2021年7月31日土曜日

菅総理の覚悟?:ワクチン接種で感染者数をどのくらいに抑えるのか

 

菅総理は「自らの責任」を問われ、「今の感染状況を早く収めること」と抽象的な表現で誤魔化しているようだが、ワクチン接種でどのくらいまで感染者数を抑えれば成功と見ているのか。 

考えられる感染者数は2000人ぐらいではないか。高い数値の方が達成しやすいが、どうだろう。 

31日の東京の感染者数に注目していたが初めて4000人超えの4058人と言う。今週に入って3177人→3865人→3300人→4058人だ。これじゃ専門家のシミュレーション通りの感染者数の推移ではないか。 

8月中に5000人も可能だ。ただ、30日の記者会見で少しは危機感が伝わったのか人出も減少する結果になった。尾身会長の「行動の変容を」と言う訴えが聞いたのか。

でもこれからだ。帰省、夏休み、お盆など人の動きは活発になる。ニューヨークタイムズも指摘しているように「オリンピック開催」が「気の緩み」となっているのではないか。 

不要不急の外出の自粛を求めていることとオリンピック開催の整合性が出来ていない。「テレビ観戦」と言うだけでは効果はないだろうが、テレビ画面を見ていても抱き合って喜んだり、マスクをはずしていたり密な観客だ。IOCは注意喚起するが効果があるのか。 

プレーブック違反が出てきた。ジョージアの選手が無断で観光のため外出したと言う。メダル剥奪はないが、選手村には戻れないと言う。 

CDCは新しい情報として水疱瘡並みの感染力があると警戒を強めている。 

菅総理では対応が難しい状況になってきたのではないか。「引責辞任」ぐらいしなければ若者層へのインパクトはない。

菅総理は「国民の安全、健康守る」約束を果たしていない、引責辞任すべきでは

 

菅総理は東京オリンピック開催に絡んでも「国民の安全、健康を守るのが私の責任」と言い続けているが、もう約束を守りきれないのではないか。即刻辞任すべきだ。 

7月29日の記者会見でも記者から菅総理の責任について追求があった。菅総理は「ワクチン接種」を勧めていると何時も答える。 

拡大感染の責任を問われると「今の状況を早く収めるのが私の責任」と切り交わす。

しかし、国民は今の感染状況、今後も爆発的感染が続くことに「国民の安全、健康を守っているのか」と疑問を抱いているのだ。

このまま行けば病床の利用率も急増し、医療逼迫にかかわる。だから医療機関は危機感を募らせる。政府は一般医療を犠牲にしてでもコロナ用のベッドを確保しようとしているが、こういう状況はすでに国民の健康、安全を守れない状況にあるのではないか。 

記者は何故、この点を追及しないのか。「国民の安全、健康を守れている状況とはどういう状況なのか」と。

検察の民意が問われる?:安部前総理「夕食会」で2件「不起訴不当」議決

 

公的行事である「桜を見る会」に後援会員を多数参加させ、その前夜に「夕食会」を高級ホテルで開催した件に関して公選法違反、政治資金規正法違反に問われた安倍前総理が不起訴処分受けたことで弁護士らが検察審査会に審査を申し立てていた。

その審査結果が30日公表され、2件について安部前総理に対する「不起訴不当」の審議結果が出た。当然だ。総理大臣の座にあった現役の安倍さんにかかわる公選法、政治資金規正法違反事案は検察特捜部にとっても扱い難い案件であったはずだ。 

安部前総理は審議結果を受け、「私としては当局の対応を静かに見守りたい」と再び検察が「不起訴」処分にすることを期待したコメントを発表した。 

検察特捜部の政治家に対する事案に対して「かちかちの法解釈」にこだわり不起訴事案が多い。それに対して検察審査会が不起訴不当の審決を再捜査の結果、菅原前経済産業相が略式起訴された最近の事例がある。捜査を進めるうちに違反事例が次々に出てきたのだ。 

今回の安部前総理の事例でも家宅捜査もせず、十分な関係者から聴取していないことが指摘されている。現役閣僚、総理大臣では「手抜き捜査」が横行しているのではないか。事案が発覚すれば即、家宅捜索すれば多くの資料は確保できただろうが、時間が経つと関係資料を削除したり廃棄したり、口裏あわせで捜査し難い。 

参考になる事例として、経済産業相だった小渕優子さんの後援会で同じような事案が発覚したとき、特捜部は発覚後10日と言う早い時期に家宅捜索したことがあるが、後援会はPCHDをドリルで穴を開け破棄していたのだ。大胆なことをやると驚いたほどだが、もし政治資金規正法関連の証拠が集まれば、群馬県政に大きく影響及ぼすと見ていたのであくどい行為に出たものだ。 

しかし、小渕裕子さんは「分からないことが多すぎる」と議員辞職し、次の選挙で返り咲いた。 

安部前総理も見習うべきではないか。「知らぬ存ぜぬ」で責任回避できると思っているのであれば、この辺で一撃すべきだ。

新聞報道によると2件が「不起訴不当」となったようだ。一つは夕食会の費用補填は利益供与で寄付行為になり公選法違反になる。検察審査会は一部の参加者を聴取したり家宅捜索していなかったので証拠不十分としたのだ。 

2つ目は、後援会の「晋和会」の会計責任者の選任監督責任で政治資金規正法違反だ。後援会活動は国会議員と一体だ。国会議員は責任逃れしているが政治資金規正法から考えると議員に最終責任を負わせるべきだ。

今回はいずれも「不起訴不当」の判断だ。地検は再捜査するが「起訴相当」ではないために再捜査はどうなるか。 

安部前総理は「当局が自分を起訴できるはずはない」と見ているのだろうが、小渕優子さん、菅原一秀さんの事例からも不公平な判断があってはならない。

 

2021年7月30日金曜日

響いたか、7月30日記者会見:菅総理「最後の緊急事態宣言に」、尾身会長「行動変容を」

 

緊急事態宣言下でも人流は大きく減少しない一方で、感染者数は爆発的感染拡大で東京は30日3300人で3日続けて3000人超え、今まで「様子見」だった政府も危機感を大きくし、専門家も「危機感の共有」が大事と警告する。

ここ1ヶ月が本当に山場だ。今のままで行くと8月21日は5200人を超えると京大の西浦先生は予測する。 

そこで、政府は8月2日から31日まで緊急事態宣言を発出したり、延長したり、「まん延防止策」を適用する自治体を発表した。 

菅総理は30日の記者会見で「今回が最後の緊急事態発出にしたい」という。尾身会長も同席した。 

国民や記者が重視している点は、「緊急事態宣言下でどうして感染者数が減少しないのか」、「東京オリンピック開催が関係しているのではないか」と言うことなのだが菅総理の考えに目新しさはまったくない。 

菅総理は尾身会長がロックダウンに触れたことで、ロックダウンしても減少したかと思ったら増加に転じる事例は海外で多い。ロックダウンよりワクチン接種と自前の政策を評価した。 

「ワクチン接種」「65歳以上の感染者は3%」「新しい治療法の採用」「人流は減っている」「オリンピック観戦は家出テレビで」という。

一方、尾身会長は「行動変容」を訴える。感染経路は分かっている。「人数」「場所」「普段会わない人と会う」など。大人数で騒いだり、今まで感染者が発生したり、クラスターが発生した場所には行かない、普段あっていない人と会うことは危険があるのだ。 

皆で外出自粛すべきなのだ。尾身会長は自嘲気味に面白いことを言っていた。不要不急の外出自粛と言うが私は今日、こういう場所に来ていると言う。 

何故、4回にもなる緊急事態宣言で効果が出ないのか。新聞報道ではニューヨークタイムズが「オリンピック開催が「この緩み」となっている」と指摘している。これこそ危機感の共有に最もかける要因だ。 

若者の感染者が増えているし、職場、学校関連施設でのクラスターが多発している。大人が外で感染して帰り、家族にうつしている事例が多いらしい。 

安倍政権時代の緊急事態宣言では安倍前総理は「7割、人との接種を減らせ」と具体的数値を掲げて国民に訴えた。当時北大教授だった西浦先生の「8割削減」を採用したのだ。1回目の緊急事態宣言だったためか、具体的数値を上げての説得が効果をもたらしたのかは分からないが、具体的目標をしめすことが重要だ。 

そして、当然に菅総理の責任問題も出てきた。 

総理の責任としてはワクチン接種を進め、拡大の責任については今の状況を早く収めることが私の責任と言う。 

菅総理は「国民の安全、健康を守ることが私の責任」と言うが、ではどういう状況になれば責任を果たしていないと言うのか。記者に確認してほしいと思う。医療機関が逼迫し病床の利用が難しくなり一般の診療が出来なくなることは国民の健康、安全を守っていないことにならないか。

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2021.7.29掲載

菅総理に今大事なこと:安心データで「様子見」より、不安データで「決断」を yamotojaoan.blogspot.com/2021/07/blog-post_49.html

危機感が共有できない?:真逆の情報の混在、菅メッセージの「安心バイアス」

 

29日、3865人の「爆発的感染拡大」、モニタリング会議では8月11日には4532人、緊急事態宣言下でも感染者数に改善が見られない。菅総理は「65歳以上の感染者は3%、ワクチン接種、新しい治療薬の採用などで「心配ない」と言う。人流も「車の制限、テレワーク、五輪は家庭で観戦」で減少すると見ているのだ。 

東京オリンピック開催との関連では「ワクチン接種、毎日検査」「人流の減少」「バブル方式」での安心安全な大会を目指している。IOC、組織委員会も五輪関係者の感染は193人、オリンピックと東京都はパラレルワールド、東京の爆発的感染拡大とは無関係という。 

しかし、オリンピック関係での詳細な情報は分からない。バブル方式は崩れているし、選手や関係者の動きにも不安を感じる。プレイブックを守っているからと言っても、そのプレイブックにも疑問が出てきている。 

危機感が共有できない一番の問題は政府、東京都や政治家の発する情報に真逆の情報が飛び交っているのだ。菅総理も自分に都合のいい情報を多用するが、深堀すれば疑問だらけで整合性されていない。 

新しい情報を発するのかと思うと、以前からの情報の繰り返しだ。「ワクチン接種」「人流の減少」「いろんな人の情報も分かっている」「危機感を持って対応」などもう聞き飽きたコメントだ。 

菅総理が言う「人流の減少」も確かに確認できるが、その減少幅が小さいのだ。何故減少幅が少ないのかについてコメントしていない。 

専門家は、このままで行くと医療体制が逼迫するのは目に見えているという。政府や都は病床利用率には余裕がある。更に一般診療を控えてコロナ関連で病床の確保を依頼したと言う。 

しかし、今は利用率が低くてもこのままで行くと一気に逼迫するとすべての医療関係者は警告する。 

一般診療を控えてコロナ用のベッドを確保すること事態、医療危機ではないのか。ベッドにまだ余裕があるから大丈夫なのではなく、感染者数を減らすことが大事なのだ。

以前と違うところは、デルタ株のまん延で感染速度が上がっていること。65歳以上はワクチン接種(?)で重症化、死亡が低くなっているが、今は、30,40,50歳台の感染者が増えている。感染しても軽症で重症化しないというが決してそうではないらしい。 

若者で「ワクチン接種」が低率だし、「かかっても軽い」と言う安心感から危機感が伝わっていない。自分にかかることだけを考え他人にうつす事の重大さを考えていない。 

今、クラスターの発生は企業、学校関係が多いらしい。クラスター発生を減らすことが感染者数減少には重要だ。 

専門家もシミュレーションを発表しているが、内容がまちまちだ。野村総合研究所はワクチン1回接種が40%になれば感染者数は減少するとの報告書を発表した。菅総理はこの報告に飛び込んだ。ワクチン接種効果の点で評価したのだろうが、尾身会長は70%になっても期待はできないと否定した。 

京大の西浦教授は今の増加率が続けば、8月21日には感染者数は5235人になると予測している。どうもこっちの予測の通り進んでいるのではないか。 

そして、一番の問題は「オリンピックをやっているのだからこれぐらいはいいだろう」という国民の判断だ。人出が減らない。役人が大勢でゴルフ大会をやったり、送別会をやったりしたニュースが流れている。週刊誌では有名人が大勢集めて深夜までドンちゃん騒ぎしている。 

外出を自粛と言っても仲間と集まって酒を飲むコミュニケーションは若者には欠かせないようだ。

何故、1ヶ月の我慢が出来ないのか。

緊急事態宣言発出でも人流が大きく減らない、そのため感染拡大が続く。 

尾身会長は「危機感を共有」「メッセージが届かない」と警告を発する。

政治家や官僚の中には真逆な情報を流す。安全サイドの発言が多いのだ。菅総理に忖度しているのか、他に効果のある対策案が無いためか。

国民はこんな状況を良く知っている。「安全バイアス」の要因になっているのだ。

 

2021年7月29日木曜日

IOCは東京の爆発的感染拡大は五輪とは無関係、パラレルワールドと言う

 29日の東京の新感染者数は3865人、東京のモニタリング会議では8月11日には4532人になると予測している。勿論、経験のない爆発的感染拡大だ。都民が恐れていたことが現実味を帯びてきた。

更にIOC広報部はコロナウィルス感染はパラレルワールドみたいなものでオリンピック関係者が広げたということにはならないという。組織委員会も関係者の感染は193人でうち、2人が入院しているという。

IOCは最も検査が行われるコミュニテイ―で、一番厳しいロックダウンの制限が選手村にはひかれているというのだ。だから、東京で感染者数は爆発的に拡大していることとは無関係と言う。

つまり、バブル方式で厳重に管理されており感染者数も少ないオリンピックコミュニテイ―と4000人、5000人に迫ろうとしているバブル方式外の東京とは別世界という考え方なのだ。

IOCは以前にも、五輪開催は日本の当局が判断することと責任逃れしていた。一番有観客の開催にこだわったのはIOC自体ではなかったか。菅総理だって中止の選択肢はないと言ってた。

だったら、東京もロックダウンしたらどうか。オリンピックのボランテイア関係者も引き上げることだ。IOCだけで何ができるというのか。

IOCも今の東京、日本の爆発的感染拡大に理解を示すコメントを発するべきではないか。


物議をかもす菅総理の退邸時の会見、一層のこと止めたらどうか

28日、東京の新感染者数が3177人になった時、官邸では関係者が集まって協議したはずだ。待ち受ける記者は「どうだったのか」聞きたいところだ。しかし実際は「総理」と声をかけても一瞬見ただけで何も言わず通り過ぎた。

この映像はテレビで放映されたので私も見た。「肝心な時に何も話せないのか」とあきれたものだ。

ところが、29日になって官房長官が言い訳をした。「その時点では申し上げる状況になっていなかったのでぶら下がりは受けない」と言うことだったそうだ。

「答える内容がなかった」とはどういうことか。協議したのならどういう内容で協議し、こうなった」ぐらいは言えるのではないか。大事な時に、結論も出ずに協議を打ち切って退邸したのか。

やっぱり「菅と言う男は大したことはない」と言うことだ。

世界に対しても格好悪いからこんな囲い込み会見はやめた方がいいのではないか。菅総理はきちんとストーリーができないと話すことが苦手なのだ。 

菅総理に今、必要なこと:安心データで「様子見」より不安データで「決断」では

 菅総理は現下の感染者数の増加をどう理解できているのか。今、菅総理に大事なことは「安心データ」による「様子見」より「不安データ」による「決断」ではないか。「様子見」だけでは国民の安全、健康は守れない。

五輪開催について、菅総理は人流が減少しているので心配ないという。減少傾向は見れるが、期待されたほどの減少ではないのだ。専門家がこのままいくと医療のひっ迫は明らかという。この辺を菅総理はどう理解しているのか。

ワクチン接種で高齢者の重症化は減っている、逆に若者の感染が増えているが若者は重症化しにくい。医療では通常医療を控えベッドをコロナ感染者に充てるようにしているから医療ひっ迫にはならないと思っているのか。

専門家は危機の共有ができていない。メッセージの出し方に工夫がいると指摘する。菅総理のメッセージが国民に届いていないとよく指摘されている。西村さんや河野さんが頑張っているじゃないかとでもいうのか。

菅総理、小池さん、西村さんともども「五輪観戦は家でテレビ観戦を」と言っているが若者には通じていない。友達と会い、酒を飲んでコミュニケーションが大事なのだ。

ワクチン接種に感染拡大防止の期待が大きい。野村総研レポートでの1回でも接種した割合が4割を超えると感染者数が減少に向かうに希望を持っているらしい。しかし、これ以外のレポートも菅総理は理解していると西村さんは言う。

本当に菅さんがどの程度理解しているのか。毎日官邸を後にするときは記者の質問にこたえていたが、3177人になるとスルーした。小池都知事も同じだ。

危機管理とは、「いま起こっていないことを想定すること」と歴史学者の磯田さんが考古学の研究から導き出している。

今、菅さんに必要なことは、オリンピックを「途中中止」し、パラリンピックの中止だ。

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2021.1.16掲載

政府がやるべき次の一手は「塔子湯オリンピックの中止」しかない yamotojapan.blogspot.com/2021/01/blog-post_35.html


東京都・局長の「不安をあおるな」発言:では、安心できるデータを示せるのか

 28日の東京も緊急事態宣言下での新感染者数が3177人、近県の神奈川1051人、千葉577人、埼玉870人、3県も協議し緊急事態宣言を要請する予定だという。全国の感染者も10000人にちかづく。それでも海外の感染者数に比べれば桁違いなのだ。

メデイアは人出は減らない。滞留人口も以前の宣言下に比べ減少幅が小さい。情報番組での映像も人出は多い。若者が夜たむろしている。若者のコメントも他人事のようだ。

専門家も緊急事態宣言での人流の減少が少ない。もっと効果のある対策とメッセージが必要と指摘する。シミュレーションも8月には4000人だ。オリンピック後に急増する見方も出ている。

だから、まじめな国民は「不安」が募るのだ。65歳以上の感染者が2%程度を見て、ワクチン接種の効果を政府、東京都は指摘するが、高齢者は事態を真剣に考え、外出を控えている結果ではないのか。見方をもっと変えて見たらどうか。

オリンピックを開催しているのだから外出してもいいだろうと誰でも思う。山梨県では教育関係者が多数でゴルフ大会をやったことが報道されている。役人だってそう考えるのだ。

東京都の局長が「不安をあおるな」と警告したが、では安心できるデータがあるのか。あったら示せ。

菅総理も小池知事も都合が悪くなると記者の問を無視して退庁する。こんな姿を見ていると「何かやばいのでは」と誰でも思う。

この辺で思い切って五輪の「途中中止」以外に効果のある感染者減少対策はない。



2021年7月28日水曜日

東京27日、2848人の深刻(2):誰が本当に都民、国民の安全、健康を守るのか

読売新聞 2021.7.28

 東京は緊急事態宣言下での2週間後の結果がこのありさまだ。宣言の効果が薄らいでいる。20~40代の感染者数が高い割合を占める。テレビの映像を見ても繁華街、行楽地での人出が多い。オリンピック関係でもクラスターの発生が目立ってきた。

不要不急の外出の自粛を訴えているが、一方でオリンピックを強行開催する。誰が見ても整合性がない。オリンピックをやっているのだから大丈夫だと言おう「安全バイアス」が働いていないか。

東京2848人の感染者数を受け、誰が本当に「安全、健康」を守ってくれているのか。

東京都はいたずらに不安をあおるなという。40~50代のワクチン接種を進め、コロナ病床の確保を要請したという。これじゃ人出を抑制することにはならないではないか。小池知事は五輪はテレビ観戦でという。

菅総理も車の制限、テレワーク、人流は減少しているという。五輪の中止はあるかと記者団に聞かれ「中止の選択肢はない」と言い切る。不要不急の外出を自粛し五輪はテレビ観戦でと。

IOCも27日の記者会見で「中止はあるか」と聞かれ「日本の当局が考えること」と他人事のようなことを広報部長が言う。

果たして五輪開催は正しかったのか、我々の安全健康を誰が守ってくれているのか。

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2021.7.27掲載

東京27日、2848人の深刻(1):五輪中止なし、警戒感をもってあたるというが yamotojapan.blogspot.com/2021/07/blog-post_50.html


2021年7月27日火曜日

東京27日、2848人の深刻(1):五輪中止はない、警戒感を持ってあたると言うが

 

どうなるのか、緊急事態宣言下での東京五輪の感染者数開催、選手村関係者の感染者は132人と言うが、東京および近辺では感染者数が急増している。菅総理は五輪中止の選択肢はないと言い、警戒感を持ってあたると言うが今後どうなるのか。 

27日の感染者は東京2848人、埼玉593人、千葉405人、神奈川758人、埼玉県知事は東京に勤務し感染して帰って来る東京由来のパターンを主張する。 

東京五輪の強行開催、夏休み、帰省、旅行で人では増加、20~40台の感染者が急増、60代は2%と言う。ワクチン接種は65歳以上では65%が接種済みだが人口全体を見ると25%程度だ。

これを爆発的増加と言うかどうか派別として東京都の関係者は2000人超えは想定内だが、意外に早い速度でやってきたと言う。緊急事態宣言発出から2週間、宣言の効果が出ていないのだ。

記者団に五輪中止の可能性を聞かれた菅総理は、中止の選択肢はないという。ワクチン接種で65歳以上の感染者数は2%と低い。人出は減っていると言う。

しかし、人流は増えているのだ。菅総理の根拠は何なのか。自分の都合のいいデータを使っているのではないか。 

65歳以上の感染者が少ないのも、ワクチン接種より高齢者が行動を控えている結果ではないのか。感染した高齢者にしっかり確認すべきだ。 

専門家も今後は夏休み、帰省、旅行で感染者数は増える傾向になると警告する。

感染防止対策の徹底とより広い範囲での営業自粛を求める。時短、飲酒自粛など営業自粛が要求されているが、業者や従業員の生活を守るため自粛要請に応じない業者も出ているが、これから感染が増加しロックダウンなどに発展したらどうすると言うのか。

20、30,40台の若者に感染者数が多い。まだワクチン接種が終わっていない年代だが、各自が自らの行動を自粛する努力が必要ではないか。「うつさない、うつらない」は公衆衛生の基本だ。公衆衛生意識の問題だ。

 

衆院選に向け自公vs野党;野党に何が欠けているのか、菅総理でいいのか

 

都議選での立憲民主と共産の共闘がうまく行き、都民ファーストの盛り返しで自民圧勝は回避できた。衆院選では自公に対峙する野党はどういう行動に出ればいいのか。都議選結果からヒントを得るのは難しいようだ。 

東京など首都圏の選挙は多様性があり、多くの候補者がいろんな目的で立候補する。有権者も3割はミーハー層だという。いわゆる無党派層だ。何かがあると大きく動く可能性があるのだ。 

自民党は「またまた小池知事にやられた」と言う。体調を崩して入院、退院してもテレワークで政治の現場から離れていたが、都議選最終日には都民ファーストの会の候補者を激励した。その時点から選挙の動きは変わり、都民ファーストは盛り返し、自民党に継ぐ第2党を確保できた。 

自民党に継ぐ第2党に意味があるのだ。国政復帰を狙う小池知事にあっては自民党より上ではまずかったのだ。

首長の地位を得ている政党にあっては、新型コロナ対策でのメデイアへの顔出しが多い。小池都知事は都民ファーストの会顧問、大阪の吉村知事は維新の会副代表で毎日会見で顔をだし発言で存在感をアピールできるが。立憲は野党推薦での埼玉県知事の大野さんでは顔出しが少ない。 

菅総理は批判も多いが、それなりにやっている。 

菅政権は支持率30%前半、でも政権交代の声が上がらない。コロナ禍が落ち着くと自民は立ち直る可能性が強い。今は菅政権で行くか。批判はあるがワクチン接種ではがんばっている。ワクチン接種が広がれば感染も落ち着くと考えているのだ。

民主党の「政権交代しませんか」のポピュリズムも問題が多かった。期待を膨らませた大風呂敷の公約で財源が見当たらず、やがては失望へ。小池知事の「希望の党」も民進党から合流する議員を「選別」する発言で一気に評価を落とした。 

未だ、民主党政権時の悪いイメージを引きずっている。安倍前総理に「あの悪夢のような民主党政権」と言わしめたほどだが、これと言った反論が出てこなかった。民主党政権も自民党政権も同じようなものだ。 

民主党政権での総理と小沢さんとの権力の二重構造は政権の不安定さをさらけ出したが、民主党の一番まずかったのは、党内で議論し方向性を出したが、皆バラバラで、好き勝手なことを言動を取った。これには驚かされたものだ。政党の離党、結党を繰り返すとこうなるのか。

逆に、自民党安倍政権の一強政権はどうだったか。恣意的政権運営は、民主政治の根幹を揺るがす結果になったではないか。 

公約と財源の問題はどの政権でも共通している。人気を得るための公約に走り財政は赤字だ。黒字化を目指す2025年どの収支は2.9兆円の赤字だ。財務大臣経験の総理は財政健全化に努力するが、未経験の政権は軽視か。 

民主党の菅政権では3.11福島第一原発事故により周辺住民に大きな犠牲を与えることになった。「国民の安全、健康」にかかわる事態への対応はどの政権も苦手だ。今は、新型コロナ対策で政権は四苦八苦し、内閣支持率も30%台前半だ。

そして今、野党が議席数を確保し自公政権に対峙するにはどうしたらいいのか。 

まず、理念と政策と言う。でも立憲民主と共産党を取ってみても重要政策、日米安保、天皇制、憲法改正などでは違いが大きい。専門家はそこを突いて協調路線は無理と言う。 

でも、そういう大きな違いはあっていいのではないか。まずやることは自民党政権で失ったものを取り返すことではないか。憲法遵守、民主政治、国会重視、財政健全化、物価2%目標、異次元の金融緩和の出口戦略、そして何と言ってもポストコロナの政治経済だ。

野党第一党である立憲民主党を中心とする野党政権での姿を見せるべきではないか。そしてニューリーダーの存在だ。

まず、出来ることから国民に示すべきではないか。

 

「黒い雨」上告見送り:菅総理の本音は「これ以上、オレを悪者にされたくない」か

 「黒い雨」を浴び健康障害を受けたとした84人全員を広島高裁は「被爆者」と認める判決を受け、菅総理は「政治決着」として上告を断念したという。

高裁判決を受け、広島県、広島市は上告見送りを国に求めていた。県や市は援助対象を拡大するように求めていたのだ。

一方、厚労省や法務省は今までの経緯もあり、「上告は避けられない」姿勢を示していた。新聞報道でも政府内でもこの判決は飲めないとして上告意見が強かったらしい。しかし、判決では、認定しない場合は理由を立証する責任が行政にあるとした。

こういう訴訟の場合は、「黒い雨」で健康被害を生じたという立証責任が訴えた側に課せられるが広島高裁は立証責任を国に求めた。当然だろう、素人の国民に「科学的」立証など難しいのだ。

また、高齢化も進み、早期決着の必要性も出てきた。菅総理は人道的面でも悩んだと思う。県や市は上告に応じない、衆院選を控え上告で菅総理に対する批判は高まるだろう。

新型コロナ対策、東京オリンピック対応で支持率は30%前半まで落ちている。

菅総理の本音は「もうこれ以上、オレを悪者扱いされたくない」ということだったのではないか。「黒い雨」問題も本来なら上告し争われる運命にあったが、今回は諸般の事情から被災者を援護する結果になった。


2021年7月26日月曜日

今日の新聞を読んで(488):政治家の世襲打破は有権者の考え一つ

突然の有力国会議員の「次期選挙に出馬せず」の新聞報道に驚くことが多いが、今回は確か衆院議長までやった伊吹さん、塩崎元官房長官、自民党選対委員長の山口さん、川崎元厚労相が引退するという。年齢も高いし、比例区議員であれば仕方ないかと思うが、後を長男や次男が継ぐとなると「何おかいわんや」だ。

今まで政治家として築いてきた財産ともいえる地盤、看板の知名度と資金であるカバンを易々と他人に譲ることなどできないのだ。政治家が家業なのだ。今まで獲得してきた票は政党の物ではなく、個人の物なのだ。

今は、世襲制が批判された結果、一応表向きは「公募」を謳っているが、議員秘書を経験した長男、次男は強い。

公募と言うことで、中央官庁の官僚、地方議会の議員、議員秘書、県知事経験者、弁護士、自営業の方たちが名を連ねるが採用される可能性は低い。

政党中央と県連の関係も無視できない。県連推薦とは別に中央からの推薦もあり、最近の自民党の地方選挙は荒れている。こんなことでは次の選挙に勝てないとみている人も多く、次回選挙では自民党が50議席以上を失うだろうとみられている。

これは当然の結果だろう。安倍前総理の大義名分なき数々の選挙で野党は弱体化し、自民党が圧倒的多数の議席を獲得したのだ。多すぎるのだから減るのは当然だ。

また、広島選挙区の河井さんのように安倍前総理が嫌う自民党現職候補を落とすために無理やり当時法相の妻を立候補させた。何故、夫婦で国会議員をやらなければならないのか。広島選挙区の有権者の常識を疑ったが、1億5000万円という軍資金も用意されての当選だったのだ。

理不全な選挙、世襲に反対するのであれば有権者こそ立ち上がらなければならないのではないか。投票率も低いし、無党派層が多い。若者が率先して政治改革をやる姿を見せるべきだ。

政治家に選挙制度の改革を期待しても、自分たちの首を絞める改革などできない。問題の議員を国会に送っている選挙区の有権者の恥だ。

野党も立憲民主に頑張ってもらわなければならないが、枝野さんが代表では民主党政権の悪夢を引きずっていることになるか。

野党も支持団体や労組からの出身者ではなく、広く候補者を探すことだ。企業内では組合員は野党、管理職は自民党とふるい分けされていたが、そんなことを引きずっていては政治改革などできない。


G20環境相会合、G7サミット、COP26:相変わらずの先進国vs新興国で対応できるか

 

1.5℃目標に向け気候変動、地球温暖化対策が急がれるが、G20環境・気候・エネルギー相会議、気候変動問題協議閣僚会議では相変わらずの先進国vs新興国、中国、ロシア、インドで対立が続き、今秋のG20サミット、COP26でも気温上昇幅1.5℃に抑える目標も危うい。 

先進国vs新興国の要点は、先進国はすでに大量の排出量で経済成長を達成したが、新興国はこれから経済成長を目指すには足かせとなる。 

世界第1位の温暖化ガス排出量の中国は、都合が悪くなると「発展途上の大国」と言う屁理屈で規制を逃れることに必死で協議に加わってこない。 

新聞報道によると、23日から開かれたG20環境・気候・エネルギー相会合でも先進国と新興国で食い違いが大きかった。1.5℃目標で紛糾し、石炭火力発電廃止も共同声明には盛り込まれなかった。 

先進国から新興国への化石燃料への補助金制度もクリーンエネルギーへの投資や気候変動への努力を損なうとして廃止も考えられていたが具体的には触れずに終わった。以前アメリカもこの制度に反対していた。 

25日からの気候変動問題協議閣僚会議がロンドンで開かれているが、英国でのグラスゴーCOP26準備会として各国がCOP26で最終目標を見通せるようにしたいという。 

G7サミットでは1.5℃目標へ努力を加速すると言い、参加国は2050年排出量実質ゼロを目指すという。中国も新興国(?)だが、世界第1位のCO2排出国であり、第2位のアメリカとの関係もあってか60年に実質ゼロと言いだした。 

トランプ政権時、離脱を宣言していたがバイデン大統領で復帰、ドイツなどは歓迎した。これからアメリカ主導の地球温暖化対策が先進国を巻き込んでどう対応できるか。

地球温暖化で原因としてCO2排出量が要因になり人為説が考えられるがまだ研究者の間では自然変動説も根強い。自然変動説の第一人者、アラスカ大の赤祖父先生は、CO2ガ要因だとしても割合でいうと1/6、残り5/6は自然変動が要因だという。 

科学的検証が不十分なまま、政治色の強いテーマになって、万人が納得のいく地球温暖化対策になっていないところに今の混乱の原因がある。

2021年7月25日日曜日

菅総理、小池都知事は、既に「東京オリ・パラ行け行けモード」か

新聞報道で、菅総理、小池都知事が25日工程で会談し、東京五輪運営と緊急事態宣言下での感染状況について意見交換したという。2人は「スムーズにいっていることを共通認識として確認した」という。さらに8月24日からのパラリンピックでの円滑運営に向けた準備で一致したという。 

大丈夫か、2人は無観客開催を認めたが、パラリンピックについては「有観客」も視野に入れているのだ。オリンピックとは違った開催意義があるのだ。

しかしそれには感染状況の改善が前提だ。専門家のシミュレーションでは8月に入ると一日2000人超えの感染者、病床ベッド利用率もひっ迫してくるはずだ。

今でも感染者数1763人で占める若者の割合が1190人と67%だ。外出自粛、夜間の滞留人流抑制の効果が出ていないという。

その要因には、2人の会談のように緊急事態宣言での緊迫性が出ていないのだ。若者の「気のゆるみ」はどうしようもない。「国民の安全、健康を守ることが私の責任」と菅総理は言うが、その気概は感じられない。

小池都知事も主催者の一人だが「安全安心な大会を目指す」というだけだ。

うまく運営されているという背景の理由は?、パラリンピックへの準備とは? 国民はオリンピック、パラリンピック後の惨憺たる感染状況を心配しているのだ。 


ついに東京五輪開催か:国を二分したが、菅総理「義務を果たす」と

 

国民の6~7割が中止または延期を希望した東京五輪がついに強行された。菅総理は「大会主催国として世界に対して「義務を果たす」」と言うのだ。東京は緊急事態宣言下での大会強行はなんだったのか。 

海外のメデイアは「人々に熱狂がない。日本国民は経済、五輪開催を優先する政府の感染症に反対、中止を求めるが、その判断はIOCにあり、IOCの囚人になっていると言う。 

その新型コロナの感染者数の国内の増加傾向にあるが、更に海外から11000人も集まると言うのだからただ事ではない。バッハ会長は「我々から日本へのリスクはゼロ」と発言していたが水際での陽性者が続出、こまでの五輪関係のコロナ感染は132人だ。 

専門家の予測では24日には1743人、8月3日には2598人になると言う。オリンピック後に感染者が増加すると見ていたが、期間中に2000人を超えるのだ。しかしスーパーコンピューター「富岳」でのシミュレーションでは10000人入場、間隔をあけ、マスクすれば感染者数はゼロという。しかしこのシミュレーションは入力条件に不都合があって信用されていない。 

科学も政府の考えを裏づけするのに利用されているのか。陽性率は10、重症病床率は52%、ステージ4、東京はすでに2000人に近いているのだ。 

こんな状況下でも菅総理は「8月24日からのパラリンピックは「有観客」で」と言いだした。先にもそういう時は五者会談で検討と言っていた。「無観客」では熱狂がないことが頭にあるのではないか。バッハ会長も「有観客」発言をしていた。 

朝日新聞は社説で「中止論」を打っていたが、菅総理は「安心安全な大会」を講じる」の決まり発言をするばかりで開催の意義は分からなかった。東京新聞も「今だからこそ反対を」という。 

菅総理はWS紙のインタビューで「五輪中止は一番簡単、挑戦が役割」といったそうだ。感染者数も海外に比べれば一桁少ないし、ワクチン接種も進む。だから挑戦も考えられるというのだが、挑戦の意味を勘違いしていないか。

中止するとなるとIOC初め関係者への説明が必要だし、不利な立場にある人たちの批判が大きいだろう。リスクを抱えても決行することのほうが判断がらくだ。国民を感染症でリスクを負わせることなど菅総理にして見れは簡単なことなのだ。 

今は、2/3の国民が楽しみとは思っていないといっても、観戦が始まると国民の考えも変わってくると菅総理は見ているのだ。日本人はその程度の国民と見ているのだ。だからオリンピックに成功(?)し、総裁選、解散総選挙に一気に進もうとしているのだ。 

NTは、「主催者はパンデミックスとスキャンダルから「平和と世界の協調」というテーマに向けてそらそうとしている」と論調している。さすが海外メデイア、よく見ている。場外では「五輪やめろ」とのシュプレヒコールが聞こえると報じているそうだ。 

WHOのテドロス事務局長とも会談したそうだが、今の東京の状況下でのオリンピック強行をどう判断しているのか。WHOIOC にどんなアドバイスをしたのか、知りたいところだが新聞には出ていない。 

ところで、組織委員会にはもっとしっかりすべきではないのか。昔の発言で辞任や辞退した関係者が出てきたし、女性蔑視発言で引責辞任した森前会長を名誉最高顧問にしようとしているらしい。

今までの功績や期間中の海外要人の接待役を期待してのことらしいが、何故橋本会長ではダメなのか。橋本会長は就任以来、謝罪会見しかお目にかからない。 

更に、組織委員会内でも中止や規模縮小などの意見が一部理事から上がったそうだが、無視され正式には会議にかかっていないようだ。どうしてこういう情報が今まで出ていないのか。秘密主義の組織委員会のようだ。 

出足から躓く運命にあった東京五輪なのか。 

今まで何回もオリンピック代表になり予選落ちベテラン選手が目立ってきたか。しかし、この影でこれから力をつけ伸びてくる選手もいる。そういう選手に注目した報道をすべきではないか。優勝した選手より2位になった有名選手にスポットを当てる報道は優勝選手に失礼ではないかと思う場面が目立った。

2021年7月21日水曜日

迫る衆院選、菅・自民党50議席減?:どの政党が受け皿か、野党第一党の立憲なのだが

衆院選の前に自民党総裁選がある。その前に新型コロナ感染の抑制策、東京オリンピックの大会競技の経緯、選手団のプレイブック遵守、国内感染者数の経緯など菅総理にのしかかるプレッシャーは大きい。

そんな政治環境下での菅・自民党の衆院選挙がどうしても政治課題になる。菅総理の不人気で選挙が戦えないとみている専門家が多い。大方は50議席減が予想されている。

それは仕方ないことだ。こういう状況下でなくても安倍前政権お時に大義名分のない選挙を繰り返し、野党を弱体化し圧勝した結果、地方に根付かない議員が多数国会に送りこまれた。この厳しい状況下でそういった議員落選がの予想されている。

極端に言えば、自民党の50~60議席減で普通の国会なのかもしれない。

新聞報道によると、289小選挙区のうち276人を立てるという。しかし、今までの地方選では選挙区と自民党中央で候補者の選定にちぐはぐさが目立ち、中央が立てた候補者を地方議員が応援できない状況が出ている。

おまけに自民党内に派閥抗争も激化しそうだ。菅総理は自分の派閥を持っていなかったために各派閥の応援でのし上がった。そのきっかけを作ったのが二階さんで、その功績から幹事長の力を付けた。一応主導権を握っているが他の派閥の妬みも強く、安倍、細田派、麻生派などが二階派と抗争中だ。

おまけに二階さんは離党者を復党させたり、「政治とカネ」の問題を抱えた議員がい多い。当選回数を重ねても大臣に慣れなかった議員が二階派に入り大臣の席に着いた事例もある。

そして面倒なのが、公認を巡って細田派、岸田派、安倍vs二階派の構想が目立ってきた。注目は山口3区で現職の河村・元官房長官(二階派)に参議院から鞍替えを狙っている林参議員(岸田派)の戦いだ。二階さんは「現職優先」を忘れたのかと問うが林さんは無所属でも戦うという。背後の安倍さんの存在もあるらしい。河村さんは78歳、林さんは60歳、年齢制限もあったはずではないか。

このほかに群馬でも尾身さんvs中曽根さんも細田派vs二階派の構図だ。新潟の選挙区も同じらしい。

今回は自民党議員の中には有力者が引退宣言している。その中には菅総理に近い議員もいるという。

二階さんも大物ぶってか、中国に共産党100周年に当たって祝電を自民党から送ったり、韓国の文大統領を招く動きを見せたり、弱い菅政権をいいことに権力の二重構造をあからさまにしている、民主党政権での小沢さんを髣髴する。

ところで、自民党の50議席減をどの政党が受け皿になるのか。まともに考えれば野党第一党の立憲民主だ。立憲民主は共産との共闘、国民民主との関係でギクシャクしている。先の都議選では共産との共闘が功を奏した格好になったが、衆院選でその延長とは簡単にはいかないようだ。

でも、自民党に一泡吹かせるのは野党第一党の立憲が受け皿になるしかない。おおきな政策の違いはあるとしてもそれしかない。

公明党が減議席確保だろう。自民党と組めばとばっちりを受けかねない。共産も伸びるだろう。10議席増と言うことか。維新の会は兵庫県知事選で大きな力になったか。新型コロナ対策で対日テレビに顔を出す吉村大阪府知事の存在は大きいか。地方政党からの脱却のチャンスだ。

どうであれ、自民党が50~60議席減らすことは国会の正常化に役立つのではないか。



 

2021年7月20日火曜日

「もしも・・・」が許されるなら:東京五輪、1年延期しなかった方がよかったのでは

 

新型コロナ感染で「完全な形」での東京五輪が開催できないと判断したのか、当時の安倍総理が1年延期をIOCに提案、承認されたはずだったが、今の東京オリンピック開催状況を考えると、1年前に延期せずに強行した方がよかったのではないか。 

当時の方が新型コロナ感染状況は良かったのではないか。今、緊急事態宣言下での「無観客」での開催は、「安心安全な大会」を目指し、プレイブック、バブル方式でコロナ感染を外に出さない体制を築いているように見えるが常識ではすでにバブルは弾けている。 

選手団の入国で水際で陽性者が見つかり、選手村でも陽性者が多発、海外の技術スタッフによる暴行事件などどうなっているんだ。 

そして組織委員会森会長の辞任、そのほかにスタッフの不祥事によるプログラムにも変更を来さなければならない事態になりてんてこ舞いの組織委員会だ。 

おまけにバッハ会長の日本人の気持ちを逆なでするような言動、国民には不要不急の県境を越えた移動自粛、大勢での宴会などの自粛を要求しながら「オリンピック別枠」行動は国民の批判の的だ。 

1年前に予定通りやっていればこんな事態にもならなかっただろう。 

安倍前総理の「東北の復興を世界へ」とか「完全な形」での開催はすべて反故になった。残るは開催したという「実績」作りだ。おまけに延期による開催費用も高騰している。すべてを東京都民が負担するのか。

一度でいい、どう考えているのか安倍前総理の考えが聞きたいところだ。大事なのは「予見する能力」、「事後説明能力」が政治家には特に必要だ。

東京五輪、「日本にとって輝く時」?:そうじゃないだろう、バッハ氏にとってだけだ

 IOC総会でバッハ会長が「ついにここまで来た。日本にとって輝くときになる。世界の何億人と言う人がオリンピックを視聴し日本国民を称賛するだろう」とあいさつしたことがメデイアで流れている。

確かに苦難の末、「無観客」の開催にこぎつけた。菅総理は日本の国力を世界にアピールすることができるかもしれないが、決して「輝くとき」ではない。「輝く時」はバッハ会長ではないか。

我々日本国民は6割が開催反対だし、東京都民はこれからどれぐらいの税制負担を背負うのか。「苦痛の時」の始まりだ。

また、WHOの手度ロス事務局長も総会に来るという。そして感染防止対策で協議するという。IOCは開催に当たってWHOからどんなアドバイスを受けていたのか。否、これから受けるのか。

バッハ会長は、現在に感染状況にあって「感染者が改善した時は「有観客」も可能か」とでも聞くつもりか。

バッハ会長の身勝手な言動にどこまで振り回されればいいのか。



今日の新聞を読んで(487):大事なのは「予見する能力」、「事後説明能力」、政治ばかりではない

 

朝日新聞(2021.7.18)「日曜に想う」の「予見と事後説明 そして勇気」の内容には全く同感だ。「ああだ こうだ」と声高に言うが、失敗した時、達成できなかった時の説明がないから信用を落とす。失敗した時は、批判を受けるがその理由を丁寧に説明する勇気が大事なのだ。 

これは何も政治に限ったことではないが、政治の世界では特に重要になる。 

曽根・編集委員は「チャーチル150の言葉」から政治家に必要なのは「先を予見する能力」「それが起きなかった事後説明能力」の2つの能力だという。「この2つの資質は相互補完的でどちらも欠かせない」というのだ。 

さすがチャーチル元首相と感心する。一方で、今の日本の政治家はそこのところが欠けている。政策でなくても自らの不祥事に関してスルーする姿が目立つ。こんなことでは政治不信が高まるばかりだ。 

菅総理はオリンピック開催について、「新型コロナに打ち勝った証」とし一日も早く感染を収束、安心、安全な日常生活を取り戻す」と誓う。 

しかし、「打ち勝つ」どころか東京の感染者数は拡大一方でオリンピック開催派「無観客」になった。安倍前総理の言う「完全な形」での開催ではなくなった。

それに対して菅総理から丁寧な事後説明がないのだ。「何故か」と国民は内心思っているが、菅総理はワクチン接種を強行する。丁寧な説明をする機会はあったという。それが都議会議員選挙だが、菅総理は一言も言及していないというのだ。 

そうだろうと思うが、菅総理が街頭応援に出ると批判する者が集まり「まずい」と周囲は考えたのではないか。でも官邸での記者会見などチャンスはあったはずだが、スルーしたかったのだ。 

ワクチンの接種が進めば、感染者数が減少に転じると菅総理は判断している。その根拠に英国で接種済が20%になった時に減少に転じたという情報を知っていたのだ。最近も英国での事例で40%になれば感染者数は減少に転じるという報告を耳にして担当者を直接官邸に呼んで説明を受けたと新聞に載っていた。 

ところが、オリンピック開催を控え、感染者数は拡大の一方なのだ。何故か、菅総理の説明が不足している。全人口のうち接種済は20%、G7でも一番低いという。 

河野担当大臣はワクチンの供給量と接種会場とのアンバランスを指摘、ワクチンが偏重していることを指摘して調整が必要と言うが、自治体は2回目の接種のための保持であって偏重ではないと否定する。 

うまくいかない時の理由は担当大臣に任せてスルーする菅総理に信頼はない。 

経済面でもいえることだ。安倍前総理は就任直後、アベノミクスで異次元の金融政策を発表、日銀総裁を更迭し、2年で2%の物価目標を掲げたが、2年では達成できず、8年たっても未達だ。 

国会で出口戦略を聞かれたとき、安倍前総理は「私の任期中にどうするか判断する」と言っていたが体調不良で政権を放り出した結果、対策も立てづに今になっている。体調が回復したのか、政治の表に顔を出し出した。 

何故、異次元の金融政策の是非、今後の対応について何ら説明しないのか。言う時は声高に言い、うまくいかない時、失敗した時の説明がない。 

時々、政治の場でも問題になっているがPDCAのサイクルを回して政策を進める手法に欠けているのだ。人気取りでPDまでは手を出すが、CAの過程がない。うまくいっている場合は継続、うまくいかない場合は検討し直し、方針転換で目標達成に向かう行動が必要なのだ。 

地震予知でもいえることだ。地震予知はできないという専門家もいるが、いろんな専門家がいろんな手法を使って予知とまではいかなくても予測しようとしている。その努力には感心するがなかなか当たらないのだ。

ここでも外れた時の説明が必要になる。 

FM電波異常、GPS、過去の地震発生周期からの予測、地震考古学からの予測など原理的には間違っていない手法が採用されているが、なかなか当たらないのだ。「当たらなければよかった」と思えばいいのだが、地震学者を疑うようになる。アマチュアだと名前が消えていく。

 東海地震もいつ起きても不思議ではないと発生が危険視された。地震予知の可能性があると考えられ、いろんな観測がされたが一向に発生しないし、観測データに異常が見つからないのか。

南海トラフ関連で巨大な地震の発生が危惧されている。震源域が3~4連動の可能性も出てきたために震源域も拡大された。海底に観測網を構築し監視が続く。 

予測としては2030年半ばに南海地震の発生が言われているし、巨大地震の発生はまだ200年先という研究報告もある。安心バイアスからするとまだ先を信じたい。 

首都直下地震も近いらしいが、「いつか」とは言えないが東京湾北部、埼玉県では頻発している。30年以内にM7クラスの発生確率も発表されているが、70%と言えば「いつ起きても不思議ではない」確率だ。一方確率の低い場所で巨大な地震が発生している。 

地震学者も自ら予測した事案ではその成果について丁寧な説明が必要だ。国民は誰も当たるとは思っていない。当たればむしろ不思議なくらいだ。それでも丁寧な説明は不可欠だろう。 

東京オリンピックもIOCバッハ会長、菅総理が言うような「安心、安全な大会」とは言いにくくなって来たのではないか。バッハ会長は「選手団などから日本へのリスクはゼロ」と言う意味のことを言っているが、とてもじゃないが信じられる状況ではない。 

選手団や選手村から陽性者、濃厚接触者が出ている。プレイブックの不備も野党から追及されている。内閣官房との議論で「これから見直す」という。もう始まるのに「これからか」と不信が強まる。人出の制御で盛り上がりに欠けているというが。人出増加が感染拡大の要因なのだ。 

菅総理の人気、支持率が下落し危険水域に治数いているというし、万一爆発的感染にでもなれば菅総理の政治生命は終わりだ。そうならないように「常に丁寧な説明」で国民に接することが大事ではないか。

 

2021年7月19日月曜日

IOCを丸裸に:組織委員会は東京五輪の経緯を記録し公表せよ

 

東京オリンピック開催まで後4日、ここまで来てもオリンピック反対が賛成を上回る。開催地の東京が新型コロナ感染者拡大、第5波も危惧され、開催は「無観客」が決まったが、IOCバッハ会長はいまだ諦めが付かず「感染者数に改善が見られれば「有観客」を」と菅総理に懇願する。 

そもそもIOCは「緊急事態宣言下でも関係ない」と言うし、バッハ会長は日本に来て初めて「緊急事態宣言でどういうインパクトがあるか」と聞く状態だ。開催国の新型コロナの状況をまったく理解していない。表向きは外交上の美辞麗句を並べるが、組織委員会などとの会合では「冷徹さ」をあらわにすると関係者がメデイアに話していたと言う。

組織委員会の連中は「やってられない」という。 

テレビの情報番組でドイツの記者がバッハ会長について、「調和と多様性」を言うが本人はフェンシングでオリンピックに出たアスリート、本音は「アスリートファースト」で「カネの亡者」と言う。ウォールストリートジャーナルが「ぼったくり男爵」と言ったのは、それなりの背景があったのか。 

今、緊急事態宣言、まん延防止措置中のわが国で、IOCは「オリンピック別枠」の行動を取っている。県境を跨いだ不要不急の外出自粛なのに被爆地広島を訪問、献花しオバマ元大統領の真似事をした。 

迎賓館では国賓待遇の歓迎会だ。国民の批判を受けているがバッハ会長は批判を回避するためか「今日はゲスト」と発言している。人員は縮小し飲食なしといいわけだ。 

ここまで来るとスーパー・スポンサーも苦労している。トヨタは期間中はオリンピックを応援するCMは控えると言うし、三井不動産は意味不明のCMを流している。オリンピックへの国民の考え方を考慮したらしい。 

今大会は尋常な大会ではない。新型コロナで中止か延期、大会の意義も二転三転、平和の祭典とは言いながら政治色の強い内容だった。

菅総理は万難を排して東京五輪開催にこぎつけ、それなりの結果を得れば自分の政治生命を保て、総裁選、解散総選挙に有利に働くと言う下心があるはずだ。しかし、万一、期間中に感染拡大、バブル崩壊で「国民の安全、健康を守ること」が出来なかったら潔く辞任すべきだ。その覚悟が出来ているのか。 

まだこれからだ。

組織委員会は会議の議事録、メールでのやり取り、IOCなどとの契約などしっかり把握し記録に残しオリンピックのあり方、IOCの実態を丸裸にし、今後の参考にすべきだ。 

○何時も問題になるのが招致運動での「黒いカネ」の問題だ。今回も2億5000万年の資金が流れ、JOC会長の竹田さんは辞任している。電通も絡んだコンサルタント料のありかただ。 

○森さんの就任には政界財界に顔が聞くと言われていた。安倍政権にも口利きが出来る。財界では資金集めにも便利だ。

○新国立競技場の設計見直し、エンブレムの見直しは国際関係も含め汚点を残した。日本の財力に物を言わせた奇抜なアイデイアの活用だったがコストダウンには勝てなかった。 

○何と言っても新型コロナ対応だ。「中止」「延期」で政権を上げての一大事になった。安部前総理は「完全な形」にこだわり1年延期を提案し、IOCが承認した。中止論とも含めてどんなことが議論されたのか。 

○予算はどうか。延期ともなるとコロナ対策も含めて予算は高騰する。IOC, 組織委員会、東京都、国の財政負担はどうなっているのか。 

組織委員会がもてない費用は東京都が肩代わりすると言うが、延期は安倍政権が決めたのではないか。小池知事が費用負担で協議をにおわすと丸川五輪相は拒否したらしい。

○森会長の女性蔑視発言で引責辞任、橋本新会長就任。アスリート出身だから「アスリートファースト」に 

○そして、新型コロナ対策、安心安全な大会への施策とその効果、問題点はなんだったのか。

国民の70%が反対している東京オリンピックの強行開催だ。政治色の強まるオリンピックの将来はどうなるのか。

2021年7月18日日曜日

7月18日14時35分、徳島北部地震発生M4.4,倉敷など震度3で揺れる

気象庁の地震情報に最近発生した4回の地震の
震源を記入した 中央構造線断層帯、南海トラフ
巨大地震の震源域の北限に集中している


 18日、14時40分ごろ、テレビで地震情報が流れ、倉敷などが震度3で揺れたという。私は岡山県出身なので故郷が揺れると心配になる。急いで気象庁の地震情報を見ると、震源は徳島県北部だ。

この付近は中央構造線断層帯が走り、南海トラフ巨大地震の震源域の北部境界にあたる。最近も6月19日に愛媛県南予地震、7月9日和歌山県北部地震、7月17日伊予地震、そして7月18日の徳島県北部地震だ。

すぐに大きな揺れはないと思うが、注意すべき地域であることは間違いない。


小さな記事の大きな課題(44):誰が菅総理の続投を願っているのか

 9月末で自民党総裁任期切れ、10月には解散総選挙が迫っているが、自民党の中で総裁選に誰が何人動くのか。菅総理はいまだ名乗りが上がっていない時期に自分が名乗りを上げ、他の人が名乗りを上げにくい手段に出たのか。

内閣支持率は37%で危険水域が近づいているとみる専門家もいる。そしてこの難局は「菅に任せた」と自民党内で見ている人もいるだろうが、それで政治家といえるのか。

メディアの世論調査では「次の総理にふさわしい人」の設問での人気投票では河野、石破、小泉、安倍、岸田、菅の順だ。河野、小泉は現職閣僚なので立候補しないだろう。安倍さんの3度目はない。あとは石破さん、岸田さんだ。石破さんは永田町で人気がない。残ったのは岸田さんだ。将来のためにも名乗りを上げる必要はないか。

菅総理が読売テレビで発言した内容が読売新聞(2021.7.18)で確認できる。

ワクチン接種を測人するというが、菅さんでなくても継続するだろう。今、コロナタイsカウで打つ手はワクチン接種しかない。

内閣改造をしないというが、改造したほうがいい。西村、河野大臣はもう限界だ。情報を隠蔽したり高圧的対策は国民の反感を買っている。内閣が信用されていないのだ。

衆院選は誰だって視野に入っている。「選挙の顔」として勝てるのは誰かということになる。

内閣支持率の低下は政権交代のチャンスだ。国民と約束したことを守り、結果を見てくれというが、今の政局、難局は菅総理の能力のキャパシテイーを超えている。菅総理では無理だ

菅総理はこの辺が限界だ。続投は日本にとってマイナス効果しかない。


東京五輪、強引に漕ぎ着けたがオリンピックのあり方に課題が多い?

 

新型コロナで1年の延期の末にやっと漕ぎつけた感じの東京五輪だが、いろんなトラブルがあったし、選手団の来日が増えれば新たなトラブルが予想される。登山家の野口さんが「今の状況では遭難のパターン」とメデイアに発していたが、正当論だ。 

実際に競技が始まると国民の興味は五輪に移り新型コロナなどは二の次になる。国民の不満もそらすことが出来ることに菅政権は期待しているのではないか。 

そして、苦難を乗り越え開催できたことを世界にアピールし菅総理の存在感を見せ、総裁選、衆院選に有利に持っていくのではないか。

今日の朝日新聞で「東京五輪をめぐる主な動き」が掲載されていたのでにらんでみた。

2013.9.8

東京オリンピック誘致、安倍前総理は「東北の復興を世界に」と言う。「復興五輪」だ。世界が心配していた原発事故も「アンダーコントロール」と言い放ったためにその後の復興作業に大きな障害となった。

2015.7.17

国立競技場の計画のみなおし。高い建設費、周辺に調和しない設計から調和した設計に見直しだ。

2016.4.25

エンブレムもベルギーの劇場のロゴに似ているとして使用中止、新しいエンブレムに。

2016.9.1

誘致コンサルタント料2億3000万円に疑惑発生、JOCは「違法な支出ではない」と言うが、何時もオリンピックでは疑惑が持ち上がる。

2019.3.19

招致買収でJOC竹田会長辞任、後任に柔道の山下さん就任。

2019.11,1

東京は酷暑が予想されるのでマラソンと競歩を札幌に。IOCが提案。

2020.3.24

東京五輪を1年延期、安倍前総理「完全な形での開催」を主張が後々「有観客」の拘るか

2020.12.4

大会予算、追加2940億円で総計1兆6440億円に。

2021.2.11

組織委員会森会長、女性蔑視発言で引責辞任、橋本会長、丸川五輪相

2021.3.20

五者会談で海外観客の受け入れ断念

2021.6.15

選手団、関係者が守らなければならないルールブック、プレイブック公表。

2021.7.8

首都圏での競技を「無観客」で決定、札幌、福島が続く。 

大きくきれいな競技場でたくさんの観客の応援で競技したいと言うアスリートの要望と競技場を更新したい要望とが相まってユニークな設計の競技場だったが、建設費、周辺との調和で問題があり、設計のしなおしになった。当初からどうしてしなかったのか。バブル感と世界へのアピールを考えたのだろう。 

当初、東京は盛り上がりに欠けるとIOCは難色を示したが、政治的にも「東北の復興を世界に」と言う希望が安部前総理に強く、政権が先頭に立って盛り上げた。 

東京都の当時の猪瀬知事も4500億円の資金が準備されていることを強調していた。結果、「TOKYO」を勝ち取り現地の会場は沸いた。

しかし何時も付き合うのは誘致に関する「黒いかね」の問題だ。電通の関係者のアドバイスでアフリカ諸国に発言力のある委員の息子の会社と誘致契約を結んだようだが、疑惑が晴れずJOCの当時の竹田会長が引責辞任した。 

問題はIOCもそうだが、JOCのおなじ人間が長く在位し権力を握るオリンピック村、オリンピック貴族が出来上がっていた。竹田会長の辞任はそこにメスを入れたことになる。 

新型コロナの発生が無くてもゴタゴタしていた東京五輪も、新型コロナ感染拡大で中止か延期が議論されたが、安部前総理の意向で「延期」が決まった。どうしても「完全な形」で実施したいのだ。「新型コロナに打ち勝った証」として世界にPRしたいのだ。 

そして今、感染拡大が止まらず、「有観客」から首都圏の会場は「無観客」に決まった。菅総理が最後のギリギリまで[有観客]に拘ったが東京の感染者数が960人になり、今後も増加する傾向があり、仕方なく「無観客」を認めた。

IOCも覚悟を決めたと思っていたがバッハ会長は「有観客」を諦めない。五者会談では「感染者数に改善が見られるときは改めて五者会談で見直す」と言うし、バッハー菅会談では「再度菅総理に見直し」を要求している。 

アスリートは大勢の観客の前で競技したいだろうし、900億円の入場料の大幅減少が見られる。誰が負担するのか。組織委員会はすでに赤字だ。東京都が肩代わりすることになる。早速小池知事は政府と協議する意向を示したが、丸川五輪相は「拒否]だ。東京都にはまだ予算があると見ている。 

東京五輪への反感が多い日本だが、バッハ会長は批判を避けるために「我々から日本人へのリスクはゼロ」と言う。「安心安全な大会を準備している」から心配するなと言うことだろう。

でも水際での陽性者発見、バブル方式にもほころびが見え始めた。分厚いプレーブックを完全に理解している選手、関係者はいないだろう。違反すれば退去を命じると言うが誰が監視し、誰が判断するのか。組織委員会が派遣する警備員に任せるのか。具体策は決まっていないだろう。 

「無観客」開催でのオリンピックの意義はあるのかと言うことになるが、ここは政治色が強くなる。「東北の復興を世界に」→「新型コロナに打ち勝った証」→「苦難を乗り越えて開催にこぎつけた」ことを世界にアピールと言うことになるのか。 

菅総理の政治生命が見え隠れする。何事もなければ「成功」、感染者数が拡大すれば「敗北」と言うことか。 

菅総理が期待している海外要人の訪日も心もとない。菅総理の政治生命の限界を見つめているのか。バイデン大統領は夫人の参加、マクロン大統領は来期の開催国なので早くから訪日を宣言していたが、国内では求心力を失っている。 

国連のグテレス事務総長は「安全健康]を優先し欠席だ。中国は冬季五輪開催国だが習主席ではなく、格下の出席になると言う。そんな中で韓国の文大統領は出席らしい。菅総理も「訪日ならそれなりの対応」という。二階幹事長は動いているらしい。

今回の東京五輪では多くの課題が出てきた。オリンピックのあり方が議論されるべきだ。誘致にそれほどのメリットはなくなったか。