2015年8月30日日曜日

新・国立競技場総工費1550億円上限:どういう算定根拠で算出された数字なのか

内閣の支持率にも影響する問題の大きかった旧国立競技場計画が白紙に戻り、新たに新国立競技場の総工費が1550億円に決まった。上限額らしいからこれ以上は増額にならないのだろう。しかし、このはじき出された数字はどういう根拠で積算されたのか。

恐らく費目毎に単価を決め、それに規模を決めて算出したのではないかと推測する。

問題はその単価だ。恐らく今までザハ案で太成建設、竹中工務店がはじいていた単価を使ったのだろうと思うが、それでは見直しにならない。規模を縮小したり今まで算入していた設備を止めたりだけでは本当の見直しではない。

官庁仕様は民間仕様の3割高であることを業者から聞いたことがある。だから見積もりを取るときは「民間仕様でやってくれ」と念を押すことにしていた。

資材、仕様を見直した単価でないと本来の見直しにはならない。人件費などはどの程度の技能を有するかで大きく違ってくる。福島第一原発の工事とかち合って優秀な技術者、ベテランの確保が出来なくなるのではないかという心配があるが、どうだろうか。工事費増の言い訳に使っているかもしれない。

それにしても旧国立競技場のコンペから建設計画作成までのいい加減さは驚くばかりだ。

総工事費が2転3転している。1300億円→3462億円→1625億円→30088億円→2112億円→2651億円→そして今回の1550億円だ(読売新聞 2015.8.29)。

最後の工事費は競技専用、関連施設は取りやめ、VIPラウンジも縮小、サブトラックは仮設、冷暖房なし、座席も6万8000席に縮小したようだ。

アスリート第一で国威を表すことが出来るVIPラウンジを縮小することは良いことだ。豪華な物は必要ない。逆にこれからのメインスタジアムの参考になるのではないか。

しかし心配なのは今回の不祥事の原因が何か、報告、改善がされないままでのコンペが始まることだ。大会組織委員会、文科省、JSCなど関係機関の役割分担、責任分担がどうなっているか。

そして何よりも政治家が介入する機会が残っているかだ。特に文部科学の族議員の暗躍は注意を要する。トラブルを仲裁する代わりに利権に群がり私腹を肥やす例が多いのだ。

旧競技場ではコンペでザハ案が決まったが、審査委員長の安藤さんの弁解記者会見は歯切れが悪かった。あれ以来安藤さんの設計した構築物がやり玉に挙がっていたが、気の毒なことだ。

安藤さんともあろう建築家がザハ案の欠点は知らなかったとは思えない。恐らく族議員の元政治家から奇抜なザハ案が今まで見たこともないデザインのスタジアムとして安藤さんに採用を強要したのではないか。

大会組織委員長の森さんが、生牡蠣のようにベロッとしたデザインは元々好きではなかったと発言していたが嘘だろう。

2550億円の工事費だって何とかなる、後は政府が見てくれるだろうという安易な気持ちは大会組織委員会、文科省、JSCにもあったのではないか。東京都(?)の施設でカヌーかなにかの競技場が1000億円かかることを考えたら2550億円なんてちっぽけな物と発言していたのは森さんだ。


今後は、森さんの口を封じ、どの程度情報公開できるかが安倍政権の使命になる。エンブレムの盗作問題も含め、これ以上世界に恥をさらすことだけは止めてほしい。

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