2015年8月26日水曜日

度重なる日銀の質的・量的緩和:市場の安心感、期待感だけで、実際に効果が出ているのか

今回の中国経済の減速を発端とする世界同時株安、為替変動に対して市場では日銀の追加緩和、政府の更なる経済政策を期待する声が上がっている。経済が変調を来す度に日銀の追加緩和が要求されるが、この日銀の政策が本当に効果があるのか。「ここまで経済が成長軌道に乗ってきたのにこれで腰折れになるのか」という市場の不安に対して安心感、期待感だけで追加緩和等をやっているのか。

「日銀など中央銀行は市場をコントロールできているのか」という考えもある。市場は日銀が動いたという安心から旺盛な(?)動きをしているように見えるが日銀の追加緩和の継続より欧州経済、米国経済の動向で一時の不安が解消できているのではないか。

今回の中国経済の減速は長らく専門家から指摘されていた。多くは中国国内の問題に起因し一時の事態だという意見もあるが、巨大な中国市場、世界の工場を目指した投資は進出企業にとっては死活問題である。

その中国も中央政府による計画経済の社会主義経済からグローバル化を目指した資本主義経済へ転換するのも容易ではないはずだ。習政権は「市場にゆだねる新常態」を提唱し実践しているというが、一方で反腐敗運動などで汚職の追放をやっている結果、疑われるのを恐れて地方政府が公共事業などにしり込みする結果、景気が冷え込んだと新聞が報じている。

ノーハウに乏しい中国がなりふり構わず手を打った結果が今回の事態を招いたと見られていたが、次なる政策を打ち出すことで市場には安心感が漂い欧米市場を中心に一時的(?)に危機解消に動いている。

中国経済の減速は日本経済にも大きく影響した。株価は大きく下落し(25日の東証株価は1万7800円台)、一方で安全資産と思われた円は買われて円高傾向だ(119円台、一時は116円台)。

民主党政権まで苦しんだ円高/株安から安倍総理のリフレ政策採用により円安/株高基調に転換し安倍総理のアベノミクスがはやし立てられたが今回また円高/株安に逆戻り、アベノミクスの危機と言われている。

でも本当に日本経済再生にリフレ政策は効果があったのか。当初からリフレ政策には多くの専門家が疑問を呈していたが、なにぶん実際に市場は動いたのだから効果があったと言うしかなかったが、今では破たんしているという見方が優勢だ。

円安が輸出産業の大企業を潤したが、輸入品の高騰は日常品、原材料の高騰により国内物価が値上がりし消費の低迷、景気の停滞へと日日区結果になっている面もある。賃上げが物価上昇に追い付かなければ「経済の悪循環」の様相を呈するが、その傾向が出ている。

一方、金融政策を担う日銀はどうか。

日銀の2年で2%の物価安定目標も消費税増税の影響や気候変動による消費の低迷、欧州経済の危機などで15年度達成目標から16年度前半に見直されたが目標達成が可能とみているのは日銀、政府や一部安倍政権をヨイショするエコノミストぐらいで皆、半信半疑だ。

また、円高対策として2年でマネタリーベース増の270兆円を目指す質的・量的金融緩和も今270兆円を超え、為替は1ドル124円台まで下落、120円台を行き来している。追加緩和を継続しているのだから素人眼にはまだ円安に進むのかと思ったがそうはいかない。

ギリシャをはじめとする欧州経済、特に米国経済の動向は株価を変動させ追随して円相場に影響が出る。

経済政策は実験ができないから判断を誤って一度でも失敗すると国民生活に大きな支障をきたすことになる。

更に、エコノミストの言うことは1010色だ。同じ経済指標を見ながら考え方が違うので聞いている方で迷ってしまう。テレビのコメンテーターとして自信満々にコメントしている専門家を見ると「本当か」と思うことがある。テレビ局もよくできたもので「結果責任は問わない」のだ。だから予測に失敗したエコノミストがまた懲りずに画面に出ている。

自分が経済学者になったのは「経済学者に騙されないためだ」と言ったのはケインズの高弟だという話は有名だ。

何かあると市場、エコノミストは「追加緩和」を要求し、日銀も安心感、期待感をあおるために追認する。しかし本当にこの政策が効果を挙げているのか。

市場にカネを垂れ流しして、その使い道は何なのか。民間企業は低金利で何に投資しようとしているのか。

供給過剰から需要の掘り起こしは民間企業の責任ではないか。「政府、日銀に頼るな」といえる企業家がいないのか。

0 件のコメント: