 光明皇后が、書の名人・王義之が書写した手本をもとに、44歳の時に書いた楽毅論(がっきろん)は、その力強い筆運びは評価が高い。王義之と言えば、高校の時の書道でその作品の一部を手本にしたことがある。意味を先生が説明してくれたので、何のことかは分かったが、この展示ではどんな内容の書かは分からない。意外にこんなモノはその内容は難しくないモノだ。

 伎楽面(ぎがくめん)呉女(ごじょ)は光明皇后の顔を思わせるという。小さな顔だったが、優しさを持っていたように感じた。

 図書、調度品、皿、楽器、遊戯具、佛具など、どの出展物も豪華で、木画技法を駆使した貴重はモノばかりだ。

 しかし、庶民の生活とはかけ離れた文化であり、「すごかったはネ」以外の感想が出てこない。後はグッヅ売り場で、みやげモノ買いだ。ここでも「レジの最後尾はこちら」との表示が出ている。

 ここで、大森貝塚を発掘調査したモースさんの言葉を思い出す。「日本人って、豪族などの遺品は大事に保存するが、庶民の使っていたモノは大事にしない。これでは庶民の生活など理解できない」という。人類学者らしい考えだ。モースさんは、当時の庶民の生活様式をスケッチしたり、庶民が使ったと思われる出土品を沢山集めて、アメリカへ持ち帰ったらしい。

 地方を旅行したときに、博物館、美術館に行くとその地方の豪族や藩主が金に糸目を付けず、かき集めた美術品が多数展示されている。一方で民族館に行くと庶民の生活必需品が展示され、当時の生活が偲ばれる。子供の時、これに似たものがあったことを思いだす。

 自分の身分とはかけ離れた別世界の文化には、国民の共有のモノと言うがスンナリとは入っていけない。専門家や研究者の間での共有物でしかないのか。

 帰りに興福寺の阿修羅展に行ってみたが、2~2.5時間待ちで残念ながら止めた。

2009年11月8日日曜日

いったんダムを造れば、「堆積土砂」という難題が




「万一の時の為の渇水・洪水対策」か「その為だけの必要性はない」か。

「ダムを作れば、下流の河川は魚もいなくなり、環境は代わり「川は死んでしまう」と言われる。しかしもう一つ処理しなければ機能を失ってしまう「堆積土砂」の問題が出てくる。
 
 新聞報道によると、00年の国土交通省の調査で、予想以上の早さで土砂が埋まっている実体が分かってきたという。中規模以上(総貯水量100万トン以上)の782ダムのうち44ダムが既に半分以上埋まっているという。最も多かったのは千頭ダムで97%、上位6位は電力ダムだ。

 堆積土砂は治水、河川環境だけでなく、対策費用は財政的に大きな問題になってきている。

 ダム寿命とされる100年間に貯まる土砂を見込み、それでもダムの機能が影響を受けないような総貯水量の20~40%程度に設計することが57年以降取り入れられた。その設定での45ダムを見ると18ダムが基準を上回っている。群馬の品木ダムは3.2倍だ。この品木ダムは、今問題になっている八ッ場ダム計画の上流にあり、草津温泉から流出する強酸性の温泉水を消石灰を使って中和する施設の下流に設置されている。

 土砂の埋まる速度も当初見込みで2~9倍で、ほとんど浚渫されていない状態らしい。

 56年に完成した佐久間ダムは総貯水量3億2000万トンであるが、34.7%が埋まり堆積量は日本最大らしい。浸食に弱い花崗岩などが山から崩れ流れ込んだのが原因だ。

 私の住んでいる近くでも、土砂が貯まっているが処理費の問題もあり、放置されているダムが2カ所ある。いずれも碓氷川水系だ。

 一つは、1959年完成の中木ダム(妙義湖)だ。妙義山中(?)に位置し、イワヒバリやオシドリの越冬地にもなっている。急峻な妙義山の間を流れる中木川をせき止めて作ったダムだが、土砂が流れ込み中州が出来ている。総貯水量160万m3。土砂堆積容量は25万m3であるが、最近の新聞報道では、すでに57万m3貯まっており堆積量は230%だという。見た目では、ダムの上流部のかなり広い範囲で堆積しているらしい。

 もう一つは霧積ダムだ。JR信越線横川駅から霧積温泉に行く途中にある。洪水調整が目的で、総貯水量250万m3,堆砂容量は40万m3であるが、既に堆積率は112%になったという。この時期はいつも貯水量は少ないのだろうが、最低水位から50cm上の水位だ。これから冬場にかけ雪が積もれば春先に水量は増えるだろうが、最近は降雪も少ない。十数年前から見ているが手前に堆積した土砂が水に隠れることはない。

 この堆積土砂の浚渫も簡単ではない。浚渫するのにトン当たり3万円かかると言われているが、棄てる場所も問題だ。堆積土砂は廃棄物であり汚泥に該当する。棄てる場所も最終処分場でなければ行けない。そうなるとトン当たり更に数万円かかる。

下部はヘドロにもなっている。落ち葉や枯れ木が自然界にある物質を吸着、ヘドロになり堆積すると濃縮された結果、高濃度のヒ素や重金属が蓄積している可能性もあり、それなりの処理が必要になると指摘する専門家もいる。

 一旦ダムを作れば、下流は河原砂漠、魚類の生息は大きく変わり、海岸線は後退し、消波ブロックが目立つ光景は当たり前のようになっている。作らなくて良いモノは作らない方が良いが、造ってしまったら今度は堆積土砂の処理という難題が待っている。

自然の成り立ちを破壊することは、あらゆる面で不都合が出てきている。

2009年11月5日木曜日

このままでは鳩山政権は、自民党の亜流政権だ


政権交代の目玉は「根本から見直す」のではなかったか。しかし、目前で繰り広げられる「政治姿勢」は自民党の亜流政権としか思えない面が多い。
 その原因は、陰に日向に「もっとも自民党」的な小沢さんや国民新党から入閣した亀井さんの存在が大きい。

 日本郵政の新社長にした斉藤さんや、人事院人事での事務次官経験者の登用は、官僚の天下り、渡り人事を禁止するという民主党マニフェストから明らかに逸脱している。「余人に代え難い」とか「退官して15年経過したのだから問題ない」とか、「有能な人材を元官僚だから使ってはいけないということなない」と強弁する姿に失望する。

 野党時代は、自民党政権の向こうを張って反対の政策を打ち出していればよかったが、いざ政権に就いて現実問題に直面するとマニフェストのようにはおいそれと行かない。

 大見得を切った行政刷新では、ムダの排除どころか自民党と同じようなバラマキ予算と40兆円を越える税収の大幅減収、人事問題でごたつきで事業分け作業は思うように運ばない。

 嘉天納統合案まで飛び出した普天間基地問題は、日米安全保障に関わることであるが、閣内が不一致状況で米国の「焦らない」という方針に助けられたようだ。でも解決したわけではない.インド洋の給油活動に変わる民政支援も、政情不安を考えると厳しい。

 公共事業の見直しでの八ッ場ダム問題は、はじめに「中止ありき」では地域住民も意見交換会には参加しないだろう。住民の生活支援、補助金/交付金頼みの地方経済を立て直すのも容易ではない。

 温室効果ガス25%削減に向けた太陽光発電の全量買い取り、バラマキ予算と言われる子ども手当、戸別農業補償などは誰が見たって不公平を免れない。「子ども手当が出れば、自動車ローンも払えるだろう」という見方は、なおさらその感が強くなる。

 更に、情報公開、説明責任が新政権には期待されるが、一向にその姿勢は見られない。小沢さんには新たにパーテイー収入や土地購入の虚偽記載、鳩山さんには献金疑惑が報じられているが、国会追求でも鳩山さんは自ら説明しようとはしなかった。

 このままでは、政権発足時支持率が70%を越えていたが、60%台から50%台へと落ちるだろう。支持率が上がる材料は何もない。官邸と与党民主党とのギクシャクは、命取りになる。

2009年11月4日水曜日

国会改革は必要だが、小沢式でよいのか


議員立法原則禁止、陳情の党幹事長室への一元化、政府委員の答弁禁止など小沢さんから次々に打ち出されている国会改革は、族議員防止や政治主導など大義名分はあるが、憲法の精神に違反したり、陳情を一々チェックする小沢さんの権限強化の危険もはらんでいる。

 一方で、新人議員や選挙区で敗れ比例で当選した議員が「業務の仕分け」作業に参加していたことで不快感を示した。その理由が「私も40年、国会議員をやっているが、あの予算書は私が見ても分からない」と言う。では40年間小沢さんは何をやってきたのか。そんなことをしているからこそ、官僚主導政治と批判されているのではないか。

 新人議員には新人教育をやること自体悪いことではない。当たり前のことだ。小泉政権の時、自民党は大量の新人議員を当選させ、杉村さんのようにその挙動/発言が大いに注目され面白おかしく報道された。同じ事を民主党がやっていたのでは、国民の信を失うことになり、次ぎの選挙では当選は覚束ない。また政権交代になるのを小沢さんは恐れているのだろう。

 憲法で「国会は国民の代表機関」だと明文化している。国会議員は特定階級、党派や地域などの国民の良い分の代表者ではなく、全国民の大補湯車であって、その活動は選挙人の指図に拘束されず、全国民の為に独立して行動するべきである。すなわち議会は国民の総意を反映させるべき使命を負っているのだ(この項 憲法Ⅰ 法律全集 有斐閣)。

 しかし、政党が発達したことで、政党による拘束が強くなってきた。政権、政策を維持するために何でもありになってきた。由々しき状態である。

 法律の発案権は議員にある。他に内閣にもあるが、憲法上は明確な規定がなかったが、内閣法で内閣にも認められた。現状では内閣発案の法律は約80%の成立率であるが、議員発案は20%程度と低いように記憶している。議員発案の法律にも重要なモノがあるのは確かだが、成立率は低い。

 それでも、国会議員の法律発議権や民意を政策に活かす国民の陳情の取り次ぎは保障すべきであるが、問題なのは間違って利権に走る「政治屋」がいることだ。

 私達は、小泉政権の優勢選挙で自民党に大勝利をもたらした。今回の政権交代では民主党に大勝利させた。国民は、その時の政局で政権を選択するようになった。
議員は選択手段に過ぎない。
 小泉さんが「議員は使い捨て」と言ったのはあながちウソではない。

 小沢さんは、新人に「事業仕分け作業をするのではなく、土日は地元に帰って地盤を固めろ」と指示を出したと言われるが、政権選択ではあっさり支持を失うことは今回の選挙で分かったはずだ。

 選挙区での一人一人の活動も大切であるが、国会での活動こそ最重要課題である。「家の先生は、タダの賛否の議決手段だ」と思われては、次ぎの当選は覚束ない。

 40年も議員をやっていて、予算書もよく分からないでは、「何のための国会議員なのだろう」と疑う。

 予算のムダ遣い、根本的に仕組みから見直すと共に、国会議員数の半減、憲法改正も必要になるが参議院の廃止、選挙制度での比例区の廃止、一票の格差是正、審議日数を十分に確保した国会審議のスケジュールなど国会改革でやらなければならないことはたくさんある。

 新人もベテラン議員にも一律に年間1億円以上の税金が使われている。資質に欠ける新人を掘り出したり、地元密着の議員はゴメンなのだ。

写真:国会登壇階段

2009年11月2日月曜日

新型インフルエンザにチョッと過剰反応か


保育園で孫のクラスで新型インフルエンザ(?)の感染児が」1人出たという電話があった。2~3日休ませて様子を見よ(土日の休みを挟めば4~5日になる)、更に増えれば1週間ほど休ませようとも思っているという。

 実は、上の孫が小児喘息で、新型インフルエンザにかかれば、重篤になる可能性があると医者から注意されているから、人一倍気を遣うことになった。幸いなことに、孫には感染していなく、保育園でもそれ以上の感染児は出なかった。

 当初は、園児の登園数も少なくなったし、職員も全員がマスクを着用した。保護者も様子見をしていたのだろう。考えることは同じだ。最初だったので、過剰に反応したことになる。新型インフルエンザと言っても、季節型インフルエンザにかかっていてもそのように発表されたことも原因の一つだ。

 しかし、新型インフルエンザと言っても、分からないことが多すぎる。

 当初は弱毒生で心配はないと言われたが、小中高生や、免疫力の落ちている既往症を持った人が感染し死亡する例が多発したので、強毒性と言われているが、死亡率は季節型インフルエンザより低く、弱毒性らしい。

 新聞報道で誇張されて発表されるので、特にその傾向があるのではないか。一々報道することはないのではと思う。

 学校で、学級閉鎖が続いていることから、感染力は高いのだろう。

 しかし、電車の中でのマスク着用者は意外に少数だ。薬局/薬店での品切れもないらしい。マスク着用の意義など学習効果があったのか。私も外出するときは、ポケットにマスクを用意している。

 一方、予防接種は副作用があるからしない方がよいという専門家も多い。副作用の危険があるためだろうが、それよりも十分な食事と睡眠をとることが大事だと言う。

 実のところ、どうしてよいか迷う。冬場の乾燥期に拘らず、年中大流行の恐れがある。適度の手洗い、3度の食事、十分な睡眠をとって、少しずつ免疫を付けていくことだ。そして罹った人は「他人に移さない」マナーが重要になる。

写真:2009.5.1  NHK特集より。

京品ホテルの親会社京品実業に破産手続開始




10月28日、JR京浜東北線で蒲田から東京に向かって品川駅につく手前左手に重機類の動く光景が目に入った。もしかして京品ホテルの解体工事でも始まったのかと思い、下車して京品ホテルの行ってみた。

 まだ、建っている。前回来た時は、元従業員の方が、ワンコイン支援キャンペーンで500円弁当を販売していたが、その時と余り変わらない。

 しかし、近寄って張り出されている警告書などをよく見ると、親会社であった京品実業に対して「破産手続き開始」の決定書が増えている。

 京品実業に対して平成21年10月23日、東京地裁において破産手続きが開始されたと言う破産管財人の告知と共に、裁判所の「決定書」が張り出されていた。

 前回来たとき、組合幹部の人が「私達との事がクリアーしなければ、この物件は売れっこない」と言っていたが、どうなるのだろうか。

2009年10月30日金曜日

東京モーター・ショーに見る自動車産業の夢と現実







東京モーター・ショーも29日の入場者累計で28万人を越えた。今回は出展社も241社から122社に半減し、開催日も減らしたという。27日に入場してみたが、確かに以前の様な人気はない。それでもコンパニオンが立っているブースは人だかりが出来ている。

 今回は、環境への取り組みが目立ち、「CO2を全く出さないゼロ・エミッション」を目指している。

 今のところ主流は、ハイブリッド・システム、アイドリング・ストップ、筒内直接噴射、可変バルブのタイミングなど燃費改善対策が施され、15~30km/Lの燃費車だ。これに減速時に生じるエネルギーを電気に変える減速エネルギー回生システムも加わりより燃費のよい車になっている。

 実用化の近い電気自動車に各社が力をいれている。プラグインタイプは、家庭の100V、200Vで充電でき、急速充電器を使えば15分ぐらいで、80%を充電できるらしい。スバルのハイブリッド出品車Plug―in STELLAは、1回の充電で90km、エネルギー効率もよく、電気代100円で100km走るとPRしている。

 そんなモノかと思ったら、ニッサンのLEAFの航続距離は160kmだという。1回の充電で10km以上は走ることが出来るが、その根拠は80%のドライバーの1日走行距離が100km以下という調査から考えているらしい。

 担当者に「電気自動車はどうですか」と聞くと、自分のドライブ計画では、往復距離、充電施設のある場所、充電時間などいろいろ勘案して計画を立てる必要があると言う。コンビニや高速のPAなどでの充電インフラの整備は進んでいるが、長距離ドライブや田舎に帰る計画などは対応出来ないこともある。

 また、注意しなければならないのは、航続距離もエアコンなどを使うと短くなると言うことだ。先の総選挙で東京地方区から立候補した小池さんが、エコを唱え自分も電気自動車2台を使用したが、距離が短く、エアコンを使うと更に短くなるので真夏の選挙は大変だったという記事を見たことがある。今の電気自動車の実情をよく表している。

 CO2排出“ゼロ”と言うが、それは走行時であり、家庭で充電する必要があるので、当然電力会社ではCO2が発生することになる。決してCO2排出がゼロ出はないが、今のところガソリン車に比べれば、遙に少ないと言うことだ。

 最終的には燃料電池自動車なのだろう。一部分野で走っているが、実用化にはほど遠い。

 参考出品車を見ると、自動車産業の夢がいっぱいである。スバルのHYBRID TOURER CONCEPTを見ると、車内ジェットやクルーザー感覚のコックピットデザインで、コンソールユニットはITを駆使したタッチパネルが施され、未来カーとは言え直ぐにでも市販されれば乗ってみたい車だ(販売価格は別として)。

しかし、自動車産業の現実は厳しい。

 昨年のリーマン・ショック以来、車の生産は大きく落ち込み、期間工や派遣社員の首切りが進み社会現象までになった。日本自動車工業会の乗用車生産台数を見ると、特に今年1月~5月にかけての生産台数は40万台でピーク時の約50%に落ち込んだ月もあるが、今年9月は72万台と前年同月比で20%減まで持ち直した。

 更に、運転免許保有者も2000年7314万人、2004年7825万人、2007年7991万人、2008年は8045万人と伸び悩んでいる。スズキの鈴木会長が、教習所での教習生が減ってきていることを考えると、自動車産業に往年の期待は出来ないとコメントしていたが、それが実体だ。

 生活環境も関係する。東京では駐車場を確保しようと思えば、月に2万円以上かかる。維持費のことを考えると、レンタ・カー、カーシェアリングなどの分野も伸びるだろう。

 今の車を大事に、長く乗るのがいろいろな面で一番良さそうだ。