2021年7月4日日曜日

熱海、土石流から何を学ぶか:「避難指示は」「予測は」「想定外か」

 


災害の大きさが分かってくると被害も大きく、熱海の土石流災害では亡くなった方2人、不明者20人、6人が救助されたなどニュースが流れる。亡くなられた方にご冥福を祈るばかりだ。 

日本はどこに行っても災害に遭遇する。記憶によると土石流は長崎での豪雨災害ではなかったか。最近では広島での災害だ。都市開発で市街地、住宅地がドンドン山際に迫っている。平坦地がないから開発業者はいままで見向きもされなかった場所まで開発される。

 

過去に危険地帯とされたにもかかわらず、平気で開発し、何十年も経ってから「こんなことは初めて」と高齢者が言う事例が多い。今回も被災者は「60年も住んでいて、こんなことははじめて」と言う。 

こういった災害が起きると必ず言われるのが「避難指示は適正だったか」「予測できていたか」「想定外か」などだ。市の対応、住民の意識」「専門家の意見」が分かれるところだ。 

「ハザードマップを予め見て確認すること」が大事と言う。見ても普通の人には実態が分からないのだ。たとえばシミュレーションがあればそういうことになるのかと理解できるが危険地帯として色分けされていても直ぐにどうなるかは判断できない。

 


最近は異常気象で線状降雨帯が出てくるが予測も難しいらしい。短時間で土砂降りの状況だと危険もある程度認識できるが、長期に時間降雨だと土地にしみこんだ雨で地盤が崩れる。警報は出るが予測は難しい。途中で小止みにでもなると「ホッと」安心感が出る。そこが危険なのだ。

 

「避難指示は適正だったか」、今回も被害が出ると必ず出てくる問題だ。警戒レベルから高齢者の避難は出しやすいが、それより上の警戒レベルになると行政も迷う。 

危険を感じたら各人が「命を守る行動を」という。今まで川でないところに泥水が流れ出したら」土石流」の前兆であることは分かるが。短時間でどっと土石流が押し寄せると対応のしようがない。

誰か一人でも専門家がいて「避難」を指示していれば助かるが、そんなところに専門家は住まない。 

「想定内か想定外か」、行政は責任回避で「想定外」と言うが、専門家はほとんど「想定内」だ。これだけ事例が多くなると「想定内」と言うしかない。 

7月3日、私は朝からNHKラジオを聴いていた。午前中の定時のニュースでは、新幹線やJR東海道線の運休のニュースだ。のぼりは「○○から○○まで運休」という。高速道も通行禁止になっている。警戒レベルは4、「命を守る行動を」と警告する。11時ごろには土石流発生を伝える。 

静岡、神奈川が線状降雨帯、梅雨前線もあって局所的に豪雨であることは分かる。しかしラジオでは被害状況が見えてこない。 

午後になって、テレビで情報番組を見ると、解説付きで今回の被害の要因を説明するとともに、視聴者から提出された土石流による被害状況が繰り返し放映されている。 

土石流は10時30分ごろ発生し、被災者の話では数度(大きいのは3度)発生したと言う。傾斜地だから専門家の解析では40kmぐらいの速度が出ている。これでは逃げ切れない。軽石、火山灰の地層だから地盤は崩れやすいのだ。

ハザードマップもある。土石流警戒区の表示か。伊豆山の逢初川沿いに国道を過ぎ海岸まで押し寄せている。 

私も10年ほど前に車で熱海を訪れたことがある。全域が急斜面の土地に

ホテル、旅館、マンション、住居が密集している。駅前で若者がパンフレットを差し出しながら「マンション買いませんか」という。「今、旅行できているんだ」と言うと、「おもやげにどうぞ」と言われた。古いホテルは潰していた。 

こんな急斜面に建物を建てて「大丈夫か」と思ったほどだが、津波以外に豪雨にも弱かったのだ。観光地として有名な土地だから、今回の災害は記録に残るだろう。

乱開発がどうして防止できないのか。行政指導が重要になるが、規制すれば土地の価格が下落し所有権の侵害にもなる。

注 各映像は7月3日 サタデーステーションより

0 件のコメント: