2015年4月26日日曜日

手詰まりのギリシャ財政危機:無理と分かっていながら何故、「反緊縮財政」か

ギリシャの財政危機は手詰まり状態であるが、無理と分かっていながら「反緊縮財政」を掲げて野党・急進左派連合が政権交代し、チプラス政権が登場したがギリシャに都合の良い支援など受けられる状況にはなく窮地に立っている。

続く経済疲弊、緊縮政策に飽き飽きした国民が「反緊縮財政」を訴え、政権奪取を目論む野党・急進左派連合がその「反緊縮財政」を掲げて国民の信任を得て政権の座に着いたが、税収不足では財政危機を脱することは出来ない。

急進左派連合は、EU,IMFに「話せば分かる」と支援継続、支払い先送りあるいは債務減額を考えていたのだろうか。ユーロ圏離脱を匂わせれば譲歩するとでも思っていたのだろうか。

そうはうまく行かない。当然だろう。放漫財政で危機に立つギリシャを緊縮政策で良好な経済運営を続けているドイツが犠牲になることなどあり得ない。

政治を後回しにして経済統合を急いだユーロ構想の欠陥をさらけ出すことになった。

EU,IMF,ECBからの迫り来る返済期限、構造改革と引き替えの更なる支援交渉が続いているが合意に至っていない。

新聞報道によると、支援策の残り分約72億ユーロを得たとしてもIMFには約8億ユーロ、ECBへの国債償還約90億ユーロが迫っており目処が立たない崖っぷちの状態だ。

デフォルトすれば一時はすっきりするであろうが厳しいことはアルゼンチンの例で分かる。棚上げ、減額交渉もあるが税収不足が改善しない限り「国民の嫌う緊縮財政」に変わりはない。

チプラス政権はどういう構造改革案を提示するのか分からないがEUは呑むことが出来ても継続しての支援は無理だろうし、国民の信に答えることが出来ない結果になるかもしれない。

政権が国民に緊縮財政、構造改革をどう理解を求めていくか。「やっぱり急進左派連合政権はダメだ」となるのか。

今、中国がインフラ投資で世界のリーダーになろうとしているが、中国の支援下に入るのか、ロシアも選択肢なのか。

デフォルトして財政再建するしかないようにも思える。

ギリシャ危機は、スペイン、ポルトガル、イタリアなど他のEU諸国にも波及する恐れがあり、欧州経済危機は世界経済危機なのだ。

そして、ギリシャが発端となり「国債はリスク資産」は国債の大量保有金融機関の規制強化の動きになり我が国の金融機関、日銀にも影響が出そうだ。

ギリシャの財政と我が国の借金1029兆円を同列に考えることは出来ないらしいが、このまま赤字国債を発行し、日銀が大量に買い占める財政ファイナンスは技術的に難しくなる。

「緊縮財政」は他人事ではない。 


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