2015年8月30日日曜日

新・国立競技場総工費1550億円上限:どういう算定根拠で算出された数字なのか

内閣の支持率にも影響する問題の大きかった旧国立競技場計画が白紙に戻り、新たに新国立競技場の総工費が1550億円に決まった。上限額らしいからこれ以上は増額にならないのだろう。しかし、このはじき出された数字はどういう根拠で積算されたのか。

恐らく費目毎に単価を決め、それに規模を決めて算出したのではないかと推測する。

問題はその単価だ。恐らく今までザハ案で太成建設、竹中工務店がはじいていた単価を使ったのだろうと思うが、それでは見直しにならない。規模を縮小したり今まで算入していた設備を止めたりだけでは本当の見直しではない。

官庁仕様は民間仕様の3割高であることを業者から聞いたことがある。だから見積もりを取るときは「民間仕様でやってくれ」と念を押すことにしていた。

資材、仕様を見直した単価でないと本来の見直しにはならない。人件費などはどの程度の技能を有するかで大きく違ってくる。福島第一原発の工事とかち合って優秀な技術者、ベテランの確保が出来なくなるのではないかという心配があるが、どうだろうか。工事費増の言い訳に使っているかもしれない。

それにしても旧国立競技場のコンペから建設計画作成までのいい加減さは驚くばかりだ。

総工事費が2転3転している。1300億円→3462億円→1625億円→30088億円→2112億円→2651億円→そして今回の1550億円だ(読売新聞 2015.8.29)。

最後の工事費は競技専用、関連施設は取りやめ、VIPラウンジも縮小、サブトラックは仮設、冷暖房なし、座席も6万8000席に縮小したようだ。

アスリート第一で国威を表すことが出来るVIPラウンジを縮小することは良いことだ。豪華な物は必要ない。逆にこれからのメインスタジアムの参考になるのではないか。

しかし心配なのは今回の不祥事の原因が何か、報告、改善がされないままでのコンペが始まることだ。大会組織委員会、文科省、JSCなど関係機関の役割分担、責任分担がどうなっているか。

そして何よりも政治家が介入する機会が残っているかだ。特に文部科学の族議員の暗躍は注意を要する。トラブルを仲裁する代わりに利権に群がり私腹を肥やす例が多いのだ。

旧競技場ではコンペでザハ案が決まったが、審査委員長の安藤さんの弁解記者会見は歯切れが悪かった。あれ以来安藤さんの設計した構築物がやり玉に挙がっていたが、気の毒なことだ。

安藤さんともあろう建築家がザハ案の欠点は知らなかったとは思えない。恐らく族議員の元政治家から奇抜なザハ案が今まで見たこともないデザインのスタジアムとして安藤さんに採用を強要したのではないか。

大会組織委員長の森さんが、生牡蠣のようにベロッとしたデザインは元々好きではなかったと発言していたが嘘だろう。

2550億円の工事費だって何とかなる、後は政府が見てくれるだろうという安易な気持ちは大会組織委員会、文科省、JSCにもあったのではないか。東京都(?)の施設でカヌーかなにかの競技場が1000億円かかることを考えたら2550億円なんてちっぽけな物と発言していたのは森さんだ。


今後は、森さんの口を封じ、どの程度情報公開できるかが安倍政権の使命になる。エンブレムの盗作問題も含め、これ以上世界に恥をさらすことだけは止めてほしい。

中国経済減速:世界的に供給過剰に、これじゃ世の中良いはずないョ

成長率低迷の今の世界経済は供給過剰、これじゃ世の中良いはずはない。石油は米国のオイルシェール、APECの石油のせめぎ合いで生産過剰からガソリンの価格は値下がりで物価を押し下げ、一方消費税増税、消費者の節約志向も強く消費が伸びない。総務省発表の7月の消費者物価指数も前年同月比で横ばい状態だ。

そして今回の上海株式市場の株価急落による世界同時株安は、以前から指摘されていたとはいえ世界第2位の経済大国、世界の工場として世界経済をけん引していた中国経済だが、その実体経済の減速を露わにした。輸出も酷い状況にあるらしい。

日本、ドイツをはじめ東南アジア諸国の経済は中国への輸出に頼っていたため国内経済は供給過剰の状態になり苦戦する。

この中国の実体経済の危機の要因は2008年の4兆元という日本円に換算すると約57兆円(当時)の巨大な景気刺激策にあると言う。これにより公共事業を増大させ、それに関わる企業を興し雇用も創出した。

他国が成長率2%、良くても4%とあえいでいる間に中国は7%という高率な成長率を維持した結果、供給過剰の状態になり、メデイアではガランとして林立する高層マンション、ショッピングセンター、都市開発の状況を報じる。そして、環境対策、安全を後回しにした開発行為は天津大爆発、酷い大気汚染、水質汚濁と悪いイメージに事欠かない。何かイベントをやろうとすると工場の操業を停止して大気を改善するしかない。

中国国内の供給過剰を海外への輸出で対応しようとしているのだろうか。やたらと中国が主導権を持った海外投資などが報じられる。

今回の世界同時株安、中国経済の減速は偏に中国の問題と考えると、リーマンショック後約4兆元の景気刺激策をとっているので大丈夫と見る向きもあるが本当だろうか。習政権は「新状態で市場に委ねる経済政策」を執っているが共産党一党独裁政権では不安視する見方が大きい。

一方我が国はどうか。

需給ギャップを見ると内閣府発表では、2014年10~12月期は-2.3%、6月4日発表の1~3月期が-1.9%だったから供給過剰が改善していない。年率で10~15兆円の需要不足だ。

ところが日銀の発表では14年度7~9月期が-0.4%、10~12月期は枚なし0.%でほぼ釣り合っていると判断し改善していると見るが、雇用統計の数値の扱いに違いがある結果のようだ。

供給過剰では物価は上がらないと言うのが経済の定説()であるが、日銀の2年で2%の物価安定目標達成はどうなるのか。日銀の「量的・質的金融緩和:2年間の結果の検証(日銀レビュー)」によると「概ね想定したメカニズムにより動いている」と効果があったことを強調しているが、2%の物価安定目標の達成可能とみているエコノミストは少ないのではないか。

日銀はいつまで嘘(?)を付いて期待感を煽っているのか。

そこで各国ともに内需拡大による成長率の改善が求められている。我が国の2016年度の概算要求では成長戦略に3.9兆円の特別枠が設けられているが財政再建という喫緊の課題もある。2020年度までにPBの黒字化も政権にとっては悩ましい課題なのだ。

内需拡大、成長戦略は各政権で政策が出されているが、同じような内容を見ると一向に進んでいないのだろう。利得権益者、岩盤規制に果敢に挑戦する必要があるがいつも迫り来る選挙で腰砕けになる。

そして「冨の再分配のシステム」が出来ていないことが内需拡大のブレーキになっているという指摘もある。

中曽根内閣の時の「前川レポート」、福田内閣の時の「21世紀版前川レポート」があるがうまく行かなかった理由として財界が富の分配に抵抗したと言う話だ。

円安が進み生産設備の国内回帰が始まっているようだ。先日は日産の社長が為替110円(?)で国内生産に展開できると言ったニュースが流れたと思う。安倍政権は世界で一番企業活動がしやすい国を目指すといって法人税下げの政策を打ち出し、経団連会長は先日法人税下げの工程表を示せと言った。

法人税も下げ、為替も円安、長期金利も低水準であれば企業家は投資しても良いと思うのだが内需拡大の動きが見えない。

政府の成長戦略は出尽くして代わり映えしない。岩盤規制への改革もこんな物だろう。と言うことを考えて、今度は財界、企業がどう出るかだ。

何時だったか経済団体の代表幹事が「政府ばかりに頼らず、今度は我々企業の番だ」と言ったインタビュー記事が新聞に載っていたが、全くその通りだと思う。


供給過剰の経済では世の中良いはずがない。主役は企業家で政府ではない。

「大阪維新の会」の橋下、松井という政治家:常に騒いでいないと不安な2人か

政治家を辞めると宣言した橋下さんと松井さんが維新の党の最高顧問を辞めたと思ったら、間髪入れず今度は「大阪維新の会」を国政政党に向け新党結成の意向をしめした。常に騒いでいないとメデイアから忘れられる不安を持つ2人なのだろうが、こんな連中が国政に出てくるなんて迷惑な話だ。

メデイアもこれぞ政治ネタと考えて大々的に報じるので2人にとっては好都合なのだろうが、橋下さん、松井さんの政治家としての価値をよく考えて報じるべきではないか。私たちは大阪府政、大阪市政のことが詳しく分からないので「人気があるのだろう」と思うが、大阪の人に聞くと「あっちこっちで喧嘩しているばかりだ」という人もいる。

知事や市長が記者団に向かって「悪口を言ったり、ぼやく」姿を見てどう思うか。「問題提起してよくやっている」とみるか、「愚痴ばっかり言わず自分で解決しろ」と思うか、そこが評価の分かれ目だ。

大阪維新の会が地方政党から国政政党に進出するというのであれば何をするのか、先の維新の党ではダメだったのか。おそらくいろんな人間が入るとゴタゴタして面度臭くなり今度は橋下さんに付いていく連中で「純化」したいのだろう。

取り敢えずは大阪地盤の国会議員が参加するらしい。勢力を見てみると大阪地方区5人、比例近畿6人だ。参院選では全国で候補者を立てると言うが大阪以外の有権者は「橋下頼り」の候補者を支持できるのか。

橋下さんの発言を聞くと「行列の出来る法律相談所」の延長線で多数意見に対して異論とも思える発言をするが、それが全うに聞こえるから不思議だ。松井さんは「維新の党の執行部は永田町病に犯されている」という意味のことを言うが中央政界にあってやっていこうとするといろんな柵があるのだ。

橋下さんらの「安倍政権寄りの是々非々の立場」もあるし、松野執行部の「野党再編」も大事だ。自民党は今402議席の圧倒的多数の議席を持っているので10数人の議席など問題ないだろうが自民党単独採決の批判を避けるためには弱小政党も必要になる。

しかも、安倍さんと橋下さんとの蜜月関係で政権寄りを確保できても、根本的に大阪は自民党大阪府連vs大阪維新の会の構図にあり犬猿の仲だ。果たして2人の考えどうりに出来るのか。

11月には大阪はW選だ。また都構想が姿を変えて出てくるらしい。一度は住民投票で否決されたが1万票程度の差だったと思う。多数決は民主政治の基本だが、本当に多数決で決めるとなると6割超の賛成あるいは反対が必要と言う学者もいる。そういう意味ではこの僅差は多数決で「都構想NO」が決まったとは言いにくい点もある。しかし、都構想で反対し葬り去った反対派がどう動くか。

今度の大阪W選で「橋下、松井にYESかNOか」、府民、市民は決着を付けるべきだ。国政に混乱を招くことだけは回避すべきだ。


2015年8月29日土曜日

それでも違憲の「安保関連法案」が成立する今の政治

国会外では憲法学者や学識者が挙って「違憲」「廃案」を主張し、安保関連法案反対運動が真っ盛りだが、それでも法案が成立(?)する今の政治をどう考えれば良いのか。先の衆院選では自民党vs野党で得票率を見ると五分五分だが小選挙区比例代表制の選挙では自民党が圧倒的多数の議席を得る結果になり、選挙では争点を避けた法案を安倍政権はごり押しする結果になった。

公約には掲げていたのだから公約違反ではないという。マニフェスト制の裏をかいた戦術だ。アベノミクスの成果(?)を強調し議席を現状維持したまま第3次安倍政権は「国民の命、生活を守る」と集団的自衛権行使容認の安保関連法案を国会提出し、今参院で最後の審議をやっている。

審議時間も十分取ったし、質問も同じことの繰り返しだから「もう十分だろう」と9月11日頃参院で採決するらしい。でも「存立危機事態」など集団的自衛権行使事例が揺れている。

要は机上の空論で、実際には「新3要件に当てはめて総合的に判断する」というのが政府の見解のようだ。所謂政府に丸投げの法案で憲法9条による権力側の縛りは曖昧になる。

ところが、国会外では反対運動が盛り上げっている。

今までは年配者、子連れの夫婦、戦争経験者、宗教関係者が主だった国会前集会、デモ参加者も高校生、大学生等のSEALDs、中高年のMIDDLEs、高齢者のOLDs更には最近海外のOVERSEAsと反対運動は広がるばかりだ。

法曹関係者、他のジャンルの学識経験者、著名な学者、108の大学の「有志の会」などが26日集まり講演とデモを企画した。法曹関係者ら300人が「違憲」「廃案」のボードを掲げた報道は目を見張った。

メデイアには法案賛成者も出てくるが圧倒的に反対者の報道だ。そういえば慶大名誉教授で「違憲論者」の小林さんが「合憲論」の憲法学者にデイベートを申し込んだがどうなったのか。やったと聞かないので実現はしていないのだろう。

外交評論家や軍事専門家が今の日本を取り巻く安全保障環境は変わってきた。迫っている危機を回避するには安保関連法案が必要なのだと主張するがそんな事は分かっている。中国や北朝鮮のやり方を見ると何か手を打たなければならないことは分かる。

でも、憲法の解釈改憲は立憲主義にも反して「違憲」とみるべきだろう。我が国の憲法は「硬性憲法」だから世界一改正の難しい憲法だ。国会での衆参別々の発議条件、国民投票と2重にハードルが高くなっている。憲法改正など念頭にない憲法なのだ。

しかし、憲法9条改正は堂々と公約で掲げて争点にし国民の信を問うべきである。

今、「安保関連法案は違憲」から「安倍政権を許すか許さないか」が争点になってきた。

多くの学識者が反対の声を上げているが、社会学者の上野千鶴子さんは「立憲主義の危機だけではない。知性の危機、学問の危機、大学の危機に同感し立ち上がった」という。

安倍総理の目指す改革は偏っている。政治姿勢を正させたいが政権与党の自民党が安倍一色ではどうにもならない。

自分の選挙区の国会議員の言動を確認し「選挙で支持するかどうか」を明らかにすることから始めなければならないか。

明日、30日は国会前集会で10万人が集まる計画がある。全国では100万人の集会だそうだ。時間を見て国会前の行ってみようと思う。


東京オリンピック・エンブレム盗作疑惑:原案は似ていないが最終案は似ていると思うが

28日大会組織委員会が発表したロゴ
原案(左) 修正案(中) 最終案(右)
TOKYO Web 2015.8.28
東京オリンピック・エンブレムの盗作疑惑で大会組織委員会は「原案は似ていない」と言うが最終案はベルギーの劇場のロゴとよく似ている。原案が似ていなければ修正し最終案が似ていても問題ないというのか。

28日、大会組織委員会がやっと記者会見し疑惑問題で「原案ではデザインプロセスが異なりオリジナルである」と独自性を主張した。

先に記者会見した審査委員代表の永井さんは「原案に問題があったのでデザイナーに修正させ、最終案をまとめた」と言う意味の発言をしていた。そんな物「勝手に修正して良いのか」と疑問が残った。

しかし今回の組織委員会の記者会見で提出されたロゴを見てみると、原案は似ていないが最終案はよく似ている。

原案が似ていなければ最終案で似ていても発想、思想、造形が違うと主張できるのか。


素人には分かりにくい弁解だった。

2015年8月28日金曜日

自民党総裁選は無風か(3):安倍一色に塗りつぶされる自民党の異様さ

自民党総裁のイス
岸田、石原派が安倍支持に傾いたことで自民党総裁選は安倍さんの無投票三選に近ずいたが安倍一色に塗りつぶされた自民党に異様さを感じないか。確かに自民党には今参議院で審議中の安保関連法案があり党が結束して成立しなければならない宿命がある。

安倍政権も自民党内で対抗馬が出ることは政権への異論と受け止められては評判の悪い法案の成否に影響が出ることは避けたいところだ。

恐らく官邸はあらゆる手を使って各派閥に働きかけているのだろう。

歯向かう者は敵、干し上げられることは入閣待ちの議員にとっては耐えられないことだろうし、それが今後3年も続くことは派閥の領袖としては避けたいところだろう。

でも、新聞報道によると岸田派の会合で「総裁選は自民党のありようを考える貴重な機会」と岸田さんが言えば「党内にいろんな意見があることを明らかにするために、総裁選をやることに意義がある」と真っ当な意見も出てくるが、多くの意見は「引き続き安倍政権を支えるべきだ」ということになる。

参院選への影響や選挙区での有権者の声を反映しての意見も今の安倍自民党には通用しないようだ。

一方で、今安倍さんに代わって総裁、総理の座についても政策に手詰まり感があり展望も開けないと思えばもう一回休もうということにもなる。3年後の禅譲を期待した方が楽という考えだ。

「自民党内にもいろんな考えがあることを国民に示せ」という正当論に対して安倍政権のファシズム政治は違和感がある。

自民党に多様性がなくなれば自民党は衰退の道を進むことになる。過去には激しい離党も経験したがそういう元気さがなくなってきた。先の衆院の特別委員会での安保関連法案の強行採決の時の自民党委員の無気力さが印象に残る。

安倍一色に塗りつぶされそうな自民党に民主政治を託すことができるか。参院選で審判を下すことになる。

そのためには野党は早く政権奪還に向けての工程を示すべきだ。維新の党も橋下さん、松井さんの離党で変わってくるだろう。政党の主導権争いをしていては国民の信託にこたえられない。


橋下、松井両氏の離党:今、「維新の党」にとってはチャンス、プラス思考で進め

維新の党の最高顧問で創業者の橋下さん、松井さんの離党は、維新の党にとって分裂、混迷を深め存続基盤の弱小化を招くという見方もあるが、ここは維新の党にとってはプラス思考で考えたらどうか。今までもやもやしていたが、今はっきりと党の再構築を考えるチャンスだ。

維新の党は、江田さんの「旧結いの党」と橋下さんの「旧日本維新の会」が合併して立ち上がったが、当初から問題を含んで危ぶまれていた。その名称から橋下さんの発信力、人気に預かる面が大きかった。

だから橋下さんの安倍総理よりの政策か、江田さんの野党再編をめざすのか。国民にも分かりずらい面が多かった。つまり維新の党の立ち位置、旗印がはっきりしないのだ。

安倍政権の補完的存在か、野党再編を目指すのか。今審議中の安保関連法案では対案を出しているがそれがどう影響するのか。自民党は検討する姿勢を示すが根本的には自民党案が一番よいと思っている。「妥協点が見いだせなかった」で終わるのかもしれない。

また、橋下さんは、自分は離党し大阪という地方政治に軸足を置くが、大阪系議員は離党せず維新の党にとどまって野党再編、安保関連法案にしっかり取り組めというが本音なのか。

まだ息のかかった議員を維新の党に残しておいて口出ししようとしているのではないか。それなら離党した意味がない。

今回の橋下さん、松井さんの離党をチャンスととらえ「維新の党」はプラス思考で進まなければならない。そのためには10人ほどといわれる大阪系議員の離党など問題にせず進むべきではないか。

このチャンスを逃したらそれこそ「維新の党」は選挙のたびに埋没してしまう運命をたどることになる。

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2015.8.27掲載
維新の党、橋下、松井両氏離党でできるか党の再構築

2015年8月27日木曜日

維新の党、橋下、松井両氏離党で出来るか党の再構築

いろいろ党内抗争の絶えなかった維新の党の最高顧問である橋下さん、松井さんがやっと離党することになった。これから分裂、解党などを乗り越え国政政党である「維新の党」(勿論政党名を変えることも大事だ)としてどう再構築していくか、現執行部の度量が試される。

橋下さんや松井さんに振り回された国政政党「維新の党」には呆れかえるばかりであったが橋下さん、松井さんが居なくなることで指揮命令系は一本化できるチャンスだが、大阪系議員が残ることは橋下さんにかき回される心配もある。

問題の発端は柿沢幹事長が山形市長選で民主党候補を応援したことで松井最高顧問の逆鱗に触れ「辞任しろ」と要求されたが柿沢さんは辞任を拒否、大阪系議員と執行部の間でいがみ合いが表面化した。

橋下さんは「公開の場で議論したら」と提案するが執行部は拒否、「永田町病に犯された執行部には付き合っていられない」と松井さんは離党を表明、橋下さんも「大阪の地方政治の方にしっかり軸足を移す」と離党を表明していた。

しかし、橋下さんは離党を表明するも維新の党の分裂は避けるべく、「他の大阪系議員は留まれ」と言うが動揺は激しい。橋下さんの人気で当選しているのだから当然だろう。

自分たちは大阪地方政治に軸足を移すが、国政政党の維新の党は安保関連法案、野党再編をしっかりやれと檄を飛ばした。

先日は新聞報道によれば松井さんが菅官房長官と話し合ったり妙な動きもしていたが、これは橋下―松井―安倍ラインの伏線があってのことか。

一体何をしようとしているのか。自民党安倍政権に取り込もうとしても大阪地方政治を考えると大阪では選挙戦は維新の会vs自民党大阪府連で自民党とは犬猿の仲だ。

安倍さんだって9月の自民党総裁選では無投票三選が見込まれているが任期は3年だ。安倍さんをどう利用しようとしているのか。

一方安倍さんだって橋下さんを利用しきれるか。橋下さんの人気と政策推進力に期待して国政への進出、大臣としての登用が新聞で報じられたことがあるが好き勝手なことを言い放題の橋下さんでは何時敵に回るか分からない。何時舌禍が起きるか分からない。こんな危険な人物はいないのだ。

取り敢えずは11月の大阪府知事、大阪市長選だろう。道州制、再び都構想も言われている。一説によると自民党大阪府連は有名人を候補にしようと必死に口説いているらしい。

しかし維新の党は大阪系議員も離党し、すっきりした形で政党名も変えた国政政党として再構築を急いで欲しい。それが野党再編への一歩になる。

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2015年8月26日水曜日

自民党総裁選は無風か(2):今、安倍さんと交代しても展望が開けないか

自民党総裁選の無風状態が続く。今、安倍さんと交代しても展望が開けないとみているのだろうか。自民党総裁選は石原派が安倍支持を打ち出し、岸田派も安倍支持(?)となると安倍さんの無投票再選が濃くなってきた。内閣支持率低下で通常であれば交代のチャンスなのだが対抗馬の動きが鈍い。

従来であると総裁選に出馬してポスト安倍を印象付け要職を経験して総裁の座に上り詰めるのだが安倍さんはポスト安倍の潰しにもかかっている。これでは安倍さんの後、誰が自民党を引っ張って行くのか分からない。政策、政権運営で大きなチョンボでもあれば野党にチャンスが出てくる。

今、安倍政権下での政策を見ると経済政策のアベノミクス、国民の命、生活を守るという安保関連法案、TPPなどは微に入り細にわたるため、ここで安倍さんと政策論争しても不利で自分には利さないと考えても不思議ではない。どれをとっても人気取りになる政策ではない。

安倍さんが蒔いた種は安倍さんが摘み取ればよいと考えているのかもしれない。

寧ろ、禅譲を受けやすくするのが得策で石破さんのように「内閣の一員として政策を全うしたい」と表向き言うことになる。

更に今、表に出ている政策とは別に自分の得意分野での政策を打ち出すことに窮しているのではないか。 

今は安倍さんに続投させ各政策に一応の道筋が付いたとき新しい政権を樹立すると言うことか。

しかし安倍さんに取っても後3年大丈夫か。安保関連法案が成立すれば内閣支持率も下落し「燃え尽き症候群」で体調も思わしくなく、政権放り出しと言うことにならないか。


ポスト安倍が誰か定かでないが、今から切磋琢磨し政策を論じ合う必要があるのではないか。今の金太郎飴の状態は自民党衰退の表れだ。

度重なる日銀の質的・量的緩和:市場の安心感、期待感だけで、実際に効果が出ているのか

今回の中国経済の減速を発端とする世界同時株安、為替変動に対して市場では日銀の追加緩和、政府の更なる経済政策を期待する声が上がっている。経済が変調を来す度に日銀の追加緩和が要求されるが、この日銀の政策が本当に効果があるのか。「ここまで経済が成長軌道に乗ってきたのにこれで腰折れになるのか」という市場の不安に対して安心感、期待感だけで追加緩和等をやっているのか。

「日銀など中央銀行は市場をコントロールできているのか」という考えもある。市場は日銀が動いたという安心から旺盛な(?)動きをしているように見えるが日銀の追加緩和の継続より欧州経済、米国経済の動向で一時の不安が解消できているのではないか。

今回の中国経済の減速は長らく専門家から指摘されていた。多くは中国国内の問題に起因し一時の事態だという意見もあるが、巨大な中国市場、世界の工場を目指した投資は進出企業にとっては死活問題である。

その中国も中央政府による計画経済の社会主義経済からグローバル化を目指した資本主義経済へ転換するのも容易ではないはずだ。習政権は「市場にゆだねる新常態」を提唱し実践しているというが、一方で反腐敗運動などで汚職の追放をやっている結果、疑われるのを恐れて地方政府が公共事業などにしり込みする結果、景気が冷え込んだと新聞が報じている。

ノーハウに乏しい中国がなりふり構わず手を打った結果が今回の事態を招いたと見られていたが、次なる政策を打ち出すことで市場には安心感が漂い欧米市場を中心に一時的(?)に危機解消に動いている。

中国経済の減速は日本経済にも大きく影響した。株価は大きく下落し(25日の東証株価は1万7800円台)、一方で安全資産と思われた円は買われて円高傾向だ(119円台、一時は116円台)。

民主党政権まで苦しんだ円高/株安から安倍総理のリフレ政策採用により円安/株高基調に転換し安倍総理のアベノミクスがはやし立てられたが今回また円高/株安に逆戻り、アベノミクスの危機と言われている。

でも本当に日本経済再生にリフレ政策は効果があったのか。当初からリフレ政策には多くの専門家が疑問を呈していたが、なにぶん実際に市場は動いたのだから効果があったと言うしかなかったが、今では破たんしているという見方が優勢だ。

円安が輸出産業の大企業を潤したが、輸入品の高騰は日常品、原材料の高騰により国内物価が値上がりし消費の低迷、景気の停滞へと日日区結果になっている面もある。賃上げが物価上昇に追い付かなければ「経済の悪循環」の様相を呈するが、その傾向が出ている。

一方、金融政策を担う日銀はどうか。

日銀の2年で2%の物価安定目標も消費税増税の影響や気候変動による消費の低迷、欧州経済の危機などで15年度達成目標から16年度前半に見直されたが目標達成が可能とみているのは日銀、政府や一部安倍政権をヨイショするエコノミストぐらいで皆、半信半疑だ。

また、円高対策として2年でマネタリーベース増の270兆円を目指す質的・量的金融緩和も今270兆円を超え、為替は1ドル124円台まで下落、120円台を行き来している。追加緩和を継続しているのだから素人眼にはまだ円安に進むのかと思ったがそうはいかない。

ギリシャをはじめとする欧州経済、特に米国経済の動向は株価を変動させ追随して円相場に影響が出る。

経済政策は実験ができないから判断を誤って一度でも失敗すると国民生活に大きな支障をきたすことになる。

更に、エコノミストの言うことは1010色だ。同じ経済指標を見ながら考え方が違うので聞いている方で迷ってしまう。テレビのコメンテーターとして自信満々にコメントしている専門家を見ると「本当か」と思うことがある。テレビ局もよくできたもので「結果責任は問わない」のだ。だから予測に失敗したエコノミストがまた懲りずに画面に出ている。

自分が経済学者になったのは「経済学者に騙されないためだ」と言ったのはケインズの高弟だという話は有名だ。

何かあると市場、エコノミストは「追加緩和」を要求し、日銀も安心感、期待感をあおるために追認する。しかし本当にこの政策が効果を挙げているのか。

市場にカネを垂れ流しして、その使い道は何なのか。民間企業は低金利で何に投資しようとしているのか。

供給過剰から需要の掘り起こしは民間企業の責任ではないか。「政府、日銀に頼るな」といえる企業家がいないのか。

2015年8月24日月曜日

GDP世界第2位、成長率7%の中国、その実体は発展途上の大国か

GDP世界第2位、経済成長率7%の中国だが実体は温家宝さんが言ったように発展途上の大国か。広大な国土、13億人を超える人口が世界経済のけん引役として期待されたが、期待が大きかっただけに中国経済の減速は世界同時株安で東証でも前日に較べ24日は900円安で19000円を割った。

中国が成長率を見直したと言っても7%、世界の成長が鈍く2%、良くて4%と言われているときに7%には驚くが誰も本気で信じてはいないようだ。GDPにしても発表される数値の信頼性はない。

他の経済政策と整合しないのだ。中国はドルに対して元安政策をとり対ドルで4.5%下落させた。輸出振興で国内経済の改善を狙った為替競争の様相を呈し、続く金利下げはIMFから警告を受けた。

これらの政策は中国国内の経済の減速を示すもので成長率7%など信じられないのだ。

上述の「発展途上の大国」とは温家宝さんが地球温暖化でCO2削減率を議論しているときにアメリカに次いで世界第2位の排出国である中国が削減率に異議を唱えた。その時の屁理屈が「中国は発展途上の大国」発言だった。

そんな中国が国連安全保障常任理事国で国際ルールを守り世界の安全保障に努めなければならない立場で有りながら各地で領海侵犯、基地の拡大を進めている。中国の実体は「発展途上の大国」なのだから拒否権を持つ安全保障理事国など返上すべきではないか。

そのほかに政治、経済、社会面で国内に大きな問題を抱えている。

国内での権力闘争が激しい。腐敗撲滅運動は習主席vs江沢民派、胡錦濤派で軍部との軋轢もありクーデターの噂も絶たない。

人権問題も大きい。天安門事件に始まり各地で民主化運動が押さえられ、人権派弁護士の失踪、拘束など噂されている。

情報の閉鎖、情報操作も激しい。事件が起こりそれを報道するメデイアの報道内容がカットされている。国民に本当の情報が伝わっていないのだから国民が正当な判断を下せるはずがない。
民主党政権の時、習近平さんが来日したとき天皇との会見を希望したが時期も切迫していたために宮内庁が一旦断ったが、当時の小沢さんが「次に主席になる大切な人」と言うことで会見を強要し顰蹙を買ったことがあるが、この習主席を見て小沢さんはどう思っているのか。

メデイアの報道は悪いことが多い。

経済成長で開発行為が続いたが林立する高層マンションはほとんどが売れていないようだ。ゴーストタウンの様相を呈している。メデイアの報道ではマンションの一区画を買うともう一区画おまけするという話もあった。こんな売れ行きでは維持管理の費用もまかなえず荒廃するまでだ。

大気汚染、水質汚濁をはじめ環境汚染は激しい。我が国にも汚染物質が飛んできて健康被害の心配がある。空はスモッグで覆われ通行人がマスクする姿は異様だ。オリンピックなど国際的イベントがあると政府が工場の操業を止めて青空を取り戻すが終われば元に戻る。

急激な経済発展は安全などに手を抜いている。天津大爆発は危険物の安全管理もおろそかになっていた。こんな国に原子力発電所が建設中も含めて50基以上あるらしい。人材難で安全対策、地震対策も十分でなければ危険きわまりない状況に置かれる。

格差の拡大も大きい。都市での高層ビルと山間部での格差、民族問題も含んで政府との抗争が絶えない。冨を分配するシステムが整っていないのだ。これでは安定した消費は期待出来ない。

そして国内問題での不満を日本など近隣諸国との紛争で誤魔化そうとしている。南沙諸島の強引な埋め立て、基地建設、東シナ海での尖閣諸島の領海侵犯、基地化を狙ったガス井建設は世界の安全、平和を目指す国連安全保障常任理事国のやることではない。中国の軍備拡大は日本など近隣国の軍備増強をもたらすことになる。

低開発国の設備投資を支援するためのAIIBの設立で中国は主導権を握ろうとしたり、発展途上国での港湾施設建設を支援したりして中国を中心とする貿易路の建設も目指しているが、中国国内経済が減速しているのに世界に手を広げすぎて大丈夫なのか。

中国は共産党一党独裁のように見えるが実際には多くの弱小政党がある事をラジオの解説で聞いたことがあるが、共産党一党支配では思い切った政策が取れるメリットもあるが政策も偏る。国際展開するのであれば政策の切磋琢磨が必要で共産党一党独裁では限度があるし、世界が信用しないのではないか。


中国の国内政策と海外展開にチグハグさが目立つ気がするがどうなのか。

2015年8月23日日曜日

迫り来る桜島大噴火?:予知ができて死者ゼロの避難が可能か

桜島に大正3年の「大正大噴火」に匹敵する大噴火が迫っているのか。北海道の有珠山大噴火時のように予知が出来、死者ゼロの避難が可能なのか。桜島には京大防災研・火山活動研究センター長の井口先生が観測所に常駐し桜島の火山活動を常時観測している。

有珠山大噴火では北大・元岡田所長ら研究者の研究が役立ち事前の避難で死者ゼロで評価を得たが、それには住民が異変を感じて所長に連絡したことが発端だったという。

今回の桜島の大噴火の危険も避難解除で帰宅した住民達の日常の異変を関知する姿勢が大事だと思う。

いつも噴煙を上げ時々小噴火で噴煙が鹿児島市内を襲い 日常生活に支障を来してきた桜島の火山性地震が15日、1023回も発生し今までにない状況下で大規模な噴火の可能性が出て福岡管区気象台は1015分噴火情報(居住地区)で噴火警戒レベル4 火口から3km以内に避難準備を発表した。対象地域の77人が避難所に避難した。

避難から解除までの経過をメデイアの報道で追ってみた。

桜島を常時観測している井口先生が鹿児島市の警戒本部体制会議に出席し、有感地震が4回発生し地震活動の状況から今までにない状況だと指摘、噴火の規模は通常の噴火よりも大きい可能性が有り、今すぐに噴火してもおかしくないと述べた。

1516日にかけて山体は急激に膨らみ火山性地震も多発、200万m3のマグマが入り込んだが16日の火山性地震は前日に較べ71回と急激に減った。

気象庁は17日、山体は膨らんだまま火山活動は高止まり、半径3km以内は引き続き警戒を訴えたが、過去に鹿児島市内に多量の灰を降らせた噴火の際も火山活動が高まってから数日間地震や山体膨張が落ち着いてから噴火した例もあるという。

防災研・井口先生も「寧ろ噴火に近づいたと考えた方が良い」と記者団に語った。昭和火口の映像からも噴出物が蓋のように火口をふさいでいることから内部の圧力は高まっているとみる。

井口先生の日テレ記者会見
18日の日テレで井口先生は、地盤変動の速度低下や落ち着いた状態は噴火が起こらないと言うことではない。早い変動から遅い変動もしくは停滞の状況を経て噴火することが多い。「寧ろ噴火が近づいた」と考えるべきだと主張した。

更に火山性地震、地殻変動が活発化すれば噴火の前兆だという。過去の事例から桜島の噴火の傾向なのだろう。

21日に火山噴火予知連絡機が規模の大きい噴火が起きる可能性は15日の時点に較べて低下している公表した。マグマは上昇したが火口近くまでは至っていないというのだ。だが今後も注意深く監視する必要はあるという。

気象庁は新たなマグマの動きを示す地殻変動がなければレベルの引き下げも考えたいという。

22日には2町に対して早めの避難を促す避難準部情報へ切り替え40人が自宅に帰った。

23日には小規模な噴火が4回観測され噴煙が最大で600mまで上がった。気象台は大きな噴火が起きる可能性は低くなったが引き続き厳重な警戒が必要だと言う。

いつものことだが避難住民は早く帰宅し普通の生活がしたいと願うのは当然で自治体も状況が落ち着けば解除し住民の帰宅希望に応えようとするが決して大噴火の危険が去っているわけではない。

気象庁も気象台も自治体も井口先生も今後も厳重な警戒を訴える。

読売新聞 2015.8.23
読売新聞(2015.8.23)によると、1914年の大正大噴火から1世紀マグマの9割は取り戻しているが今回は従来の火道をではなく岩盤に入り込んだ可能性が近いと予知連が解説した。200万m3に上るがどこから供給されたのかは不明という。


活動が沈静化した後で大噴火の可能性があるとは事前予知の難しさが分かる。有珠山噴火の予知のように地域住民の異変の発見が大事なような気がする。決して気を緩めてはいけない。

噴火の規模によっては東京でも火山灰による被害がでてくるのだ。