2015年4月20日月曜日

他人事でない震災復興自己負担:他人(国)のカネより自分のカネの方が活かせるか

他人事ではない震災復興の自己負担、他人(国など)から交付されるカネよりも自分のカネの方が復興には活きるのではないか。ここ数日メデイアが「復興事業を被災自治体も負担しろ」という話が進んでいることを伝えている。

他人のカネでは無駄な支出が多いが、自分のカネだと真剣に本当に必要な事業に支出するようになるので効率的で無駄がないと思う。自分の事業立ち上げでも謂えることだ。もらえるからもらっておこうでは本当に活きた事業は興せない。

そして考えなければならないことは、被災地は基本的には人口減、高齢化が進む地域でそんな地域の復興に莫大な予算をつぎ込む必要があるかと言うことだ。私も以前「身の丈に合った復興事業」を訴えたが、ある自治体の知事は2020年の東京オリンピックで立派に復興した姿を世界の人に見せたいと言うが間違っていないか。

事の発端は、11年から15年の5年間での26兆8000億円を投資する集中復興期間が切れ16年から新しい復興事業が始まるが国は1000兆円を超える借金を抱え財政健全化も喫緊の課題になり地元自治体にも自己負担しろというのだ。

復興には国民皆が関わっているのだ。決して他人事ではない。復興増税として25年間、所得税に2.1%上積みされているのだ。財務省は全額赤字国債に頼るのではなく、国民に幅広く負担させる手に出た。

そこで、予算編成に余裕代ができ官僚お得意の目的外使用、予算の流用が横行した。民主党政権時の「事業仕分け」でも明らかになったが、事業名だけでは何に支出しているのか分からない。突き詰めていけば復興以外に支出されていたのが分かるのだ、その理由も曖昧で説明にも困るはずだ。

中には使い道がなく国庫へ1兆円返納した例(11年度)もあるし、2014年3月末で9兆円が余っているらしい。復興に向けた有効な手立てが見つからないのだ。

そして、20日のNHKラジオニュースで知ったのだが、16年以降8兆円の事業予算が要求されていたが、精査した結果5兆円に縮小するという。中小企業育成や道路整備は自治体が負担すべきだというのだ。今までの復興事業も総括するという。

当たり前だと思う。財政健全化の必要性はズッと叫ばれてきたことだ。今に限って事業精査なんてとんでもないことだ。

たまたま陸前高田の復興状況を朝日新聞(2015.4.20)が報じている。今までの市街地は津波被害で消滅、新しい街作りは高台に造成することになる。事業費の総額は1202億円、道路や公園などの公共施設の整備費が867億円、宅地造成に204億円、その他として131億円が計上されている。計画イメージ図を見ると、海岸寄りに高さ3mの防潮堤、少し内側に高さ12.5Mの防潮堤を築き、被災地は復興記念公園、かさ上げ地に商業エリア、そして山際に高台造成地が計画されている。

12mの防潮堤は4階建てのビルほどの高さ、被災住民はどう考えているのか。今まで海を見て生活していたが海が見れない不安は大きいようだ。住民の反対運動で当初計画の12mから4mに見直した地域もある。

でも気仙川に堤防を作るわけにはいかないので、10m位の津波が押し寄せると街に流れ込むが造成高さが14mだから大丈夫ということか。

この1202億円のうちで道路や公園などの整備、宅地造成にどのくらいの負担を自治体に求めるのだろうか。確かにありとあらゆる事業を復興整備でやるのは問題だ。

高台移転、堤防整備、原発震災などは国がやるべきだろうが、急がない道路整備とか産業振興は地元のカネで復興するのも一つの手ではないか。自分のカネでやるとなると、優先順位を付けたり、住民同士が集まって事業を検証することも出来るだろう。無駄な事業を省けるメリットは大きい。

個人の事業だって自分のカネで立ち上げた事業には力があるのではないか。又、震災前のあれもこれもでは失敗する。

基本的には被災地域は高齢化、過疎化の街である。人口がドンドン減っていく地域であれもこれもは無駄なことだ。

寺田寅彦博士の随筆を思い出す。大きな津波被害で痛い目に遭ったが、その時は再び痛い目に遭わないように高台移転などの対策を立てるが、時が過ぎるに従って漁港や仕事場から離れていることに不便さを感じて再び被災地に戻ってきて、同じような痛い目に遭うというのだ。

それが人間の性なのだ。
それでも、高齢の一人暮らしで安い木造のアパートで細々と生活していた人たちをどう救済するかだ。復興住宅に何時までもいるわけには行かない。新しいところに移れば生活費も上がるだろう。

決して他人事ではない。私の住んでいる東京・大田区は首都直下地震で都心南部地震の震源域に入り東京に大きな被害をもたらすことが想定されている。

震度7クラスの地震の経験はない。マンションだって震度6には耐えるといっても震度7ではどうなのか。地盤の影響は? 家財道具が倒れるのではなく飛んでくるのだ。東京にも一人暮らしの高齢者がアパートに住んでいる例を多く見かける。そういう人は鉢植えの植物を大事そうに育てているので直ぐ分かる。

私だって今は夫婦で暮らしているが、いつかは一人暮らしになる。マンションの被害だって分からない。群馬に1戸建ての家を持っているのでいざという時は引っ越すことも出来る。屋内の家具類の転倒防止は一応済んだ。一番苦労したのは3段の仏壇だ。仏壇で圧死することは避けられるだろう。

問題は被災後の再建だ。自己資金から考えて何が出来るか。子ども達ともよく相談してみようと思う。

首都直下地震の被害は東北地方太平洋沖地震どころの騒ぎではない。国の負担、自治体の負担、個人の負担をしっかり考えておかなければならない。「自己負担」をいうと復興が遅れるとはまやかしだ。時間はかかっても良いから根を下ろした復興がたいせつだ。


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