2015年8月30日日曜日

中国経済減速:世界的に供給過剰に、これじゃ世の中良いはずないョ

成長率低迷の今の世界経済は供給過剰、これじゃ世の中良いはずはない。石油は米国のオイルシェール、APECの石油のせめぎ合いで生産過剰からガソリンの価格は値下がりで物価を押し下げ、一方消費税増税、消費者の節約志向も強く消費が伸びない。総務省発表の7月の消費者物価指数も前年同月比で横ばい状態だ。

そして今回の上海株式市場の株価急落による世界同時株安は、以前から指摘されていたとはいえ世界第2位の経済大国、世界の工場として世界経済をけん引していた中国経済だが、その実体経済の減速を露わにした。輸出も酷い状況にあるらしい。

日本、ドイツをはじめ東南アジア諸国の経済は中国への輸出に頼っていたため国内経済は供給過剰の状態になり苦戦する。

この中国の実体経済の危機の要因は2008年の4兆元という日本円に換算すると約57兆円(当時)の巨大な景気刺激策にあると言う。これにより公共事業を増大させ、それに関わる企業を興し雇用も創出した。

他国が成長率2%、良くても4%とあえいでいる間に中国は7%という高率な成長率を維持した結果、供給過剰の状態になり、メデイアではガランとして林立する高層マンション、ショッピングセンター、都市開発の状況を報じる。そして、環境対策、安全を後回しにした開発行為は天津大爆発、酷い大気汚染、水質汚濁と悪いイメージに事欠かない。何かイベントをやろうとすると工場の操業を停止して大気を改善するしかない。

中国国内の供給過剰を海外への輸出で対応しようとしているのだろうか。やたらと中国が主導権を持った海外投資などが報じられる。

今回の世界同時株安、中国経済の減速は偏に中国の問題と考えると、リーマンショック後約4兆元の景気刺激策をとっているので大丈夫と見る向きもあるが本当だろうか。習政権は「新状態で市場に委ねる経済政策」を執っているが共産党一党独裁政権では不安視する見方が大きい。

一方我が国はどうか。

需給ギャップを見ると内閣府発表では、2014年10~12月期は-2.3%、6月4日発表の1~3月期が-1.9%だったから供給過剰が改善していない。年率で10~15兆円の需要不足だ。

ところが日銀の発表では14年度7~9月期が-0.4%、10~12月期は枚なし0.%でほぼ釣り合っていると判断し改善していると見るが、雇用統計の数値の扱いに違いがある結果のようだ。

供給過剰では物価は上がらないと言うのが経済の定説()であるが、日銀の2年で2%の物価安定目標達成はどうなるのか。日銀の「量的・質的金融緩和:2年間の結果の検証(日銀レビュー)」によると「概ね想定したメカニズムにより動いている」と効果があったことを強調しているが、2%の物価安定目標の達成可能とみているエコノミストは少ないのではないか。

日銀はいつまで嘘(?)を付いて期待感を煽っているのか。

そこで各国ともに内需拡大による成長率の改善が求められている。我が国の2016年度の概算要求では成長戦略に3.9兆円の特別枠が設けられているが財政再建という喫緊の課題もある。2020年度までにPBの黒字化も政権にとっては悩ましい課題なのだ。

内需拡大、成長戦略は各政権で政策が出されているが、同じような内容を見ると一向に進んでいないのだろう。利得権益者、岩盤規制に果敢に挑戦する必要があるがいつも迫り来る選挙で腰砕けになる。

そして「冨の再分配のシステム」が出来ていないことが内需拡大のブレーキになっているという指摘もある。

中曽根内閣の時の「前川レポート」、福田内閣の時の「21世紀版前川レポート」があるがうまく行かなかった理由として財界が富の分配に抵抗したと言う話だ。

円安が進み生産設備の国内回帰が始まっているようだ。先日は日産の社長が為替110円(?)で国内生産に展開できると言ったニュースが流れたと思う。安倍政権は世界で一番企業活動がしやすい国を目指すといって法人税下げの政策を打ち出し、経団連会長は先日法人税下げの工程表を示せと言った。

法人税も下げ、為替も円安、長期金利も低水準であれば企業家は投資しても良いと思うのだが内需拡大の動きが見えない。

政府の成長戦略は出尽くして代わり映えしない。岩盤規制への改革もこんな物だろう。と言うことを考えて、今度は財界、企業がどう出るかだ。

何時だったか経済団体の代表幹事が「政府ばかりに頼らず、今度は我々企業の番だ」と言ったインタビュー記事が新聞に載っていたが、全くその通りだと思う。


供給過剰の経済では世の中良いはずがない。主役は企業家で政府ではない。

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