2021年7月10日土曜日

今日の新聞を読んで(482):したたかなIOC、貧乏くじの東京都か

 

オリンピックを東京に誘致時には思いもよらなかった(?)世界的新型コロナウィルス感染で、1年延期となった今、IOCバッハ会長も理解できていなかった緊急事態宣言下での「無観客」大会になり、そもそものオリンピック開催意義に疑問を生じる結果になった。 

当然に開催費用は高騰、小池都知事は政府に国の支援を求めたが新聞報道では国は応じないという。誘致主体は東京都だ、「無観客」の流れ作ったのは小池都知事ではないかと言うのだ。 

何を言うのか。誘致に乗り気だったのは当時の総理の安倍さんではなかったのか。「福島の復興を世界に」と政治的目的がありありだった。当初、盛り上がりにかけると批判され、安倍総理を先頭に立って盛り上げた。東京も4500億円の資金を用意しているから財政的には問題がないと当時の猪瀬知事は主張した。そしてトルコ、スペインの候補地を破り、「TOKYO」を勝ち取った。 

そんな経緯がありながら、かさむ経費負担を東京都に押し付け、IOCはしたたかだ。「ぼったくり男爵」と言われても仕方ない。組織委員会がもてなければ東京都が補てんすることになっているらしい。「無観客」にすれば900億円の収入が大きく減少する。 

IOCも黙ってはいない。マラソン、競歩の競技を東京から札幌に移した提案はIOCがしたのだから経費はIOCが持つと言う。「IOCも日本のパートナーや友人たちと肩を並べて立っている」とバッハ会長はいう。 

でもIOCはしたたかだ。オリンピック村、オリンピック貴族の利権を守っている。緊急事態宣言下でも無理難題を押し付けているようだ。

IOCには開催するだけで巨額な放送権料が入るのだ。東京オリンピックでどの位か分からないが、IOCの2019年度財務報告では73%にあたるらしい。22~32年度では総額8400億円という。

だからバッハ会長にしてみれば、緊急事態宣言下でも「無観客」でもどうでも言いのだ。懐は痛まない。候補地に名を挙げても辞退する事例が増えてきたらしい。IOCは数年先の開催地まで早めに決めている。

政治面でも活動域を広め、広島、長崎を訪問すると言う。「平和の祭典」で核拡散に反対するのか、一説ではノーベル平和賞を狙っているらしい。選手団に難民枠もちゃっかり用意している。 

一方で私たち東京都民は大変だ。オリンピック、新型コロナウィルス後の都財政はどうなるのか 

900億円の入場料収入の大幅な減少だ。組織委員会は「精査中」と言うが、昨年末で150億円の赤字で都が補填したと言う。これからも都の負担は増える。

 

9000億円あったという財政調整基金もコロナ対策で小池知事が近県も羨む支援をしたことで今は2700億円になった。これだけあるんだから財政的には大丈夫だろうと政府は見ているのか。 

専門家の経済評価も順調に行けば8兆55785億円の経済効果があると見ていたが1年延期、コロナもあって2兆4138億円減少で6兆円に目減りすると言う。それでも効果があると言うのか。新競技場建設で今後維持費がかさんでくる。それは都民の税金からだ。 

都民としては「負担の大きい楽しくないイベント」だ。

まだリスクがある。開会期間中はうまく行ったと見えても大会以後に一日の感染者数が1000人を超える危険もある。緊急事態宣言下でも感染者数が爆発的に増えれば「途中中止」の恐れもあるそうだ。

今、線状降水帯の存在で異常気象、豪雨が広域で発生している。大会中に東京付近で発生する恐れはないのか。又酷暑をどうするか。人出が抑えられれば良いが、夜間開催もある。夜間の人出増加は感染拡大につながる。

直下型地震は大丈夫かもしれないが内陸型地震の発生は心配だ。交通網の乱れは大会に混乱を招く。

成田、羽田での水際作戦もどうなるか。バブル方式で安全は確保されているというが海外のイベントではバブルがはじけ、クラスターが発生している。野党議員の質問に答える組織委員会、内閣府の担当者の話を聞くと不安だらけだ。

やるからには安全で、不満の少ない大会であってほしいが、都財政の改善も必要だ。名の知れた有名人ではなく実務型の都知事がほしくならないか。小池さんは噂どおり、国政に出て、代わりに実務型知事を選びたいものだ。

 

 

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