2015年4月30日木曜日

小渕優子さんに国会議員の資格があるのか:法の網をくぐり、HDをドリルで破壊する政治家姿勢を追求せよ

政治資金規正法違反容疑で秘書2人が在宅起訴され、議員本人は嫌疑不十分で不起訴処分では3億2000万円に上る高額の虚偽記載では甘すぎる処分と国民には見える。ここは小渕議員本人を国会で証人喚問し、法の網をくぐり、証拠をドリルで破壊した政治家姿勢を追求すべきではないか。

新聞報道では 飲食、交際費などを簿外支出を事務所費で処理していたが2006年に政治家の「政治とカネ」で事務所費の不正が明らかになり2007年に政治資金規正法を改正し領収書を必要とするようになり困ったあげくに虚偽記載することにより簿外支出を解消したらしい。

法が厳しくなると新たな不正行為に走り法の網をくぐり抜けた。

又、検察の家宅捜索が入る恐れがあるとみて、金銭のやり取りが記録されていたとみるパソコンのHDをドリルで破壊し証拠隠滅の荒技に出た。

高額の虚偽記載に驚くが、HD破壊による証拠隠滅には呆気にとられた。議員のクリーンさ(?)など吹っ飛ぶ荒技であり、違反の程度が想像出来る。

今回の検察の処分にあたり本人は「信頼できる秘書らのおかげで政治活動に専念することが出来たが,2人が起訴されたことを深く受け止め政治的道義的責任を痛感する」という意味のコメントを発表した。

「信頼できる秘書」と言うときは大体丸投げしていた時だ。小渕さんが政治的道義的責任を痛感するといっても議員を辞職するわけではなく、二度と今回のような事態が生じないように努めるという。

簡単に言うと、信頼できるスタッフが飲食や交際費、陣中見舞いなどで築いた人脈で小渕優子さんの議員としての地位を維持していると言うことだ。そして中央では将来の総理候補、初めての女性幹事長、重要閣僚で処遇など資質を越えたおだてに乗った。

今回の事件の背後には、政界に素人の小渕優子さんが小渕恵三さんの後を継ぐことによって小渕家のブランドと利権を関係者で独占することが出来た。

そして大きな違いは、秘書と議員の立場が逆転して大番頭の秘書に鼻先で使われていたのではないか。本当に何も知らなかったということはピエロであり、そんな議員を国会に送り込むことは大恥ではないか。

彼らの間では利権を守ることしか頭になかったのだ。

一方で、地検特捜部の姿勢も問題だ。不起訴にすれば「弱腰」とみられ、自民党筋からの圧力がなかったのかと疑われる。逆に起訴すれば「大丈夫か」、「捏造などないだろうね」と言うことになる。

「政治とかね」の疑惑は国会議員も不信を持ってみられる、検察も不信を持ってみられる。どうしようもない状況だ。

そうはいっても、「政治とカネ」は国会議員自身が防止に努力しなければならない。

そこで、各党から説明責任を言われているのだから、国会の証人喚問で小渕優子さんの政治家姿勢を追求すべきではないか。民主党は証人喚問を匂わせているが自民党は「ご本人が説明責任を果たせ」という。「証人喚問に応じろ」というのか、「勝手に記者会見でもして説明しろ」というのか。どちらかによっては自民党の姿勢が分かる。

証人喚問でも「知らない」「認識がない」などと責任回避するだろう。質問者は新聞報道をネタに攻めるだろう。それでは埒があかない。「議員が知っていることは何か」と問うべきだ。そこから議員が政治資金規正法をどう理解しているか分かる。政治資金収支報告書がどれだけ重要な物かも分かるはずだ。

国会議員は選挙区の有権者、自分の家族、支援者、秘書達のためではなく全国民の代表者なのだ。

前衆議院議長の町村さんが派閥の会合で、「知らないと言ったらそこでチョンだ」といったことがある。その通りなのだ。



辺野古移設問題で憲法第95条:憲法学者曰く「憲法上はおかしいという確信を持て」と

憲法記念日が近ずくにあたり、何か憲法を考えるテーマがないかと注意していたら
辺野古移設問題は「憲法上おかしいという確信を持て」と憲法学者が警告しているニュースが目にとまった。30日のテレビ朝日モーニングバードの「基地移設問題で翁長知事が取ろうとしている戦術とは」で憲法95条(特別法の住民投票)が取り上げられ、首都大学東京准教授の木村草太さんが出演していた。

辺野古移設問題では沖縄と政府が対峙している。安倍総理は頑なに拒んでいた沖縄県知事との会談を訪米に当たりアリバイ作りで実施したが、新聞報道では日米会談で安倍総理は沖縄が反対している現状を説明し「辺野古移設が唯一の解決策の立場は揺るがない。沖縄の理解を得るべく対話を継続する」と説明したことに、翁長県知事は「多くの国民が反対する中で首相の頑なな固定観念が示されたことは残念だ」とコメントした。

5月下旬には独自に訪米し沖縄の考えを直に伝えたいようです。

沖縄県民の反対運動も激しくなってきた。先立つ28日はサンフランシスコ講和条約で日本から沖縄が切り離された日が1952年4月28日ということで「屈辱の日」とされ、県庁前に2500人もの県民が集まり「辺野古新基地ノ―」を訴えているテレビ映像が流れた。

モーニングバードでは基地反対の先頭に立っている翁長知事が今後どういう戦術がとれるかをいろんな角度から検証していた。

一つはロビー活動を活発にして沖縄の考えを米国に訴えるために基金を設立し1億円が集まった。その7割が本土からの募金だという。これで1回に付き1000万円ぐらいかかるロビー活動に使いたいという。担当の人も本土からの募金が多かったことに勇気づけられているようだった。

2つ目は県条例を次々に制定すれば国は法律を作って対応しなければならず時間稼ぎにはなるらしい。

3つ目が憲法に関することです。

憲法95条(特別法の住民投票)では、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は法律の定めるところによりその地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ国会がこれを制定することはできない」と規定されている。

つまり沖縄の辺野古に新しい基地を作るという法律を国会に提出しても沖縄県の住民投票で過半数の賛成が得られなければそういう法律は制定できないということだ。

中央政権の過度の介入を受けてはいけないという地方自治を守る規定なのだ。

だから参院予算委員会で野党議員が「辺野古基地設置法案」を議員提出する動きもあるが、我が国での法案提出は政府提出がほとんどで議員立法はまれだ。しかも弱小政党では共同提案者を確保することも難しいだろう。野党第1党の民主党も辺野古移設に同意していたが手続きがまずいというだけだ。

ところで今から法案を提出するのでは遅すぎる。しかも法案が通る可能性は低い。

では、今までどうなっていたのか。基地建設という重大な政策が法律に基づいていなかったのか。

日米安保条約で「駐留軍用地特別措置法」があり政府が「ここだ」と認定すれば基地ができることになっており、国民全体が基地の是非を論じる状況になっていなかったのだ。

条約と憲法とどちらが優位かということは論争点であるが、国家間の合意、政治的な内容のものが多いといえども憲法が優先すると考えるべきではないか。

でも、政府の考え方は、安倍総理の言う「既にある法令にのっとって粛々と進めているのでこれに上乗せして法律を作る必要はない」ということになる。

でも木村草太准教授が言うように「辺野古移設問題は憲法上おかしいという確信」をもたなければならない。この確信がなければ政府に負けてしまうというのだ。


安倍政権はやたら憲法を改正しようとするが、現憲法はいろんな面で私たちに考えさせられる日本の根本法なのだ。

2015年4月29日水曜日

日本国憲法の制定過程:「押しつけられた」憲法では面白くないのか、素人が8日間で本当に作ったのか

日本国憲法
日本国憲法はその制定過程が「押しつけられた」と言うことで面白くないのか。また憲法記念日がやってくる。年に一度は日本国憲法を考える機会にしたいものだが、今回は自民党が「憲法漫画「ほのぼの一家の憲法改正ってなあに」」という冊子を作って若い人に憲法を考えてもらうために配布するという新聞記事があったがその記事の中に現憲法は「素人が8日間で作り上げた」とコメントされていた。

現憲法はGHQによる「押しつけ憲法」と批判されている。もうこの辺で自主憲法を制定しようというのだ。

安倍総理は以前、GHQの素人が8日間で作り上げた代物と見くびったコメントを発したことがあるが、それを受けて民主党・岡田代表は「今の憲法を非常に悪くと言うか低く見ている。そういう首相の下では憲法論議は非常に危ない」と現政権下での審議を拒否する。

確かに「押しつけられた」、「外国製」と見ることも出来るだろが、だからこそ民主主義政治は確保できたとみるべきではないか。

長く経済同友会の代表幹事をやった品田さんが、終戦後抑留先から日本に帰ってくる船上で新憲法を見せられ「これで民主政治が始まる」と涙したことを新聞で述懐しておられた。戦争経験者は今の政治家とは異なった憲法観を持っているのだ。

そしていろんな方面から「押しつけ憲法」の批判が出ているのに憲法学者はどうして当時の経緯を説明しないのか。否、既に亡くなっているため説明できないのか。

そこで、その経過を学生時代に読んだ「憲法Ⅰ 清宮 法律学全集 有斐閣 昭和39年7月」を開いてみた。

第一編 第4章 第二節新憲法制定の経過に次のような記述がある。

連合国の指令により新憲法は内大臣府と政府の2方面から進展していった。内大臣府では近衛文麿と佐々木惣一が関わり天皇に内奉したというが、政府では幣原総理、松本国務大臣が憲法問題調査委員会を作り草案を作成、連合国へ報告したがマッカーサーは不適とした。別の本だったと思うがこの草案では民主主義にほど遠いと判断したようだ。

そこで連合国自ら草案を作成しマッカーサー草案として日本政府へ提示された。この草案を自民党は素人が8日間で作成したというのだ。でも私が読んだ本ではそれぞれの専門家が関わったようだ。短期間に作成出来たのはフィリッピンで憲法作成の経験があったためで日本には日本に向いた修正が加えられたと聞いたことがある。

日本政府は、この草案を修正し「憲法改正草案要綱」を作成、公表した。連合国司令官も全面支持したという。このとき各政党、民間団体、個人が各種改正草案を発表したらしい。

その後、衆議院総選挙が実施され、自由主義の政府が確立衆議院で2ヶ月、貴族院で1ヶ月半の審議を経て修正可決され、昭和22年5月3日に施行された。

ところが「押しつけられた」「外国製」という批判が高まった。昭和32年に発行の憲法書にその記載があるのだから長い憲法改正論議がされているのだ。

自民党も自主憲法制定を党是とし自民党の「日本国憲法改正草案」が公開されている。海外では数回の憲法改正がされているが我が国では一回も改正されていないのだ。

清宮先生は「憲法Ⅰ」で「押しつけられた」点はあるが、外国の力が加わったことはマイナスの面ばかりでなく、プラスの面も働いていると言い、民主主義、基本的人権尊重主義、平和主義に徹し得たのもそれに寄るところが大きかったという。

そして、この際再検討を加えるのは結構であるが、その重点は制定の経緯よりも内容に置かれるべきだと強調する。昭和32年の指摘だ。

5月3日の憲法記念日に当たり憲法を考えてみようではないか。


財政健全化、財政規律:安倍政権は日本国の財政の本当の姿を示せ

2020年にプライマリーバランス(PB)を黒字化する財政健全化を各政権は公約するが、誰が、どこで真剣に検討しているのか。「国民の理解が必要」と言うが国民に日本財政の本当の姿を説明したことがあるのか。

国、地方合わせた借金は1000兆円を越えGDP比200%で先進国一の悪い状況にあることは財務省がよく口にする。消費税増税時も先送り出来ない喫緊の課題だという。でも資産も借金の半分ぐらいあるから財務省が言うような危機ではないとも言う経済学者もいる。本当はどうなんだ。誰も責任ある説明はしない。

先日、NHKの国会中継を見ていたら野党の女性議員が財政健全化で質問に立った。「現在の借金は」という質問に財務大臣は1029.9兆円と答えた。「資産があるだろう」という質問に確か640兆円と答えたはずだ。だったら本当の借金は約400兆円で消費税増税など急ぐ必要は無いのではないかという話になったはずだ。

更に外為特会で余剰金が出ている。「10兆円ぐらい借金の返済に当てたらどうか」と追求したが、麻生財務相は「大きな為替変動で日本経済に影響がある時に使うためにある」と言い「私が発言すると株価、為替に影響するのでマイクの前では話せない」という趣旨に答弁をしていた。聞きに来てくれれば説明できるというのだが財務省の利権を守る姿勢がありありだった。

こんな調子だから公の場で財政再建、借金縮小の議論をすることは不可能なのか。

そんな時、朝日新聞(2015.4.28)の経済気象台で「財政健全化への甘い姿勢」が目に止まった。安倍総理は度ある毎に経済再生と財政再建の両立を目指すというがその言動から経済再生が最優先で財政再建にかける意気込みが感じられないと言い、財政の構造改革が必要だと言う。

一体政権はどこで財政健全化の検証を行っているのか。海外では財政規律を守るために法制化されているが、我が国でも法で基本方針を規定しなければ借金は増える一方ではないか。

ドイツは憲法改正規定があり、フランスも検討中らしい。イギリスには財政責任法がある。EUはGDP比3%以内、債務残高はGDPの60%という協定がある。アメリカは最近も債務上限の見直しを拒否されデフォルトの危険もあると新聞に出ていた。議会の承認を得なければ借金の上積みが出来ないのだ。

日本も各政権が2020年度にプライマリーバランスの黒字化を掲げているが、実情は基礎的財政収支GDP比1.6%で9兆円を超える赤字だという。それでも達成すると見栄を張る。国際的な公約になっているので未達なら市場が乱れると思っているのだろう。

我が国ではどこで,誰が検討しているのか。財務省に任せっきりだろうと思うが思いつくのは経済財政諮問会議だ。ここでどんな議論がされているのか調べるために「中長期の経済財政の展望と財政健全化」が議題になった平成27年度第2回、第4回の経済財政諮問会議議事要旨を開いてみた。

民間議員が財政健全化は、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の3本柱で実施し、2020年までの5年間で2015年に較べPB対GDP比3.3%改善したらどうかと提案している。その内訳は消費税引き上げで1%、経済再生、歳出改革で0.5%などが提示されているのだ。

PB/GDPで分子の財政を縮小し、分母のGDPを拡大しろというのだ。17年度のは10%の消費税増税があるし、日銀の出口戦略も出てくるだろう。マクロ経済運営は極めて重要な局面を迎えるというのだ。

アベノミクスの経済成長路線でGDPを増やし、歳出を絞って財政再生を目指すというのだ。そうなれば計算上は改善できる。

でも経済気象台は成長だけに頼っていては真の問題解決にはならない。財政の構造改革が必要と説く。

安倍政権も借金を積み上げているようだが、財政法5条には中央銀行の公債引き受けを禁止している。今の日銀の市場を通じての買い入れは通貨供給の手段として認められているがいつかは「財政ファイナンス」とみられる。既に経済再生諮問会議でもその危険を指摘している。

政府は日本の財政の本当の姿を国民に提示し、国会等公の場で真摯に議論すべきだと思うのだが。

既成政党はこぞって反対の大阪都構想へ住民投票:実現へ向かうのか、阻止へ向かうのか

橋下さんが進める大阪都構想も2017年の実現を目指し27日住民投票が告示された。実現に向けて最後の一歩になるか、反対派が言う阻止への最後の一歩になるか。211万人が賛否を決めるのだ。

気になることは既成政党が挙って反対している大阪都構想を橋下さん率いる地域政党の維新の会が強引に進めている感じがする。橋下さんは何か大きいことをやっていなければ自分の存在価値が無いと思っているのだろう。大阪府知事の経験から「二重行政の打破」「行政の無駄の削減」を掲げた。

当時の大阪市長が言うことを聞かないとみると府知事を辞して自ら市長に立候補し、大阪市から改革を進めようとした。問題のあるところに自ら足を突っ込んでいく姿勢は評価出来る。

しかし、民意に訴える手段に出る橋下さんだが、大阪都構想で本当に民意を掴んでいるのか。

堺市長選では「堺市が消える」「いや堺市は消えない」の論争になり反対派の現職市長が再選された。その時、橋下さんは「まだ十分に理解されていない」と反省の弁だった。

大阪都構想での堺市の離脱の影響は大きい。この市長は橋下さんが送り込んだ市長なのだから寝返った意味は大きい。市長をやっていて大阪都構想には何か疑問が出て来たのだろう。

その大阪都構想は、260万人の大阪市を廃止し、69~34万人ぐらいの特別区を5つ作るという。今まで大阪市がやって来た大規模開発は大阪府に移るのだ。今までは大阪市の大規模開発に府は口出しできなかった。

以前、テレビで道一つ隔てて大阪市と大阪府の下水処理場(?)が設置されているのが無駄な事業と紹介されていた。誰だって不思議に思う。無駄な投資に映る。

大阪にリーダーが2人いるからこんなことが起こるので、司令塔を大阪府知事に一本化し、今まで住民との距離が遠くサービス面で問題があったのを5つの特別区にして住民サービスの向上を目指すというのだ。この構想によって2634億円のメリットが出てくるとも言う。
一方の反対派は、二重行政の失敗、無駄は政策判断のミスであって特別区になればより大きな失敗を繰り返すと警告する。推進派が言う2634億円のメリット計算もまやかしだと信じていない。

ところで国は大阪都構想にどう対応しているのか。既成政党は皆反対ではないのか。

国は大都市地域特別区設置法を制定し援護しているようにも思えるが、改正地方自治法で知事と市長の「調整会議」を設置し二重行政の弊害を解消できる方策をとり、17年から実施に移せるようだ。

今ある法律でも二重行政の解消、無駄の削減、サービスの向上は可能だという。無駄の多くは役人の意識の問題で今まで身の丈に合わない開発行為が多かったことも確かだ。

又、よく言われることに大阪市は損するのではないかという。大阪市の資産が7.7兆円あるがこれが大阪府、特別区、一部事務組合に配分されるという。でもこれは仕方ないことだ。

万一大阪都構想が住民投票で「YES」になったとしても最後に大阪府から大阪都に変えるには新たな法整備が必要らしい。ここで既成政党が挙って反対に回っている状況下で国会はどう判断するのか。

大阪都構想は2017年実現を目指す。それまではまだ安倍政権だろうが、安倍総理は橋下さんに好意を示す。


橋下さんのごり押しが通るか、既成の法の下でも十分対応出来ると判断するか。取り敢えずは大阪の住民の判断に注目だ。

2015年4月28日火曜日

「やらせ」は悪?:では国会での質問者とペーパー棒読み大臣との審議はどうなる

「やらせ」は悪か、では国会審議での質問者とペーパー棒読みの大臣は「やらせ」にならないか。事実に真正面から答弁しているが「やらせ」に見える一方で、いつも質問者と大臣の答弁がかみ合わないことも多く、事実をまげて答弁するのは「捏造」ではないか。

NHK「クローズアップ現代」での「やらせ」が問題になっているが、では国会の委員会での質問者とペーパー棒読みの大臣はどうなのか。官僚は質問者から質問内容を聞き取り、それの答弁書を作成し大臣に提出、大臣は国会審議で質問者の質問に答えて官僚の作成したペーパーを棒読みする。

ひどい例では、質問内容も官僚にまかせっきりの議員もいるという。応酬しているように見えるが、時間切れで次の質問に移るのが常で見ていてしらける。

質問者が何を質問するか分からない。どんな質問にも答えなければならない大臣との緊張感がないのだ。

憲法の専門書に国会ではペーパーの棒読みは規則で禁止されているはずだが形骸化されている。

一時、官僚が大臣の答弁に代わって答弁していたことがある。「専門的なので官僚に答弁させます」といって自らの答弁を逃げていた大臣が多かった。

そこで小沢一郎さんが答弁できない大臣などダメだということで大臣が答弁することになったが、今度は官僚が大変になった。質問者から質問内容を聞きだし、大臣に答弁書を作成して渡す。ひどい時は徹夜にもなるらしい。時間外勤務手当を計算すると相当は金額になるという。

ところがこれが官僚が演出する「やらせ」になっているのだ。

大臣は国民目線で自分の言葉で何故答弁できないのかということになる。でも大臣といっても当選回数などが選考基準になり適材適所で強力な内閣というが、「政治とカネ」の問題で失職したりスキャンダルが絶えない。中にはペーパーがあるが官僚の助けがないと答弁できない法務大臣もいた。

答弁も中には事実を曲げての答弁になると「捏造」に当たるし、通常はほとんどが「やらせ」だ。

時には質問が複雑になると後ろからメモが回ってくる。総理だって「質問書になかったので・・・」ということになる。

しかし、大物になると違う。亀井静香さんがペーパーなしで演説していたのを見たことがあるがさすがと思ったほどだ。そういう国会議員は少なくなった。亀井さんだって絶滅危惧種に属する国会議員になっている。

そこで、NHKクローズアップ現代の「やらせ」が問題になっている「出家詐欺」の内容を「クローズアップ現代」のHPから開いてみた。実際に社会問題として存在し、担当記者が京都府警に取材したようだ。そこで一部放送の内容に「やらせ」があったというのだ。


でも、この「やらせ」のために放送内容が「捏造」されたことにはならないのではないか。事件の内容を視聴者に分かりやすくするためのシーンと言えば許されるはずだ。「やらせ」も程度の問題だ。
避けるべきは当たり前のことだ。

自民党は、NHKとテレビ朝日の幹部を呼んで事情聴取したというが、権力者による「報道の自由」、国民の「知る権利」を妨害していることにならないか。

むしろ、国会審議のあり方を検証し、NHKの国会中継が「やらせ」、「捏造」の番組にならないように委員会審議の改革をやるべきではないか。

NHK国会審議を見ている国民の一人として質問者と大臣の緊張感のある質疑を期待したい。

どちらにしても危うくないか:安倍総理を支持か、否、政策を支持か

世論調査で安倍内閣支持率が高いが、安倍さんば総理だからと思っていたが、否、政策だからだそうだ。しかしどちらにしても危うくないか。国内は一強多弱で政党支持では自民党が37%と圧倒的に高く、野党は数%止まりだ。それでも自民党一党で我が儘な政策運営と映るのを警戒してか公明党と与党を組む。野党第一党の民主党は選挙の度にふるわず総括でも「底打ち」、「底なし」と二分する体たらくだ。

あれほど嫌悪感を抱いていたオバマ大統領が安倍総理と会見、上下両院での演説の機会を提供するほどの厚遇振りだ。背景には対中関係で日本と良好な関係を保っていた方が中国の勢力拡大抑制に役立つとみたのだろう。

内閣支持率が高いのは「総理が安倍さんだから」よりも「政策が他の政権よりマシだから」と言うことになるのだが、安倍総理自身にも良いところはある。対中、対韓でも関係を率先して改善しようという意識は高いが、決して怯まない姿勢は歓迎だが、中国、韓国は何故か襟を開こうとしない。

でも、ポスト安倍潰しは本人にとっては長期政権の礎にもなると思っているだろうが、自民党長期政権にとってはマイナスだ。秋の自民党総裁選に誰が、どういう格好で出てくるかが注目だ。

更に、メデイア牽制は絶対避けなければならない。「報道の自由」、国民の「知る権利」を否定することは民主政治の基盤が崩壊する。私も衆院選前のTBSテレビニュース23での安倍総理生出演を見ていたが、「アベノミクスの成果」として街角インタビューを流し「成果なし」の映像が多かったことに安倍総理が「偏っていないか」と猛反発し、聞いたこともないような指標を並べて改善していることを主張した。

選挙戦を前にアベノミクスへの批判は政権としては最も避けたいシーンだったのだ。キャスターが一言も反論しなかったことにも疑問を感じる。軽い気持ちで街頭インタビューを流したとするのであればメデイアの反省点も大きくないか。

ところが最近ドイツ紙にも牽制の動きがあった事に驚く。暴露した記者のドイツの本社に総領事が抗議に言ったという。総領事は「そういうことは言っていない」と反論するが、抗議に行ったことにも問題があるのだ。

安倍総理、取り巻き連中に自制の精神は全くない。余りにも幼稚すぎないか。見ていて恥ずかしくなる。

政策面はどうか。余りの国会無視に驚く。

今回の米国行きの目的の一つに日米ガイドラインの改定があるが、安保法制の国会審議の前に対米公約がされている。面倒な政策はまず国際公約し国内での審議に移す手を使っているとすると、民主党政権時と同じではないか。国際公約を御旗に「文句を言うな」と言うことだろう。

憲法改正も改正手続きをせず解釈改憲を閣議決定してしまうことで、まず憲法改正手続きの条件緩和から取り組もうとしている。日本国憲法は硬性憲法で改正が難しい。また厳密に読むと憲法改正は予定していない。

政権の座に着いていると外交上も自衛隊の制限は目の上のタンコブ的存在だ。「積極的平和主義」で国会の承認を前提に世界どこへでも自衛隊が派遣できるようにする。

普天間移設問題も辺野古移設工事で沖縄県と対峙している。翁長県知事と会った菅官房長官は会見場のホテルの勝手口から出て行くしかなかったと言うし、頑なに会見を拒んでいた安倍総理が訪米を前に仕方なく会見に臨んだ。

政府と沖縄が喧嘩している状況は米国にマイナスイメージを与えるとして改善を望んだのだろうが、平行線で解決の気配はない。

これから工事が進むにつれて流血騒ぎにでもなれば政権にとっては致命傷だ。岸元首相の時、日米安保条約でフィリッピンまで来て来日を待機していたアイゼンハワー元大統領だったが国会周辺での全学連の包囲デモに屈し来日を諦めた。岸政権は崩壊したのだ。

同じことが普天間移設問題で再現するかもしれない。

原発再稼働問題も難しい。経済成長を狙うのであれば安価な電力は捨てがたいが、地震大国、火山大国では著名な学者が警告するように国民の生命、財産を侵す結果にもなりかねない。福島第一原発の災害をどう考えるか、しっかり検証すべきではないか。

安倍総理はことある毎に「理解を得るために丁寧な説明」を主張するが、丁寧な説明を受けたことがない。

国民が何時危うい政権であると気づくのか。

小渕後援会の政治資金規正法違反容疑:議員本人は立件されず、結局はピエロだったのか

小渕優子議員本人は立件されずピエロだったのか。そんな議員を国会に送った有権者もピエロだ。久しぶりに小渕後援会の政治資金規正法違反事件で地検・特捜部の捜査が続いていることが朝日新聞(2015.4.27)で報道された。

それによると政治資金報告書で8800万円の寄付で得た収入、6000万円の観劇会での赤字で虚偽記載の疑いがあり小渕議員本人も数度にわたって任意の事情聴取があったという。

これに対して小渕議員は相変わらず関与を否定し、「知らぬ 存ぜぬ」で責任を回避しているようだ。

疑惑が持ち上がった時に「私にも分からないことが多すぎる」といって、取り敢えず経済産業相を辞任し責任を取ったようになっているが、運良く衆議院解散で恥も顧みず立候補し、群馬5区という田舎の選挙区だったためにトップ当選してしまった。

熱狂的な支持者、有権者は「みそぎ」が終わったと考えたようだが、資金の出入りを記録したと思われるパソコンのHDをドリルで破壊し証拠を破棄する荒技に出た。

誰が指示したのか分からないと言うが恐らく「全部自分の責任」と町長を辞任した折田さんではないかと疑う。私自身、「群馬県政を揺るがす疑惑」に発展する恐れがあったと想像している。

結局、小渕優子さんは小渕ブランドにすがった秘書達に知らず知らずのうちに利用されていたのか、中央では将来の女性総理候補、初の幹事長など政権、自民党の支持拡大を狙っておだてられていただけか、そして小渕家のブランドにすがって歴代の小渕を支持し本人の資質などどうでも良かったのだろうか。

小渕優子議員は全くのピエロだったことになる。こんな議員を国会に送って欲しくないのだ。

そして、あの第三者委員会による調査を実施し結果を公表する約束はどうなっているのか。事務所は「捜査中なのでコメントを控えている」というが、それでは責任を果たしていない。

今朝の読売新聞(2015.4.28)でも「小渕氏元秘書在宅起訴」の記事が載った。折田さんは全面的に認めているらしい。もう隠滅したりする証拠もなく特捜部は在宅でも良いと思ったのだろう。

小渕議員本人の立件は見送るというが検察審査会はどう判断するか。

政治資金規正法での収支報告に疑惑が生じても会計責任者が罰せられるだけで議員本人には責任は波及しない法自体に問題があることは分かっていても立法に責任を持つ国会議員が自らの首を絞める法律など作るはずがない。会計責任者の任命責任など倫理的なもの以外の何でもないのだ。

しかし、こんなピエロ的な議員を国会に送って欲しくない。


2015年4月27日月曜日

25日、午前11時56分 ネパール地震、M7.8:軟弱地盤に粗雑な住居で被害を拡大

朝日新聞 2015.4.27
大地震が発生したプレートイメージを伝える
25日、午前11時56分ごろネパールを襲ったM7.8の地震は、カトマンズが1万年前は湖で軟弱地盤であったことに加え劣悪な住宅建設とも相まって住宅倒壊で多数の死傷者を出すとともに世界遺産の建造物の倒壊、エベレスト周辺の山岳の巨大雪崩がベースキャンプを襲い登山者に死傷者多数を出すなどネパール独特の被害を呈している。

エベレストへの登山ルートもダメージを受け、しばらくはルートの安全が確認されるまではエベレストへのアタックも無理ではないか。観光資源として損失は大きい。またエベレストの高さも低くなったのではないか。

この付近はインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに沈み込む地震多発地帯で隆起してヒマラヤ山脈ができた。新聞報道では1800年以降3回も巨大地震が発生、1833年にはM7.9,1934年にはM8.3などM8クラスの巨大地震が多発している。

今回の地震は震源地から離れたカトマンズ
で大きな揺れで被害が拡大した
筑波大 八木先生
テレビ朝日スクランブル
2015.4.27
テレビ朝日・ワイドスクランブルで筑波大の八木先生が震源地から離れたカトマンズで4mという大きなズレが発生したという。新聞でもカトマンズ直下で大きなズレが見つかっているようだ。

カトマンズで大きな被害が出たのは、劣悪な住宅建設のうえにこの付近は1万年前は湖だったために軟弱地盤も影響しているようだ。それだけ揺れも大きかったことになる。

建築基準もなく、住宅の建設は親戚や住民達が集まって素人が作った木造レンが済みの住居だ。新聞で報じられる被害現場写真を見ると断層上(?)に被害が多く、離れた場所での住宅、ビルには被害が見えない。

レンが済みだから崩れれば隙間がない分、犠牲になった人の生存の可能性も低くなる。竹を支持柱に2階、3階と積み上げていく建築法には驚くばかりだ。

これだけの地震だから何か前兆があったのではないかと新聞に目をこらしたが、見当たらない。特に小さな地震の回数が増えていたという記事もない。本当に突発でこのような大地震が起ったのか。

ネットで調べると、野生動物が森から出て来たという記事が目に止まった。動物には特殊な能力がある。もしかしたら前兆かもしれない。


今回の地震の被害はネパールばかりでなくインド、中国にも及んでいるようだ。日本はじめ各国から救援が来るそうだが特に近隣の中国は救援に本気だ。中国の力を拡大するチャンスとみたのだろう。

2015年4月26日日曜日

手詰まりのギリシャ財政危機:無理と分かっていながら何故、「反緊縮財政」か

ギリシャの財政危機は手詰まり状態であるが、無理と分かっていながら「反緊縮財政」を掲げて野党・急進左派連合が政権交代し、チプラス政権が登場したがギリシャに都合の良い支援など受けられる状況にはなく窮地に立っている。

続く経済疲弊、緊縮政策に飽き飽きした国民が「反緊縮財政」を訴え、政権奪取を目論む野党・急進左派連合がその「反緊縮財政」を掲げて国民の信任を得て政権の座に着いたが、税収不足では財政危機を脱することは出来ない。

急進左派連合は、EU,IMFに「話せば分かる」と支援継続、支払い先送りあるいは債務減額を考えていたのだろうか。ユーロ圏離脱を匂わせれば譲歩するとでも思っていたのだろうか。

そうはうまく行かない。当然だろう。放漫財政で危機に立つギリシャを緊縮政策で良好な経済運営を続けているドイツが犠牲になることなどあり得ない。

政治を後回しにして経済統合を急いだユーロ構想の欠陥をさらけ出すことになった。

EU,IMF,ECBからの迫り来る返済期限、構造改革と引き替えの更なる支援交渉が続いているが合意に至っていない。

新聞報道によると、支援策の残り分約72億ユーロを得たとしてもIMFには約8億ユーロ、ECBへの国債償還約90億ユーロが迫っており目処が立たない崖っぷちの状態だ。

デフォルトすれば一時はすっきりするであろうが厳しいことはアルゼンチンの例で分かる。棚上げ、減額交渉もあるが税収不足が改善しない限り「国民の嫌う緊縮財政」に変わりはない。

チプラス政権はどういう構造改革案を提示するのか分からないがEUは呑むことが出来ても継続しての支援は無理だろうし、国民の信に答えることが出来ない結果になるかもしれない。

政権が国民に緊縮財政、構造改革をどう理解を求めていくか。「やっぱり急進左派連合政権はダメだ」となるのか。

今、中国がインフラ投資で世界のリーダーになろうとしているが、中国の支援下に入るのか、ロシアも選択肢なのか。

デフォルトして財政再建するしかないようにも思える。

ギリシャ危機は、スペイン、ポルトガル、イタリアなど他のEU諸国にも波及する恐れがあり、欧州経済危機は世界経済危機なのだ。

そして、ギリシャが発端となり「国債はリスク資産」は国債の大量保有金融機関の規制強化の動きになり我が国の金融機関、日銀にも影響が出そうだ。

ギリシャの財政と我が国の借金1029兆円を同列に考えることは出来ないらしいが、このまま赤字国債を発行し、日銀が大量に買い占める財政ファイナンスは技術的に難しくなる。

「緊縮財政」は他人事ではない。 


関連記事
2015.1.28掲載
ギリシャ反緊縮政権誕生:デフォルトか、EU離脱か、緊縮見直しで欧州経済危機の再燃か


2015年4月25日土曜日

知床半島の海岸線で10mの異常隆起?:巨大地震もなく何故

2015.4.25 朝日新聞
朝日新聞(2015.4.25)で驚くべきニュースが流れた。知床半島の海岸線で異常な隆起が24日見つかったのだ。「音も揺れもなく」起きたことに驚く。過去には房総半島で1677年の延宝房総沖地震M8.3、津波高さ17mで鴨川から茂原にかけて10~18m隆起し隆起段丘が出来ている。

今回は、新聞によると昆布拾いに来た女性が、海岸が若干高いことに気づいたが自分の背丈を超えていたという。

漁協組合長らが目測した結果、隆起は長さ500m以上、幅30~40m、高さは10~20mだった。

隆起の規模は巨大地震だった延宝房総沖地震に匹敵する規模だが、房総ではM8.3、津波17mが発生している。それが知床半島では何の兆候もなかったのだから驚く。

でもこれだけの隆起段丘が出来ているのだから何らかの地殻変動があったはずだ。付近のGPSに変化がなかったのか。今後の調査に注目だ。

特に問題なのは日本の原発は海岸線に立地している。このように突然10mも隆起されたらたまったものではない。新しい世界的に見ても厳しいといわれる規制基準をクリアーしていても何の役にも立たないことになるのだ。


【追記】
他のメデイアでの報道は見当たらなかったが、北海道新聞2015.4.25で海岸線で隆起し、山側では長さ500m、幅200~300m庭田って大規模な地滑りが起きていることが分かったという。現場は住宅などはなくけが人は出ていないようだ。
町長は「何が起きたのか、変化の恐れも有り心配だ」という。
                                      (2015.4.25)

背面で地滑りが起きていることを考えると雪解け水で地滑りが発生し、海底を押し上げたということか。

関連記事
2014.7.29掲載
最大級の延宝房総沖地震再来襲で房総半島10m隆起するのか


日銀、リフレ派が狙う物価上昇2%:悪循環の経済でも良と言うのか、出口戦略は?

日銀やリフレ派、一部エコノミストの狙っている物価上昇2%は、悪循環の経済でも良いと言うのか、その出口戦略をどう描いているのか。日銀の黒田総裁の2%物価目標達成時期がずれ込んでいるし、リフレ派の内閣官房参与の浜田さんは「2%に拘るな」と発言している。そして最近日銀の審議委員にリフレ派が登用された。

当初、「13~15年度の後半にかけて」2年程度での達成を掲げていた黒田総裁、岩田副総裁率いる日銀だったが、「15年度中で多少前後する」から「16年度にずれ込む」発言に変わってきた。

どういう理由が介在しようが、約束した目標達成が不可能になってきたのだから黒田、岩田両氏は潔く辞任すべきではないか。日銀の信用を維持するためにも2人は辞任し、外で2%目標達成に言及すれば良いのではないか。何を言っても責任はないのだから。

そもそも、何故2%だったのかが問題になる。

国会予算委員会で民主党・前原さんから質問されたとき、安倍総理は「2,3,4%といろんな意見が出ているが、一番達成しやすいと思われる2%を選んだ」と答え、前原さんに「その程度のことで特別に意味があったわけではないのだ」と批判されたことがある。前原さんは「今後も追求する」といって次の質問に移った。

その安倍さんに進言したという浜田さんが最近「無理に2%に持って行く必要はない。追加緩和は技術的に難しくなる可能性がある」と発言したそうだ。

何を言っているのか良くは分からないが、日銀が政府の赤字国債を引き受けること自体が財政ファイナンスと見なされ国債への信認が怪しくなっていることを危惧しているのか。

最近、欧州から「国債はリスク資産」として大量保有の金融機関の規制強化に向かっている。我が国でも大手金融機関、日銀は影響が大きい。

そしてFRBは量的緩和終了で金融政策の正常化を目指し利上げのタイミングを狙っている。これは、日銀の政策、日本経済にも大きく影響するはずだ。

諸々のことを勘案しての浜田さんは弱気になったのか。

そして日銀は15年度の物価上昇を0%台後半とみている。

原油安や個人消費の回復が遅れていることで物価が伸びないというのだが、16年度前半には上昇に転じるだろうとみている。30日に開かれる日銀の金融政策決定会合で追加緩和がされるかどうか注目だが、エコノミストの見方はまちまちだ。追加緩和すれば16年度前半には達成という見方もあれば追加緩和しなくても物価は上がってくるとも言う。

でも、追加緩和してジャブジャブ市場にカネを流しても設備投資に回って生産が上がり給料が上がるのではなく、株高などバブル経済の要因になるだけではないか。

円安がどうなるかも注目だ。今118~120円を行き来しているが円安は輸入品高を招き物価高につながる。経済の悪循環だが日銀、リフレ派はこれでも良いと考えているのか。FRBが利上げに踏み切ればドル高、円安で益々円安が進まないか。

さすがに日銀の金融政策決定会合でも量的緩和縮小案が民間委員から提案された。80兆円を追加緩和前の45兆円規模まで縮小したらどうかの発案だったが、1vs8で否決されたという。物価上昇2%に向け強気の日銀だがメンツの問題なのか。

ところで日銀は出口戦略のことを頭に置いて金融政策を進めているのか。国会の予算委員会で民主党議員から「出口戦略」を聞かれた安倍総理は「専門家の判断に任せている」という。2%物価目標を掲げながら出口戦略は知らないでは無責任甚だしい。

政府も最近は安保法制化で頭がいっぱいでアベノミクスへの言及も少なくなった。また、アベノミクスへの否定的発言には官邸が牽制するのでメデイアの発言は極端に減ってきた。メデイアが否定的発言をすると安倍政権への信任が落ちてくるのだ。

石破さんもアベノミクスで地方創生なんて言っているが、誰も本気で信用していない。地方では相変わらず「アベノミクス効果なし」なのだ。

日銀は2%達成時期を重視することから浜田さんの言うように「2%に拘らず」に頭を切り換えていく時期が来るのだろうか。

経済は予め実験が出来ない。だから失敗したら終わりだ。先々のことを丁寧に説明しながら国民経済を主導していくことが必要ではないのか。

期待感ばかり煽っている今の金融政策に疑問が残る。


経済の悪循環でも2%達成ごり押しに向かって欲しくない。黒田さん、岩田さんは責任を取って辞任すべきだ。