2015年8月7日金曜日

中国、北朝鮮の脅威:安保関連法案がダメならどうなるか

南シナ海、東シナ海での中国の領有権問題、北朝鮮の核開発ミサイル問題は我が国にも大きな脅威になっているが、もし安保関連法案がダメだったらどうなるのか。日本国民の生命、安全を守るためには一国ではどうしようもなく米国との同盟強化で抑止力を高めるためにも安保関連法案は大事だと言う。

一方で、安保関連法案の安倍政権の政治手法を見ると国会審議を経ないで内閣での解釈改憲の先行は立憲主義にも反し「違憲」の見方が専門家、国民の間で強くなっているが、外交官、軍事専門家の間では必要性を訴える。

安全保障の国際環境は時代とともに変わってきているので憲法もその時その時で解釈も変わって来なければならないという。そのためには憲法9条が問題になるが憲法改正までは言及しない。今はハードルが高すぎるのだ。

今までの国会前集会は高齢者、年配者は勿論のこと子連れの親子など若い世代の参加が多かったが、今高校生、大学生も参加し「戦争法案」反対、「平和を守れ」と主張しだした。選挙権が18歳まで引き下げられる事もあって政治に目が行き始めたのだ。

自分たちの世代に大きく影響する安保関連法案だから発言すると言う。良い傾向なのだ。安保関連法案が若者の政治に対する意識を変えようとさせているのは安倍さんの功績ではないか。

先日、この安保関連法案を構築する仕事の携わったという磯崎首相補佐官の「法的安定性は関係ない」発言が大きく取り上げられ参考人招致で他の例に漏れず「発言撤回」した。

しかし、首相側近の礒崎さんの「国民の命を守るためには法的安定性は関係ない」という考えはズッと官邸内にはあったと思う。その考えに基づいて安保関連法案を構築していったのが今審議されている法案だ。

では、「法的安定性は必要だ」と言うのであれば今審議されている法案の「どこを修正しなければならないのか」をしっかり問うべきではないのか。

「法的安定性は関係ない」という意識で法案を作るのと、「法的安定性は必要」という意識で法案を作るのとでは大きく違うはずだ。もし変わらないというのであれば法案の存在意義を疑う。
ところで衆院特別委員会で約120時間を経て参院に法案が回ってきたが、相変わらず同じような質疑をやっているように見えるが想定する各種事態も詳細には決まっておらずこれから決めるという。

いろんな事態に当たっては「武力行使の3要件」により「総合的に判断する」として詳細については手の内を明らかにすることは出来ず言及しないようだ。時の政権の判断次第ということは野党にしてみれば権力に「縛り」が効かないことになる。総理によっては自衛隊を出動させることも出来るし、出動させないこともあるのだ。

でも法案が対象にしている国、脅威は中国、北朝鮮である事が明らかにされた。

中国は南シナ海で埋め立て、基地化、東シナ海の尖閣諸島の領海侵犯、11基ものガス油田は軍事施設への展開も心配されている。国連安全保障常任理事国である中国は世界の平和、安全に勤めるべきであるが自らが紛争国の当事者になっている無法国家の様相を呈しているから国連の調停は期待出来ず、中国のやりたい放題だ。

国際司法裁判所への提訴も拒否するのだから調停の手段もない。

北朝鮮の核ミサイル、核開発は確かに周辺国のみならず米国の脅威にもなっている。米国との直接交渉を望んでいろんなことをやってくれる北朝鮮だが、常に騒いでいないと存在を忘れられる哀れな国である。

しかし、この中国も習主席の行方次第だ。独裁者だから常にクーデターの心配がある。国家のトップが変わればまた対応も変わってくるのだが、それを待っていては政治、外交ではない。

実際問題として安保関連法案がダメだったらどうすれば良いのか。

米国は今も「尖閣諸島は安保体制の範囲内」と言っているので抑止力があるとすれば中国はこれ以上の不法行為はしないだろう。脅威も未然に防止できるだろうがそこは中国と日本、米国の駆け引きだ。中国がどこまでやるかだが、一触即発の手前までで戦争状態にはならないだろう。こんな状態でも戦争状態に手を出した方が分が悪いのは明白だ。

だから、海保で手に負えなければ自衛隊が出てくることになるが、海上警備行動か治安活動かなどが問題になりそうで法の運用を変えるか、領海警護法案が必要かもしれないという。
また、70年安倍談話次第では緊張を緩和することもできるだろうが、それも中国や韓国、北朝鮮がどう考えるかだ。理解するなど期待出来ないか。

権力闘争に負けて習主席が退陣すれば状況はかわってくるだろうが、良い方向とは決まっていない。獲得した利権は守るのが常識だろう。

安保関連法案が成立したとしても集団的自衛権行使はそう簡単にはいかないだろう。

状況が大きく変わるとは思えない。米軍は一国完結型だから自衛隊が戦線で戦うことは要求しないだろう。出来ることは兵站で後方支援だ。だから政権はリスクは少ないと言うが戦争では兵站は最重要課題だ。後方支援を断ち切ることも相手国にとっては重要な戦術だ。

兵員、武器輸送や燃料補給を要求される可能性は強いが決して安全な業務ではない。


アメリカとの同盟関係を良くするには集団的自衛権の行使、安保関連法案は必要だろう。今夏までに成立させる約束をオバマ大統領としてしまった。抑止力を高めても今以上の事態にはならないだろうが、更なる改善は外交力だ。 

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