2015年4月10日金曜日

闇雲に2%物価目標達成を目指す日銀か:決定会合で80兆円から45兆円への緩和縮小の提案を否決

闇雲に2%物価目標達成を目指すのか、日銀は決定会合で1委員から提案された追加量的緩和の80兆円を45兆円に縮小する議案を1vs8の多数で否決した。日本の景気は、「穏やかな回復基調を続ける」という見方を変えておらずマネタリーベースが年間80兆円のペースで増加するように金融市場を調整するという(2015.4.8 当面の金融政策運営について 日本銀行)。

又、日銀が始めた「量的・質的金融緩和」も所期の効果を発揮しているので、2%物価安定目標の実現を目指し継続すると言うが、木内委員はこの目標の実現を「中長期的」目標に変える議案を提出したがこれも反対多数で否決された(同上)。

日銀は2%物価目標を2015年度を中心とする期間に達成する可能性が高いと出来るだけ早い時期に実現する方針は全く変えていない。

そりゃそうだろう。岩田副総裁は2年で達成出来なかったら辞めると豪語していたのだ。でも黒田総裁も含め2人共実現時期を先延ばしして地位にしがみつくらしい。

黒田総裁は、生鮮食料品を除く消費者物価はエネルギー価格下落の影響から当面ゼロ
%程度だが、原油下落の影響が剥落すれば伸び率を高め2%達成の可能性は高いと言うのだ(総裁記者会見要旨 2015.4.9 日本銀行)。

しかし、民間の調査機関は不可能とみている。そのためにどうしても2015年度に達成を目指すのであれば更なる追加緩和が必要になり市場は期待するのだ。

一方、黒田総裁はことある毎に賃上げに言及しているが、「賃上げ」には失敗したのではないかという記者の質問に黒田総裁は「日銀には賃上げにどうこう言う筋合いはない」と逃げる。賃金が上がって物価が上がると言う要素はあるが、やはり需要が増えて物価が上がりやすい状況になることも極めて重要だという(総裁記者会見要旨)。

失業率、雇用も改善し賃金も上がる、需給ギャップも改善、エネルギー価格下落が剥離すれば今年の秋以降、物価上昇率はかなり加速するだろうとみているのだ(同上)。

今、目標達成が不可能だと言えば市場への影響は大きく、達成可能と言うしかないのだろう。経済の悪循環でも物価が上がれば良いと思っているのだろうか。

ところが以前、経済財政諮問会議でも黒田総裁が「国債はリスク資産」とみられていると指摘していたが、「国債規制案」がバーゼル銀行監視委員会で検討されているという(読売新聞 2015.4.9)。

金利が上がると国債価格は下落し大量に国債を保有している金融機関は損失を抱えることになり経営破綻する危険があるので自己資本の増強などを検討しているらしい。

邦銀の国債保有残高は128兆円で資産の約13%に当たり、英独の4%に較べてもダントツに高い水準だ。日本の銀行は警戒するだろう。

日銀の大量の国債保有も財政ファイナンスと見られる危険があることも指摘されていたが、経済財政諮問会議でも日銀の経営にも留意しなければならないという意見も出ていた。

国会審議でも野党議員が出口戦略で総理に質問したが、安倍総理は「日銀に任せている」と逃げの一手だ。

当初、あれだけ強力な金融政策を訴え、リフレ派の総裁を起用しながら「出口は知らない」ではいい加減すぎる総理ではないか。勿論,うっかり答弁すると市場が動くので注意しなければならないが、日本経済がどう動くかは出口戦略のよるところが大きいのではないか。

日銀の決定会合で圧倒的多数で緩和縮小が否定されたことは不可解だ。そんなに市場にカネを流してどうするのか。こう言う政策は始めるときより終了するときの方が難しい。政権、日銀は難しさを先送りしているのか。


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